(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152369
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】仕訳生成装置、仕訳生成方法および仕訳生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/14 20120101AFI20221004BHJP
【FI】
G06Q20/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055119
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 剛史
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】預り金についての取引先を、物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成装置、仕訳生成方法および仕訳生成プログラムの提供をする。
【解決手段】仕訳生成装置は、管理項目マスタ中の仕訳取引先区分として「テナント」を指定した場合、請求に対する入金消込がなされると、預り金に対応する勘定科目として、管理項目マスタ中のオーナー分預り勘定科目「預り金」を含み、預り金に対応する金額として、入金消込がなされた入金消込データ中の請求識別データと同じものと紐づき、かつ、各々のオーナーに対応する持分按分データ中の按分金額の合計金額「80,000円」を含み、預り金に対応する取引先として、入金消込がなされた入金消込データ中の請求識別データと同じものと紐づく請求明細データ中のテナント識別データ「テナントA」を含む仕訳を生成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備え、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成装置であって、
前記記憶部には、
前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、
前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、
前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、
前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、
が格納されており、
前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、
前記制御部は、
前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、
(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、
(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、
(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む
仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成手段
を備えること、
を特徴とする仕訳生成装置。
【請求項2】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成方法であって、
前記記憶部には、
前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、
前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、
前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、
前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、
が格納されており、
前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、
前記制御部で実行される、
前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、
(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、
(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、
(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む
仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成ステップ
を含むこと、
を特徴とする仕訳生成方法。
【請求項3】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成プログラムであって、
前記記憶部には、
前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、
前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、
前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、
前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、
が格納されており、
前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、
前記制御部に実行させるための、
前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、
(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、
(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、
(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む
仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成ステップ
を含むこと、
を特徴とする仕訳生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕訳生成装置、仕訳生成方法および仕訳生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、不動産賃貸経営の代行業務の委託先から不動産オーナーへ支払われる賃料の最低額を、家賃に依存しない一定の金額にすることができる不動産賃貸経営代行管理システムとその方法が開示されており(特許文献1の0005段落参照)、また、入居者が決まると、代行業者は入居者との間で転賃貸借契約(サブリース契約)を結び、家賃の徴収等の管理業務を行うことが開示されている(特許文献1の0032段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、物件の管理会社が物件を管理する形態として、例えば、物件の所有者(オーナー)と管理者が異なり、管理会社がオーナーの代わりに物件を管理する管理形態(管理受託方式)や、物件のオーナーと管理者が異なり、管理会社がオーナーから物件を借りて物件を管理する管理形態(サブリース方式)等が存在する。
【0005】
ここで、物件の管理会社が、オーナーに代わって物件に入居するテナントから敷金等の預り金を預かったとする。管理受託方式の場合、管理会社は預り金をオーナーの代わりに預かっているという位置づけになるため、仕訳上の取引先を「オーナー」とする必要がある。これに対して、サブリース方式の場合、管理会社はオーナーから物件を借りているため、テナントから預り金を預かっているという位置づけになるため、仕訳上の取引先を「テナント」とする必要がある。
【0006】
つまり、物件の管理形態に応じて、仕訳上の預り金についての取引先を分岐させる処理が必要であるが、従来においては、当該処理を自動化できておらず、作業負担や事務過誤等の問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、預り金についての取引先を、物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成装置、仕訳生成方法および仕訳生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仕訳生成装置は、制御部および記憶部を備え、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成装置であって、前記記憶部には、前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、が格納されており、前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、前記制御部が、前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成手段を備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る仕訳生成方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成方法であって、前記記憶部には、前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、が格納されており、前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、前記制御部で実行される、前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成ステップを含むこと、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る仕訳生成プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる仕訳生成プログラムであって、前記記憶部には、前記テナントに対する請求を識別するための請求識別データと、前記テナントを識別するためのテナント識別データと、前記テナントに対する請求金額と、を含む請求明細データと、前記請求識別データと、前記請求金額を各々の前記オーナーまたは前記管理会社に対応する持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額と、を含む持分按分データと、前記請求識別データと、前記請求に対する入金消込がなされた日付である消込日と、を含む入金消込データと、前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目と、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための仕訳取引先区分と、を含む管理項目マスタと、が格納されており、前記仕訳取引先区分は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態に対応する区分、または、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、前記制御部に実行させるための、前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成ステップを含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、預り金についての取引先を、物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、仕訳生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、各データおよび仕訳取引先区分として「0:オーナー」または「未入力」を指定した場合の管理項目マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、仕訳取引先区分として「0:オーナー」または「未入力」を指定した場合に生成される仕訳の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、各データおよび仕訳取引先区分として「1:テナント」を指定した場合の管理項目マスタの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、仕訳取引先区分として「1:テナント」を指定した場合に生成される仕訳の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る仕訳生成装置、仕訳生成方法および仕訳生成プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.概要]
不動産業界では、物件を管理する会社がオーナー自身なのか、管理会社なのかによって、物件の管理形態が分かれる。例えば、以下の(1)~(3)に示す管理形態が存在する。
【0015】
(1)自社物件方式
自社物件方式とは、ビルの所有者(以下、本項目において「オーナー」という。)と管理者が同じである管理形態である。この管理形態の場合、預り金が発生した場合の取引先は、取引を行った相手、例えば、賃借人(以下、本項目において「テナント」という。)および業者等となる。
【0016】
(2)管理受託方式
管理受託方式とは、オーナーと管理者が異なり、管理会社がオーナーの代わりに物件を管理する管理形態である。この管理形態の場合、預り金が発生した場合の取引先は、オーナーとなる。例えば、テナントから預かった場合では、オーナーの代わりに預かっているという位置づけになるため、オーナーで管理する。
【0017】
(3)サブリース方式
サブリース方式とは、オーナーと管理者が異なり、管理会社がオーナーから物件を借りて物件を管理する管理形態である。この管理形態の場合、預り金が発生した場合の取引先は、取引している取引先となる。例えば、テナントから預かった場合では、オーナーからビルを借りているため、テナントから預かっているという位置づけになるため、テナントで管理する。また、オーナーに預ける時は、ビルを借りているため、オーナーで管理する。
【0018】
ここで、管理会社は、物件の管理形態によってどの取引先の預り金なのかを正しく把握する必要があるが、従来においては、(1)および(2)の管理形態については、取引先別の管理についてシステム対応できていたが、(3)の管理形態については、取引先別の管理についてシステム対応できていなかった。このため、(3)の管理形態の場合、物件単位での管理しかできなかったり、または、取引先別に管理するためには別システムの会計システム側で振替処理を行ったりする等の対応が必要であった。
【0019】
そこで、本実施形態においては、(3)の管理形態においても、管理項目にどの取引先かを指定させることで、取引先別に預り金を管理することができるようにし、物件単位での管理から取引先別の管理をできるようにした。つまり、本実施形態においては、物件の管理形態に応じて、預り金の取引先を分岐させることができるようにした。
【0020】
これにより、例えば、会計の精度を高め、決算処理を早期化することができる。また、例えば、会計システム側での振替処理やシステム外での管理等の余分な作業が減るため、作業負担および事務過誤を低減することができる。そして、例えば、契約形態毎に、預託金の残高を正確に管理することができる。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る仕訳生成装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、仕訳生成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
仕訳生成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仕訳生成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
仕訳生成装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仕訳生成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、仕訳生成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仕訳生成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0027】
記憶部106は、例えば、請求明細データ106aと、入金消込データ106bと、持分比率マスタ106cと、持分按分データ106dと、管理項目マスタ106eと、を備えている。
【0028】
本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、物件の管理会社が前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから一時的に預かった金銭である預り金についての仕訳上の取引先を、前記物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる。
【0029】
請求明細データ106aは、前記テナントに対する請求の情報を含む明細データである。請求明細データ106aは、
図2および
図4に示すように、例えば、前記請求を識別するための請求識別データ(請求支払SEQ)と、前記物件を識別するための物件識別データ(物件)と、前記テナントを識別するためのテナント識別データ(取引先)と、前記請求金額の種類を管理するための項目である管理項目(管理項目)と、前記請求金額の計上日(計上日)と、前記請求金額(金額)と、等を含む。
【0030】
入金消込データ106bは、前記請求に対する入金消込の情報を含むデータである。入金消込データ106bは、
図2および
図4に示すように、例えば、前記請求に対する入金を識別するための入金識別データ(入金NO)と、前記請求識別データ(請求支払SEQ)と、前記請求に対する前記入金消込がなされた日付である消込日(消込日)と、前記入金消込された金額である消込金額(消込金額)と、等を含む。
【0031】
持分比率マスタ106cは、各々の前記物件についての前記オーナーおよび前記管理会社の持分比率等を管理するためのマスタである。持分比率マスタ106cは、図示しないが、例えば、前記物件識別データ(物件)と、前記オーナーを識別するためのオーナー識別データおよび当該オーナーに対応する持分比率と、前記管理会社を識別するための管理会社識別データおよび当該管理会社に対応する持分比率と、等を含む。持分比率マスタ106cの設定の一例として、例えば、物件「〇〇ビル」については、オーナーAについては持分比率30%、オーナーBについては持分比率50%、前記管理会社(すなわち自社)については持分比率20%、という様に設定することができる。
【0032】
持分按分データ106dは、前記請求金額を、持分比率マスタ106c中の前記持分比率に応じて按分して算出した金額である按分金額を管理するためのデータである。持分按分データ106dは、
図2および
図4に示すように、例えば、前記請求識別データ(請求支払SEQ)と、前記オーナー識別データ(オーナーA、オーナーB)および前記オーナーに対応する前記按分金額(30,000円、50,000円)と、前記管理会社識別データ(自社)および前記管理会社に対応する前記按分金額(20,000円)と、等を含む。持分按分データ106dの設定の一例として、例えば、前記請求金額が100,000円であり、かつ、持分比率マスタ106cの設定が前段落で説明したとおりである場合、オーナーAについての前記按分金額は、100,000円×30%=30,000円となり、オーナーBについての前記按分金額は、100,000円×50%=50,000円となり、前記管理会社(すなわち自社)についての前記按分金額は、100,000円×20%=20,000円となる。
【0033】
管理項目マスタ106eは、前記仕訳の生成に関する設定を管理するためのマスタである。管理項目マスタ106eは、
図2および
図4に示すように、例えば、管理項目(管理項目)と、前記管理会社に対応する科目属性区分(科目属性区分)と、前記預り金に対応する前記仕訳上の前記管理会社分の勘定科目である管理会社分預り勘定科目(預り勘定科目)と、前記オーナーに対応する科目属性区分(科目属性区分(他オーナー分))と、前記預り金に対応する前記仕訳上の前記オーナー分の勘定科目であるオーナー分預り勘定科目(預り勘定科目(他オーナー分))と、本発明の特徴である仕訳取引先区分(仕訳取引先区分)と、等を含む。前記仕訳は、例えば、会計伝票である。
【0034】
前記仕訳取引先区分は、前記預り金についての前記仕訳上の前記取引先を決定するための区分であって、例えば、以下の二つの区分が存在する。一つ目は、前記管理会社が前記オーナーとなり前記物件を管理する管理形態(自社物件方式)もしくは前記オーナーに代わって前記管理会社が前記物件を管理する管理形態(管理受託方式)に対応する区分であり、具体的には、「0:オーナー」または「未入力」の区分である。二つ目は、前記オーナーから前記物件を借り上げした前記管理会社が前記テナントに対して前記物件を転貸する管理形態(サブリース方式)に対応する区分であって前記管理会社が前記テナントから回収した前記預り金についての前記取引先を前記テナントとするためのテナント取引先区分であり、具体的には、「1:テナント」の区分である。
【0035】
制御部102は、仕訳生成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、機能概念的に、例えば、前記管理項目マスタ中の前記仕訳取引先区分が前記テナント取引先区分である場合、前記請求に対する入金消込がなされると、(i)前記預り金に対応する勘定科目として、前記管理項目マスタ中の前記オーナー分預り勘定科目を含み、(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する前記持分按分データ中の前記按分金額の合計金額を含み、(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた前記入金消込データ中の前記請求識別データと同じものと紐づく前記請求明細データ中の前記テナント識別データを含む仕訳を前記消込日に生成する仕訳生成手段としての仕訳生成部102aを備えている。
【0037】
仕訳生成部102aは、管理項目マスタ106e中の前記仕訳取引先区分に応じた仕訳を生成する。以下、具体的に説明する。
【0038】
前記仕訳取引先区分が、前記自社物件方式および前記管理受託方式に対応する区分、すなわち、「0:オーナー」または「未入力」である場合、仕訳生成部102aは、前記請求に対する入金消込がなされると、以下のようにして仕訳を生成する。すなわち、仕訳生成部102aは、
(i)前記預り金に対応する勘定科目として、管理項目マスタ106e中の前記オーナー分預り勘定科目(
図2の管理項目マスタ106eでは、預り勘定科目(他オーナー分)の「預り金」に相当)を含み、
(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた入金消込データ106b中の前記請求識別データ(
図2の入金消込データ106bでは、「請求支払SEQ:111」に相当)と同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する持分按分データ106d中の前記按分金額(
図2の持分按分データ106dでは、「30,000円および50,000円」に相当)を含み、
(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた入金消込データ106b中の前記請求識別データ(
図2の入金消込データ106bでは、「請求支払SEQ:111」に相当)と同じものと紐づく持分按分データ106d中の前記オーナー識別データ(
図2の持分按分データ106dでは、「オーナーA」および「オーナーB」に相当)を含む、
図3に示す仕訳を前記消込日に生成する。このように、本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、物件の管理形態が前記管理受託方式である場合には、仕訳上の取引先を「オーナー」とした仕訳を入金消込時に生成することができる。
【0039】
これに対して、前記仕訳取引先区分が、前記サブリース方式に対応する区分、すなわち、「1:テナント」である場合、仕訳生成部102aは、前記請求に対する入金消込がなされると、以下のようにして仕訳を生成する。すなわち、仕訳生成部102aは、
(i)前記預り金に対応する勘定科目として、管理項目マスタ106e中の前記オーナー分預り勘定科目(
図4の管理項目マスタ106eでは、預り勘定科目(他オーナー分)の「預り金」に相当)を含み、
(ii)前記預り金に対応する金額として、前記入金消込がなされた入金消込データ106b中の前記請求識別データ(
図4の入金消込データ106bでは、「請求支払SEQ:111」に相当)と同じものと紐づき、かつ、前記各々の前記オーナーに対応する持分按分データ106d中の前記按分金額(
図4の持分按分データ106dでは、「30,000円および50,000円」に相当)の合計金額(「80,000円」に相当)を含み、
(iii)前記預り金に対応する取引先として、前記入金消込がなされた入金消込データ106b中の前記請求識別データ(
図4の入金消込データ106bでは、「請求支払SEQ:111」に相当)と同じものと紐づく請求明細データ106a中の前記テナント識別データ(
図4の請求明細データ106aでは、「テナントA」に相当)を含む
図5に示す仕訳を前記消込日に生成する。このように、本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、物件の管理形態が前記サブリース方式である場合には、仕訳上の取引先を「テナント」とした仕訳を入金消込時に生成することができる。
【0040】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。以下においては、物件の管理会社が、前記物件のオーナーに代わって前記物件に入居するテナントから敷金を預り金として預かった場合において、どのような仕訳が生成されるかを、前記仕訳取引先区分の種類別に説明する。仕訳生成の処理は、会計データ作成処理の一種である。
【0041】
[3-1.仕訳取引先区分として「0:オーナー」または「未入力」を指定した場合]
最初に、前記仕訳取引先区分として「0:オーナー」または「未入力」を指定した場合の仕訳生成処理について、
図2および
図3を参照して説明する。「0:オーナー」または「未入力」の前記仕訳取引先区分は、[2.構成]の管理項目マスタ106eの説明箇所で説明したように、前記自社物件方式および前記管理受託方式に対応する区分である。
【0042】
なお、本項目においては、請求明細データ106a、入金消込データ106b、持分按分データ106dおよび管理項目マスタ106eは、
図2に示す内容で予め設定されているという前提で説明を進める。
図2の管理項目マスタ106eに示すように、前記仕訳取引先区分として、「0:オーナー」または「未入力」が指定されている。
【0043】
仕訳生成部102aは、請求明細データ106a中の請求金額(100,000円)に対して入金消込データ106b中の消込金額(100,000円)により入金消込がなされると、
図3に示す仕訳を生成する。以下、仕訳の生成について、他オーナー(オーナーAおよびオーナーB)分と自社(管理会社)分の仕訳で項目を分けて説明をする。
【0044】
(1)他オーナー分の仕訳の生成について
まず、他オーナー分の仕訳、すなわち、
図3の仕訳における上段の部分の生成について説明する。
【0045】
仕訳生成部102aは、
図2の管理項目マスタ106e中の「会計連携_オーナー分」の科目属性区分および勘定科目設定に従い、仕訳を生成する。仕訳生成部102aは、当該科目属性区分(他オーナー分)が、
図2の管理項目マスタ106eに示すように「2:預り・立替」である場合、消込日時点(2021/01/31時点)で仕訳を生成する。この際に採用される仕訳のパターンは、「CASH/預り勘定科目」となるため、仕訳生成部102aは、
図2の管理項目マスタ106eの預り勘定科目(他オーナー分)として設定されている「預り金」を勘定科目として使用して、
図3の仕訳における上段の部分を生成する。また、
図2の管理項目マスタ106eに示すように、前記仕訳取引先区分は「0:オーナー」または「未入力」であるため、オーナーの取引先を連携する。
【0046】
(2)自社分の仕訳の生成について
次に、自社分の仕訳、すなわち、
図3の仕訳における下段の部分の生成について説明する。
【0047】
仕訳生成部102aは、
図2の管理項目マスタ106e中の「会計連携」の科目属性区分および勘定科目設定に従い、仕訳を生成する。仕訳生成部102aは、当該科目属性区分が、
図2の管理項目マスタ106eに示すように「2:預り・立替」である場合、消込日時点(2021/01/31時点)で仕訳を生成する。この際に採用される仕訳のパターンは、「CASH/預り勘定科目」となるため、仕訳生成部102aは、
図2の管理項目マスタ106eの預り勘定科目として設定されている「敷金」を勘定科目として使用して、
図3の仕訳における下段の部分を生成する。
【0048】
[3-2.仕訳取引先区分として「1:テナント」を指定した場合]
続いて、前記仕訳取引先区分として「1:テナント」を指定した場合の仕訳生成処理について、
図4および
図5を参照して説明する。「1:テナント」の前記仕訳取引先区分は、[2.構成]の管理項目マスタ106eの説明箇所で説明したように、前記サブリース方式に対応する区分である。
【0049】
なお、本項目においては、請求明細データ106a、入金消込データ106b、持分按分データ106dおよび管理項目マスタ106eは、
図4に示す内容で予め設定されているという前提で説明を進める。
図4の管理項目マスタ106eに示すように、前記仕訳取引先区分として、「1:テナント」が指定されている。
【0050】
仕訳生成部102aは、請求明細データ106a中の請求金額(100,000円)に対して入金消込データ106b中の消込金額(100,000円)により入金消込がなされると、
図5に示す仕訳を生成する。以下、仕訳の生成について、他オーナー(オーナーAおよびオーナーB)分と自社(管理会社)分の仕訳で項目を分けて説明をする。
【0051】
(1)他オーナー分の仕訳の生成について
まず、他オーナー分の仕訳、すなわち、
図5の仕訳における上段の部分の生成について説明する。
【0052】
仕訳生成部102aは、
図4の管理項目マスタ106e中の「会計連携_オーナー分」の科目属性区分および勘定科目設定に従い、仕訳を生成する。仕訳生成部102aは、当該科目属性区分(他オーナー分)が、
図4の管理項目マスタ106eに示すように「2:預り・立替」である場合、消込日時点(2021/01/31時点)で仕訳を生成する。この際に採用される仕訳のパターンは、「CASH/預り勘定科目」となるため、仕訳生成部102aは、
図4の管理項目マスタ106eの預り勘定科目(他オーナー分)として設定されている「預り金」を勘定科目として使用して、
図5の仕訳における上段の部分を生成する。また、
図4の管理項目マスタ106eに示すように、前記仕訳取引先区分は「1:テナント」であるため、テナントの取引先を連携する。
【0053】
(2)自社分の仕訳の生成について
次に、自社分の仕訳、すなわち、
図5の仕訳における下段の部分の生成について説明する。
【0054】
仕訳生成部102aは、
図4の管理項目マスタ106e中の「会計連携」の科目属性区分および勘定科目設定に従い、仕訳を生成する。仕訳生成部102aは、当該科目属性区分が、
図4の管理項目マスタ106eに示すように「2:預り・立替」である場合、消込日時点(2021/01/31時点)で仕訳を生成する。この際に採用される仕訳のパターンは、「CASH/預り勘定科目」となるため、仕訳生成部102aは、
図4の管理項目マスタ106eの預り勘定科目として設定されている「敷金」を勘定科目として使用して、
図5の仕訳における下段の部分を生成する。
【0055】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、預り金についての取引先を、物件の管理形態に応じた適切な相手とした仕訳を生成することができる。すなわち、本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、物件の管理形態が前記管理受託方式である場合は、[3-1]で説明したように、仕訳上での預り金についての取引先を「オーナー」とすることができ、これに対して、物件の管理形態が前記サブリース方式である場合は、[3-2]で説明したように、仕訳上での預り金についての取引先を「テナント」とすることができる。つまり、本実施形態に係る仕訳生成装置100によれば、仕訳上での預り金についての取引先を、物件の管理形態に応じて分岐させることができる。
【0056】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0059】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0060】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0061】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
また、仕訳生成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0063】
例えば、仕訳生成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仕訳生成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0064】
また、このコンピュータプログラムは、仕訳生成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0066】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0067】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0068】
また、仕訳生成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仕訳生成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0069】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、不動産業界において有用であり、特に、ビルマネジメント業界においては極めて有用である。
【符号の説明】
【0071】
100 仕訳生成装置
102 制御部
102a 仕訳生成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 請求明細データ
106b 入金消込データ
106c 持分比率マスタ
106d 持分按分データ
106e 管理項目マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク