(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152187
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/06 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G08B17/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054862
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000114905
【氏名又は名称】ヤマトプロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】濱田 悠司
(72)【発明者】
【氏名】小山 竜矢
【テーマコード(参考)】
5C085
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085BA12
5C085CA10
5C085CA15
5C085DA07
5C085FA11
5C085FA12
(57)【要約】
【課題】 いずれの方向からでも表示灯の視認性を確保して意匠性や商品価値を高めることができるとともに、製造コストを抑えることができる感知器の表示構造を提供する。
【解決手段】 筐体と、前記筐体内から前記筐体外に突出し、ある物理量を感知する感知部と、前記感知部を囲う保護部材と、前記感知部が所定量の前記物理量を感知すると発光する発光体と、を具備し、前記保護部材が、前記発光体に対向し、前記発光体からの光を透過させること、を特徴とする感知器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内から前記筐体外に突出する感知部と、
前記感知部を囲う保護部材と、
前記感知部の感知時に発光する発光体と、を具備し、
前記保護部材が、前記発光体に対向する位置に配置されており、前記発光体からの光を透過させること、
を特徴とする感知器。
【請求項2】
前記保護部材が、シボ加工を施された外面を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の感知器。
【請求項3】
前記保護部材が、乳白色の樹脂部材であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の感知器。
【請求項4】
前記保護部材が、10%~90%の光透過率を有すること、
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の感知器。
【請求項5】
前記保護部材が、前記発光体に対向する導光部、前記導光部から前記感知部に沿って延びる柱部、及び、前記柱部の先端に配置される環状部、を含む一体成型品であること、
を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知器に関し、特に熱や火炎などを感知する感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感知器の表示灯は、1箇所の点が光るだけであるので、特定の方向からは表示灯がヘッドに隠れて視認できないことがある。そこで、特許文献1は、ヘッドの底面に動作表示灯を別途設け、いずれの方向からでも動作表示灯を視認できるようにした火炎感知器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、目立たない感知器や感知器が主張しないデザインが好まれているところ、例えば特許文献1のように動作表示灯を別に設けると、感知器の意匠性が悪くなる。また、部品数が増えるため、追加の製造コストが発生する。
【0005】
そこで、本発明は、いずれの方向からでも表示灯の視認性を確保して意匠性を高めることができるとともに、製造コストを抑えることができる感知器の表示構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
筐体と、
前記筐体内から前記筐体外に突出する感知部と、
前記感知部を囲う保護部材と、
前記感知部が感知時に発光する発光体と、を具備し、
前記保護部材が、前記発光体に対向する位置に配置されており、前記発光体からの光を透過させること、
を特徴とする感知器
を提供する。ここで、感知部が感知する対象ないし物理量としては、例えば熱や火炎などが挙げられるが、これらに限られない。
【0007】
本発明の感知器では、前記保護部材が、シボ加工を施された外面を有すること、が好ましい。
【0008】
また、本発明の感知器では、前記保護部材が、乳白色の樹脂部材であること、が好ましい。
【0009】
また、本発明の感知器では、前記保護部材が、10%~90%の光透過率を有すること、が好ましい。
【0010】
また、本発明の感知器では、前記保護部材が、前記発光体に対向する導光部、前記導光部から前記感知部に沿って延びる柱部、及び、前記柱部の先端に配置される環状部、を含む一体成型品であること、が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、いずれの方向からでも表示灯の視認性を確保して意匠性や商品価値を高めることができるとともに、製造コストを抑えることができる感知器の表示構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る感知器1の斜視図及びA-A線断面図である。
【
図2】保護部材4の斜視図及びB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る感知器の代表的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0014】
感知器1は、天井、壁面などに取り付けられて、熱や火炎などを感知する。ここでは感知器1として熱感知器を想定しているが、本発明はこれに限られない。
図1(A),(B)に示すように、感知器1は、筐体2、感知部3、保護部材4及び発光体5を具備する。感知器1は、感知部3及び保護部材4が監視領域を向くように設置される。
【0015】
筐体2は、発光体5、基板6などの各種部品を収容する。筐体2の外面(感知部3が突出している側の面)は、保護部材4の視認性を妨げないように平らである。また、基板6は、例えばプリント配線板であり、発光体5のほか、プロセッサ又はマイクロコントローラなどの電子部品(図示せず)を搭載している。
【0016】
感知部3は、ある物理量を感知する。感知部3は、監視領域からの熱等を検出するために、筐体2内から筐体2外に突出するように設けられる。
【0017】
感知部3としてはサーミスタを好適に用いることができ、この場合、感知の対象となる物理量として熱が想定される。サーミスタの電気抵抗が熱によって変化することを利用して、監視領域を監視するのである。なお、感知部3の感知結果は、基板6上のプロセッサ又はマイクロコントローラ(図示せず)に伝達され、発光体5の制御に利用される。
【0018】
発光体5は、感知部3が所定量の上記物理量を感知すると発光する表示灯である。本実施形態では、発光体5は筐体2内に配置されているが、発光体5は筐体2の外側に配置されてもよい。
【0019】
発光体5としては発光ダイオード(LED)が好適に用いられるが、これに限られない。発光体5の発する光の色に限定はないが、表示灯が警報の意味を持つことを考慮すれば、赤色光が好適である。また、発光体5は、例えば1.6mm×0.6mmほどの寸法でよい。
【0020】
保護部材4は、筐体2から突出する部材であり、感知部3を囲って感知部3を保護する。保護部材4は、透明又は半透明であり、発光体5に対向するように配置されて(
図1(B)参照)、発光体5からの光を透過させる。
【0021】
保護部材4は、シボ加工を施された外面を有していてもよい。また、保護部材4は、乳白色に着色された樹脂部材でもよい。いずれの場合でも、保護部材4は、10%~90%の光透過率を有することが好ましい。
【0022】
保護部材4の材料としては、例えばポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を好適に用いることができるが、これに限られるものではなく、ABS、PC/ABS等を用いることもできる。
【0023】
保護部材4は、発光体5に対向する導光部41、導光部41から感知部3に沿って延びる柱部42、及び、柱部42の先端に配置される環状部43、を含む一体成型品として構成することができる(
図2(A),(B)参照)。
【0024】
導光部41は、環状ないし筒状を呈しており、その内側に感知部3が挿通されている。導光部41は、その一部分において発光体5に対向している(
図1(B)参照)。
柱部42は、導光部41から感知部3に沿って延びることで、感知部3を保護している。また、柱部42は、感知部3による熱等の感知を妨げないように、環状部43に沿ってほぼ等間隔に配置された複数本(例えば4本)の柱から構成されることが好ましい。
環状部43は、感知部3の保護のために、感知部3の先端よりも筐体2から離れた位置に配置されている。
【0025】
発光体5と保護部材4(導光部41)とは、組立の容易性の観点から、僅かに隙間を空けて配置されることが望ましい。ただし、発光体5から十分な光量を保護部材4に供給するために、発光体5との距離Dは、0.0mm<D<1.0mmであることが好ましい。
【0026】
このような感知器1では、感知部3が所定量の物理量(例えば熱)を感知すると、発光体5が点灯する。発光体5からの光は、保護部材4を透過して保護部材4の外部に出る。これにより、外部からは保護部材4が発光しているように見える。保護部材4は、点灯よりも大きな範囲を占め、しかもあらゆる方向から視認可能である。つまり、表示灯の視認性が向上する。
【0027】
また、感知器1では、発光体5からの光の導光のためにライトガイドを使用せず、保護部材4に発光体5からの光を透過させることで、保護部材4を全体的に光らせている。つまり、保護部材4は、感知部3の保護機能と表示灯としての機能とを兼ね備えている。したがって、感知部の保護と表示灯とが別部材として構成される場合よりも部品数を低減し、製造コストを抑制することができる。
【0028】
また、感知器1では、例えば特許文献1のように動作表示灯を別に設けていないから、過度に目立つことも主張しすぎることもない。したがって感知器の意匠性を高めることができる。
【0029】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【0030】
本実施形態では感知器1として熱感知器を想定しているが、感知器1は、煙感知器や火炎感知器などでもよい。
【0031】
また、本実施形態では、発光体5は筐体2内に配置されているが、発光体5は筐体2の外に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 感知器
2 筐体
3 感知部
4 保護部材
5 発光体