(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152401
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】リニア搬送装置及びリニア搬送装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055164
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
【テーマコード(参考)】
3F021
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA01
3F021CA01
3F021DA08
(57)【要約】
【課題】簡単な制御処理で、複数のシャトル同士の接触を抑制できるリニア搬送装置を提供する。
【解決手段】リニアモータによって物品を搬送するリニア搬送装置であって、複数のシャトルのうち少なくとも2つのシャトルを組み合わせて1次動作群が形成される。1次動作群では、1次動作群に含まれるシャトルの1つを1次マスターシャトル、残りを1次スレーブシャトルとする。1次マスターシャトルはガイド部における位置で制御される。1次スレーブシャトルは1次マスターシャトルに対する相対位置で制御される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアモータによって物品を搬送するリニア搬送装置であって、
前記リニアモータの固定子が配置されたガイド部と、
前記ガイド部に取り付けられて物品を保持して前記ガイド部に沿って移動する前記リニアモータの可動子が配置された複数のシャトルと、
複数の前記シャトルの動作を制御する制御部と、を有し、
複数の前記シャトルのうち少なくとも2つの前記シャトルを組み合わせて1次動作群が形成され、
前記1次動作群では、前記1次動作群に含まれるシャトルの1つを1次マスターシャトル、残りを1次スレーブシャトルとし、
前記1次マスターシャトルは前記ガイド部における位置で制御され、
前記1次スレーブシャトルは前記1次マスターシャトルに対する相対位置で制御されるリニア搬送装置。
【請求項2】
複数の(i-1)(iは2以上の整数)次動作群を含み、
各前記(i-1)次動作群には、1つの(i-1)次マスターシャトルと、1又は複数の(i-1)次スレーブシャトルとを含み、
前記(i-1)次スレーブシャトルは、前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置で制御され、
複数の(i-1)次動作群のうち少なくとも2つの(i-1)次動作群を組み合わせてi次動作群が形成され、
複数の前記(i-1)次マスターシャトルのうち、1つをi次マスターシャトル、残りをi次スレーブシャトルとし、
前記(i-1)次スレーブシャトルの前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置の制御を維持しつつ、前記i次マスターシャトルが前記ガイド部における位置で制御され、前記i次スレーブシャトルが前記i次マスターシャトルに対する相対位置で制御される請求項1に記載のリニア搬送装置。
【請求項3】
複数の(i-1)(iは2以上の整数)次以下の次数の動作群を有するとともに、前記(i-1)次以下のスレーブシャトルは、同じ次数のマスターシャトルに対する相対位置で制御され、
(i-1)次以下(iは、2以上の整数)の次数の動作群及び単体の前記シャトルのうち少なくとも2つを組み合わせたi次動作群が形成され、
複数の前記(i-1)次以下の次数のマスターシャトル又は単体の前記シャトルのうち、1つをi次マスターシャトル、残りをi次スレーブシャトルとし、
前記(i-1)次以下の次数のスレーブシャトルの同じ次数のマスターシャトルに対する相対位置の制御を維持しつつ、前記i次マスターシャトルが前記ガイド部における位置で制御され、前記i次スレーブシャトルが前記i次マスターシャトルに対する相対位置で制御される請求項1に記載のリニア搬送装置。
【請求項4】
k(kは、1以上の整数)次スレーブシャトルのk次マスターシャトルに対する相対位置は、前記k次マスターシャトルの前記ガイド部における位置によって変化する請求項1から請求項3のいずれかに記載のリニア搬送装置。
【請求項5】
k(kは、1以上の整数)次動作群の組み合わせは、k次マスターシャトルの前記ガイド部における位置によって、解除される請求項1から請求項4のいずれかに記載のリニア搬送装置。
【請求項6】
リニアモータによって物品を搬送するリニアリニア搬送装置の制御方法であって、
前記リニアモータの固定子が配置されたガイド部に取り付けられて、物品を保持して前記ガイド部に沿って移動する前記リニアモータの可動子が配置された複数のシャトルのうち少なくとも2つの前記シャトルを組み合わせて1次動作群を形成し、
前記1次動作群では、前記1次動作群に含まれるシャトルの1つを1次マスターシャトル、残りを1次スレーブシャトルとし、
前記1次マスターシャトルの前記ガイド部における位置を制御し、
前記1次スレーブシャトルは前記1次マスターシャトルに対する相対位置を制御さするリニア搬送装置の制御方法。
【請求項7】
複数の(i-1)(iは2以上の整数)次動作群には、1つの(i-1)次マスターシャトルと、1又は複数の(i-1)次スレーブシャトルとを設定し、
前記(i-1)次スレーブシャトルの前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置を制御し、
複数の(i-1)次動作群のうち少なくとも2つの(i-1)次動作群を組み合わせてi次動作群を形成し、
複数の前記(i-1)次マスターシャトルのうち、1つをi次マスターシャトル、残りをi次スレーブシャトルとし、
前記(i-1)次スレーブシャトルの前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置の制御を維持しつつ、前記i次マスターシャトルが前記ガイド部における位置で制御され、前記i次スレーブシャトルが前記i次マスターシャトルに対する相対位置を制御する請求項6に記載のリニア搬送装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータを用いて物品を搬送するリニア搬送装置及びそのリニア搬送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2015―525176号公報には、物品を搬送する装置として、リニアモータを用いたリニア搬送装置が開示されている。このリニア搬送装置には、電磁石を配置したリニアモータのステータと、永久磁石が設けられた搬送部材とを有する。電磁石と永久磁石とでリニアモータシステムが形成される。そして、搬送部材は、ホルダ又は対応ホルダを有し、搬送方向に並んだホルダ及び対応ホルダで製品を挟み、搬送部材を移動させることで製品を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリニア搬送装置では、搬送部材をそれぞれ独立して制御しており、搬送部材が多くなると、処理が煩雑になりやすい。また、処理が煩雑になり、処理が遅れると、搬送部材同士が接触する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な制御処理で、複数のシャトル同士の接触を抑制できるリニア搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明のリニア搬送装置は、リニアモータによって物品を搬送する。リニア搬送装置は、前記リニアモータの固定子が配置されたガイド部と、前記ガイド部に取り付けられて物品を保持して前記ガイド部に沿って移動する前記リニアモータの可動子が配置された複数のシャトルと、複数の前記シャトルの動作を制御する制御部と、を有する。複数の前記シャトルのうち少なくとも2つの前記シャトルを組み合わせて1次動作群が形成される。前記1次動作群では、前記1次動作群に含まれるシャトルの1つを1次マスターシャトル、残りを1次スレーブシャトルとする。前記1次マスターシャトルは前記ガイド部における位置で制御され、前記1次スレーブシャトルは前記1次マスターシャトルに対する相対位置で制御される。
【0007】
このように構成することで、複数のシャトルを有する場合でも、簡単な制御処理で、接触等の接触を抑制しつつ、ガイド部に沿って制御することができる。また、スレーブシャトルとしてマスターシャトルとの相対距離で制御するため、シャトルの接触を効果的に抑制できる。
【0008】
上記構成において、複数の(i-1)(iは2以上の整数)次動作群を含む。各前記(i-1)次動作群には、1つの(i-1)次マスターシャトルと、1又は複数の(i-1)次スレーブシャトルとを含む。前記(i-1)次スレーブシャトルは、前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置で制御される。複数の(i-1)次動作群のうち少なくとも2つの(i-1)次動作群を組み合わせてi次動作群が形成される。複数の前記(i-1)次マスターシャトルのうち、1つをi次マスターシャトル、残りをi次スレーブシャトルとする。前記(i-1)次スレーブシャトルの前記(i-1)次マスターシャトルに対する相対位置の制御を維持しつつ、前記i次マスターシャトルが前記ガイド部における位置で制御され、前記i次スレーブシャトルが前記i次マスターシャトルに対する相対位置で制御される。
【0009】
上記構成において、複数の(i-1)(iは2以上の整数)次以下の次数の動作群を有するとともに、前記(i-1)次以下のスレーブシャトルは、同じ次数のマスターシャトルに対する相対位置で制御される。(i-1)次以下(iは、2以上の整数)の次数の動作群及び単体の前記シャトルのうち少なくとも2つを組み合わせたi次動作群が形成され、複数の前記(i-1)次以下の次数のマスターシャトル又は単体の前記シャトルのうち、1つをi次マスターシャトル、残りをi次スレーブシャトルとする。前記(i-1)次以下の次数のスレーブシャトルの同じ次数のマスターシャトルに対する相対位置の制御を維持しつつ、前記i次マスターシャトルが前記ガイド部における位置で制御され、前記i次スレーブシャトルが前記i次マスターシャトルに対する相対位置で制御される。
【0010】
上記構成において、k(kは、1以上の整数)次スレーブシャトルのk次マスターシャトルに対する相対位置は、前記k次マスターシャトルの前記ガイド部における位置によって変化する。
【0011】
上記構成において、k(kは、1以上の整数)次動作群の組み合わせは、k次マスターシャトルの前記ガイド部における位置によって、解除される。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるリニア搬送装置によれば、簡単な制御処理で、複数のシャトル同士の接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にかかるリニア駆動装置を用いた作業装置の概略図である。
【
図3】第1直線部を移動する1次動作群を拡大した平面図である。
【
図4】第1曲線部を移動する1次動作群を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかるリニア搬送装置10を用いた作業装置100の概略図である。
図2は、作業装置100の機能ブロック図である。
【0015】
<作業装置100>
作業装置100は、紙シートPsを搬送し、紙シートPsを折り曲げて貼り合わせた箱体Bxを形成し、箱体Bxに内容物を収容して搬出する。なお、本実施形態において、箱体Bxは、長方形状の底面部と、底部の各辺から延びる側面部とを有する。そして、紙シートPsは、箱体Bxを展開した形状である。
図1、
図2に示すように、作業装置100は、リニア搬送装置10と、制御部20と、紙シート供給装置30と、処理装置40と、を有する。
【0016】
<制御部20>
図2に示すように、制御部20は、演算回路21と、記憶回路22とを有する。演算回路21は、各種情報を処理する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、演算回路21は、処理結果に基づいて、リニア搬送装置10、紙シート供給装置30及び処理装置40に含まれる制御対象を制御する。
【0017】
記憶回路22は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリー及びハードディスク等の記憶媒体を含む又は接続される回路である。記憶回路22に、制御プログラム又は処理プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じて処理に対応したプログラムを呼び出すとともに演算回路21でプログラムを動作させて、処理を行うようにしてもよい。制御部20に接続される要素及びその制御については、各要素の説明時に説明する。
【0018】
<リニア搬送装置10>
リニア搬送装置10は、ガイド部11と、複数個のシャトル12と、リニア駆動機構13(
図2参照)とを有する。
図1に示すように、ガイド部11は、平行に配置された直線状のレールの両端を連結することでループ状に形成される。ガイド部11は、直線状の第1直線部111及び第2直線部112と、曲線状の第1曲線部113及び第2曲線部114とを有する。
【0019】
図1に示すように、第1直線部111及び第2直線部112とは、平行に配置される。そして、第1曲線部113は、第1直線部111の一方の端部と第2直線部112の一方の端部とを連結する。また、第2曲線部114は、第1直線部111の他方の端部と第2直線部112の他方の端部とを連結する。このように、ガイド部11は、第1直線部111、第1曲線部113、第2直線部112及び第2曲線部114が接続されて、ループ状に形成される。なお、第1直線部111と第2直線部112とは、平行でなくてもよい。
【0020】
図3は、第1直線部111を移動する1次動作群を拡大した平面図である。複数個のシャトル12は、ループ状に形成されたがガイド部11に取り付けられる。シャトル12はリニア駆動機構13によって、ガイド部11に沿って移動する。なお、本実施形態において、シャトル12は、
図1に示すガイド部11を時計回り方向に移動するものとする。つまり、
図1に示すガイド部11において、時計回り方向を搬送方向Tr1とする。
【0021】
図2に示すように、リニア駆動機構13は、固定子131と、可動子132とを有する。固定子131は、ガイド部11に配置される。固定子131は、ガイド部11に沿って並んで配置される複数個のコイル1311を有する。各コイル1311は、制御部20に接続されている。各コイル1311には、制御部20からの指示に基づいて、電流が供給される。コイル1311は、電流が供給されることで、励磁される。なお、リニア駆動機構には、決められたコイル1311に電流を供給する不図示のドライバを有していてもよい。この場合、制御部20は、ドライバに動作の指示を送る。ドライバは、制御部20からの指示に基づいて、適切なコイル1311に電流を供給する。
【0022】
可動子132は、マグネットを有し、シャトル12に収容される。複数のコイル1311には、制御部20の指示に基づいて所定のタイミングで電流が供給される。これにより、各コイル1311は、所定のタイミングで励磁される。これにより、コイル1311と可動子132のマグネットとの間に磁力が発生する。シャトル12は、この磁力によってガイド部11に沿って移動する。
【0023】
つまり、リニア駆動機構13は、制御部20からの指示に基づいて、可動子132を搭載したシャトル12を移動させる。さらに詳しく述べると、制御部20は、シャトル12のガイド部11における位置を制御できる。つまり、制御部20は、シャトル12をガイド部11における位置(絶対位置とする)で制御可能である。
【0024】
また、制御部20は、ガイド部11に沿って移動するシャトル12に対し、そのシャトル12と異なるシャトル12との距離(相対位置とする)を調整する制御も可能である。つまり、制御部20は、制御対象のシャトル12を基準のシャトル12に対する相対位置で調整する制御も可能である。以上のことから、制御部20は、シャトル12の移動を絶対位置で制御可能であるとともに、他のシャトル12との相対位置で制御可能である。
【0025】
詳細は後述するが、絶対位置で制御されるシャトル12を1次マスターシャトル12M1とし、1次マスターシャトル12M1に対する相対位置で制御されるシャトル12を1次スレーブシャトル12S1とする。なお、図面では、1次マスターシャトルを「12M1、12」と表記する。また、1次スレーブシャトルを「12S1、12」と表記する。また、n次マスターシャトルを「12Mn」とし、n次スレーブシャトルを「12Sn」とする(nは2以上の正の整数)。
【0026】
<紙シート供給装置30>
紙シート供給装置30は、紙シートPsを供給装置である。紙シート供給装置30は制御部20に接続される(
図2参照)。
図1に示すように、紙シート供給装置30は、第1直線部111に近接して配置される。紙シート供給装置30は、制御部20からの指示に従って、第1直線部111に並んで配置された3個のシャトル12に紙シートPsを供給する。3個のシャトル12は、紙シートPsを保持して、ガイド部11に沿って移動する。これにより、紙シートPsは、ガイド部11に沿って搬送される。3個のシャトル12は、紙シートPsを処理装置40に搬送する。
【0027】
<処理装置40>
図1に示すように、処理装置40は、ガイド部11の第2直線部112に近接して配置される。処理装置40は、制御部に接続される(
図2参照)。処理装置40は、第1処理位置P1と第2処理位置P2とを有する。第1処理位置P1では、3個のシャトル12に保持されて搬送された紙シートPsを折り曲げるとともに、貼り付けて箱体Bxを形成する。箱体Bxを形成するときの貼り付けは、粘着テープにて行ってもよいし、接着剤によって行ってもよい。また、ステープラー等の固定具を用いてもよい。箱体Bxの貼り付けは、しっかり固定できる方法を広く採用することができる。箱体Bxは、3個のシャトル12に保持されて搬送される。
【0028】
第2処理位置P2では、3個のシャトル12にて搬送された箱体Bxに収容物を収容した後に、封止して搬出する。なお、本実施形態の作業装置100において、収容物は、例えば、内部に飲料が充填された直方体形状の紙容器を挙げることができるが、これに限定されない。処理装置40は、箱体Bxに紙容器を一定数収容した後、蓋部を閉じるとともに、箱体Bxを形成するときと同様の方法で封止される。
【0029】
リニア搬送装置10において、シャトル12は、第1直線部111を移動するときに、紙シート供給装置30から紙シートPsを受け取り、第2直線部112を通過するときに処理装置40にて、処理が実行される。そして、処理装置40で箱体Bxが搬出されると、箱体Bxを保持していないシャトル12が、第2曲線部114を移動して、第1直線部111に戻る。そのため、第2曲線部114は、シャトル12の待機場所を兼ねる。
【0030】
そして、リニア搬送装置10では、3個のシャトル12で紙シート供給装置30から供給された紙シートPsを保持して移動することで、紙シートPsを搬送する。そのため、
図3に示すように、3個のシャトル12は、中央のシャトル12に紙シートPsを保持する保持アーム121が設けられる。また、搬送方向の両側のシャトル12には、紙シートPsの搬送方向の前後端部を支持する補助アーム122が設けられている。補助アーム122は、紙シートPsを支持するとともに、紙シートPsの折り曲げにも使用される。なお、本実施形態のリニア搬送装置10では、保持アーム121と、補助アーム122とは、同一の構成としているが、異なる構成であってもよい。また、1つのシャトル12が、保持アーム121と、補助アーム122の両方を備えていてもよい。
【0031】
保持アーム121は、シャトル12に固定されている。また、補助アーム122もシャトル12に固定されている。そのため、第1直線部111を移動するとき、補助アーム122は、保持アーム121に対して一定の距離を保っていればよい。そこで、本実施形態の作業装置100において、制御部20は、3個のシャトル12を、1つの動作群Stとして認識する。なお、単体で動作するシャトル12を組み合わせた動作群Stを1次動作群St1とする(
図3参照)。
【0032】
そして、制御部20は、1次動作群St1において、搬送方向Tr1の中央のシャトルを1次マスターシャトル12M1、その両側のシャトルを1次スレーブシャトル12S1とする。制御部20は、1次マスターシャトル12M1をガイド部11の位置で制御する。そして、制御部20は、1次スレーブシャトル12S1を1次マスターシャトル12M1に対する距離が一定になるように制御する。1次マスターシャトル12M1と1次スレーブシャトル12S1との距離は、紙シートPsを支持できる距離、ここでは、相対距離L1とする。なお、相対距離とは、シャトル12同士の搬送方向Tr1に沿う方向の長さである。1次動作群St1が、第1直線部111又は第2直線部112にあるときには、直線距離(
図3参照)である。また、1次動作群St1が、第1曲線部113又は第2曲線部114にあるときは、曲線に沿った距離である(
図4参照)。
【0033】
制御部20は、1次マスターシャトル12M1に対してガイド部11における位置で移動を制御し、1次スレーブシャトル12S1に対して1次マスターシャトル12M1と相対距離L1を保つように移動を制御する。これにより、1次動作群St1は、1次マスターシャトル12M1と1次スレーブシャトル12S1との距離を一定に保った状態で、紙シートPsを保持し、ガイド部11に沿って紙シートPsを搬送する。
【0034】
図4は、第1曲線部113を移動する1次動作群St1を拡大した平面図である。上述のとおり、保持アーム121及び補助アーム122は、いずれも、シャトル12に固定されている。そのため、シャトル12が曲線部に到達したとき、シャトルよりも遠い部分の間隔が広くなり、紙シートPsを安定して支持することが困難になる場合がある。そこで、制御部20は、1次動作群St1が第1曲線部113に到達したとき、1次スレーブシャトル12S1の1次マスターシャトル12M1に対する相対距離を相対距離L11(<相対距離L1)に変更する(
図4参照)。
【0035】
このようにすることで、1次動作群St1が第1曲線部113を移動するときも、安定して紙シートPsを搬送することができる。なお、制御部20は、1次動作群St1が第1曲線部113に到達したとき、1次マスターシャトル12M1の移動速度を低下させる制御を行ってもよい。これにより、紙シートPsに作用する遠心力を低減することができる。1次スレーブシャトル12S1は、1次マスターシャトル12M1との相対距離で制御されている。そのため、1次マスターシャトル12M1が減速すると、1次スレーブシャトル12S1の速度も減速される。
【0036】
つまり、制御部20は、1つの1次マスターシャトル12M1に対してのみ、ガイド部11における位置(絶対位置)に基づく制御を行う。そして、1次スレーブシャトル12S1については、1次マスターシャトル12M1に対する相対位置を調整する(ここでは、一定に保つ)制御を行う。絶対位置で制御を行う場合、制御対象のガイド部11における位置(絶対位置)を取得する必要がある。一方で、1次マスターシャトル12M1に対する相対位置で1次スレーブシャトル12S1を制御する構成にすることで、1次スレーブシャトル12S1のガイド部11における位置(絶対位置)の取得が不要である。このことからも、制御部20は、相対位置による制御を併用することで、絶対位置による制御ですべてのシャトル12を制御する場合に比べて、制御時の処理を減らすことができる。
【0037】
また、このように制御することで、1次スレーブシャトル12S1は、1次マスターシャトル12M1との相対距離を維持するように制御される。そのため、1次マスターシャトル12M1の速度が変化した場合、例えば、動き出しのとき、第1直線部111から第2直線部113に到達した場合に、1次スレーブシャトル12S1が1次マスターシャトル12M1から大幅に遅れにくい。そのため、各シャトル12に対して、ガイド部11の位置に基づいて移動の制御を行う場合に比べて、シャトル12同士が接触しにくい。
【0038】
なお、1次動作群St1が第1曲線部113から第2直線部112に進入したとき、制御部20は、1次動作群St1が第1直線部111を移動していたときの速度、相対距離L1となるように、制御を変更してもよい。また、制御部20は、第1曲線部113を移動していたときの速度及び相対距離を維持して第2直線部112を移動する制御してもよい。
【0039】
その後、1次動作群St1は、第2直線部112の第1処理位置P1に到達する。そして、1次動作群St1は、第2直線部112の第1処理位置P1で停止する。第1処理位置P1では、処理装置40によって1次動作群St1にて支持されている紙シートPsが折り曲げられ、固定されて箱体Bxが形成される。
【0040】
第1処理位置P1で紙シートPsの折り曲げを行っている間も、次の1次動作群St1が第1処理位置P1に到達する。そのため、制御部20は、前の1次動作群St1が存在しているときには、前の1次動作群St1と接触しないように、制御される。この場合も、1次マスターシャトル12M1の位置を制御することで実行可能である。そのため、制御が容易である。
【0041】
そして、第2直線部112の第2処理位置P2で、箱体Bxに内容物が収容される。処理装置40では、内容物の収容処理の処理時間を短くするため、3個の箱体Bxを搬送方向Tr1に並べて配置し、同時に内容物を収容して搬出する。そのため、第1処理位置P1で形成された箱体Bxを支持した1次動作群St1が3個揃うと、制御部20は、3個の1次動作群St1を組み合わせて、2次動作群St2とする。
【0042】
図5は、2次動作群St2を示す概念図である。なお、
図5において、シャトル12は、矩形で示す。
図5に示すように、2次動作群St2は、3個の1次動作群St1を有する。すなわち、9個のシャトル12で、2次動作群St2を構成する。
【0043】
そして、制御部20は、3個の1次動作群St1それぞれの1次マスターシャトル12M1のうち、中央の1次マスターシャトル12M1を、2次マスターシャトル12M2とする。また、制御部20は、残りの1次マスターシャトル12M1を、2次スレーブシャトル12S2とする。
【0044】
制御部20は、ガイド部11に対する位置に基づいて、2次マスターシャトル12M2の移動を制御する。そして、制御部20は、2次スレーブシャトル12S2を、収容物を収容可能なように2次マスターシャトル12M2に対して相対距離L2をあけて移動するように、制御する。なお、相対距離L2は、処理装置40の収容物を収容するときに用いられる処理機構の間隔と同じ間隔である。相対距離L2は、隣り合う1次動作群St1同士の隣り合う1次スレーブシャトル12S1が、接触しないように設定された距離でもある。
【0045】
制御部20は、2次動作群St2として制御を行う場合であっても、各1次動作群St1の1次スレーブシャトル12S1の1次マスターシャトル12M1に対する相対位置を調整する制御が継続される。
【0046】
このように、制御部20は、2次動作群St2の2次マスターシャトル12M2と2次スレーブシャトル12S2を制御することで、2次動作群St2を構成するシャトル12全ての移動を制御することが可能である。
【0047】
これにより、制御部20は、1つのシャトル12に対して絶対位置による制御行うことで、2次動作群St2すべてのシャトル12の制御が可能である。そのため、シャトル12の制御の処理量を低減できる。また、1つの第2マスターシャトル12M2以外のシャトルは第2マスターシャトル12M2に対する相対位置で制御されるため、第2動作群St2に含まれるすべてのシャトル12を、互いに接触することなく、移動させることが可能である。また、シャトル12それぞれを独立してガイド部11の位置で制御する場合に比べて、前後のシャトルとの連携のずれが発生しにくい。以上のことから、制御を簡略化することができるとともに、シャトル同士の接触を抑制できる。
【0048】
その後、処理装置40は、内容物を収容した箱体Bxを封止し、搬出する。その後、シャトル12は、搬送方向Tr1に移動し、第2曲線部114に移動し、次の作業に備えて待機する。
【0049】
箱体Bxが取り除かれた後、制御部20は、2次動作群St2を維持した状態で、2次動作群St2を、第2曲線部114に移動させてもよい。また、制御部20は、複数の2次動作群St2を組み合わせて3次動作群St3とし、3次動作群St3を制御して移動を制御してもよい。
図6は、i次動作群Stiを示す概念図である。なお、
図6において、動作群の一部は、矩形で示す。
図6に示すように、制御部20は、各2次動作群St2の2次マスターシャトル12M2の1つを3次マスターシャトル12M3とし、残りを3次スレーブシャトル12S3とする。
【0050】
制御部20は、1次動作群St1、2次動作群St2それぞれのスレーブシャトルのマスターシャトルに対する相対位置による制御を継続する。制御部20は、3次マスターシャトル12M3のガイド部11における位置に基づいて3次マスターシャトル12M3の移動を制御する。また、制御部20は、3次スレーブシャトル12S3の3次マスターシャトル12M3に対する相対位置を調整するように、3次スレーブシャトル12S3の移動を制御する。このように制御することで、すべてのシャトル12同士の接触を抑制するとともに、すべてのシャトル12を独立して、ガイド部11における位置を制御する場合に比べて処理量を減らすことができる。
【0051】
以上示したリニア搬送装置10では、制御部20が。1次動作群St1、2次動作群St2及び3次動作群St3を設定して、制御を行っている。しかしながらこれに限定されない。
【0052】
制御部20は、独立して動作する、換言すると、動作群に含まれない複数個のシャトルを組み合わせた動作群を1次動作群St1とする。そして、制御部20は、複数の1次動作群St1を組み合わせた動作群を2次動作群St2、複数の2次動作群St2を組み合わせた動作群を3次動作群St3、・・・・、複数の(i-1)次動作群St(i-1)を組み合わせてi次動作群Sti(iは、2以上の整数)として、移動の制御を行ってもよい(
図6参照)。
【0053】
このとき、制御部20は、(i-1)以下の次数のスレーブシャトルに対して、同じ次数のマスターシャトルと相対位置を調整する制御を継続する。そして、制御部20は、i次マスターシャトル12Miを絶対位置に基づいて制御する。同時に、制御部20は、i次スレーブシャトル12Siのi次マスターシャトル12Miに対する相対位置を調整するように制御する。このように制御することで、常に1つのシャトル(その時点での最高次数のマスターシャトル)だけを絶対位置で制御すればよく、制御を簡略化できる。そして、それ以外のシャトルについては、前後のシャトルとの相対位置で制御されるため、シャトル同士の接触が発生しにくい。
【0054】
なお、本実施形態では、3個のシャトル、又は、3個の動作群をまとめて高次の動作群を形成しているが、個数は、3個に限定されない。マスターシャトルとスレーブシャトルとの関係が形成されればよく、2個以上であればよい。
【0055】
また、複数次(例えば、k次とする)の動作群が設定されている場合において、制御部20は、k次マスターシャトルがガイド部11の所定の位置に移動したとき、動作群の組み合わせを解除するようにしてもよい。このとき、例えば、(k-1)のような次数の低い動作群に分解してもよいし、すべての動作群を解除して、それぞれ、独立したシャトルとしてもよい。
【0056】
これにより、動作群の個数によって、マスターシャトルとスレーブシャトルとを、自由に選択することが可能である。また、本実施形態では、中央のシャトルをマスターシャトルとしているが、これに限定されない。例えば、先頭のシャトル又は最後尾のシャトルをマスターシャトルとするように制御してもよい。また、処理装置40における処理の対応が容易になるように、マスターシャトルを決定してもよい。
【0057】
<変形例>
図7は、変形例のi次動作群を示す概念図である。なお、
図7において、シャトル12は、矩形で示す。
図6に示す、i次動作群では、同じ次数の動作群を組み合わせて、高次の動作群を形成していた。しかしながらこれに限定されない。
図7に示すように、独立したシャトル12、(i-2)次の動作群St(i-2)、(i-1)次の動作群St(i-1)を組み合わせて、i次の動作群Stiを形成してもよい。この場合も、制御部20は、独立したシャトル12及び各次数の動作群のマスターシャトルから1つをi次のマスターシャトルとし、残りをi次のスレーブシャトルとする。このようにすることで、次数が異なる動作群を組み合わせることができるため、高次の動作群を形成することができ、制御を簡略化できる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 作業装置
10 リニア搬送装置
11 ガイド部
111 第1直線部
112 第2直線部
113 第1曲線部
114 第2曲線部
12 シャトル
121 保持アーム
122 補助アーム
12M1 1次マスターシャトル
12S1 1次スレーブシャトル
12M2 2次マスターシャトル
12S2 2次スレーブシャトル
12M3 3次マスターシャトル
12S3 3次スレーブシャトル
12Mi i次マスターシャトル
12Si i次スレーブシャトル
13 リニア駆動機構
131 固定子
1311 コイル
132 可動子
20 制御部
21 演算回路
22 記憶回路
30 紙シート供給装置
40 処理装置