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特開2022-152215監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152215
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221004BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221004BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20221004BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20221004BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221004BHJP
【FI】
G06Q50/10
B64C39/02
B64D47/08
B64C13/18 Z
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054905
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】森 茂之
(72)【発明者】
【氏名】深見 知也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】無人機による継続監視を可能にする無人機の行動計画情報を作成する監視計画作成装置を提供する。
【解決手段】監視計画作成装置は、無人機が監視する全領域を示す監視エリアに対応する監視マップ情報について、監視マップ情報を分割してできた小エリアごとにその小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて設定した時間間隔の初期値に対する残り時間をカウントし、残り時間が小さい小エリアを優先して監視するように無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成し、その行動計画情報に基づいて無人機が移動したときに、無人機によって監視された領域に対応する小エリアの残り時間に初期値を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントする優先度設定部と、
前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成する行動計画作成部と、
を備え、
前記優先度設定部は、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定する、
監視計画作成装置。
【請求項2】
前記行動計画作成部は、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先することに加え、前記無人機の前記小エリアへの移動コストが小さくなることを優先して、前記行動計画情報を作成する、
請求項1に記載の監視計画作成装置。
【請求項3】
前記無人機によって監視された領域に対応する前記小エリアを、監視済みのエリアとして特定する監視済みエリア特定部、
をさらに備え、
前記優先度設定部は、前記監視済みエリア特定部によって特定された領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定する、
請求項1または請求項2に記載の監視計画作成装置。
【請求項4】
前記監視済みエリア特定部は、前記無人機の時系列の位置情報に基づいて、前記位置情報に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する、
請求項3に記載の監視計画作成装置。
【請求項5】
前記監視済みエリア特定部は、前記無人機が撮影した画像を解析して、当該画像に監視対象が含まれている場合、当該画像が撮影された位置に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する、
請求項3または請求項4に記載の監視計画作成装置。
【請求項6】
前記監視済みエリア特定部は、前記無人機の時系列の位置情報に基づいて前記無人機の移動経路を算出し、算出した移動経路と所定の移動経路の差が許容範囲内の場合、算出した移動経路に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する、
請求項3から請求項5の何れか1項に記載の監視計画作成装置。
【請求項7】
前記監視エリアの地図情報を取得し、前記地図情報に基づいて、前記監視マップ情報を作成する監視マップ作成部、をさらに備える、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の監視計画作成装置。
【請求項8】
前記監視エリアの範囲の指定を受け付け、受け付けた前記範囲を対象として前記監視マップ情報を作成する監視マップ作成部、をさらに備える、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の監視計画作成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の監視計画作成装置と、
前記行動計画情報に基づいて行動する1台又は複数台の無人機と、
を備える監視システム。
【請求項10】
無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントするステップと、
前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと、
前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと、
を有する監視計画作成方法。
【請求項11】
コンピュータに、
無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントするステップと、
前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと、
前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるドローン(Drone)などの無人機を用いて監視や点検等の作業を行う機会が増加している。無人機を用いることにより、作業を省人化することができ、危険な場所や人間が入り込めない場所等での作業が可能になるという利点がある。例えば、発電プラントなどのインフラ施設においては、施設の広範な領域を、昼夜を問わず継続的に監視するニーズがあり、無人機による自律的な常時監視が求められている。
【0003】
特許文献1には、監視対象領域を複数の小エリアに分割し、無人機によって小エリアごとに監視を行い、未監視の小エリアに高い優先度を与えて、優先度が高い小エリア順に無人機を移動させて監視を行う技術が開示されている。特許文献2には、複数の無人機で監視等を行う場合に、状況の変化に合わせて行動の重要度を変更し、各無人機に状況に応じた行動の変化を起こさせる制御について開示がある。特許文献3には、複数の無人機が協調して動作することによって全体最適となるような動作を各無人機が自律的に選択する制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/171491号
【特許文献2】国際公開第2020/188818号
【特許文献3】国際公開第2019/215838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3には、無人機による監視技術や複数の無人機の制御方法は提案されているが、無人機を使って対象領域を継続的に監視する技術については開示が無い。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、本開示の一態様によれば、監視計画作成装置は、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントする優先度設定部と、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成する行動計画作成部と、を備え、前記優先度設定部は、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定する。
【0008】
また、本開示の一態様によれば、監視システムは、上記の監視計画作成装置と、前記行動計画情報に基づいて行動する1台又は複数台の無人機と、を備える。
【0009】
また、本開示の一態様によれば、監視計画作成方法は、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントするステップと、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと、を有する。
【0010】
また、本開示の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとに、その小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントするステップと、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上述の監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラムによれば、無人機による継続的な監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る監視システムの一例を示す図である。
図2】実施形態に係る監視エリアとその分割方法を示す図である。
図3A】実施形態に係る監視優先度の更新方法を説明する第1の図である。
図3B】実施形態に係る監視優先度の更新方法を説明する第2の図である。
図4】実施形態に係る監視経路の算出方法を説明する図である。
図5A】実施形態に係る監視マップの作成方法を説明する第1の図である。
図5B】実施形態に係る監視マップの作成方法を説明する第2の図である。
図6】実施形態に係る監視システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図7A】実施形態に係る監視済みエリアの特定方法を説明する第1の図である。
図7B】実施形態に係る監視済みエリアの特定方法を説明する第2の図である。
図8】無人機による一般的な監視方法の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る監視システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本開示の無人機の制御方法について、図1図9を参照して説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係る監視システムの一例を示す図である。
監視システム1は、監視計画作成装置10と、n個の無人機20-1~20-Nとを含む。監視計画作成装置10は、無人機20-1~20-Nのそれぞれについて、監視の担当エリア(監視経路)を計画する。監視計画作成装置10は、計画した監視経路(行動計画情報)を無人機20-1~20-Nへ指示する。無人機20-1~20-Nは、指示された監視経路に沿って移動し、カメラ等を使って監視を行う。
【0014】
無人機20-1は、制御装置21-1と、監視用センサ22-1と、測位用センサ23-1と、通信装置24-1とを備えている。制御装置21-1は、無人機20-1の動作全般を制御する。通信装置24-1は、監視計画作成装置10から指示された行動計画情報を受信する。制御装置21-1は、行動計画情報に基づいて無人機20-1を移動し、監視用センサ22-1を用いて監視を行う。監視用センサ22-1は、カメラや温度センサなどであって、監視担当エリアの情報の採取するセンサである。通信装置24-1は、監視用センサ22-1が検出した情報を、監視計画作成装置10へ送信する。測位用センサ23-1は、例えば、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムの受信機、加速度センサ、ジャイロセンサなどである。通信装置24-1は、測位用センサ23-1が測定した位置情報、あるいは位置情報の算出に用いる速度や無人機20-1の移動方向などを示す情報を、監視計画作成装置10へ送信する。
【0015】
なお、制御装置21-1は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)を備えており、監視用センサ22-1や測位用センサ23-1が検出した情報は、このCPU等により加工され、軽量化されてもよい。また、測位用センサ23-1が加速度センサなどの場合、CPU等によって、無人機20-1の位置情報や速度移動、移動方向などを計算し、この計算結果を、通信装置24-1を通じて監視計画作成装置10へ送信してもよい。
【0016】
同様に、無人機20-2は、制御装置21-2と、監視用センサ22-2と、測位用センサ23-2と、通信装置24-2とを備える。無人機20-Nは、制御装置21-Nと、監視用センサ22-Nと、測位用センサ23-Nと、通信装置24-Nと、を備える。無人機20-1~20-Nは異なる種類の無人機であってもよい。例えば、無人機20-1がUAV(Unmanned aerial vehicle)、無人機20-2がAUV(Autonomous Underwater Vehicle)、無人機20-3が地上を走行又は歩行する無人機、・・・であってもよい。また、無人機20-1~20-Nが備える監視用センサ22-1~22-Nの種類や、測位用センサ23-Nの種類は異なっていてもよい。以下、特に区別が必要ない場合は、無人機20、制御装置21、監視用センサ22、測位用センサ23、通信装置24のように記載する場合がある。無人機20の数に制限はなく、1台であっても複数台であってもよい。
【0017】
次に監視計画作成装置10の機能、構成について説明する。監視計画作成装置10は、入力受付部11と、センサ情報取得部12と、監視済みエリア特定部13と、優先度設定部14と、行動計画作成部15と、指示部16と、監視マップ作成部17と、出力部18と、記憶部19と、タイマ1Aと、を備える。
入力受付部11は、ユーザによる指示操作や設定情報の入力を受け付ける。
センサ情報取得部12は、無人機20から監視用センサ22や測位用センサ23が検出した情報、あるいはそれらに基づいて、制御装置21によって加工、計算された情報を取得する。
【0018】
監視済みエリア特定部13は、無人機20が監視したエリアを特定する。例えば、監視済みエリア特定部13は、無人機20が通行したエリアを監視済みエリアとして決定してもよいし、カメラ(監視用センサ22)によって撮影された画像を解析して、例えば、構造物などに遮られて監視対処が十分に撮影されていないような場合には、その画像に写るエリアを監視済みでは無いと判定し、無人機20が通行したエリアから監視済みでは無いと判定したエリアを除いた領域を監視済みエリアとして特定してもよい。あるいは、監視エリア100の地図情報に基づいて、予め監視に適した経路を定義しておき(例えば、山やビルなどの地形的条件により、カメラによって監視対象の撮影が妨げられることが無いような経路)、概ね行動計画情報において定められた監視経路に沿って移動していたとしても、監視に適した経路から外れている場合は、その範囲は監視済みでは無いと判定して、無人機20が通行したエリアからその範囲を除外した領域を監視済みエリアとして特定してもよい。
【0019】
優先度設定部14は、監視対象の全エリアを複数の小エリアに分割したときの、小エリアごとの優先度を設定する。具体的には、優先度設定部14は、監視の優先度として、各小エリアに監視時間間隔を設定する。ここで、図2を参照する。図2の左側に実際に監視を行う対象の領域を示す監視エリア100を示し、図2の右側に監視エリア100を常時監視するために監視エリア100をモデル化した監視マップ200を示す。監視エリア100は、例えば、プラント施設、市街地、海、山、河川、それら複数を含む領域など、監視、警備、検査、捜査などの対象となる場所である。監視マップ200は、監視エリア100の形状を模擬した、監視エリア100の領域に対応する仮想的な領域であるデジタルデータであって、図示するように小エリアに区切られている。図2の例では各小エリアの面積が均等になるように格子状に区切られているが、これに限定されず、任意の形状、任意の面積ごとに監視対象となる領域全てをカバーできるように複数の小エリアが設けられる。例えば、監視エリア100内の非監視対象エリア101は、監視の対象から除外する領域である。このような場合、監視マップ200においても対応するエリアは監視対象から除かれる(網掛け部201)。監視マップ200は、ユーザが作成し、監視計画作成装置10へ入力してもよいし、後述するように監視マップ作成部17が作成してもよい。優先度設定部14は、監視マップ200の小エリアのそれぞれに監視の時間間隔(監視の優先度)を設定する。
【0020】
ここで、図2に示す1つの小エリアをセルと呼び、A行1列のセルをセル(1、A)のように記載する。すると、セル(1、A)の数字“10”は、監視エリア100内のセル(1、A)に対応するエリアは10分間ごとに監視する必要があることを示す。同様にして、セル(2、B)の数字“5”は、このセルに対応する監視エリア100内のエリアを5分間ごとに監視する必要があることを示し、セル(3、B)の数字“2”は、監視エリア100内のこのセルに対応するエリアを2分間ごとに監視する必要があることを示す。つまり、各セル内の数字が小さい方が頻繁に監視しなければならず、監視の優先度が高いことを示している。例えば、ユーザは、監視マップ200と共に、各セルに対して設定する監視の時間間隔の情報を監視計画作成装置10へ入力する。優先度設定部14は、ユーザによって入力された監視時間間隔の情報に従って、監視マップ200の各セルに対して監視時間間隔の初期値を設定する。図2右側の監視マップ200は、監視時間間隔の初期値が各セルに設定された状態を示している。
【0021】
次に図3Aを参照する。優先度設定部14は、時間の経過に応じて、監視マップ200に設定した監視時間間隔を更新する。図3Aに監視の開始から1分後の各セルの監視時間間隔を示す。監視を開始してから1分間が経過すると、優先度設定部14は、各セルの監視時間間隔から“1”を減算する。これは、例えば、セル(1、A)は10分間ごとに監視しなければならないところ、タイムリミットまでの残り時間が9分間であることに対応する。優先度設定部14は、同様にして、監視時間間隔を10分間に設定した各セルの時間間隔を“9”に更新する。また、優先度設定部14は、監視時間間隔の初期値を5分間に設定した各セルの監視時間間隔を“4”に更新する。優先度設定部14は、監視時間間隔の初期値を2分間に設定した各セルの監視時間間隔を“1”に更新する。
【0022】
優先度設定部14は、時間の経過に伴って監視時間間隔をカウントダウンする一方で、無人機20によって監視が行われた小エリアの監視時間間隔をリセットする。例えば、監視開始から1分後から2分後までの間に1台又は複数台の無人機20によって、エリア202の監視が行われたとする。すると、優先度設定部14は、エリア202に含まれる各セルの監視時間間隔を初期値にリセットする。具体的には、例えば、セル(4、B)とセル(5、F)の初期値はそれぞれ“2”と“5”であるから、優先度設定部14は、時間の経過と関係なく、セル(4、B)の監視時間間隔を“2”に更新し、セル(5、F)の監視時間間隔を“5”に更新する。これは、例えば、5分間に1回は監視しなければならないエリアを1度監視したならば、その時から5分後までに再度監視を行えば要求は満たされることに対応する。監視開始から2分後の監視マップ200を図3Bに示す。上記のように、エリア202の監視時間間隔の値は初期値にリセットされ、他のセルの監視時間間隔の値は、図3Aの値よりも1小さくなっている。このようにして、優先度設定部14は、各セルに設定された監視時間間隔の値を時間の経過に応じてカウントダウンし、監視が行われると初期値にリセットするという処理を継続して行う。
【0023】
行動計画作成部15は、無人機20ごとに、その無人機20が監視を担当する所定時間先までの担当エリアを算出する。行動計画作成部15は、無人機20の位置と、各セルの監視時間間隔の値と、無人機20の移動方向や移動速度に基づいて、各無人機20が監視を担当するエリア(監視経路)を算出する。図4に3台の無人機20-1~20-4が監視している状況を示す。無人機20-1~20-4に付された矢印は、そのときの移動方向と移動速度を示している。各無人機20の移動方向と移動速度は、例えば、センサ情報取得部12が取得した時々刻々の無人機20-1~20-4の位置情報から計算することができる。行動計画作成部15は、例えば、(1)監視優先度に基づいてゴール(例えば、監視時間間隔の値が最も小さいセルのうちの何れか)を定め、(2)そのゴールまでの経路をグラフ探索アルゴリズム等により算出し、ゴールや経路を変更しつつ、(1)と(2)を繰り返して、各無人機20の行動計画を作成する。行動計画作成部15は、例えば、探索した経路について、(a)各セルに設定された優先度(監視時間間隔の値)と(b)無人機20の移動コストに基づいて、評価を行い、評価の高い経路を選択する。
【0024】
(a)各セルに設定された優先度とは、各セルの最新の監視時間間隔のことである。例えば、初期値が“10”のセル(1、B)と初期値が“5”のセル(2、B)を比較すると、初期状態では、セル(2、B)の優先度が高いが、その後の時間経過に伴って、セル(2、B)に対する監視が行われたが、セル(1、B)に対する監視が行われなかった場合等では、図4に図示するように、セル(1、B)の値が“2”でセル(2、B)の値が“4”となるような状況が生じ得る。この状況では、セル(1、B)の優先度はセル(2、B)より高いということになる。行動計画作成部15は、優先度の高いセルを優先して監視できるようにゴールとそのゴールまでの経路(監視経路)を算出する。例えば、無人機20-4の移動方向のすぐ近くに、優先度が高いセルが3つ並んでいれば、行動計画作成部15は、その3つのセルを無人機20-Nの監視経路として算出する。より具体的には、行動計画作成部15は、その3つのエリアを無人機20-4が通行するようなウェイポイント(way point:目標通過点)WP1~WP8を算出する。ウェイポイントWP1~WP8が与えられると、制御装置21-4は、そのウェイポイントを辿るようにして無人機20-4を移動させる。その移動中に、カメラ(監視用センサ22-N)で周囲の様子を撮影し、通信装置24-4が撮影された画像を監視計画作成装置10へ送信することにより、この3つのセルを監視したことになる。つまり、監視経路を算出すると、その監視経路がそのまま監視の担当エリアとなる。
【0025】
(b)無人機20の移動コストとは、現在位置からゴールとなるセルまでの距離や移動に要する時間、移動に要する消費エネルギー、移動しやすさ等のうちの一つ又は複数を定量化した値である。例えば、図4の無人機20-1の場合、現在位置からみて移動方向の隣のセルに優先度の高い(残り時間=1分間)のセル(6、D)が存在する。また、その隣に優先度の高いセル(5、D)が存在する。このような場合、行動計画作成部15は、無人機20-1を、セル(6、E)から、セル(6、D)、セル(5、D)の順に移動させたときのコストを所定の計算式で計算する。行動計画作成部15は、無人機20-1に関して、他の監視経路を移動したときの移動コストも計算する。そして、行動計画作成部15は、例えば、(a)各セルに設定された優先度に基づくポイントと、(b)無人機20の移動コストに基づくポイントの加重和を計算して、この値が良好な監視経路を選択する。
【0026】
(a)各セルに設定された優先度に基づくポイントとは、例えば、優先度に応じたポイントを付与するようにして計算される値である。例えば、(a)各セルに設定された優先度に基づくポイントは、監視時間間隔の値が“0”のセルを1つ監視するごとに100ポイントを加算し、時間間隔の値が“1”のセルを1つ監視するごとに50ポイントを加算し、・・・、時間間隔の値が“5”以上のセルについては監視してもポイントを加算しないといった方法で計算されてもよい。あるいは、このような方法に加え、さらにその監視経路に沿って監視を行ったときに監視時間間隔の値が“1”や“0”のセルが残る個数に応じてペナルティ(例えば、値が“0”のセル1個に対して-50ポイント等)を課してポイントを算出してもよい。
【0027】
(b)無人機20の移動コストに基づくポイントとは、例えば、ゴールまでの移動時間や、潮流や風などの影響を考慮した移動に要する消費エネルギーなどを、所定のルールでポイントに換算した値である。例えば、移動時間や移動に要する消費エネルギーが大きい程小さなポイントへ換算され、移動時間や移動に要する消費エネルギーが小さい程大きなポイントへ換算される。例えば、図4の無人機20-2の移動方向の真逆に監視時間間隔が“1”のセル(5、D)が存在する。無人機20-2が、今いるセル(4、D)との直線距離は短いが、無人機20-2の旋回に大きなコストを要したり、そもそも真後ろに旋回できないといった制約があったりすれば、無人機20-2をセル(4,D)からセル(5,D)へ移動させるときの(b)無人機20の移動コストに基づくポイントは小さな値(移動コスト“大”)となる。また、例えば、図4に示す無人機20-3の場合、斜め隣のセル(3、B)に監視時間間隔が“1”となったセルが存在するが、無人機20-3の移動方向および移動速度を考慮すると、現在のセル(2、A)からセル(3、B)へ向かうにはブレーキをかけて減速しなければならない。行動計画作成部15は、この減速分について、ペナルティを与えて(b)無人機20の移動コストに基づくポイントを算出してもよい。ブレーキのペナルティを考慮してポイントを算出した結果、例えば、セル(3、B)(残り時間“1”)ではなく、より遠い位置にあるセル(6、B)(残り時間“1”)を対象として、例えば、現在のセル(2、A)からセル(3、A)、セル(4、A)、セル(5、B)、セル(6、B)の順に移動する監視経路が良好なポイントが得られる経路として算出されてもよい。
【0028】
例えば、行動計画作成部15は、無人機20ごとに以下の式(1)によってPを計算して、Pが最も良好な移動経路を監視経路として決定してもよい。α、βは重み付け係数であって、ユーザが任意に設定できる値である。
P=α×「(a)各セルに設定された優先度に基づくポイント」
+β×「(b)無人機20の移動コストに基づくポイント」・・・(1)
又は、行動計画作成部15は、無人機20ごとに計算したPの合計が最良となるときの各無人機20の移動経路を全体最適解として算出し、このときに算出された移動経路を監視経路として決定してもよい。なお、1回に計算する監視経路の長さ(移動するセルの数)は、毎回変わってもよいし、無人機20ごとに異なっていてもよい。
【0029】
また、例えば、監視エリア100が陸と海に跨り、海に関してはAUVで監視を行い、陸の範囲を、地上を走行するロボットやUAVで監視する場合、行動計画作成部15は、全てのセルを海と陸に切り分け、海に対応するセルの範囲内でAUVでの監視経路を算出し、陸に対応するセルの範囲内でUAVでの監視経路を算出する。また、行動計画作成部15は、監視エリア100に対応する地図情報に基づいて、監視経路を算出してもよい。例えば、空中からUAVで監視する場合、構造物の影響などで監視対象が撮影できない位置があれば、無人機20と監視対象の位置関係が監視(撮影)に適した位置関係となるように監視経路を補正して、補正後の監視経路を最終的な監視経路としてもよい。
行動計画作成部15は、監視マップ200を用いて監視経路を決定すると、その監視経路を実際に無人機20に命令する行動計画情報(例えば、監視経路を示すウェイポイント)に換算する。
【0030】
指示部16は、行動計画作成部15が無人機20ごとに計算した行動計画情報(例えば、監視経路を示すウェイポイント)を、対応する無人機20へ送信する。
【0031】
監視マップ作成部17は、監視マップ200を作成する。例えば、ユーザが、監視エリア100の地図情報(例えば、市街地や施設の地図)と、何処を監視対象とするかを示す情報(例えば、道路)と、1つのセルの大きさ又はセルの数(分割数)を監視計画作成装置10へ入力する。すると、監視マップ作成部17は、入力された地図情報に基づいて、監視エリア100の形状を模擬した平面画像のマップ情報を生成し、その領域を指定された数のセルに分割して、監視マップ200を作成する。また、監視マップ作成部17は、監視対象のエリアを道路とそれ以外の部分に分別し、道路以外の部分を非監視対称エリアとして設定する。
【0032】
また、監視マップ作成部17は、ユーザから監視エリアの範囲の指定を受け付け、受け付けた範囲を対象として前記監視マップ情報を作成してもよい。例えば、ある無人機20が現在存在する位置に対して「15km先の3km四方を監視する」といった設定を監視計画装置10へ入力する。すると、監視マップ作成部17は、当該無人機20の現在位置から例えば、無人機20の移動方向の15km先の3km四方のエリアに対応するマップ情報を生成し、その領域を指定された数のセルに分割して、監視マップ200を作成する。また、監視マップ作成部17は、作成した監視マップ200の例えば4隅の位置情報を、無人機20の現在位置の位置情報と「現在位置から移動方向の15km先の3km四方のエリア」との指示情報に基づいて計算して、監視マップ200と実際の監視エリア100との位置関係を対応付けて記憶部19に記録する。
【0033】
又は、監視マップ作成部17は、ユーザが入力した分割数に基づいてセルに分割するのではなく、監視に適した大きさのセルで監視エリアを分割するようにしてもよい。例えば、道路の場合、道幅に応じてセルを作成してもよい。監視マップ作成部17が作成した監視マップ200の一例を図5Aに示す。監視マップ200の網掛け部は、例えば、ビル等が建てられた非監視対称エリアである。また、監視対象となる道路については、道幅の広い道路はセル2つ分に分割され、道幅の狭い道路は1つのセルに対応付けられて分割されている。出力部18は、監視マップ200を表示装置に出力する。ユーザは、表示された監視マップ200を見て各セルの監視時間間隔を設定することができる。
【0034】
また、監視マップ作成部17は、各セルの監視時間間隔を設定してもよい。例えば、ユーザが、地図情報や監視対象の情報(道路)とともに監視時間間隔の設定条件を入力する。図5Aの例であれば、ユーザは道路の規模(道幅や車線数)と監視時間間隔を対応付けて入力するか、又は、道路名や町名などと監視時間間隔を対応付けて入力したりする。すると、監視マップ作成部17は、対応するセルに監視時間間隔を設定する。図5Bに、道幅が広い道路に監視時間間隔“5”を、道幅が狭い道路に監視時間間隔“10”を設定するように設定した場合の例を示す。なお、監視時間間隔の設定は、時間帯に応じて変更できるようにしてもよい。例えば、夜間など人の往来が無い時間帯の監視時間間隔を昼間よりも短く設定するような設定情報をユーザが監視計画作成装置10へ入力し、監視マップ作成部17が、この設定情報に基づいて昼夜別に監視マップ200を作成してもよい。
【0035】
出力部18は、監視マップ200など各種情報を表示装置や電子ファイルへ出力する。
記憶部19は、監視マップ200など各種情報を記憶する。
タイマ1Aは、時間を計測する。優先度設定部14は、タイマ1Aが計測する時間に基づいて各セルの監視時間間隔を更新する。
【0036】
なお、監視計画作成装置10は、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。例えば、指示部16を中継器(ゲートウェイ)として別のコンピュータに実装し、無人機20への行動計画情報の送信にあたっては、このコンピュータに無人機20との送受信する各種情報の整理を担わせてもよい。
【0037】
(動作)
次に監視システム1による継続的な監視処理の流れについて説明する。
図6は、実施形態に係る監視システムの動作の一例を示すフローチャートである。
まず、監視マップ200を作成する(ステップS1)。次に監視マップ200の各セルに対する監視時間間隔を設定する(ステップS2)。例えば、ユーザが、監視エリア100に対応する監視マップ200を表計算ソフトウェア等で作成し、各セルに監視時間間隔を設定した情報を監視計画作成装置10へ入力する。入力受付部11は、この入力を受け付け、監視時間間隔が設定された監視マップ200を記憶部19に記録する。又は、ユーザが、監視エリア100に対応する監視マップ200を監視計画作成装置10へ入力後、出力部18が入力された監視マップ200を表示装置に表示させる。そして、ユーザが、表示された監視マップ200の各セルに監視時間間隔を設定する。入力受付部11は、設定された監視時間間隔を取得し、優先度設定部14が入力された監視時間間隔を対応するセルへ設定し、セルごとの監視時間間隔を記憶部19に記録する。又は、図5A図5Bを用いて説明したように、監視マップ作成部17が、監視マップ200を作成し、作成した監視マップ200を記憶部19に記録してもよい。
【0038】
次に、ユーザが、無人機の情報を設定する(ステップS3)。例えば、監視に用いる無人機20の台数、種類、監視が可能なエリアの設定などを行う。例えば、UAV2台、AUV1台、AUVについては海や河川などの範囲を指定する。入力受付部11は、設定された情報の入力を受け付け、これらの情報を記憶部19に記録する。
【0039】
次にユーザの指示により、監視システム1は監視を開始する(ステップS4)。
監視システム1は、以下に説明するステップS5の処理Aと、ステップS6~S10の処理Bとを並行して行う。
【0040】
優先度設定部14は、所定の時間間隔で監視マップ200の各セルの監視時間間隔をカウントダウンする(ステップS5)。例えば、優先度設定部14は、タイマ1Aが計測する時間に基づいて、1分ごとに各セルの監視時間間隔の値を1ずつ減算する。カウントダウンの間隔は1分ごとでなくてもよい。例えば、優先度設定部14は、10秒ごとに各セルの監視時間間隔の値を10秒ずつ減算してもよい。優先度設定部14は、この動作を監視中、継続して実行する(処理A)。
【0041】
一方、処理Bでは、行動計画作成部15が、各無人機20の行動計画を算出する(S6)。例えば、行動計画作成部15は、各セルの監視時間間隔に基づいて、優先度の高いセルをゴールに設定する。行動計画作成部15は、グラフ探索アルゴリズムなどを用いて、そのゴールへ至る様々な経路を探索する。そして、行動計画作成部15は、例えば、上記の式(1)を用いて、Pの値が最大となる監視経路を選択する。
【0042】
次に指示部16が、ステップS6で算出された無人機20ごとの行動計画情報を、対応する無人機20へ送信し、次の監視経路を指示する(ステップS7)。無人機20では、通信装置24が行動計画情報を取得し、制御装置21が行動計画情報に基づいて、無人機20の移動を制御する。移動中の無人機20では、監視用センサ22が、監視に用いる情報を検出する。また、測位用センサ23が移動中の位置情報を検出する。通信装置24は、これらのセンサが検出した情報と検出時刻とを、監視計画作成装置10へ送信する。
【0043】
監視計画作成装置10では、センサ情報取得部12が、センサ情報を取得する(ステップS8)。センサ情報とは、例えば、カメラ(監視用センサ22)が撮影した画像や、GPS受信機(測位用センサ23)が検出した無人機20の位置情報である。センサ情報取得部12は、取得したセンサ情報をその検出時刻とともに記憶部19に記録する。
【0044】
次に監視済みエリア特定部13は、監視済みエリアを特定する(ステップS9)。例えば、監視済みエリア特定部13は、ステップS8で取得された無人機20の時系列の位置情報から無人機20の実際の移動経路を推定し、推定した移動経路に対応する監視マップ200上の仮想的な移動経路と重なるセル(仮想的な移動経路を含むセル)を監視済みエリアとして特定する。ここで、図7Aを参照する。図7Aの破線矢印203は、行動計画作成部15が算出した無人機20-1の行動計画情報の一例である。図7Aの実線矢印204は、無人機20-1の実際の移動経路である。監視済みエリア特定部13は、破線矢印203ではなく、実線矢印204が通過するセル(6、D)、セル(5、C)、セル(4、C)、セル(3、C)を監視済みエリアとして特定する。
【0045】
また、例えば、監視済みエリア特定部13は、位置情報に加えて、さらにステップS18で取得された画像に基づいて、画像に監視対象のエリアの様子が写っているかどうかを判定し、実際の移動経路に係るセルの中から、監視に必要な情報が写っていない画像が所定数以上撮影されたセルを監視済みエリアから除外してもよい。例えば、障害物がカメラの視野を塞ぐことによって監視対象が撮影できなかったり、監視対象が構造物などで覆われていて撮影できなかったりした画像が、あるエリアの移動中に所定の割合以上、撮影された場合、監視済みエリア特定部13は、そのエリアに対応するセルを監視済みエリアから除外する。図7Aを再度参照する。図7Aの破線矢印205は、行動計画作成部15が算出した無人機20-2の監視経路である。図7Aの実線矢印206は、無人機20-2の実際の移動経路である。この例では、無人機20-2は、当初の監視経路どおりに移動している。しかし、セル(4、B)にて障害物が発生し、必要な品質を有する画像が撮影できなかったとする。すると、監視済みエリア特定部13は、セル(4、B)を除く、セル(3、B)、セル(5、B)、セル(6、B)を監視済みエリアとして特定する。
【0046】
また、例えば、監視済みエリア特定部13は、行動計画情報が示す監視経路(例えば、破線矢印205)と、無人機20-2の実際の移動経路(例えば、実線矢印206)との差(例えば、破線矢印205と実線矢印206の距離)が許容範囲内の場合、実際の移動経路に対応するセルを監視済みのエリアとして特定してもよい。この方法は、例えば、監視経路が、カメラの死角などを考慮して、撮影に適した経路として算出されている場合に用いることができる。
【0047】
次に優先度設定部14が、監視済みエリアの監視時間間隔をリセットする(ステップS10)。優先度設定部14は、ステップS9にて特定された監視済みエリアの監視時間間隔を初期値にリセットする。図7Bを参照する。優先度設定部14は、図7Aの実線矢印204に示す無人機20-1の移動に関して、セル(6、D)、セル(5、C)、セル(4、C)、セル(3、C)の値を“2”に初期化する。また、優先度設定部14は、図7Aの実線矢印206に示す無人機20-2の移動に関して、セル(3、B)、セル(5、B)、セル(6、B)の値を“2”に初期化する。なお、リセットの対象外となったセル(4、B)、セル(5、D)の監視時間間隔の値は、並行して実行されている処理A(ステップS5)により、カウントダウンされて“0”となっている。
【0048】
次に監視計画作成装置10は、監視を継続するか否かを判定する(ステップS11)。例えば、ユーザが、監視の終了指示を監視計画作成装置10へ入力すると、監視計画作成装置10は、監視を終了する。ユーザによる監視の終了指示が無い場合、監視計画作成装置10は、監視を継続する。監視計画作成装置10は、ステップS5~ステップS10の処理を繰り返す。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、監視マップ200の各セルに監視の優先度として、監視時間間隔を設定し、時間の経過に合わせてこの値をカウントダウンし、この値が“0”になるまでの間に当該セルに対応するエリアの監視を行うよう無人機20を制御する。これにより、監視の優先度が高いエリアを優先して監視することができる。また、一度、あるエリアを監視したならば、そのエリアに対応するセルの監視時間間隔を初期値に設定する。これにより、一度監視し終えたとしても、再び、設定された監視時間間隔以内に再度当該エリアを監視する義務が生じ、これを繰り返すことにより、自動的に継続した監視が実行される。また、監視エリア100の全域に対して、監視マップ200上で小エリアごとに分割し、各小エリアには監視時間間隔を設定する。そして、各小エリアについて、監視時間間隔のカウントダウンおよびリセット、監視時間間隔が“0”になるまでの間に無人機20を移動させて監視を実行するという制御を継続することにより、監視エリア100の全域を対象とする漏れの無い、継続的な常時監視が可能となる。
【0050】
また、複数の無人機20で監視を行う場合、複数台の無人機20の監視済みエリアおよび各セルの監視時間間隔を全台共通の1つの監視マップ200にて管理し、この監視マップ200に基づいて、複数の無人機20の行動計画情報を作成する。これにより、例えば、一部の無人機20が追跡などによって監視行動から外れることになっても、残りの無人機20によって、監視行動から外れた無人機20の監視をカバーすることができる。例えば、一般的な無人機による監視の場合、図8に示すように、無人機ごとに監視エリアを定めて、その範囲内の監視を行う。この場合、例えば、無人機20-2が監視中に異常な物体を発見し、その物体の追跡を開始すると、監視エリア100の左半分のエリアの監視は中断されてしまう。これに対し、本実施形態によれば、もともと、無人機20ごとに監視エリアを定めていないので、仮に無人機20-2が監視行動から外れても、残りの無人機20-1が、各セルに設定された監視時間間隔に基づいて監視を行う。従って、監視が中断するエリアを生じさせることなく、常時監視を継続的することができる。
【0051】
図9は、実施形態に係る監視システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の監視計画作成装置10、制御装置21は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0052】
なお、監視計画作成装置10、制御装置21の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、監視計画作成装置10の機能は、複数のコンピュータ900に分散して実装されていてもよい。
【0053】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、実施形態では設定した監視時間間隔からカウントダウンすることとしたが、監視時間間隔へ向けて初期値0からカウントアップするようにして、設定した監視時間間隔に対する残り時間をカウントしてもよい。
【0054】
<付記>
各実施形態に記載の監視計画作成装置、監視システム、監視計画作成方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0055】
(1)第1の態様に係る監視計画作成装置10は、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報(200)について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリア(セル)ごとにその小エリアを監視すべき時間間隔(監視時間間隔)の初期値を設定し(図2)、時間の経過に応じて前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントする(図3A、ステップS5)優先度設定部14と、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成する行動計画作成部15と、を備え、前記優先度設定部14は、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定する(図3B、ステップS10)。
これにより、優先度の高いエリアを優先的に監視しつつ、監視エリア全域を監視するという監視処理を継続的に実行することができる。これにより、広域な範囲の常時監視が可能になる。
【0056】
(2)第2の態様に係る監視計画作成装置は、(1)の監視計画作成装置であって、
前記行動計画作成部は、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先することに加え、前記無人機の前記小エリアへの移動コスト(移動距離、移動時間、移動に要する消費エネルギー、移動のしやすさ等のうちの1つ又は複数を組み合わせて定量化した値)が小さくなることを優先して、前記行動計画情報を作成する。
これにより、監視の優先度の高いエリアを効率的に巡回して監視を行うことができる。
【0057】
(3)第3の態様に係る監視計画作成装置は、(1)~(2)の監視計画作成装置であって、前記無人機によって監視された領域に対応する前記小エリアを、監視済みのエリアとして特定する監視済みエリア特定部13、をさらに備え、前記優先度設定部14は、前記監視済みエリア特定部によって特定された領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定する。
これにより、実際に監視を行ったエリアだけを確実に監視済みとして管理することができるので、監視したつもりになって実際には監視できていなかったといったことを防止し、監視精度を向上することができる。
【0058】
(4)第4の態様に係る監視計画作成装置は、(3)の監視計画作成装置であって、前記監視済みエリア特定部は、前記無人機の時系列の位置情報に基づいて、前記位置情報に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する。
これにより、実際に無人機が巡回した場所を監視済みとすることができる。
【0059】
(5)第5の態様に係る監視計画作成装置は、(3)~(4)の監視計画作成装置であって、前記監視済みエリア特定部は、前記無人機が撮影した画像を解析して、当該画像に監視対象が含まれていた場合、当該画像が撮影された位置に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する。
実際に監視対象が撮影できた場合のみ、その場所を監視済みとするので、監視精度をさらに向上することができる。
【0060】
(6)第6の態様に係る監視計画作成装置は、(3)~(5)の監視計画作成装置であって、前記監視済みエリア特定部は、前記無人機の時系列の位置情報に基づいて前記無人機の移動経路を算出し、算出した移動経路と所定の移動経路の差が許容範囲内の場合、算出した移動経路に対応する前記小エリアを監視済みのエリアとして特定する。
予め監視に適した監視経路(カメラで対象を良好に撮影することができるような経路)を設定しておき、この経路に沿って移動しつつ監視が行われた場合のみ、監視済みとすることで、監視の品質を担保することができる。
【0061】
(7)第7の態様に係る監視計画作成装置は、(1)~(6)の監視計画作成装置であって、前記監視エリアの地図情報を取得し、前記地図情報に基づいて、前記監視マップ情報を作成する監視マップ作成部、をさらに備える。
監視マップ情報の作成を自動化することで、監視処理を効率化することができる。
【0062】
(8)第7の態様に係る監視計画作成装置は、(1)~(7)の監視計画作成装置であって、前記監視エリアの範囲の指定を受け付け、受け付けた前記範囲を対象として前記監視マップ情報を作成する監視マップ作成部、をさらに備える。
監視対象領域の範囲を指定するだけで、監視マップ情報の作成を自動化することができ、監視処理を効率化することができる。
【0063】
(9)第9の態様に係る監視システムは、(1)~(8)の監視計画作成装置と、前記行動計画情報に基づいて行動する1台又は複数台の無人機と、を備える。
これにより、監視エリアの広さなどに応じて適切な数の無人機を導入し、継続的な監視を実行することができる。
【0064】
(10)第10の態様に係る監視計画作成方法は、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとにその小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し(ステップS2)、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントする(ステップS5)ステップと、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと(ステップS6)、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと(ステップS10)、を有する。
【0065】
(11)第11の態様に係るコンピュータ900に、無人機によって監視する全領域を示す監視エリアに対応する仮想的な領域である監視マップ情報について、前記監視マップ情報を分割してできた小エリアごとにその小エリアを監視すべき時間間隔の初期値を設定し、時間の経過に応じて、前記時間間隔の初期値に基づく監視期限までの残り時間をカウントするステップと、前記残り時間が少ない前記小エリアを優先して監視するように前記無人機の移動経路を定めた行動計画情報を作成するステップと、前記行動計画情報に基づいて前記無人機が移動したときに、前記無人機によって前記監視エリア内のある領域が監視されると、当該領域に対応する前記小エリアの前記残り時間に前記初期値を設定するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・監視システム
11・・・入力受付部
12・・・センサ情報取得部
13・・・監視済みエリア特定部
14・・・優先度設定部
15・・・行動計画作成部
16・・・指示部
17・・・監視マップ作成部
18・・・出力部
19・・・記憶部
1A・・・タイマ
20、20-1~20-N・・・無人機
21、21-1~21-N・・・制御装置
22、22-1~22-N・・・監視用センサ
23、23-1~23-N・・・測位用センサ
24、24-1~24-N・・・通信装置
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9