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  • 特開-サブフレーム 図1
  • 特開-サブフレーム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152261
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】サブフレーム
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20221004BHJP
   B60G 21/055 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B62D21/00 A
B60G21/055
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054966
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優歩
(72)【発明者】
【氏名】久野 僚介
(72)【発明者】
【氏名】小畠 勲
【テーマコード(参考)】
3D203
3D301
【Fターム(参考)】
3D203BA13
3D203BC35
3D203CA04
3D203CA52
3D203CA75
3D203DA02
3D203DA13
3D203DA72
3D203DA83
3D203DA89
3D301DA66
3D301DA70
(57)【要約】
【課題】車両部品のレイアウトの自由度を高くできるサブフレームを提供する。
【解決手段】サブフレーム100は、本体部10と、本体部10を車体に支持する車体支持部20と、を備え、スタビライザSTを前記本体の上方に配置する。本体部10は、パワーユニットと連結されるトルクロッドTRを支持するトルクロッド支持部13を備える。トルクロッド支持部13は、トルクロッドTRを挿入可能に前方に形成された前開口部A1と、後方に形成された後開口部A3と、を有する。後開口部A3に対して前後方向に重なる後方に、スタビライザSTを配置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部を車体に支持する車体支持部と、を備え、スタビライザを前記本体部の上方に配置したサブフレームにおいて、
前記本体部は、パワーユニットと連結されるトルクロッドを支持するトルクロッド支持部を備え、
前記トルクロッド支持部は、前記トルクロッドを挿入可能に前方に形成された前開口部と、後方に形成された後開口部と、を有し、
前記後開口部に対して前後方向に重なる後方に、前記スタビライザを配置する
ことを特徴とするサブフレーム。
【請求項2】
前記後開口部に対して前後方向に重なる状態で、前記スタビライザの後方に、ステアリングラックを配置する
ことを特徴とする請求項1に記載のサブフレーム。
【請求項3】
前記後開口部の下方に、前後方向に垂直な面に沿って延びる後壁と、前記後壁の後方に剛結される高剛性部と、を備え、
前記高剛性部の上方に、前記スタビライザを配置する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサブフレーム。
【請求項4】
前記高剛性部は、前記後壁の上端から後方に延びる連結壁と、前記連結壁の後端から下方に延びる縦壁と、を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のサブフレーム。
【請求項5】
前記高剛性部は、前記車体支持部まで延びる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のサブフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の下部に固定されるサスペンションメンバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-59813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のサスペンションメンバーは、エンジン等に繋がるトルクロッドを支持するブラケットを別途要し、ブラケットの後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度に制限があった。
【0005】
本発明は、車両部品のレイアウトの自由度を高くできるサブフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係るサブフレーム(例えば、実施形態のサブフレーム100)は、本体(例えば、実施形態の本体部10)と、前記本体を車体に支持する車体支持部(例えば、実施形態の車体支持部20)と、を備え、スタビライザ(例えば、実施形態のスタビライザST)を前記本体の上方に配置したサブフレームにおいて、前記本体は、パワーユニットと連結されるトルクロッド(例えば、実施形態のトルクロッドTR)を支持するトルクロッド支持部(例えば、実施形態のトルクロッド支持部13)を備え、前記トルクロッド支持部は、前記トルクロッドを挿入可能に前方に形成された前開口部(例えば、実施形態の前開口部A1)と、後方に形成された後開口部(例えば、実施形態の後開口部A3)と、を有し、前記後開口部に対して前後方向に重なる後方に、前記スタビライザを配置する。
【0007】
この構成によれば、前記トルクロッド支持部は、前記トルクロッドを挿入可能に前方に形成された前開口部と、後方に形成された後開口部と、を有するものとした。このため、スタビライザを、クリアランスを確保し辛いトルクロッドの後方を避けて配置することなく、トルクロッドの後方に近づけて配置することができる。また、後開口部に対して前後方向に重なる後方に、スタビライザを配置した。これにより、本体の構造をシンプルにできるとともに、スタビライザのレイアウトに影響されるステアリングギヤボックスのレイアウトの自由度を高めることができる。よって、トルクロッド支持部の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高くできる。
【0008】
(2)前記後開口部に対して前後方向に重なる状態で、前記スタビライザの後方に、ステアリングラック(例えば、実施形態のステアリングラックSR)を配置してよい。
【0009】
この構成によれば、前記後開口部に対して前後方向に重なる状態で、前記スタビライザの後方に、ステアリングラックを配置した。これにより、スタビライザとステアリングラックとを上下方向に離して配置する場合に比べて、サブフレームのトルクロッド支持部の下方に高剛性部を設ける空間を確保できる。よって、トルクロッド支持部の剛性を確保しつつ、トルクロッド支持部の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高くできる。
【0010】
(3)前記後開口部の下方に、前後方向に垂直な面に沿って延びる後壁(例えば、実施形態の後壁14)と、前記後壁の後方に剛結される高剛性部(例えば、実施形態の高剛性部15)と、を備え、前記高剛性部の上方に、前記スタビライザを配置してよい。
【0011】
この構成によれば、前記後開口部の下方に、前後方向に垂直な面に沿って延びる後壁を備えた。これにより、車幅方向に垂直な断面の断面係数が大きくなるように設計でき、トルクロッド支持部の剛性を高めることができ、後開口部を形成することによるトルクロッド支持部の剛性の欠損を補うことができる。また、前記後壁の後方に剛結される高剛性部を更に備えた。これにより、高剛性部の上方の空間を確保しつつ、トルクロッド支持部の剛性を更に高めることができる。
【0012】
(4)前記高剛性部は、前記後壁の上端から後方に延びる連結壁(例えば、実施形態の連結壁151)と、前記連結壁の後端から下方に延びる縦壁(例えば、実施形態の縦壁152)と、を備えてよい。
【0013】
この構成によれば、前記高剛性部は、前記後壁の上端から後方に延びる連結壁を備えた。これにより、車両部品のレイアウトに影響しない、トルクロッド支持部の後方の下方の空間において、車幅方向に垂直な断面係数が大きくなるように設計できる。よって、トルクロッド支持部の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高く確保しつつ、トルクロッド支持部の後方の下方の空間を有効に利用して、剛性を更に高めることができる。また、前記高剛性部は、前記連結壁の後端から下方に延びる縦壁と、を備えた。これにより、高剛性部は、後壁の上端から後方に延びる連結壁を有するので、上下方向を中心とするモーメントに対する剛性を高めることができる。また、高剛性部は、断面の弱軸が互いに垂直に交わる関係となる連結壁と縦壁の二つの部材で構成されているので、全方向的に剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両部品のレイアウトの自由度を高くできるサブフレームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る一実施形態のサブフレームを上方前方からみた斜視図である。
図2】一実施形態のサブフレームを上方後方からみた斜視図である。
図3図2におけるA矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るサブフレーム100を説明する。図面において、矢印FRは車両の前方、矢印RBは車両の後方、矢印UPは車両の上方、矢印DWは車両の下方、矢印Lは車両の左方、矢印Rは車両の右方を示す。車両の左右方向を車幅方向という場合がある。なお、サブフレーム100は、概ね左右対称の構造である。よって、以下、左右の構成部材に同じ符号を付して説明する場合がある。
【0017】
図1は、発明に係る一実施形態のサブフレーム100を上方前方からみた斜視図である。図2は、一実施形態のサブフレーム100を下方後方からみた斜視図である。図3は、図2におけるA矢視断面図である。なお、図2は、スタビライザST及びステアリングギヤボックスSBの図示を省略している。
【0018】
(サブフレーム)
図1から図3に示すように、サブフレーム100は、不図示の車体とともに車両の骨格の一部を構成する部材である。サブフレーム100は、車体の下方に設けられている。
サブフレーム100は、本体部10と、本体部10を車体に支持する車体支持部20と、を備えている。本体部10及び車体支持部20は、例えば、ダイカスト成形方法によって、一体に形成されている。本体部10及び車体支持部20は、例えば、アルミニウム等の非鉄金属の合金製である。
サブフレーム100は、少なくとも、左右のサスペンション(不図示)同士を連結して車幅方向に沿って延びる棒状のスタビライザSTを本体部10の上方に配置している。
【0019】
(車体支持部)
車体支持部20は、本体部10を車体に支持する部分である。車体支持部20は、本体部10の左側に配置されて車体の左側に支持される左車体支持部21と、本体部10の右側に配置されて車体の右側に支持される右車体支持部22と、を有している。左車体支持部21と右車体支持部22とは、車幅方向に離れて左右対称に配置されている。左車体支持部21及び右車体支持部22は、上方に延びている。左車体支持部21及び右車体支持部22により、サブフレーム100(本体部10)は、車体と本体部10との間に空間を形成した状態で、車体の車幅方向に架け渡されている。なお、サブフレーム100は、車体支持部20を、左車体支持部21と右車体支持部22に限らず、更に有していてもよい。
【0020】
(本体部)
本体部10は、サスペンションアーム支持部12と、トルクロッド支持部13と、を備えている。本体部10は、車体との間の空間に、スタビライザSTを配置している。
【0021】
サスペンションアーム支持部12は、サスペンションアーム(不図示)をヒンジで支持している。
【0022】
<トルクロッド支持部>
トルクロッド支持部13は、不図示のパワーユニットと連結されるトルクロッドTRを支持している。トルクロッドTRの一端は、ブッシュ(不図示)を介してサブフレーム100にヒンジで連結されている。トルクロッドTRの他端は、エンジン等のパワーユニットに連結されている。トルクロッド支持部13は、本体部10における車幅方向の中央に配置されている。
【0023】
詳細には、トルクロッド支持部13は、本体部10の上方に突出している。トルクロッド支持部13は、トルクロッドTRの一端を収容可能な空間を形成している。トルクロッド支持部13は、トルクロッドTRを支持する軸Pの一端を支持する天板13Wと、側板13Vと、を有している。なお、軸Pは、トルクロッドTRを揺動自在に支持するヒンジを構成している。
天板13Wは、本体部10の上面に沿って略水平な面を有する板状体である。天板13Wは、本体部10の上面より上方に位置している。天板13Wは、下方に、トルクロッドTRを収容できる空間を有している。天板13Wは、本体部10から上方に延びる側板13Vを介して、本体部10と一体に形成されている。天板13Wは、平面視において略中央に第1軸支持部131を有している。天板13Wの下方には、トルクロッドTRの収容空間と下開口部A2(図3参照)とを隔てて、補強プレート30が設けられる。天板13Wに設けられた第1軸支持部131は、軸Pの一端を支持している。補強プレート30に設けられた第2軸支持部(不図示)は、軸Pの他端を支持している。
【0024】
トルクロッド支持部13は、トルクロッドTRを挿入可能に前方に形成された前開口部A1と、後方に形成された後開口部A3と、を有している。そして、後開口部A3に対して前後方向に重なる後方に、スタビライザSTを配置している。このように、トルクロッド支持部13は、後開口部A3を有している。このため、スタビライザSTを、クリアランスを確保し辛いトルクロッドTRの後方を避けて配置することなく、クリアランスを確保しつつトルクロッドTRの後方に近づけて配置することができる。また、後開口部A3に対して前後方向に重なる後方に、スタビライザSTを配置した。これにより、本体部10の構造をシンプルにできるとともに、スタビライザSTのレイアウトに影響されるステアリングギヤボックスSBのレイアウトの自由度を高めることができる。よって、トルクロッド支持部13の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高くできる。
【0025】
サブフレーム100は、図3に示すように、後開口部A3に対して前後方向に重なる状態で、スタビライザSTの後方に、ステアリングラックSRを配置している。このように、サブフレーム100に、トルクロッド支持部13の後開口部A3に対して、前後方向に重なる後方に、スタビライザST及びステアリングラックSRをこの順で並べて配置した。これにより、スタビライザSTとステアリングラックSRとを上下方向に離して配置する場合に比べて、サブフレーム100のトルクロッド支持部13の下方に高剛性部15を設ける空間を確保できる。よって、トルクロッド支持部13の剛性を確保しつつ、トルクロッド支持部13の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高くできる。
【0026】
サブフレーム100は、後開口部A3の下方に、前後方向に垂直な面に沿って延びる後壁14と、後壁14の後方に剛結される高剛性部15と、を備えている。そして、サブフレーム100は、高剛性部15の上方に、スタビライザSTを配置している。このように、サブフレーム100の後開口部A3の下方に、前後方向に垂直な面に沿って延びる後壁14を備えた。これにより、車幅方向に垂直な断面の断面係数が大きくなるように設計でき、トルクロッド支持部13の剛性を高めることができ、後開口部A3を形成することによるトルクロッド支持部13の剛性の欠損を補うことができる。また、後壁14の後方に剛結される高剛性部15を更に備えた。これにより、高剛性部15の上方の空間を確保しつつ、トルクロッド支持部13の剛性を更に高めることができる。
【0027】
詳細には、高剛性部15は、後壁14の上端から後方に延びる連結壁151と、連結壁151の後端から下方に延びる縦壁152と、を備えている。これにより、車両部品のレイアウトに影響しない、トルクロッド支持部13の後方の下方の空間において、車幅方向に垂直な断面係数が大きくなるように設計できる。よって、トルクロッド支持部13の後方の空間に配置される車両部品のレイアウトの自由度を高く確保しつつ、トルクロッド支持部13の後方の下方の空間を有効に利用して、剛性を更に高めることができる。また、高剛性部15は、後壁14の上端から後方に延びる連結壁151を有するので、上下方向を中心とするモーメントに対する剛性を高めることができる。また、高剛性部15は、断面の弱軸が互いに垂直に交わる関係となる連結壁151と縦壁152の二つの部材で構成されているので、全方向的に剛性を高めることができる。
【0028】
高剛性部15は、車体支持部20まで延びている。好ましくは、高剛性部15は、左車体支持部21から右車体支持部22まで連続的に延びている。このように、高剛性部15は、車体支持部20まで延びているので、トルクロッド支持部13の剛性を高めることに加えて、車体支持部20で支持されたサブフレーム100の全体の剛性を高めることができる。
【0029】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0030】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 本体部
12 サスペンションアーム支持部
13 トルクロッド支持部
13V 側板
13W 天板
131 第1軸支持部
14 後壁
15 高剛性部
151 連結壁
152 縦壁
20 車体支持部
21 左車体支持部
22 右車体支持部
30 補強プレート
100 サブフレーム
A1 前開口部
A2 下開口部
A3 後開口部
P 軸
SB ステアリングギヤボックス
SR ステアリングラック
ST スタビライザ
TR トルクロッド
図1
図2
図3