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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152185
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20221004BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G06Q50/08
G01C15/00 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054860
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】菊池 武志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】測量機器の利用者の使用状況に対する器械ミスマッチを識別する。
【解決手段】情報処理装置(100)は、複数の測量機器(M,M,…M)から各測量機器が記憶している情報を収集し、測量機器情報と使用された測定機能情報と使用された測定量情報を関連付けて学習データを作成する入力情報作成部(131);および前記学習データを用いて機械学習を実行し、利用者の所有または管理する対象測量機器(M101~M105)で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデル(121)を生成する学習モデル生成部(132):を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集し、測量機器情報と使用された測定機能情報と使用された測定量情報を関連付けて学習データを作成する入力情報作成部;および
前記学習データを用いて機械学習を実行し、利用者の所有または管理する対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルを生成する学習モデル生成部:
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記入力情報作成部は、前記測定機能情報として、少なくとも、測距,測角,プリズム測距,水平方向測定,高低差測定,および各種の応用測量の機能を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記入力情報作成部は、前記測定量情報として、少なくとも、測定回数,測定点数,測定範囲,および稼働時間を抽出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力情報作成部は、前記測量機器情報として、少なくとも、測量機器の型番種類を抽出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
利用者の所有または管理する対象測量機器が記憶している情報を対象データとして取得する対象情報取得部;
前記対象データから前記対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報を抽出する対象情報抽出部;
複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集した収集データから測量機器情報と測定機能情報と測定量情報を学習データとして機械学習を実行し、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルに、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報を入力して、前記利用者の実際の使用状況に適切な測量機器を推定する推定部;および
前記推定部の推定結果を前記利用者に提供する結果提供部:
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記対象情報取得部は、前記対象データを、設定された集計期間で取得し、
前記推定部は、前記集計期間ごとに推定を行い、
前記結果提供部は、前記集計期間ごとに前記利用者に前記推定結果を提供することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記結果提供部は、前記利用者の端末装置に、前記推定結果に基づく測量機器をスコアが高い順に表示し、測量機器の買い替えまたは買い足しを提案する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記結果提供部は、前記利用者の端末装置に、前記利用者の顧客ごとに、前記推定結果に基づく測量機器をスコアが高い順に表示し、測量機器の買い替えまたは買い足しを提案する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集データとして収集するステップ;
前記収集データから測量機器情報と使用された測定機能情報と使用された測定量情報を抽出し、前記測量機器情報と前記測定機能情報と前記測定量情報のセットを学習データとして作成するステップ;および
前記学習データを用いて機械学習を実行し、利用者の所有または管理する対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルを生成するステップ;
前記対象測量機器が記憶している情報を対象データとして取得するステップ;
前記学習モデルに、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報を入力して、前記利用者の実際の使用状況に適切な測量機器を推定するステップ;および
推定結果を前記利用者に提供するステップ;
を有することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関し、より詳細には、利用者の器械ミスマッチを識別するための情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測量機器には、レベル、セオドライト、トータルステーション、3Dスキャナーなどの器械種類がある。一般論として、レベルは対象点間の水平方向測定と高低差測定、セオドライトは対象点の水平角と高度角の測角、トータルステーションはプリズムまたはプリズム以外の対象点の測距と測角による三次元座標の測定、スキャナーは複数の対象点の三次元座標の測定に好適な器械であり、近年は、くい打ちサポート機能や面積計算機能などの応用機能を備えたトータルステーションや、後方交会法サポート機能などの応用機能を備えたスキャナーなどの高機能機器もある(トータルステーションについて、例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-202821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、測量機器には多数の種類があり、同種の測量機器にも仕様や機能が異なる製品が多数ラインナップされている。このため、実際には、ユーザーの使用目的や使用状況と比較すると、オーバースペックな機器を使用していたり、逆に低スペックな機器を使用していたり、あるいは、別の器械種類のほうが適している、などの場合が考えられる。このような器械ミスマッチがあった場合、ユーザーは利用料を払いすぎていたり、非効率な作業を行っている可能性が高い。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、測量機器の利用者の使用状況に対する器械ミスマッチを識別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理装置は、複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集し、測量機器情報と使用された測定機能情報と使用された測定量情報を関連付けて学習データを作成する入力情報作成部;および、前記学習データを用いて機械学習を実行し、利用者の所有または管理する対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルを生成する学習モデル生成部:を備えることを特徴とする。
【0007】
上記態様において、前記入力情報作成部は、前記測定機能情報として、少なくとも、測距,測角,プリズム測距,水平方向測定,高低差測定,および各種の応用測量の機能を抽出するのも好ましい。
【0008】
上記態様において、前記入力情報作成部は、前記測定量情報として、少なくとも、測定回数,測定点数,測定範囲,および稼働時間を抽出するのも好ましい。
【0009】
上記態様において、前記入力情報作成部は、前記測量機器情報として、少なくとも、測量機器の型番種類を抽出するのも好ましい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理装置は、利用者の所有または管理する対象測量機器が記憶している情報を対象データとして取得する対象情報取得部;前記対象データから前記対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報を抽出する対象情報抽出部;複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集した収集データから測量機器情報と測定機能情報と測定量情報を学習データとして機械学習を実行し、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルに、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報を入力して、前記利用者の実際の使用状況に適切な測量機器を推定する推定部;および、前記推定部の推定結果を前記利用者に提供する結果提供部:を備えることを特徴とする。
【0011】
上記態様において、前記対象情報取得部は、前記対象データを、設定された集計期間で取得し、前記推定部は、前記集計期間ごとに推定を行い、前記結果提供部は、前記集計期間ごとに前記利用者に前記推定結果を提供するのも好ましい。
【0012】
上記態様において、前記結果提供部は、前記利用者の端末装置に、前記推定結果に基づく測量機器をスコアが高い順に表示し、測量機器の買い替えまたは買い足しを提案するのも好ましい。
【0013】
上記態様において、前記結果提供部は、前記利用者の端末装置に、前記利用者の顧客ごとに、前記推定結果に基づく測量機器をスコアが高い順に表示し、測量機器の買い替えまたは買い足しを提案するのも好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法であって、複数の測量機器から各測量機器が記憶している情報を収集データとして収集するステップ;前記収集データから測量機器情報と使用された測定機能情報と使用された測定量情報を抽出し、前記測量機器情報と前記測定機能情報と前記測定量情報のセットを学習データとして作成するステップ;および、前記学習データを用いて機械学習を実行し、利用者の所有または管理する対象測量機器で使用された対象測定機能情報と対象測定量情報が入力された場合に、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報に対して適切な測量機器を推定する学習モデルを生成するステップ;前記対象測量機器が記憶している情報を対象データとして取得するステップ;前記学習モデルに、前記対象測定機能情報と前記対象測定量情報を入力して、前記利用者の実際の使用状況に適切な測量機器を推定するステップ;および、推定結果を前記利用者に提供するステップ;を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測量機器の利用者の使用状況に対する器械ミスマッチを識別する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る情報処理のための学習モデルを説明する図である。
図2】本実施の形態に係る情報処理のための概略構成を説明する図である。
図3】本実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4】ある測量機器からの収集データの例である。
図5】本実施の形態に係る情報処理の学習フェーズのフローチャートである。
図6】本実施の形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図7】本実施の形態に係る情報処理による推定結果の例である。
図8】本実施の形態に係る情報処理による推定結果の例である。
図9】本実施の形態に係る情報処理の推定フェーズのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
1.情報処理の概要
最初に、本実施の形態に係る情報処理の概要を説明する。図1は本実施の形態に係る情報処理のための学習モデルを説明する図、図2は同情報処理のための概略構成を説明する図である。
【0019】
図2に示す情報処理装置100は、測量機器メーカが所有する管理サーバである。情報処理装置100は、通信ネットワークNを介して、測量機器メーカが提供した複数の測量機器M,M,…MNと接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide・Area・Network)である。測量機器は、例えば、レベル、セオドライト、トランシット、トータルステーション、GNSS装置、レーザ墨出し器、レーザ距離計、3Dスキャナーなどである。測量機器M,M,…Mは、各測量機器が記憶しているデータを、例えば、一定時間(1時間、1日、1週間、1か月等)ごと、測定ごと、または電源を入れるごと、などのタイミングで、情報処理装置100に送信している。
【0020】
情報処理装置100は、通信ネットワークNを介して、測量機器M,M,…Mから、データを収集する。図1に示すように、情報処理装置100は、測量機器M,M,…Mから収集されたビックデータ(以降、「収集データ120」と言う)から、「測量機器情報」と、使用された「測定機能情報」と、使用された「測定量情報」と、を抽出する。情報処理装置100は、これらのセットを「学習データ」として機械学習を行い、学習モデル121を生成する。
【0021】
また、図2に示すように、情報処理装置100は、通信ネットワークNを介して、端末装置20と接続されている。端末装置20は、通信ネットワークNを介して、測量機器M101~M105と接続されている。端末装置20は、利用者Cが所有しているデスクトップPC(Personal・Computer)等であり、利用者Cは、測量機器の所有者やレンタル利用者(ユーザー)、または測量機器の代理店(ディーラー)である。測量機器M101~M105は、利用者Cが所有または管理している測量機器(以降、「対象測量機器」と称する。)である。端末装置20からは、測量機器M101~M105を管理するためのWebページを開くことができる。このような測量機器の通信管理システムは、例えば、特開2019-7903等に開示された公知の構成とすることができる。利用者Cは、Webページを介して学習モデル121の推定結果の提供を受けることができる。
【0022】
図1に示すように、情報処理装置100は、「入力データ」として、利用者Cの対象測量機器M101~M105の測定機能情報と測定量情報を抽出し、これらを「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」として、学習モデル121に入力する。対象測定機能情報と対象測定量情報は、すなわち、利用者Cの実際の使用状況と言える。学習モデル121は、「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」の入力に対して、利用者Cに「適切な測量機器」を出力する。
【0023】
そして、情報処理装置100は、出力データ(推定結果)に応じて、利用者Cに、測量機器の買い足しまたは買い替えを提案する。以上が、本実施の形態で行う情報処理の概要である。以降、学習フェーズと推定フェーズに分けて、詳細を説明する。
【0024】
2.学習フェーズの情報処理
2-1.情報処理装置の構成
学習フェーズにおける情報処理装置100の詳細な構成について説明する。図3は、情報処理装置100の構成例を示す図である。情報処理装置100は、いわゆるサーバコンピュータである。情報処理装置100は、通信部101と、主記憶装置102Aと、補助記憶装置102Bと、制御部103と、を備える。
【0025】
通信部101は、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェースカード、LANカード等の通信制御装置であり、情報処理装置100を通信ネットワークNと有線または無線で接続する。制御部103は、通信部101および通信ネットワークNを介して、測量機器M,M,…M図2)と各種情報を送受信する。
【0026】
主記憶装置102Aは、RAM(Random・Access・Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD(Hard・Disc・Drive)、光ディスク等の記憶媒体である。
【0027】
主記憶装置102Aには、複数の測量機器M,M,…Mから収集した「収集データ120」が記憶されている。収集データ120は、後述する「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」の他に、測定データ、画像データ、音声データ、環境データ、エラーログ、部品等の機械ログ、メンテナンス時期やレンタル期間に関するデータなど、様々なデータを含んだものである。主記憶装置102Aは、収集データを、新規データを受け付けるごとに、測量機器の個体番号に対して一つ与える識別IDで関連付けて、測定単位または日付単位で識別可能に記憶する。収集データは、本実施の形態以外にも、測定データ解析やエラー解析の目的等で使用される。なお、収集データ120は、主記憶装置102Aに記憶されるのではなく、情報処理装置100とは別のサーバやクラウドストレージに記憶されていてもよい。
【0028】
また、主記憶装置102Aは、後述する「測量機器情報」の抽出のために、測量機器の個体番号に基づき、測量機器の、レベル/セオドライト/トータルステーション/スキャナー等の「器械種類」と、同種の測量機器に対して「型番種類(型番)」を特定するための、機器識別テーブル123を記憶している。なお、機器識別テーブル123も、主記憶装置102Aに記憶されるのではなく、情報処理装置100とは別のサーバやクラウドストレージに記憶されていてもよい。
【0029】
補助記憶装置102Bは、SRAM、フラッシュメモリまたHDD等の記憶媒体である。補助記憶装置102Bには、学習モデル121と学習データDB122が記憶されている。なお、これらもまた、補助記憶装置102Bに記憶されるのではなく、情報処理装置100とは別のサーバやクラウドストレージに記憶されていてもよい。
【0030】
学習データDB122は、後述する入力情報作成部131が作成した学習データセットを記憶する。学習モデル121は、後述する学習モデル生成部132により生成され、機械学習の結果として作成される分類器として機能する。詳細は、学習モデル生成部132の説明で述べる。
【0031】
制御部103は、1つもしくは複数のCPU(Central・Processing・Unit)、マルチコアCPUまたはGPU(Graphics・Processing・Unit)等により構成される。制御部103は、バスを介して情報処理装置100を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0032】
制御部103は、機能部として、入力情報作成部131、学習モデル生成部132、対象情報取得部135、対象情報抽出部136、推定部137、結果提供部138を備える。このうち、入力情報作成部131と学習モデル生成部132が、学習フェーズで機能する。残りの機能部135,136,137,および138は、推定フェーズで機能する。
【0033】
各部の機能は、例えば、CPUが、ROMまたは主記憶装置102Aに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また各部の一部は、ASIC(Application・Specific・Integrated・Circuit)や、FPGA(Field-Programmable・Gate・Array)等のハードウェアで構成されていてもよい。
【0034】
入力情報作成部131は、主記憶装置102Aに集められた収集データ120から、それぞれの測量機器に対して、「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」を抽出する。
【0035】
入力情報作成部131は、「測定機器情報」として、測量機器の「器械種類」と「型番種類」を抽出する。収集データ120に「器械種類」と「型番種類」が無い時は、測量機器の個体番号から、機器識別テーブル123を参照して、少なくとも「型番種類」を抽出する。
【0036】
入力情報作成部131は、「測定機能情報」として、少なくとも、測距機能、測角機能、プリズム測距機能、水平方向測定機能、高低差測定機能、および応用機能のうち、使用された機能を抽出する。応用機能については、より細かく、例えばトータルステーションであれば、放射観測,座標観測,対回観測,くい打ちサポート,対辺測定,多角計算,面積計算,または地形測量等のうち、使用された機能を抽出する。
【0037】
入力情報作成部131は、「測定量情報」として、少なくとも、測定回数,測定点数,測定範囲,および稼働時間について、使用された量を「数値」で抽出する。
【0038】
入力情報作成部131は、これらの「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」のセットを、それぞれの測量機器の識別IDで関連付けて、「学習データ」として学習データDB122に保存する。入力情報作成部131は、収集データ120に対し、この作成作業を、新規データを受け付けるごと、または一定時間(1時間、数時間、1日等)ごと、の所定のタイミングで行う。
【0039】
入力情報作成部131による学習データの作成について具体例を挙げる。図4は、あるトータルステーション(識別ID:TS7210)からの収集データの一部であるとする。当該トータルステーション(識別ID:TS7210)の「測定No.0001」では、個体番号No.1234567の機器により、2021年3月1日の13時から17時まで測定が行われ、対象点Pt1からPt50まで、プリズム測定によって、三次元座標の測定が行われている。入力情報作成部131は、当該測定における測量機器(識別ID:TS7210)は、器械種類が「トータルステーション」で型番種類が「TS-600」であること、測定機能は「プリズム測距(測角)」が使用されたこと、測定量は「測定回数(点数)50点」「稼働時間4時間」であること、を抽出し、「トータルステーション」「型番TS-600」と「プリズム測距(測角)」と「測定回数(点数)50回」「稼働5時間」のセットを作成し、学習データDB122に保存する。
【0040】
学習モデル生成部132は、学習データDB122から学習データを読み出して機械学習を実行し、学習モデル121を生成する。学習モデル121は、入力に対する出力を予測するために非線形ユニットの1つまたは複数の層を使用するニューラルネットワークにより実現されている。学習モデル生成部132で生成された学習モデル121は、補助記憶装置102Bに記憶される。
【0041】
学習モデル生成部132は、一例として、クラスタリングなどの教師なし学習または周知の統計的処理を用いて、測量機器の「型番種類」ごとにサンプルがグループ化するようにし、ある測量機器(ある型番種類のグループ)に含まれるそれぞれのサンプルが持つ特徴として、当該測量機器で一般的に使用されている測定機能とその測定量の「一般使用モデル」を把握する学習モデル121を生成する。「一般使用モデル」は、例えば、トータルステーション(型番C-1000)では、プリズム測定100回,ノンプリズム測定100回が月平均、というような内容で作成される。
【0042】
この学習モデル121に、利用者Cの入力データを入力すると、各測量機器(ある型番種類のグループ)の「一般使用モデル」と比較して、類似度または平均値、中央値、最頻値、累積値、標準偏差等の統計的数値に基づいて、或いは、一般使用モデルを図形化した形状への形状マッチングに基づいて、或いはこれらの組み合わせに基づいて、利用者Cの入力データと使用態様が近い測量機器が出力される。
【0043】
また、学習モデル生成部132は、測量機器の「器械種類」ごとに上記を行ってもよい。但し、上記は学習モデル生成部132の一例であって、学習モデル生成部132は、主成分分析などの他の教師なし機械学習の手法を利用して学習モデル121を生成してよい。
【0044】
対象情報取得部135、対象情報抽出部136、推定部137、および結果提供部138については、推定フェーズで説明する。
【0045】
2-2.学習フェーズの情報処理方法
図5は本実施形態に係る情報処理装置100による学習フェーズのフローチャートである。処理を開始すると、ステップS01で、入力情報作成部131が、主記憶装置102Aに収集された収集データ120から、「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」を抽出し、学習データを作成する。
【0046】
次に、ステップS02で、学習モデル生成部132が機械学習を行って、学習モデル121を生成する。学習モデル121が補助記憶装置102Bに保存されると、処理を終了する。
【0047】
3.推定フェーズの情報処理
3-1.端末装置の構成
先に、推定フェーズで使用される端末装置20(図2)について説明する。端末装置20は、利用者Cが所有しているデスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal・Digital・Assistant)等である。端末装置20は、利用者Cが使用または管理している対象測量機器M101~M105と接続されている。対象測量機器M101~M105からは、それぞれの対象測量機器M101~M105が記憶しているデータが、通信ネットワークNを介して、一定時間ごと、測定ごと、または電源を入れるごと、などのタイミングで、端末装置20または利用者Cの使用する管理サーバ等(図示せず)に送信されている。
【0048】
図6は、端末装置20の構成例を示す図である。端末装置20は、通信部21、記憶部22、制御部23、表示部24、および入力部25を備える。
【0049】
通信部21は、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェースカード、LANカード等の通信制御装置である。端末装置20を通信ネットワークNと有線または無線で接続する。制御部23は、通信部21および通信ネットワークNを介して、情報処理装置100との間で、各種情報を送受信することができる。
【0050】
表示部24は、有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイである。表示部24は、制御部23の制御に基づいて、種々の情報をWebページに表示する。
【0051】
入力部25は、文字キー、数字キー、エンターキー等を含むキーボード、マウス、電源ボタン等である。利用者Cは、入力部25を介してWebページの操作ができる。なお、表示部24と入力部25はタッチパネルディスプレイとして一体に構成されていてもよい。
【0052】
記憶部22は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD、光ディスク等の記憶媒体である。記憶部22は、端末装置20が実行するアプリケーションのソフトを記憶している。また、記憶部22は、対象測量機器M101~M105から受信した情報を記憶していてもよい。
【0053】
制御部23は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部23は、記憶部22やRAMに記憶された各種プログラムを読み出して実行する。制御部23は、対象情報送信部231と、結果表示部232を備える。各機能部の機能は、例えば、CPUが、ROMまたは記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0054】
対象情報送信部231は、情報処理装置100の対象情報取得部135の求めに応じて、利用者Cの対象測量機器M101~M105の情報を、記憶部22または利用者Cの管理サーバ等から取得して、情報処理装置100に送信する。利用者Cは、Webページを介して、情報処理装置100に情報を送信する対象測量機器を選択することも可能とする。
【0055】
結果表示部232は、後述する結果提供部138から推定結果を受信して、表示部24に表示する。推定結果は、プッシュ通知または利用者Cの求めに応じ表示される。結果表示部232が結果提供部138から受ける推定結果は、後述する図7図8で詳細を述べる。
【0056】
3-2.情報処理装置の構成
情報処理装置100の構成は、既に図3に示している。推定フェーズで機能する、対象情報取得部135、対象情報抽出部136、推定部137、および結果提供部138について説明する。
【0057】
対象情報取得部135は、利用者Cの対象測量機器M101~M105が記憶している情報を「対象データ」として取得する。「対象データ」は、収集データ120と同様、対象測量機器の測定機能情報と測定量情報の他に、測定データ、画像データ、音声データ、エラーコードデータ、部品の稼働時間データ、部品の駆動データ、メンテナンス時期やレンタル期間に関するデータなど、様々な情報を含んでいる。
【0058】
ここで、対象情報取得部135は、「対象データ」を、設定された「集計期間(単位期間)」ごとに取得するのが好ましい。集計期間は、分、時間、日、週、月、四半期、季節、年、10年等の単位で設定、または、“2021年1月5日から2021年2月20日まで”のような期間指定が可能である。集計期間は、情報処理装置100にデフォルト値を定めるが、利用者CがWebページを介して変更することも可能とするのが好ましい。
【0059】
対象情報抽出部136は、対象情報取得部135が取得した「対象データ」から、入力情報作成部131と同様にして、対象測量機器M101~M105で使用された測定機能情報と測定量情報を、「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」として抽出し、利用者Cの入力データとする。対象情報抽出部136は、対象情報取得部135が対象データを取得するごとに機能する。
【0060】
推定部137は、学習モデル121に、利用者Cの入力データを入力し、利用者Cの「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」(すなわち、利用者Cの実際の使用状況)に対して、「適切な測量機器」を推定する。推定部137は、対象情報抽出部136が抽出を行うごとに機能する。すなわち、推定部137は、「集計期間」ごとに、一つの推定を行う。
【0061】
推定部137の「推定例」を挙げる。
「推定例」:
(i)「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」から、利用者Cは単点に対する測角の使用率が高い場合、推定部137は、“セオドライト”のなかからいずれかの型番種類を推定する可能性が高い。
(ii)「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」から、利用者Cは水平方向測定および高低差の測定の使用率が高い場合、推定部137は、“レベル” のなかからいずれかの型番種類を推定する可能性が高い。
(iii)「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」から、利用者Cの1現場での測定点数が多いまたは測定範囲が広い場合、推定部137は、“スキャナー” のなかからいずれかの型番種類を推定する可能性が高い。
(iv)「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」から、利用者Cは1現場でのプリズム測定の回数が多い場合、推定部137は、モータ駆動に強いトータルステーションの型番種類を推定する可能性が高い。
(v)「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」から、利用者Cは測距測角は行うが応用機能をほぼ行っていない場合、推定部137は、応用機能を搭載していない低廉なトータルステーションの型番種類を推定する可能性が高い。
【0062】
推定部137は、学習モデル121に基づいて、利用者Cの入力データ(「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」)に近い、1つまたは数種類の測量機器を推定する。推定部137は、例えば学習モデル121に基づく「一般使用モデル」の態様が入力データに近い測量機器を、例えば、類似度、平均値、中央値、最頻値、累積値、標準偏差等の数値、または、「一般使用モデル」への形状マッチングの適合率等の数値、或いはこれらの組み合わせに基づき、スコアを付け、スコアの高い測量機器を推定結果とする。
【0063】
結果提供部138は、推定部137により推定された測量機器を、端末装置20の結果表示部232に対し、スコアが高い順に、おすすめする理由とともに提供する。おすすめする理由には、測量機器の買い替えまたは買い足しを提案する内容が含まれる。
【0064】
例えば、利用者Cが多数の応用機能を持つ高機能のトータルステーションを使用していた場合、結果提供部138は、推定部137が「推定例」(i)~(iii)を出した場合は、それぞれセオドライト,レベル,スキャナーの買い足しを提案する。また、結果提供部138は、推定部137が「推定例」(iv)~(v)を出した場合は、別の型番(仕様)のトータルステーションへの買い変えを提案する。
【0065】
図7図8を用いて、推定部137の推定結果から結果提供部138が提案する内容の例を述べる。図7は対象測量機器M101~M105を所有またはレンタル利用している利用者C(ユーザー)向けの表示例である。利用者Cには、スコア順に、一つまたは複数の測量機器が提案される。利用者CのWebページには、推定された測量機器が、スコアの高さを表現する星マーク等と、おすすめする理由とともに表示される。例えば、推定部137が「推定例」(i)を出した場合は、「C様の1年間の使用状況から、C様は、単点に対する測角の使用率が高く、使用時間は120時間43分でした。セオドライトは、単点の水平角および高度角の測定に向いており、セオドライト(型番B-100)は、バッテリーの持続時間が150時間となっています。セオドライト(型番B-100)のご購入をおすすめします。」などのコメントが記載される。また、例えば、推定部137が「推定例」(v)を出した場合は、「C様の1年間の使用状況から、C様は、応用測量機能の使用が全体の使用のわずか3%でした。トータルステーション(型番C-1000)は、応用機能は使用したい時だけ課金で機能が開放される仕様となっており、その分安価にご提供するモデルとなっております。トータルステーション(型番C-1000)へのお買い換えをおすすめします。」などのコメントが記載される。また、図8は、対象測量機器M101~M105を販売またはレンタル提供している利用者C(ディーラー)向けの表示例である。利用者Cには、図7に示すような内容が、ディーラーの顧客ごとに、提供される。また、図8に示すように、「買い替え」「買い足し」をアイコン表示し、おすすめ理由を読まなくとも提案が分かるように表示するのも好ましい。なお、図7図8は提案の例であって、これに限定されるものではない。
【0066】
3-3.推定フェーズの情報処理方法
図9は本実施形態に係る情報処理装置100による推定フェーズのフローチャートである。処理を開始すると、ステップS11で、対象情報取得部135が、端末装置20から、利用者Cの対象測量機器M101~M105の「対象データ」を取得する。対象情報取得部135は、対象測量機器M101~M105の情報へのアクセスが初めてであればそれまでの全ての対象データを取得し、集計期間が定まっている場合は、前回の集計期間以降の対象データを取得する。
【0067】
次に、ステップS12で、対象情報抽出部136が、「対象データ」から、「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」を抽出する。
【0068】
次に、ステップS13で、推定部137が、ステップS12で抽出された「対象測定機能情報」と「対象測定量情報」を学習モデル121に入力して、利用者Cの実際の使用状況に適した測量機器を推定する。
【0069】
次に、ステップS14で、結果提供部138により、利用者Cの端末装置20に推定結果が出力され、処理が終了する。
【0070】
4.効果
以上、本実施の形態によれば、情報処理装置100で、測量機器のビックデータから「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」を抽出し、これら「測量機器情報」と「測定機能情報」と「測定量情報」のセットを学習データとして機械学習した学習モデル121に、利用者の実際の使用状況(「対象測定機能情報」と「測定量情報」)を入力することで、利用者の実際の使用状況に適した測量機器を推定するように構成した。これにより、利用者は、実際の使用状況と比較すると、オーバースペックな機器を使用していることが分かったり、逆に低スペックな機器を使用していることが分かったり、或いは、別の器械種類のほうが適している、などの事実を知ることができる。すなわち、本実施の形態によれば、このような器械ミスマッチを識別することが可能となり、推定結果によって、利用者は、廉価なモデルへの買い替えや、契約プランの変更を検討することができる。また、利用者がディーラーであれば、顧客に対する買い替えまたは買い足しの提案の材料を得ることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、情報処理装置100は、「集計期間」ごとに、一つ推定を出すように構成し、「集計期間」は利用者Cによって任意に変更可能に構成した。これにより、利用者Cは、週単位、月単位、四半期単位、または季節単位など、自身または顧客のニーズに応じて器械ミスマッチを識別することが可能となる。このため、より細やかに購入やレンタルについての検討が可能となるので、顧客満足度の向上につながる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、学習フェーズと推定フェーズは同じ情報処理装置100で実現するように構成しているが、学習フェーズと推定フェーズは異なる情報処理装置で実現しても構わない。この場合、推定フェーズを実行する情報処理装置は、記憶部に学習モデル121を備えるか、学習モデル121を備える記憶媒体にアクセス可能に構成されることになる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100 情報処理装置
121 学習モデル
122 学習データDB
103 制御部
131 入力情報作成部
132 学習モデル生成部
135 対象情報取得部
136 対象情報抽出部
137 推定部
138 結果提供部
20 端末装置
23 制御部
231 対象情報送信部
232 結果表示部
24 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9