IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新光機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-抗菌性デスク 図1
  • 特開-抗菌性デスク 図2
  • 特開-抗菌性デスク 図3
  • 特開-抗菌性デスク 図4
  • 特開-抗菌性デスク 図5
  • 特開-抗菌性デスク 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152220
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】抗菌性デスク
(51)【国際特許分類】
   A47B 17/00 20060101AFI20221004BHJP
   A47B 7/00 20060101ALI20221004BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A47B17/00 Z
A47B7/00 Z
A47B13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054911
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053PB03
3B053PC02
3B053SE02
(57)【要約】
【課題】優れた抗菌効果を半永久的に発揮することができる抗菌性デスクを提供する。
【解決手段】本発明の抗菌性デスクは、デスクの天板10に浅い凹部12を形成し、その凹部12に銅または銅合金からなる銅板11を嵌め込んだものである。銅合金としては、ベリリウム銅、リン青銅、ジルコニウム銅を用いることができる。浅い凹部12はデスクの天板10の使用者の手に触れやすい部位に形成することが好ましく、浅い凹部と銅板の周縁部との間に、熱膨張吸収用の間隙を形成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスクの天板に浅い凹部を形成し、その凹部に銅または銅合金からなる銅板を嵌め込んだことを特徴とする抗菌性デスク。
【請求項2】
銅合金が、ベリリウム銅、リン青銅、ジルコニウム銅の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性デスク。
【請求項3】
浅い凹部をデスクの天板の使用者の手に触れやすい部位に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性デスク。
【請求項4】
浅い凹部と銅板の周縁部との間に、熱膨張吸収用の間隙を形成したことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の抗菌性デスク。
【請求項5】
銅板をねじによって天板に固定したことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の抗菌性デスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌・抗ウイルス機能を持つ抗菌性デスクに関するものである。なお、本明細書においては抗菌・抗ウイルス性を抗菌性と略記する。
【背景技術】
【0002】
職場の事務用デスク、学校の授業用デスク、書斎用デスクなどどのようなデスクであっても、使用する場合には使用者の手がデスクの天板に触れることとなる。このため使用者の指先に細菌やウイルスが付着している場合には、デスクの天板にも細菌やウイルスが付着することが避けられない。またデスクの付近で会話をすれば、空中に飛散した細菌やウイルスが天板上に落下することとなる。
【0003】
特に現在感染者が増加している新型コロナウイルスは、学校においても稀にクラスターが発生することがあり、同一のデスクを多数の生徒が使用することもその原因の一つとして想定される。
【0004】
上記のようなデスクの天板は木製または樹脂製であるのが普通であるが、これらには抗菌性はなく、新型コロナウイルスは樹脂の表面では72時間残存すると言われている。
【0005】
デスクの天板に抗菌性を付与することに着目した先行文献は多くなく、特許文献1には能登産のヒバ材を使用して学童机を製作し、ヒバ材の持つヒノキチオールにより抗菌性・殺菌性を生じさせることが記載されている。しかしヒバ材の持つヒノキチオールによる抗菌作用は、時間の経過とともに低下して行くことが避けられない。
【0006】
なおデスクマットに抗菌性を付与することは、特許文献2と特許文献3に記載されている。特許文献2にはポリオレフィン系樹脂に酸化チタンを練り込むことが記載されている。また、特許文献3には、塩化ビニルシートの片面に無機銀系抗菌剤を練り込んだ層を形成することが記載されている。しかしこれらはデスクの天板自体に抗菌性を付与したものではない。また、特許文献2に示された酸化チタンの抗菌性は紫外線を必要とするため日没後や暗い室内では抗菌性がなく、特許文献3に示された無機銀系抗菌剤は微粉末として樹脂層の内部に分散しているので、表面に露出している部分はごく僅かである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3097849号公報
【特許文献2】実用新案登録第3134098号公報
【特許文献3】実用新案登録第3021305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、優れた抗菌効果を半永久的に発揮することができる抗菌性デスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明の抗菌性デスクは、デスクの天板に浅い凹部を形成し、その凹部に銅または銅合金からなる銅板を嵌め込んだことを特徴とするものである。
【0010】
なお、銅合金が、ベリリウム銅、リン青銅、ジルコニウム銅の何れかであることが好ましい。また、浅い凹部をデスクの天板の使用者の手に触れやすい部位に形成することが好ましく、浅い凹部と銅板の周縁部との間に、熱膨張吸収用の間隙を形成することが好ましい。さらに、銅板をねじによって天板に固定しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗菌性デスクは、デスクの天板に銅板を嵌め込んだものである。銅は抗菌性を持つ金属であり、その表面に接触した細菌やウイルスの活性を低下させる効果がある。このため、使用者の指先に付着した細菌やウイルスが銅板に付着すると抗菌効果が発揮される。また空中から天板上に落下した細菌やウイルスの活性も低下する。しかも銅板による抗菌性は抗菌材とは異なり、半永久的に継続する利点がある。
【0012】
また、本発明ではデスクの天板に浅い凹部を形成し、その凹部に銅または銅合金からなる銅板を嵌め込んだので、銅板部分の段差をなくすることができ、使い易いデスクとなる。しかも銅は古くから鍋やフライパンに使用されているように人体に対して安全な金属であるから、銅板の上で給食を食べたりしても安全である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図3】要部の断面図である。
図4】他の要部の断面図である。
図5】他の要部の断面図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を示す。
図1に示す第1の実施形態において、10はデスクの天板、11は銅板である。図1ではデスクは座卓の形状であるが、職場の事務用デスク、学校の授業用デスク、書斎用デスクなどどのようなデスクであってもよい。天板10には浅い凹部12が形成されており、この凹部12に銅板11が落とし込むようにはめ込まれている。
【0015】
銅は従来から知られているように、抗菌・抗ウイルス作用を持つ金属である。そのメカニズムは、銅イオンがウイルスのエンベローブ膜に穴を開けたり、銅イオンによって生成されたフリーラジカルが細菌やウイルスの遺伝物質を分解するためであろうと考えられている。また米国の国立衛生研究所(NHI)の研究チームによれば、新型コロナウイルスの残存時間はプラスチックやステンレスの表面では72時間、段ボールの表面では24時間であるのに対して、銅の表面では4時間であるとのことであり、銅が新型コロナウイルスに対しても抗ウイルス作用を持つことが確認されている。
【0016】
銅板11は純銅板であっても、合金銅板であっても抗菌性に変わりはない。しかし純銅は硬度が低く疵付き易いので、外観を重視するとベリリウム銅、リン青銅、ジルコニウム銅などの合金銅の板とすることが望ましい。ベリリウム銅、リン青銅は導電性のあるバネ材として広く用いられており、ジルコニウム銅は溶接用コンタクトチップなどに広く用いられている。これらは純銅よりも硬度が高く疵付き難いうえ、工業材量として生産量も多いため、入手し易い利点がある。
【0017】
凹部12の深さは銅板11の板厚と一致させておくことが好ましく、これにより銅板11の周縁部の段差をなくすることができる。なお抗菌効果は銅イオンにより生ずるものであるから、銅板11の板厚に依らない。しかし板厚が薄すぎると反り等の変形を生ずるおそれがあるから、0.5mm以上とすることが好ましい。逆に板厚が厚くなると重量が増加し、コストも高くなるので、3mm以下とすることが好ましい。
【0018】
図2に示す第2の実施形態では、浅い凹部12をデスクの天板10の使用者の手に触れやすい部位に形成し、銅板11をはめ込んだ。使用者の手に触れにくい部分にまで抗菌性を付与してもその効果が低く、コストが高くなるためである。
【0019】
銅板11の周縁部の段差をなくするためには、凹部12に銅板11を隙間なくはめ込むことが好ましい。しかし、銅の熱膨張係数は16.8×10-6/Kと大きく、木材の繊維方向の熱膨張係数は3~6×10-6/Kと小さいため、夏季などに温度上昇によって銅板11が反り返り浮き上がる可能性がある。このため図3に示すように、浅い凹部12と銅板11の周縁部との間に、熱膨張吸収用の間隙13を形成しておくことが好ましい。なお、木材の繊維方向と直角方向の熱膨張係数は銅の熱膨張係数と同等であるから、この方向には熱膨張吸収用の間隙13を形成する必要はない。
【0020】
また図4に示すように、銅板11の端面を傾斜面14となるように加工しておけば、熱膨張による銅板11の反りを防止することができる。
【0021】
また図5に示すように銅板11の端面に段差15を形成し、凹部12の内面にも対応する段差を形成することもできる。
【0022】
また、単に凹部12に銅板11を落とし込んだだけでは、デスクを運搬する際に天板10が傾くと、銅板11が凹部12から外れて落下する危険がある。このため図6に示すように、銅板11のコーナー部等にネジ孔を形成し、ねじ16によって固定しておくことが好ましい。
【0023】
以上に説明した本発明の抗菌性デスクは、天板10に抗菌性のある銅板11をはめ込んだものであるから、使用者の指先に付着した細菌やウイルスが銅板11に付着すると抗菌効果が発揮される。また空中から銅板11上に落下した細菌やウイルスの活性も低下させることができる。しかも銅板11がある限り抗菌性は継続する利点がある。さらに銅板10は空気中では金属光沢を失わないので、美観の点においても好ましいものである。
【符号の説明】
【0024】
10 天板
11 銅板
12 凹部
13 隙間
14 傾斜面
15 段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6