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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152080
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】フィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20221004BHJP
   B65H 3/08 20060101ALI20221004BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B65H3/00 301
B65H3/08 321
B65H5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054712
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】508132470
【氏名又は名称】株式会社サム技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴士
【テーマコード(参考)】
3F101
3F343
【Fターム(参考)】
3F101CA02
3F101CC01
3F101LA07
3F101LB03
3F101LB05
3F101LB07
3F101LB10
3F343FA02
3F343FA06
3F343FA09
3F343FA10
3F343FA17
3F343FB04
3F343FC01
3F343FC04
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343HA12
3F343HA21
3F343JB02
3F343KB03
3F343KB04
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA12
3F343LB01
3F343LD01
3F343MC08
3F343MC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】枚葉状被搬送物を表裏反転させず、枚葉状被搬送物のうちクランパで挟んでいる前端部から次段の機構に投入できるフィーダを提供する。
【解決手段】フィーダ100は、被搬送物束SPSを保持する積層保持部10と、被搬送物束の最下層の最下層被搬送物LSPをクランプし、積層保持部から引き抜いて、次段の機構200に投入するクランプフィード部20は、クランプ位置BWCと解放位置BWRとの間に亘り往復移動させる往復移動機構26と、クランプ位置で両クランパに最下層被搬送物をクランプさせ、解放位置で解放させるクランパ開閉部27とを有し、積層保持部をなすいずれの部材も搬送経路CP外に位置しており、最下層被搬送物の前端部LSPFを両クランパでクランプして積層保持部10から引き抜き、最下層被搬送物の前端部が搬送経路下流側CPDとなる姿勢のまま、次段の機構に投入可能にされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枚葉状被搬送物を厚み方向に積層した被搬送物束を保持する積層保持部と、
上記積層保持部に保持された上記被搬送物束をなす複数の上記枚葉状被搬送物のうち、最下層に位置する最下層被搬送物をクランプし、上記積層保持部から引き抜いて、次段の機構に投入するクランプフィード部と、を備える
フィーダであって、
上記クランプフィード部は、
上記最下層被搬送物の上面に当接する上側クランパと、
上記最下層被搬送物の下面に当接して、上記上側クランパとの間に上記最下層被搬送物を挟んで保持する下側クランパと、
上記上側クランパ及び上記下側クランパを、上記最下層被搬送物をクランプするクランプ位置と、クランプしている上記最下層被搬送物を解放する解放位置との間に亘り、往復移動させる往復移動機構と、
上記上側クランパ及び上記下側クランパの少なくともいずれかを移動させて、
上記クランプ位置に位置する上記上側クランパと上記下側クランパとの間を閉じさせて、上記最下層被搬送物をクランプさせる一方、
上記解放位置に位置する上記上側クランパと上記下側クランパとの間を開かせて、クランプしている上記最下層被搬送物を解放させる
クランパ開閉部と、を有し、
上記クランプフィード部及び上記積層保持部は、
上記クランプフィード部及び上記積層保持部をなすいずれの部材も、上記最下層被搬送物の搬送経路外に位置しており、
上記最下層被搬送物のうち搬送経路下流側に位置する前端部を上記上側クランパ及び上記下側クランパでクランプして、上記最下層被搬送物を上記積層保持部から引き抜き、
上記最下層被搬送物のうち上記前端部が搬送経路下流側となる姿勢のまま、上記最下層被搬送物を上記次段の機構に投入可能な形態に構成されてなる
フィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィーダであって、
前記上側クランパは、
前記クランプ位置に位置したときに、前記被搬送物束の下方に位置する被搬送物束下方領域内に含まれる上側領域差入部を含み、
前記下側クランパは、
前記クランプ位置に位置したときに、上記被搬送物束下方領域内に含まれ、上記上側クランパの上記上側領域差入部との間で、前記最下層被搬送物をクランプする下側領域差入部を含み、
前記積層保持部は、
前記最下層被搬送物及びこの最下層被搬送物の直上に位置する前記枚葉状被搬送物である第2層被搬送物を含む前記被搬送物束を、各々の枚葉状被搬送物を平板状の形態として、下方から支持すると共に、
抜き通路を構成する
支持台であって、
上記抜き通路は、
当該抜き通路を通じて、
上記最下層被搬送物の前記前端部を上記被搬送物束下方領域に垂れ下げ可能であり、かつ、
上記最下層被搬送物を前記クランプフィード部で引き抜き可能な通路である
支持台と、
前記往復移動機構が、上記上側クランパ及び上記下側クランパを、上記クランプ位置に位置させるに先立ち、
上記支持台に支持され平板状の形態とされた上記最下層被搬送物の、上記抜き通路を通じて上記被搬送物束下方領域に臨む前記前端部のうち、少なくとも、上記クランプ位置に位置した上記上側クランパの上記上側領域差入部及び上記下側クランパの上記下側領域差入部の間に位置し、これらにクランプされる前端被クランプ部を、
上記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ上記第2層被搬送物の前端部と離間させる
前端部離間部と、を有する
フィーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のフィーダであって、
前記上側クランパは、
前記クランプ位置に位置したときに、前記上側領域差入部の当接上面で、前記被搬送物束のうち、前記最下層被搬送物よりも上方の上記枚葉状被搬送物がなす上側被搬送物束を上方に持ち上げる形態とされてなる
フィーダ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィーダであって、
前記クランプフィード部は、
前記往復移動機構によって、前記上側クランパを前記クランプ位置に移動させて、上記上側クランパの前記上側領域差入部の前記当接上面で、前記上側被搬送物束を上方に突き上げた第1タイミングの後で、かつ、
前記被搬送物束によって、前記支持台に掛かる荷重が、上記第1タイミングよりも以前に掛かっていた第1荷重以上となる第2タイミングよりも前に、
前記往復移動機構によって、上記上側クランパ及び前記下側クランパでクランプした上記最下層被搬送物の引き抜きを開始する構成とされた
上記往復移動機構及び前記クランパ開閉部を有する
フィーダ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のフィーダであって、
前記積層保持部は、
前記前端部離間部によって、前記最下層被搬送物の前記前端被クランプ部を、前記抜き通路を通じた垂れ下がり形態とする前には、上記最下層被搬送物の前端縁のうち被係合縁部に離脱可能に係合し、上記最下層被搬送物が平板状の形態に保つのを補助し、
上記前端部離間部によって、上記最下層被搬送物の上記前端被クランプ部を、上記抜き通路を通じた垂れ下がり形態とした後には、前記第2層被搬送物の前端縁のうち被係合縁部に離脱可能に係合し、上記第2層被搬送物が平板状の形態を保つのを補助する
前端縁係合部をさらに有し、
前記前端部離間部は、
前記支持台に支持され平板状の形態とされた上記最下層被搬送物の前記前端部のうち、上記被係合縁部の近傍で、上記前端縁係合部によって上下方向の位置が制限された被係合近傍部を吸引して保持する、吸引保持部を含み、
上記吸引保持部で保持された上記被係合近傍部を、前記前端被クランプ部と共に、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ上記第2層被搬送物の前記前端部と離間させる
フィーダ。
【請求項6】
請求項2~請求項5のいずれか1項に記載のフィーダであって、
前記最下層被搬送物の前記前端部のうち、
前記前端被クランプ部は、前記前端部離間部によって、前記第2層被搬送物の前記前端部と離間し、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態とされる一方、
前記前端被クランプ部以外の部位には、垂れ下がり形態とされていない非垂下形態部を含む場合に、
前記上側クランパの前記上側領域差入部は、
上記上側クランパを前記クランプ位置に位置させたときに、上記非垂下形態部に当接し、上記最下層被搬送物の上記前端部の全体を、上記第2層被搬送物の上記前端部から離間させて、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態にさせる
形態を有する
フィーダ。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のフィーダであって、
前記クランパ開閉部は、
前記上側クランパ及び前記下側クランパのうち上記下側クランパのみ移動させて、前記最下層被搬送物のクランプ及び解放を行なわせる
フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー用紙、はがき、チラシ、冊子、封筒、封入封緘済封筒などの枚葉状被搬送物を積層した被搬送物束から、1枚ずつ枚葉状被搬送物を取り出して、次段の機構に投入するフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枚葉状被搬送物を積層した被搬送物束から、1つの枚葉状被搬送物を取り出して、次段の機構(例えば次段の搬送機構)に投入するフィーダや給紙装置が知られている。これらのフィーダや給紙装置には、被搬送物束の上側から枚葉状被搬送物を取り出すタイプ、被搬送物束の下側から枚葉状被搬送物を引き出すタイプなどがある。なお、関連する従来技術として、例えば、特許文献1,2(特許文献1,2の特許請求の範囲等を参照)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-59579号公報
【特許文献2】特開2019-127389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフィーダの中には、被搬送物束のうち最下層の枚葉状被搬送物の前端部をクランパで挟み、この最下層の枚葉状被搬送物を被搬送物束から引き抜き、引き抜いた枚葉状被搬送物を次段の機構に投入するクランプタイプのフィーダも存在する。
【0005】
しかしながら、このクランプタイプのフィーダにおいては、クランパで挟んだ枚葉状被搬送物の前端部が搬送経路(引抜経路)の下流側になるように引き抜くが、その後、この枚葉状被搬送物を表裏反転させて、即ち、クランパで挟んでいる前端部が搬送経路の上流側になるように枚葉状被搬送物を反転させ、枚葉状被搬送物の(クランパで挟んでいる前端部よりも搬送方向下流側に位置する、クランパで挟んでいない)後端部から次段の機構に投入する必要があった。被搬送物束から、最下層の枚葉状被搬送物を引き抜くべく、枚葉状被搬送物の前端部をクランパで挟むには、クランパを引抜経路の下流側から枚葉状被搬送物の前端部に到達させる必要があり、枚葉状被搬送物をクランパで挟んでいる前端部から次段の機構に投入しようとしても、クランパなどをなすフィーダの各部材が枚葉状被搬送物の進行を妨げる位置に存在するためである。
【0006】
しかるに、上述のように、被搬送物束から引き出した枚葉状被搬送物を表裏反転させて、次段の機構に投入した場合には、被搬送物束として積層された枚葉状被搬送物の順序が逆転してしまう。このため、枚葉状被搬送物の表裏を再反転させる装置・機構を介在させる、被搬送物束における枚葉状被搬送物の積層順を予め考慮しておくなどの処置が必要になる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、クランプタイプのフィーダでありながら、枚葉状被搬送物を表裏反転させず、枚葉状被搬送物のうちクランパで挟んでいる前端部から次段の機構に投入できるフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、複数の枚葉状被搬送物を厚み方向に積層した被搬送物束を保持する積層保持部と、上記積層保持部に保持された上記被搬送物束をなす複数の上記枚葉状被搬送物のうち、最下層に位置する最下層被搬送物をクランプし、上記積層保持部から引き抜いて、次段の機構に投入するクランプフィード部と、を備えるフィーダであって、上記クランプフィード部は、上記最下層被搬送物の上面に当接する上側クランパと、上記最下層被搬送物の下面に当接して、上記上側クランパとの間に上記最下層被搬送物を挟んで保持する下側クランパと、上記上側クランパ及び上記下側クランパを、上記最下層被搬送物をクランプするクランプ位置と、クランプしている上記最下層被搬送物を解放する解放位置との間に亘り、往復移動させる往復移動機構と、上記上側クランパ及び上記下側クランパの少なくともいずれかを移動させて、上記クランプ位置に位置する上記上側クランパと上記下側クランパとの間を閉じさせて、上記最下層被搬送物をクランプさせる一方、上記解放位置に位置する上記上側クランパと上記下側クランパとの間を開かせて、クランプしている上記最下層被搬送物を解放させるクランパ開閉部と、を有し、上記クランプフィード部及び上記積層保持部は、上記クランプフィード部及び上記積層保持部をなすいずれの部材も、上記最下層被搬送物の搬送経路外に位置しており、上記最下層被搬送物のうち搬送経路下流側に位置する前端部を上記上側クランパ及び上記下側クランパでクランプして、上記最下層被搬送物のうち上記前端部が搬送経路下流側となる姿勢のまま、上記最下層被搬送物を上記次段の機構に投入可能な形態に構成されてなるフィーダである。
【0009】
上述のフィーダは、上述のように、クランプフィード部及び上記積層保持部をなすいずれの部材も、最下層被搬送物の搬送経路外に位置しており、最下層被搬送物の前端部をクランプして積層保持部から引き抜き、最下層被搬送物のうち前端部が搬送経路下流側となる姿勢のまま、最下層被搬送物を次段の機構に投入可能な形態に構成されてなる。かくして、クランプタイプのフィーダでありながら、最下層被搬送物(枚葉状被搬送物)を表裏反転させずに、クランパで挟んだ枚葉状被搬送物の前端部から、次段の機構(例えば搬送機構)に投入することができる。
【0010】
本件において、「枚葉状被搬送物」とは、コピー用紙、チラシ、はがき、各種カードなど一定の大きさに断裁された未印刷又は印刷済みの枚葉紙、印刷済みの枚葉紙を中綴じ、無線綴じなどによって綴じた冊子、未封入の封筒、封入封緘済の封筒、樹脂、金属、複合などからなる枚葉フィルムなど、厚みの薄い枚葉状で、一定の大きさを有し、厚み方向に屈曲可能で、個別に搬送される搬送対象物をいう。
また、「次段の機構」は、このフィーダの次に配置される機構であり、引き抜かれた最下層被搬送物(枚葉状被搬送物)を投入して、所定の処理を行う機構である。例えば、枚葉状被搬送物をさらに順次搬送する搬送機構や、枚葉状被搬送物に文字等を印字するプリンタ、枚葉状被搬送物に既に設けられた情報(例えば、宛名、氏名、シリアル番号などの情報が記載された文字、バーコード、二次元コード(QRコード:商標名)、ICチップなど)を読み取る読取装置などが挙げられる。
次段の機構が、次段の搬送機構である場合には、この搬送機構は、クランプフィード部が投入する最下層被搬送物であった枚葉状被搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構であれば良い。次段の搬送機構には、搬送する枚葉状被搬送物の材質や大きさ、クランプフィード部における上側クランパ、下側クランパの形態などに応じて、適宜の方式の搬送機構を採用し得る。例えば、フリクションベルトやフリクションローラを用いたフリクションフィード機構や、吸引具に設けた吸盤で吸着しつつ吸引具と共に搬送する機構などを例示できる。
【0011】
積層保持部において、厚み方向に積層して保持された被搬送物束をなす複数の枚葉状被搬送物のうち、最下層に位置する枚葉状被搬送物を「最下層被搬送物」とする。
被搬送物束をなす複数の枚葉状被搬送物のうち、「最下層被搬送物」の直上に位置する枚葉状被搬送物を、「第2被搬送物」とする。この第2被搬送物は、「最下層被搬送物」がクランプフィード部によって積層保持部から引き抜かれて除去された時点で、新たな「最下層被搬送物」となる。
【0012】
最下層被搬送物の前端部のうち、上側クランパと下側クランパとでクランプするクランプ箇所数は、1以上であれば良いが、複数箇所とするのが好ましい。また、クランプ箇所は、最下層被搬送物の大きさや形態等を考慮して、適宜の位置をクランプ箇所として選択すれば良い。
なお、クランプ箇所数を1箇所とする場合には、積層保持部からの引き抜きや次段の機構での搬送の最中に、最下層被搬送物が平面内で回転移動することを抑制するため、最下層被搬送物の前端部のうち、最下層被搬送物の搬送経路に直交する搬送経路幅方向の中央付近をクランプするのが好ましい。
一方、クランプ箇所数を複数とする場合には、同様に、積層保持部からの引き抜きや次段の機構での搬送の最中に、最下層被搬送物が平面内で回転移動することを抑制するため、最下層被搬送物の前端部のうち、最下層被搬送物の搬送経路幅方向の中央(中心線)に対して、対称となる位置付近をそれぞれクランプするのが好ましい。
【0013】
クランプフィード部において、上側クランパは1又は複数設けることができ、下側クランパも1又は複数設けることができる。上側クランパと下側クランパとが、対をなしている場合のほか、1つの上側クランパに対して複数の下側クランパが最下層被搬送物を介して当接するように構成する場合や、1つの下側クランパに対して複数の上側クランパが最下層被搬送物を介して当接するように構成する場合もあり得る。即ち、上側クランパ及び下側クランパには、最下層被搬送物に当接して最下層被搬送物をクランプするクランプ部を1箇所以上設けることができる。
【0014】
往復移動機構は、少なくとも、上側クランパ及び下側クランパを往復移動させるように構成すれば良いが、クランパ開閉部の一部又は全部をも併せて往復移動させるように構成することもできる。逆に、往復移動機構はクランパ開閉部を往復移動させず、クランパ開閉部は、往復移動機構でクランプ位置に位置させた上側クランパ及び下側クランパに作用して両者の間を閉じさせる(最下層被搬送物をクランプさせる)一方、解放位置に位置させた上側クランパ及び下側クランパに作用して両者の間を開かせる(最下層被搬送物を解放する)ように構成しても良い。
【0015】
往復移動機構で、上側クランパ及び下側クランパを、クランプ位置と解放位置との間に亘り往復移動させる往復経路としては、積層保持部や次段の機構との受け渡しの位置などを考慮して適宜の往復経路を設定すれば良いが、例えば、直線状に往復する直線往復経路、円弧状に往復する回動往復経路(90度回動往復経路、180度回動往復経路など)を採用することができる。
【0016】
「クランプ位置」は、往復移動機構で往復移動させる上側クランパ及び下側クランパに取らせ得る往復経路上の位置のうち、上側クランパと下側クランパの間を閉じさせて、最下層被搬送物をクランプさせる位置である。一方、「解放位置」は、上側クランパ及び下側クランパに取らせ得る往復経路上の位置のうち、上側クランパと下側クランパの間を開かせて、クランプしている最下層被搬送物を解放させる位置である。
【0017】
「クランプ位置」としては、例えば、上側クランパ及び下側クランパに取らせ得る往復経路上の位置のうち、最も積層保持部に近づいた往復経路の積層保持部側の端位置(上死点)を選択することができる。但し、クランプ位置は、往復経路上の一点に固定されるものではなく、クランパ開閉部によって、上側クランパ及び下側クランパの少なくともいずれかが、上側クランパと下側クランパとの間を閉じる動作をする往復経路上の範囲(例えば、往復経路のうち積層保持部側の端位置近傍の範囲)とすることもできる。即ち、往復移動機構によって、上側クランパ及び下側クランパが積層保持部に近づきクランプ位置の範囲内となった時点で、クランパ開閉部によって、上側クランパと下側クランパとの間を閉じる動作を開始し、上側クランパ及び下側クランパが積層保持部に最も近づいた時点以降に、上側クランパと下側クランパとの間を十分に閉じさせるなど、往復移動機構によって上側クランパ及び下側クランパを積層保持部に近づける移動と、クランパ開閉部による上側クランパ及び下側クランパの閉移動とを並行して行うようにしても良い。
【0018】
また、「解放位置」としては、例えば、上側クランパ及び下側クランパに取らせ得る往復経路上の位置のうち、最も次段の機構に近づいた往復経路の搬送機構側の端位置(下死点)を選択することができる。但し、解放位置も、往復経路上の一点に固定されるものではなく、クランパ開閉部によって、上側クランパ及び下側クランパの少なくともいずれかが、上側クランパと下側クランパとの間を開く動作をする往復経路上の範囲(例えば、往復経路のうち搬送機構側の端位置近傍の範囲)とすることもできる。即ち、往復移動機構によって、上側クランパ及び下側クランパが積層保持部に近づき解放位置の範囲内となった時点で、クランパ開閉部によって、上側クランパと下側クランパとの間を開く動作を開始し、上側クランパ及び下側クランパが次段の機構に最も近づいた時点以降に、上側クランパと下側クランパとの間を十分に開かせても良い。
【0019】
クランパ開閉部、上側クランパ及び下側クランパは、上側クランパ及び下側クランパの少なくともいずれかを移動させて、両者の間を閉じる或いは開く(最下層被搬送物をクランプする或いは解放する)ように構成すれば良い。即ち、クランパ開閉部で上側クランパは移動させず下側クランパのみ開閉移動可能に構成しても良いし、クランパ開閉部で下側クランパは移動させず上側クランパのみ開閉移動可能に構成しても良いし、クランパ開閉部で上側クランパ及び下側クランパの両者を開閉移動可能に構成しても良い。
【0020】
(2)さらに、(1)に記載のフィーダであって、前記上側クランパは、前記クランプ位置に位置したときに、上記被搬送物束下方領域内に含まれる上側領域差入部を含み、前記下側クランパは、前記クランプ位置に位置したときに、前記被搬送物束の下方に位置する上記被搬送物束下方領域内に含まれ、上記上側クランパの上記上側領域差入部との間で、前記最下層被搬送物をクランプする下側領域差入部を含み、前記積層保持部は、前記最下層被搬送物及びこの最下層被搬送物の直上に位置する前記枚葉状被搬送物である第2層被搬送物を含む前記被搬送物束を、各々の枚葉状被搬送物を平板状の形態として、下方から支持すると共に、抜き通路を構成する支持台であって、上記抜き通路は、当該抜き通路を通じて、上記最下層被搬送物の前記前端部を上記被搬送物束下方領域に垂れ下げ可能であり、かつ、上記最下層被搬送物を前記クランプフィード部で引き抜き可能な通路である支持台と、前記往復移動機構が、上記上側クランパ及び上記下側クランパを、上記クランプ位置に位置させるに先立ち、上記支持台に支持され平板状の形態とされた上記最下層被搬送物の、上記抜き通路を通じて上記被搬送物束下方領域に臨む前記前端部のうち、少なくとも、上記クランプ位置に位置した上記上側クランパの上記上側領域差入部及び上記下側クランパの上記下側領域差入部の間に位置し、これらにクランプされる前端被クランプ部を、上記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ上記第2層被搬送物の前端部と離間させる前端部離間部と、を有するフィーダとすると良い。
【0021】
このフィーダでは、支持台が抜き通路を有しているほか、前端部離間部は、往復移動機構が上側クランパ及び下側クランパをクランプ位置に位置させるに先立ち、最下層被搬送物の前端部のうち、少なくとも前端被クランプ部を、抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ第2層被搬送物の前端部と離間させる。このため、クランプ位置に位置させた上側クランパの上側領域差入部を、互いに離間した第2層被搬送物の前端部と最下層被搬送物の前端部の前端被クランプ部との間に、容易に位置させることができ、最下層被搬送物の前端被クランプ部を、上側クランパの上側領域差入部と下側クランパの下側領域差入部との間で容易にクランプすることができる。
【0022】
なお、積層保持部の支持台は、最下層被搬送物及び第2層被搬送物を含む被搬送物束を、各々の枚葉状被搬送物を平板状の形態として下方から支持する。従って、前端部離間部によって、最下層被搬送物の前端被クランプ部が垂れ下がり形態とされて、第2層被搬送物の前端部と離間させられる時点よりも前は、(前端部も含めて)最下層被搬送物も平板状の形態とされている。
一方、前端部離間部は、最下層被搬送物の前端部のうち、少なくとも前端被クランプ部を垂れ下がり形態とする。従って、前端部離間部によって、最下層被搬送物の前端部全体が、抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態とされる場合のほか、最下層被搬送物の前端部のうち、前端被クランプ部を含む一部は垂れ下がり形態とされるが、他の一部は垂れ下がり形態とされない場合も含む。例えば、枚葉状被搬送物として、複数用紙を綴じた幅広の冊子を用いる場合において、この最下層の冊子の前端部のうち、搬送経路に直交する搬送経路幅方向の中央付近を前端被クランプ部とし、前端部離間部で、この前端被クランプ部を垂れ下がり形態としても、最下層の冊子の前端部は、全体がU字状に変形し、搬送経路幅方向の両側端部は垂れ下がらない場合が生じ得る。
【0023】
(3)更に(2)に記載のフィーダであって、前記上側クランパは、前記クランプ位置に位置したときに、前記上側領域差入部の当接上面で、前記被搬送物束のうち、前記最下層被搬送物よりも上方の上記枚葉状被搬送物がなす上側被搬送物束を上方に持ち上げる形態とされてなるフィーダとすると良い。
【0024】
最下層被搬送物を引抜くにあたっては、引き抜かれる最下層被搬送物と支持台及び最下層被搬送物と第2層被搬送物とのそれぞれ間に最大静止摩擦力が生じる引抜き開始時に、最も大きな引抜力が必要となる。引き抜き中に最下層被搬送物と支持台及び第2層被搬送物との間に生じるのは動摩擦力であり、最大静止摩擦力よりも小さくなるからである。
これに対し、このフィーダでは、上側クランパの形態を、この上側クランパをクランプ位置に位置させたとき、上側クランパの上側領域差入部の当接上面で上側被搬送物束を上方に持ち上げる形態としている。このため、上側クランパに、上側被搬送物束の重量の一部を負担させることができ、この負担分だけ、支持台に掛かる被搬送物束の重量による荷重を低減することができる。この状態で、フィーダを作動させ、クランプした最下層被搬送物を往復移動機構によって被搬送物束から引き抜くことで、少なくとも最下層被搬送物の引き抜き開始時に生じる最大静止摩擦力を低減し、最下層被搬送物の引き抜きを容易とし、引抜きを安定して行うことができる。
【0025】
なお、「上側被搬送物束」とは、上述のように、複数の枚葉状被搬送物を厚み方向に積層した被搬送物束のうち、最下層被搬送物よりも上方の枚葉状被搬送物がなす束をいう。
また、上側クランパをクランプ位置とした際の、上側クランパの当接上面の位置、即ち、上側被搬送物束(第2層被搬送物)のうち当接上面が当接する位置は、適宜選択することができる。但し、当接位置を、上側被搬送物束(第2層被搬送物)の拡がり方向の重心に近い位置にするほど、当接上面を通じて上側クランパが負担する上側被搬送物束の重量の割合を大きくすることができる。
さらに、上側クランパの上側領域差入部の当接上面の形態としては、上側被搬送物束(第2層被搬送物)との当接を考慮して、平坦としたり、半球状、半円柱状とするなど適宜の形状を選択できる。
【0026】
(4)更に(3)に記載のフィーダであって、前記クランプフィード部は、前記往復移動機構によって、前記上側クランパを前記クランプ位置に移動させて、上記上側クランパの前記上側領域差入部の前記当接上面で、前記上側被搬送物束を上方に突き上げた第1タイミングの後で、かつ、前記被搬送物束によって、前記支持台に掛かる荷重が、上記第1タイミングよりも以前に掛かっていた第1荷重以上となる第2タイミングよりも前に、前記往復移動機構によって、上記上側クランパ及び前記下側クランパでクランプした上記最下層被搬送物の引き抜きを開始する構成とされた上記往復移動機構及び前記クランパ開閉部を有するフィーダとすると良い。
【0027】
このフィーダでは、第1タイミングに、上側クランパの上側領域差入部の当接上面で、上側被搬送物束を上方に突き上げる。この突き上げの衝撃によって上側被搬送物束が上方にはね上がるため、一時的にではあるが、上側被搬送物束によって上側クランパの当接上面に掛かる荷重や、被搬送物束によって支持台に掛かる荷重が減少する。或いは、一時的に荷重が殆ど掛からなくなる場合もある。なお、その後の上側被搬送物束の落下により、第2タイミング以降に、上側クランパの当接上面や支持台に掛かる荷重が、第1タイミング以前に掛かっていた第1荷重よりも一時的に増加し、その後、第1荷重に概ね等しい大きさに戻る。
【0028】
そこで、このフィーダでは、第1タイミングよりも後で、第2タイミングよりも前に、最下層被搬送物の引き抜きを開始する。これにより、最下層被搬送物の引き抜きのうち、最も大きな引抜力が必要となる引抜き開始時に、引き抜かれる最下層被搬送物と支持台及び第2層被搬送物との間に生じる最大静止摩擦力の大きさを、上側クランパによる突き上げを行わない場合や第2タイミングよりも後に掛かる荷重で生じる最大静止摩擦力よりも低減させることができる。かくして、最下層被搬送物の引き抜きがさらに容易になり、引抜きをさらに安定して行うことができる。
【0029】
「第1荷重」とは、支持台に掛かる荷重のうち、第1タイミングよりも以前に掛かっていた荷重であり、被搬送物束の重量によって掛かる荷重をいう。
【0030】
(5)さらに(3)又は(4)に記載のフィーダであって、前記積層保持部は、前記前端部離間部によって、前記最下層被搬送物の前記前端被クランプ部を、前記抜き通路を通じた垂れ下がり形態とする前には、上記最下層被搬送物の前端縁のうち被係合縁部に離脱可能に係合し、上記最下層被搬送物が平板状の形態を保つのを補助し、上記前端部離間部によって、上記最下層被搬送物の上記前端被クランプ部を、上記抜き通路を通じた垂れ下がり形態とした後には、前記第2層被搬送物の前端縁のうち被係合縁部に離脱可能に係合し、上記第2層被搬送物が平板状の形態を保つのを補助する前端縁係合部をさらに有し、前記前端部離間部は、前記支持台に支持され平板状の形態とされた上記最下層被搬送物の前記前端部のうち、上記被係合縁部の近傍で、上記前端縁係合部によって上下方向の位置が制限された被係合近傍部を吸引して保持する、吸引保持部を含み、上記吸引保持部で保持された上記被係合近傍部を、前記前端被クランプ部と共に、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ上記第2層被搬送物の前記前端部と離間させるフィーダとすると良い。
【0031】
前端部離間部に吸引保持部を含め、この吸引保持部で最下層被搬送物の前端部の一部を吸引して保持しようとする場合に、吸引される前端部の一部の上下方向の位置が変動すると、当該前端部の一部を適切に吸引できず被搬送物束からの最下層被搬送物の前端部の分離に失敗したり、複数の枚葉状被搬送物(最下層被搬送物と第2層被搬送物の両方など)を一緒に、被搬送物束から分離したりする不具合を生じることがある。
そこで、積層保持部に、最下層被搬送物及び第2層被搬送物を平板状の形態に保つのを補助する前端縁係合部を設けることがあるが、その場合でも、枚葉状被搬送物の厚さやコシなどによっては、前述の不具合を生じる場合がある。前端縁係合部に係合する最下層被搬送物の前端縁の被係合縁部の微妙な係合位置の位置ズレが次第に累積するなどによって、吸引保持部で吸引される最下層被搬送物の前端部の一部に、上下方向の大きな位置変動が生じ得るからである。
【0032】
これに対し、このフィーダでは、積層保持部に、上述の前端縁係合部を有するので、最下層被搬送物をクランプする毎に、上側クランパによる第2層被搬送物を含む上側被搬送物束の持ち上げ或いは突き上げを行うことで、持ち上げ後の位置低下の際或いは突き上げ後の落下の際に、第2層被搬送物の前端縁の被係合縁部が、前端縁係合部に改めて新たに離脱可能に係合し、位置ズレの累積が生じ得ない。そして、最下層被搬送物が引き抜かれ、第2層被搬送物が新たな最下層被搬送物となった時点で、この新たな最下層被搬送物の前端縁のうち被係合縁部は、前端縁係合部に離脱可能に新たに係合したものとなっている。
このため、この新たな最下層被搬送物の前端部のうち、被係合縁部の近傍の被係合近傍部も、前端縁係合部によって上下方向の位置がほぼ同じ位置に揃えられるので、吸引保持部で、この新たな最下層被搬送物の被係合近傍部を確実に吸引して保持することができる。即ち、吸引保持部による吸引で、最下層被搬送物の被係合近傍部に吸引保持に失敗したり、最下層被搬送物と共に第2層搬送物をも吸引保持する不具合の発生を、より確実に抑制できる。
【0033】
(6)また、(2)~(5)のいずれか1項に記載のフィーダであって、前記最下層被搬送物の前記前端部のうち、前記前端被クランプ部は、前記前端部離間部によって、前記第2層被搬送物の前記前端部と離間し、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態とされる一方、前記前端被クランプ部以外の部位には、垂れ下がり形態とされていない非垂下形態部を含む場合に、前記上側クランパの前記上側領域差入部は、上記上側クランパを前記クランプ位置に位置させたときに、上記非垂下形態部に当接し、上記最下層被搬送物の上記前端部の全体を、上記第2層被搬送物の上記前端部から離間させて、前記抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態にさせる形態を有するフィーダとすると良い。
【0034】
枚葉状被搬送物(最下層被搬送物)が、薄い冊子である場合など、枚葉状被搬送物(最下層被搬送物)の材質や形態によっては、クランプに先立ち、前端部離間部によって、前端被クランプ部を、第2層被搬送物の前端部と離間させ、抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態とした場合でも、最下層被搬送物の前端部のうち、前端被クランプ部以外の部位の中に、垂れ下がり形態とされていない非垂下形態部を含む場合がある。例えば、最下層被搬送物の前端部のうち、最下層被搬送物の搬送経路に直交する搬送幅方向の中央付近を前端被クランプ部とした場合に、最下層被搬送物の前端部全体が垂れ下がり形態とならず、最下層被搬送物の前端部がU字状に変形して、前端被クランプ部及びその近傍は垂れ下がり形態となるが、最下層被搬送物の前端部のうち搬送幅方向の両端部及びこの近傍の部位が垂れ下がらない非垂下形態部となる場合がある。
【0035】
このように、最下層被搬送物の前端部が変形したまま、上側クランパ及び下側クランパで前端被クランプ部をクランプして、最下層被搬送物を引き抜くと、非垂下形態部(上述の例では、最下層被搬送物の前端部のうち搬送幅方向の両端部やその近傍の部位)が、他の部材に当たるなどの不具合を生じる場合があり好ましくない。
【0036】
これに対し、このフィーダでは、上側クランパの前記上側領域差入部の形態を、上側クランパをクランプ位置に位置させたときに、非垂下形態部に当接し、最下層被搬送物の前端部の全体を、第2層被搬送物の前端部から離間させて、抜き通路を通じて垂れ下がる垂れ下がり形態にさせる形態としている。このため上述のように、最下層被搬送物の前端部の非垂下形態部が他の部材に当たるなどの不具合発生を防止し、更に円滑に最下層被搬送物(枚葉状被搬送物)を次段の機構に投入することができる。
【0037】
上側クランパの上側領域差入部の形態としては、このフィーダで搬送する最下層被搬送物(枚葉状被搬送物)に応じて、上側クランパをクランプ位置に位置させたときに、最下層被搬送物の前端部の非垂下形態部に当接する適宜の形態とすれば良いが、例えば、上側クランパの上側領域差入部を幅広形態とするなど、上側領域差入部に非垂下形態部に当接させる部位を設けた形態とすると良い。
【0038】
(7)さらに(1)から(6)のいずれか1項に記載のフィーダであって、前記クランパ開閉部は、前記上側クランパ及び前記下側クランパのうち上記下側クランパのみ移動させて、前記最下層被搬送物のクランプ及び解放を行なわせるフィーダとすると良い。
【0039】
このフィーダでは、最下層被搬送物のクランプ及び解放を行うのに、下側クランパのみ移動させる。クランプに当たり、上側クランパ及び下側クランパの両者を移動させて最下層被搬送物の前端部のクランプする場合に比して、上側クランパ及び下側クランパのいずれか一方を移動させず固定した場合には、最下層被搬送物の前端部のクランプ位置が安定し易いメリットが得られる。
加えて、クランプの際に上側クランパを移動させず固定する場合には、最下層被搬送物の前端部をクランプするに先立ち、上側クランパを最下層被搬送物の前端部と第2層被搬送物の前端部との間に位置させるにあたり、この位置に安定して配置し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施形態に係るフィーダ及び次段のフリクションフィード機構の概略構造を示す説明図である。
図2】実施形態に係るフィーダ及び次段のフリクションフィード機構の要部を示した斜視説明図である。
図3】実施形態に係るフィーダの一連の動作を示す説明図であり、(a)は最下層用紙の前端部に吸引垂下部の吸引保持部を近づける様子を示し、(b)は最下層用紙の前端部に吸引垂下部の吸引保持部を当接させ吸着させる様子を示し、(c)は吸引垂下部の吸引保持部に吸着させた最下層用紙の前端部を下方に移動させて垂れ下がり形態とした様子を示す。
図4図3に続いて、実施形態に係るフィーダの一連動作を示す説明図であり、(d)は垂れ下がり形態とした最下層用紙の前端部の上下に上側クランパ及び下側クランパを位置させるクランプ位置の様子を示し、(e)は最下層用紙の前端部を上側クランパ及び下側クランパでクランプした様子を示す。
図5図4に続いて、実施形態に係るフィーダの一連動作を示す説明図であり、(f)は積層保持部から引き抜いた最下層用紙の前端部を次段のフリクションフィード機構に向けて搬送する様子を示し、(g)は最下層用紙を次段のフリクションフィード機構に投入した様子を示す。
図6】実施形態に係り、被搬送物束を収容した積層保持部において、最下層用紙の前端部を、吸引垂下部の吸引保持部に吸着させ、下方に移動させて垂れ下がり形態とする様子を示す説明図である。
図7】実施形態に係り、被搬送物束を収容した積層保持部において、吸引垂下部の吸引保持部に吸着させた最下層用紙の前端部を下方に移動させて垂れ下がり形態とした状態を示す説明図である。
図8】実施形態に係り、垂れ下がり形態とした最下層用紙の前端部の前端被クランプ部を、上側クランパの先端部と下側クランパでクランプする様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1図2図6図7に本実施形態に係るフィーダ100及び次段の機構(次段の搬送機構)であるフリクションフィード機構200の概略構成を示す。本実施形態のフィーダ100は、複数の用紙SP(本実施形態では、例えば、A4の大きさのコピー用紙を例示する)をその厚み方向TSPに積層した用紙束SPSを保持する積層保持部10と、積層保持部10に保持された複数の用紙SPのうちの最下層用紙LSPをクランプし、積層保持部10から引き抜いて、次段のフリクションフィード機構200に1枚ずつ投入するクランプフィード部20とを備える。
【0042】
なお、上述のように積層保持部10に保持された用紙束SPSをなす複数の用紙SPのうち、最下層に位置する用紙SPを最下層用紙LSP(図1等において、太線又は太い二点鎖線で示す)とする。また、この最下層用紙LSPの直上に位置する用紙SPを第2層用紙SSP(図1等において、太線一点鎖線で示す)とする。この第2層用紙SSPは、最下層用紙LSPが積層保持部10から引き抜かれることにより、新たな最下層用紙LSPとなる。さらに、用紙束SPSのうち、最下層用紙SPよりも上方GUWの用紙SPがなす用紙束を上側用紙束SPSuとする。
【0043】
また、積層保持部10から引き抜かれフリクションフィード機構200に投入されるまでに、最下層用紙LSPが通る帯状の搬送経路を搬送経路CPとし、この搬送経路CPに沿う下流側(引抜方向,進行方向)を搬送経路下流側CPD、上流側(反引抜方向,反進行方向)を搬送経路上流側CPUとし、帯状の搬送経路CPの幅に沿う方向を搬送経路幅方向CPWとし、搬送経路CPの幅の外側に向かう方向を搬送経路幅外方向CPWOとする(図2図7参照。図8も参照)。
【0044】
さらに、最下層用紙LSPのうち、搬送経路下流側CPDに位置し、搬送経路幅方向CPWに延びる端縁を前端縁LSPMとし、この前端縁LSPMを含みこの前端縁LSPMに沿って搬送経路幅方向CPWに延びる帯状の部位を前端部LSPFとする。後述するように、クランプフィード部20は、最下層用紙LSPのうち、この前端部LSPF内の前端被クランプ部LSPFLをクランプして、積層保持部10に保持する用紙束SPSから最下層用紙LSPを引き抜く。さらに、帯状の前端部LSPFのうち、搬送経路幅外方向CPWOに位置する両端部を、それぞれ前端外側端部LSPFE1,LSPFE2とする(図7参照)。
【0045】
また、第2層用紙SSPのうち、新たに最下層用紙LSPとなった場合に、上述の前端縁LSPMとなる端縁を第2層用紙の前端縁SSPMとし、上述の前端部LSPFとなる部位を第2層用紙の前端部SSPFとする。
従って、後述するように、吸引垂下部15によって最下層用紙LSPの前端部LSPFの前端被クランプ部LSPFLが引き下げられて垂れ下がり形態とされるまでは、用紙束SPSをなす最下層用紙LSPの前端縁LSPMの直上に、第2層用紙SSPの前端縁SSPMが位置しており、最下層用紙LSPの前端部LSPFの直上に、第2層用紙SSPの前端部SSPFが重なっている(図1図6参照)。
【0046】
また、用紙束SPSのうち、最下層用紙LSPの搬送の進行により、最下層用紙LSPの前端縁LSPM及び第2層用紙の前端縁SSPMとなる各用紙SPの端縁が重なってなす端面(図1図6において左を向く端面)を前側端面SPSMとする。さらに、積層保持部10に保持された用紙束SPSの下方DWに位置する領域(図1図4(d),図6において上下方向に延びる二本の一点鎖線で挟む領域)を、用紙束下方領域DRSPSとする。
【0047】
積層保持部10は、用紙束SPSをなす各々の用紙SPを平板状の形態として、支持上面11Uによって下方DWから支持すると共に、抜き通路10Kを構成する支持台11と、用紙束SPSの前側端面SPSMに整列面12Rを当接させて整列させる一対二枚の前側整列板12と、この前側整列板12の下端付近に設けられた針部保持孔12Hにそれぞれ螺入された一対の前側尖り部材13と、最下層用紙LSPの前端部LSPFを垂れ下がり形態とする吸引垂下部15とを有している。
【0048】
支持台11が構成する抜き通路10Kは、この抜き通路10Kを通じて、最下層用紙LSPの前端部LSPF(図1図6図7等において太い二点鎖線で示す)を用紙物束下方領域DRSPSに垂れ下げ可能であり、かつ、後述するようにして、支持台11に支持されている最下層用紙LSPをクランプフィード部20で引き抜き可能な通路である。
【0049】
一対の前側尖り部材13は、その先端部分に、略円錐状に尖った形態とされた尖り先端部13Sを有しており、前側整列板12の整列面12Rから僅かに飛び出るように調整されている。また、この尖り先端部13Sの上下方向GUDの位置は、支持台11の支持上面11Uと概ね同じにされている。これにより、図1図6図7に示すように、支持台11上に載置された用紙束SPSのうち、最下層用紙LSP(図1図6図7等において太線で示す)の前端縁LSPMの被係合縁部LSPME(2箇所)は、それぞれ尖り先端部13Sに係合して、その上下方向GUDの位置を、支持台11の支持上面11Uとほぼ同じとすることができ、最下層用紙LSPが平板状の形態を保つことに役立っている。
即ち、この尖り先端部13Sは、後述する吸引垂下部15によって、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じた垂れ下がり形態とする前には、最下層用紙LSPの前端縁LSPMのうち被係合縁部LSPMEに離脱可能に係合し、最下層用紙LSP及びその上層の第2層用紙SSP等の各用紙SPが平板状の形態を保つのを補助している。
なお、最下層用紙LSPが平板状の形態を保っている場合、この最下層用紙LSPの前端部LSPFは、支持台11が為す抜き通路10Kを通じて用紙束下方領域DRSPSに臨んでいると言うことができる。
【0050】
加えて、一対の尖り先端部13Sは、後述する吸引垂下部15によって、最下層用紙LSPの被係合縁部LSPMEを離脱させ(係合を解いて)、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLを抜き通路10Kを通じた垂れ下がり形態とした後には、上層の第2層用紙SPSの前端縁SSPMのうち被係合縁部SSPME(2箇所)にそれぞれ離脱可能に係合し、第2層用紙SSP及びその上層の各用紙SPが平板状の形態を保つのを補助する。
【0051】
一方、吸引垂下部15は、詳細は図示しないが、公知のカム等により動作パターンを制御された機構であり、後述するクランプフィード部20の往復移動機構26が、上側クランパ21及び下側クランパ22を、クランプ位置BWCに位置させるに先立ち、支持台11に支持され平板状の形態とされた最下層用紙LSPの、抜き通路10Kを通じて用紙束下方領域DRSPSに臨む前端部LSPFを、より詳細には、この前端部LSPFのうち少なくとも前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ第2層用紙SSPの前端部SSPFと離間させるように構成された機構である。
【0052】
この吸引垂下部15は、図1図6に二点鎖線で囲んで示し詳細は図示しないが、公知のカム等により動作パターンを制御され、一対の台座部16Dを円弧状の両矢印で示すように弧状に往復回動させる保持回動部16と、各々の台座部16Dに固定された長手方向に伸縮可能とされた一対の伸縮筒部19及びこの伸縮筒部19の先端部分に設けられた一対の吸盤部18とからなる一対の吸引保持部17とを有する。なお、一対の吸盤部18は、伸縮筒部19を通じて、図示しない吸気管にそれぞれ接続している。このため、図1図6において細線で示すように、保持回動部16により台座部16Dを時計回りに回動させて、最下層用紙LSPの前端部LSPFのうち、一対の前端被クランプ部LSPFLに隣り合う一対の被係合近傍部LSPFNに吸盤部18をそれぞれ当接させ吸気することにより、各々の被係合近傍部LSPFNを吸盤部18に吸着させることができる(図7も参照)。
【0053】
なお、一対の被係合近傍部LSPFNは、いずれも、最下層用紙LSPの前端部LSPFのうち、尖り先端部13Sに係合している被係合縁部LSPMEを含む被係合縁部LSPMEの近傍の部位である。
この被係合近傍部LSPFNを吸盤部18に吸着させる理由は、被係合近傍部LSPFNの上下方向GUDの位置は、被係合縁部LSPMEが係合している尖り先端部13Sの上下方向GUDの位置に概ね揃えることができ、上下方向GUDの位置変動を抑制できる。このため、吸盤部18によって被係合近傍部LSPFNを吸着できない場合や、最下層用紙LSPの前端部LSPのみならず、第2層用紙SSPの前端部SSPFまでも吸着してしまう不具合を抑制できるからである。
【0054】
その後、被係合近傍部LSPFNを吸盤部18に吸着させた状態を維持しつつ、保持回動部16により台座部16Dを反時計回りに回動させることで、図1図6図7図8において太い二点鎖線で示すように、最下層用紙LSPの前端部LSPF、特に、前端部LSPFのうち、吸盤部18で吸着している被係合近傍部LSPFN及びこれに隣り合う前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ第2層用紙SSPの前端部SSPFと離間させることができる。
【0055】
次いで、クランプフィード部20について説明する(図1図2図7図8参照)。このクランプフィード部20は、中心線CLを中央として搬送経路幅方向CPWに対称形状及び配置とされ、最下層用紙LSPの上面LSPUに当接する2つの上側クランパ21と、同様に搬送経路幅方向CPWに対称形状及び配置とされ、最下層用紙LSPの下面LSPDに当接して、上側クランパ21との間に最下層用紙LSPを挟んで保持する2つの下側クランパ22と、二対の上側クランパ21及び下側クランパ22を同期して往復移動させる往復移動機構26と、この往復移動機構26と同期し作動し、対をなす上側クランパ21と下側クランパ22との間をそれぞれ開閉させて、最下層用紙LSPをクランプまたは解放させるクランパ開閉部27と、を有している。
【0056】
本実施形態の往復移動機構26は、詳細を図示しないが、図1において破線で示し、斜め(図1において左下から右上に延びる斜め)に設置した公知のリニアスライダ26を含み、このリニアスライダ26Lに沿って、上側クランパ21及び下側クランパ22を、クランプ位置BWCと解放位置BWRとの間の往復経路BWに亘って、往復直線移動させる往復直線移動機構である。クランプ位置BWCは、上側クランパ21及び下側クランパ22が往復移動する往復経路BWのうち、上側クランパ21及び下側クランパ22で最下層用紙LSPをクランプする位置であり、例えば、図1において、ハッチングを付して3箇所に示す上側クランパ21及び下側クランパ22のうち、最も右上に位置する位置(往復直線移動の上死点、図2において二点鎖線で示す位置)である。一方、解放位置BWRは、往復経路BWのうち、上側クランパ21及び下側クランパ22でクランプしていた最下層用紙LSPを解放する位置であり、例えば、図1において、ハッチングを付して3箇所に示す上側クランパ21及び下側クランパ22のうち、最も左下に位置する位置(往復直線移動の下死点、図2において一点鎖線で示す位置)である。
【0057】
一方、クランパ開閉部27は、本実施形態では、上側クランパ21及び下側クランパ22のうち下側クランパ22のみを開閉移動させて、最下層用紙LSPをクランプまたは解放させる。図1において破線で示すクランパ開閉部27も、詳細を図示しないが、カムやリンク機構を用いて、往復移動機構26の移動に同期して、下側クランパ22のみを開閉移動させる。具体的には、上側クランパ21及び下側クランパ22がクランプ位置BWCに位置するタイミングで、上側クランパ21と下側クランパ22との間を閉じさせて(下側クランパ22を上側クランパ21に向けて閉移動させて)、最下層用紙LSPをクランプさせる(図4(d),(e)参照)。一方、上側クランパ21及び下側クランパ22が解放位置BWRに位置するタイミングで、上側クランパ21と上記下側クランパ22との間を開かせて(下側クランパ22を上側クランパ21から離間させる開移動させて)、クランプしている最下層用紙LSPを解放させる(図5(g)参照)。
【0058】
なお本実施形態では、上側クランパ21は、上述のクランプ位置BWCに位置したときに、前述の用紙束下方領域DRSPS(図1図6において二本の一点鎖線で挟む用紙束SPSの下方DWに位置する領域)内に含まれる先端部(上側領域差入部)21Sを含んでいる。また、下側クランパ22は、同様にクランプ位置BWCに位置したときに、用紙束下方領域DRSPS内に含まれ、上側クランパ21の先端部21Sとの間で、最下層用紙LSPをクランプする下側領域差入部を含んでいる。但し、図1図6に示すように、本実施形態では、下側クランパ22全体が下側領域差入部に相当している。
【0059】
次いで、本実施形態のフィーダ100によって、最下層用紙LSP(用紙SP)を1枚ずつ投入する、次段の機構であるフリクションフィード機構200について説明する(図1図2参照)。本実施形態で例示するフリクションフィード機構200は、搬送経路幅方向CPWの中央に配置されており、下方搬送部210と、この下方搬送部210の上方GUWに配置された上方搬送部220とを有している。そのうち下方搬送部210は、搬送経路下流側CPD(図1において左下側)に位置し、図1において反時計回りに回転する下側ベルト駆動ローラ213と、これよりも搬送経路上流側CPU(図1において右上側)に位置する下側ベルト従動ローラ212と、これらの間に架け渡された下側ベルト211とからなる。また、上方搬送部220は、搬送経路下流側CPDに位置し、図1において時計回りに回転する上側ベルト駆動ローラ223と、これよりも搬送経路上流側CPUに位置する上側ベルト従動ローラ222と、これらの間に架け渡された上側ベルト221とからなる。下側ベルト211と上側ベルト221のうち、両者が対向して搬送経路下流側CPDに進行する搬送部201では、互いに当接しつつ、等速で搬送方向下流側CPDに並行して移動するように、下側ベルト駆動ローラ213及び上側ベルト駆動ローラ223の回転速度が調整されている。
【0060】
このため、フリクションフィード機構200では、下側ベルト211と上側ベルト221が対向する搬送部201において、下側ベルト211と上側ベルト221との間に、最下層用紙LSP(用紙SP)を挿入すると、下側ベルト211及び上側ベルト221との間に生じる摩擦力により、最下層用紙LSP(用紙SP)が保持され、下側ベルト211及び上側ベルト221と共に、搬送経路下流側CPDに搬送される。
【0061】
そして以上の説明から容易に理解できるように、本実施形態のフィーダ100のクランプフィード部20及び積層保持部10は、これらクランプフィード部20及び積層保持部10をなすいずれの部材も、最下層用紙LSPが搬送される帯状の搬送経路CP外に位置しており、最下層用紙LSPの搬送を妨げない。このため、最下層用紙LSPを表裏反転させ、最下層用紙LSPのうちクランパ21,22で挟まれていない後端部LSPBからフリクションフィード機構200に投入する必要がない。かくして、フィーダ100(クランプフィード部20及び積層保持部10)は、最下層用紙LSPのうち搬送経路下流側CPDに位置する前端部LSPF(そのうちの前端被クランプ部LSPFL)を上側クランパ21及び下側クランパ22でクランプして、最下層用紙LSPを積層保持部10から引き抜き、最下層用紙LSPのうち前端部LSPFが搬送経路下流側CPDとなる姿勢のまま、最下層用紙LSPを次段のフリクションフィード機構200に投入可能な形態に構成されている。
【0062】
続いて、以上の説明を基に、本実施形態のフィーダ100及びフリクションフィード機構200による最下層用紙LSP(用紙SP)の搬送の手順について、図1図2図6図7のほか、図3図5を参照して説明する。
図3(a)に示すように、先ず、吸引垂下部15のうち保持回動部16で、その台座部16Dを時計回りに回動させて、吸引保持部17の吸盤部18を、平板状の形態を保っている最下層用紙LSPの前縁部LSPFの被係合近傍部LSPFNに向けて近づける。なお、この時点では、往復移動機構26(図1図6参照、図3図5では図示しない)により、上側クランパ21及び下側クランパ22は、積層保持部10から離れた位置(例えば、解放位置BWR)に位置している。
【0063】
図3(b)に示すように、吸引保持部17の吸盤部18を最下層用紙LSPの被係合近傍部LSPFNに当接させたら、図示しない吸気管を通じて被係合近傍部LSPFNを吸引し、吸盤部18を吸着させる。なお、この時点では、上側クランパ21及び下側クランパ22は、往復移動機構26により、積層保持部10に向けて移動している。
【0064】
次いで、図3(c)に示すように、吸引垂下部15の保持回動部16で、その台座部16Dを反時計回りに回動させて、吸引保持部17の吸盤部18を回動させると共に、最下層用紙LSPの前端部LSPFのうち、この吸盤部18に吸着されている被係合近傍部LSPFNを下向きに曲げて、この被係合近傍部LSPFN及びこれに隣り合う前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ第2層用紙SSPの前端部SSPFと離間させる(図7も参照)。前述したように、最下層用紙SPの前端縁LSPMの被係合縁部LSPMEは、尖り先端部13Sに係合して、その上下方向GUDの位置を、支持台11の支持上面11Uとほぼ同じとしているが、最下層用紙LSPの被係合近傍部LSPFNが吸盤部18によって下方GDWに引っ張られることにより、尖り先端部13Sとの係合は容易に解除される。なおこの時点では、上側クランパ21及び下側クランパ22は、積層保持部10に更に近づいている。
【0065】
次いで、図4(d)に示すように、上側クランパ21の先端部21S及び下側クランパ22を、積層保持部10に支持された用紙束SPSの下方GDWの用紙束下方領域DRSPS内に進入させる。この際、上述のように、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLは既に、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態とされているので、上側クランパ21の先端部21Sは、最下層用紙LSPに干渉(衝突)すること無く、この最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLよりも上側(図4(d)において左上側)に位置させることができる。また、下側クランパ22(その全体)は、最下層用紙LSPに干渉(衝突)すること無く、この最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLよりも下側(図4(d)において右下側)に位置させることができる。なお、図4(d)に示す上側クランパ21及び下側クランパ22の位置は、往復移動機構26による往復経路BWにおけるクランプ位置BWC(上死点)である。また、図示しないが、吸引保持部17の吸盤部18を通じた吸気を停止し、この吸盤部18による最下層用紙LSPの被係合近傍部LSPFNの吸引を解除する。
【0066】
続いて、図4(e)に示すように、クランプ位置BWCにおいて、クランパ開閉部27により、上側クランパ21及び下側クランパ22で最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLをクランプする。具体的には、クランパ開閉部27によって、下側クランパ22を閉移動(図4(e)において左上に移動)させ、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLを介して上側クランパ21の先端部21Sに圧接させる。即ち、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLにおいて、上側クランパ21の先端部21Sを最下層用紙LSPの上面LSPUに当接させ、下側クランパ22を最下層用紙LSPの下面LSPDに当接させて、クランパ21,22で前端被クランプ部LSPFLをクランプする。なお、前述したように、この図4(e)に示す時点では、この吸盤部18による最下層用紙LSPの被係合近傍部LSPFNの吸引は行っていないので、被係合近傍部LSPFNは吸盤部18から容易に離間する。
【0067】
続いて、図5(f)に示すように、上述のクランプを維持したまま、往復移動機構26により、上側クランパ21及び下側クランパ22を搬送経路CPに沿って搬送経路上流側CPD(図5(f)において左下側)に移動させる。これにより、前端被クランプ部LSPFLをクランプされた最下層用紙LSPは、積層保持部10から引き抜かれ、最下層用紙LSPのうち前端部LSPFが搬送経路下流側CPDとなる姿勢のまま、搬送経路CPに沿って、最下層用紙LSPを搬送経路下流側CPDに向けて搬送する。
【0068】
その後、図5(g)に示すように、往復移動機構26により、上側クランパ21及び下側クランパ22の位置を、往復経路BWにおける解放位置BWR(下死点)まで移動させる。そして、この解除位置BWRにおいて、クランパ開閉部27(図5(g)では図示しない)により、上側クランパ21及び下側クランパ22による最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLのクランプを解除する。具体的には、クランパ開閉部27によって、下側クランパ22を開移動(図5(g)において破線で示すように右下に移動)させて、上側クランパ21の先端部21Sから離間させる。
【0069】
この図5(g)に示す状態では、搬送された最下層用紙LSPは、前端部LSPFが搬送経路下流側CPDとなる姿勢のまま、下側ベルト211と上側ベルト221とが対向する搬送部201に投入されており、投入された最下層用紙LSP(用紙SP)は、フリクションフィード機構200の搬送部201によって、引き続き搬送方向下流側CPDに搬送される。
【0070】
以上で説明したように、本実施形態のフィーダ100は、クランプフィード部20及び積層保持部10をなすいずれの部材も、最下層用紙LSPの搬送経路CP外に位置しており、最下層用紙LSPの前端部LSPFをクランプして積層保持部10から引き抜き、最下層用紙LSPのうち前端部LSPFが搬送経路下流側CPDとなる姿勢のまま、最下層被用紙LSP(用紙SP)を次段のフリクションフィード機構200に投入可能な形態に構成されている。かくして、本実施形態のフィーダ100は、クランプタイプのフィーダでありながら、最下層用紙LSP(用紙SP))を表裏反転させずに、クランパ21,22で挟んだ用紙SPの前端部LSPFから、フリクションフィード機構200に投入することができる。
【0071】
また本実施形態のフィーダ100では、支持台11が抜き通路10Kを有しているほか、吸引垂下部15は、往復移動機構26が上側クランパ21及び下側クランパ22をクランプ位置BWCに位置させるタイミング(図4(d)参照)に先立ち、最下層用紙LSPの前端部LSPFのうち、少なくとも前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態として、平板状の形態を保つ第2層用紙SSPの前端部SSPFと離間させる(図3(c),図6図7参照)。このため、その後のタイミング(図4(d)参照)において、クランプ位置BWCに位置させた上側クランパ21の先端部21Sを、互いに離間した第2層用紙SSPの前端部SSPFと最下層用紙LSPの前端部LSPFの前端被クランプ部LSPFLとの間に、容易に位置させることができ、最下層用紙LSPの前端被クランプ部LSPFLを、上側クランパ21の先端部21Sと下側クランパ22との間で容易にクランプすることができる。
【0072】
加えてこのフィーダ100では、最下層用紙LSPのクランプ及び解放を行うのに、クランパ開閉部によって下側クランパ22のみ移動させた。クランプに当たり、上側クランパ21及び下側クランパ22の両者を移動させて最下層用紙LSPの前端部LSPFのクランプする場合に比して、上側クランパ及び下側クランパのいずれか一方を移動させず固定することで、最下層用紙LSPの前端部LSPFのクランプ位置が安定し易いメリットが得られる。
加えて、クランプの際に上側クランパ21を移動させず固定する場合には、最下層用紙LSPの前端部LSPFをクランプするに先立ち、上側クランパ21を最下層用紙LSPの前端部LSPFと第2層用紙SSPの前端部SSPFとの間に位置させるにあたり、この位置に安定して配置し易くなる。
【0073】
次いで、往復移動機構26によって、上側クランパ21及び下側クランパ22をクランプ位置BWCに位置させた場合の、上側クランパ21の先端部21Sと用紙束MPSとの関係について説明する(図1図4図6参照)。
一般に、用紙束SPSから最下層用紙LSPを引抜くにあたっては、引き抜かれる最下層用紙LSPと支持台11及び最下層用紙LSPと第2層被搬送物SSPとのそれぞれ間に最大静止摩擦力が生じる引抜き開始時に、最も大きな引抜力が必要となる。
【0074】
そこで、本実施形態のフィーダ100では、上側クランパ21は、往復移動機構26によって、クランプ位置BWCに位置させると、上側クランパ21の先端部21Sで、用紙束SPSのうち、最下層用紙LSPを除き第2層用紙SSPを含む上側用紙束SPSuを上方に持ち上げる形態とされている。具体的には、図1図6に示すように、上側クランパ21をクランプ位置BWCに位置させた場合、その先端部21Sの当接上面21SUが、支持台11の上面11Uよりも上方GUWに位置するように設定してある。このため、図4(d)に示すように、上側クランパ21を搬送経路上流側CPUに向けて移動させて、クランプ位置BWCに位置させると、上側クランパ21の先端部21Sの当接上面21SUが、第2層用紙SSPの前端部SSPFに下方から当接し、上側用紙束SPSuを上方に持ち上げることができる。
【0075】
このため、上側クランパ21の当接前には、支持台11には用紙束SPSの重量による第1荷重LD1が掛かっていた(図3(a)~(c)参照)のに対し、当接後は、上側クランパ21に、上側用紙束SPSuの重量の一部を負担させることができ、支持台11には用紙束SPSの重量による荷重LDを低減する(LD<LD1)ことができる(図4(d),(e)参照)。この状態で、フィーダ100を作動させ、上側クランパ21及び下側クランパ22でクランプした最下層用紙LSPを往復移動機構26によって用紙束SPSから引き抜くことで、少なくとも最下層用紙LSPの引き抜き開始時に生じる最大静止摩擦力を低減し、最下層用紙LSPの引き抜きを容易とし、引抜きを安定して行うことができる。
【0076】
しかも本実施形態のフィーダ100では、上述のように、上側用紙束SPSuを上側クランパ21の当接上面21SUで静的に持ち上げ可能としているのみならず、図4(d)で示す第1タイミングt1に、上側クランパ21をクランプ位置BWCに移動させて、上側クランパ21の当接上面21SUを上側用紙束SPSuに衝突させる。即ち、上側クランパ21の当接上面21SUで上側用紙束SPSuを上方(図1図4(d)において右上方)に突き上げる。この突き上げの衝撃力SFによって上側用紙束SPSuが上方にはね上がるため、一時的にであるが、上側用紙束SPSuによって上側クランパ21の当接上面21SUに掛かる荷重や、被用紙束SPSによって支持台11に掛かる荷重LDが減少する(図4(d),(e)参照)。或いは、一時的に荷重LDが殆ど掛からなくなる。
【0077】
なお、その後の上側用紙束SPSuの落下により、第2タイミングt2(図5(f)参照)以降には、一時的に、上側クランパの当接上面や支持台に、第1タイミングt1以前に掛かっていた第1荷重LD1(図3(c)参照)よりも増加した第2荷重LD2が掛かる(LD2>LD1)。そしてその後、第1荷重LD1に概ね等しい(用紙SP1枚分少ない)大きさに戻る(図5(g)参照)。
【0078】
そこで本実施形態のフィーダ100では、往復移動機構26及びクランパ開閉部27を、以下の構成としてある。即ち、上側クランパ21の先端部21Sの当接上面21SUで、上側用紙束SPSuを上方GUWに突き上げた第1タイミングt1(図4(d)に示すタイミング)の後で、上側用紙束SPSuによって、支持台11に掛かる荷重LDが、第1タイミングt1よりも以前(例えば、図3(c)に示すタイミング)に掛かっていた第1荷重LD1以上となる第2タイミングt2(図5(f)に示すタイミング)が到来するよりも前に、往復移動機構26によって、上側クランパ21及び下側クランパ22でクランプした最下層用紙LSPの引き抜きを開始する、構成としてある。
【0079】
最下層用紙LSPの引き抜きのうち、最も大きな引抜力が必要となる引抜き開始時に、引き抜かれる最下層用紙LSPと支持台11及び第2層被搬送物SSPとの間に生じる最大静止摩擦力の大きさを、上側クランパ21による突き上げを行わない場合や第2タイミングt2よりも後に掛かる荷重で生じる最大静止摩擦力よりも低減させることができる。かくして、最下層用紙LSPの引き抜きがさらに容易になり、引抜きをさらに安定して行うことができる。
【0080】
なお、第1タイミングt1から第2タイミングt2までの長さは、搬送する用紙SPなどの枚葉状被搬送物の大きさや重さなどのほか、当接上面21SUの上下方向GUDの位置や、上側クランパ21の移動速度などに応じて変化する。そこで、往復移動機構26によって、上側クランパ21及び下側クランパ22でクランプした最下層用紙LSPの引き抜きを開始するタイミングが、第2タイミングt2よりも前になるように、当接上面21SUの上下方向GUDの位置や、上側クランパ21の移動速度などを適宜調整するとよい。
【0081】
さらに本実施形態のフィーダ100では、前述したように、前側整列板12に前側尖り部材13を螺挿しており、その尖り先端部13Sは、最下層用紙LSPの前端縁LSPMのうち被係合縁部LSPMEに離脱可能に係合して、最下層用紙LSP及びその上層の第2層用紙SSP等の各用紙SPが平板状の形態を保つのを補助したり、第2層用紙SPSの前端縁SSPMのうち被係合縁部SSPMEに離脱可能に係合して、第2層用紙SSP及びその上層の各用紙SPが平板状の形態を保つのを補助し、吸盤部18で最下層用紙LSPの被係合縁部LSPMEを確実に吸着できるようにしている。
【0082】
しかし尖り先端部13Sを設けた場合でも、用紙SPの厚さやコシ(柔軟性)などによっては、吸盤部18で最下層用紙LSPの被係合縁部LSPMEを適切に吸引できなかったり、最下層用紙LSPのみならず第2層用紙SSPも一緒に、吸引して用紙束SPSから分離する不具合を生じることがある。尖り先端部13Sに係合する最下層用紙LSPの前端縁LSPMの被係合縁部PMEの微妙な係合位置の位置ズレが次第に累積するなどによって、吸引保持部17の吸盤部18で吸引される最下層用紙LSPの前端部LSPFの被係合近傍部LSPFNに、上下方向GUDの大きな位置変動が生じる場合があるからである。
【0083】
これに対し、このフィーダ100では、最下層用紙LSPをクランプする毎に、上側クランパ21による第2層用紙SSPを含む上側用紙束SPSuの持ち上げ或いは突き上げを行うので、持ち上げ後の位置低下の際或いは突き上げ後の落下の際に、第2層用紙SSPの前端縁SSPMの被係合縁部SSPMEが、尖り先端部13Sに改めて新たに離脱可能に係合し、位置ズレの累積が生じ得ない。そして、クランプされた最下層用紙LSPが引き抜かれ、第2層用紙SSPが新たな最下層用紙LSPとなった時点で、この新たな最下層LSPの前端縁LSPMの被係合縁部LSPMEは、尖り先端部13Sに離脱可能に新たに係合したものとなっている。
このため、被係合縁部LSPMEの近傍の被係合近傍部LSPFNも、尖り先端部13Sによって上下方向GUDの位置がほぼ同じ位置に揃えられるので、吸引保持部17の球板部18で、最下層用紙LSPの被係合近傍部LSPFNを確実に吸引して保持することができる。即ち、吸引保持部17の球板部18による吸引で、最下層用紙MPSの被係合近傍部LSPFNに吸引保持に失敗したり、最下層用紙LSPと共に第2層用紙SSPをも吸引保持する不具合の発生を、より確実に抑制できる。
【0084】
次いで、上側クランパ21の形態と、最下層用紙LSPの前端部LSPFの形状との関係について、図6図8を参照して、以下に検討する。
前述したように、本実施形態では、吸引垂下部15の吸盤部18で、最下層用紙LSPの帯状の前端部LSPFのうち被係合近傍部LSPFNを吸引し、下方GDWに弧状に引き下げて、少なくともこの被係合近傍部LSPFN及びこれに隣り合う前端被クランプ部LSPFLを、抜き通路10Kを通じた垂れ下がり形態とすることについて説明した。
【0085】
この場合において、最下層用紙LSPの搬送経路幅方向CPWが小さい、最下層用紙LSPにコシがあるなどの場合には、上述のように、吸引垂下部15の吸盤部18で、最下層用紙LSPの帯状の前端部LSPFのうち被係合近傍部LSPFNを吸引し、下方GDWに弧状に引き下げることで、この被係合近傍部LSPFN及びこれに隣り合う前端被クランプ部LSPFLのみならず、帯状の前端部LSPF全体を抜き通路10Kを通じた垂れ下がり形態となる。
【0086】
しかしながら、最下層用紙LSPの搬送経路幅方向CPWが大きい、最下層用紙LSPに柔らかい、数枚の用紙を綴じた薄い冊子であるなど、用紙SPの材質や形態によっては、吸引垂下部15の吸盤部18で、最下層用紙LSPの帯状の前端部LSPFのうち被係合近傍部LSPFNを吸引し、下方GDWに弧状に引き下げると、図7に示すように、被係合近傍部LSPFN及びこれに隣り合う前端被クランプ部LSPFLは、抜き通路10Kを通じた垂れ下がり形態となる。一方、ここから離れた部位、具体的には、帯状の前端部LSPFのうち、搬送経路幅外方向CPWOの両端部である前端外側端部LSPFE1,LSPFE2が垂れ下がり形態とならず、垂れ下がり形態の被係合近傍部LSPFNなどに比して上方GUWに位置して、第2層用紙SSPの前端部SSPFから離間しない(図6参照)、非垂下形態部LSPFH1,LSPFH2を含む場合、すなわち前端部LSPFがU字状に変形する場合がある。
【0087】
このように、最下層用紙LSPの前端部LSPFが変形したまま、上側クランパ21及び下側クランパ22で前端被クランプ部LSPFLをクランプして、最下層用紙LSPを引き抜くと、変形している非垂下形態部LSPFH1,LSPFH2やその近傍の部位が、他の部材に当たるなどの不具合を生じる場合があり好ましくない。
【0088】
これに対し、このフィーダ100では、上側クランパ21の先端部21Sの形態を、図8に二点鎖線で示す、上側クランパ21をクランプ位置BWCに位置させたときに、最下層用紙LSPの非垂下形態部LSPFH1,LSPFH2(前端外側端部LSPFE1,LSPFE2)に当接して押し下げ、破線で示すように、この前端外側端部LSPFE1,LSPFE2も含めた最下層用紙LSPの前端部LSPFの全体を、第2層用紙SSPの前端部SSPFから離間させて、抜き通路10Kを通じて垂れ下がる垂れ下がり形態にさせる形態としている。
【0089】
具体的には、図2図8から容易に理解できるように、上側クランパ21の先端部21Sの形態を、搬送経路下流側CPDほど搬送経路幅外方向CPWOに位置する形態としている。これにより、上側クランパ21をクランプ位置BWCに位置させたときに、先端部21Sの用紙押下部21SS(図8参照)が、最下層用紙LSPの非垂下形態部LSPFH1,LSPFH2(前端外側端部LSPFE1,LSPFE2)に当接し下方GDWに押し下げて、この前端外側端部LSPFE1,LSPFE2を垂れ下がり形態にさせる。
【0090】
このため上述のように、最下層用紙LSPの前端部LSPFの非垂下形態部LSPFH1,LSPFH2が他の部材に当たるなどの不具合発生を防止し、更に円滑に最下層用紙lSP(用紙SP)を次段のフリクションフィード機構200に投入することができる。
【0091】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、下側クランパ22自体を小型とし、下側クランパ22がクランプ位置BWCに位置したときに、その全体が、用紙束下方領域DRSPS内に含まれ、上側クランパ21の先端部21Sとの間で、最下層用紙LSPをクランプする下側領域差入部となる形態とした。
しかし、実施形態とは異なり、下側クランパを大型とし、この下側クランパがクランプ位置BWCに位置したときに、この下側クランプの一部のみが用紙束下方領域DRSPS内に含まれ、上側クランパ21の先端部21Sとの間で、最下層用紙LSPをクランプする下側領域差入部となる形態としても良い。
【0092】
また実施形態では、最下層用紙LSPのクランプ/解放にあたり、上側クランパ21を固定する一方、下側クランパ22を可動とした。しかし、上側クランパ及び下側クランパの両者を可動しても良いし、実施形態とは逆に、上側クランパを可動とする一方、下側クランパを固定しても良い。
【0093】
実施形態においては、往復移動機構26において、リニアスライダ26Lなどを用いて、上側クランパ21及び下側クランパ22を往復直線移動させるようにした。しかし、上側クランパ及び下側クランパを例えば180度や90度などの角度での円弧状に往復回動移動させるようにしても良い。
【0094】
実施形態では、2対の上側クランパ21及び下側クランパ22を設けた例を示したが、次段の機構の形態に応じて、上側クランパ及び下側クランパは1対以上設けるようにすれば良い。
【符号の説明】
【0095】
SPS 用紙束(被搬送物束)
SPSM (用紙束の)前側端面
SPSu 上側用紙束(上側被搬送物束)
SP 用紙(枚葉状被搬送物)
TSP (用紙の)厚み方向(枚葉上皮搬送物の厚み方向)
LSP 最下層用紙(最下層被搬送物)
LSPU (最下層用紙の)上面
LSPD (最下層用紙の)下面
LSPM (最下層用紙の)前端縁
LSPME (最下層用紙の前端縁の)被係合縁部
LSPF (最下層用紙の)前端部
LSPFL (前端部のうちクランプされる)前端被クランプ部
LSPFN (前端部のうち被係合縁部近傍の)被係合近傍部
LSPFE1,LSPFE2 (前端部のうち搬送経路幅外方向の)前端外側端部
LSPFH1,LSPFH2 (前端部のうち)非垂下形態部
SSP 第2層用紙(第2層被搬送物)
SSPM (第2層用紙の)前端縁
SSPME (第2層用紙の前端縁の)被係合縁部
SSPF (第2層用紙の)前端部
CL 中心線
CP 搬送経路
CPW 搬送経路幅方向
CPWO 搬送経路幅外方向
CPD 搬送経路下流側
GUD 上下方向
GUW 上方
GDW 下方
DRSPS 用紙束下方領域(被搬送物束下方領域)
LD (支持台に掛かる)荷重
LD1 (上側用紙束によって第1タイミング以前に掛かる)第1荷重
100 フィーダ
10 積層保持部
10K 抜き通路
11 支持台
11U (支持台の)支持上面
12 前側整列板
13S 尖り先端部(前端縁係合部)
14 幅方向整列部材
15 吸引垂下部(前端部離間部)
16 保持回動部
17 吸引保持部
18 吸盤部
20 クランプフィード部
21 上側クランパ
21S (上側クランパの)先端部(上側領域差入部)
21SU (上側クランパの先端部の)当接上面
21SS (上側クランパの先端部の)用紙押下部
22 下側クランパ(下側クランパ、下側領域差入部)
26 往復移動機構
BW (クランパの)往復経路
BWC (往復経路のうち)クランプ位置
BWR (往復経路のうち)解放位置
27 クランパ開閉部
t1 第1タイミング
t2 第2タイミング
200 フリクションフィード機構(次段の機構)
201 搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8