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特開2022-152456工程編成装置、工程編成方法、およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152456
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】工程編成装置、工程編成方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20221004BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20221004BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055236
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】久保田 文子
(72)【発明者】
【氏名】桑野 義正
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英一
(72)【発明者】
【氏名】楯谷 洋介
(72)【発明者】
【氏名】桜井 豪人
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄一
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA12
3C100AA16
3C100AA18
3C100AA43
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB14
3C100BB17
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】必達制約の充足を保障した上で、なるべく多くの考慮制約を充足した生産性の高い工程群を編成する。
【解決手段】工程編成装置は、複数の要素作業に関する作業情報を取得する作業情報取得部と、作業情報から、工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を取得する初期作業順群取得部と、作業情報と初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において充足することが好ましい考慮制約の評価値が高くなるように、複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程編成装置であって、
複数の要素作業に関する作業情報を取得する作業情報取得部と、
前記作業情報から、工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を取得する初期作業順群取得部と、
前記作業情報と前記初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において充足することが好ましい考慮制約の評価値が高くなるように、前記複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成部と、
を備える、工程編成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の工程編成装置であって、
前記工程編成部は、1つの前記要素作業を工程に配分する場合に、
前記複数の要素作業から、前記必達制約を充足する前記要素作業を判定し、
前記必達制約を充足すると判定された前記要素作業を工程に配分した場合に、前記考慮制約の充足の有無に応じた評価値を算出し、
算出された前記考慮制約の評価値と、前記初期作業配分順群と、前記作業情報が含まれるタクトタイムとを用いて、前記必達制約を充足すると判定された1つの前記要素作業を工程に配分する、工程編成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の工程編成装置であって、
前記工程編成部は、
前記考慮制約として、編成後の工程群に配分された前記要素作業を行う作業者の移動経路に関する制約を評価するものであり、
前記移動経路に関する制約の評価において、前記要素作業が行われる作業位置と、前記作業者の理想の移動経路との距離を用いる、工程編成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の工程編成装置であって、さらに、
前記工程編成部により編成された1以上の工程群を出力する出力部を備える、工程編成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の工程編成装置であって、
前記出力部は、前記工程編成部により編成された2以上の工程群のうち、工程数と前記考慮制約の充足率とを用いてより適正な1以上の工程群を、他の工程群と異なる態様で出力する、工程編成装置。
【請求項6】
工程編成方法であって、
複数の要素作業に関する作業情報を取得する作業情報取得工程と、
前記作業情報から、工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を取得する初期作業順群取得工程と、
前記作業情報と前記初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において充足することが好ましい考慮制約の評価値が高くなるように、前記複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成工程と、
を備える、工程編成方法。
【請求項7】
コンピュータに、工程編成を実現させるコンピュータプログラムであって、
複数の要素作業に関する作業情報を取得する作業情報取得機能と、
前記作業情報から、工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を取得する初期作業順群取得機能と、
前記作業情報と前記初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において充足することが好ましい考慮制約の評価値が高くなるように、前記複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成機能と、
を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程編成装置、工程編成方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を生産するための複数の要素作業を複数の工程に自動的に配分する技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載された作業編成装置は、生産ラインに精通している作業者および作業管理者のノウハウやルールをアルゴリズムとして用いることにより、自動的に工程を編成している。特許文献2に記載された工程編成方法は、遺伝的アルゴリズムを用いることにより、工程編成時の制約を充足する工程を編成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-2594号公報
【特許文献2】特開2000-40106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品の構造および工程編成時の制約は多種多様に変化し、この変化の傾向は、今後より強くなる。そのため、特許文献1に記載された作業編成装置では、起こりうる制約等の条件の全てに対処できないおそれがある。また、特許文献2に記載された遺伝的アルゴリズムを用いた方法では、充足すべき制約が多くなると、制約を充足しない致死遺伝子が発生しやすくなり、制約を充足する工程編成が難しくなる。すなわち、特許文献1,2に記載された技術では、編成後の工程において必ず充足すべき必達制約の充足を保障せず、必達制約が成立する工程を編成できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、必達制約の充足を保障した上で、なるべく多くの考慮制約を充足した生産性の高い工程群を編成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、工程編成装置が提供される。この工程編成装置は、複数の要素作業に関する作業情報を取得する作業情報取得部と、前記作業情報から、工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を取得する初期作業順群取得部と、前記作業情報と前記初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において充足することが好ましい考慮制約の評価値が高くなるように、前記複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、生産可否を決定する必ず満たすべき必達制約と、生産性向上等のための考慮制約とが分離され、必達制約が必ず充足している工程群が編成される。これにより、本構成の工程編成装置は、必達制約の充足を保障した上で、なるべく多くの考慮制約を充足した生産性の高い工程群を編成できる。この結果、工程編成装置は、制約充足率の高い工程編成、すなわち製品構造を考慮した生産性が高くて品質を確保する工程群を自動生成でき、工程編成者の負荷を軽減する。また、本構成を用いることにより、物流等の他の要因に応じて、複数の工程群から最適な工程群を選択でき、生産コストの抑制、製品品質の向上、および作業者の負荷低減につながる。
【0009】
(2)上記態様の工程編成装置において、前記工程編成部は、1つの前記要素作業を工程に配分する場合に、前記複数の要素作業から、前記必達制約を充足する前記要素作業を判定し、前記必達制約を充足すると判定された前記要素作業を工程に配分した場合に、前記考慮制約の充足の有無に応じた評価値を算出し、算出された前記考慮制約の評価値と、前記初期作業配分順群と、前記作業情報が含まれるタクトタイムとを用いて、前記必達制約を充足すると判定された1つの前記要素作業を工程に配分してもよい。
この構成によれば、複数の要素作業のうち、工程に配分可能な要素作業が抽出された後、抽出された要素作業の工程配分時の考慮制約の評価値が算出される。算出された考慮制約の評価値を用いて配分される要素作業が決定し、タクトタイムを用いて要素作業が配分される工程が決定される。本構成の工程編成装置は、以上のような処理を段階的に行うことにより、必達制約を充足した上で、考慮制約の評価値を向上させた工程群を編成できる。
【0010】
(3)上記態様の工程編成装置において、前記工程編成部は、前記考慮制約として、編成後の工程群に配分された前記要素作業を行う作業者の移動経路に関する制約を評価するものであり、前記移動経路に関する制約の評価において、前記要素作業が行われる作業位置と、前記作業者の理想の移動経路との距離を用いてもよい。
本構成によれば、考慮制約は、作業者が作業する作業位置に関する評価値を含んでいるため、要素作業が配分される各工程が行われる位置と要素作業との関係を最適化できる。
【0011】
(4)上記態様の工程編成装置において、さらに、前記工程編成部により編成された1以上の工程群を出力する出力部を備えてもよい。
この構成によれば、工程編成者は、本構成の工程編成装置により作成された工程群を画像として確認できる。
【0012】
(5)上記態様の工程編成装置において、前記出力部は、前記工程編成部により編成された2以上の工程群のうち、工程数と前記考慮制約の充足率とを用いてより適正な1以上の工程群を、他の工程群と異なる態様で出力してもよい。
この構成によれば、複数の工程群から1以上のより適正な工程群が他の工程群と異なる態様で出力されることにより、工程編成者は、より好ましい工程群を認識しやすくなる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、工程編成装置、作業配分装置、工程編成システム、およびこれらを備える装置およびシステム、および工程編成方法、作業配分方法、およびこれらシステムや方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態としての工程編成装置の概略ブロック図である。
図2】要素作業と属性情報との説明図である。
図3】要素作業と先行情報との説明図である。
図4】制約情報の説明図である。
図5】作業者移動の制約についての説明図である。
図6】作業者移動の制約についての説明図である。
図7】作業者移動の制約についての説明図である。
図8】作業者移動の制約についての説明図である。
図9】作業者移動の制約についての説明図である。
図10】作業配分順序の説明図である。
図11】必達制約充足判定の説明図である。
図12】考慮制約充足評価の説明図である。
図13】考慮制約充足評価の説明図である。
図14】要素作業配分についての説明図である。
図15】作業1の配分後の工程編成についての説明図である。
図16】作業1の配分後の工程編成についての説明図である。
図17】作業1および作業5の配分後の工程編成の説明図である。
図18】作業1および作業5の配分後の工程編成の説明図である。
図19】i=11の場合の要素作業配分の説明図である。
図20】モニタに表示される工程群の説明図である。
図21】モニタに表示される工程群の説明図である。
図22】モニタに表示される工程群の説明図である。
図23】本実施形態における工程編成方法のフローチャートである。
図24】変形例における必達制約充足判定の説明図である。
図25】変形例における必達制約充足判定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態としての工程編成装置100の概略ブロック図である。本実施形態の工程編成装置100は、複数の要素作業を複数の工程に編成する際に、編成された工程群が必ず充足すべき必達制約を充足し、かつ、編成された工程群が充足することが好ましい考慮制約の評価値を高くする。工程編成装置100は、必達制約の判定と、考慮制約の評価とを別々に行うことにより、必達制約の充足を保障した上で考慮制約をなるべく充足した工程群を編成できる。
【0016】
図1に示されるように、工程編成装置100は、ユーザである工程編成者の各種操作を受け付ける入力部40と、各種画像を表示するモニタ(出力部)30と、通信ケーブル介して制御信号および各種データを送受信する通信部60と、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、各種情報を記憶する記憶部50と、を備えている。
【0017】
本実施形態の入力部40は、キーボードと、マウスと、音声入力を受け付けるマイクとにより構成されている。記憶部50は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。記憶部50は、作業情報を記憶する作業情報データベース(作業情報DB)51と、後述する工程編成部13により編成された工程群の結果を記憶する工程編成データベース(工程編成DB)52と、を備えている。作業情報DB51は、製品を生産するための複数の要素作業についての情報と、各要素作業に対応付けられている属性情報と、工程編成部13により編成された工程群において充足すべき必達制約および充足することが好ましい考慮制約を含む制約情報と、を記憶している。なお、複数の要素作業と、各要素作業に対応付けられている属性情報とは、作業情報に相当する。
【0018】
図2は、要素作業と属性情報との説明図である。図2には、ある製品を生産するための複数の要素作業のそれぞれに対応付けられている属性情報が一覧表で示されている。図2に示されるように、要素作業は、作業ID「1」~「11」のそれぞれで識別される作業そのものを意味する。また、属性情報は、各要素作業についての詳細な情報を意味する。図示の例では、属性情報は、各要素作業が完了するために必要な作業時間(s)と、各要素作業が作業者により行われる場合の作業位置x,yと、各要素作業が行われるために用いられる工具と、が示されている。なお、作業位置x,yは、作業が行われる場所の平面をxy平面とした場合の座標位置である。本実施形態では、説明を簡単にするため、全ての要素作業における座標位置yの値をゼロとした。例えば、作業ID「1」により識別される要素作業「作業1」であれば、当該要素作業を完了するために14(s)を要し、作業位置xが1500(mm)であり、作業に工具Aが使用される。例えば、作業ID「5」により識別される要素作業「作業5」であれば、当該要素作業を完了するために12(s)を要し、作業位置xが1000(mm)であり、作業を行うのに特別な工具が使用されない。
【0019】
図3は、要素作業と先行情報との説明図である。図3には、各要素作業に対して関連付けられた先行作業が一覧表で示されている。先行作業とは、要素作業が行われる前に先行して行われる必要のある作業を意味する。先行作業の欄には、先行して行われる必要のある要素作業の作業IDが格納されている。例えば、作業IDが「1」である作業1は、先行作業を有していないため、最初に行われてもよい要素作業である。一方で、作業IDが「6」である作業6が行われるためには、先行して作業IDが「3」,「4」である作業3および作業4の要素作業が行われている必要がある。先行作業の前後に当たる要素作業としては、例えば、「カバーを取り付ける」という要素作業の前に、「部品を取り付ける」という要素作業が先行して行われる等である。
【0020】
図4は、制約情報の説明図である。図4には、複数の制約に対して付された制約IDと、制約の名称と、制約の内容と、各制約が必ず充足すべき必達制約または充足することが好ましい考慮制約の種別とが一覧表で示されている。図4に示されるように、制約IDが「1」である作業順の制約は、編成後の工程群が図3に示される各要素作業間の作業順先行情報に従うことであり、必達制約である。制約IDが「2」である同一工程の制約は、図2に示される使用工具に基づいて評価され、各要素作業間で同一の工程に編成されることが望ましい制約であり、考慮制約である。制約IDが「3」である作業者移動の制約は、工程内で複数の要素作業を行う作業者が工程内での作業者の移動に戻りが生じない制約であり、考慮制約である。
【0021】
図5から図9までの各図は、作業者移動の制約についての説明図である。図5から図7までの各図には、一工程において異なる要素作業を行う同一の作業者WKの作業位置xが示されている。図5に示される状態では、作業者WKが、作業位置xが1500(mm)の場所で作業対象OBに対して作業を行っている。図6に示される状態では、作業者WKが、図5に示される作業を行った後に、作業位置xが500(mm)の場所で作業対象OBに対して作業を行っている。図7に示される状態では、作業者WKが、図6に示される要素作業を行った後に、作業位置xが1000(mm)の場所で要素作業を行っている。図5から図7に示される状態では、図6に示される要素作業から図7に示される要素作業を行った作業者WKの移動方向は、図5に示される要素作業から図6に示される要素作業を行った際の移動方向と逆方向である。すなわち、この場合では、図6から図7に示される工程内で作業者WKの移動に戻りが生じている。
【0022】
図8および図9には、作業者WKの理想の移動経路の一例が示されている。図8および図9では、横軸に工程内での作用経過時間(s)を取った場合の作業者WKの作業位置xの時間変化がグラフで示されている。図8に示される理想の移動経路では、作業者WKは、工程内の作業で、戻ることなく作業位置xが1500(mm)から500(mm)へと移動している。図9に示される理想の移動経路では、作業者WKは、工程内の作業で、移動せずに作業位置xが1500(mm)の一定の位置で作業している。本実施形態では、後述する工程編成部13が、考慮制約として、編成後の工程群に配分された要素作業を行う作業者WKの移動経路に関する制約を評価する。具体的には、工程編成部13は、移動経路に関する制約の評価において、要素作業が行われる作業位置と、作業者WKの理想の移動経路と、の間の距離を用いる。
【0023】
図1に示されるCPU10は、ROM21に格納されているコンピュータプログラムをRAM22に展開する。これにより、CPU10は、記憶部50からの各種情報および入力部を介した入力情報を取得する取得部(作業情報取得部)11と、作業情報から工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を生成する初期作業順生成部(初期作業順群取得部)12と、複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する工程編成部13と、編成された工程群をモニタ30に画像として出力する工程群出力部(出力部)14として機能する。
【0024】
本実施形態の初期作業順生成部12は、図2に示される11個の要素作業を用いて、11個の要素作業の初期作業配分順群を、乱数系列を用いて生成する。図10は、作業配分順序の説明図である。図10には、初期作業順生成部12により生成された複数の作業配分順序を含む初期作業配分順群の一覧表が示されている。例えば、作業順IDが「1」である作業配分順序では、1番目が作業8で、2番目が作業5と続き、11番目が作業7である。なお、初期作業配分順群を用いた工程群の編成については後述する。
【0025】
工程編成部13は、取得部11により取得された作業情報と初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において考慮制約の評価値が高くなるように、複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する。工程編成部13は、各要素作業を複数の工程に配分するために、必達制約の充足を判定する必達制約充足判定と、考慮制約の充足を評価する考慮制約充足評価と、各要素作業を複数の工程に配分する要素作業配分とを順番に実行する。
【0026】
図11は、必達制約充足判定の説明図である。必達制約充足判定では、複数の要素作業から必達制約を充足する要素作業が判定される。本実施形態の工程編成部13は、必達制約充足判定において、作業配分順序の順番に従い、工程に配分されていない未配分作業の中に、作業i(i=1~未配分作業数)の先行作業がなければ配分可能と判定する。例えば、工程編成部13は、11の作業を図10に示される作業配分順序にしたがって作業8から順番に、図11に示されるように、各作業を時計回りに配置する。また、工程編成部13は、各作業の位置に作業位置xの数値に対応する形状をプロットする。図11では、5角形が1500(mm)を表し、4角形が1000(mm)を表し、三角形が500(mm)を表している。なお、未配分作業とは、まだ工程に配分されていない作業である。
【0027】
工程編成部13は、図3に示される作業順先行情報を用いて、要素作業間に先行の関係がある場合に、図11に示される矢印ARにより当該関係を対応付ける。例えば、図3に示されるように、作業6は作業1,2の後に行われる必要があるため、工程編成部13は、作業1から作業6に向かう矢印ARと、作業2から作業6へと向かう矢印ARとを作成して対応付ける。工程編成部13は、先行する作業がない作業(矢尻が向けられていない作業)である丸で囲まれた作業1~4を、工程に配分可能な作業として抽出する。工程編成部13は、抽出された作業1~4のうち、作業順先行情報に従い、作業8から順番に時計回りで最も近い作業1を1番目に工程に配分する。本実施形態では、タクトタイムが60(s)に設定されている。そのため、工程編成部13は、図2に示される各要素作業の作業時間の合計である159(s)を60(s)で除した2.67よりも大きい整数である3つの工程に各要素作業を配分する。
【0028】
工程編成部13は、必達制約充足判定によって判定された要素作業を工程に配分する際に、要素作業毎に考慮制約の充足の有無に応じた評価値を算出する考慮制約充足評価を行う。工程編成部13は、下記式(1)を用いて、作業iの評価値合計Fiを算出する。
【数1】
m:考慮制約の数(本実施形態では、m=2)
i1:同一工程評価値(図4
i2:作業者移動の評価値(経路評価値、図4
同一工程評価値fi1は、作業iが他の作業に対して同一工程制約が課されている作業である。本実施形態では、作業iが配分された工程に作業iと同一工程にすべき他の作業が既に配分されている同一工程評価値fi1は1であり、他の作業が同一工程に配分されていない同一工程評価値fi1はゼロである。
【0029】
経路評価値fi2は、要素作業が行われる作業者WKの作業位置と、作業者WKの理想の移動経路と、の間の距離を用いて、下記関係式(2),(3)のように表される。
【数2】
【数3】
(xi,yi):作業iの作業位置
t:タクトタイム(本実施形態では、t=60)
(xgood_t,ygood_t):作業経過時刻tにおける作業者の理想位置
distti:作業経過時刻tにおける作業位置と理想位置との距離
eps:距離閾値(本実施形態では、0.01)
【0030】
工程編成部13は、上記関係式(1)~(3)を用いることにより、i=1の場合の評価値(評価値合計)Fiを算出する。図12および図13は、考慮制約充足評価の説明図である。図12には、i=1の場合に各要素作業が1番目の工程に編成された場合における同一工程評価値fi1と、経路評価値fi2と、評価値合計Fiとが示されている。なお、図12では、必達制約を満たさずに抽出されていない作業の評価値合計Fiも示されている。
【0031】
図12に示されるように、まだいずれの作業も工程に配分されていないため、全ての作業における同一工程評価値fi1は、ゼロである。本実施形態では、図8に示される理想経路を採用しているため、経過時間がゼロ(=t)の場合の理想経路の作業位置xは1500(mm)である。この場合に、工程編成部13は、上記関係式(2),(3)を用いて、作業位置xが1500(mm)である作業の経路評価値fi2を100として算出する。同様に、工程編成部13は、作業位置xが1000(mm)である作業の経路評価値fi2を2として算出し、作業位置xが500(mm)である作業の経路評価値fi2を1として算出する。図13には、図11に合わせて各作業の評価値合計Fiの数値が四角に囲まれて示されている。
【0032】
図14は、要素作業配分についての説明図である。工程編成部13は、必達制約充足判定および考慮制約充足評価と、作業配分順序と、タクトタイムとを用いて、作業を工程1から順番に配分する要素作業工程配分を行う。図14に示されるように、必達制約を充足する作業は、作業1,作業2,作業3,および作業4である。必達制約を充足する作業1~作業4の中で評価値合計Fiが最も高い作業は、作業1および作業2である。工程編成部13は、作業配分順序に従って先に出現する作業1を工程1に配分する。このように同じ評価値合計Fiがある場合には、工程編成部13は、作業配分順序に従う。工程編成部13は、作業を順番に工程1から配分し、タクトタイムを超えるタイミングで、工程1の次の工程2へと作業を配分する。
【0033】
図15および図16は、作業1の配分後の工程編成についての説明図である。図15には、i=2の場合に作業1が工程1に配分された後における同一工程評価値fi1と、経路評価値fi2と、評価値合計Fiとが示されている。また、図15には、i=1の場合に作業1に必要な時間14(s)が経過した後の理想経路の作業位置xである1188(mm)が示されている。工程編成部13は、i=1の場合と同様に、上記関係式(2),(3)を用いて、同一工程評価値fi1および経路評価値fi2を算出する。工程1に作業1が既に配分されているため、作業1で使用される工具Aと同じ工具を使用する作業2~作業4の同一工程評価値fi1は1である。一方で、工具Aを使用しない作業5~作業11の同一工程評価値fi1はゼロである。
【0034】
図16には、i=2の場合の要素作業配分が示されている。図16に示されるように、必達制約を充足する作業は、作業2~作業5である。必達制約を充足する作業2~作業5の中で評価値合計Fiが最も高い作業は、図15に示されるように、作業5である。そのため、図16に示されるように、工程編成部13は、作業5を工程1に配分する。
【0035】
図17および図18は、作業1および作業5の配分後の工程編成の説明図である。図17には、i=3の場合に作業1および作業5が工程1に配分された後における同一工程評価値fi1と、経路評価値fi2と、評価値合計Fiと、理想経路の作業位置xである909(mm)と、が示されている。工程編成部13は、i=1,2の場合と同様に、上記関係式(2),(3)を用いて、同一工程評価値fi1および経路評価値fi2を算出する。
【0036】
図18には、i=3の場合の要素作業配分の処理が示されている。図18に示されるように、必達制約を充足する作業は、作業2~作業4である。必達制約を充足する作業2~作業4の中で評価値合計Fiが最も高い作業は、図17に示されるように、作業3である。そのため、図18に示されるように、工程編成部13は、作業5を工程1に配分する。なお、図17に示されるように、作業8~作業11の評価値合計Fiは、15.0であり、作業3の評価値合計Fiよりも高いが、作業8~作業11は、必達制約を充足しないため、まだ工程には配分されない。
【0037】
図19は、i=11の場合の要素作業配分の説明図である。図19には、i=1~10の場合の作業1~10のそれぞれが工程1~3に配分された後に、最後の作業11の要素作業配分が示されている。工程編成部13は、必達制約充足判定と、考慮制約充足評価と、要素作業配分とを、i=1から順番にiの数字を大きくして行うことにより、図19に示されるように、全ての要素作業を工程1~3に配分した1つの工程群を作成する。工程編成部13は、1つの初期作業配分順に対応して作成した1つの工程群を記憶部50の工程編成DB52に保存する。工程編成部13は、初期作業配分順群に含まれる初期作業配分順に対応して工程群を作成する。
【0038】
図20から図22までの各図は、モニタ30に表示される工程群の説明図である。工程群出力部14は、工程編成部13により作成された1以上の工程群を画像としてモニタ30に出力する。図20には、モニタ30に表示される各工程群における作業順および配分工程の画像が示されている。図20における作業順は、工程群において複数の作業1~11が行われる順番を表している。配分工程は、各作業が工程1~3のいずれの工程に配分されているかを表している。なお、図20の画像では、作成された工程群に対して編成IDが1から順番に割り当てられている。図20では、工程群2の作業順の一部および配分工程の数字が省略した「-」で表示されている。
【0039】
図21には、モニタ30に表示される各工程群における各制約の充足率の画像が示されている。図21には、各工程群の工程数と、必達制約である作業順制約の充足率と、考慮制約である同一工程制約および作業者移動の制約とが示されている。図21に示される3つの工程群の工程数は3であったが、工程に配分される作業によっては工程数が3よりも多くなる場合がある。図21に示される3つの工程は、必達制約を必ず充足しているため、いずれも作業順制約の充足率が100%である。同一工程制約の充足率は、同一工程に含まれる作業の割合を表している。具体的には、75%の充足率は、同一工程に配分されることが好ましかった25%の作業が別の工程に配分されていることを表している。作業者移動は、工程内の平均移動距離を示している。そのため、作業者移動の数値が少ないほど、作業者WKの移動距離が短い移動経路で作業を行っていることを表す。
【0040】
図22には、モニタ30に表示される1つの工程群における工程作業時間を表すグラフと、各工程における作業者WKの移動経路と、を表す画像が示されている。図22に示されるように、各工程群における画像は、重畳したウィンドウでモニタ30に表示されているため、工程編成者は、入力部40のマウス等を操作することにより、所望の工程群の画像を確認できる。
【0041】
図23は、本実施形態における工程編成方法のフローチャートである。図23に示されるように、工程編成フローでは、初めに、取得部11が作業情報DB51から作業情報および制約情報を取得する(ステップS1)。次に、初期作業順生成部12が、取得された作業情報を用いて初期作業配分順群を生成する(ステップS2)。なお、ステップS1の処理は、作業情報取得工程に相当する。ステップS2の処理は、初期作業配分順群取得工程に相当する。
【0042】
工程編成部13は、複数の作業配分順序を含む初期作業配分順群(図10)から、1つの作業配分順序を選択する(ステップS3)。工程編成部13は、取得された作業情報と、選択された作業配分順序とを用いて必達制約充足判定を行う(ステップS4)。工程編成部13は、図11に示されるように、i番目の作業において工程に配分できる作業を抽出する。
【0043】
工程編成部13は、i番目の作業として抽出された1以上の作業に対して考慮制約充足評価を行う(ステップS5)。工程編成部13は、例えば図12,15,17に示されるように、抽出された作業が工程に配分された場合の評価値合計Fiを算出する。工程編成部13は、必達制約充足判定と考慮制約充足評価とに基づいて、例えば図14,16,18に示されるように、作業iを工程に配分する要素作業配分を行う(ステップS6)。なお、ステップS4~ステップS6の処理は、工程編成工程に相当する。
【0044】
工程編成部13は、選択した作業配分順序における全ての要素作業の工程配分を終了したか否かを判定する(ステップS7)。工程編成部13は、まだ工程配分を行っていない要素作業が残っていると判定した場合には(ステップS7:NO)、ステップS4以降の処理を繰り返す。工程編成部13は、全ての要素作業の工程配分を終了したと判定した場合には(ステップS7:YES)、初期作業配分順群に含まれる全ての作業配分順序に対応する工程群の編成を終了したか否かを判定する(ステップS8)。工程編成部13は、初期作業配分順群に工程編成が終了していない作業配分順序が残っていると判定した場合には(ステップS8:NO)、工程編成をしていない作業配分順序を選択し(ステップS3)、ステップS4以降の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS9の処理において、工程編成部13が、初期作業配分順群に工程編成を終了していない作業配分順序がないと判定した場合には(ステップS8:YES)、工程群出力部14は、工程編成部13により編成された工程群を図20~22に示される画像をモニタ30へと出力し(ステップS9)、工程編成フローが終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の工程編成装置100では、初期作業順生成部12は、取得部11により取得された作業情報から工程編成時の作業配分順序の初期値となる初期作業配分順群を生成する。また、工程編成部13は、取得部11により取得された作業情報と初期作業配分順群とを用いて、編成後の工程群において必達制約を充足し、かつ、編成後の工程群において考慮制約の評価値が高くなるように、複数の要素作業のそれぞれを工程群に編成する。そのため、本実施形態の工程編成装置100は、生産可否を決定する必ず満たすべき必達制約と、生産性向上等のための考慮制約とを分離し、必達制約を必ず充足させた上で工程群を編成する。これにより、工程編成装置100は、必達制約の充足を保障した上で、なるべく多くの考慮制約を充足した生産性の高い工程群を編成できる。この結果、工程編成装置100は、制約充足率の高い工程編成、すなわち製品構造を考慮した生産性が高くて品質を確保する工程群を自動生成でき、工程編成者の負荷を軽減する。また、工程編成装置100を用いることにより、物流等の他の要因に応じて、複数の工程群から最適な工程群を選択でき、生産コストの抑制、製品品質の向上、および作業者WKの負荷低減につながる。
【0047】
また、本実施形態の工程編成部13は、複数の要素作業から必達制約を充足する要素作業を判定する必達制約充足判定を行う。工程編成部13は、必達制約充足判定によって判定された要素作業を工程に配分する際に、要素作業毎に考慮制約の充足の有無に応じた評価値を算出する考慮制約充足評価を行う。工程編成部13は、考慮制約充足評価と、作業配分順序と、タクトタイムとを用いて、作業を配分する要素作業工程配分を行う。すなわち、本実施形態では、複数の要素作業のうち、工程に配分可能な要素作業が抽出された後、抽出された要素作業の工程配分時の考慮制約の評価値が算出される。算出された考慮制約の評価値を用いて配分される1つの要素作業が決定し、タクトタイムを用いて要素作業が配分される工程が決定される。工程編成部13は、以上のような処理を段階的に行うことにより、必達制約を充足した上で、考慮制約の評価値を向上させた工程群を編成できる。
【0048】
また、本実施形態の工程編成部13は、考慮制約として、編成後の工程群に配分された要素作業を行う作業者WKの移動経路に関する制約を評価する。工程編成部13は、移動経路に関する制約の評価において、要素作業が行われる作業位置と、作業者WKの理想の移動経路との距離を用いる。本実施形態の考慮制約は、作業者WKが作業する作業位置x,yに関する評価を含んでいるため、要素作業と、要素作業が配分される各工程が行われる位置との関係を最適化できる。
【0049】
また、本実施形態の工程群出力部14は、工程編成部13により作成された1以上の工程群を、図20から図22までの各図に示される画像としてモニタ30に出力する。これにより、工程編成者は、本実施形態の工程編成装置100により作成された工程群を画像として確認できる。
【0050】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0051】
[変形例1]
上記実施形態では、工程編成装置100の一例について説明したが、工程編成装置100が備える構成および実行する制御については、初期作業配分順群を取得し、作業情報と初期作業配分順群とを用いて必達制約を充足し、考慮制約の評価値が高くさせる工程群を編成する範囲で変形可能である。例えば、工程編成装置100は、記憶部50、モニタ30、入力部40、および通信部60を備えていなくてもよい。この場合に、工程編成装置100の取得部11が、例えばネットワークを介して、作業情報および制約情報を外部から取得してもよい。
【0052】
上記実施形態の初期作業順生成部12が要素作業と乱数系列を用いて初期作業配分順群を生成したが、初期作業順生成部12は、入力部40を介して工程編成者に入力された初期作業配分順群を用いてもよい。工程編成装置100は、工程群出力部14およびモニタ30を備えておらず、通信部60を介して工程編成部13により編成された工程群を他の装置に送信し、送信された他の装置が工程群を画像や音声によって出力してもよい。
【0053】
上記実施形態の工程編成部13は、考慮制約として図8に示される理想経路と作業者WKとの移動経路との差を評価したが、考慮制約に作業者WKの移動を含んでいなくてもよい。また、工程編成部13は、理想経路の代わりとして、工程内で作業者WKが戻りのない場合の移動経路であった場合の評価値が高くなるように設定してもよい。上記実施形態の工程編成部13は、図13に示されるように、必達制約を充足しない要素作業の評価値合計Fiも要素作業に対応付けたが、必達制約を充足しない要素作業の評価値合計Fiを考慮制約充足評価において算出しなくてもよい。
【0054】
図24および図25は、変形例における必達制約充足判定の説明図である。図24および図25には、図11のように、作業配分順序にしたがって並べられた11個の作業が示されている。図24および図25に示される作業情報では、図24に示されるように、作業2と作業3とは、互いに相互先行の要素作業である。このような場合に、工程編成部13は、図25に示されるように、作業2と作業3とを1つの作業としてみなした後に、必達制約充足判定を行ってもよい。
【0055】
上記実施形態の工程編成部13は、1つの要素作業を工程に配分する場合に、必達制約充足判定と、考慮制約充足評価と、要素作業配分とを行っていたが、配分される1つの要素作業については、変形可能である。例えば、工程編成部13は、先行情報により連続する複数の要素作業を1つの要素作業としてみなして、必達制約充足判定等を行ってもよい。また、工程編成部13は、必達制約充足判定を行って、必達制約を充足するように全ての要素作業が実行される1つ以上の作業順(例えば、作業h→e→a→c→b→d→i→j→k→f→g)を作成した後に、作業者WKが所属する部署や班といった工程に合わせて考慮制約の評価値が高くなるように各要素作業を配分してもよい(例えば、工程1:h→e→a,工程2:c→b→d→i,工程3:j→k→f→g)。
【0056】
[変形例2]
工程群出力部14は、図20から図22までの各図に示されるように、上記実施形態では工程編成部13により編成された複数の工程群を並列にモニタ30へと出力したが、複数の工程群のそれぞれを異なる態様で出力してもよい。例えば、変形例の工程群出力部14は、工程編成部13により複数の工程群が編成された場合に、工程群に含まれる工程数と考慮制約の充足率とを用いて、より適正な1以上の工程群を、他の工程群と異なる態様でモニタ30に出力してもよい。図21に示す例において、変形例の工程群出力部14は、工程数の数か少なく、かつ、同一工程の充足率が最も高い工程群である編成ID8の工程群をより適正な工程群と判定して、他の工程群と異なる背景色を付してモニタ30へと出力する。この変形例のように、複数の工程群から1以上のより適正な工程群が他の工程群と異なる態様で出力されることにより、工程編成者は、より好ましい工程群を認識しやすくなる。
【0057】
工程群出力部14は、工程数と同一工程の充足率とが同じ工程群が存在する場合には、いずれの工程群も同じ背景色を付して出力してもよい。より適正な工程群を決定する工程数と考慮制約とで決定される条件は、変形可能であり、例えば、工程数のみで決定されてもよいし、図21に示される作業者移動の制約充足率で決定されてもよい。また、工程群出力部14は、図20から図22までに示される各図の画像を、一括でモニタ30の一画面に出力してもよい。また、工程群出力部14は、工程編成者が特定の工程群に対して変更を加えたい場合に、図11図13の画像をモニタ30にへと出力させ、工程編成部13が、入力部40を介して受け付けた工程編成者の操作に応じて各種制御を行ってもよい。行われる制御としては、例えば、必達制約を充足する作業や各作業の評価値を出力する制御が挙げられる。
【0058】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…CPU
11…取得部(作業情報取得部)
12…初期作業順生成部(初期作業順群取得部)
13…工程編成部
14…工程群出力部(出力部)
21…ROM
22…RAM
30…モニタ(出力部)
40…入力部
50…記憶部
51…作業情報DB
52…工程編成DB
60…通信部
100…工程編成装置
AR…矢印
Fi…評価値合計
OB…作業対象
WK…作業者
distti…理想位置
eps…距離閾値
i1…同一工程評価値
i2…経路評価値
t…作業経過時刻
x,y…作業位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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