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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152046
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221004BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054665
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】ドライバにとって煩わしい運転支援の表示が行われることを抑制する。
【解決手段】運転支援装置は、信号機の切換情報を含む信号機情報と信号機に対する自車両の位置を表す位置情報とを取得する情報取得部と、情報取得部により取得された信号機情報と位置情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する導出部と、導出部により導出された推奨運転の情報をドライバに報知する報知部と、報知部により推奨運転情報が報知された後、この情報に従ってドライバが推奨運転を行っているか否かを判定する判定部と、判定部により推奨運転を行っていないと判定されると、推奨運転情報の報知を停止するように報知部を制御する報知制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の切換情報を含む信号機情報と前記信号機に対する自車両の位置を表す位置情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記信号機情報と前記位置情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する導出部と、
前記導出部により導出された前記推奨運転の情報をドライバに報知する報知部と、
前記報知部により推奨運転情報が報知された後、この情報に従ってドライバが前記推奨運転を行っているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記推奨運転を行っていないと判定されると、前記推奨運転情報の報知を停止するように前記報知部を制御する報知制御部と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記報知制御部は、前記判定部により前記推奨運転を行っていないと判定されると、所定期間、前記推奨運転情報の報知を停止するように前記報知部を制御することを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記導出部により導出される前記推奨運転は、前記自車両の目標車速の範囲を含むことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記導出部により導出される前記推奨運転は、前記自車両の減速指令を含むことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転操作を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、信号機が設置された道路を走行する車両のドライバに対し、アクセルオフ操作の開始タイミングを報知するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、信号機が設置された交差点をノンストップで通過可能となるような減速操作のタイミングを、表示部を介してドライバに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-96016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置のように運転操作のタイミングをドライバに報知しても、種々の交通事情等を勘案した場合に、その運転操作をドライバが行えないことがある。その場合、運転操作の報知が継続的になされると、ドライバにとって煩わしい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である運転支援装置は、信号機の切換情報を含む信号機情報と信号機に対する自車両の位置を表す位置情報とを取得する情報取得部と、情報取得部により取得された信号機情報と位置情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する導出部と、導出部により導出された推奨運転の情報をドライバに報知する報知部と、報知部により推奨運転情報が報知された後、この情報に従ってドライバが推奨運転を行っているか否かを判定する判定部と、判定部により推奨運転を行っていないと判定されると、推奨運転情報の報知を停止するように報知部を制御する報知制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ドライバにとって煩わしい運転支援の表示が行われることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の実施形態に係る運転支援装置による表示画面の一例を示す図。
図1B】本発明の実施形態に係る運転支援装置による表示画面の他の例を示す図。
図2】本発明の実施形態に係る運転支援装置の要部構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施形態に係る運転支援装置による表示画面のさらに別の例を示す図。
図4図2のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1A図4を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る運転支援装置は、自車両の前方の交通信号機(単に信号機と呼ぶ)が設置された交差点を、自車両が停止せずに通過することが可能な車速範囲の情報、すなわち目標車速範囲の情報を、ドライバに報知する運転支援機能を有する。信号機は、停止命令を示す赤色と、進行可能を示す青色と、安全な停止が困難なときの進行可能を示す黄色とに、所定の周期で順次切り換わるように構成される。なお、信号機は、進行可能な方向を矢印で示す矢印信号機であってもよい。
【0009】
車速範囲の情報は、ドライバに面してインストルメントパネルに設けられた表示装置に表示される。インストルメントパネルの近傍に配置されるナビゲーションユニットのディスプレイを、表示装置として用いることもできる。フロントガラスやフロントガラス近傍に設けられたパネルに画像を投影するヘッドアップディスプレイにより、表示装置を構成してもよい。
【0010】
図1Aは、表示装置(モニタ)の表示画面10aの一例を示す図である。図1Aに示すように、表示画面10aには、領域A1に目標車速範囲を示す画像が表示され、領域A2にドライバに対する推奨運転操作を示す画像が表示される。領域A1の画像は、車速を目盛りで示す目盛り画像11と、自車両前方の信号機が設置された交差点を自車両が停車せずに通過することが可能な目標車速範囲を示す目標車速画像12(ハッチング)と、自車両の現在の車速を示すバー状の自車速画像13と、道路の法定速度を示すバー状の法定速度画像14とを含む。目標車速画像12と自車速画像13と法定速度画像14とは、目盛り画像11に対応付けて、すなわち目盛り画像11上に表示される。モニタはカラーディスプレイを有し、目盛り画像11と目標車速画像12と自車速画像13と法定速度画像14とは、互いに異なる色で表示される。
【0011】
このように目標車速範囲を示す目標車速画像12に対応付けて、現在の車速を示す自車速画像13が表示されることで、ドライバは、信号機が設置された交差点をスムーズに通行するために自車両の加減速が必要であるか否かを容易に把握することができ、ドライバに対する良好な運転支援が可能である。図1Aに示す例では、現在の車速(自車速画像13)が目標車速範囲(目標車速画像12)内にある。この状態では、ドライバに減速や停止の操作を指令する必要がない。このため、領域A2には、道路と信号機とを模式的に示す初期画像15のみが表示され、推奨運転操作を示す画像が表示されない。
【0012】
自車両前方の信号機が設置された交差点を、自車両が停車せずに通行可能であるとは限らない。例えば自車両が信号機に到達する前に信号機が青色から赤色に切り換わる場合、あるいは自車両が信号機に到達した時点で信号機がいまだに赤色である場合、自車両は信号機の手前で停車する必要がある。図1Bは、そのような停車を前提としたモニタの表示画面10aの一例を示す図である。図中の目標車速画像12によって示される車速範囲は、減速度を所定値以下に抑えながら、走行中の自車両がスムーズに停止線で停車するための目標車速範囲である。
【0013】
図1Bに示す例では、自車速画像13によって示される車速が目標車速範囲(目標車速画像12)を上回っている。このため、領域A2には、初期画像15上に自車両の減速指令を示す減速指令画像16が表示される。具体的には、停止線の画像16aと、画像16aに向けてハッチングで示すような帯状の画像16bと、を含む減速指令画像16が表示される。このように自車両の減速が必要であるときに、推奨運転操作として減速操作の指令を示す減速指令画像16が表示されることで、ドライバは減速操作の必要性を容易に認識することができ、自車両を良好なタイミングで減速操作することができる。
【0014】
ところで、自車両の周囲の交通状況によっては、推奨運転操作を示す画像が表示されても、ドライバがその操作に従うことが困難な場合ある。例えば、後続車両との車間距離が小さい場合や、周辺の他車両が比較的高速で走行している場合等に、ドライバが推奨運転操作に従って減速操作を行うと、交通流れに悪影響を及ぼすおそれがあり、推奨運転操作に従った運転(推奨運転)を行うことが難しい。このような場合に、推奨運転操作の画像が継続して表示されると、ドライバは運転支援の画像を煩わしいと感じるようになり、かえって運転の妨げとなる。この点を考慮し、本実施形態は以下のように運転支援装置を構成する。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る運転支援装置100の要部構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、運転支援装置100は、コントローラ20と、コントローラ20にそれぞれ通信可能に接続された通信ユニット1と、測位センサ2と、車速センサ3と、モニタ10とを有する。
【0016】
通信ユニット1は、道路に設けられた光ビーコン、電波ビーコン等の通信装置に無線通信可能に、すなわち路車間通信可能に構成される。通信ユニット1は道路に設けられた通信装置から、自車両の進行方向に位置する信号機、すなわち、自車両が次に通過する交差点に設置された信号機についての信号機情報を受信する。信号機情報には、信号機の位置情報と、信号機の灯色の切換時間の情報とが含まれる。切換時間の情報は、信号機が現在青色の場合に、青色から黄色に切り換わるまでの残り時間の情報と、信号機が現在青色以外である場合に、次に青色に切り換わるまでの残り時間の情報などである。
【0017】
測位センサ2は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位センサ2が受信した測位情報を利用して、自車両の現在位置(緯度、経度、高度)が測定される。なお、測位センサ2は、信号機が設けられる交差点の位置に対する自車両の位置(信号機までの距離等)を検出するために用いられる。したがって、測位センサ2に代えて自車両から対象物(交差点近傍の物体)までの距離を検出する距離検出器(レーダやライダ等)を用いることもできる。車速センサ3は、自車両の車速を検出する。
【0018】
コントローラ20は、通信ユニット1と測位センサ2と車速センサ3とからの信号に基づいて所定の処理を実行し、表示画面10aを有するモニタ10に制御信号を出力する。コントローラ20は、CPU,ROM,RAMおよびI/Oインターフェース等のその他の周辺回路を有するコンピュータを含んで構成される。コントローラ20は、機能的構成として、情報取得部21と運転導出部22と報知制御部23と運転判定部24とを有する。
【0019】
情報取得部21は、通信ユニット1が受信した信号機情報と、測位センサ2により検出された自車両の現在位置の情報(位置情報)と、車速センサ3により検出された自車両の車速の情報(車速情報)とを取得する。さらに情報取得部21は、自車両の位置情報に応じて走行中の道路を特定するとともに、予めメモリに記憶された道路情報に基づき、当該道路に対応する法定速度の情報(法定速度情報)を取得する。
【0020】
運転導出部22は、情報取得部21により取得された信号機情報、位置情報、車速情報および法定速度情報に基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する。具体的には、位置情報を用いて自車両から信号機が設置される交差点までの距離を算出するとともに、この距離と、信号機情報に含まれる自車両の前方の信号機が青色から黄色に切り換わるまでの残り時間と、に基づいて、自車両が交差点を停車せずに通過可能な車速の範囲を算出する。そして、この車速の範囲のうち、法定車速よりも低い車速の範囲を目標車速範囲として算出する。目標車速範囲は、ドライバに推奨する推奨運転に含まれる。
【0021】
一方、運転導出部22は、法定車速以下の車速で自車両が交差点を停車せずに通過することができないと判定すると、信号機の手前で自車両がスムーズに停車するための目標車速の範囲を算出する。そして、車速情報に含まれる自車両の車速が、目標車速を上回る場合に、推奨運転として減速指令を導出する。なお、運転導出部22は、自車両が交差点を停車せずに通過することができると判定した場合であっても、自車速が目標車速範囲を上回っている場合、同様に減速指令を導出する。すなわち、自車両が交差点を停車せずに通過することが可能か否かの判定結果に拘わらず、自車速が目標車速を上回る場合、運転導出部22は減速指令を導出する。
【0022】
報知制御部23は、運転導出部22により導出された推奨運転を表示するようにモニタ10の表示を制御する。例えば、運転導出部22により自車両が交差点を停車せずに通過可能と判定されると、図1Aに示すように、目標車速画像12と自車速画像13と法定速度画像14とが目盛り画像11に対応付けて表示されるようにモニタ10を制御する。一方、運転導出部22により自車両が交差点を停車せずに通過することができないと判定すると、図1Bに示すように、目標車速画像12と自車速画像13と法定速度画像14とが目盛り画像11に対応付けて表示されることに加え、減速操作指令を示す減速指令画像16が初期画像15上に表示されるようにモニタ10を制御する。
【0023】
運転判定部24は、モニタ10の表示を介してドライバに推奨運転の情報が報知された後、この推奨運転情報に従った推奨運転がドライバにより行われているか否かを判定する。すなわち、図1Bに示す減速操作指令の表示に対応してドライバが減速運転を行っているか否かを判定する。運転判定部24により、推奨運転情報に従った運転が行われていないと判定されると、報知制御部23は、減速指令画像16の表示を停止する。より具体的には、減速操作指令の報知後に、車速情報に含まれる自車両の車速の変化に着目し、所定時間(例えば3秒)が経過しても、ドライバが減速操作を行っていないと判定されると、減速指令画像16の表示を停止する。
【0024】
図3は、この場合のモニタ10の表示画面10aの一例を示す図である。図3に示すように、報知制御部23は、減速指令画像16だけでなく、目標車速画像12と自車速画像13の表示も停止する。なお、報知制御部23は、運転判定部24により、推奨運転情報に従った運転が行われていると判定されると、これら減速指令画像16と目標車速画像12と自車速画像13の表示を継続する。
【0025】
報知制御部23は、ドライバが推奨運転情報に従った運転を行わないことにより、減速指令画像16等の表示を停止すると、例えば車両の電源スイッチやイグニッションスイッチがオフにされるまで、表示の停止を継続する。なお、推奨運転情報に従った運転を行わないことが所定の頻度で発生するとき(例えば1日に5回以上)、一週間等、より長期にわたって表示の停止を継続するようにしてもよい。
【0026】
図4は、図2のコントローラ20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば電源キースイッチのオンにより開始され、CPUの動作周波数に応じた所定周期で繰り返される。
【0027】
図4に示すように、まず、ステップS1で、通信ユニット1が受信した信号機情報を取得するとともに、測位センサ2からの信号による自車両の位置情報と、車速センサ3からの信号による車速情報とを取得する。さらにステップS1では、予めメモリに記憶された道路情報を参照して走行中の道路の法定速度の情報を取得する。なお、車載カメラにより道路標識を認識することで、走行中の道路の法定速度情報を取得してもよい。
【0028】
次いで、ステップS2で、ステップS1で取得された信号機情報と位置情報と法定速度情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転として、法定速度を上限とした目標車速範囲を算出する。すなわち、信号機が設置された交差点で停車せずに交差点を通過可能な目標車速範囲、または信号機の手前で停車する場合の目標車速範囲を算出する。
【0029】
次いで、ステップS3で、ステップS2で算出された目標車速範囲を示す目標車速画像12と、自車速を示す自車速画像13と、法定速度を示す法定速度画像14とが、領域A1の目盛り画像11に対応付けて表示されるようにモニタ10に制御信号を出力する。次いで、ステップS4で、現在の自車速が目標車速範囲内にあるか否かを判定する。ステップS4で肯定されるとステップS5に進み、否定されると処理を終了する。
【0030】
ステップS5では、ドライバに推奨する推奨運転として、自車速が目標車速範囲内となるための車速変更指令の画像をモニタ10の表示画面10aに表示させる。例えば減速指令画像16が領域A2の初期画像15上に表示されるようにモニタ10に制御信号を出力する。
【0031】
次いで、ステップS6で、ステップS5で車速変更指令の画像が表示されてから、その画像に対応する車速変更の操作がなされずに所定時間が経過したか否かを判定する。例えば減速指令画像16が表示されてから、減速操作がなされずに所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS6で肯定されるとステップS7に進み、否定されると処理を終了する。ステップS7では、目標車速画像12と減速指令画像16等の推奨運転の画像の表示を停止し、処理を終了する。
【0032】
本実施形態に係る運転支援装置による動作をまとめると以下のようになる。自車両が信号機に接近すると、モニタ10の表示画面10aには、例えば図1Aに示すように、信号機が設置された交差点で自車両が停車せずに交差点を通過するために必要な車速範囲、すなわち目標車速範囲を示す目標車速画像12が表示される(ステップS3)。一方、自車両が信号機の手前で停車することが必要な場合、特に自車両が現車速から目標車速範囲内まで減速することが必要な場合、表示画面10aには、例えば図1Bに示すように、目標車速画像12とともに、減速指令を示す減速指令画像16が表示される(ステップS5)。
【0033】
このとき、減速指令の表示に従いドライバが自車両を減速操作すると、例えばアクセルペダルをオフあるいはブレーキペダルを操作すると、目標車速画像12と減速指令画像16の表示が継続される。一方、自車両の周囲の交通環境に照らしてドライバが減速操作を行えないとき、その状態が所定時間以上(例えば3秒以上)継続すると、目標車速画像12と減速指令画像16の表示が停止する。これにより、ドライバが運転支援の表示をかえって煩わしいと感じることを抑制することができ、ドライバに対し良好な運転支援を行うことができる。
【0034】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転支援装置100は、信号機の切換情報を含む信号機情報と信号機に対する自車両の位置を表す位置情報とを取得する情報取得部21と、情報取得部21により取得された信号機情報と位置情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する運転導出部22と、運転導出部22により導出された推奨運転の情報をドライバに報知するモニタ10と、モニタ10により推奨運転情報が報知された後、この情報に従ってドライバが推奨運転を行っているか否かを判定する運転判定部24と、運転判定部24により推奨運転を行っていないと判定されると、推奨運転情報の報知を停止するようにモニタ10を制御する報知制御部23と、を備える(図2)。
【0035】
この構成により、自車両の周囲の交通状況によってドライバが推奨運転に従った運転操作を行うことが困難な場合に、推奨運転の表示が継続してなされることを防止できる。したがって、ドライバにとって煩わしいと感じる表示が停止され、ドライバが運転に集中しやすい。
【0036】
(2)報知制御部23は、運転判定部24により推奨運転を行っていないと判定されると、所定期間(例えばイグニッションスイッチがオフされるまで)、推奨運転情報の報知を停止するようにモニタ10を制御する。これにより、一旦停止した表示が再び表示されることによりドライバが煩わしさ感じることを抑制できる。
【0037】
(3)運転導出部22により導出される推奨運転、すなわちモニタ10に表示される推奨運転は、自車両の目標車速の範囲を含む(図1A図4)。つまり、報知制御部23は目標車速画像12が表示されるようにモニタ10を制御する。これにより、信号機が設置された交差点をスムーズに通過するための目標車速をドライバは容易に認識することができ、良好な運転支援を行うことができる。
【0038】
(4)運転導出部22により導出される推奨運転は、自車両の減速指令を含む。つまり、報知制御部23は減速指令画像16が表示されるようにモニタ10を制御する。これにより、信号機情報に基づいてドライバは適切な減速度で自車両を減速運転することができる。
【0039】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、情報取得部21が、信号機の切換情報を含む信号機情報と信号機に対する自車両の位置を表す位置情報などを取得するようにしたが、信号機が設置された交差点を通過する際に有用な他の情報(例えば渋滞情報)を取得し、この情報に基づいて運転導出部22がドライバに推奨する推奨運転を導出するようにしてもよい。上記実施形態では、測位センサ2により自車両の位置を検出するようにしたが、レーダやライダ、あるいはカメラを用いて信号機に対する自車両の位置を検出するようにしてもよい。
【0040】
上記実施形態では、運転導出部22が、情報取得部21により取得された信号機情報と自車両の位置情報とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出するにした。具体的には、自車両が満たすべき車速の範囲(目標車速範囲)と減速操作を行う旨の指令とを推奨運転の一部として導出するようにしたが、車線変更の指令等、他の推奨運転を導出するようにしてよく、導出部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、運転導出部22により導出された推奨運転の情報を、モニタ10の表示を介してドライバに報知するようにしたが、報知部の構成はこれに限らない。例えば音声出力によってドライバに報知するようにしてもよい。
【0041】
上記実施形態では、判定部としての運転判定部24により、推奨運転情報が報知された後、所定時間継続して推奨運転を行っていないと判定されると、推奨運転情報の報知を停止するようにしたが、所定時間をドライバ毎に設定してもよい。また、上記実施形態では、運転判定部24により推奨運転を行っていないと判定されると、所定期間、推奨運転情報の報知を停止するようにしたが、所定期間をドライバ毎に設定してもよい。上記実施形態では、目標車速画像12と自車速画像13と減速指令画像16の表示を停止することで、推奨運転情報の報知を停止するようにしたが、他の画像の表示を停止するようにしてもよい。例えば目盛り画像11と法定速度画像14と初期画像15の表示を同時に停止するようにしてもよい。したがって、報知制御部の構成は上述したものに限らない。
【0042】
上記実施形態では、信号機が設置された交差点を自車両が通過する場合を例にして運転支援装置100の構成を説明したが、信号機は交差点に限らず横断歩道等に設置されることもあり、この場合にも本発明の運転支援装置を同様に適用することができる。
【0043】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 通信ユニット、2 測位センサ、3 車速センサ、10 モニタ、12 目標車速画像、13 自車速画像、16 減速指令画像、20 コントローラ、21 情報取得部、22 運転導出部、23 報知制御部、24 運転判定部、100 運転支援装置
図1A
図1B
図2
図3
図4