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特開2022-152041携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152041
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221004BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20221004BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20221004BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20221004BHJP
   G11B 33/14 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H05K7/20 H
G06F1/20 B
G06F1/20 C
G06F1/16 312E
G06F1/16 312M
H01L23/46 C
G11B33/14 501C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054660
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰彦
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB07
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5F136CA03
5F136CA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薄型化してもノイズが発生しにくい携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置を提供する。
【解決手段】携帯型情報処理装置のファンモジュール2は、ブレード21および軸部22を有するファン20と、ファン20を内部に収容する扁平なファンケース10と、を備える。ファンケース10には、軸部22の軸方向における外側に向けて突出した第1突起部11及び第2突起部12が形成される。第1突起部11及第2突起部12は、軸方向に直交する第1方向におけるファンケース10の第1端部10aの近傍から第2端部10bの近傍へと連続的に延びており、第1突起部11及び第2突起部12は、軸方向及び第1方向の双方に直交する第2方向において、軸部22を間に挟むように配されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードおよび軸部を有するファンと、
前記ファンを内部に収容する扁平なファンケースと、を備え、
前記ファンケースには、前記軸部の軸方向における外側に向けて突出した第1突起部および第2突起部が形成され、
前記第1突起部および前記第2突起部は、前記軸方向に直交する第1方向における前記ファンケースの第1端部の近傍から第2端部の近傍へと連続的に延びており、
前記第1突起部および前記第2突起部は、前記軸方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向において、前記軸部を間に挟むように配されている、携帯型情報処理装置のファンモジュール。
【請求項2】
前記ファンケースには、前記第2方向において前記第1突起部と前記第2突起部との間に位置する中間突起部が形成されている、請求項1に記載の携帯型情報処理装置のファンモジュール。
【請求項3】
前記ファンケースには、前記軸方向における外側に向けて突出した第3突起部および第4突起部が形成され、
前記第3突起部および前記第4突起部は、前記第1突起部および前記第2突起部が形成された面に対して前記軸方向における反対側に位置する面に形成されている、請求項1または2に記載の携帯型情報処理装置のファンモジュール。
【請求項4】
前記ファンケースには吸気孔が形成され、
前記第1突起部は、2つの直線部と、前記2つの直線部同士を接続する曲線部と、を含み、
前記曲線部は前記吸気孔の外形に沿って配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯型情報処理装置のファンモジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のファンモジュールと、
前記ファンモジュールを収容する筐体と、
前記筐体の内部に配置された第1熱源および第2熱源と、を備え、
前記第1熱源および前記第2熱源は、前記第1方向において前記ファンモジュールを間に挟むように配置されている、携帯型情報処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載のファンモジュールと、
前記ファンモジュールを収容する筐体と、
前記筐体内に配置されたプレートと、
前記プレートに支持されるとともに前記筐体が有する開口から突出した複数のキーと、を備え、
前記筐体および前記プレートのうちの一方に前記第1突起部および前記第2突起部が接し、
前記筐体および前記プレートのうちの他方に前記第3突起部および前記第4突起部が接している、携帯型情報処理装置。
【請求項7】
請求項3に記載のファンモジュールと、
前記ファンモジュールを収容する扁平な筐体と、を備え、
前記第1突起部、前記第2突起部、前記第3突起部、および前記第4突起部は、前記筐体に接している、携帯型情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子機器に収容されるファンモジュール(放熱ユニット)が開示されている。ファンモジュールは、ファンと、ファンを内部に収容するファンケースと、を備える。ファンモジュールは、電子機器で生じた熱を外部に放出する役割を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-48224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ノートパソコン等に代表される携帯型情報処理装置の薄型化に伴い、携帯型情報処理装置のファンモジュールには薄型化が求められている。ファンモジュールの薄型化に伴って、ファンケースとファンとの距離は接近する。したがって、使用者による把持力等の外圧に起因してファンケースに変形が生じた場合、ファンケースと回転中のファンとが接触し、ノイズが発生しやすいという課題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、薄型化してもノイズが発生しにくい携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る携帯型情報処理装置のファンモジュールは、ブレードおよび軸部を有するファンと、前記ファンを内部に収容する扁平なファンケースと、を備え、前記ファンケースには、前記軸部の軸方向における外側に向けて突出した第1突起部および第2突起部が形成され、前記第1突起部および前記第2突起部は、前記軸方向に直交する第1方向における前記ファンケースの第1端部の近傍から第2端部の近傍へと連続的に延びており、前記第1突起部および前記第2突起部は、前記軸方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向において、前記軸部を間に挟むように配されている。
【0007】
本発明の上記態様によれば、第1方向に沿って連続的に延びる第1突起部および第2突起部によってファンケースの剛性が高まり、外圧に起因するファンケースの変形を抑制することができる。特に、ファンケースのうち軸部近傍は外圧によって軸方向内側に向けて変形しやすく、ファンと接触することでノイズの発生原因となりやすい。これに対して、第1突起部および第2突起部が軸部を挟むように配されているため、軸部近傍におけるファンケースの変形を効果的に抑制できる。したがって、ファンとファンケースとの接触を防止し、ノイズの発生を抑制できる。
【0008】
ここで、前記ファンケースには、前記第2方向において前記第1突起部と前記第2突起部との間に位置する中間突起部が形成されていてもよい。
【0009】
この場合、ファンケースの剛性がより高まるとともに外圧がより分散されるため、ファンとファンケースとの接触をより抑制できる。
【0010】
また、前記ファンケースには、前記軸方向における外側に向けて突出した第3突起部および第4突起部が形成され、前記第3突起部および前記第4突起部は、前記第1突起部および前記第2突起部が形成された面に対して前記軸方向における反対側に位置する面に形成されていてもよい。
【0011】
この場合、ファンケースの上面および下面の両方に突起部が設けられていることにより、外圧が上方および下方のいずれから印加された場合においても、ファンとファンケースとの接触を効果的に抑制できる。
【0012】
また、前記ファンケースには吸気孔が形成され、前記第1突起部は、2つの直線部と、前記2つの直線部同士を接続する曲線部と、を含み、前記曲線部は前記吸気孔の外形に沿って配置されていてもよい。
【0013】
この場合、ファンケースの中でも特に剛性が低くなりやすい吸気孔近傍の変形を抑制することができ、ファンとファンケースとの接触をより抑制できる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る携帯型情報処理装置は、上記いずれかのファンモジュールと、前記ファンモジュールを収容する筐体と、前記筐体の内部に配置された第1熱源および第2熱源と、を備え、前記第1熱源および前記第2熱源は、前記第1方向において前記ファンモジュールを間に挟むように配置されていてもよい。
【0015】
この場合、各突起部が第1方向に延びているため、ファンが吸引する空気の流れを第1方向に沿わせることができる。したがって、2つの熱源を第1方向においてファンモジュールを間に挟むように配置することで、ファンモジュールによる熱源の冷却効率を向上させることができる。
【0016】
また、上記態様に係る携帯型情報処理装置は、上記いずれかのファンモジュールと、前記ファンモジュールを収容する筐体と、前記筐体内に配置されたプレートと、前記プレートに支持されるとともに前記筐体が有する開口から突出した複数のキーと、を備え、前記筐体および前記プレートのうちの一方に前記第1突起部および前記第2突起部が接し、前記筐体および前記プレートのうちの他方に前記第3突起部および前記第4突起部が接していてもよい。
【0017】
また、上記態様に係る携帯型情報処理装置は、上記いずれかのファンモジュールと、前記ファンモジュールを収容する扁平な筐体と、を備え、前記第1突起部、前記第2突起部、前記第3突起部、および前記第4突起部は、前記筐体に接していてもよい。
【0018】
これらの場合、各突起部の軸方向における寸法を大きくとることができ、ファンケースの剛性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記態様によれば、薄型化してもノイズが発生しにくい携帯型情報処理装置のファンモジュールおよび携帯型情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】携帯型情報処理装置の全体斜視図である。
図2図1のファンモジュールにおけるII方向矢視図(平面図)である。
図3図1のファンモジュールにおけるIII方向矢視図(底面図)である。
図4図1におけるIV-IV断面矢視図である。
図5図1におけるV方向矢視図(底面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態に係る携帯型情報処理装置について図面に基づいて説明する。
図1図4に示すように、携帯型情報処理装置1は、ファンモジュール2と、ファンモジュール2を収容する筐体3と、を備える。ファンモジュール2は、ブレード21および軸部22(図4参照)を有するファン20と、ファン20を内部に収容する扁平なファンケース10と、を備える。ファンケース10は、ケース上面10cおよびケース下面10dを有する。ケース下面10dには、軸部22の軸方向における外側に向けて突出した第1突起部11および第2突起部12が形成されている(図3参照)。第1突起部11および第2突起部12は、ファンケース10の第1端部10aの近傍から第2端部10bの近傍へと連続的に延びている。ケース上面10cには、第3突起部13および第4突起部14が形成されている(図2参照)。
【0022】
なお、本実施形態の携帯型情報処理装置1はいわゆるクラムシェル型のノートパソコンであり、筐体3は互いに回動可能に連結された第1筐体3Aおよび第2筐体3Bを含んでいる。第1筐体3Aは、キーボード30、ファンモジュール2、マザーボード(不図示)等を有する。第2筐体3Bは、ディスプレイを有する。ただし、携帯型情報処理装置1の種類はこれに限らない。例えば携帯型情報処理装置1は、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機等であってもよい。これらの場合において、筐体3は第2筐体3Bを含まなくてもよく、第1筐体3Aがディスプレイおよびファンモジュール2を有していてもよい。また、以降説明のために第1筐体3Aのみを指して単に筐体3と呼ぶことがある。
【0023】
ここで本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。軸部22の中心軸線Oが延びる方向を軸方向Zという。軸方向Zに沿って、第3突起部13および第4突起部14が形成されたケース上面10c側(+Z側)を上方、第1突起部11および第2突起部12が形成されたケース下面10d側(-Z側)を下方という。軸方向Zに直交し、第1端部10aおよび第2端部10bが並ぶ方向を第1方向Xという。軸方向Zおよび第1方向Xの双方に直交する方向を第2方向Yという。第2方向Yに沿って、第1突起部11側(+Y側)を後方、第2突起部12側(-Y)側を前方という。
【0024】
図1に示すように、キーボード30はプレート31および複数のキー32を有している。筐体3の内部には、ファンモジュール2と、プレート31と、第1熱源H1と、第2熱源H2と、が収容される。筐体3の上面には、筐体3内部に連通する複数の開口30aが設けられている。プレート31は、軸方向Zと垂直に配置されている。複数のキー32のそれぞれは、パンタグラフ等を介してプレート31に支持されるとともに、各開口30aから上方に突出している。筐体3の後面における、第2方向Yにおいてファンモジュール2と対向する一部分には、筐体3の内部に連通する筐体排気孔(不図示)が設けられている。なお、携帯型情報処理装置1がノートパソコンでなく例えばタブレット端末等である場合には、筐体3は開口30aが設けられていなくてもよく、キーボード30を有していなくてもよい。
【0025】
第1熱源H1および第2熱源H2は、携帯型情報処理装置1の動作に伴って発熱する発熱体であり、例えばCPU(Central Processing Unit)、DCDC(Direct Current/Direct Current)コンバータ、SSD(Solid State Drive)、WWAN(Wireless Wide Area Network)等である。第1熱源H1および第2熱源H2は、第1方向Xにおいてファンモジュール2を挟むように配置されている。なお、第1熱源H1および第2熱源H2以外の発熱体が筐体3内に設けられていてもよい。
【0026】
図2および図3に示すように、ファンケース10は、第1突起部11と、第2突起部12と、第3突起部13と、第4突起部14と、複数の中間突起部15と、複数の吸気孔16と、排気孔17と、を有する。吸気孔16は、ファンケース10の内部に連通しており、本実施形態においてはケース上面10cおよびケース下面10dの両方に設けられている。なお、吸気孔16は、ケース上面10cおよびケース下面10dのうちの一方にのみ設けられていてもよい。排気孔17は、ファンケース10の内部に連通しており、本実施形態においてはファンケース10の後面に設けられている。詳細な説明は省略するが、本実施形態のファンケース10は、ケース上面10cを含む第1の部材とケース下面10dを含む第2の部材とが組み合わされることで、箱状となっている。
【0027】
第1突起部11、第2突起部12、および下側中間突起部15Aのそれぞれは、ケース下面10dから下方に向けて突出している。一方で、第3突起部13、第4突起部14、および上側中間突起部15Bのそれぞれは、ケース上面10cから上方に向けて突出している。複数の中間突起部15は、本実施形態において、ケース下面10dから下方に向けて突出する2つの下側中間突起部15Aと、ケース上面10cから上方に向けて突出する2つの上側中間突起部15Bと、を含む。以下、下側中間突起部15Aおよび上側中間突起部15Bを総称して、単に中間突起部15という場合がある。第1~第4突起部11~14は、ファンケース10の第1端部10aの近傍から第2端部10bの近傍へと連続的に延びている。各突起部11~15は、ファンケース10の剛性を高めるとともに、ファンケース10に印加された外力を分散して受け止める役割を有する。本実施形態において、各突起部11~15は、金属製のファンケース10を絞り加工することで形成されているが、他の方法で形成されていてもよい。例えば、ファンケース10が樹脂製の場合は、射出成型によって各突起部11~15が形成されていてもよい。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の第1突起部11は、ケース下面10dにおいて直線状に延びる2つの第1直線部(直線部)11aと、曲線状に延びるとともに2つの第1直線部11a同士を接続する第1曲線部(曲線部)11bと、を含む。2つの第1直線部11aのそれぞれは第1方向Xと平行に延びており、第1曲線部11bは吸気孔16の外形に沿って配置されている。
【0029】
第2突起部12は、第1突起部11と同様に2つの第2直線部12aおよび第2曲線部12bを含む。2つの第2直線部12aのそれぞれは第1方向Xと平行に延びており、第2曲線部12bは吸気孔16の外形に沿って配置されている。また、第1突起部11および第2突起部12は、第2方向Yにおいて吸気孔16および軸部22を間に挟むように配されている。
【0030】
図2に示すように、本実施形態の第3突起部13は、ケース上面10cにおいて直線状に延びる2つの第3直線部13aと、曲線状に延びるとともに2つの第3直線部13a同士を接続する第3曲線部13bと、を含む。2つの第3直線部13aのそれぞれは第1方向Xと平行に延びており、第3曲線部13bは吸気孔16の外形に沿って配置されている。
【0031】
第4突起部14は、第3突起部13と同様に2つの第4直線部14aおよび第4曲線部14bを含む。2つの第4直線部14aのそれぞれは第1方向Xと平行に延びており、第4曲線部14bは吸気孔16の外形に沿って配置されている。また、第3突起部13および第4突起部14は、第2方向Yにおいて吸気孔16および軸部22を間に挟むように配されている。
【0032】
2つの下側中間突起部15Aは、第2方向Yにおいて第1突起部11および第2突起部12の間に位置するとともに、第1方向Xと平行に延びている。2つの下側中間突起部15Aは、第1方向Xにおいて軸部22を間に挟むように配置されている。一方、2つの上側中間突起部15Bは、第2方向Yにおいて第3突起部13および第4突起部14の間に位置するとともに、第1方向Xと平行に延びている。2つの上側中間突起部15Bは、第1方向Xにおいて軸部22を間に挟むように配置されている。
【0033】
本実施形態において、第1突起部11(第1直線部11a)と、第2突起部12(第2直線部12a)と、下側中間突起部15Aとは、第2方向Yにおいて略等間隔に配されている。同様に、第3突起部13(第3直線部13a)と、第4突起部14(第4直線部14a)と、上側中間突起部15Bとは、第2方向Yにおいて略等間隔に配されている。なお、「略等間隔」には、製造誤差を無視すれば等間隔とみなせる場合も含む。この構成により、特に軸部22近傍に外力が印加された場合において、各突起部11~15へと分散していく外力の大きさをより均すことができる。なお、上記した各突起部11~15の配列は一例であり、適宜変更が加えられてもよい。
【0034】
また、図4に示すように、第1突起部11、第2突起部12、および2つの下側中間突起部15Aのそれぞれは、筐体3の内面(下側の内面)に接している。一方、第3突起部13、第4突起部14、および2つの上側中間突起部15Bのそれぞれは、プレート31の下面に接している。なお、携帯型情報処理装置1が例えばタブレット端末等であってキーボード30を有さない場合には、各突起部11~15が筐体3の内面に接していてもよい。
【0035】
ファン20は、先述の通りブレード21および軸部22を有する。軸部22は、不図示のモータ等によって駆動され、中心軸線O(軸方向Z)まわりに回転する。ブレード21は、軸部22に取り付けられており、軸部22と一体になって回転する。なお、軸部22がファンケース10内に固定され、ブレード21のみが回転してもよい。ファン20が回転することにより、ファンモジュール2は吸気孔16を通じて第1熱源H1および第2熱源H2から熱風を吸引し、吸引された熱風は排気孔17(および筐体排気孔)を通じて筐体3の外部に排出される。
【0036】
次に、以上のように構成された携帯型情報処理装置1の作用について説明する。
【0037】
例えば、使用者が筐体3を把持した場合やキーボード30に対して体重をかけた場合など、携帯型情報処理装置1の筐体3には軸方向Zにおける外側から内側に向けた外力が作用する場合がある。図4の矢印に示すように、筐体3に対して軸方向Zにおける外側から内側に向けて外力が作用した際、当該外力は各突起部11~15によって受けられる。ここで、各突起部11~15が第1方向Xにおいて連続的に延びていることにより、ケース上面10cおよびケース下面10dの剛性が高まり、ケース上面10cおよびケース下面10dの変形が抑制される。また、吸気孔16の外形に沿うように第1~第4突起部11~14(第1~第4曲線部11b~14b)が配置されているため、ファンケース10のうち特に剛性が低く変形しやすい吸気孔16近傍(軸部22近傍)の変形を抑制することができる。以上の構成により、ケース上面10cおよびケース下面10dと、回転中のファン20(ブレード21)と、の接触を抑制し、ノイズの発生を抑制することができる。
【0038】
図5は、ファンモジュール2に流入出する空気の流れを示した図である。本実施形態のファンモジュール2は、第1~第4突起部11~14がファンケース10の第1端部10aの近傍から第2端部10bの近傍へと連続的に延びていることにより、吸気孔16へと吸引される空気の流れを第1方向Xに沿わせることができる。ここで、第1熱源H1および第2熱源H2は、第1方向Xにおいてファンモジュール2を挟むように配置されているため、上記した空気の流れの延長線上に位置する。したがって、ファンモジュール2は、第1熱源H1および第2熱源H2を効率的に冷却することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯型情報処理装置のファンモジュール2は、ブレード21および軸部22を有するファン20と、ファン20を内部に収容する扁平なファンケース10と、を備え、ファンケース10には、軸部22の軸方向Zにおける外側に向けて突出した第1突起部11および第2突起部12が形成され、第1突起部11および第2突起部12は、軸方向Zに直交する第1方向Xにおけるファンケース10の第1端部10aの近傍から第2端部10bの近傍へと連続的に延びており、第1突起部11および第2突起部12は、軸方向Zおよび第1方向Xの双方に直交する第2方向Yにおいて、軸部22を間に挟むように配されている。
【0040】
この構成によれば、第1方向Xに沿って連続的に延びる第1突起部11および第2突起部12によってファンケース10の剛性が高まり、外圧に起因するファンケース10の変形を抑制することができる。特に、ファンケース10のうち軸部22近傍は外圧によって軸方向Z内側に向けて変形しやすく、ファン20と接触することでノイズの発生原因となりやすい。これに対して、第1突起部11および第2突起部12が軸部22を挟むように配されているため、軸部22近傍におけるファンケース10の変形を効果的に抑制できる。したがって、ファン20とファンケース10との接触を防止し、ノイズの発生を抑制できる。
【0041】
また、ファンケース10には、第2方向Yにおいて第1突起部11と第2突起部12との間に位置する中間突起部15が形成されている。この構成により、ファンケース10の剛性がより高まるとともに外圧がより分散されるため、ファン20とファンケース10との接触をより抑制できる。
【0042】
また、ファンケース10には、軸方向Zにおける外側に向けて突出した第3突起部13および第4突起部14が形成され、第3突起部13および第4突起部14は、第1突起部11および第2突起部12が形成されたケース下面10dに対して軸方向Zにおける反対側に位置するケース上面10cに形成されている。この構成により、ファンケース10のケース上面10cおよびケース下面10dの両方に各突起部11~15が設けられ、外圧が上方および下方のいずれから印加された場合においても、ファン20とファンケース10との接触を効果的に抑制できる。
【0043】
また、ファンケース10には吸気孔16が形成され、第1突起部11は、2つの第1直線部11aと、2つの第1直線部11a同士を接続する第1曲線部11bと、を含み、第1曲線部11bは吸気孔16の外形に沿って配置されている。この構成により、ファンケース10の中でも特に剛性が低くなりやすい吸気孔16近傍の変形を抑制することができ、ファン20とファンケース10との接触をより抑制できる。
【0044】
また、本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、ファンモジュール2と、ファンモジュール2を収容する筐体3と、筐体3の内部に配置された第1熱源H1および第2熱源H2と、を備え、第1熱源H1および第2熱源H2は、第1方向Xにおいてファンモジュール2を間に挟むように配置されている。この構成により、ファンモジュール2による第1熱源H1および第2熱源H2の冷却効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、ファンモジュール2と、ファンモジュール2を収容する筐体3と、筐体3内に配置されたプレート31と、プレート31に支持されるとともに筐体3が有する開口30aから突出した複数のキー32と、を備え、筐体3およびプレート31のうちの一方に第1突起部11および第2突起部12が接し、筐体3およびプレート31のうちの他方に第3突起部13および第4突起部14が接している。この構成により、各突起部11~15の軸方向Zにおける寸法を大きくとることができ、ファンケース10の剛性をより高めることができる。
【実施例0046】
以下、具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0047】
(比較例)
ファンモジュールおよび熱源(CPU、DCDCコンバータ、SSD、WWAN)を備えるノートパソコンを用意した。金属製のファンケースの上面および下面には、軸方向Zにおける外側に向けて突出する複数の絞り部が形成されていた。当該複数の絞り部は、上記実施形態の携帯型情報処理装置1における各突起部11~15とは異なり、ファンケースの上面あるいは下面に沿って連続的に延びるように形成されていなかった。すなわち、当該複数の絞り部はファンケースの上面および下面において断続的に形成されていた。
【0048】
(実施例)
上記実施形態と同様の携帯型情報処理装置1(ノートパソコン)を用意した。実施例と比較例との差異は、各絞り部と各突起部11~15との形状の差異のみであり、その他の構成及び寸法などは製造誤差を除いてすべて同一とみなせた。
【0049】
まず、比較例および実施例のそれぞれを稼働させ、筐体に対して軸方向Zに平行な荷重をかけた。そして、徐々にかける荷重を大きくしていき、ファンとファンケースとが接触してノイズが発生し始める荷重の大きさを測定した。次に、比較例および実施例のそれぞれを稼働させ、筐体内に設置された熱源の温度を測定した。そして、ファンモジュールの出力を徐々に増加させ、熱源の温度が所定の閾値を下回った際のファンモジュールの稼働音の大きさを測定した。表1は、以上の実験における測定結果である。なお、実施例における「over 6.0」とは、筐体に対して6.0kgfの荷重を加えてもノイズが発生しなかったことを表している。
【0050】
【表1】
【0051】
ノイズが発生し始める荷重が大きいことは、ファンケースが外圧印加時に変形しにくく、ファンモジュールがノイズを発生させづらいことを意味する。また、熱源の温度が所定の閾値を下回った際のファンモジュールの稼働音が小さいことは、ファンモジュールによる熱源の冷却効率が高いことを意味する。表1から、比較例よりも実施例のほうがノイズが発生しづらく、かつファンモジュールによる熱源の冷却効率が高いことが確認できる。このように、ファンケースに第1方向Xに沿って連続的に延びる突起部を設けることによって、ノイズの発生を抑制、またファンモジュールによる熱源の冷却効率を向上させることができる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、前記実施形態において携帯型情報処理装置1はキーボード30を有していたが、キーボード30を有していなくてもよい。この場合、携帯型情報処理装置1は、ファンモジュール2と、ファンモジュール2を収容する扁平な筐体3と、を備え、第1突起部11、第2突起部12、第3突起部13、および第4突起部14は、筐体3に接していてもよい。この構成においても、前記実施形態と同様に各突起部11~15の軸方向Zにおける寸法を大きくとることができ、ファンケース10の剛性をより高めることができる。
【0054】
また、前記実施形態において第1~第4突起部11~14のそれぞれは2つの第1~第4直線部11a~14aと1つの第1~第4曲線部11b~14bを有していたが、第1~第4直線部11a~14aおよび第1~第4曲線部11b~14bの数は適宜変更可能である。また、第1~第4突起部11~14のそれぞれは2つの第1~第4直線部11a~14aと1つの第1~第4曲線部11b~14b以外の部分を有していてもよい。また、第1~第4直線部11a~14aおよび中間突起部15のそれぞれは第1方向Xに対して傾いていてもよい。この場合、第1熱源H1および第2熱源H2が当該傾いた方向においてファンモジュール2を挟むように配置されていてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…携帯型情報処理装置 2…ファンモジュール 3…筐体 10…ファンケース 10a…第1端部 10b…第2端部 11…第1突起部 11a…第1直線部(直線部) 11b…第1曲線部(曲線部) 12…第2突起部 13…第3突起部 14…第4突起部 15…中間突起部 16…吸気孔 20…ファン 21…ブレード 22…軸部 30a…開口 31…プレート 32…キー H1…第1熱源 H2…第2熱源
図1
図2
図3
図4
図5