(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152375
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20221004BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
E05B49/00 J
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055128
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕己
(72)【発明者】
【氏名】深貝 直史
(72)【発明者】
【氏名】古田 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
【テーマコード(参考)】
2E250
5H181
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
5H181AA01
5H181BB04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】移動体へのアクセス制御と物体検知とをより簡易な構成で両立する。
【解決手段】移動体に搭載される通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記移動体に搭載される被制御装置に規定の動作を実行させる制御部、を備える、制御装置が提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記移動体に搭載される被制御装置に規定の動作を実行させる制御部、
を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動体と前記他の物体との間の距離の時系列変化が規定のパターンに相当する場合、前記被制御装置に、前記規定のパターンに応じた規定の動作を実行させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記規定のパターンは、前記移動体と前記他の物体との間の距離が規定時間内において規定値以上広がる第1のパターンを含む、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記規定のパターンは、前記移動体と前記他の物体との間の距離が規定時間内において規定値以上縮まる第2のパターンを含む、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記被制御装置は、報知装置を含み、
前記制御部は、前記移動体と前記他の物体との間の距離の時系列変化が前記規定のパターンに相当する場合、前記報知装置に、前記規定のパターンに応じた報知を行わせる、
請求項2から請求項4までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記被制御装置は、制動装置を含み、
前記制御部は、前記移動体と前記他の物体との間の距離の時系列変化が前記規定のパターンに相当する場合、前記制動装置に、前記移動体の移動速度を低下させるための動作を実行させる、
請求項2から請求項5までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記通信装置は、前記他の物体に付随して配置される他の通信装置との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行い、当該無線信号を用いて前記移動体と前記他の物体との間の距離を推定する、
請求項1から請求項6までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記規定の通信規格は、超広帯域無線通信を含む、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体に搭載される通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記移動体に搭載される被制御装置に規定の動作を実行させる制御機能、
を実現させる、
プログラム。
【請求項10】
移動体に搭載される通信装置と、前記移動体に搭載される被制御装置と、前記被制御装置の動作制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記被制御装置に規定の動作を実行させる、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で送受信した無線信号に基づく動作制御を行う技術が開発されている。例えば、下記特許文献1には、車載器と携帯機との間で送受信された無線信号を用いて両装置間の距離を推定する測距を行い、当該測距の結果に応じて車両に備えられるドアの解錠を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年では、超音波やミリ波などを用いて車両の周囲に存在する障害物等との距離を推定する技術も開発されている。しかし、上記の技術を用いてドアの解錠制御と障害物の検知を実現する場合、それぞれに対応した構成を具備することが求められ製造コストが増大する。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、移動体へのアクセス制御と物体検知とをより簡易な構成で両立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、移動体に搭載される通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記移動体に搭載される被制御装置に規定の動作を実行させる制御部、を備える、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、移動体に搭載される通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記移動体に搭載される被制御装置に規定の動作を実行させる制御機能、を実現させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、移動体に搭載される通信装置と、前記移動体に搭載される被制御装置と、前記被制御装置の動作制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記通信装置により推定される前記移動体と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、前記被制御装置に規定の動作を実行させる、システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、移動体へのアクセス制御と物体検知とをより簡易な構成で両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化の推定の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図3】同実施形態に係る第1のパターンについて説明するための図である。
【
図4】同実施形態に係る第1のパターンについて説明するための図である。
【
図5】同実施形態に係る第2のパターンについて説明するための図である。
【
図6】同実施形態に係る第2のパターンについて説明するための図である。
【
図7】同実施形態に係る本実施形態に係る制御部310による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、車両等の移動体50に搭載される第1の通信装置10、制御装置30、および被制御装置40を備える。
【0015】
また、本実施形態に係るシステム1は、移動体50とは別途に配置される第2の通信装置20をさらに備えてもよい。
【0016】
(第1の通信装置10)
本実施形態に係る第1の通信装置10は、移動体50に搭載され、第2の通信装置20との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0017】
また、本実施形態に係る第1の通信装置10は、第2の通信装置20との間において送受信した無線信号を用いて第2の通信装置20との間の距離を推定する処理である測距を行う。
【0018】
このため、本実施形態に係る規定の通信規格には、装置間において送受信される無線信号を用いた距離の推定を実現することが可能な種々の規格が採用される。
【0019】
本実施形態に係る規定の通信規格の一例としては、超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)無線通信が挙げられる。
【0020】
本実施形態に係る第1の通信装置10は、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0021】
(第2の通信装置20)
本実施形態に係る第2の通信装置20は、移動体50に搭載される第1の通信装置10との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0022】
このために、本実施形態に係る第2の通信装置20は、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0023】
本実施形態に係る第2の通信装置20は、例えば、移動体50を利用するユーザ(移動体50のオーナーや、当該オーナーに移動体50の利用を許可された者)に携帯されるモバイル機器であってもよい。
【0024】
この場合、制御装置30は、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離(≒移動体50とユーザとの間の距離)の推定値(測距値)に基づいて、第2の通信装置20を携帯するユーザの移動体50へのアクセスを制御することができる。
【0025】
一方、本実施形態に係る第2の通信装置20は、例えば、移動体50とは異なる他の物体に付随して配置されてもよい。
【0026】
この場合、制御装置30は、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離(≒移動体50と他の物体との間の距離)の推定値に基づいて、後述するような各種の制御を実現することができる。
【0027】
(制御装置30)
本実施形態に係る制御装置30は、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離の推定値に基づいて、被制御装置40の動作制御を行う。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る制御装置30は制御部310を備える。
【0029】
本実施形態に係る被制御装置40には、移動体50に搭載される各種の装置が含まれる。
【0030】
例えば、本実施形態に係る被制御装置40には、移動体50に備えられるドアの解錠および施錠を制御する錠装置、移動体50に備えられるエンジン等が含まれる。
【0031】
一例として、第2の通信装置20がユーザにより携帯されるモバイル機器である場合、制御装置30の制御部310は、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離の推定値が規定の値以下である場合、上記の錠装置にドアの解錠を実行させ、またエンジンに指導を許可してもよい。
【0032】
なお、制御部310は、上述した規定の通信規格とは異なる他の通信規格に準拠した無線信号を用いて第2の通信装置20の真正性が認められる場合に、上記のような制御を実行してもよい。
【0033】
上記他の通信規格には、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号、およびUHF(Ultra-High
Frequency)帯の信号が使用されてもよい。
【0034】
また、第2の通信装置20が移動体50とは異なる他の物体に付随して配置される場合等においては、本実施形態に係る制御部310は、第1の通信装置10により推定される移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化に基づいて、移動体50に搭載される被制御装置40に規定の動作を実行させてよい。
【0035】
例えば、本実施形態に係る制御部310は、移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化が規定のパターンに相当する場合、被制御装置40に、当該規定のパターンに応じた規定の動作を実行させる。
【0036】
この場合、本実施形態に係る被制御装置40には、移動体50に備えられる各種の報知装置、制動装置が含まれてよい。
【0037】
例えば、本実施形態に係る制御部310は、移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化が規定のパターンに相当する場合、報知装置に規定のパターンに応じた報知を行わせてもよい。
【0038】
ここで、本実施形態に係る報知装置には、音、画像、振動などを用いた報知を行うことが可能な各種の装置が広く含まれる。
【0039】
また、例えば、本実施形態に係る制御部310は、移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化が規定のパターンに相当する場合、制動装置に、移動体の移動速度を低下させるための動作を実行させてもよい。
【0040】
ここで、本実施形態に係る制動装置には、移動体の移動速度を低下させることが可能な各種の装置が広く含まれる。本実施形態に係る制動装置の一例としては、ブレーキ、エンジン(エンジンブレーキによる制動が可能)などが挙げられる。
【0041】
本実施形態に係る制御部310が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。本実施形態に係る制御部310が有する機能の詳細については別途説明する。
【0042】
以上、本実施形態に係るシステム1の構成例について述べた。なお、
図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係るシステム1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係るシステム1の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0043】
<<1.2.詳細>>
次に、本実施形態に係る制御装置30による移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化に基づく被制御装置40の動作制御について詳細に説明する。
【0044】
まず、移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化の推定の流れについて述べる。
【0045】
図2は、本実施形態に係る移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化の推定の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0046】
なお、以下では、本実施形態に係る第2の通信装置20が他の物体に付随して配置される場合を主な例として説明を行う。この場合、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離は、移動体50と他の物体との間の距離と見做すことができる。
【0047】
図2に示す一例の場合、まず、第1の通信装置10が、第1の測距用信号を送信する(S102)。
【0048】
次に、ステップS102において第1の測距用信号を受信した第2の通信装置20が、当該第1の測距用信号への応答として第2の測距用信号を送信する(S104)。
【0049】
次に、ステップS104において第2の測距用信号を受信した第1の通信装置10は、第1の測距用信号および第2の測距用信号を用いて第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離(≒移動体50と他の物体との間の距離)の推定値である測距値を算出する(S106)。
【0050】
第1の通信装置10は、第1の測距用信号を送信した時刻から第2の測距用信号を受信する時刻までの時間ΔT1と、第2の通信装置20が第1の測距用信号を受信した時刻から第2の測距用信号を送信するまでの時間ΔT2とに基づいて、測距値を算出することが可能である。
【0051】
より具体的には、第1の通信装置10は、時間ΔT1から時間ΔT2を差し引くことにより第1の測距用信号および第2の測距用信号の伝搬に要した時間(すなわち往復の通信に要した時間)を算出することができ、また当該時間を2で割ることにより、第1の測距用信号または第2の測距用信号のいずれかの伝搬に要した時間(すなわち片道の通信に要した時間)を算出することができる。
【0052】
さらには、第1の通信装置10は、(時間ΔT1-時間ΔT2)/2の値に信号の速度を掛けることで、測距値を算出することが可能である。
【0053】
このように、本実施形態に係る測距は、第1の測距用信号および第2の測距用信号の送受信、第1の測距用信号および第2の測距用信号に基づく測距値の算出から成る。
【0054】
第1の通信装置10は、上記のように算出した測距値を制御装置30に対して送信する(S108)。
【0055】
本実施形態に係る第1の通信装置10および第2の通信装置20は、上記のような測距を繰り返し実行し、算出した測距値を制御装置30に都度送信してよい。
【0056】
なお、
図2には、ステップS102~S108における1回目の測距、ステップS202~S208における2回目の測距、ステップS302~S308における3回目の測距が行われる場合が例示されるが、本実施形態に係る測距の数は係る例に限定されない。
【0057】
また、
図2を用いた上記の説明では、第1の測距用信号を第1の通信装置10送信し、第2の測距用信号を第2の通信装置20が送信する場合の例について述べた。
【0058】
一方、第1の測距用信号は第2の通信装置20により送信され、第2の測距用信号は第1の通信装置10により送信されてもよい。
【0059】
また、測距値の算出も同様に、第1の通信装置10または第2の通信装置20のいずれかにより実行されればよい。
【0060】
測距値の算出は、上述の時間ΔT1および時間ΔT2に関する情報を送受信することにより、第1の通信装置10と第2の通信装置20のいずれでも実行可能である。
【0061】
以上、本実施形態に係る測距の流れについて一例を挙げて説明した。本実施形態に係る制御装置30の制御部310は、上述したように繰り返し実行される測距により算出される測距値の時系列変化に基づいて被制御装置40の動作制御を行ってよい。
【0062】
より具体的には、本実施形態に係る制御装置30は、測距値の時系列変化が予め定められた規定のパターンのいずれかに相当する場合、被制御装置40に規定のパターンに応じた規定の動作を実行させる。
【0063】
本実施形態に係る規定のパターンには、例えば、移動体50と他の物体との間の距離が規定時間内において規定値以上広がる第1のパターンが含まれる。
【0064】
図3および
図4は、本実施形態に係る第1のパターンについて説明するための図である。
【0065】
図3には、駐車場に駐車されている移動体50が発進する状況が示されている。
【0066】
また、
図3には、第1の通信装置10が移動体50の後方に配置され、第2の通信装置20が上記駐車場に設けられる車輪止め60に付随して配置される場合が例示される。
【0067】
なお、車輪止め60は、本実施形態に係る他の物体の一例である。
【0068】
図3に例示するような状況の場合、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離(≒移動体50と車輪止め60との間の距離)は、移動体50の前進に伴い、徐々に広がることが想定される。
【0069】
ここで、上記のような距離の広がりには、移動体50の発進状況に応じた特徴的なパターンが現れ得る。
【0070】
図4には、正常発進時および急発進時における第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離の時系列変化の例が示される。
【0071】
正常発進(安全性の高い発進)の場合、上記距離は規定時間内において緩やかに広がるのに対し、急発進の場合、上記距離の広がりは急な勾配となる。
【0072】
本実施形態に係る制御部310は、上記のような急発進等に伴う規定時間内における上記距離の急な広がりを第1のパターンとし、繰り返し実行される測距により算出される測距値に基づいて当該第1のパターンを検出することが可能である。
【0073】
例えば、制御部310は、定期的に測距が繰り返される場合において、新たに算出された測距値が前回算出された測距値よりも大きく、かつ新たに算出された測距値と前回算出された測距値との乖離が規定以上である場合、上記距離の時系列変化が第1のパターンに相当すると判定してもよい。
【0074】
また、例えば、制御部310は、規定時間内における測距値の時系列変化が予め規定された第1のパターンのモデルに近い勾配を示す場合、上記距離の時系列変化が第1のパターンに相当すると判定してもよい。
【0075】
本実施形態に係る制御部310は、上記距離の時系列変化が第1のパターンに相当すると判定した場合、被制御装置40に当該第1のパターンに応じた規定の動作を実行させてよい。
【0076】
例えば、制御部310は、報知装置に急発進の検知を示す報知を行わせてもよい。当該報知には、例えば、「急発進を検知しました」等のメッセージの表示や音声出力、急発進に対応付けられた振動の提示などが挙げられる。
【0077】
上記のような制御によれば、移動体50を運転するユーザに減速のための操作を促すことができる。
【0078】
また、制御部310は、制動装置に移動体50の速度を低下させるための動作を実行させてもよい。
【0079】
上記のような制御によれば、急発進により発生し得る衝突などを回避することが可能となる。
【0080】
以上、本実施形態に係る第1のパターンについて具体例を挙げて説明した。続いて、本実施形態に係る第2のパターンについて説明する。
【0081】
本実施形態に係る規定のパターンには、例えば、移動体50と他の物体との間の距離が規定時間内において規定値縮まる第2のパターンが含まれる。
【0082】
図5および
図6は、本実施形態に係る第2のパターンについて説明するための図である。
【0083】
図5には、前進する移動体50が減速を経て駐車所に駐車する状況が示されている。
【0084】
また、
図5には、第1の通信装置10が移動体50の前方に配置され、第2の通信装置20が上記駐車場に設けられる車輪止め60に付随して配置される場合が例示される。
【0085】
図3に例示するような状況の場合、第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離(≒移動体50と車輪止め60との間の距離)は、移動体50の駐車に伴い、徐々に縮まることが想定される。
【0086】
ここで、上記のような距離の縮まりには、移動体50の減速状況に応じた特徴的なパターンが現れ得る。
【0087】
図6には、正常減速時および減速不足時における第1の通信装置10と第2の通信装置20との間の距離の時系列変化の例が示される。
【0088】
正常減速(安全性の高い減速)の場合、上記距離は規定時間内において緩やかに縮まるのに対し、減速不足の場合、上記距離の縮まりは急な勾配となる。
【0089】
本実施形態に係る制御部310は、上記のような減速不足等に伴う規定時間内における上記距離の急な縮まりを第2のパターンとし、繰り返し実行される測距により算出される測距値に基づいて当該第2のパターンを検出することが可能である。
【0090】
例えば、制御部310は、定期的に測距が繰り返される場合において、新たに算出された測距値が前回算出された測距値よりも小さく、かつ新たに算出された測距値と前回算出された測距値との乖離が規定以上である場合、上記距離の時系列変化が第2のパターンに相当すると判定してもよい。
【0091】
また、例えば、制御部310は、規定時間内における測距値の時系列変化が予め規定された第2のパターンのモデルに近い勾配を示す場合、上記距離の時系列変化が第2のパターンに相当すると判定してもよい。
【0092】
本実施形態に係る制御部310は、上記距離の時系列変化が第2のパターンに相当すると判定した場合、被制御装置40に当該第2のパターンに応じた規定の動作を実行させてよい。
【0093】
例えば、制御部310は、報知装置に減速不足の検知を示す報知を行わせてもよい。当該報知には、例えば、「障害物を検知しました。減速してください」等のメッセージの表示や音声出力、急発進に対応付けられた振動の提示などが挙げられる。
【0094】
上記のような制御によれば、移動体50を運転するユーザに減速のための操作を促すことができる。
【0095】
また、制御部310は、制動装置に移動体50の速度を低下させるための動作を実行させてもよい。
【0096】
上記のような制御によれば、急発進により発生し得る車輪止め60への衝突などを回避することが可能となる。
【0097】
以上、本実施形態に係る第2のパターンについて具体例を挙げて説明した。続いて、本実施形態に係る制御部310による制御の流れについてより詳細に説明する。
【0098】
図7は、本実施形態に係る制御部310による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0099】
図7に示す一例の場合、制御部310は、測距値の受信(S502)と、受信した測距値の時系列変化が規定のパターンに相当するか否かの判定(S504)を繰り返し実行する。
【0100】
制御部310は、ステップS504において測距値の時系列変化が規定のパターンに相当すると判定した場合(S504:Yes)、被制御装置40に当該規定のパターンに応じた動作を実行させる(S506)。
【0101】
以上、本実施形態に係る制御部310による移動体50と他の物体との間の距離の時系列変化に基づく被制御装置40の動作制御について説明した。
【0102】
なお、上記では、他の物体が静止した物体である場合を主な例として説明した。一方、本実施形態に係る他の物体は、他の移動体50などの動的な物体であってもよい。
【0103】
例えば、本実施形態に係る第1の通信装置10は、他の移動体50に搭載される他の第1の通信装置10との間において測距を行ってもよい。
【0104】
この場合、制御部310は、例えば、算出される測距値の時系列変化が移動体50間の車間距離の急激な縮まりに係る規定パターンを示すことに基づいて、被制御装置40に減速のための動作または加速のための動作を実行させてもよい。
【0105】
また、上記では、第1の通信装置10が第2の通信装置20との間において送受信する無線信号を用いた測距により、移動体50と他の物体との間の距離を推定する場合を主な例として説明した。
【0106】
一方、本実施形態に係る第1の通信装置10は、物体検知用の信号と、当該信号が他の物体に到達したことにより生じる反射波に基づいて、移動体50と他の物体との間の距離を推定してもよい。
【0107】
上記物体検知用の信号および反射波の伝搬速度は一定である。このため、第1の通信装置が送信した検知用の信号が直線的に他の物体に到達し、また第1の通信装置10が当該他の物体から反射波を直線的に受信するまでの時間は、第1の通信装置10と物体との距離に応じて変化する。
【0108】
このことから、本実施形態に係る第1の通信装置10は、検知用の信号を送信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて第1の通信装置10と他の物体との距離(≒移動体50と他の物体との距離)を推定することが可能である。
【0109】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0110】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1:システム、10:第1の通信装置、20:第2の通信装置、30:制御装置、310:制御部、40:被制御装置、50:移動体