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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152083
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】作業ユニットの移動ガイド装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/12 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B65B11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054719
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】清水 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 匠
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB05
3E051BA01
3E051CB10
3E051DA07
3E051EA03
3E051EB05
3E051FD01
3E051JA10
3E051LA02
3E051LA03
3E051LA09
(57)【要約】
【課題】作業ユニットを滑らかに移動させ、該作業ユニットによる作業精度を向上させることができる作業ユニットの移動ガイド装置を提供する。
【解決手段】作業ユニットを取り付け可能な移動体フレーム56と、移動体フレーム56に設けられた先行ローラー53と、後行ローラー54と、を有する移動体51と、先行ローラー53が移動する第一区間52aと第二区間52bとを備えた先行ローラー移動ガイド部材57と、後行ローラー54が移動する第一区間52aと第二区間52bとを備えた後行ローラー移動ガイド部材58と、を備えた移動ガイド部材52と、を備え、第一区間52aと第二区間52bとは、異なる移動路形状を有し、移動ガイド部材52の作業ユニットが駆動する区間において、先行ローラー53が第一区間52aから第二区間52bへ移動すると同時に後行ローラー54が第一区間52aから第二区間52bへ移動するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ユニットを取り付け可能な移動体フレームと、
前記移動体フレームに設けられた先行移動する先行ローラーと、
前記移動体フレームに設けられた後行移動する後行ローラーと、
を有する移動体と、
前記先行ローラーが移動する第一区間と前記第一区間に連続する第二区間とを備えた第一移動路が形成された先行ローラー移動ガイド部材と、
前記後行ローラーが移動する前記第一区間と前記第二区間とを備えた第二移動路が形成された後行ローラー移動ガイド部材と、
を備えた移動ガイド部材と、
を備え、
前記第一区間と前記第二区間とは、異なる移動路形状を有し、
前記移動ガイド部材の前記作業ユニットが駆動する区間において、前記先行ローラーが前記第一区間から前記第二区間へ移動すると同時に前記後行ローラーが前記第一区間から前記第二区間へ移動するように構成される、
作業ユニットの移動ガイド装置。
【請求項2】
前記先行ローラー移動ガイド部材と前記後行ローラー移動ガイド部材とは、それぞれ環状の外形形状を有し、板状の部材により形成され、前記移動体の移動方向に直交する方向に配置される、
請求項1に記載の作業ユニットの移動ガイド装置。
【請求項3】
前記移動ガイド部材は、
前記第一区間が直線状に形成され、前記第二区間が湾曲形状に形成された環状形状であり、
前記先行ローラーおよび前記後行ローラーは環内部と環外部のいずれか一方の同じ側に配され、他方に前記先行ローラーと前記後行ローラーの少なくとも一方に追従して移動可能な挟持ローラーが配され、
前記先行ローラーと前記後行ローラーとの少なくとも一方の前記第二区間と、前記挟持ローラーの環状区間とは、回転中心が同一に形成され、曲率半径は前記回転中心からそれぞれのローラーの回転軸までの距離によって定められる、
請求項1または2に記載の作業ユニットの移動ガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ユニットの移動ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続的に供給される作業対象物に対して作業ユニットを間欠的に駆動させ、所望の作業を行う方法は、ローラー等の回転体を作業ユニットに設置して作業ユニットを移動させる方法や作業ユニットを回動させる移動体を形成して作業ユニット自体を回動させることで連続する作業を実施する方法等がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-51590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成においては、作業ユニットを設置して移動・回動させる機構について、一般的に複数の走行ローラーにより作業ユニットを移動・回動させる手法がある。この際、先行移動する走行ローラーと後行移動する走行ローラーとは、作業ユニットの移動経路において同一の経路を移動する。そのため、直線と曲線等の移動路形状が異なる場合、一方の移動経路と他方の移動経路との間の連続部等において、各ローラーの間で移動路形状の変化等による振動やガタ等が生じることで、走行ローラーが移動ガイドに沿って滑らかに移動することができなくなるという課題がある。その結果、作業ユニットの作業精度に影響が生じることで、製造物の外観に違和感が発生する、製造物の中に異物が混入する等の品質上の問題が発生する可能性があるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、作業ユニットを滑らかに移動させることができ、該作業ユニットによる作業精度を向上させることができる作業ユニットの移動ガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る作業ユニットの移動ガイド装置は、作業ユニットを取り付け可能な移動体フレームと、前記移動体フレームに設けられた先行移動する先行ローラーと、前記移動体フレームに設けられた後行移動する後行ローラーと、を有する移動体と、前記先行ローラーが移動する第一区間と前記第一区間に連続する第二区間とを備えた第一移動路が形成された先行ローラー移動ガイド部材と、前記後行ローラーが移動する前記第一区間と前記第二区間とを備えた第二移動路が形成された後行ローラー移動ガイド部材と、を備えた移動ガイド部材と、を備え、前記第一区間と前記第二区間とは、異なる移動路形状を有し、前記移動ガイド部材の前記作業ユニットが駆動する区間において、前記先行ローラーが前記第一区間から前記第二区間へ移動すると同時に前記後行ローラーが前記第一区間から前記第二区間へ移動するように構成される。
【0007】
上記の構成を有することで、先行ローラーと後行ローラーとが第一区間から第二区間へ、または第二区間から第一区間へ移動する際に、同時に一方の区間から他方の区間へ移動することができる。そのため、移動体は移動中における第一区間と第二区間との間の移動路形状の変化等による振動やガタ等がなく滑らかに移動することができる。
【0008】
また、本発明に係る作業ユニットの移動ガイド装置において、前記先行ローラー移動ガイド部材と前記後行ローラー移動ガイド部材とは、それぞれ環状の外形形状を有し、板状の部材により形成され、前記移動体の移動方向に直交する方向に配置されてもよい。
【0009】
上記の構成を有することで、間欠的に連続作業を行う作業ユニットの移動ガイド装置として適用することが可能となる。
また、移動ガイド装置の設置に必要となるスペースを削減することができるため、少ないスペースで移動ガイド装置や作業ユニットを設けることが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る作業ユニットの移動ガイド装置において、前記移動ガイド部材は、前記第一区間が直線状に形成され、前記第二区間が湾曲形状に形成された環状形状であり、前記先行ローラーおよび前記後行ローラーは環内部と環外部のいずれか一方の同じ側に配され、他方に前記先行ローラーと前記後行ローラーの少なくとも一方に追従して移動可能な挟持ローラーが配され、前記先行ローラーと前記後行ローラーとの少なくとも一方の前記第二区間と、前記挟持ローラーの環状区間とは、回転中心が同一に形成され、曲率半径は前記回転中心からそれぞれのローラーの回転軸までの距離によって定められてもよい。
【0011】
上記の構成を有することで、先行ローラーと後行ローラーと挟持ローラーとは、移動ガイド部材を挟持した状態で移動することができるため、各ローラーの移動時の脱輪等を防止することができる。また、先行ローラーと後行ローラーとが同時に一方の区間から他方の区間へ移動することができ、挟持ローラーは少なくとも一方のローラーに追従して移動することができるため、移動体は移動中における第一区間と第二区間との間の移動路形状の変化等による振動やガタ等をより強固に防止して、滑らかに移動することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業ユニットを滑らかに移動させることができ、該作業ユニットによる作業精度を向上させることができる作業ユニットの移動ガイド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の一例が適用されるフィルム包装機構の概要を示す流れ図である。
図2】本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の一例を示す平面図である。
図4】(a)は、図3のA-A線に沿う断面図である。(b)は図3のB方向から見た矢視図である。
図5】(a)は、本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の一例が適用されたフラップ拡張工程実施前のフィルムが胴巻きされた被包装製品を示す斜視図である。(b)は、本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の一例が適用されたフラップ拡張工程実施後のフィルムで包装された被包装製品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置について、図1乃至図5に基づいて説明する。本実施形態では、移動ガイド装置の適用対象の作業ユニットが含まれる機構として箱型形状の製品をフィルムで包装するフィルム包装機構1を用いて説明する。
【0015】
図1に示すように、フィルム包装機構1は、被包装製品2をフィルム3で包装する、後述の複数の工程を備えた機構である。フィルム包装機構1は、被包装製品2を各工程に順次移送する工程移動機構10の移動方向に沿って、フィルム繰出し・カット工程11、フィルム胴巻きシール工程12、フラップ拡張工程13、フィン溶着工程14、フィン折り上げ工程15、フラップ折込み工程16、フラップ接着工程17が設けられる。上記の工程を経て、被包装製品2が所望の構成でフィルム3に包装された包装完了製品4が供給される。なお、工程移動機構10は、公知のベルトコンベア等により構成される。
なお、被包装製品2において、後述するフィン141およびフラップ142が形成される面が面する方向をX方向、工程移動機構10による被包装製品2の移送方向をY方向、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0016】
被包装製品2は、X方向に長い箱型の外形形状を有し、一定の間隔で間欠的にフィルム包装機構1に供給され、先ずフィルム繰出し・カット工程11に移送される。フィルム繰出し・カット工程11において、Y方向に直交配置された供給フィルム30から被包装製品2を胴巻き可能な長さのフィルム3が繰出され、フィルム3の下端が被包装製品2のY方向に面する面のうち移送方向前面に押し当てられる。また、フィルム3は、被包装製品2のX方向の長さよりも十分に長く、被包装製品2のX方向の両端から延出する。
間欠的に供給される被包装製品2に対して、供給フィルム30から上記の構成を有したフィルム3が順次カットされ、フィルム3は被包装製品2のY方向およびZ方向に面する面に巻き付けられ、被包装製品2のX方向の両端が空いた筒状に形成される。
【0017】
続くフィルム胴巻きシール工程12において、被包装製品2のY方向およびZ方向に面する面に筒状に巻き付けられたフィルム3のY方向両端部が被包装製品2上で重複する箇所をX方向に熱シールし、X方向の両側が空いた筒状の胴巻き包装形状を形成する。また、フィルム3の被包装製品2のX方向の両端から延出する部分は、フィルム延出部31,31として形成される。
【0018】
続くフラップ拡張工程13では、フィルム延出部31,31において、一方のフィルム延出部31に近接対向して形成されたフラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131が近接対向する一方のフィルム延出部31に挿入された状態で被包装製品2と同期して同時に移動し(ボックスモーション運動し)、フィルム延出部31をY方向左右に拡開させる。その後、拡開されたフィルム延出部31から一対の開閉爪131,131を離脱させることで、フィルム延出部31からZ方向に面するフィン141と、三角形形状の一対のフラップ142,142とが形成される。
他方のフィルム延出部31においても同様の機構によりフィン141と一対のフラップ142,142とが形成される。
【0019】
移動ガイド装置5に備えられる各部材について図2乃至図4に基づいて説明する。
移動ガイド装置5は、図1に示すフラップ拡張工程13において適用されるフラップ拡張ユニット50の移動ガイド装置として設けられる。
図2乃至図4に示すように、移動ガイド装置5は、移動体51と移動体51が移動する移動ガイド部材52と、を備えている。また、移動ガイド部材52は、環状形状に形成される。移動体51には、図示しない図1に示す一対の開閉爪131,131と一対の開閉爪131,131を開閉させる機構とが設けられ、これらが近接対向するフィルム延出部31に対してフラップ拡張を行うフラップ拡張ユニット50である。
【0020】
移動体51は、移動ガイド部材52の環外部に設けられ、移動方向に先行移動する先行ローラー53と、移動方向に後行移動する後行ローラー54と、移動ガイド部材52の環内部に設けられ、先行ローラー53、後行ローラー54のいずれかに追従して移動する内側ローラー55(挟持ローラー)と、これらのローラーが取り付けられた移動体フレーム56と、を備えている。
【0021】
また、先行ローラー53と後行ローラー54と内側ローラー55と移動体フレーム56とは、ボルト留めによって接合されている。なお、移動体51が移動ガイド部材52上を滑らかに移動可能であれば本実施形態の構成に限らない。
【0022】
移動ガイド部材52は、移動体51が移動可能に取り付けられ、環外部を先行ローラー53が移動する先行ローラー移動ガイド部材57と環外部を後行ローラー54が移動する後行ローラー移動ガイド部材58とを備える。
先行ローラー移動ガイド部材57は、直線部(第一区間)52a,52aと直線部52a,52aに連続する湾曲部(第二区間)52b,52bとを備えた先行ローラー移動路(第一移動路)570が環外部に形成されている。また、後行ローラー移動ガイド部材58は、直線部(第一区間)52a,52aと湾曲部(第二区間)52b,52bとを備えた後行ローラー移動路(第二移動路)580が環外部に形成されている。
【0023】
先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58との接続方法は、移動体51が滑らかに移動可能であれば特定の方法に限らない。例えば、本実施形態では、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58との所定の箇所において、移動体51の移動に支障がないようボルト頭を埋め込んだ状態でボルト留めされ、接合している。また、移動体51が滑らかに移動可能であれば、先行ローラー移動路570と後行ローラー移動路580とが同一の移動ガイド部材に形成されてもよい。
【0024】
また、本実施形態において、先行ローラー移動路570と後行ローラー移動路580との移動路面および先行ローラー53と後行ローラー54との接地面は滑らかに形成され、移動体51は移動ガイド部材52を滑らかに移動する。
【0025】
また、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とは、それぞれ移動体51の移動方向に扁平な環状(直線部52a,52aを有するオーバル形状)の板状部材により形成されている。なお、移動体51が滑らかに移動可能であれば本実施形態の形状に限らない。例えば、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とが1つの直線部52aと3つの湾曲部52b,52b,52bとにより形成されてもよい。
【0026】
また、本実施形態において内側ローラー55は先行ローラー53に追従して移動する。先行ローラー移動ガイド部材57は、環内部において内側ローラー55が移動可能な内側直線部55a,55aと内側直線部55a,55aに連続する内側湾曲部55b,55bとを備えた内側ローラー移動路550が設けられている。そのため、本実施形態において先行ローラー移動ガイド部材57は、環内部と環外部との両方をローラーが移動する構成となる。
なお、移動体51が所望の機能を発揮できれば、本実施形態の構成に限らない。例えば、後行ローラー移動ガイド部材58の環内部に内側直線部55a,55aと内側湾曲部55b,55bとが設けられ、後行ローラー移動ガイド部材58の環内部と環外部との両方をローラーが移動する構成を有し、内側ローラー55が後行ローラー54に追従して移動してもよい。
【0027】
また、図4(b)に示すように、先行ローラー53と後行ローラー54とは、移動体51の移動方向に直交する方向に位置をずらして配置されている。
なお、移動ガイド装置5が所望の性能を発揮できれば、移動体51の構成は本実施形態に限定されない。例えば、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58との環内部に先行ローラー53と後行ローラー54とを設け、内側ローラー55を挟持ローラー55として環外部に設け、各ローラーが移動ガイド部材52を挟持した状態で連続して各移動路を移動するよう移動ガイド装置5を形成してもよい。
【0028】
また、図2および図3に示すように、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とは、それぞれ直線部52aと湾曲部52bとの連続部かつ変化部である連続部52cが4箇所形成される。
【0029】
一方のローラー移動ガイド部材に形成された各連続部52cは、他方のローラー移動ガイド部材の対応する箇所に設けられた各連続部52cに対して、移動体51の移動方向に移動路形状変化開始差59の間隔を有してそれぞれ設けられる。また、本実施形態において移動路形状変化開始差59は、先行ローラー53と後行ローラー54との回転軸間の長さに略一致する。
この構成により、移動体51において、先行ローラー53が直線部52aから湾曲部52bへ移動すると同時に後行ローラー54が直線部52aから湾曲部52bへ移動する。また、湾曲部52bから直線部52aへ移動する場合も同様に同時に移動する。そのため、移動体51は、直線部52aから湾曲部52bへ、またはその反対方向へ移動する際に直線部52aと湾曲部52bとの間の移動路形状の変化による振動やガタ等がなく、滑らかに移動できる。
【0030】
また、図3に示すように、先行ローラー移動ガイド部材57の湾曲部52b,52bと内側湾曲部55b,55bとの回転中心Rは同一に形成される。また、先行ローラー移動ガイド部材57の湾曲部52bと内側湾曲部55bとの曲率半径は、湾曲部52bと内側湾曲部55bとの回転中心Rから、先行ローラー53と内側ローラー55とのローラー回転軸までの距離によって定められ、湾曲部52bの外形形状が管理される。
なお、移動体51が所望の機能を発揮できれば本実施形態の構成に限らない。例えば、先行ローラー移動ガイド部材57の湾曲部52bと後行ローラー移動ガイド部材58の湾曲部52bと内側湾曲部55bとの回転中心Rは同一に形成されてもよい。
【0031】
移動ガイド装置5は、図1に示すフラップ拡張工程13において、フラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131がボックスモーションするように移動ガイド部材52の一方の直線部52aが一方のフィルム延出部31に近接対向する設置位置で、被包装製品2のX方向の一端に設けられる。また、被包装製品2のX方向の他端においても同様の構成で移動ガイド装置5が設けられる。
また、フラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131は移動体フレーム56のZ方向上部に設けられ、また図示していない一対の開閉爪131,131を開閉させる機構も移動体フレーム56上に設けられている。
【0032】
開閉爪131は、近接対向するフィルム延出部31への挿入方向に偏長な板状部材により形成され、一対の開閉爪131,131として近接対向するフィルム延出部31を拡開する際にフィルム3に接着する面がフィルム3に密着するように形成されている。その際のフラップ拡張ユニット50の移動は、移動ガイド装置5の被包装製品2に近接対向した直線部52aでの移動であり、移動速度は、工程移動機構10による被包装製品2の移動速度と同じ移動速度で同期しながら移動する。そのため、一対の開閉爪131,131は、拡開動作によるフィルム3の破損を防ぎながら近接対向するフィルム延出部31を拡開できる。
【0033】
移動ガイド装置5は、移動体51を移動ガイド部材52上で移動させる不図示の回動機構が設けられている。不図示の回動機構は近接対向するフィルム延出部31を拡開するフラップ拡張ユニット50を移動させる移動ガイド装置5を駆動させる回動機構(ボックスモーション機構)を備えていれば、特定の方法に限らない。例えば、金属製のチェーンを用いた公知の回動機構を設けてもよいし、公知のベルトコンベアやタイミングプーリーによって移動体51を移動させてもよい。
【0034】
また、本実施形態において、フィルム延出部31,31にそれぞれ近接する移動体51,51はそれぞれの移動ガイド部材52上を逆方向に移動する。図1において、被包装製品2のX方向奥側に配置された移動ガイド装置5の移動体51は、反時計回りに移動し、被包装製品2のX方向手前側に配置された移動ガイド装置5の移動体51は、時計回りに移動する。
【0035】
また、フィルム延出部31,31にそれぞれ近接する移動ガイド装置5,5は、上記の移動体51,51の逆向きの移動方向を考慮して構成されてもよい。例えば、一方のフィルム延出部31に近接する移動体51において、内側ローラー55は先行ローラー移動ガイド部材57の環内部を移動し、他方のフィルム延出部31に近接する移動体51において、内側ローラー55は後行ローラー移動ガイド部材58の環内部を移動する構成が挙げられる。
【0036】
また、移動ガイド装置5,5それぞれに備えられる先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とは、移動路形状変化開始差59の間隔を有して連続部52cがそれぞれ所定の位置に形成される構成により、先行ローラー53と後行ローラー54とが、直線部52aから湾曲部52bへ、またはその反対方向へ同時に移動するため、直線部52aと湾曲部52bとの間の移動路形状の変化による振動やガタ等がなく、滑らかに移動できる。
そのため、移動体51に設けられるフラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131についても移動時における移動路形状の変化による振動やガタ等が生じることなく近接対向するフィルム延出部31を拡開することができるため、フィルム延出部31,31それぞれからフィン141と一対のフラップ142,142とをズレや空隙等を生じさせることなく所望の作業精度で形成することができる。そのため、被包装製品2または包装完了製品4の外観への違和感や内部への異物の混入等の品質上の問題を防ぐことができる。
【0037】
上記の機構によってフラップ拡張工程13が完了し、被包装製品2は、図5(a)に示すフィルム延出部31,31が形成されている状態から図5(b)に示すフィルム延出部31,31それぞれからフィン141と一対のフラップ142,142とが形成された状態となる。
上記の状態から図1に示すように、続くフィン溶着工程14において、一対のフィン141,141はZ方向に熱シールされる。続くフィン折り上げ工程15において、熱シールされた一対のフィン141,141は被包装製品2のX方向両端面にそれぞれ対向して折り上げられる。続くフラップ折込み工程16において、被包装製品2のX方向に面する両端にそれぞれ形成された一対のフラップ142,142は、被包装製品2のX方向両端面にそれぞれ対向して折り上げられる。上記の工程によって、フィルム延出部31,31は被包装製品2のX方向両端面にそれぞれ全て折り込まれる。続くフラップ接着工程17において、それぞれの面に折り込んだ一対のフラップ142,142は熱シールされ、折り込まれた状態で固定される。
以上の工程によって、被包装製品2が所望の品質でフィルム3に包装された包装完了製品4が供給される。
【0038】
次に、上述した本発明の実施形態による作業ユニットの移動ガイド装置の作用・効果について図1乃至図5に基づいて説明する。
【0039】
図1乃至図3に示すように、フィルム胴巻きシール工程12までを完了し、フラップ拡張工程13に移送された被包装製品2のX方向両端部に形成されたフィルム延出部31,31の両方に、一方の直線部52aが近接対向し、フラップ拡張ユニット50が移動体51に備えられた移動ガイド装置5,5がそれぞれ近接して設けられる。
一方の移動ガイド装置5において、移動体51は、移動ガイド部材52上を移動して一方のフィルム延出部31に近接対向する直線部52aに達し、移動体51のZ方向上部に設けられたフラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131を近接対向する一方のフィルム延出部31に挿入する。移動体51は、一対の開閉爪131,131を一方のフィルム延出部31に挿入した状態で、一方のフィルム延出部31に近接対向する直線部52aを被包装製品2の移動に同期して移動することによって、フラップ拡張ユニット50に備えられる一対の開閉爪131,131が一方のフィルム延出部31を拡開する。一方のフィルム延出部31を所望の位置まで拡開することでフィン141と一対のフラップ142,142が形成される。また、移動体51は、一方のフィルム延出部31に近接対向する直線部52aから移動体51の移動方向に連続する湾曲部52bに移動することで、フラップ拡張ユニット50はフィン141のY方向両端部から離脱する。
【0040】
以上の機構により、被包装製品2のフラップ拡張工程13が完了し、図5(b)に示す所望の被包装製品2の包装構成が得られる。
X方向の両面にフィン141と一対のフラップ142,142とが形成された被包装製品2は工程移動機構10によって次の工程に移送され、同時にフラップ拡張工程13にはX方向両端にフィルム延出部31,31が形成された被包装製品2が順次移送される。また、移動体51は、移動ガイド部材52を1周して再度一方のフィルム延出部31に近接対向する直線部52aに移動し、上記の順次移送される被包装製品2に対して同様の拡開動作を繰り返す。
【0041】
以上の動作は、他方のフィルム延出部31に近接対向する他方の移動ガイド装置5においても同時に実施される。以上の機構により、フィルム延出部31,31それぞれから所望のフィン141と一対のフラップ142,142とが形成される。
【0042】
上記の機構により、被包装製品2のX方向両端部それぞれにフィルム3の破損等がなく、所望の品質でフィン141と一対のフラップ142,142とを形成することができるため、フラップ拡張工程13における所望の作業を完遂することができ、作業が完了した被包装製品2は次の工程に移送することが可能となる。
【0043】
また、各移動体51において、先行ローラー53と後行ローラー54とは、直線部52aから湾曲部52bへ、またはその反対方向へ同時に移動することができるため、各移動体51は、直線部52aと湾曲部52bとの間を移動路形状の変化による振動やガタ等がなく、滑らかに移動できる。
また、上記の構成により、各フラップ拡張ユニット50において一対の開閉爪131,131を振動やガタ等が生じることなく移動させ、近接するフィルム延出部31を拡開することができ、フィン141をズレや空隙等を生じさせることなく形成することができる。そのため、被包装製品2または包装完了製品4の外観への違和感や内部への異物の混入等の品質上の問題を防ぐことができる。
【0044】
また、各移動ガイド装置5において、先行ローラー53と後行ローラー54と内側ローラー55とが移動ガイド部材52を挟持して移動することによって、各ローラーの脱輪を防ぐことができ、移動体51を安定して移動させることが可能となり、フラップ拡張ユニット50による作業の精度を向上させることができる。
【0045】
また、各移動ガイド部材52において、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とは、それぞれ移動体51の移動方向に扁平な環状の板状部材により形成されているため、少ないスペースで各移動ガイド装置5を設けることができる。
【0046】
また、先行ローラー移動ガイド部材57と後行ローラー移動ガイド部材58とは、同じ形状の部材により形成されるため、所望の移動ガイド部材52および移動ガイド装置5を容易に構築することができる。
【0047】
以上、本発明による作業ユニットの移動ガイド装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、移動ガイド装置5をフィルム包装機構1に適用しているが、回動機構(ボックスモーション機構)を要するその他の作業機構に適用してもよい。また、上記の実施形態では、直線部52aと湾曲部52bとの連続部かつ変化部として各連続部52cが形成されているが、これらの連続部52cに該当する部位を滑らかに形成し、直線部52aと湾曲部52bとの移動路形状を高精度に連続させて形成してもよい。上記の構成によって、移動面形状の変化による移動体の移動中の振動やガタ等をより高効率に解消することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 フィルム包装機構
2 被包装製品
3 フィルム
4 包装完了製品
5 移動ガイド装置
10 工程移動機構
11 フィルム繰出・カット工程
12 フィルム胴巻きシール工程
13 フラップ拡張工程
14 フィン溶着工程
15 フィン折り上げ工程
16 フラップ折込み工程
17 フラップ接着工程
30 供給フィルム
31 フィルム延出部
50 フラップ拡張ユニット(作業ユニット)
51 移動体
52 移動ガイド部材
52a 直線部(第一区間)
52b 湾曲部(第二区間)
52c 連続部
53 先行ローラー
54 後行ローラー
55 内側ローラー(挟持ローラー)
55a 内側直線部
55b 内側湾曲部
56 移動体フレーム
57 先行ローラー移動ガイド部材
58 後行ローラー移動ガイド部材
59 移動路形状変化開始差
131 開閉爪
141 フィン
142 フラップ
550 内側ローラー移動路
570 先行ローラー移動路(第一移動路)
580 後行ローラー移動路(第二移動路)
R 回転中心
図1
図2
図3
図4
図5