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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152335
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】チェアマット
(51)【国際特許分類】
   A47G 27/02 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A47G27/02 101A
A47G27/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055062
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
(72)【発明者】
【氏名】桑村 健介
【テーマコード(参考)】
3B120
【Fターム(参考)】
3B120AB05
3B120AB06
3B120AB07
3B120AB20
3B120BA05
3B120DB01
3B120EA20
3B120EB25
3B120EB30
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑制しつつ、収納性に優れ、一時的な使用に適した折りたたみ式チェアマットを提供する。
【解決手段】第一のマット11及び第二のマット12を備え、第一のマット11及び第二のマット12の夫々は、裏面が床側となる折り曲げ可能なクッション層14と、クッション層14の表面側に設けられた化粧シート16と、を備え、第一のマット11及び第二のマット12は、クッション層14で互いに連結されることで、折りたたみ可能となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のマット及び第二のマットを備え、
前記第一のマット及び前記第二のマットの夫々は、
裏面が床側となる折り曲げ可能なクッション層と、
前記クッション層の表面側に設けられた化粧シートと、を備え、
前記第一のマット及び前記第二のマットは、前記クッション層で互いに連結されることで、折りたたみ可能となっていることを特徴とするチェアマット。
【請求項2】
前記クッション層と前記化粧シートとの間に支持層が設けられ、
前記クッション層は、前記支持層の裏面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のチェアマット。
【請求項3】
前記第一のマット及び前記第二のマットは、一辺同士を接触させて並んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のチェアマット。
【請求項4】
前記化粧シートは、
前記クッション層の表面側に設けられた基材層と、
前記基材層の表面側に設けられた絵柄層と、
前記絵柄層の表面側に設けられた保護層と、を備えることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のチェアマット。
【請求項5】
前記絵柄層は、木目調の柄であることを特徴とする請求項4に記載のチェアマット。
【請求項6】
前記化粧シートの最表面層は、抗ウイルス剤を含んでいることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のチェアマット。
【請求項7】
前記抗ウイルス剤は、銀成分を含んでいることを特徴とする請求項6に記載のチェアマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
テレワークの普及に伴い、限られた居住空間の中でワークスペースを確保するため、壁面取付型や壁面収納型の机が広く用いられている。一方、長時間の作業性向上のため自宅でもオフィスチェアを使う傾向が広がっている。特許文献1に示されるように、オフィスチェアのキャスタによる床への傷を防ぐチェアマットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-125920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チェアマットは、厚みや硬さがあるため、丸めることが難しく、机の一時的利用に応じてチェアマットを頻繁に設置し、片付けるという運用には向かない。その結果、机は収納できるものの、チェアマットが常設となり、限られた居住空間の利用を制限してしまう。また、チェアマットを複数のマットに分割したうえ、例えばターポリンや帆布のような折り曲げ可能な連結シートで各マットを連結することで、折りたたみ可能にすることも考えられる。しかしながら、各マットを連結シートで連結すると、部品点数が増加してしまう。
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、部品点数の増加を抑制しつつ、収納性に優れ、一時的な使用に適したチェアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るチェアマットは、第一のマット及び第二のマットを備え、第一のマット及び第二のマットの夫々は、裏面が床側となる折り曲げ可能なクッション層と、クッション層の表面側に設けられた化粧シートと、を備え、第一のマット及び第二のマットは、クッション層で互いに連結されることで、折りたたみ可能となっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第一のマットと第二のマットとを折り曲げ可能なクッション層で連結しているため、折りたたみ可能となっている。したがって、収納性に優れ、一時的な使用に適している。また、連結シートによって各マットを連結する構成と比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】チェアマットの断面図である。
図2】実施例のチェアマットを展開した状態を示す図である。
図3】実施例のチェアマットを折りたたんだ状態を示す図である。
図4】比較例を示すチェアマットの断面図である。
図5】比較例のチェアマットを展開した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る化粧紙、樹脂含浸化粧紙及び折りたたみ式チェアマットについて、図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
【0009】
(実施形態)
(チェアマットの構成)
本実施形態に係るチェアマット10の基本構成について、図1を用いて説明する。
図1は、チェアマットの断面図である。
チェアマット10は、第一のマット11と、第二のマット12と、を備える。第一のマット11及び第二のマット12は、夫々、クッション層14の表面に、支持層15、及び化粧シート16が順に積層されている。また、第一のマット11及び第二のマット12は、折り曲げ可能なクッション層14によって連結されている。化粧シート16は、基材層18の表面に、絵柄層19及び保護層20が順に積層されている。
【0010】
第一のマット11と第二のマット12とは、一辺同士を対向させて並んでいる。クッション層14は、一方側が第一のマット11における支持層15の裏面全体に貼り付けられ、他方側が第二のマット12における支持層15の裏面全体に貼り付けられている。
クッション層14と支持層15との貼り付け、及び支持層15と化粧シート16との貼り付けには、接着剤、又は両面テープが用いられている。
【0011】
第一のマット11と第二のマット12とは、一辺同士を接触させて並んでいる。すなわち、第一のマット11における支持層15及び化粧シート16と、第二のマット12における支持層15及び化粧シート16との間の隙間を0mmにしている。隙間を設ける場合は、2mm以下であることが望ましい。隙間が2mmを超えると、意匠性が低下するだけでなく、異物が挟まりやすくなるためである。
【0012】
以下、各層について詳細に説明する。
(クッション層)
クッション層14は、裏面が床に接触し、折り曲げ可能であり、緩衝性や防滑性を向上させる役割があり、以下のような樹脂が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレン等のオレフィン樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、等の熱可塑性樹脂の他、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ポリノルボルネン、ポリブタジエン、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン-酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンアクリルゴム、ポリエステルエラストマー、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリスチレン系熱可塑性エラストマー等のゴムないしは熱可塑性エラストマー等である。
【0013】
(支持層)
支持層15は、裏面がクッション層14の表面に貼り付けられる硬質材料の支持体であり、荷重を分散し、耐動荷重性や耐静荷重性といった耐久性を向上させる。支持層15として、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
【0014】
(化粧シート)
化粧シート16は、裏面が支持層15の表面に貼り付けられ、基材層18と、絵柄層19と、保護層20と、を備える。
【0015】
(基材層)
基材層18は、化粧シート16の基材となる層であり、裏面が支持層15の表面に貼り付けられている。本実施形態では、基材層18として、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
【0016】
ここで、基材層18に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは望ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や、加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート16の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合
した樹脂等を使用したりすることができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
【0018】
さらに、基材層18には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。
【0019】
基材層18の厚さは、160μm以上220μm以下の範囲内であることが好ましく、180μm以上190μm以下であることがより好ましい。基材層18の厚さが160μm以上である場合、床面の凹凸や段差などを吸収して化粧シート16の施工仕上がりを良好にすることができる。また、基材層18の厚さが190μm以下である場合、基材層18を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート16の製造コストを削減することができる。
【0020】
(絵柄層)
絵柄層19は、基材層18上に形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層であり、必要に応じて設けられる。絵柄層19は、基材層18の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄層19は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダ樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダ樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはそれらの組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート16の隠蔽性を向上するために、絵柄層19と基材層18との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
【0021】
絵柄層19の厚さは、3μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。絵柄層19の厚さが3μm以上である場合、印刷を明瞭にすることができる。絵柄層19の厚さが20μm以下である場合、化粧シート16を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
【0022】
また、絵柄層19には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
【0023】
また、絵柄層19は、例えば化粧シート16が貼りつけられる下地の色・模様を隠蔽するためにべた塗りされた着色層と意匠性を付与するための絵柄を付加するための絵柄模様層とを有していてよい。
【0024】
(保護層)
保護層20は、絵柄層19上に形成される層であり、化粧シート16に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。
保護層20の材料としては、耐擦傷性・耐候性・耐久性を考慮すると、例えば、電離放射線硬化型樹脂と、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物との混合物を用いることができる。耐傷性としては、保護層20は、JIS K 5600に準じた鉛筆硬度試験の硬度がB以上であることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を用いることができる。電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂には、例えば、必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してもよい。
【0025】
重合性不飽和結合を有するプレポリマーやオリゴマーとしては、例えば、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を用いることができる。
【0026】
イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオール化合物を採用することができる。アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーを配合して、共重合させて得られ
る、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
【0027】
また、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を使用することができる。特に、耐候性・黄変性・生産性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の三量体を使用できる。すなわち、HDIを原料とするイソシアヌレート型、つまり、HDIの誘導体であるHDIイソシアヌレートを使用できる。また、イソシアネートプレポリマーの側鎖としては、例えば、保護層20に柔軟性への付与を考慮すると、ウレタン結合を使用することができる。
【0028】
保護層20は、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。
保護層20の形成方法は、特に限定されず、前述の材料を塗液化したものを、例えばグラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させることで保護層20を形成する。
【0029】
また、保護層20は、界面活性剤が添加されている。界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の少なくとも一種を含んでいる。界面活性剤が添加されていることにより、銀系抗ウイルス剤と保護層のバインダ中の相溶性が良好となり、塗工中の抗ウイルス剤の沈殿等による濃度のばらつきが抑制された化粧シートを得ることができる。
【0030】
また、保護層20の層厚は、3μm以上15μm以下の範囲内が望ましい。保護層20の厚さが3μm以上であれば、耐傷性が向上する。保護層20の厚さが15μm以下であれば、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
【0031】
(抗ウイルス剤)
保護層20は、抗ウイルス性を向上させる抗ウイルス剤を含んでいる。
抗ウイルス剤は、銀系材料であることが好ましい。抗ウイルス剤としては、無機化合物のゼオライト、アパタイト、ジルコニアなどの物質に銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンのいずれかの金属イオンを取り込んで形成した抗菌性ゼオライト、抗菌性アパタイト、抗菌性ジルコニア等の無機系抗菌剤が使用できる、また抗ウイルス剤としてジンクピリジオン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、10、10-オキシビスフェノキサノジン、有機チツソイオウハロゲン系、ピリジン-2-チオール-オキシド等が使用できるが、抗ウイルス効果の点で銀系抗ウイルス剤が優れている。
また、抗ウイルス剤は銀系材料が無機材料に担持されている構成であってもよい。
【0032】
保護層20における抗ウイルス剤の添加量は、0.2質量部以上10質量部以下の範囲内であることが好ましい。抗ウイルス剤の添加量が0.2質量部以上である場合、抗ウイルス剤が効果的に作用し、抗ウイルス性が向上する。抗ウイルス剤の添加量が10質量部以下である場合、耐傷性が向上する。
【0033】
抗ウイルス剤の平均粒径は、保護層20の厚さの0.5倍以上2倍以下であることが望ましい。すなわち、抗ウイルス剤の平均粒径をφ、保護層の厚さをDとしたときに、0.5≦φ≦2Dの関係が成り立つ。抗ウイルス剤の平均粒径が保護層20の0.5倍以上2倍以下である場合、抗ウイルス剤との接触面先拡大、及び抗ウイルス剤自体の表面積拡大により抗ウイルス性が良好になる。
【0034】
また、抗ウイルス剤の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが望ましい。抗ウイルス剤の平均粒径が1μm以上である場合、保護層20と抗ウイルス剤との接触面積が向上し、抗ウイルス性が良好になる。抗ウイルス剤の平均粒径が10μm以下である場合、耐傷性が向上する。
【0035】
また、抗ウイルス剤の粒径のピークは複数存在していることが好ましい。具体的には、抗ウイルス剤の粒径のピークは、1μm以上5μm以下の範囲である第1ピークと、5μm以上10μm以下の範囲である第2ピークとを含んでいることが好ましい。ここで、抗ウイルス剤の粒径の第2ピークは、第1ピークより大きい値とする。抗ウイルス剤の粒径のピークは複数存在していることにより、抗ウイルス剤の充填密度がより向上し、抗ウイルス剤をより多く添加することができる。このため、抗ウイルス剤との接触面積が拡大し、抗ウイルス自体の表面積も拡大することにより、抗ウイルス性が向上する。
【0036】
保護層20は、樹脂材料の結晶化度を向上させる造核剤を含んでいる。本実施形態では、造核剤は、外膜で包含されてベシクル化された造核剤ベシクルの状態で樹脂材料に添加されている。
【0037】
(効果)
次に、本実施形態の主要な作用効果について説明する。
チェアマット10は、第一のマット11及び第二のマット12を備え、第一のマット11及び第二のマット12の夫々は、裏面が床側となる折り曲げ可能なクッション層14と、クッション層14の表面側に設けられた化粧シート16と、を備える。第一のマット11及び第二のマット12は、クッション層14で互いに連結されることで、折りたたみ可能となっている。したがって、収納性に優れ、一時的な使用に適している。また、連結シートによって各マットを連結する構成と比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0038】
クッション層14と化粧シート16との間に支持層15が設けられ、クッション層14は、支持層15の裏面に貼り付けられている。これにより、チェアマット10の強度を向上させることができる。
【0039】
第一のマット11及び第二のマット12は、一辺同士を接触させて並んでいる。これにより、意匠性を保つと共に、異物が挟まることも抑制できる。
【0040】
化粧シート16は、クッション層14の表面側に設けられた基材層18と、基材層18の表面側に設けられた絵柄層19と、絵柄層19の表面側に設けられた保護層20と、を備える。まず基材層18により、化粧シート16の強度を向上させることができる。また絵柄層19により、高い意匠性を実現することができる。また保護層20により、耐汚染性、耐擦傷性を向上させることができる。
【0041】
絵柄層19は、木目調の柄である。これにより、意匠性を高め、床及びインテリアに調和させることができる。
【0042】
化粧シート16の最表面層は、抗ウイルス剤を含んでいる。これにより、抗ウイルス性を実現することができる。
【0043】
抗ウイルス剤は、銀成分を含んでいる。これにより、抗ウイルス効果を高めることができる。
【0044】
(実施例)
図2は、実施例のチェアマットを展開した状態を示す図である。
図中の(a)は、チェアマット10の表面を示し、図中の(b)は、チェアマット10の裏面を示す。実施例では、第一のマット11、第二のマット12、及び第三のマット13を連結し、三つ折りに折りたたみが可能なチェアマット10を作成した。すなわち、第一のマット11、第二のマット12、及び第三のマット13の全てを、一つのクッション層14で連結した。展開されたチェアマット10は、長方形であり、長辺の長さは約1,310mmであり、短辺の長さは約900mmである。
【0045】
第一のマット11、第二のマット12、及び第三のマット13は、夫々、長方形であり、長辺の長さは全て同一の約900mmである。短辺の長さは、第一のマット11及び第三のマット13が同一の約430mmであり、第二のマット12が約450mmである。第二のマット12は、第一のマット11と第三のマット13との間に挟まれており、夫々、長辺同士が対向するように配置されている。
【0046】
クッション層14には、クロロプレンゴム(CR)を使用し、厚さは0.5mmである。支持層15には、ポリプロピレン(PP)を使用し、厚さは0.5mmである。化粧シート16には、凸版印刷株式会社の住宅内装向け床用化粧シート「101 REPREA(レプリア)」(登録商標)を使用し、厚さは0.17~0.18mmである。絵柄層19は、木目調の柄である。
【0047】
図3は、実施例のチェアマットを折りたたんだ状態を示す図である。
図中の(a)は、折りたたんだチェアマット10を示し、図中の(b)は、(a)において丸い点線で囲んだ屈曲部を模式的に描いた部分拡大図である。チェアマット10は、第二のマット12の裏面に対して、第一のマット11の裏面、及び第三のマット13の裏面が対向するように折り曲げ可能である。ここでは、まず第一のマット11を折りたたみ、それから第三のマット13を折りたたんでいる。
【0048】
(比較例)
図4は、比較例を示すチェアマットの断面図である。
比較例のチェアマット30は、第一のマット11及び第二のマット12が、連結シート31によって連結されていることを除いては、図1の実施形態と同様であるため、共通する部分については説明を省略する。連結シート31は、一方側が第一のマット11における一辺側に貼り付けられ、他方側が第二のマット12における一辺側に貼り付けられている。具体的には、第一のマット11には、支持層15における裏面の一辺側に、クッション層14のない連結領域32が形成されており、第二のマット12には、支持層15における裏面の一辺側に、クッション層14のない連結領域32が形成されている。これら一対の連結領域32の双方に、連結シート31が貼り付けられている。連結領域32の幅寸法については、第一のマット11及び第二のマット12の面積、対向する一辺同士の長さ、重量等によって調整される。
【0049】
連結シート31と支持層15との貼り付けには、接着剤、又は両面テープが用いられている。
連結シート31は、繰り返しの曲げ伸ばしに対する耐久性が高く、且つ伸縮性がない又は低い素材であり、例えばポリエステル繊維などを樹脂フィルムで挟んだターポリンや、またヨットの帆やハンモックに使用される帆布(キャンバス生地)等である。連結シート31の厚さは、クッション層14の厚さ未満とする。
【0050】
図5は、比較例のチェアマットを展開した状態を示す図である。
図中の(a)は、チェアマット30の表面を示し、図中の(b)は、チェアマット30の裏面を示す。第一のマット11と第二のマット12とは、対向する長辺同士が、その全長にわたって連結シート31によって連結されている。連結領域32の幅寸法は、約150mmである。第二のマット12と第三のマット13との連結については、第一のマット11と第二のマット12との連結と同様である。連結シート31には、ターポリンを使用し、厚さは0.35mmである。
【0051】
(評価結果)
実施例、及び比較例の評価結果を表1に示す。ここでは、優れているものを「○」とし、問題が殆どないものを「△」とした。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例では、折りたたむ際に大きな反発はなく、支障のない範囲でスムーズに折りたたむことができ、折りたたみ性に問題はなかった。また、耐久性試験として、連続30,000回の折りたたみを実施したところ、屈曲部に機能上の支障はなく、耐久性にも問題はなかった。また、ナイロン製のキャスタにより10,000回の往復を実施したところ、キャスタの移動も滑らかであり、キャスタによる傷や凹み等の劣化が生じることもなかった。また、床へのゴム成分の移行(着色等)も確認されることはなく、床汚染の問題もなかった。さらに、木目調の柄としたことで、床及びインテリアに調和し、意匠性に優れる。また、各マットを一つのクッション層14で連結しているので、部品点数の増加を抑制でき、生産効率も良好であった。また、連結シート31によって各マットを連結する構成と比べて、安価に実施することができた。
【0054】
比較例では、折りたたむ際に反発は殆どなく、容易に且つスムーズに折りたたむことができ、折りたたみ性は良好だった。また、実施例と同じ耐久性試験でも、屈曲部に劣化は確認されず、新設時と同等の状態を保っており、耐久性も優れていた。キャスタの移動性、耐キャスタ性、及び意匠性については、実施例と同等であった。一方、三つのマットを連結するために、クッション層14が三つに分割され、且つ二つの連結シート31が必要となるため、部品点数が増加し、生産効率にも影響する。さらに、各マットを一つのクッション層14で連結する構成と比べて、コストがかかる。
したがって、コストを重視するなら実施例を採用し、品質や耐久性を重視するなら比較例を採用するなどして、顧客や市場のニーズに合わせた商品展開が可能となる。
【0055】
(変形例)
本実施形態では、クッション層14と化粧シート16との間に支持層15を設けているが、これに限定されるものではない。化粧シート16の基材層18だけで十分な耐動荷重性や耐静荷重性を実現できるなら、支持層15を省略してもよい。この場合、クッション層14の表面に、化粧シート16の裏面を貼り付けることができる。
【0056】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0057】
10 チェアマット
11 第一のマット
12 第二のマット
13 第三のマット
14 クッション層
15 支持層
16 化粧シート
18 基材層
19 絵柄層
20 保護層
30 チェアマット
31 連結シート
32 連結領域
図1
図2
図3
図4
図5