(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152082
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】輸送用保冷庫
(51)【国際特許分類】
F25D 3/00 20060101AFI20221004BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20221004BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F25D3/00 D
F25D23/08 D
F25D23/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054715
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】山城 博隆
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸雄
【テーマコード(参考)】
3L044
3L102
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA02
3L044CA11
3L044DC04
3L044KA01
3L044KA04
3L102JA08
3L102KA06
3L102KB06
3L102KC02
3L102KC03
3L102KC07
3L102KC11
3L102MB08
3L102MB23
3L102MB27
(57)【要約】
【課題】輸送用保冷庫の断熱性能を上げることにある。
【解決手段】内壁部材6と外壁部材7を夫々金属板で形成する輸送箱本体1の少なくとも1側面に、開口部2とそれに対する扉3を設け、輸送箱本体1の底部に複数のキャスターを取り付け、内壁部材6と外壁部材7との間に発泡樹脂8を充填し、開口部2の全周にわたって内壁部材6と外壁部材7とが互いに非連設状態の第1非連設部9を設け、扉3の内面部材10と外面部材11とを夫々金属板で形成すると共に、それらの間に発泡樹脂8を充填し、内面部材10と外面部材11との全周にわたって互いに非連設状態の第2非連設部12を設け、開口部2の全周にわたって、輸送箱本体1と扉3との接当部間に、断熱性のパッキン材13を介在して収容空間Sを密閉自在に構成してある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷剤と低温輸送物に対する収容空間を内部に形成する輸送箱本体を設け、
前記輸送箱本体の少なくとも1側面に、前記収容空間に対して前記保冷剤及び前記低温輸送物を出し入れ可能な開口部を設けると共に、
その開口部を開閉自在な扉を設け、
前記輸送箱本体の底部に、複数のキャスター4を取り付けてある輸送用保冷庫であって、
前記輸送箱本体において、内壁部材と外壁部材を、夫々金属板で形成すると共に、
前記内壁部材と前記外壁部材とを、それらの間に発泡樹脂を充填して一体化してあり、
前記輸送箱本体の開口部の全周にわたって、前記内壁部材と前記外壁部材とが互いに非連設状態の第1非連設部を設け、
前記扉において、前記収容空間に対する内面部材と外面部材とを、夫々金属板で形成すると共に、
前記内面部材と前記外面部材との間に発泡樹脂を充填して一体化してあり、
前記内面部材と前記外面部材との全周にわたって互いに非連設状態の第2非連設部を設け、
前記開口部の全周にわたって、前記輸送箱本体と前記扉との接当部間に、断熱性のパッキン材を介在して前記収容空間を密閉自在に構成してある輸送用保冷庫。
【請求項2】
前記第1非連設部と前記第2非連設部とを、前記輸送箱本体と前記扉との接当部に形成してある請求項1に記載の輸送用保冷庫。
【請求項3】
前記扉を前記輸送箱本体にヒンジを介して開閉自在に取り付けてあり、
前記扉及び前記輸送箱本体夫々に対する前記ヒンジの取り付け金具のボルト先端部分を発泡樹脂成形体で覆い、かつ発泡樹脂成形体に断熱性シートを接着した状態で、充填された発泡樹脂内に埋設してある請求項1または2に記載の輸送用保冷庫。
【請求項4】
前記断熱性シートは、エアロゲル入りの不織布シートである請求項3に記載の輸送用保冷庫。
【請求項5】
前記発泡樹脂がポリウレタンフォームであり、前記パッキン材が発泡ゴムパッキンである請求項1~4のいずれか1項に記載の輸送用保冷庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷剤と低温輸送物に対する収容空間を内部に形成する輸送箱本体を設け、前記輸送箱本体の少なくとも1側面に、前記収容空間に対して前記保冷剤及び前記低温輸送物を出し入れ可能な開口部を設けると共に、その開口部を開閉自在な扉を設け、前記輸送箱本体の底部に、複数のキャスターを取り付けてある輸送用保冷庫に関する。
つまり、一般的に簡単な輸送物の輸送には、輸送物に可撓性の断熱シートで形成された袋をかぶせて、パイプフレームで構成されたカゴ車と呼ばれる台車に、その輸送物を載置して搬送することが行われていることが多く、この場合には、保冷性能が低いために、特に気温が高い夏場などでの常温車での輸送は困難なために、上記輸送用保冷庫が考えられている。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮食品などを生産地から消費者の手に届くまで一貫して所定の低温度を保ったまま流通させるのに、低温度での管理がとぎれないように、運搬や保管といったプロセスをつなげていくことからコールドチェーンと呼ばれている。
コールドチェーン物流分野では、輸送用保冷庫に積載された生鮮食品の低温輸送においては冷蔵車が使用されているが、万一、冷蔵設備が故障した時の担保として輸送用保冷庫に保冷剤も収容されている。
一般的に夏場において常温車で輸送する場合に、常温車荷室温度が50℃まで上昇する。
そして、前記輸送用保冷庫に保冷剤と供に低温輸送物を内部に収容して常温車で輸送する際に、ヒートブリッジによって低温輸送物に対する収容空間の温度も上昇する可能性がある。
この時、所定温度を維持できなかった場合には、輸送商品は廃棄処分しなければならなくなる。
このような状況下での従来の輸送用保冷庫では、特に0℃から5℃での保冷状態で輸送しなければならない魚介類や畜産物などは、一般貨物品との常温車混載輸送は困難であった。
つまり、従来の輸送用保冷庫では、ヒートブリッジの原因として、輸送箱本体の内壁部材と外壁部材とが夫々金属板や金属シートで形成されていると共に、内壁部材と外壁部材との間に断熱材を充填された状態で、それらの内壁部材と外壁部材とが互いに開口部で一体連設されているために、外気温が収容空間の内部にまで伝熱するヒートブリッジが発生しているということを、本発明者らは新たに知見したものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の輸送用保冷庫では、特に前記畜産品などの低温輸送物を一般貨物品との混載輸送はせずに、冷蔵車で輸送しなければならないと言う問題点がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、輸送用保冷庫の断熱性能を上げることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記新知見に基づく本発明の第1の特徴構成は、保冷剤と低温輸送物に対する収容空間を内部に形成する輸送箱本体を設け、前記輸送箱本体の少なくとも1側面に、前記収容空間に対して前記保冷剤及び前記低温輸送物を出し入れ可能な開口部を設けると共に、その開口部を開閉自在な扉を設け、前記輸送箱本体の底部に、複数のキャスターを取り付けてある輸送用保冷庫であって、前記輸送箱本体において、内壁部材と外壁部材を、夫々金属板で形成すると共に、前記内壁部材と前記外壁部材とを、それらの間に発泡樹脂を充填して一体化してあり、前記輸送箱本体の開口部の全周にわたって、前記内壁部材と前記外壁部材とが互いに非連設状態の第1非連設部を設け、前記扉において、前記収容空間に対する内面部材と外面部材とを、夫々金属板で形成すると共に、前記内面部材と前記外面部材との間に発泡樹脂を充填して一体化してあり、前記内面部材と前記外面部材との全周にわたって互いに非連設状態の第2非連設部を設け、前記開口部の全周にわたって、前記輸送箱本体と前記扉との接当部間に、断熱性のパッキン材を介在して前記収容空間を密閉自在に構成してある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、輸送箱本体において、内壁部材と外壁部材を、夫々金属板で形成すると共に、前記内壁部材と前記外壁部材とを、それらの間に発泡樹脂を充填して一体化し、扉において、前記収容空間に対する内面部材と外面部材とを、夫々金属板で形成すると共に、前記内面部材と前記外面部材との間に発泡樹脂を充填して一体化し、前記開口部の全周にわたって、前記輸送箱本体と前記扉との接当部間に、断熱性のパッキン材を介在して前記収容空間を密閉自在に構成してあることで、収容空間内は、外気から断熱状態で遮断され、その上、前記内壁部材と前記外壁部材とが互いに非連設状態の第1非連設部を設け、前記内面部材と前記外面部材との全周にわたって互いに非連設状態の第2非連設部を設けてあることで、収容空間に直接接する内壁部材及び内面部材が第1非連設部及び第2非連設部で伝熱経路を切断されるために、外壁部材及び外面部材からのヒートブリッジが抑制され、保冷剤による低温輸送物に対する保冷効果が維持しやすくなり、常温車での輸送ができるようになる。
したがって、常温車による多種温度帯の一般貨物品との混載輸送が可能となって、省エネルギー効果が生まれ、運搬委託料やドライバーの人件費の削減などといった経済性も向上させることができるようになった。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記第1非連設部と前記第2非連設部とを、前記輸送箱本体と前記扉との接当部に形成したところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、前記輸送箱本体と前記扉との接当部に、前記第1非連設部と前記第2非連設部とを形成することにより、収容空間に直接接する内壁部材及び内面部材は、外壁部材及び外面部材からのヒートブリッジが完全に抑制され一層収容空間内の伝熱性を向上させることができるようになった。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記扉を前記輸送箱本体にヒンジを介して開閉自在に取り付けてあり、前記扉及び前記輸送箱本体夫々に対する前記ヒンジの取り付け金具のボルト先端部分を発泡樹脂成形体で覆い、かつ発泡樹脂成形体に、断熱性シートを接着した状態で、充填された発泡樹脂内に埋設してある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、扉を輸送箱本体に開閉自在の取り付けるヒンジの取り付けボルト部分からの入熱が、断熱性シートにより防止でき、収容空間内の保冷効果を維持できる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記断熱性シートは、エアロゲル入りの不織布シートである。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、前記断熱性シートは、エアロゲル入りの不織布シートで形成してあることにより、一層の入熱の防止が向上できる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記発泡樹脂がポリウレタンフォームであり、前記パッキン材が発泡ゴムパッキンである。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、ポリウレタンフォームの充填により、内壁部材と外壁部材間の断熱性能及び、内面部材と外面部材間の断熱性能を簡単に高く形成でき、しかも開口部における輸送箱本体と扉との気密性を、発泡ゴムパッキンにより向上させることができ、収容空間内の保冷効果を高く形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】要部横断面図で、(a)は扉を閉じた状態の横断面図、(b)は扉を少し開けた状態の横断面図、(c)は扉を全開した状態の横断面図である。
【
図5】輸送箱本体の製造工程を示す横断面図で、(a)は背板用第1金型と第2金型内に背板外壁部材と背板内壁部材とを保持させた状態の横断面図、(b)は発泡樹脂を充填した状態の横断面図,(c)は取り出した背板の断面図である。
【
図6】扉の製造工程を示す横断面図で、(a)は扉用第1金型と扉用第2金型内に第1内面部材と第1外面部材とを配置した状態の横断面図、(b)は発泡樹脂を充填した状態の横断面図、(c)は取り出した扉の断面図,(d)はパッキン材を取り付けた状態を示す断面図、(e)は扉用第1金型と扉用第2金型内に第2内面部材と第2外面部材とを配置した状態の横断面図、(f)は発泡樹脂を充填した状態の横断面図、(g)は取り出した扉の断面図,(h)はパッキン材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図7】収容空間内の収容状態を示す開口部正面図である。
【
図8】比較例の収容空間内での1段目A、4段目B、9段目Cにおける温度変化グラフである。
【
図9】本発明の輸送用保冷庫における収容空間内での1段目A、4段目B、9段目Cにおける温度変化グラフで、夫々略同じ変化である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図4に示すように、保冷剤と例えば畜産物や魚介類などの低温輸送物に対する収容空間Sを内部に形成する輸送箱本体1を設け、輸送箱本体1の少なくとも1側面に、収容空間Sに対して保冷剤及び低温輸送物を出し入れ可能な開口部2を設けると共に、その開口部2を開閉自在な扉3を設け、輸送箱本体1の底部に、難燃性ゴム輪や合成樹脂輪などの複数のキャスター4を取り付けて移動自在な輸送用保冷庫5を構成してある。
【0018】
図3に示すように、前記輸送箱本体1は、その内壁部材6と外壁部材7を、夫々ガルバニウム鋼板やステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属板で形成すると共に、内壁部材6と外壁部材7とを、それらの間には硬質のポリウレタンフォームや発泡スチロールなどの発泡樹脂8を充填して一体化してあり、輸送箱本体1の開口部2の全周にわたって、内壁部材6と外壁部材7とが互いに非連設状態の第1非連設部9を設けてある。
つまり、一端面に開口部2を形成する箱型の大寸の外壁部材7に、同じく一端面に開口部2を形成する箱型の小寸の内壁部材6を、同方向に開口部2を向けた状態で嵌め込んで、外壁部材7と内壁部材6との隙間に未発泡の樹脂を注入して発泡硬化させて一体化させることで、開口部2全周に、発泡樹脂8が露出する第1非連設部9が形成される。
前記扉3においても、収容空間Sに対するその内面部材10と外面部材11とを、夫々ガルバニウム鋼板やステンレススチールなどの金属板で形成すると共に、前記輸送箱本体1と同様に、内面部材10と外面部材11との間に硬質のポリウレタンフォームや発泡スチロールなどの発泡樹脂8を充填して一体化してあり、内面部材10と外面部材11との全周にわたって、発泡樹脂8が露出する互いに非連設状態の第2非連設部12を設けてある。
【0019】
第1非連設部9と第2非連設部12とを、輸送箱本体1と扉3との接当部に形成して、開口部2の全周にわたって、輸送箱本体1と扉3との接当部間である第1非連設部9と第2非連設部12それぞれに、例えば発泡ゴムや軟質ウレタン等の断熱性のパッキン材13を、粘着剤や接着剤で接着固定するように介在して、収容空間Sを密閉自在に構成してある
【0020】
前記収容空間Sには、複数の棚などを設けて、上部に保冷剤36が配置可能に構成され、下部に低温輸送物を配置可能に構成してある。
尚、複数の棚は、上下の棚同士の間隔を変更可能に、内壁部材6に着脱自在に設けてある。
【0021】
前記扉3は、
図1~
図4に示すように、左右2分割した中折れ片側折り畳み式に形成してあり、2分割の第1扉3Aと第2扉3Bとの折り畳み連結部にヒンジ14を介在してあるとともに、それらの扉3は輸送箱本体1にヒンジ14を介して開閉自在に取り付けてある。
扉3及び輸送箱本体1夫々に対するヒンジ14の取り付け金具15のボルト先端部分を発泡樹脂成形体19で覆い、かつ発泡樹脂成形体19に、断熱性シート16を接着した状態で、充填された発泡樹脂8内に埋設してある。
前記断熱性シート16は、エアロゲル入りの不織布シートで形成され、例えば、具体的には8mm厚の不織布シートを2層、気密性の袋内に収容し、より断熱性能が向上するように減圧状態で封入させた真空パックの状態に形成してある。
【0022】
扉3を開閉自在に取り付けるヒンジ14は、
図4に示すように、回転軸17の位置を扉3の外側に配置して、270°開閉自在な構造にしてあり、開閉時の省スペース化が可能になるように構成してある。
【0023】
扉3を閉じたときには、
図2に示すように、扉3と輸送箱本体1の開口部2近くの側面部に各別に取り付けた係合式バックル18で、開閉ロック及び開閉ロック解除自在に構成してある。
【0024】
[製造工程]
図5~
図6に、製造工程を示す。
(1) 第1工程
背板用第1金型30内に背板外壁部材7Aを入れるとともに、背板用第2金型31の内面に背板外壁部材7Aよりも小寸の背板内壁部材6Aを保持し、背板用第1金型30と背板用第2金型31とを合わせてできる空間内に、未発泡の発泡樹脂8を充填して発泡硬化させた後(
図5(a)→(b))に、脱型して背板32を取り出す。
(2) 第2工程
背板32の周囲を、背板内壁部材6Aの周辺から背板外壁部材7Aの周辺にかけて斜めにカットする(
図5(c))。
(3) 第3工程
本体用金型33の内側に、背板側縁部を折り曲げた周側板外壁部材7Bを内嵌した後に、第2工程で形成された背板32を周側板外壁部材7Bの底部に配置し、箱状の周側板内壁部材6Bを背板32の縁部に載置する(
図5(d))。
(4) 第4工程
第3工程で形成された周側板外壁部材7Bと周側板内壁部材6Bとの間に、未発泡の発泡樹脂8を充填して発泡硬化させた後に、脱型して輸送箱本体1を取り出す(
図5(e))。
(5) 第5工程
前記第1扉3Aと第2扉3B夫々を形成するのに、夫々別々に扉用第1金型34の内側に第1外面部材11Aを配置すると共に(
図6(a))、扉用第2金型35に第1内面部材10Aを保持して、扉用第1金型34と扉用第2金型35との間で未発泡の発泡樹脂8を発泡硬化させて第1扉3Aを形成し(
図6(b)→(c))、また、扉用第1金型34の内側に第2外面部材11Bを配置すると共に(
図6(e))、扉用第2金型35に第2内面部材10Bを保持して、扉用第1金型34と扉用第2金型35との間で未発泡の発泡樹脂8を発泡硬化させて第2扉3Bを形成する(
図6(f)→(g))。
(6) 第6工程
第1扉3Aと第2扉3Bとをヒンジ14で折れ曲がり自在に連結すると共に、それらで形成される扉3と輸送箱本体1とを、ヒンジ14で開閉自在に連結し、輸送箱本体1と扉3との接当部間に、断熱性のパッキン材13を介在して収容空間Sを密閉自在に構成する(
図5(f)、
図6(d)、(h))。
【0025】
次に保冷性能の従来品(比較例)との比較評価を実験して示した。
[実験例1]
本輸送用保冷庫5において、
図7に示す輸送用保冷庫5の内部の最上部に、保冷剤36を配置し下部の下から1段目から9段目(
図7C~B~A)までの低温輸送物の載置部における経過時間に伴う温度変化を測定した。
図9のグラフに示すように、第1段目から第9段目までは、ほとんど温度のばらつきなく、18時間の経過後も5℃以下の保冷状態で維持できていることが明確である。
【0026】
[比較例]
前述の従来例に示した輸送用保冷庫において、
図7に示す輸送用保冷庫5の内部の最上部に、保冷剤36を配置し下部の下から1段目から9段目(
図7C~B~A)までの低温輸送物の載置部における経過時間に伴う温度変化を測定した。
図8のグラフに示すように、第1段目から第9段目まで、温度のばらつきが大きく、1段目(
図8A)では、約10時間後には5℃を超え、9段目においては(
図8C)、17時間後に5℃を超えて上昇した。
【0027】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記輸送箱本体1の内壁部材6と外壁部材7は、プラスチック材料でもよいが、畜産物や魚介類などの低温輸送物の場合は、一般的には約40kg以上で重い場合が多く、そのためにガルバニウム鋼板やそれ以外に、ステンレススチールやアルミニウム、アルミニウム合金などの金属板で形成するのが強度が大きくて良い。その中でも、低温輸送物の輸送中の振動に伴う衝撃や荷重に対して強度のあるものとしては、ガルバニウム鋼板やステンレススチールが適切であり、水洗いのために防食作用も良好である。また、扉3においても、輸送時の対衝撃強度のためにも輸送箱本体1と同様に、ガルバニウム鋼板、ステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属板が適切である。
〈2〉 前記内壁部材6と外壁部材7との間や、内面部材10と外面部材11との間に充填される発泡樹脂8は、上記以外の材質でもよく、またその充填厚みは、要望される断熱性の度合いに応じて設計変更してもよいし、また、発泡樹脂8の厚み内に、周知の真空断熱材を埋設してあってもよい。
〈3〉 前記扉3は、
図1、
図3、
図5(f)、
図6では、左右2分割した中折れ片側折り畳み式に形成して、2分割の第1扉3Aと第2扉3Bとの折り畳み連結部にヒンジ14を介在してあるが、2分割していない1枚の扉のみで形成されていてもよい。また、2分割した扉3で、第1扉3Aと第2扉3Bを折り畳み自在にヒンジ14で連結する以外に、開口部2に対して左右両開き可能ないわゆる観音式に輸送箱本体1に取り付けてあってもよい。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1 輸送箱本体
2 開口部
3 扉
6 内壁部材
7 外壁部材
8 発泡樹脂
9 第1非連設部
10 内面部材
11 外面部材
12 第2非連設部
13 パッキン材
S 収容空間