(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152344
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】動力制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 25/00 20060101AFI20221004BHJP
B60K 17/28 20060101ALI20221004BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20221004BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B60K25/00 Z
B60K17/28 D
B60L1/00 L
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055077
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】坪谷 直樹
【テーマコード(参考)】
3D037
3D043
5H125
【Fターム(参考)】
3D037CA05
3D037CA06
3D037CB34
3D043AB07
3D043BC01
3D043BC05
5H125AA20
5H125BA00
5H125BA09
5H125CA01
5H125EE01
5H125EE41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気自動車において駆動力が小さい架装装置及び駆動力が大きい架装装置のいずれも駆動できるようにする。
【解決手段】動力制御装置10は、架装装置6と、車両Vを駆動させるとともに架装装置6に動力を供給する車両駆動用モータ3と、車両駆動用モータ3よりも出力が小さく、架装装置6に動力を供給する架装駆動用モータ4とを有する車両Vに設けられ、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とから架装装置6に供給される動力を制御する動力制御装置であって、架装装置6が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する特定部131と、特定部131が特定した要求出力量が所定の閾値より小さい場合、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4に出力させ、特定部131が特定した要求出力量が所定の閾値以上の場合、架装装置6に供給する動力を車両駆動用モータ3に出力させる出力制御部132と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架装装置と、車両を駆動させるとともに前記架装装置に動力を供給する車両駆動用モータと、前記車両駆動用モータよりも出力が小さく、前記架装装置に動力を供給する架装駆動用モータとを有する前記車両に設けられ、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとから前記架装装置に供給される動力を制御する動力制御装置であって、
前記架装装置が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記要求出力量が所定の閾値より小さい場合、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータに出力させ、前記特定部が特定した前記要求出力量が所定の閾値以上の場合、前記架装装置に供給する動力を前記車両駆動用モータに出力させる出力制御部と、
を有する動力制御装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記車両駆動用モータの負荷トルクを特定し、特定した負荷トルクに基づいて前記車両駆動用モータの効率を特定し、
前記出力制御部は、前記特定部が特定した前記要求出力量が前記所定の閾値以上である場合において、前記特定部が特定した前記車両駆動用モータの効率が所定効率以上のとき、前記架装装置に供給する動力を前記車両駆動用モータに出力させ、前記車両駆動用モータの効率が所定効率未満のとき、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとに出力させる、
請求項1に記載の動力制御装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとに出力させる場合に、前記架装駆動用モータの負荷トルクと効率との関係を示す第1特性情報と、前記車両駆動用モータの負荷トルクと効率との関係を示す第2特性情報とに基づいて、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとのそれぞれから前記架装装置に出力される動力の出力量の和が前記要求出力量になるとともに、前記架装駆動用モータの効率と前記車両駆動用モータの効率との和が最も高くなるように、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとのそれぞれから前記架装装置に出力される動力を調整する、
請求項2に記載の動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車において車両走行用のモータからの動力をPTO(Power Take-Off)装置を用いて取り出し、車両が有する架装装置を駆動することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両には、駆動力が異なる様々な種別の架装装置が設けられ、駆動力が小さい架装装置及び駆動力が大きい架装装置のいずれも駆動できるようにすることが求められる。電気自動車は、エンジン車のようにフライホイールを有していないため、駆動力が小さい架装装置に対応するためには、車両走行用のモータとは別に、出力が小さいモータをPTO用のモータとして設ける必要がある。しかしながら、出力が小さいモータをPTO用のモータとして設けると、当該PTO用のモータから大出力を得ることができず、駆動力が大きい架装装置を駆動することができないという問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電気自動車において駆動力が小さい架装装置及び駆動力が大きい架装装置のいずれも駆動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る動力制御装置は、架装装置と、車両を駆動させるとともに前記架装装置に動力を供給する車両駆動用モータと、前記車両駆動用モータよりも出力が小さく、前記架装装置に動力を供給する架装駆動用モータとを有する前記車両に設けられ、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとから前記架装装置に供給される動力を制御する動力制御装置であって、前記架装装置が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記要求出力量が所定の閾値より小さい場合、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータに出力させ、前記特定部が特定した前記要求出力量が所定の閾値以上の場合、前記架装装置に供給する動力を前記車両駆動用モータに出力させる出力制御部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記車両駆動用モータの負荷トルクを特定し、特定した負荷トルクに基づいて前記車両駆動用モータの効率を特定し、前記出力制御部は、前記特定部が特定した前記要求出力量が前記所定の閾値以上である場合において、前記特定部が特定した前記車両駆動用モータの効率が所定効率以上のとき、前記架装装置に供給する動力を前記車両駆動用モータに出力させ、前記車両駆動用モータの効率が所定効率未満のとき、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとに出力させてもよい。
【0008】
前記出力制御部は、前記架装装置に供給する動力を前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとに出力させる場合に、前記架装駆動用モータの負荷トルクと効率との関係を示す第1特性情報と、前記車両駆動用モータの負荷トルクと効率との関係を示す第2特性情報とに基づいて、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとのそれぞれから前記架装装置に出力される動力の出力量の和が前記要求出力量になるとともに、前記架装駆動用モータの効率と前記車両駆動用モータの効率との和が最も高くなるように、前記架装駆動用モータと前記車両駆動用モータとのそれぞれから前記架装装置に出力される動力を調整してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気自動車において駆動力が小さい架装装置及び駆動力が大きい架装装置のいずれも駆動させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る車両の内部構成を模式的に示す図である。
【
図2】本実施形態に係る動力制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[動力制御装置10の概要]
図1は、本実施形態に係る車両Vの内部構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る動力制御装置10は、架装装置6を有する電気自動車である車両Vに搭載され、車両Vが有する車両駆動用モータ3と、車両駆動用モータ3よりも出力が小さい架装駆動用モータ4とから架装装置6に出力する動力を制御する装置である。
【0012】
動力制御装置10は、架装装置6が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する。動力制御装置10は、要求出力が所定の閾値より小さい場合、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4に出力させ、当該出力量が所定の閾値以上の場合、架装装置6に供給する動力を車両駆動用モータ3に出力させる。このようにすることで、動力制御装置10は、消費電力が少ない架装装置及び消費電力が多い架装装置のいずれも駆動することができる。
【0013】
[車両Vの構成]
動力制御装置10の詳細な説明を行う前に、動力制御装置10に関連する車両Vの内部構成を説明する。
図1に示すように、車両Vは、バッテリ1と、インバータ2と、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4と、動力取出装置5と、架装装置6と、動力制御装置10とを有する。
【0014】
バッテリ1は、インバータ2に接続されており、インバータ2を介して車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4とに電流を供給する。なお、本実施形態では、1つのバッテリ1が、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4とに電流を供給するが、これに限らない。例えば、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4とに対してそれぞれバッテリ1が設けられていてもよい。
【0015】
インバータ2は、バッテリ1と、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4と、動力制御装置10とに接続されている。インバータ2は、バッテリ1から出力される直流電流を交流電流に変換し、車両駆動用モータ3及び架装駆動用モータ4に出力する。インバータ2は、動力制御装置10の制御により、バッテリ1から車両駆動用モータ3及び架装駆動用モータ4に供給する電流の量を制御する。
【0016】
また、インバータ2は、車両の走行を制御する走行制御装置(不図示)に接続されており、走行制御装置の制御により、車両駆動用モータ3に供給する電流の量を制御する。なお、本実施形態では、1つのインバータ2が、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4とに電流を供給するが、これに限らない。例えば、車両駆動用モータ3と、架装駆動用モータ4とに対してそれぞれインバータ2が設けられていてもよい。
【0017】
車両駆動用モータ3は、車両Vを駆動させるとともに架装装置6に動力を供給する。具体的には、車両駆動用モータ3は、インバータ2と、変速機(不図示)とに接続されている。車両駆動用モータ3は、走行制御装置の制御に伴いインバータ2から供給される電流により駆動し、動力である回転力を発生させる。車両駆動用モータ3が発生する動力は、変速機(不図示)を介して車輪(不図示)に伝達される。
【0018】
また、車両駆動用モータ3は、動力制御装置10の制御に伴いインバータ2から供給される電流により駆動し、動力を発生させる。車両駆動用モータ3が発生する動力は、変速機(不図示)に連結された動力取出装置5により取り出され、架装装置6に出力される。
【0019】
架装駆動用モータ4は、架装装置6に動力を供給する。架装駆動用モータ4は、インバータ2と動力取出装置5とに接続されている。架装駆動用モータ4の最大出力は、車両駆動用モータ3の最大出力に比べて小さいものとする。架装駆動用モータ4は、動力制御装置10の制御に伴いインバータ2から供給される電流により駆動し、動力である回転力を発生させる。架装駆動用モータ4が発生する動力は、動力取出装置5により取り出され、架装装置6に出力される。
【0020】
動力取出装置5は、例えばトランスミッションサイドPTO装置である。動力取出装置5は、車両駆動用モータ3から動力を取り出すとともに、架装駆動用モータ4から動力を取り出し、取り出した動力を架装装置6に出力する。
【0021】
動力取出装置5は、例えば、遊星歯車機構等の動力合成機構を有しており、車両駆動用モータ3から取り出された動力と、架装駆動用モータ4から出力される動力とを合成し、合成後の動力を架装装置6に出力する。また、動力取出装置5は、架装駆動用モータ4から動力を取り出し、車両駆動用モータ3から動力を取り出していない場合、架装駆動用モータ4から取り出した動力をそのまま架装装置6に出力する。また、動力取出装置5は、架装駆動用モータ4から動力を取り出しておらず、車両駆動用モータ3から動力を取り出した場合、車両駆動用モータ3から取り出した動力をそのまま架装装置6に出力する。
【0022】
架装装置6は、例えば、消防装置、塵芥収集装置、土砂等を搬出する搬出機構を有する運搬装置、クレーン機構を有し、重機等を運搬する運搬装置であり、複数の車両Vのそれぞれで異なる。架装装置6は、動力取出装置5から出力される動力により駆動する。架装装置6は、操作部を有しており、操作部の操作に応じて、動力取出装置5に出力させる動力の量を示す出力指令値を動力制御装置10に出力する。架装装置6の操作部は、架装装置6に設けられていてもよいし、車両Vにおける架装装置6の設置位置とは異なる位置に設けられていてもよい。
【0023】
なお、動力取出装置5と架装装置6との間には、架装装置6において使用される動力の態様(例えば、直線運動や回転運動)に対応してアクチュエータ(不図示)が設けられていてもよい。そして、アクチュエータが、動力取出装置5から出力される動力を異なる態様の動力に変換して架装装置6に出力してもよい。
【0024】
[動力制御装置10の構成]
続いて、動力制御装置10の構成について説明する。動力制御装置10は、
図1に示すように、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、特定部131と、出力制御部132とを有する。
【0025】
通信部11は、車両Vに設けられているCAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークを介して、インバータ2、動力取出装置5、架装装置6との間で通信を行う通信インターフェースである。
【0026】
記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)である。記憶部12は、制御部13を機能させるための各種のプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、特定部131及び出力制御部132として機能させるプログラムを記憶する。また、記憶部12は、架装駆動用モータ4の負荷トルクと効率との関係を示す第1特性情報と、車両駆動用モータ3の負荷トルクと効率との関係を示す第2特性情報とを記憶する。
【0027】
制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、特定部131及び出力制御部132として機能する。
【0028】
特定部131は、架装装置6が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する。具体的には、特定部131は、通信部11を介して架装装置6から出力指令値を受信することにより、要求出力量を特定する。
【0029】
また、特定部131は、車両駆動用モータ3の負荷トルクを特定し、特定した負荷トルクに基づいて車両駆動用モータ3の効率を特定する。例えば、特定部131は、車両駆動用モータ3に供給される電流の電流値に基づいて負荷トルクを特定する。特定部131は、記憶部12に記憶されている車両駆動用モータ3の負荷トルクと効率との関係を示す第2特性情報を参照して、特定した負荷トルクに対応する効率を特定する。
【0030】
出力制御部132は、特定部131が特定した要求出力量に基づいて、車両駆動用モータ3の動力と、架装駆動用モータ4の動力との架装装置6への出力を制御する。具体的には、出力制御部132は、特定部131が特定した要求出力量が所定の閾値より小さい場合、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4に出力させ、特定部131が特定した要求出力量が所定の閾値以上の場合、架装装置6に供給する動力を車両駆動用モータ3に出力させる。
【0031】
出力制御部132は、架装駆動用モータ4から動力を出力させる場合、要求出力量に対応する動力を架装駆動用モータ4が出力するときの電流値を特定し、インバータ2を制御して、当該電流値の電流を架装駆動用モータ4に供給する。
【0032】
出力制御部132は、車両駆動用モータ3から動力を出力させる場合、走行制御装置と協働し、走行用に車両駆動用モータ3が出力している動力に加えて要求出力量に対応する動力を出力するときの電流値を特定する。出力制御部132は、走行制御装置と協働して、インバータ2を制御し、特定した電流値の電流を車両駆動用モータ3に供給する。
【0033】
ここで、出力制御部132は、所定の閾値を、例えば、架装駆動用モータ4における負荷トルク(出力量)と効率との関係を示す第1特性情報に基づいて、架装駆動用モータ4の効率が第1効率以下となる場合の出力量に設定してもよい。
【0034】
また、出力制御部132は、特定部131が特定した要求出力量が所定の閾値以上である場合において、特定部131が特定した車両駆動用モータ3の効率が所定効率以上のとき、架装装置6に供給する動力を車両駆動用モータ3に出力させ、架装駆動用モータ4に出力させないように制御する。また、出力制御部132は、特定部131が特定した車両駆動用モータ3の効率が所定効率未満のとき、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とに出力させる。
【0035】
例えば、車両駆動用モータ3に、最大効率となる負荷トルクよりも高い負荷トルクがかかっている場合に、架装装置6に動力を供給するために負荷トルクが増加すると、車両駆動用モータ3の効率が低下する。これに対し、動力制御装置10は、架装装置6に動力を供給することにより車両駆動用モータ3の効率が低下しそうになる場合に、架装駆動用モータ4を動作させるので、車両駆動用モータ3にかかる負荷トルクが増加することを抑制し、車両駆動用モータ3の効率が低下することを抑制することができる。
【0036】
また、出力制御部132は、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とに出力させる場合に、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力の出力量の和が要求出力量になるように、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力を調整する。
【0037】
具体的には、出力制御部132は、記憶部12に記憶されている、架装駆動用モータ4の負荷トルクと効率との関係を示す第1特性情報と、車両駆動用モータ3の負荷トルクと効率との関係を示す第2特性情報とに基づいて、架装駆動用モータ4の効率と車両駆動用モータ3の効率との和が最も高くなるように、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力を調整する。
【0038】
例えば、出力制御部132は、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力の出力量の和が要求出力量となるときの負荷トルクの和を特定する。そして、出力制御部132は、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3にかかる負荷トルクの和が、特定した負荷トルクの和となるときの、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれにかかる2つの負荷トルクの組み合わせを複数特定する。出力制御部132は、特定した複数の組み合わせのそれぞれに対して、第1特性情報及び第2特性情報に基づいて効率の和を特定する。そして、出力制御部132は、効率の和が最も高くなる負荷トルク(出力量)の組み合わせを特定することにより、架装駆動用モータ4の効率と車両駆動用モータ3の効率との和が最も高くなる出力量の組み合わせを特定する。このようにすることで、動力制御装置10は、高い効率で架装装置6に動力を供給することができる。
【0039】
なお、出力制御部132は、第1特性情報と第2特性情報とに基づいて、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3との効率の和が最も高くなるように、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力を調整したが、これに限らない。
【0040】
例えば、車両Vの走行中に、車両駆動用モータ3から架装装置6に出力する動力が大きくなる場合、車両駆動用モータ3から車両Vの走行に十分な出力を供給することができないおそれがある。したがって、出力制御部132は、車両Vの走行中において、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3との効率の和が最も高くなるように、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力を調整する場合に比べて、架装駆動用モータ4から架装装置6に出力させる動力の量を多くするようにしてもよい。また、出力制御部132は、車両Vが上り道路を走行するなど、車両駆動用モータ3の負荷が高くなる場合に、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力を調整する場合に比べて、架装駆動用モータ4から架装装置6に出力される動力の量を多くするようにしてもよい。このようにすることで、車両駆動用モータ3を車両Vの走行に優先させることができる。
【0041】
[動力制御装置10における処理の流れ]
続いて、動力制御装置10における処理の流れについて説明する。
図3は、本実施形態に係る動力制御装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、特定部131は、架装装置6が要求する動力の出力量である要求出力量を特定する(S1)。
【0043】
続いて、出力制御部132は、S1において特定した要求出力量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(S2)。出力制御部132は、要求出力量が所定の閾値未満であると判定すると、S3に処理を移し、要求出力量が所定の閾値以上であると判定すると、S4に処理を移す。
【0044】
S3において、出力制御部132は、インバータ2を制御して、要求出力量に対応する量の電流を架装駆動用モータ4に供給し、架装駆動用モータ4に、架装装置6に供給する動力を出力させる。
【0045】
S4において、特定部131は、車両駆動用モータ3の効率を特定する。
続いて、出力制御部132は、S4において特定した車両駆動用モータ3の効率が所定効率以上であるか否かを判定する(S5)。出力制御部132は、車両駆動用モータ3の効率が所定効率以上であると判定するとS6に処理を移し、車両駆動用モータ3の効率が所定効率未満であると判定するとS7に処理を移す。
【0046】
S6において、出力制御部132は、走行用に車両駆動用モータ3が出力している動力に加えて要求出力量に対応する動力を出力するときの電流値を特定し、インバータ2を制御して、特定した電流値の電流を車両駆動用モータ3に供給し、車両駆動用モータ3に、架装装置6に供給する動力を出力させる。
【0047】
S7において、出力制御部132は、インバータ2を制御して、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に出力される動力の出力量の和が要求出力量になるように、架装駆動用モータ4と車両駆動用モータ3とのそれぞれから架装装置6に供給する動力を出力させる。
【0048】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る動力制御装置10は、架装装置6が要求する動力の出力量である要求出力量が所定の閾値より小さい場合、架装装置6に供給する動力を架装駆動用モータ4に出力させ、要求出力量が所定の閾値以上の場合、架装装置6に供給する動力を車両駆動用モータ3に出力させる。このようにすることで、動力制御装置10は、電気自動車である車両Vにおいて消費電力が少ない架装装置及び消費電力が多い架装装置のいずれも駆動させることができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0050】
10 動力制御装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 特定部
132 出力制御部
1 バッテリ
2 インバータ
3 車両駆動用モータ
4 架装駆動用モータ
5 動力取出装置
6 架装装置
V 車両