IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新光機器株式会社の特許一覧

特開2022-152218抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品
<>
  • 特開-抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品 図1
  • 特開-抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品 図2
  • 特開-抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品 図3
  • 特開-抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152218
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品
(51)【国際特許分類】
   A47G 7/02 20060101AFI20221004BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20221004BHJP
   A01N 59/20 20060101ALI20221004BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A47G7/02 Z
A01P3/00
A01N59/20 Z
A01N25/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054909
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB18
(57)【要約】
【課題】造花を交換しても抗菌性が失われることがなく、陽の当らない場合でも半永久的に抗菌効果を持続させることができる、抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾体を提供する。
【解決手段】銅製の丸棒10または銅パイプに形成された中心孔11を、造花取付部としたことを特徴とする抗菌性を持つ造花支持体である。なお、銅製の丸棒10または銅パイプが、銅素材を加工する際に生ずる端材であることが好ましい。また本発明の抗菌性を持つ室内装飾体は、上記の抗菌性を持つ造花支持体を花瓶に挿入し、その造花取付部に造花を取り付けたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅製の丸棒または銅パイプに形成された中心孔を、造花取付部としたことを特徴とする抗菌性を持つ造花支持体。
【請求項2】
銅製の丸棒または銅パイプが、銅素材を加工する際に生ずる端材であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を持つ造花支持体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抗菌性を持つ造花支持体を花瓶に挿入し、その造花取付部に造花を取り付けたことを特徴とする抗菌性を持つ室内装飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅の抗菌・抗ウイルス作用を利用した抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
造花に消臭・抗菌効果を持たせることは、特許文献1~3に示されるように従来から知られている。
【0003】
特許文献1には、布製の造花の花弁や葉の表裏面に酸化チタン溶液を塗布して乾燥させ、紫外線を受けた際に生ずる酸化チタンの有機物分解効果を利用して、消臭・抗菌効果を生じさせる造花が記載されている。特許文献2には、酸化チタンと天然放射希土類鉱物を組み合わせてマイナスイオンを生じさせる造花が記載されている。特許文献3には、抗菌材を吹き付けるか抗菌材を練り込んだ繊維や樹脂により造花を作成し、消臭・抗菌効果を生じさせることが記載されている。
【0004】
しかしこれらは何れも造花自体に酸化チタンまたは抗菌材を含ませたものであり、その造花に見飽きて新しい造花と交換したい場合に、その造花が通常の造花であると抗菌性が失われることとなる。また、酸化チタンに抗菌効果を発現させるためには紫外線を必要とするので、陽の当らない場所や夕暮れ後には抗菌効果を発揮しない。さらに抗菌材を吹き付けたものは、時間の経過とともにその効果が次第に低下して行くことが避けられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3071471号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089537号公報
【特許文献3】実用新案登録第3135466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、造花を交換しても抗菌性が失われることがなく、陽の当らない場合でも半永久的に抗菌効果を持続させることができる、抗菌性を持つ造花支持体及びこれを用いた抗菌性を持つ室内装飾体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、銅製の丸棒または銅パイプに形成された中心孔を、造花取付部としたことを特徴とする抗菌性を持つ造花支持体を要旨とするものである。なお、銅製の丸棒または銅パイプが、銅素材を加工する際に生ずる端材であることが好ましい。
【0008】
また本発明の抗菌性を持つ室内装飾体は、上記の抗菌性を持つ造花支持体を花瓶に挿入し、その造花取付部に造花を取り付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の造花支持体は、銅製の丸棒または銅パイプの中心孔を造花取付部としたものであるから、造花のワイヤを差し込むだけで室内装飾体とすることができ、銅の持つ抗菌・抗ウイルス効果によって、室内の空気を浄化することができる。また、造花を交換しても抗菌性が失われることがなく、陽の当らない場合でも半永久的に抗菌効果を持続させることができる。さらに、銅製の丸棒または銅パイプとして、銅素材を加工する際に生ずる端材を用いれば、極めて安価である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す外観図である。
図2】第2の実施形態を示す外観図である。
図3】第3の実施形態を示す外観図である。
図4】第4の実施形態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を示す。
図1において、10は銅製の丸棒であり、銅素材を加工する際に生ずる端材、またはそのような端材を適宜長さに切断したものである。端材は従来は廃棄されていたものであるから、極めて安価に入手することができる。この銅製の丸棒10の中心には中心孔11が形成されている。この中心孔11は端材自体にもともと形成されているものであるが、必要に応じて入口から適宜寸法までドリルによって穿孔または拡径してもよい。
【0012】
本発明ではこのような丸棒10に形成された中心孔11または銅パイプの中心孔を造花取付部として利用する。造花12は基部のワイヤ13の上端に布や樹脂からなる花弁14や葉15等を形成したものが一般的であるから、ワイヤ13を中心孔11に差し込んで支持させることができる。複数本のワイヤ13を同一の中心孔11に差し込むこともでき、また必要に応じて上記したように中心孔11を拡径することができる。
【0013】
銅は従来から知られているように、抗菌・抗ウイルス作用を持つ金属である。そのメカニズムは、銅イオンがウイルスのエンベローブ膜に穴を開けたり、銅イオンによって生成されたフリーラジカルが遺伝物質を分解するためであろうと考えられている。また米国の国立衛生研究所(NHI)の研究チームによれば、新型コロナウイルスの残存時間はプラスチックやステンレスの表面では72時間、段ボールの表面では24時間であるのに対して、銅の表面では4時間であるとのことであり、銅が新型コロナウイルスに対しても抗ウイルス作用を持つことが確認されている。
【0014】
本発明では抗菌・抗ウイルス作用を持つ銅を造花支持体としたものであるから、室内に設置すれば室内の空気を浄化することができる。なお銅は純銅であっても銅合金であってもよく、代表的な銅合金としてベリリウムを含有するベリリウム銅、クロムを含有するクロム銅などを例示することができる。これらの銅や銅合金は空気中に放置しても錆びにくく、長期間にわたり美観を保つことができる。また、従来の酸化チタンを用いた造花とは異なり、銅は紫外線を必要とせず半永久的に抗菌・抗ウイルス作用を維持することができる。このほか、見飽きた場合には造花12だけを交換すればよい利点もある。
【0015】
図1の場合には柱などにフックを利用して取り付けたり、立て掛けたりすることとなるが、図2に示すように花瓶20に挿入して立てることもできる。花瓶20として透明ガラス製のものを用い、水を入れれば涼感を得ることができる。銅から水中に溶出する銅イオンは水中の微生物の活性を低下させるので、水質の悪化や黴の発生を防止することができ、何時までも美観を維持することが可能である。
【0016】
図3に示す実施形態では、複数本の丸棒10を束ねて針金16で連結した。各丸棒10の中心孔11にそれぞれ造花12のワイヤ13を挿入することができる。またこのように多数本を束ねることにより、自立させることができるので、机上や棚の上に置く室内装飾体とすることができる。さらにこのように多数本を束ねれば空気と銅表面との接触面積を何倍にも増加させることができるので、室内空気の浄化効果を更に高めることができる。
【0017】
図4に示す第4の実施形態では、複数本の丸棒10を一定長さに短く切断したうえで束ねたものを水盤30に置き、剣山のように使用した。この場合にも銅イオンの抗菌効果により水の水質劣化を防止することができる。
【0018】
以上に説明した実施形態では、中心孔11を持つ銅製の丸棒10を造花支持体としたが、同様に銅パイプの端材を使用することもできる。
【0019】
本発明の利点を整理すると、次の通りである。
(1)造花を差し込み室内装飾体とすることができ、銅の持つ抗菌・抗ウイルス効果によって、室内の空気を浄化することができる。
(2)造花を交換しても、抗菌・抗ウイルス効果は低下せず、陽の当らない場合でも半永久的に抗菌効果を持続させることができる。
(3)銅素材を加工する際に生ずる端材を利用することができ、安価である。
(4)花瓶や水盤の水の水質悪化を防止することもできる。
【符号の説明】
【0020】
10 丸棒
11 中心孔
12 造花
13 ワイヤ
14 花弁
15 葉
16 針金
20 花瓶
30 水盤
図1
図2
図3
図4