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特開2022-152086車載装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152086
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車載装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20221004BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221004BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054724
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】表原 徹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】 カーシェアリングの車両を決められた車室へ返却することを補助する技術を提供する。
【解決手段】 シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置を把握できるGPS機能部(C)と、専用車室に設置された専用コードの読み取りが可能なコード読み取りカメラ(E)と、エンジンのオン/オフの状態を検知するエンジン状態発信部(D)と、シェアカーが専用車室へ駐車した場合に当該シェアカーの返却終了処理を可能とする返却処理装置(G)と、シェアカーが前記の専用車室以外の車室へ駐車した場合には専用車室への駐車を促す出力をする出力装置(F)と、を備える。専用車室ではない車室にてエンジンをオフにした場合には、返却処理がなされないので、運転者が車室を誤ったことに気付き、駐車をやり直すこととなる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置を把握できるGPS機能部と、
前記の専用車室に設置された専用コードの読み取りが可能なコード読み取りカメラと、
エンジンのオン/オフの状態を検知するエンジン状態発信部と、
前記のシェアカーが前記の専用車室へ駐車した場合に当該シェアカーの返却終了処理を可能とする返却処理装置と、
前記のシェアカーが前記の専用車室以外の車室へ駐車した場合には専用車室への駐車を促す出力をする出力装置と、
を備えた車載装置であって、
前記の返却処理装置は、
前記のGPS機能部によって前記の専用車室のある駐車場の位置に当該シェアカーが存在する旨を検知し、
前記の読み取りカメラが前記の専用コードを読み取り、
前記のエンジン状態発信部がエンジンのオフを検知した
場合にのみ、前記のシェアカーの返却が可能とすることとした車載装置。
【請求項2】
シェアカーの運転者に対する報知手段を備え、
その報知手段は、シェアカーの返却が可能である場合にシェアカーの運転者へシェアカーの返却が可能である旨を出力させることとした
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
シェアカーの運転者に対する報知手段を備え、
その報知手段は、シェアカーの返却が不能である場合にシェアカーの運転者へシェアカーの返却が不能である旨を出力させることとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車載装置。
【請求項4】
シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置を把握できるGPS機能部と、
前記の専用車室に設置された専用コードの読み取りが可能なコード読み取りカメラと、
エンジンのオン/オフの状態を検知するエンジン状態発信部と、
前記のシェアカーが前記の専用車室へ駐車した場合に当該シェアカーの返却終了処理を可能とする返却処理装置と、
前記のシェアカーが前記の専用車室以外の車室へ駐車した場合には専用車室への駐車を促す出力をする出力装置と、
を備えた車載装置を制御するコンピュータプログラムであって、
そのコンピュータプログラムは、
シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置である返却位置データを予め記憶する返却位置データ記憶手順と、
前記のGPS機能部から前記のシェアカーの位置データを取得する位置データ受信手順と、
その位置データ受信手順にて取得した位置データが前記の返却位置データと一致しているか否かを判断する位置データ判断手順と、
前記の読み取りカメラが前記の専用コードを読み取るコード読み取り手順と、
前記のエンジン状態発信部がシェアカーのエンジンのオフを検知するエンジンオフデータ受信手順と、
前記のコード読み取り手順にて専用コードを読み取った場合にのみ前記のシェアカーの返却が可能である旨を判断する判断手順と、
その判断手順にてシェアカーの返却が可能である旨を判断した場合に前記のシェアカーの返却を可能とする返却処理手順と、
を前記の車載装置に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記の車載装置には、シェアカーの運転者に対する報知を実行する報知手段を備えることとし、
前記の判断手順にてシェアカーの返却が可能である旨を判断した場合にシェアカーの運転者にシェアカーの返却が可能である旨を前記の報知手段を介して報知する返却可能報知手順を、車載装置に実行させることとした
請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記の車載装置には、シェアカーの運転者に対する報知を実行する報知手段を備えることとし、
前記の判断手順にてシェアカーの返却が不能である旨を判断した場合にシェアカーの運転者にシェアカーの返却が不能である旨を前記の報知手段を介して報知する返却不能報知手順を、車載装置に実行させることとした
請求項4または請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングに用いる車両(シェアカー、レンタカーを含む)を、正しい返却場所へ返却することに寄与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェアリングをサービス事業として提供している事業体は、カーシェアリングに用いるシェアカー、そのシェアカーを駐車しておくためのカーシェア車室を提供している。加えて、予め会員登録をした会員がシェアカーを予約したり、シェアカーのドアロックの開閉をしたり、利用料金を支払ったりできる情報系インフラストラクチャーを備えている。
【0003】
一台の車両を共同購入、共同使用するカーシェアリングにおいては、共同住宅の住人であるユーザが駐車場から借りた自動車を元の駐車場へ返却することを前提としており、限定された狭い範囲内で行うカーシェアリングを対象としている。
【0004】
そうしたカーシェアリングにおいて、ユーザが任意の場所で自動車を乗り捨てることができるようにするための技術として、特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5238463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1を用いて、発明が解決すべき問題点を説明する。
カーシェアリング事業者がシェアカーを駐車しておくためのカーシェア車室は、月極契約をして貸し出される月極契約車室や、時間貸しをするために確保された時間貸し車室または予約のみ利用可能な予約専用車室と混在している場合がある(図1(a)参照)。
【0007】
図1(a)では、月極契約車室、カーシェア用車室、時間貸し車室、月極契約車室、または予約のみ利用可能な予約専用車室、というように並んで配置されている。そして、左端の月極契約者室に入っていた車両が出庫していたとする。続いて、カーシェア用車室に駐車していたシェアカーを、カーシェアリングのユーザが使ったとする。
【0008】
シェアカーを使用したユーザが返却すべき車室を誤ってしまい、カーシェア用車室へ返却せず、空いていた隣の月極契約車室へ返却してしまう場合がある(図1(b)参照)。この状態で、月極契約車両が戻ってくると、自分の契約している車室へ別の車両が駐車しているため、困ってしまうのである。
【0009】
カーシェア用車室の路面には、「カーシェア専用」とペイント表示または看板設置をするなどしているが、夜間などは見えにくい。また、シェアカーを使用したユーザは、月極契約をしている契約者よりも車両を使う頻度が低かったり、その駐車場を利用する頻度が低かったりすることもあり、シェアカーを使用したユーザが返却すべき車室を誤ってしまう事態が生じているのである。
【0010】
前述した問題点については、特許文献1を抽出する際に用いた検索キーワードでは、解決に至るような文献を発見できなかった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、カーシェアリングに用いられる車両(シェアカー)を決められた車室へ返却することを補助することに寄与する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決するため、シェアカーに搭載された車載装置に係る第一の発明、および第一の発明である車載装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0013】
(第一の発明)
第一の発明は、シェアカーの車載装置に係る。
車載装置には、シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置を把握できるGPS機能部(多機能カーナビゲーション装置C)と、
前記の専用車室に設置された専用コードの読み取りが可能なコード読み取りカメラ(E)と、
エンジンのオン/オフの状態を検知するエンジン状態発信部(D)と、
前記のシェアカーが前記の専用車室へ駐車した場合に当該シェアカーの返却終了処理を可能とする返却処理装置(制御部H)と、
前記のシェアカーが前記の専用車室以外の車室へ駐車した場合には専用車室への駐車を促す出力をする出力装置(多機能カーナビゲーション装置F)と、
を備えた車載装置であって、
前記の返却処理装置(制御部H)は、
前記のGPS機能部(C)によって前記の専用車室のある駐車場の位置に当該シェアカーが存在する旨を検知し、
前記の読み取りカメラ(E)が前記の専用コード(B)を読み取り、
前記のエンジン状態発信部(D)がエンジンのオフを検知した場合にのみ、前記のシェアカーの返却が可能とする(図5図2図4参照)。
【0014】
(用語説明)
「シェアカー」とは、予め会員登録したユーザに対してカーシェアリング事業者が提供する車両である。カーシェアリング事業には、レンタカー事業も含むこととする。したがって、レンタカーも含まれる。
【0015】
「車室」とは、駐車場において、車両一台が駐車するためのスペースとして、他のスペースと区別しているスペースである。駐車場の路面へ表示しているものが一般的であるが、立体駐車場のように車室として囲われている場合もある。
【0016】
「専用コード」とは、読み取りカメラ(E)が読み取った場合にシェアカーを駐車させる専用車室であることを特定するためのコードである。最も代表的は二次元バーコード(QRコード=登録商標)、またはバーコードなどであるが、バーコードに限られない。読み取りカメラ(E)が「所定の図柄」を読み取ったら専用車室である、と認識できるのであれば、そのような所定の図柄も、ここにいう「専用コード」である。
【0017】
「読み取りカメラ」とは、シェアカーが駐車させる際に専用車室へ設置している専用コードを読み取れるように設置したカメラである。専用コードは専用車室の後方へ設置する場合が多いので、シェアカーをバックさせる際に後方を捉えて画面表示させるためのバックモニタ用カメラ、ドライブレコーダにおける後方カメラ、二次元バーコード読み取り専用リーダなどが「読み取りカメラ」となる。専用コードが専用車室の前方に設置されている場合には、前方カメラ、となる。
【0018】
「返却処理装置」とは、シェアカーを利用したユーザが利用を終了した旨の事務処理を実行する装置である。たとえば、シェアカーの返却が終了した場合にシェアカーのドアをロックする施錠解錠装置、シェアカーの利用を終了した旨のデータを管理サーバへ送信するためのデータ通信装置(図5では、カードリーダおよびサーバ通信部も)である。
【0019】
「出力装置(E)」とは、たとえば、スピーカであり、スピーカには異常返却である場合に出力すべき音声データを予め組み込んでおき、近距離無線通信機(C)が異常返却である旨のデータを受信したら、その音声データを出力する。
出力装置(E)としては、たとえば、多機能カーナビゲーション装置でもよい。多機能カーナビゲーション装置であれば、前述のスピーカに加え、画面への出力も可能となる。
【0020】
(作用)
カーシェアリングを利用したユーザが運転するシェアカーが、カーシェア用車室のある駐車場へ入庫し、駐車しようとしたとする。その時のシェアカーの位置は、GPS機能部(C)が把握する。
ユーザが専用車室へシェアカーを駐車させるように運転すると、読み取りカメラ(E)が専用コードを読み取る。専用車室への駐車動作を完了した場合には、ユーザはシェアカーのエンジンをオフとするが、そのエンジンオフについては、エンジン状態発信部が発信する。
【0021】
シェアカーの位置データ、専用コードの読み取り、エンジンオフの3条件が揃ったので、シェアカーが専用車室へ駐車を完了したと判断することができ、返却処理装置(G)は、シェアカーの返却を終了とする処理を実行する。
【0022】
ユーザが専用車室ではない別の車室へ駐車してしまうような運転をすると、シェアカーの位置データが専用車室のある駐車場であり、エンジンがオフとなったとしても、読み取りカメラ(E)が専用コードを読み取ることができない。この場合、返却処理装置(G)は、シェアカーの返却を終了させることはなく、ユーザは返却を完了させることができない。また、出力装置(F)が専用車室への駐車を促す出力をする。その出力にてユーザが気付いたら、専用車室への駐車を試みることが期待できる。
【0023】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、シェアカーの運転者に対する報知手段を備え、
前記の報知手段は、シェアカーの返却が可能である場合にシェアカーの運転者へシェアカーの返却が可能である旨を出力させることとするのである。
【0024】
「報知手段」とは、例えば、音声による出力が可能なスピーカ、光による出力が可能なランプ、画像(静止画、動画を問わず)を出力可能なモニタ、などである。より具体的には、多機能カーナビゲーション装置、カードリーダにおいて点灯や点滅が可能なランプである。
【0025】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、シェアカーの運転者に対する報知手段を備え、
その報知手段は、シェアカーの返却が不能である場合にシェアカーの運転者へシェアカーの返却が不能である旨を出力させることとするのである。
【0026】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係る車載装置を制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、
シェアカーを駐車させる専用車室がある駐車場の位置である返却位置データを予め記憶する返却位置データ記憶手順と、
前記のGPS機能部から前記のシェアカーの位置データを取得する位置データ受信手順と、
その位置データ受信手順にて取得した位置データが前記の返却位置データと一致しているか否かを判断する位置データ判断手順と、
前記の読み取りカメラが前記の専用コードを読み取るコード読み取り手順と、
前記のエンジン状態発信部がシェアカーのエンジンのオフを検知するエンジンオフデータ受信手順と、
前記のコード読み取り手順にて専用コードを読み取った場合にのみ前記のシェアカーの返却が可能である旨を判断する判断手順と、
その判断手順にてシェアカーの返却が可能である旨を判断した場合に前記のシェアカーの返却を可能とする返却処理手順と、を車載装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0027】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記の車載装置には、シェアカーの運転者に対する報知を実行する報知手段を備えることとし、
前記の判断手順にてシェアカーの返却が可能である旨を判断した場合にシェアカーの運転者にシェアカーの返却が可能である旨を前記の報知手段を介して報知する返却可能報知手順を、車載装置に実行させることとするのである。
【0028】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記の車載装置には、シェアカーの運転者に対する報知を実行する報知手段を備えることとし、
前記の判断手順にてシェアカーの返却が不能である旨を判断した場合にシェアカーの運転者にシェアカーの返却が不能である旨を前記の報知手段を介して報知する返却不能報知手順を、車載装置に実行させることとするのである。
【0029】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第二の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0030】
第一の発明によれば、シェアカーを正しい返却場所へ返却することに寄与する車載装置を提供することができた。
第二の発明によれば、シェアカーを正しい返却場所へ返却することに寄与する車載装置の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来の駐車場におけるカーシェアリング用車室と、シェアカーの誤った返却とを示す平面図である。
図2】本発明における実施形態のハードウェア構成を示すための概念図である。
図3】本発明における実施形態のハードウェア構成を示すための概念図である。
図4】本発明における実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
図5】本発明における実施形態にて、ハードウェア構成を示すためのブロック図である。
図6】本発明における実施形態にて、誤った(異常な)返却がなされた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、図2から図6である。必要に応じて、図1も参照する。
【0033】
図2図3
図2では、図1と同じ配置で、月極契約車室、カーシェア用車室、時間貸し車室、月極契約車室(または予約専用車室)が並んでいる。そして、カーシェア用車室にはシェアカーが、時間貸し車室には別の車両が駐車している。
【0034】
シェアカーを利用することができるカーシェアリングのユーザは、会員登録を予め済ませており、自らの属性データと紐付いたIDが格納された会員カード(またはスマートフォンなどの携帯情報端末)を保有している。そのIDを用いてシェアカーの利用予約をしたり、予約したシェアカーの解錠施錠をしたりする。
【0035】
カーシェア用車室における奥側には、専用看板が立設してある。そして、その専用看板におけるカーシェア用車室側には、専用コード(二次元バーコード)が2カ所に貼付されている。2カ所に貼付されている専用コードは同じモノである。いずれかに汚れや破損があっても、車載のカメラが読み取れるようにするためである。
【0036】
シェアカーには、以下のような装置が搭載されている。すなわち、カーナビゲーション機能に加えて様々な情報を出力できる多機能カーナビゲーション装置(C,F)、エンジンの状態(ON、OFF、パーキング、ドライブ(前進)、バック、ニュートラルなど)を発信するエンジン状態発信部(D)、前述の専用コードを読み取るための読み取りカメラ(E)、および施錠解錠装置(G)である。これらの装置を制御する制御装置を含め、「車載装置」とする。
【0037】
多機能カーナビゲーション装置(C,F)は、GPS衛星(A)との通信によって現在位置の情報(位置データ)を定期的(たとえば数行毎)に取り込む。
【0038】
本実施形態における読み取りカメラ(E)は、シェアカーのシフトギアがバックへ入った際に作動する後方確認用のカメラである。その読み取りカメラ(E)が捉えた後方の画像は、多機能カーナビゲーション装置(C,F)のモニタへ出力される。
【0039】
なお、カーシェア用車室が「前方駐車」と決められている場合には、前述の読み取りカメラ(E)は、シェアカーの前方を撮影できるカメラとなる。
【0040】
図3(a)には、専用看板の正面図を示す。
図3(b)には、専用看板を含んだ駐車場の平面図を示す。
図3(c)には、シェアカーおよびその車載装置とGPS衛星(A)との関係を概念的に示す。
【0041】
図4
図4では、前述したハードウェアがどのように作動するかを、フローチャートにて示す。
まず、シェアカーが返却すべきカーシェア用車室のある駐車場へ戻ってきたとする。そして、その駐車場へ入庫する(S1)。図示を省略しているが、駐車場の入り口(または出入り口)にゲート装置が設置されていることが多い。
【0042】
シェアカーに搭載されたカーナビゲーション装置のGPS機能は、シェアカーの位置データを取得している。よって、その位置データが専用車室の近傍であるか否かを、制御部(H)が位置データを取得し、判断する(S2)。制御部(H)については、図5で説明する。
【0043】
シェアカーの運転者(会員ユーザ)は、専用車室へ駐車するように運転する。すなわち、シェアカーのシフト操作にて、トランスミッションをバック(後退)に入れる。バックに入れた旨の信号は、エンジン状態発信部が制御部へ送信される(S3)。
【0044】
シェアカーの読み取りカメラ(E)が作動し、読み取りカメラ(E)はシェアカーの後方を撮影する。後方には、図2および図3に示したように専用看板があり、専用コード(B)の画像認識を開始する(S4)。
【0045】
シェアカーの運転者が、専用車室への駐車を完了させ、エンジンをOFFとしたとする(S5)。一方、専用コード(B)は読み取りカメラ(E)の画像データを処理することで、シェアカーを駐車させるべきシェアカー用車室である旨の情報に置き換えられる。そして、返却すべき車室であることが制御部によって確認されたとする(S6)。
【0046】
シェアカーの車両位置データ、専用コード、エンジンOFFの3条件が揃ったので、シェアカーが返却すべきシェアカー用車室へ返却されたと、制御部は判断することができる。その判断によって、制御部は返却完了の処理を可能とする。具体的には、運転者が保有している会員カードのIDを読み取らせるためのカードリーダが、ID読み取りを可能とするモードに切り替わり、それを運転者へ知らせるためにカードリーダは点灯する(S7)。
【0047】
運転者がカードリーダへ会員カードをかざすと、非接触通信によってカードリーダが会員カードのIDを読み取る。そこで、運転者によるシェアカーの利用時刻を終了とする処理を実行し、返却を完了する(S8)。
【0048】
前記のS5によってエンジンOFFをするまでに、読み取りカメラ(E)が専用コードを読み取ることができなかったとする(S6)。すると、多機能カーナビゲーション装置(F)のスピーカからは、「返却場所が違います」という音声アナウンスを出力する(S9)。
また、返却処理を実行できなくするため、カードリーダへ会員カードをタッチしてもIDの読み取りを行わないように、制御部はカードリーダを制御する。
【0049】
なお、前述した実施形態においては、会員IDなどを記憶させた記憶チップを内蔵した会員カードによるシェアカー車両の返却を完了させることとして説明した。しかし、会員ユーザに係る携帯情報端末(代表的にはスマートフォン)にて会員カードの代用をさせる場合もある。本願発明は、会員カード方式、スマートフォン方式のいずれかを問うものではない。
【0050】
図5
図5は、シェアカーの車載装置について、制御部(H)を中心としたハードウェア間で、どのようなデータや信号が行き来するか、をブロック図で示している。
【0051】
シェアカーの車載装置は、シェアカーの管理データや会員ユーザのデータなどを蓄積しているカーシェアリング管理サーバ(図中では「カーシェア管理サーバ」)と通信している。
たとえば、ある会員がシェアカーを利用する場合、そのシェアカーの返却位置データを含め、シェアカーに必要なデータを予め送信してある。また、シェアカーの管理データとして、たとえば返却処理が終了した場合に返却終了の旨をシェアカーからカーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0052】
シェアカーの車載装置では、それらのデータ送受信をサーバ通信部(N)が担う。また、前述の返却位置データは、メモリ(M)へ格納される。
【0053】
シェアカーは、多機能カーナビゲーション装置のGPS機能部(C)がGPS衛星(A)からの電波をキャッチすることで位置データを継続的に取得している。
【0054】
シェアカーのエンジンの状態については、エンジンのON/OFF、およびトランスミッションに関するギアシフト(前進/後退など)などのデータを、エンジン状態発信部が制御部(H)へ送信している。
【0055】
シェアカーに搭載された読み取りカメラは、専用看板の専用コード(二次元バーコード)を読み取り、デジタル変換し、制御部(H)へ送信する。
【0056】
制御部(H)においては、メモリ(M)へ格納された返却位置データと、GPS機能部が受信した位置データとが一致しているか否か、について、制御部(H)が判断する。
【0057】
シェアカーのギアシストにてバックとなった旨を受信した制御部(H)は、読み取りカメラ(E)を作動させる。読み取りカメラ(E)は、後方の画像の取得を開始する。読み取りカメラ(E)が取得した画像に、専用看板の専用コードがあれば、その専用コードが表している情報(カーシェア用車室である旨)へ変換し、制御部へその旨の信号を送信する。
【0058】
シェアカーがカーシェア用車室への駐車操作を終了し、エンジンをOFFとすると、エンジン状態発信部(D)は、エンジンがOFFとなった旨の信号を制御部(H)へ送信する。
【0059】
メモリ(M)に格納されていた返却位置データとGPS機能部(C)が受信した位置データとが一致したこと、読み取りカメラ(E)が専用車室への停車を確認したこと、およびエンジンがOFFとなったことを条件に、制御部(H)は、カードリーダ(R)による会員カードの読み取りが可能な状態とする。また、多機能カーナビゲーション装置のスピーカを介してシェア終了のアナウンスが出力されるように、および多機能カーナビゲーション装置のモニタを介してシェア終了の画面表示がなされるように、命令する。
【0060】
会員ユーザがシェアカーを降車し、会員カードをカードリーダ(R)にかざすと、カードリーダ(R)は会員カードから会員IDを読み取り、施錠解錠装置(G)に信号を発信してシェアカーの施錠を完了する。また、カードリーダ(R)は、シェアカーの返却が終了した旨の信号をサーバ通信部(N)へ送信する。サーバ通信部(N)はカーシェアリング管理サーバに対して、返却終了の旨を送信する。
【0061】
図6
図6は、シェアカーがカーシェア用車室へ返却のために駐車し、返却すべき車室を誤った状態を示す斜視図である。返却時刻が夜間の時間帯になっていたりすると、こうした誤りが起きやすい。
月極契約者室、カーシェア用車室、時間貸し車室、月極契約車室が並んでおり、シェアカーは、カーシェア用車室の隣にある月極契約者室へ返却しようとして駐車したとする。
【0062】
読み取りカメラ(E)は、カーシェア用車室へ駐車したのではないシェアカーからは専用コードを捉えることができない。この段階で、エンジンをOFFとすると、制御部は、正常な車室(カーシェア用車室)ではない車室への駐車がなされた旨が判断できることとなる。
【0063】
異常な駐車である旨の信号は、多機能カーナビゲーション装置(E)へ送信され、多機能カーナビゲーション装置(E)からは、シェアカーの運転者に対して異常な駐車である旨、すなわち、「返却位置が異なるため、返却処理を完了できません」といったメッセージを、多機能カーナビゲーション装置の音声や画面表示にて出力する。また、施錠解錠装置(G)に対して、施錠不能とする旨の信号を送信する(8)。
【0064】
シェアカーの運転者は、シェアカーの利用が完了不能であれば、駐車場所が異なる旨に気づきやすい。その後、正常な駐車場所、すなわち専用看板のあるシェアカー用車室へ駐車させ、シェアカーの利用を完了させることとなる。これによって、異なる車室(たとえば、月極契約車室)へ駐車してしまって、月極契約車室の契約者が駐車しようとしたのにシェアカーが駐車している、といった事態の発生を未然に防ぐことに寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、駐車場の運営管理業、駐車場の運営に必要な機器の製造業やメンテナンス業、駐車場に関わるデータを扱うデータサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6