(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152432
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】製品を貯蔵および塗布するための装置
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A45D34/04 515C
A45D34/04 520B
A45D34/04 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021055205
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・レオナール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化粧品を貯蔵および塗布するための新規の装置を提供する。
【解決手段】装置10は、中心軸X
1を有するシャンク110と、その遠位端に設けられたチップ120を備えるアプリケータ100とを備える。装置10はまた、中心軸X
2に直交する上部開口210と、上部開口210を定める周囲壁220と、周囲壁220の下端部を閉じる底部230とを備える、製品Pを貯蔵するための容器200を備える。周囲壁220と底部230は製品Pを貯蔵するためのスペースVを定める。アプリケータ100と容器200はチップ120が容器200のスペースVに位置し、アプリケータ100が容器200を密封するように結合可能にかつアプリケータ100がチップ120を用いた製品Pの塗布に使用できるように分離可能に構成される。容器200は中心軸X
2に向かって周囲壁220から突出するワイパー240をさらに備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(P)を貯蔵および塗布するための装置(10)であって、
前記製品(P)を塗布するためのアプリケータ(100)であって、
長手方向中心軸(X1)を有するシャンク(110)、および
前記シャンク(110)の遠位端(110a)に取り付けられているアプリケータチップ(120)
を備える、アプリケータ(100)と、
前記製品(P)を貯蔵するための容器(200)であって、
長手方向中心軸(X2)、
前記長手方向中心軸(X2)に直交する上部開口(210)、
前記上部開口(210)を定める管状周囲壁(220)、および
前記上部開口(210)と対面し、前記管状周囲壁(220)の下側端部を閉じる底部(230)を
備え、
前記管状周囲壁(220)および前記底部(230)が協働的に、前記製品(P)を貯蔵するためのスペース(V)を定める、容器(200)と
を備え、
前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が、
前記アプリケータチップ(120)が前記容器(200)の前記スペース(V)に位置し、前記アプリケータ(100)が前記容器(200)を密封するように、互いに結合することができ、
前記アプリケータ(100)が前記アプリケータチップ(120)を用いた前記製品(P)の塗布に使用できるように、互いから分離可能である
ように構成され、
前記容器(200)が、前記容器(200)の長手方向中心軸(X2)に向かって前記管状周囲壁(220)から内側に突出しているワイパー(240)をさらに備える、装置(10)。
【請求項2】
前記容器(200)が、プラスチックで作られ、前記ワイパー(240)が、一体成形によって前記容器(200)の前記管状周囲壁(220)に一体的に形成される、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記ワイパー(240)が、直径が前記容器(200)の前記底部(230)に向かって減少する仮想円錐台の側面を形成するように、前記容器(200)の前記長手方向中心軸(X2)を中心として円周方向に広がる、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記容器(200)が、前記管状周囲壁(220)を形成する管状部材(250)と、前記底部(230)を形成するプラグ部材(260)とを備え、前記プラグ部材(260)が、下側開口(252)を閉じるために、前記管状部材(250)の前記下側開口(252)に嵌め込まれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が、スナップ嵌めによって互いに結合できるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記シャンク(110)が、細長い本体(112)と、前記細長い本体(112)の遠位端(112a)に取り付けられたインサート(114)とを備え、前記アプリケータチップ(120)が、前記インサート(114)によって固定して保持される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記インサート(114)が、前記細長い本体(112)内に埋め込まれたベース部分(114a)と、前記細長い本体(112)から突出したノーズ部分(114b)とを備え、前記アプリケータチップ(120)が、前記ノーズ部分(114b)の遠位端から突出するように前記インサート(114)に取り付けられる、請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が、前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が互いに結合されるとき、前記アプリケータ(100)の前記シャンク(110)の前記インサート(114)が前記容器(200)に完全に収容されるように構成される、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記ワイパー(240)が、前記インサート(114)の前記ノーズ部分(114b)の前記遠位端が前記ワイパー(240)を通って進み、前記インサート(114)の前記ノーズ部分(114b)の前記遠位端が、全体的に前記ワイパー(240)と接触するように構成される、請求項7または8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記アプリケータ(100)の前記シャンク(110)が、前記シャンク(110)の前記長手方向中心軸(X1)に直交する円形断面を有し、前記容器(200)が、前記容器(200)の前記長手方向中心軸(X2)に直交する円形断面を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が互いに結合されるとき、前記容器(200)と接触する前記細長い本体(112)の遠位端の外径(D1)が、前記容器(200)の上部開口側端部の外径(D2)と実質的に同じである、請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記アプリケータ(100)の前記シャンク(110)の前記細長い本体(112)の外径が、それの近位端に向かって徐々に減少し、前記容器(200)の外径が、実質的に一定である、請求項10または11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記シャンク(110)の前記長手方向中心軸(X1)を中心として円周方向に広がる少なくとも1つの環状リブ(116)が、前記シャンク(110)の前記インサート(114)の外表面に形成され、前記容器(200)の前記長手方向中心軸(X2)を中心として円周方向に広がる少なくとも1つの環状溝(222)が、前記容器(200)の前記管状周囲壁(220)の内表面に形成され、前記アプリケータ(100)および前記容器(200)が互いに結合されるとき、前記シャンク(110)の前記環状リブ(116)が、前記容器(200)の前記環状溝(222)に嵌まる、請求項7から12のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記アプリケータチップ(120)が、圧縮化学繊維または圧縮天然繊維で構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記容器(200)に貯蔵される前記製品(P)が、流体化粧品である、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品、詳細には化粧品または化粧品製剤を貯蔵および塗布するための装置に関する。より詳細には、本発明は、装置に貯蔵された製品、詳細には化粧品または化粧品製剤を、所望の部位に、詳細には使用者自身の身体または別の人物の身体に、塗布するために使用者によって使用される装置に関する。
【0002】
本明細書において、「化粧品製剤」という用語は、化粧品製剤に関連する、2009年11月30日に発効された欧州理事会および議会規則1223/2009に規定されている製剤を意味すると、理解されるべきである。
【背景技術】
【0003】
アイライナーは、大まかに、粉末タイプ、ペンシルタイプ、リキッドタイプ、およびジェルタイプに分類される。それらの中で、光沢が良く発色が優れていること、使用者が太い線または細い線を自由に引くことができること、および小さい身体部分に使いやすいことなどの理由で、リキッドタイプのアイライナーが最も好適である。
【0004】
通常、ペンタイプのアプリケータが、リキッドアイライナーを塗布するのに使用される。そのようなアプリケータは一般に、細長いシャンクと、それの遠位端に取り付けられたアプリケータチップとを備える。細長いシャンクはその中にチャンバを有し、このチャンバはリキッドアイライナー(「アイライナーインク」とも呼ばれる)で満たされている。リキッドアイライナー輸送部材によって、チャンバ内の適切な量のリキッドアイライナーが、アプリケータチップに供給される。
【0005】
しかしながら、これらの既存のアプリケータは、大きい粒子または光輝性粒子を含んでいるリキッドアイライナーを扱うことができないという点で不都合がある。これは、大きい粒子または光輝性粒子は、リキッドアイライナー輸送部材によって輸送することができないからである。したがって、アプリケータチップが使用の前に容器に貯蔵されたリキッドアイライナーに浸され、それによって適切な量のリキッドアイライナーをアプリケータチップに付着させる、別のタイプのアプリケータ(装置)が提案されている。
【0006】
そのようなアプリケータで、上記の不都合は解消される。しかしながら、そのような浸漬タイプのアプリケータは今度は、リキッドアイライナーを貯蔵する容器を必要とするので、貯蔵および携行するのに不便であるという問題を有する。したがって、既存の細長いペンタイプのアプリケータのように貯蔵および携行しやすい、コンパクトな浸漬タイプのアプリケータ(装置)の需要がある。
【0007】
本発明にいくらか関連していると考えられる従来の技法が、たとえば、引用文献1、引用文献2、引用文献3、引用文献4、引用文献5、引用文献6および引用文献7に開示されている。引用文献1は、把持キャップと、アプリケータ要素とを備える、化粧品を塗布するためのアプリケータを開示している。引用文献2は、容器本体と、スクレーパーと、キャップと、ブラシロッドと、その上に取り付けられたアプリケータチップとを備える化粧品用の容器を開示している。引用文献3は、把持部分と、ロッドと、その上に取り付けられたアプリケータチップとを備える化粧ツールを開示している。引用文献4は、アイライナー機構を保持する密閉部分と、ボトル部分とを備える装置を開示している。引用文献5は、塗布部材と、塗布部材を支える支持体と、把持表面を定めるハンドルとを含む、アイライナーを塗布するためのアプリケータを開示している。引用文献6は、液体を含んでいる貯蔵器と、柔軟な、弾性的に変形可能なペンを備えたアプリケータとを含むアセンブリを開示している。引用文献7は、開放されたベース部およびネック付きで形成された上部を備えるエンベロープと、圧搾部材とを備えるアプリケータデバイスを開示している。しかしながら、従来技術に関係するこれらの物品は、上記の要求を十分に満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2020/043816号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2019/045224号パンフレット
【特許文献3】韓国特許出願公開第20-0488671号明細書
【特許文献4】米国特許第10278476号明細書
【特許文献5】米国特許第10499720号明細書
【特許文献6】米国特許第4974980号明細書
【特許文献7】米国特許第5054946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、本発明の目的は、従来技術の物品に関して上述した問題を克服または少なくとも軽減することができる、製品、詳細には、化粧品を貯蔵および塗布するための新規の装置を提供することである。詳細には、本発明の目的は、様々なタイプの製品に使用することができ、既存の細長いペンタイプのアプリケータのように貯蔵および携行しやすい、コンパクトな浸漬タイプの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的を達成するために、本発明は、製品を貯蔵および塗布するための装置であって、(i)長手方向中心軸を有するシャンク、およびシャンクの遠位端に取り付けられているアプリケータチップを備える、製品を塗布するためのアプリケータと、(ii)長手方向中心軸、この長手方向中心軸に直交する上部開口、上部開口を定める管状周囲壁、および上部開口と対面し、管状周囲壁の下側端部を閉じる底部を備える、製品を貯蔵するための容器とを備える、装置を提供する。管状周囲壁および底部は協働的に、製品を貯蔵するためのスペースを定める。アプリケータおよび容器は、(i)アプリケータチップが容器のスペースに位置し、アプリケータが容器を密封するように、互いに結合することができるようになり、かつ(ii)アプリケータがアプリケータチップを用いた製品の塗布に使用できるように、互いから分離することができるようになるように、構成される。本発明では、容器は、容器の長手方向中心軸に向かって管状周囲壁から内側に突出するワイパーをさらに備える。ワイパーは、アプリケータおよび容器が互いに結合されるとき、アプリケータチップがワイパーと同じレベルにまたはワイパーの下に位置するように、容器のスペースに配置されてもよい。
【0011】
本発明は、浸漬タイプのアプリケータのキャップを、塗布される製品を貯蔵するための容器として使用し、アプリケータチップに付着している余分な製品を除去するために容器内部にワイパーを組み込むという新規の概念に基づいている。すなわち、本発明によれば、浸漬タイプのアプリケータのキャップは、ワイパーがその中に組み込まれて、塗布される製品を貯蔵するための容器として機能するように転用される。したがって、本発明によれば、従来の浸漬タイプのアプリケータとは異なり、塗布される製品を貯蔵するために別個のかさばる容器が必要とされない。したがって、本発明による装置は、様々なタイプの製品に使用することができ、既存の細長いペンタイプのアプリケータのように貯蔵および携行しやすい。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、容器は、プラスチックで作られてもよく、ワイパーは、一体成形によって容器の管状周囲壁に一体的に形成されてもよい。これは、容器に特に単純な構造を与える。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、ワイパーは、直径が容器の底部に向かって減少する仮想円錐台の側面を形成するように、容器の長手方向中心軸を中心として円周方向に広がってもよい。これは、アプリケータチップをワイパーによりスムーズに挿入し、アプリケータチップまたはシャンクの遠位端に付着している余分な製品をより効率的に除去することを可能にする。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、容器は、管状周囲壁を形成する管状部材と、底部を形成するプラグ部材とを備えてもよく、プラグ部材は、下側開口を閉じるために、管状部材の底部開口に嵌め込まれてもよい。これは、最終段階で、すなわちアプリケータおよび容器が結合された後に、容器に製品を詰めることを可能にする。したがって、製品をその中に詰め込んだ容器を扱う必要がなく、結果として、製造作業が著しく簡略化され得る。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、アプリケータおよび容器は、スナップ嵌めによって互いに結合できるように構成されてもよい。これは、使用者がアプリケータおよび容器を結合するのを特に容易にする。当然、スナップ嵌めに加えて、たとえば締まり嵌めまたはねじ留めが、アプリケータおよび容器を結合するための手段として採用され得る。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、シャンクは、細長い本体と、細長い本体の遠位端に取り付けられたインサートとを備えてもよく、アプリケータチップは、インサートによって固定して保持されてもよい。この場合、インサートは、細長い本体内に埋め込まれたベース部分と、細長い本体から突出したノーズ部分とを備えてもよく、アプリケータチップは、ノーズ部分の遠位端から突出するようにインサートに取り付けられてもよい。さらに、この場合、インサートのノーズ部分は、好ましくはアプリケータチップに向かって徐々に細くなる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、アプリケータおよび容器は、アプリケータおよび容器が互いに結合されるとき、アプリケータのシャンクのインサートが容器に完全に収容されるように構成されてもよい。これは、装置全体の美しさを高めるのに役立つ。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、ワイパーは、インサートのノーズ部分の遠位端がワイパーを通って進み、インサートのノーズ部分の遠位端が全体的にワイパーと接触するように構成されてもよい。これはまた、アプリケータのインサートのノーズ部分に付着している余分な製品をより効率的に除去することを可能にする。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、アプリケータのシャンクは、シャンクの長手方向中心軸に直交する円形断面を有してもよく、容器もまた、容器の長手方向中心軸に直交する円形断面を有してもよい。当然、円形断面に加えて、アプリケータのシャンクと容器の両方が、他の断面、たとえば楕円断面または多角形断面を有してもよい。アプリケータのシャンクと容器の両方が円形断面を有する場合には、アプリケータおよび容器が互いに結合されるとき、容器と接触する細長い本体の遠位端の外径は、容器の上部開口側端部の外径と実質的に同じであってもよい。これに加えて、アプリケータのシャンクの細長い本体の外径は、それの近位端に向かって徐々に減少してもよく、容器の外径は、実質的に一定であってもよい。これは、アプリケータと容器との間の継ぎ目に段のない、滑らかで連続的な、すっきりした外観を実現することを可能にする。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、シャンクの長手方向中心軸を中心として円周方向に広がる少なくとも1つの環状リブが、アプリケータのシャンクのインサートの外表面に形成されてもよく、容器の長手方向中心軸を中心として円周方向に広がる少なくとも1つの環状溝が、容器の管状周囲壁の内表面に形成されてもよく、アプリケータおよび容器が互いに結合されるとき、シャンクの環状リブは、容器の環状溝に嵌まってもよい。これは、アプリケータと容器との間に特に単純で信頼性が高い結合機構を実現することを可能にする。上記のようにスナップ嵌めを使用する、アプリケータと容器との間の結合機構は、そのようなリブおよび溝結合機構によって実現され得る。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、アプリケータチップは、たとえば、ポリエステル繊維などの圧縮化学繊維、またはたとえば綿繊維などの圧縮天然繊維で構成されてもよい。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、容器に貯蔵される製品は、たとえばリキッドアイライナー(アイライナーインク)、リキッドアイブロウ製品、リキッドルージュ、およびリキッドコンシーラーなどの流体化粧品であってもよい。
ここで、本発明の非限定的で代表的な実施形態について、添付図面を参照して、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】その両方が装置の構成要素であるアプリケータおよび容器が、互いから分離されている、本発明の一実施形態による装置の外観斜視図である。
【
図2】アプリケータおよび容器が互いに組み合わせられている、
図1に示す装置の、それの長手方向中心軸に沿った長手方向断面図である。
【
図3】アプリケータおよび容器が互いから分離されている、
図1に示す装置の、それの長手方向中心軸に沿った長手方向断面図である。
【
図4】アプリケータおよび容器が互いに組み合わせられている、
図1から
図3に示す装置の一部の拡大された長手方向断面図である。
【
図5】
図1から
図3に示す装置の容器の一部が切り取られた斜視図である。
【
図6】アプリケータが容器から引き出されている、容器の一体化されたワイパーの動作を示す、
図1から
図3に示す装置の一部の拡大された長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明のいくつかの好ましい実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。各図では、各要素の幅、長さ、高さ、直径などの縮尺比率は一定ではない場合があり、実際のものとは異なる場合がある。いくつかの図では、いくつかの要素または特徴が、強調のために実際よりも大きくまたは小さく描かれていることに留意されたい。
【0025】
本明細書で使用する「上」、「下」、「上に」、「下に」、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」、「右」、「左」などの方向に関係する用語は、図中の装置の向きに関係して理解されるべきであり、その向きは使用時の実際の向きに一致するまたは一致しない場合がある。さらに、当業者には明らかであるように、本明細書では、「近位の」または「近位に」という用語は、製品を塗布するためのアプリケータチップと反対の位置を意味する。一方、「遠位の」または「遠位に」という用語は、アプリケータチップにより近い位置を意味する。代替的に、使用者が一般的な仕方でアプリケータを把持するとき、使用者の指先によって示される方向は「遠位」方向であり、反対の方向は「近位」方向である。
【0026】
本発明の以下の例示的な実施形態は、製品、詳細にはたとえばリキッドアイライナー(アイライナーインク)、リキッドアイブロウ製品、リキッドルージュ、およびリキッドコンシーラーなどの化粧品または化粧品製剤を貯蔵および塗布するための装置に関する。この装置は、装置自体に(より詳細には、装置の容器に)貯蔵された化粧品を、所望の部位に、詳細には使用者自身の身体または別の人物の身体に、塗布するために使用者によって使用されることになる。たとえば、化粧品がリキッドアイライナーである場合、装置は、使用者または別の人物の目の周りに、装置自体から供給されるリキッドアイライナーを塗布するために使用者によって使用されることになる。本発明の以下の例示的な実施形態は、比較的大きい粒子、光輝性粒子などを含む液体化粧品を貯蔵および塗布するのに特に適している。しかしながら、本発明は、化粧品以外の様々なタイプの製品を貯蔵および塗布するために使用することができる。
【0027】
図1は、装置の外観斜視図であり、本発明の好ましい一実施形態による、化粧品Pを貯蔵および塗布するための装置10を示している。装置10は、液体(流体)化粧品Pを塗布するためのアプリケータ100と、化粧品Pを貯蔵するための容器200とを備える。この実施形態では、容器200はまた、アプリケータ100のキャップとして機能する。アプリケータ100および容器200は、後で説明するアプリケータチップを除いて、ポリプロピレン(PP)などのプラスチックから製造される。
図1では、装置10は、容器(キャップ)200がアプリケータ100から取り除かれて示されているが、通常(すなわち、装置10が使用中ではないとき)、容器200は、それがアプリケータ100の遠位端に結合された状態である。
【0028】
図1に加えて、異なる状態の装置の長手方向断面図である
図2および
図3からわかるように、アプリケータ100は、装置の長手方向中心軸でもある長手方向中心軸X
1を有するシャンク110と、シャンク110の遠位端110aに取り付けられているアプリケータチップ120とを備える。アプリケータチップ120は、それの表面および内部に一定量の化粧品Pを保有することができるように構成される。アプリケータチップ120は、それの近位端から徐々に細くなる形状をしている。アプリケータチップ120は、ポリエステル繊維などの圧縮化学繊維で構成される。代替的に、アプリケータチップ120は、綿繊維などの圧縮天然繊維で構成されてもよい。アプリケータ100および容器200が互いに組み合わされている
図2に示す状態において、アプリケータチップ120は、容器200の底面近くに位置している。
【0029】
化粧品Pを貯蔵するための容器200は、長手方向中心軸X2と、長手方向中心軸X2に直交している上部開口210とを備える。アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、シャンク110の長手方向中心軸X1および容器200の長手方向中心軸X2は、互いに一致する。容器200は、上部開口210を定める管状周囲壁220と、上部開口210と対面する底部230とをさらに備える。底部230は、管状周囲壁220の下側端部を閉じる。管状周囲壁220および底部230は協働的に、化粧品Pをその中に貯蔵するためのスペースVを定める。別の好ましい実施形態では、容器200は、化粧品Pをかき混ぜ、それをアプリケータチップ120に付着させるための小球を含むことができる。
【0030】
以下で、アプリケータ100についてより詳細に説明する。装置のアプリケータの遠位側部分の拡大された長手方向断面図である
図4から最もよくわかるように、シャンク110は、細長い本体112と、細長い本体112の遠位端112aに取り付けられたインサート114とを備える。上述のように、細長い本体112とインサート114の両方が、ポリプロピレン(PP)などのプラスチックから製造される。アプリケータチップ120は、インサート114によって固定して保持される。より詳細には、インサート114は、細長い本体112内に埋め込まれたベース部分114aと、細長い本体112から突出したノーズ部分114bとを備える。アプリケータチップ120は、ノーズ部分114bの遠位端から突出するようにインサート114に取り付けられる。この実施形態では、アプリケータ100および容器200は、アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、アプリケータ100のシャンク110のインサート114が容器200に完全に収容されるように構成される。
【0031】
図4をさらに参照すると、シャンク110の長手方向中心軸X
1を中心として円周方向に広がる環状リブ116が、シャンク110のインサート114の外表面に形成される。さらに、容器200の長手方向中心軸X
2を中心として円周方向に広がる環状溝222が、容器200の管状周囲壁220の内表面に形成される。環状リブ116および環状溝222は、互いに相補的に形成される。したがって、アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、シャンク110の環状リブ116は、容器200の環状溝222に嵌まる(スナップ嵌めする)。この実施形態では、1つのリブ/溝のペアしかないが、別の実施形態では、複数のリブ/溝のペアがあってもよい。
【0032】
以下で、容器200についてより詳細に説明する。容器200は、管状周囲壁220を形成する管状部材250と、底部230を形成するプラグ部材260とを備える。上述のように、管状部材250とプラグ部材260の両方が、ポリプロピレン(PP)などのプラスチックから製造される。プラグ部材260は、下側開口252を閉じるように、管状部材250の下側開口252に嵌め込まれる。これには、締まり嵌めまたはねじ留めが採用され得る。代替的に、プラグ部材260を管状部材250の下側開口252に嵌め込むために接着剤接着を採用することも可能である。
【0033】
図2に示すように、アプリケータ100および容器200は、アプリケータチップ120が容器200のスペースVに位置し、アプリケータ100が容器200を密封するように、互いに結合することができるように構成される。この実施形態では、アプリケータ100および容器200は、スナップ嵌めによって互いに結合することができるように構成される(このための機構について、以下で詳細に説明する)。さらに、
図3に示すように、アプリケータ100および容器200は、アプリケータ100がアプリケータチップ120を用いた化粧品Pの塗布に使用できるように、互いから分離可能に構成される。
【0034】
この実施形態では、アプリケータ100のシャンク110は、シャンク110の長手方向中心軸X
1に直交する円形断面を有する。同様に、容器200は、容器200の長手方向中心軸X
2に直交する円形断面を有する。
図4から最もよくわかるように、アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、容器200と接触する細長い本体112の遠位端の外径D
1は、容器200の上部開口側端部の外径D
2と同じである。さらに、この実施形態では、アプリケータ100のシャンク110の細長い本体112の外径は、それの近位端に向かって徐々に減少する。一方、容器200の外径は一定である。結果として、アプリケータ100と容器200との間の継ぎ目に段のない、滑らかで連続的な、すっきりした外観が実現される。当然、アプリケータ100のシャンク110および容器200は、それらが人間工学的に適している限り、どんな断面形状を有してもよい。
【0035】
図2および
図3を参照すると、この例示的な実施形態では、容器200は、アプリケータチップ120またはシャンク110の遠位端、すなわちアプリケータの細長い本体112に取り付けられたインサート114のノーズ部分114bに付着している余分な製品を除去するためのワイパー240をさらに備える。装置の容器の一部が切り取られた斜視図である
図5から最もよくわかるように、ワイパー240は、容器200の長手方向中心軸X
2に向かって管状周囲壁220から内側に突出している。この実施形態では、ワイパー240は、一体成形によって容器200の管状周囲壁220に一体的に形成される。当然、ワイパー240は、容器200の本体とは別個の部材とすることができるが、これは部品の数および製造工程の数を増やすので、ワイパー240は容器200の本体に一体的に設けられることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、ワイパー240は、アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、アプリケータチップ120がワイパー240を通過した後に、アプリケータチップ120がワイパー240の下に位置するように、容器200のスペースVに配置される。より詳細には、ワイパー240は、直径が容器200の底部230に向かって減少する仮想円錐台Cの側面を形成するように、容器200の長手方向中心軸X
2を中心として円周方向に広がる。この構成は、アプリケータチップ120をワイパー240に滑らかに挿入することを可能にする。この実施形態では、ワイパー240は、インサート114のノーズ部分114bの遠位端がワイパー240を通って進むとき、ノーズ部分114bの遠位端が、全体的にワイパー240と接触するようにさらに構成される。結果として、ワイパー240の動作を示す
図6からわかるように、アプリケータチップ120またはシャンク110のインサート114のノーズ部分114bに付着している余分な製品は、効率的に除去され得る。容器200の管状周囲壁220に対するワイパー240の角度、すなわち
図4の角度θは、特に限定されないが、いくつかの実施形態では、角度θは、たとえば30°~60°の範囲である。別の好ましい実施形態では、ワイパー240は、アプリケータ100および容器200が互いに結合されるとき、アプリケータチップ120がワイパー240と同じレベルに位置するように、容器200のスペースVに配置されてもよい。
【0037】
上述のように、本実施形態では、浸漬タイプのアプリケータのキャップが、アプリケータチップに付着している余分な化粧品を除去するために容器の内部にワイパーが組み込まれて、塗布される化粧品を貯蔵するための容器として機能するように使用または転用される。したがって、従来の浸漬タイプの物品とは異なり、上記の装置は、塗布される化粧品を貯蔵するための別個のかさばる容器を必要としない。したがって、装置は、既存の細長いペンタイプのアプリケータのように貯蔵および携行しやすいと同時に、様々なタイプの化粧品、詳細には、大きいまたは光輝性の粒子を含む場合があるリキッドアイライナーに使用することができる。これに加えて、上記で説明したように構成された結果として、本実施形態による装置は、アプリケータと容器との間の継ぎ目に段のない、滑らかで連続的な、すっきりした外観を有する。
【0038】
使い捨てタイプの装置について
図1から
図6を参照して説明したが、必要に応じて(アイライナーリキッドなどの)液体化粧品製剤を補充できるように装置を構成することも考えられる。この場合、たとえば、容器の底部を閉じるプラグは、容器の本体から取外し可能であるように構成される必要があるであろう。当然、そのような実施形態もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0039】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して、前段で説明した。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に様々な修正および変更が施されてもよく、そのような修正および変更は本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10 装置
100 アプリケータ
110 シャンク
112 細長い本体
114 インサート
114a ベース部分
114b ノーズ部分
116 環状リブ
120 アプリケータチップ
200 容器
210 上部開口
220 管状周囲壁
222 環状溝
230 底部
240 ワイパー
250 管状部材
252 下側開口
260 プラグ部材
【外国語明細書】