(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152300
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ガス栓へのフランジ板取付構造
(51)【国際特許分類】
F16L 5/00 20060101AFI20221004BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F16L5/00 A
F16L5/00 S
F16K27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055017
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】玉城 康年
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 典之
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
(72)【発明者】
【氏名】植田 陽介
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA04
3H051BB02
3H051CC15
3H051FF01
(57)【要約】
【課題】ガス栓の六角筒状の配管接続部に容易に且つ確実にフランジ板を取付けることができるようにすること。
【解決手段】フランジ板(1)は、フランジ主体(100)と、それに設けた環状テーパ部(12)に嵌め込まれる六角固定具(2)と、六角固定具(2)を抜け止め状態に保持するガイド板(15)からなり、六角固定具(2)は、一方開放端部でのみ連結された6つの構成壁(21)からなり、各構成壁(21)の前記一方開放端部の連結部分には突出片(22)が内方に突出し、各構成壁(21)の外面には爪部(20)が突出し、六角固定具(2)内に、ガス栓(3)の配管接続部(31)を嵌入させて奥へ押込むと、配管接続部(31)の各コーナ部が突出片(22)に当接し、爪部(20)が環状テーパ部(12)に当接する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス栓の六角筒状の配管接続部の開放端部にフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板は、
中央孔を有する小環状板部と、前記小環状板部の周縁から拡径しながら延設される環状テーパ部と、前記環状テーパ部の最大拡径端部から半径方向外方へ張り出す大環状板部とからなるフランジ主体と、
前記ガス栓の配管接続部が嵌入可能な6つの構成壁からなる六角形状の枠体であって、隣り合う前記構成壁相互は一方開放端部でのみ連結されていると共に、前記一方開放端部から前記最大拡径端部を介して前記環状テーパ部内へ嵌め込まれる六角固定具と、
前記フランジ主体の前記大環状板部に接合されると共に、前記六角固定具を抜け止め状態に保持しながら前記六角固定具の他方開放端部を臨ませる六角孔を有するガイド板とからなり、
前記各構成壁の外面の所定位置に爪部が突設されていると共に、前記一方開放端部の連結部分に、前記構成壁に対して略直角に内方に向かって突出する突出片が設けられ、
前記爪部は、前記六角固定具を前記環状テーパ部内に挿入するとき前記環状テーパ部に当接し、
前記六角固定具の前記他方開放端部から、前記ガス栓の配管接続部を差し込むと、前記配管接続部の各コーナ部が前記突出片にそれぞれ当接するように設定されているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記各構成壁の前記他方開放端部側に外方に向かって傾斜する傾斜面を設けたガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記配管接続部にはフレキ配管が継手を介して接続され、
前記継手にはテーパ雄ネジ筒部が形成されていると共に、前記配管接続部には前記テーパ雄ネジ筒部が螺合可能なテーパ雌ネジ部が形成され、
前記テーパ雄ネジ筒部の基端部に、締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具が外嵌され、
前記テーパ雄ネジ筒部を前記テーパ雌ネジ部に最終締付状態に達するまで締め付けると、前記フランジ板は、前記固定金具の弾性筒体によってガス栓側へ弾性的に押されるように設定されているガス栓へのフランジ板取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 ガス栓にフランジ板を取り付ける取付構造、特に、壁板に添設固定させるフランジ板をガス栓の六角筒状の配管接続部に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁板(4)内に収容されているガス管としてのフレキ配管(44)が継手(41)を介して接続されるガス栓(3)を、壁板(4)の表面に固定するために、ガス栓(3)の六角筒状の配管接続部(31)の開放端に、金属製のフランジ板(33)が半径方向外側に張り出すように設けられている(
図5参照)。
配管接続部(31)にはテーパ雌ネジ部(32)が形成されてあり、継手(41)にはこれに螺合可能なテーパ雄ネジ筒部(42)が形成されている。
【0003】
実開平2-74679号(特許文献1)のフランジ板は中央孔を有する環状板であり、前記配管接続部の開放端面に前記中央孔の周辺域を直接ネジ止めにより固定する取付構造と、円形の前記中央孔を囲むように突設させた六角嵌合部内に前記六角筒状の配管接続部の開放端部を嵌入させて一体とする構造が開示されている。後者のものでは、
図5に示すように、締付けナット(43)を螺合させた状態で継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)を、六角嵌合部(34)に嵌入させた状態の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺入させ、最終締付位置に達するまで締め付ける。その後、締付けナット(43)を締め付けると、フランジ板(33)の中央孔(30)の周縁部分が、締付けナット(43)によって押されて配管接続部(31)の開放端面に強固に押し付けられることとなり、フランジ板(33)は配管接続部(31)に抜け止め状態に確実に取り付けられる。
【0004】
フランジ板(33)には複数のネジ挿通孔(35)が設けられており、上記要領にてガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付けられたフランジ板(33)を壁板(4)の表面に添設させ、取付金具(5)を壁板(4)の裏面に添設させ、フランジ板(33)のネジ挿通孔(35)に挿通させる取付けネジ(51)を取付金具(5)に設けたネジ孔(55)に螺合させて締め付ける。これにより、フランジ板(33)と取付金具(5)とで、壁板(4)の開口(40)の周縁が挟圧された状態となり、ガス栓(3)は壁板(4)の表面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例のうち、前者のものでは、配管接続部の開放端面にネジ孔が設けられた専用のガス栓を製造しておく必要があり、施工現場で対応することができない上に、コスト面に無駄が生じる。後者のものでは、フランジ板(33)に設けた六角嵌合部(34)に配管接続部(31)を嵌入させた状態のガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)に、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)を螺合させた後に、締付けナット(43)を締め付けることで、通常のガス栓(3)の配管接続部(31)にフランジ板(33)を施工現場で取り付けることができるが、ガス栓(3)に具備させたフランジ板(33)と、配管接続部(31)に螺合させた継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)の基端部との間の僅かな隙間に設けられた締付けナット(43)を締め付ける作業は行い難く、フランジ板の取付け作業が困難である。また、締付けナット(43)の締め付け力が弱いと、六角嵌合部(34)内で配管接続部(31)ががたつく不都合が生じる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、ガス栓を壁板の表面に固定するためのフランジ板をガス栓の六角筒状の配管接続部に容易に且つ確実に取付けることができるガス栓へのフランジ板取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、『ガス栓の六角筒状の配管接続部の開放端部にフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板は、
中央孔を有する小環状板部と、前記小環状板部の周縁から拡径しながら延設される環状テーパ部と、前記環状テーパ部の最大拡径端部から半径方向外方へ張り出す大環状板部とからなるフランジ主体と、
前記ガス栓の配管接続部が嵌入可能な6つの構成壁からなる六角形状の枠体であって、隣り合う前記構成壁相互は一方開放端部でのみ連結されていると共に、前記一方開放端部から前記最大拡径端部を介して前記環状テーパ部内へ嵌め込まれる六角固定具と、
前記フランジ主体の前記大環状板部に接合されると共に、前記六角固定具を抜け止め状態に保持しながら前記六角固定具の他方開放端部を臨ませる六角孔を有するガイド板とからなり、
前記各構成壁の外面の所定位置に爪部が突設されていると共に、前記一方開放端部の連結部分に、前記構成壁に対して略直角に内方に向かって突出する突出片が設けられ、
前記爪部は、前記六角固定具を前記環状テーパ部内に挿入するとき前記環状テーパ部に当接し、
前記六角固定具の前記他方開放端部から、前記ガス栓の配管接続部を差し込むと、前記配管接続部の各コーナ部が前記突出片にそれぞれ当接するように設定されている』ことである。
【0009】
上記技術的手段は次のように作用する。
フランジ板を組み付けるには、まず、フランジ主体の環状テーパ部の最大拡径端部に、六角固定具を、構成壁相互が連結されている前記一方開放端部側から差し入れる。すると、六角固定具は、前記各構成壁の外面に突設させた爪部が前記環状テーパ部に当接すると共に、他方開放端部が環状テーパ部の最大拡径端部から突出する態様となる。この他方開放端部を六角孔に挿通させながらガイド板を大環状板部上に接合させると、フランジ主体と六角固定具とガイド板とが一体に組付けられたフランジ板が完成する。このとき、六角固定具の爪部は、ガイド板の六角孔の周縁に内方から引っ掛かることにより、六角固定具は抜け止め状態にセットされる。
【0010】
このフランジ板をガス栓の配管接続部に取り付けるには、ガイド板の六角孔から突出している六角固定具の他方開放端部内に、ガス栓の配管接続部を差し入れてそのまま奥へ押込む。すると、前記一方開放端部の連結部分に前記構成壁に対して略直角に内方に向かって突出させた突出片が、配管接続部の各コーナ部で押されることにより、六角固定具はガス栓の配管接続部と共に奥へ押し込まれる。また、前記6つの構成壁は奥側の一方開放端部でのみ相互に連結されているから、各構成壁は前記一方開放端部を基端部として内外に揺動可能である。
六角固定具がガス栓の配管接続部と共に、フランジ主体の環状テーパ部内を小環状板部へ向かって押込まれていくにつれて、環状テーパ部に当接している爪部が環状テーパ部の傾斜に従って内方へ押され、それに伴い、各構成壁は、前記一方開放端部を基端部として内方へ倒れる方向に揺動する。これにより、ガス栓の配管接続部は、内方へ倒れた各構成壁で周囲から均等に押される態様となり、六角固定具内にがたつくことなく保持される。
【0011】
上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記各構成壁の前記他方開放端部側に外方に向かって傾斜する傾斜面を設けた』ことである。
【0012】
六角固定具は、各構成壁の他方開放端部側に外方に向かって傾斜する傾斜面を設けることにより、前記他方開放端部を拡径させる形状としたから、六角固定具内にガス栓の配管接続部を挿入し易い。また、六角固定具が、ガス栓の配管接続部と共に環状テーパ部の奥側へ押込まれると、上記したように、爪部が環状テーパ部で内方に押されて各構成壁が内方に倒れる方向に揺動すると、各構成壁の傾斜面が六角孔の周縁に当接し、そのまま押し込まれていく。これにより、構成壁と六角孔の周縁との間に隙間が生じることなく、六角固定具はガイド板に対してがたつくことなく保持される。
六角固定具を構成している各構成壁を内方に倒れる方向に揺動させることで、ガス栓の配管接続部と六角固定具との間、さらには、六角固定具とガイド板の六角孔との間にがたつきを発生させないようにしたから、ガス栓は確実にフランジ板に固定されることとなり、ガス栓を操作する際に、ガス栓ががたつく等の違和感なく、安心してガス栓を使用することが出来る。
【0013】
上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記配管接続部にはフレキ配管が継手を介して接続され、
前記継手にはテーパ雄ネジ筒部が形成されていると共に、前記配管接続部には前記テーパ雄ネジ筒部が螺合可能なテーパ雌ネジ部が形成され、
前記テーパ雄ネジ筒部の基端部に、締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具が外嵌され、
前記テーパ雄ネジ筒部を前記テーパ雌ネジ部に最終締付状態に達するまで締め付けると、前記フランジ板は、前記固定金具の弾性筒体によってガス栓側へ弾性的に押されるように設定されている』ことである。
【0014】
締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具を前記継手のテーパ雄ネジ筒部に外嵌させた状態で、前記テーパ雄ネジ筒部を配管接続部のテーパ雌ネジ部に螺合させ、最終締付状態に達するまで締め付ける。すると、その締付力によって、固定金具はフランジ板側へ押されるが、固定金具に具備させた弾性筒体の弾性力によって、その締付度合を調整しながら、前記フランジ板はガス栓に弾性的に押し付けられる。これにより、ガス栓は、配管接続部がフランジ板の六角固定具に嵌入された状態でより一層強固にフランジ板に取り付けられる。
【発明の効果】
【0015】
ガス栓の配管接続部を、フランジ主体に設けた環状テーパ部内に挿入して奥へ押込むだけで、六角固定具を構成している各構成壁が内方に倒れて前記配管接続部の周面を均等に押圧することとなるから、ガス栓の配管接続部は六角固定具内にがたつくことなく密嵌状態に確実に保持させることができる。よって、ガス栓の配管接続部へのフランジ板の取付け作業が容易で且つ確実となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板を利用してガス栓を取り付ける様子を示す分解斜視図である。
【
図2】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板の分解斜視図である。
【
図3】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板の断面図(
図1のX-X断面図)である。
【
図4】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造の要部拡大断面図である。
【
図5】従来のガス栓へのフランジ板取付構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態のフランジ板(1)を使用してガス栓を取り付ける様子を示す分解斜視図であり、
図2はフランジ板(1)の分解斜視図である。
【0018】
本発明の実施の形態のフランジ板(1)は、
図1に示すように、環状のフランジ主体(100)と、フランジ主体(100)の中央部に嵌め込まれる六角固定具(2)と、フランジ主体(100)に接合されて六角固定具(2)を抜け止め状態に保持するガイド板(15)とが一体に組み付けられたものである。これらフランジ主体(100)、六角固定具(2)及びガイド板(15)は、全て金属板から構成されている。
【0019】
フランジ主体(100)は、
図2に示すように、中央孔(10a)を有する小環状板部(11)と、小環状板部(11)の周縁から拡径しながら延設される環状テーパ部(12)と、環状テーパ部(12)の最大拡径端部(12a)から半径方向外側へ向かって張り出す大環状板部(13)とから構成されている。このように、フランジ主体(100)は、小環状板部(11)を底部とし、環状テーパ部(12)を周壁とするテーパ状凹部(10)を備えた形状であり、小環状板部(11)上には、中央孔(10a)と同径の孔が形成された環状パッキン(17)が載置される。また、大環状板部(13)の裏面には、その周縁に添って環状の裏パッキン(18)が添設され、最大拡径端部(12a)に対して対称な各位置には、壁板の裏側に位置させる取付金具(図示せず)にネジ止めするための取付けネジ(51)を挿通させるネジ挿通孔(19)が貫通している。
【0020】
六角固定具(2)は、6つの構成壁(21)からなる、上記したテーパ状凹部(10)内に収容可能な大きさの六角形状の枠体である。各構成壁(21)は、矩形板(211)と、矩形板(211)の一方の長辺の両端からそれぞれ一方側へ延設された一対の脚片(212)とから、前記一方へ開放する略コ字状に形成されている。隣り合う構成壁(21)相互は、隣接する脚片(212)の先端(一方端)のみで連結されており、それ以外は非連続となっている。これにより、各構成壁(21)は、脚片(212)の先端の連結部分を基端部として内外に揺動可能である。
【0021】
なお、脚片(212)の先端の連結部分は、内方に折り曲げられて、構成壁(21)に対して略直角に突出する突出片(22)が設けられている。
また、矩形板(211)の前記一方の長辺の中央部には、延設片を外方に折り曲げて、外方に向かって突出する爪部(20)が設けられている。
【0022】
さらに、矩形板(211)の他方の長辺側は外方へ傾斜させて、傾斜面(23)が形成されている。なお、傾斜面(23)の傾斜角度は、フランジ主体(100)の環状テーパ部(12)の傾斜角度にほぼ等しく設定されている。
【0023】
六角固定具(2)は上記構成であるから、六角形の各コーナ部は前記一方開放端部でのみ連結されると共に突出片(22)が内方に突設されており、他方開放端部は傾斜面(23)の傾斜に倣って拡径する形状を呈している。六角固定具(2)を、フランジ主体(100)のテーパ状凹部(10)内に嵌め込むと、
図3に示すように、爪部(20)の先端が、環状テーパ部(12)の内周面の所定位置に接触した状態で載置されると共に、前記他方開放端部は環状テーパ部(12)から突出する。
【0024】
そして、ガイド板(15)の六角孔(14)に、六角固定具(2)の前記他方開放端部を挿通させながら、その周縁の対向位置から外側へ張り出させた鍔部(16)を大環状板部(13)の所定位置に接合する。これにより、フランジ主体(100)と六角固定具(2)とガイド板(15)からなるフランジ板(1)が完成する。この状態にて、六角固定具(2)の爪部(20)がガイド板(15)の裏側に位置して六角孔(14)の周縁に内側から係止されることにより、六角固定具(2)はフランジ主体(100)のテーパ状凹部(10)内に嵌め込まれた状態でガイド板(15)によって抜け止め状態に保持された組み付け態様となる。
【0025】
次に、上記したフランジ板(1)をガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付ける取付構造について説明する。
ガス栓(3)や、フレキ管(44)の下流端に具備させる継手(41)は、
図5に示した上記従来例と同様のものが採用可能とする。
【0026】
ガス栓(3)の上流側に位置する六角筒状の配管接続部(31)を、ガイド板(15)から突出している六角固定具(2)の他方開放端部内に嵌め込む。六角固定具(2)の他方開放端部は、各構成壁(21)に設けられた傾斜面(23)によって拡径しているから、配管接続部(31)は嵌め込み易い。
【0027】
嵌め込んだ後、配管接続部(31)を押し込むと、六角固定具(2)の各コーナ部の一方開放端部に設けた突出片(22)が、ガス栓(3)の六角筒状の配管接続部(31)の各コーナ部で押されることにより、六角固定具(2)がガス栓(3)の配管接続部(31)と共に奥へ押し込まれる。なお、六角形状の枠体である六角固定具(2)の各コーナ部と、小環状板部(11)に載置された環状パッキン(17)の円弧状外周面との間には、略三角形状の隙間が形成されるから、この隙間内に突出片(22)が収容される態様としておけば、突出片(22)が邪魔になることなく、配管接続部(31)の開放端部が環状パッキン(17)に当接するまで配管接続部(31)を押し込むことができる。
【0028】
配管接続部(31)を押込む際に、各構成壁(21)から外側に突出させている爪部(20)が環状テーパ部(12)の内面に沿って内方へ押されることにより、各構成壁(21)は、
図4に示すように、突出片(22)を基端部として、各々内方へ倒れる方向に揺動する。これにより、ガス栓(3)の配管接続部(31)の周面は、各構成壁(21)の矩形板(211)の内面で均等に押される。
これと同時に、各構成壁(21)の傾斜面(23)がガイド板(15)の六角孔(14)の周縁に当接し、そのまま押し込まれていく。これにより、構成壁(21)と六角孔(14)の周縁との間に隙間が生じることがない。
【0029】
上記したように、フランジ主体(100)に接合させたガイド板(15)の六角孔(14)から突出する六角固定具(2)の他方開放端部内にガス栓(3)の配管接続部(31)を嵌め込んでそのまま奥へ押込んでいくだけで、ガス栓(3)の配管接続部(31)の周面が、内方へ倒れる方向に揺動させた各構成壁(21)の内面で均等に押されることにより、配管接続部(31)は六角固定具(2)内にてがたつくことなく保持させることが出来ると共に、各構成壁(21)の傾斜面(23)をガイド板(15)の六角孔(14)の周縁に当接させることで、六角固定具(2)をガイド板(15)の六角孔(14)内にてがたつきを発生させないようにしたから、フランジ板(1)を、ガス栓(3)に容易に且つがたつくことなく取り付けて保持することができる。よって、使用者がガス栓(3)を操作する際に、ガス栓(3)ががたつく等の違和感なく、安心してガス栓を使用することが出来る。
【0030】
上記した要領で、フランジ板(1)を具備させたガス栓(3)を壁板へ取り付ける取付け構造について、
図1に基づいて説明する。
壁板の裏側に配設されているガス配管としてのフレキ配管(44)には継手(41)が接続されてあり、この継手(41)をフレキ配管(44)と共に、壁板に設けられている開口から室内に引出し、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)に固定金具(6)を外嵌させる。
固定金具(6)は、同図に示すように、金属環(61)の内周縁部に、たとえばゴム等の弾性材料製の弾性筒体(60)を嵌め込んで一体としたもので、弾性筒体(60)の上流側開放端縁(62)が、テーパ雄ネジ筒部(42)の基端部側端面(45)に当接するように、テーパ雄ネジ筒部(42)に外嵌させる。
【0031】
上記したように、固定金具(6)を外嵌させたテーパ雄ネジ筒部(42)を、ガス栓(3)の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させる。これにより、フレキ配管(44)が継手(41)を介してガス栓(3)に接続される。
【0032】
ガス栓(3)の配管接続部(31)には予め上記要領にてフランジ板(1)が取り付けられていることから、テーパ雄ネジ筒部(42)をテーパ雌ネジ部(32)に最終締付状態に達するまで締め付けると、弾性筒体(60)の上流側開放端縁(62)が継手(41)の基端部側端面(45)で押圧されることにより、その弾性力によって、固定金具(6)がフランジ板(1)を裏面側からガス栓(3)側へ押圧する。これにより、配管接続部(31)は、その開放端縁が環状パッキン(17)に強く押圧されるように六角固定具(2)内に嵌入され、その状態で強固に固定される。
【0033】
フランジ板(1)を、室内側の壁板の開口周囲に、環状パッキン(18)を介して添設させると共に、前記壁板の裏側の開口周囲には、図示しないが、取付金具を添設させる。この取付金具とフランジ板(1)とで、壁板を挟み込み、フランジ板(1)の環状板(11)に設けたネジ挿通孔(19)に挿通された取付けネジ(51)を、前記取付金具に設けられているネジ孔に螺合させて締め付けることにより、フランジ板(1)と取付金具とで壁板の開口の周縁を挟圧した状態でガス栓(3)が取り付けられる。
【0034】
壁板の表面側に添設固定させたフランジ板(1)の表面側に、一対の座金半体(52a)(52b)からなる化粧座金(52)を左右から被覆させる。これにより、壁板の表面に化粧座金(52)が添設されその中央から配管接続部(31)が突出する態様でガス栓(3)が壁板に固定される態様となる。
【0035】
上記各実施の形態のフランジ板(1)を採用することにより、フランジ板(1)を構成している金属製の六角固定具(2)の6つの構成壁(21)を内方へ倒れる方向に揺動させて、ガス栓(3)の配管接続部(31)を各構成壁(21)の内面で均等に押圧する構成としたから、配管接続部(31)は六角固定具(2)内にてがたつくことなく保持させることが出来る。さらに、各構成壁(21)の他方開放端部側に傾斜面(23)を設け、傾斜面(23)がガイド板(15)の六角孔(14)の周縁に当接しながら押し込まれる態様としたから、六角固定具(2)はガイド板(15)の六角孔(14)内にてがたつきを発生させることなく保持されることとなる。このように、ガス栓(3)の配管接続部(31)に、フランジ板(1)をがたつくことなく、容易に且つ確実に取り付けることができる。また、配管接続部(31)に、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)に固定金具(6)を外嵌させておくことにより、テーパ雄ネジ筒部(42)を配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させる際に、固定金具(6)に具備させた弾性筒体(60)の弾性力によって、フランジ板(1)がガス栓(3)の配管接続部(31)に一層強固に押し付けられるから、ガス栓(3)を、がたつき等の違和感なく、さらに確実にフランジ板(1)を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0036】
(1) ・・・・・・・フランジ板
(2) ・・・・・・・六角固定具
(3) ・・・・・・・ガス栓
(10a) ・・・・・・中央孔
(11)・・・・・・・小環状板部
(12)・・・・・・・環状テーパ部
(12a) ・・・・・・最大拡径端部
(13)・・・・・・・大環状板部
(14)・・・・・・・六角孔
(15)・・・・・・・ガイド板
(20)・・・・・・・爪部
(21)・・・・・・・構成壁
(22)・・・・・・・突出片
(31)・・・・・・・配管接続部
(100) ・・・・・・フランジ主体