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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152465
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ピロー包装品収納体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221004BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D77/20 R
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055250
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391027424
【氏名又は名称】株式会社フクヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】山路 誠記
(72)【発明者】
【氏名】伊東 哲也
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LB08
3E067AA12
3E067AB77
3E067AC01
3E067AC14
3E067BA06C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067BC06C
3E067EA04
3E067EA32
3E067EB11
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】蓋ラベルに対して特段の加工を施さずに、摘み部を指で摘み易くすることのできるピロー包装品収納体を提供する。
【解決手段】ピロー包装品収納体1は、シート積層体100を収納した袋体3を含むピロー包装品2と、ピロー包装品2を収納する箱体10と、箱体10の上面部15に貼付され、上面開口16を覆う蓋ラベル20と、を備える。蓋ラベル20は、上面部15上に密接すると共に一辺15aの近傍に配置された摘み部21を含む。角部18の一部には、箱体10の内方に向けて押し込まれることで陥没して摘み部21の下面側に隙間Gを生じさせる押込部30が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の湿潤シート体からなるシート積層体を収納した袋体を含み、前記袋体の上面フィルムに前記湿潤シート体を取り出すための取出し口が形成されたピロー包装品と、
前記ピロー包装品を収納すると共に、その上面部に、前記湿潤シート体を取り出すための上面開口が形成された箱体と、
前記箱体の前記上面部に貼付され、前記上面開口を覆う蓋ラベルと、を備え、
前記箱体は、前記上面部と、前記上面部の一辺を介して前記上面部に接続された側面部と、を含み、前記上面部及び前記側面部によって、前記一辺を含む角部が形成されており、
前記蓋ラベルは、前記上面部上に密接すると共に前記一辺の近傍に配置された摘み部を含み、
前記角部の一部には、前記箱体の内方に向けて押し込まれることで陥没して前記摘み部の下面側に隙間を生じさせる押込部が設けられている、ピロー包装品収納体。
【請求項2】
前記押込部は、前記上面部及び前記側面部に形成されて前記一辺に交差する方向に延びる左右一対の切断ラインを含み、
前記切断ラインの間の前記角部の一部は、陥没した状態で、前記角部とは反対の向きに折り込まれて谷折部をなす、請求項1に記載のピロー包装品収納体。
【請求項3】
前記左右一対の切断ラインは、前記上面部に含まれ前記一辺から最も離れた一対の上面端点と、前記側面部に含まれ前記一辺から最も離れた一対の側面端点とを含み、
前記上面部及び前記側面部には、前記一対の上面端点の間、及び、前記一対の側面端点の間で直線状に延びる折れ線部がそれぞれ形成されている、請求項2に記載のピロー包装品収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ又はフェイスマスク等の湿潤シート体が包装されてなるピロー包装品を箱体の内部に収納したピロー包装品収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、ウェットティッシュの積層体が封入された封入袋(ピロー包装品)を、保形性を有する紙箱等の容器体の内部に収納した構造の包装体が知られている。この包装体では、封入袋の上面部に形成されたウェットティッシュの取出し口が、容器体の上面部に形成された開口部内に位置するよう、封入袋が容器体に固着される。上面部には、開口部を覆う蓋板が設けられており、蓋板の周縁部には、上面部に蓋板を繰り返し接着可能となるよう粘着部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-269282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の包装体では、蓋板を開ける際、使用者は、蓋板の先端部を指で摘み上げ、蓋板を箱体の上面部から剥がす。蓋板の先端部は箱体の上面部に沿って延在するため、指を蓋板に引っ掛けにくいという問題がある。特許文献1では、蓋板の先端部を上面部の辺縁まで到達させるか、又は、先端部に下向きの折曲片を形成する等により、指を引っ掛け易くする構成が示されている。しかし、蓋板の先端部が撓まないよう当該先端部を補強する等、開放操作を考慮して蓋板に対する特別な加工が必要となっていた。
【0005】
本発明は、蓋板すなわち蓋ラベルに対して特段の加工を施さずに、摘み部を指で摘み易くすることのできるピロー包装品収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のピロー包装品収納体は、複数枚の湿潤シート体からなるシート積層体を収納した袋体を含み、袋体の上面フィルムに湿潤シート体を取り出すための取出し口が形成されたピロー包装品と、ピロー包装品を収納すると共に、その上面部に、湿潤シート体を取り出すための上面開口が形成された箱体と、箱体の上面部に貼付され、上面開口を覆う蓋ラベルと、を備え、箱体は、上面部と、上面部の一辺を介して上面部に接続された側面部と、を含み、上面部及び側面部によって、一辺を含む角部が形成されており、蓋ラベルは、上面部上に密接すると共に一辺の近傍に配置された摘み部を含み、角部の一部には、箱体の内方に向けて押し込まれることで陥没して摘み部の下面側に隙間を生じさせる押込部が設けられている。
【0007】
このピロー包装品収納体によれば、蓋ラベルの摘み部は、箱体の上面部上に密接している。使用者は、摘み部を摘み上げる際、角部に設けられた押込部をまず指で押し込み、陥没させる。これにより、摘み部の下面側に隙間が生じるので、使用者は、摘み部に指を引っ掛け易くなり、当該摘み部を指で摘み易くなる。箱体側に簡易な加工(押込部を設ける加工)を施すのみでよく、蓋ラベルに対しては特段の加工は不要である。よって、本発明によれば、蓋ラベルに対して特段の加工を施さずに、摘み部を指で摘み易くすることができる。
【0008】
押込部は、上面部及び側面部に形成されて一辺に交差する方向に延びる左右一対の切断ラインを含み、切断ラインの間の角部の一部は、陥没した状態で、角部とは反対の向きに折り込まれて谷折部をなしてもよい。この場合、押込部が押し込まれた際、左右一対の切断ラインが切断され、押込部が陥没する。その状態で、押込部が谷折部をなすので、摘み部の下面側に隙間を容易に生じさせることができる。谷折部によれば、外観性を損なうこともない。
【0009】
左右一対の切断ラインは、上面部に含まれ一辺から最も離れた一対の上面端点と、側面部に含まれ一辺から最も離れた一対の側面端点とを含み、上面部及び側面部には、一対の上面端点の間、及び、一対の側面端点の間で直線状に延びる折れ線部がそれぞれ形成されていてもよい。この場合、押込部が押し込まれた際、上面部及び側面部は、それぞれ折れ線部にて容易に折れ曲がる。よって、押込部をより一層陥没させ易い構成が実現される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓋ラベルに対して特段の加工を施さずに、摘み部を指で摘み易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るピロー包装品収納体を示す斜視図である。
図2】ピロー包装品と箱体と蓋ラベルとを別々に示す斜視図である。
図3】箱体の上面部及び蓋ラベルを示す平面図である。
図4図4(a)は陥没前の押込部を示す図であり、図4(b)は陥没後の押込部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、上下左右の方向は、ピロー包装品収納体1を水平な載置面上に置いた状態を基準とする。左右方向は、蓋ラベル20の摘み部21が位置する側の一辺15aに沿った方向(図3参照)である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、一実施形態に係るピロー包装品収納体1は、複数枚のフェイスマスク(湿潤シート状体)Mが折り畳まれた状態で積層されてなるシート積層体100を収納した容器である。ピロー包装品収納体1は、シート積層体100と、シート積層体100を収納する袋体3とを含むピロー包装品2を備える。さらにピロー包装品収納体1は、ピロー包装品2を収納する例えば直方体状(矩形状)の箱体10を備える。シート積層体100は、袋体3に収納された状態で、箱体10の収納空間Sに収納されている。
【0014】
フェイスマスクMは、例えば不織布等からなる矩形のシートであり、所定の組成を有する液剤により湿潤されている。液剤は、例えば顔面の美容等に適した液体である。フェイスマスクMは、取出し口6から1枚ずつ取り出して使用され得るよう、折り畳まれた状態で、シート積層体100の高さ方向(厚み方向)に積層されている。シート積層体100は公知の方法により製造され得る。
【0015】
袋体3は、例えばプラスチックフィルム製であり、薄いフィルムから形成されているため、定形性を有しない。袋体3は変形自在である。袋体3は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はナイロン等からなる。袋体3は、フェイスマスクMに含浸された液剤の成分(水分を含む)を袋体3の内部に保持できるよう、気密性及び液密性(封止性、又は密閉性)を有する。
【0016】
袋体3内の液剤は、シート積層体100の全てのフェイスマスクMを湿潤させた上で、幾らかは湿潤せずに液体のまま存在する。幾分過剰な液剤が袋体3内に存在しており、封止ラベル9が除去された後の使用の過程においても、フェイスマスクMの乾燥(液剤の揮発等を含む)は防止されており、フェイスマスクMは常に液剤によって湿潤される。
【0017】
袋体3は、その上面に配置された上面フィルム4を含む。この上面フィルム4には、フェイスマスクMを取り出すための略矩形(四角形)の取出し口6が形成されている。取出し口6は、フェイスマスクMの取出しのために十分な大きさを有する。取出し口6は、上面フィルム4の中央部に形成されている。
【0018】
上面フィルム4上には、取出し口6の全体を覆うプラスチックフィルム製の封止ラベル9が貼付されている。封止ラベル9の裏面の周縁部には粘着部が設けられている。封止ラベル9は、例えば、ピロー包装品収納体1の使用開始時に完全に剥がされて取り去られる。封止ラベル9の一端部には、例えば山形状の摘み部9aが設けられており、この摘み部9aは、上面フィルム4には接着されず僅かに遊離している。これにより、ピロー包装品収納体1の使用者は、摘み部9aを指でつまんで封止ラベル9を持ち上げ、上面フィルム4から封止ラベル9を剥離させ、取出し口6を露出させることができる。封止ラベル9の構成は、公知の構成を採り得る。封止ラベル9の構成は、公知の構成(例えば、PET、PP、PEからなる単層、PET/PPまたはPEからなる2層または3層)であってもよい。封止ラベル9の形状についても、密閉性を保てる形状であればどのような形状であってもよい。
【0019】
箱体10は、シート積層体100を収納したピロー包装品2を収納可能な大きさ及び形状を有する。箱体10は、例えば、紙製の本体と、この本体上に積層された樹脂製のラミネートフィルムとからなる。箱体10を構成する紙は、ボール紙又は段ボール紙等であってもよく、所定の厚みと強度をもった適宜の厚紙であってもよい。箱体10は、互いに平行に配置された第1側面部11及び第2側面部12と、互いに平行に配置された第3側面部13及び第4側面部14と、4つの側面部の上端同士を接続する上面部15と、上面部15に上下方向に対向して、4つの側面部の下端同士を接続する底面部(図示せず)とを含む。第1側面部11は、一辺15aを介して上面部15に接続されている。また第2側面部12は、他の一辺15bを介して上面部15に接続されている。本実施形態では、第1側面部11と上面部15との間の一辺15aが、上面部15の長辺に相当するが、箱体10の形状、大きさ、各面の縦横比等は、適宜に変更されてよい。
【0020】
上面部15には、フェイスマスクMを取り出すための略矩形(四角形)の上面開口16が形成されている。上面開口16は、フェイスマスクMの取出しのために十分な大きさを有しており、取出し口6よりも大きい。上面開口16は、上面部15の中央部に形成されており、上面部15の端縁には達していない。上面部15は、上面開口16の周囲の部分に形成された矩形状を呈する。図3に示されるように、上面開口16は、封止ラベル9の全体を包囲する程度の大きさ及び形状に形成されている。ピロー包装品収納体1を平面視したとき(上方から見て)、上面開口16の範囲内に、上面フィルム4の取出し口6が配置されている。
【0021】
上面部15には、上面開口16の全体を覆う例えば樹脂製の蓋ラベル20が貼付されている。ピロー包装品収納体1は、いわゆるラベル蓋カートンである。図3には、蓋ラベル20の裏面側に設けられた接着及び粘着に係る構成がハッチングと共に図示されている。蓋ラベル20は、他の一辺15bに近接した辺部において、接着固定部23によって上面部15に強固に接着されている。蓋ラベル20は、一辺15aに近接した辺部の中央部において、例えば山形状に突出した摘み部21を含む。摘み部21の裏面側は接着剤も粘着剤も設けられない糊殺し部25とされている。蓋ラベル20の裏面側であって、上面開口16の周縁部に対面する領域には、粘着部24が設けられている。これにより、箱体10の上面部15に対して蓋ラベル20が繰り返し剥離・接着可能となっている。粘着部24は、上面部15に対して蓋ラベル20を何度でも貼ったり剥がしたりすることを可能とする。すなわち、蓋ラベル20は、上面開口16を覆うと共に繰り返し開閉可能に構成されている。
【0022】
蓋ラベル20は、例えば一定の厚みを有する。蓋ラベル20の厚みは、特に限定されないが、例えば60~200μmの範囲内の適宜の値であってもよい。蓋ラベル20は、湾曲可能なフィルム状であってもよいが、ある程度の厚みを有しておりほとんど湾曲しない板状であってもよい。
【0023】
蓋ラベル20の構成は、公知の構成を採り得る。蓋ラベル20の構成は、公知の構成(例えば、PET、PP、PEからなる単層、PET/PPまたはPEからなる2層または3層)であってもよい。蓋ラベル20の形状についても、箱体10の密閉性を保てる形状であればどのような形状であってもよい。蓋ラベル20の裏面の中央部(上面開口16に相当する部分)に、抜き取られた上面部15の一部(上面開口16に対応する部分)が貼り付いていてもよい。
【0024】
図1及び図3に示されるように、摘み部21は、一辺15aの近傍に配置されている。より詳細には、摘み部21の先端は、一辺15aに達しておらず、当該先端と一辺15aとの間には僅かな距離(例えば、1~数mm程度の距離)が存在する。平坦な上面部15上に、真っ平な(平面状の)蓋ラベル20が当接しているため、摘み部21は、上面部15上に密接している。言い換えれば、摘み部21と上面部15との間に隙間はない。本明細書において、「一辺15aの近傍」とは、一辺15aとの距離が10mm未満であることを意味する。その場合、摘み部21の先端の位置が基準とされる。
【0025】
箱体10では、上面部15及び第1側面部11によって、一辺15aを含む角部18が形成されている。角部18は、箱体10における1つの稜部であるとも言える。本実施形態のピロー包装品収納体1では、角部18の一部に、箱体10の内方に向けて押し込まれることで陥没する押込部30が設けられている。押込部30は、例えば、使用者の指によって押し込まれる。押込部30は、上面部15及び第1側面部11に形成された左右一対の切断ライン31,31を含む。これらの切断ライン31,31は、例えば、一辺15aに直交する。切断ライン31は、角部18に所定の外力が加わった際に容易に破断するよう、全長にわたって上面部15及び第1側面部11を厚み方向に貫通する切込み(又はスリット)等であってもよい。なお、切断ライン31が、例えばミシン目等であってもよい。
【0026】
切断ライン31,31の左右方向の間隔すなわち押込部30の左右方向の幅は、適宜に設定され得る。押込部30の左右方向の幅は、例えば、少なくとも、大人の親指1本を挿入可能な大きさを有する。ただし、押込部30は、必要以上に大きくする必要はない。押込部30の左右方向の幅は、5cmよりも短くてもよく、好ましくは4cmより短くてもよく、より好ましくは3cmより短くてもよい。別の観点では、押込部30の左右方向の幅は、一辺15aの長さの半分より短くてもよく、好ましくは一辺15aの長さの4分の1より短くてもよく、より好ましくは一辺15aの長さの5分の1より短くてもよい。
【0027】
押込部30の構成についてより詳細に説明すると、図4(a)に示されるように、左右一対の切断ライン31は、上面部15と第1側面部11とに跨るようにして、直角に折れ曲がるL字状に形成されている。切断ライン31,31は、上面部15に含まれ一辺15aから最も離れた一対の上面端点31b,31bと、第1側面部11に含まれ一辺15aから最も離れた一対の側面端点31a,31aとを含む。切断ライン31の上面部15側部分は、例えば蓋ラベル20の範囲内に到達しており、上面端点31b,31bは蓋ラベル20の下に隠れている。
【0028】
さらに、上面部15には、一対の上面端点31b,31bの間で直線状に延びる上面折れ線部35が形成されている。また第1側面部11には、一対の側面端点31a,31aの間で直線状に延びる側面折れ線部33が形成されている。これらの上面折れ線部35及び側面折れ線部33は、所定の位置で直線状に折り目がつくように設けられた弱化ラインである。上面折れ線部35及び側面折れ線部33は、例えば、ミシン目であってもよいし、罫線であってもよいし、溝加工が施された部分であってもよい。一辺15aと、切断ライン31の第1側面部11側部分と、側面折れ線部33とによって囲まれた長方形は、一辺15aと、切断ライン31の上面部15側部分と、上面折れ線部35とによって囲まれた長方形と合同であってもよい。
【0029】
図4(b)に示されるように、押込部30が使用者の指によって押し込まれると、切断ライン31が破断して押込部30は陥没し、これによって摘み部21は浮いた状態となる。摘み部21の下面側には、隙間Gが生じる。この状態で、角部18の一部は、元の角部18とは反対の向きに折り込まれて谷折部30Aをなしている。なお、隙間Gの左右の両端には箱体10の内外を連通する一対の開口P,Pが形成される。これにより、ピロー包装品収納体1の使用者は、摘み部21を指でつまんで蓋ラベル20を持ち上げ、上面部15から蓋ラベル20を剥離させ、上面開口16を露出させることができる。
【0030】
続いて、ピロー包装品収納体1の製造方法について説明する。液剤によって湿潤状態とされたシート積層体100を作製し、予め封止ラベル9を貼り付けた袋体3の内部に収納して袋体3を封止する。袋体3の上面フィルム4には封止ラベル9を貼付し、ピロー包装品2を得る。一方で、直方体状に組み立て、且つ上面部15に上面開口16が形成された箱体10を用意し、この箱体10のいずれか一面を開放させ、ピロー包装品2を箱体10内に挿入する。その後、箱体10の開放面を閉止すると共に、上面開口16を覆うように蓋ラベル20を貼付し、密閉された構造のピロー包装品収納体1を得る。なお、上面部15の裏面にピロー包装品2(上面フィルム4の周縁部等)を接着して固定してもよい。
【0031】
以上説明したピロー包装品収納体1によれば、蓋ラベル20の摘み部21は、箱体10の上面部15上に密接している。使用者は、摘み部21を摘み上げる際、角部18に設けられた押込部30をまず指で押し込み、陥没させる。これにより、摘み部21の下面側に隙間Gが生じるので(図4(b)参照)、使用者は、摘み部21に指を引っ掛け易くなり、摘み部21を指で摘み易くなる。箱体10側に簡易な加工(押込部30を設ける加工)を施すのみでよく、蓋ラベル20に対しては特段の加工は不要である。よって、本実施形態によれば、蓋ラベル20に対して特段の加工を施さずに、摘み部21を指で摘み易くすることができる。
【0032】
一対の開口P,Pが形成された場合、箱体10の密閉性は失われるが、ピロー包装品2におけるフェイスマスクMの湿潤状態は維持される。押込部30が押し込まれるまでの間は、一対の開口P,Pは形成されないので、使用開始前に箱体10の内部にゴミ等が侵入することもない。
【0033】
押込部30が押し込まれた際、左右一対の切断ライン31が切断され、押込部30が陥没する。その状態で、押込部30が谷折部30Aをなすので、摘み部21の下面側に隙間Gを容易に生じさせることができる。谷折部30Aによれば、角部18の一部が90度の凹みとなり、外観性を損なうこともない。
【0034】
押込部30が押し込まれた際、上面部15及び第1側面部11は、上面折れ線部35及び側面折れ線部33にて、それぞれ容易に折れ曲がる。よって、押込部30をより一層陥没させ易い構成が実現されている。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、摘み部21の形状は任意に変更可能である。例えば、矩形の蓋ラベルにおいて半円形状に突出した摘み部が採用されてもよい。
【0036】
切断ライン31,31が一辺15aに直交する構成に限られず、切断ライン31,31が、一辺15aに90度以外の角度(鋭角)をもって交差してもよい。切断ライン31の上面部15側部分と、切断ライン31の第1側面部11側部分とが、一辺15aに対して異なる角度をなして延びていてもよい。
【0037】
押込部30の陥没時、角部18(一辺15a)の部分が谷折部30Aとなる構成に限られない。押込部30が、押し込まれて、折り目のない凹部となってもよいし、一辺15aとは異なる位置で折り込まれてもよい。側面折れ線部33及び上面折れ線部35の両方又はいずれか一方が省略されてもよい。
【0038】
摘み部21は、一辺15aの近傍に配置されるが、摘み部21の先端が一辺15aに達していてもよい。摘み部21の先端が一辺15aの位置に一致してもよく、一辺15aの位置を僅かに超えてもよい。摘み部21の先端が一辺15aの位置を超えていても、押込部30の陥没による上記効果(摘み部21の摘み易さ)は奏される。
【0039】
切断ライン31の上面部15側部分が蓋ラベル20の外部に位置しており、上面端点31b,31bが上面部15上で露出していてもよい。
【0040】
ピロー包装品2の上面フィルム4に、繰り返し開閉可能な封止ラベル9が取り付けられ蓋ラベル20が、使用開始時に完全に取り外されてもよい。この場合、封止ラベル9によって、内部の封止性又は密閉性が確保される。
【0041】
ピロー包装品収納体1の製造方法は、上記した方法から適宜に変更されてもよい。例えば、液剤によって湿潤状態とされたシート積層体100を作製し、予め封止ラベル9を貼り付けたフィルム材をピロー包装してもよい。この場合、ピロー包装工程において、積層体をフィルム材で包み込みながらセンターシール部を形成し、その後、1個ずつにカットしてエンドシール部を形成する。これにより、ピロー包装品2が得られる。或いは、予め封止ラベル9を貼り付けた袋体3に、未含浸の積層体を投入し、その後袋体3の内部に液剤を投入して袋体3を封止してもよい。これにより、ピロー包装品2が得られる。また、組み立てられた箱体10の内部にピロー包装品2を挿入する方法に限られない。紙材を用意し、そのうちの上面部15に相当する部分(上面部15の裏面側)にピロー包装品2を貼り付けた後、箱体10を組み立ててもよい。その場合、箱体10を組み立てる前の紙材に封止ラベル9を貼り付けておいてもよい。
【0042】
箱体10は紙製ではなく、例えばプラスチック製であってもよい。袋体3は、アルミニウムフィルム製等の軽量な金属フィルム製であってもよい。
【0043】
湿潤シート体は、フェイスマスクMに限られない。湿潤シート体は、ウェットティッシュ、乳児用のお尻拭きを含む衛生用品、又は他のあらゆる種類の湿潤状態にあるシート状体であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…ピロー包装品収納体、2…ピロー包装品、3…袋体、4…上面フィルム、6…取出し口、9…封止ラベル、10…箱体、11…第1側面部(側面部)、12…第2側面部、13…第3側面部、14…第4側面部、15…上面部、15a…一辺、16…上面開口、18…角部、20…蓋ラベル、21…摘み部、23…接着固定部、24…粘着部、30…押込部、30A…谷折部、31…切断ライン、31a…側面端点、31b…上面端点、33…側面折れ線部、35…上面折れ線部、100…シート積層体、G…隙間、M…フェイスマスク(湿潤シート体)。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
複数枚の湿潤シート体からなるシート積層体を収納した袋体を含み、前記袋体の上面フィルムに前記湿潤シート体を取り出すための取出し口が形成されたピロー包装品と、
前記ピロー包装品を収納すると共に、その上面部に、前記湿潤シート体を取り出すための上面開口が形成された箱体と、
前記箱体の前記上面部に貼付され、前記上面開口を覆う蓋ラベルと、を備え、
前記箱体は、前記上面部と、前記上面部の一辺を介して前記上面部に接続された側面部と、を含み、前記上面部及び前記側面部によって、前記一辺を含む角部が形成されており、
前記蓋ラベルは、前記上面部上に密接すると共に前記一辺の近傍に配置された摘み部を含み、
前記角部の一部には、前記箱体の内方に向けて押し込まれることで陥没して前記摘み部の下面側に隙間を生じさせる押込部が設けられており、前記押込部は、陥没した状態で前記角部とは反対の向きに凹む、ピロー包装品収納体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明のピロー包装品収納体は、複数枚の湿潤シート体からなるシート積層体を収納した袋体を含み、袋体の上面フィルムに湿潤シート体を取り出すための取出し口が形成されたピロー包装品と、ピロー包装品を収納すると共に、その上面部に、湿潤シート体を取り出すための上面開口が形成された箱体と、箱体の上面部に貼付され、上面開口を覆う蓋ラベルと、を備え、箱体は、上面部と、上面部の一辺を介して上面部に接続された側面部と、を含み、上面部及び側面部によって、一辺を含む角部が形成されており、蓋ラベルは、上面部上に密接すると共に一辺の近傍に配置された摘み部を含み、角部の一部には、箱体の内方に向けて押し込まれることで陥没して摘み部の下面側に隙間を生じさせる押込部が設けられており、押込部は、陥没した状態で角部とは反対の向きに凹む