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  • 特開-仮設手摺のコーナージョイント 図1
  • 特開-仮設手摺のコーナージョイント 図2
  • 特開-仮設手摺のコーナージョイント 図3
  • 特開-仮設手摺のコーナージョイント 図4
  • 特開-仮設手摺のコーナージョイント 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152348
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】仮設手摺のコーナージョイント
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/14 20060101AFI20221004BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20221004BHJP
   E04G 7/14 20060101ALI20221004BHJP
   E04G 7/18 20060101ALI20221004BHJP
   E04G 7/20 20060101ALI20221004BHJP
   E04G 21/24 20060101ALI20221004BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20221004BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
E04G5/14
E04G5/00 301H
E04G7/14 Z
E04G7/18 Z
E04G7/20 J
E04G7/20 Z
E04G21/24 B
E04G21/32 C
F16B7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055084
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舘山 英司
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 碩紀
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA07
3J039BB01
3J039JA03
3J039JA13
(57)【要約】
【課題】仮設手摺のコーナー部分の連結を容易に行えるようにし、養生をする手間を無くし、かつ、作業者がコーナー部分で怪我することが無いようにする。
【解決手段】仮設手摺1のコーナー部の連結に用いられるコーナージョイント2であって、設定したいコーナー部の角度に合わせて単管パイプ29が曲折され形成されたコーナージョイント2。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設手摺のコーナー部の連結に用いられるコーナージョイントであって、
設定したい該コーナー部の角度に合わせて単管パイプが曲折され形成されたコーナージョイント。
【請求項2】
前記単管パイプが90度に曲折され形成された請求項1記載のコーナージョイント。
【請求項3】
前記単管パイプの両端部それぞれに前記仮設手摺に連結可能な単管ジョイントが溶接により一体的に接続された請求項1、又は請求項2記載のコーナージョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場に設置される仮設手摺のコーナー部の連結のために使用するコーナージョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1、又は特許文献2に開示されているような工事現場に設置される仮設手摺の出隅や入隅となるコーナー部分は、手摺となる例えば2本の直線状の単管パイプを上下に位置付けて水平面において略90度で交差させた状態で、例えば特許文献3、又は特許文献4に開示されているような直交クランプ等を用いて固定している。したがって、2本の単管パイプの先端部が互いに所定長さ突き出た状態になるため、該先端部に塩ビ等の養生キャップをかぶせることで、作業者が該先端部にぶつかって怪我してしまうことがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-255689号公報
【特許文献2】特開2019-203307号公報
【特許文献3】特開2016-061057号公報
【特許文献4】実開平05-040494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような直交クランプによる2本の単管パイプの連結固定は、作業者のラチェットによるネジ締め等が必要となり、その取り外しも面倒である。また、2本の単管パイプの先端部を養生キャップでカバーする作業も手間がかかる。さらに、2本の単管パイプを上下に位置付けて交差させて直交クランプで連結させていることで、直交する仮設手摺の高さ位置が上下に異なってしまうという問題もある。
【0005】
よって、仮設手摺のコーナージョイントにおいては、作業者が、コーナー部分の連結を容易に行えるようにするとともに、カバー養生をする手間を無くし、かつ、仮設手摺のコーナー部分で怪我をしてしまうことがないようにするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、仮設手摺のコーナー部の連結に用いられるコーナージョイントであって、設定したい該コーナー部の角度に合わせて単管パイプが曲折され形成されたコーナージョイントである。
【0007】
本発明に係るコーナージョイントは、前記単管パイプが90度に曲折され形成されていると好ましい。
【0008】
本発明に係るコーナージョイントは、前記単管パイプの両端部それぞれに前記仮設手摺に連結可能な単管ジョイントが溶接により一体的に接続されていると好ましい。
【発明の効果】
【0009】
仮設手摺のコーナー部の連結に用いられる本発明に係るコーナージョイントは、仮設手摺のコーナー部の角度に合わせて単管パイプが曲折され形成されていることで、仮設手摺となる例えば2本の直線パイプを上下に重ね合わせることなく、各直線パイプの先端をコーナージョイントの両端のパイプ穴にそれぞれ差し込む、又はコーナージョイントの両端を各直線パイプの先端のパイプ穴にそれぞれ差し込むことで、仮設手摺となる2本の直線パイプを連結させてコーナー部を形成することが可能となる。即ち、直交クランプや自在クランプ、及びラチェット等の器具を用いずに仮設手摺にコーナー部を容易に連結させることができ、また、仮設手摺の盛り替えも容易に行うことが可能となる。また、仮設手摺となる2本の直線パイプを上下に重ね合わせずにコーナー部を連結できるため、仮設手摺の高さ位置に差が生じてしまうことが無くなる。さらに、2本の直線パイプの先端が互いに交差するように突き出していない状態でコーナー部を形成することができるため、従来のようなコーナー部の養生によるカバー作業を行わなくても済むとともに、コーナー部における作業者の怪我を防ぐことが可能となる。また、コーナー部に縦地(支柱)が必ずしも必要では無くなり、かつ、コーナー部に直交クランプ等が不要であるため作業者の安全帯のフックを手摺に取り付ける際にフックを盛り替える必要が無くなる。
【0010】
本発明に係るコーナージョイントは、曲折された単管パイプの両端部それぞれに仮設手摺に連結可能な単管ジョイントが溶接により一体的に接続されていることで、コーナージョイントと仮設手摺を構成する直線パイプとの連結がさらに容易に例えばワンタッチで行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コーナージョイント、及び仮設手摺を形成する2本の直線パイプの一例を示す平面図である。
図2】コーナージョイントを構成する単管ジョイントの一例を示す斜視図である。
図3】コーナージョイントでコーナー部分が連結された仮設手摺の一例を示す平面図である。
図4】コーナージョイントでコーナー部分が連結された仮設手摺の一例を示す斜視図である。
図5】直交クランプを用いて2本の直線パイプを交差させた箇所を連結固定してコーナー部を形成した従来の仮設手摺の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すコーナージョイント2は、工事現場等で組み立てられる仮設手摺1のコーナー部分を形成するために用いられる。
コーナージョイント2は、例えば、従来から知られているパイプベンダー等を用いて、SUS等からなる単管パイプ29を、工事現場で組み立てる仮設手摺1の設定したいコーナー部の角度に合わせて曲折して形成したものである。本実施形態においては、工事現場において設定したいコーナー部の角度が一般的に90度であることから、単管パイプ29は90度に曲げられて形成されている。なお、90度に曲折されたコーナージョイント2の外側面は、図1に示すようにR状に丸められていると、コーナー部における作業者の怪我がより発生しにくくなるので好ましい。
【0013】
図2に示す単管ジョイント13は、例えば、SUSで構成されたサイズ48.6φの直線状のジョイントであり、図1に示すコーナージョイント2において、単管パイプ29の端部20のパイプ穴、及び端部21のパイプ穴にそれぞれ挿入された状態で、単管パイプ29と例えば円周溶接されて溶接接合部200、溶接接合部202を形成している。なお、単管パイプ29と各単管ジョイント13とは、突合せ溶接や差し込み溶接によって一体的に接続されていてもよい。また、単管ジョイント13の素材やサイズは上記例に限定されるものではない。
【0014】
図1図2に示すように、コーナージョイント2の単管ジョイント13は胴体部分が一部拡径されてフランジ137となっており、単管ジョイント13が差し込まれた直線パイプ31(直線パイプ32)の先端面が該フランジ137に当接することで、コーナージョイント2に対する直線パイプ31(直線パイプ32)の適切な位置決めが行われた状態にすることが可能となる。
【0015】
図1に示すSUS等からなる直線状の直線パイプ31(直線パイプ32)は、例えばサイズ48.6φであり、コーナージョイント2に溶接されている単管ジョイント13と接続される端部には、例えば全ネジ又はリンチピン等の固定ピン33を挿通するためのピン挿通孔311(ピン挿通孔321)が貫通形成されている。
【0016】
例えば、図1図2に示す単管ジョイント13の直線パイプ31、又は直線パイプ32に接続される先端側には、平面視略L字状の引っかけ溝135が切り欠かれて形成されている。そして、単管パイプ29に溶接された単管ジョイント13に直線パイプ31、直線パイプ32がそれぞれ挿通された状態で、図1に示すピン挿通孔311(ピン挿通孔321)から固定ピン33を直線パイプ31(直線パイプ32)の管径方向に差し込みながら固定ピン33を引っかけ溝135に通すことで、直線パイプ31(直線パイプ32)がそれぞれの延在方向に移動してしまうことを各固定ピン33によって制限して、直線パイプ31(直線パイプ32)が単管ジョイント13から抜け落ちてしまうことを防ぐことができる。
なお、図1図3に示す例においては、コーナージョイント2の単管ジョイント13を直線パイプ31(直線パイプ32)のパイプ穴に挿入して固定接続しているが、直線パイプ31(直線パイプ32)を単管ジョイント13のパイプ穴に挿入して固定接続できる構成としてもよい。
【0017】
以下に、図1に示すコーナージョイント2を図4に示す工事現場において使用する場合について説明する。
例えば、図1図4に示す直線パイプ32は、工事現場に予め打ち立てられている図示しない縦地(支柱)によって地面に対して略水平な状態で中空において支持されている。図5に示すように、従来の仮設手摺9が直線パイプ31、直線パイプ32、直交クランプ90等、及び縦地99を重ねてコーナー部を形成する必要があったため、縦地99もコーナー部に限定して配置しなければならなかった。一方、本発明に係る図1に示すコーナージョイント2を用いる場合には、該図示しない縦地は、図4に示すようにコーナー部に配設位置が限定されず、直線パイプ32の延在方向における任意の位置でよい。
【0018】
まず、図4に示す工事現場において図1図3に示す仮設手摺1を設置する作業者が、所望の設置場所において、把持したコーナージョイント2を平面視で90度にした状態で、該図示しない縦地によって支持され中空に位置づけされている直線パイプ32の先端側のパイプ穴に、コーナージョイント2の一方の端部21に溶接されている単管ジョイント13を挿入する。そして、単管ジョイント13のフランジ137が直線パイプ32の先端面に接触するまで単管ジョイント13を直線パイプ32に挿入していくことで、両部材の適切な位置決めを行う。
【0019】
上記のように位置決めを終えた後、直線パイプ32のピン挿通孔321に図1に示す固定ピン33を差し込み、該固定ピン33を単管ジョイント13の引っかけ溝135を通過させた後、作業者が固定ピン33を所定角度回転させることで、直線パイプ32にコーナージョイント2を接続させて抜け落ちない状態にすることができる。
【0020】
次いで、中空で直線パイプ32に接続された状態のコーナージョイント2の単管パイプ29のもう片方の端部20に溶接されている単管ジョイント13に、作業者が把持した直線パイプ31の図示しないパイプ穴を挿入していき、直線パイプ31の先端面を単管ジョイント13のフランジ137に当接させて、両部材の適切な位置決めを行う。位置決め後に、直線パイプ31のピン挿通孔311に固定ピン33を差し込み、該固定ピン33を単管ジョイント13の引っかけ溝135を通過させた後、作業者が固定ピン33を所定角度回転させることで、コーナージョイント2に直線パイプ31を抜け落ちない状態で接続させることができる。
このようにして、作業者が仮設手摺1のコーナー部分をコーナージョイント2のみで容易に形成することができる。
【0021】
上記のように、図1図3図4に示す仮設手摺1のコーナー部の連結に用いられる本発明に係るコーナージョイント2は、仮設手摺1のコーナー部の角度に合わせて単管パイプ29が曲折され形成されていることで、仮設手摺1となる例えば2本の直線パイプ31、直線パイプ32を従来の図5に示す仮設手摺9のように上下に重ね合わせることなく、直線パイプ31、直線パイプ32の先端のパイプ穴をコーナージョイント2にそれぞれ差し込むことで、仮設手摺1となる2本の直線パイプ31、直線パイプ32を連結させてコーナー部を作ることが可能となる。即ち、作業者が、従来の図5に示す仮設手摺9のように直交クランプ90、又は自在クランプ、及びラチェット等の器具を用いずに、仮設手摺1のコーナー部を容易に連結して形成でき、また、仮設手摺1の盛り替えも容易に行うことが可能となる。
【0022】
また、仮設手摺1となる2本の直線パイプ31、直線パイプ32を、図5に示す従来の仮設手摺9のように上下に重ね合わせずにコーナー部を連結できるため、図4に示すように仮設手摺1の高さ位置に差が生じてしまうことが無くなる。さらに、図3図4に示すように、2本の直線パイプ31、直線パイプ32の先端が互いに交差するように突き出していない状態でコーナー部を形成することができるため、図5に示す従来の仮設手摺9におけるコーナー部の突き出た直線パイプ31、直線パイプ32の先端の塩ビ等の養生によるカバー作業を行わなくても済むとともに、コーナー部における作業者の怪我を防ぐことが可能となる。また、従来の図5に示す仮設手摺9のように、コーナー部に縦地99(支柱)が必ずしも必要では無くなり、かつ、コーナー部にクランプが不要であるため作業者の安全帯のフックを手摺に取り付ける際に、フックを盛り替える必要が無くなる。
【0023】
本発明に係るコーナージョイント2は、曲折された単管パイプ29の端部20、端部21のそれぞれに仮設手摺1に連結可能な単管ジョイント13が溶接により一体的に接続されていることで、コーナージョイント2と仮設手摺1を構成する直線パイプ31、及び直線パイプ32との連結がさらに容易になる。
【0024】
本発明に係るコーナージョイントは上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている単管ジョイント13、及び直線パイプ31、直線パイプ32等の形状についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0025】
1:仮設手摺
2:コーナージョイント 29:単管パイプ 20、21:単管パイプの端部 200、202:溶接接合部
13:単管ジョイント 135:引っかけ溝 137:フランジ
31、32:直線パイプ 311、321:ピン挿通孔
33:固定ピン
9:従来の仮設手摺 90:直交クランプ 99:縦地
図1
図2
図3
図4
図5