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  • 特開-惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152474
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20221004BHJP
   A23L 7/157 20160101ALI20221004BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
A23L7/157
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055260
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591215627
【氏名又は名称】サン印向山食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180264
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】向山 和雄
【テーマコード(参考)】
4B023
4B025
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LG01
4B023LG06
4B023LP07
4B023LP10
4B023LP15
4B025LB04
4B025LG02
4B025LP01
4B025LP12
4B025LP20
(57)【要約】
【課題】 惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法であって、味付けのバリエーションを豊富にする方法を提供する。
【解決手段】 食材を加熱又は凍結させて一塊に整形した惣菜21を作る工程11と、炊飯した米を冷却することでβ化した冷飯23にする工程14と、前記惣菜21を所望の味付けをしたつなぎ材22でコーティングする工程13と、そのつなぎ材22に前記冷飯23を接着させて惣菜21の全体を冷飯23で包んで食品20にする工程15と、を有する製造方法とし、惣菜21を冷飯23で包んだ後で冷凍してもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱又は凍結させて一塊に整形した惣菜を作る工程と、
炊飯した米を冷却することでβ化した冷飯にする工程と、
前記惣菜を所望の味付けをしたつなぎ材でコーティングする工程と、
前記つなぎ材に前記冷飯を接着させて前記惣菜の全体を前記冷飯で包んで食品にする工程と、を有することを特徴とする惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法。
【請求項2】
前記食品にする工程が、前記惣菜の全体を前記冷飯で包んだ後で冷凍して食品にする工程、であることを特徴とする請求項1に記載の惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法。
【請求項3】
前記惣菜が肉製品であることを特徴とする請求項1又は2に記載の惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法。
【請求項4】
前記惣菜がハンバーグであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉製品などの惣菜を具材にしてご飯で包んだ食品の製造方法に関し、味付けのバリエーションを豊富にするものである。
【背景技術】
【0002】
惣菜を具材にしてご飯で包んだ食品としては、おにぎりが一般的である。ここで、おにぎりの具材としては、肉類、魚類、漬物類など多種多様であるものの、いわゆるメインのおかずになるような惣菜を具材としたものは、あまり多くはない。それは、おにぎりが手軽に食べられる食品として、片手で持てる程度の大きさであるのが普通であり、メインのおかずになり得る惣菜を具材にすると、おにぎりが大きくなりすぎたり、また、ご飯が崩れやすく、食べづらくなったりするためである。
【0003】
また、工場などでおにぎりを大量に生産する場合は、具材の種類を増やせば、おにぎりの種類を増やすことができる。しかし、そうすると、それぞれの具材を大量に準備しなければならないので、調理設備を増やしたりしなければならない。また、一つの具材について複数の味付けをすること(甘い味付け、辛い味付けなどのバリエーションを増やすこと)にしても、結局、別々に調理することになり手間がかかる。
【0004】
一方、近年では、焼きおにぎりのように加熱して固めたご飯をハンバーガーのバンズのように用いることもある。つまり、ハンバーグや焼き肉のようにメインのおかずになり得る惣菜を、固めたご飯で挟むことで、手軽にご飯とおかずを一度に食することができるものである。このようなご飯を用いたハンバーガーに入れられるハンバーグであれば、何種類かのソースを用意することで、味付けのバリエーションを増やすことは可能である。しかし、固めたご飯でハンバーグを挟んでいるだけなので、食べる際にソースがこぼれやすいという欠点がある。また、ご飯で惣菜を挟むためには、ご飯を焼いたりして、しっかりと固めなければならないため、ご飯のふっくらとした食感は失われがちである。
【0005】
そこで、食材を包む食材用衣としてご飯を加工する製造方法が、特許文献1に開示されている。この食材用衣は、基本的には油で揚げる衣としてご飯を使用するものであって、食材にまぶし易く、また、まぶした食材とともに油で揚げたときに、ご飯が硬くなって食することができないという状況を回避するために開発されたものである。なお、この食材用衣は、ミンチ肉のような餡を包む包餡用衣としても使用することができるため、惣菜を包むおにぎり用のご飯としても使用することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4992058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような実情に鑑み、本発明は、ハンバーグなどの惣菜を具材としてご飯で包んだ食品の製造方法であって、味付けのバリエーションを豊富に揃えやすい方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法は、食材を加熱又は凍結させて一塊に整形した惣菜を作る工程と、炊飯した米を冷却することでβ化した冷飯にする工程と、前記惣菜を所望の味付けをしたつなぎ材でコーティングする工程と、そのつなぎ材に前記冷飯を接着させて惣菜の全体を冷飯で包んで食品にする工程と、を有することとする。
【0009】
ここで、食品にする工程が、惣菜の全体を冷飯で包んだ後で冷凍して食品にする工程、であることにしてもよい。
【0010】
また、惣菜が肉製品であることにしてもよく、具体的には、ハンバーグであることにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一塊に整形した惣菜をβ化した冷飯で包むときに使用するつなぎ材に所望の味付けを加えることで、味付けのバリエーションを容易に増やすことが可能で、惣菜をご飯で包んだ食品の生産効率を上げることができるという効果を奏する。また、つなぎ材で具材とご飯を接着しているため、ハンバーグのような肉製品など、いわゆるメインのおかずになり得る惣菜を具材としてもご飯が崩れにくいので、ご飯と惣菜を手軽に食すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法を説明するフロー図である。
図2】惣菜をご飯で包んだ食品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明の製造方法によって製造される食品は、ハンバーグなどの惣菜を具材として、その周りをご飯で包んだ食品であって、おにぎりのように手軽に食べることができるものである。なお、具材とはご飯に包まれている惣菜のこととする。惣菜はいわゆるメインのおかずになるようなものでもよく、本発明に係る食品は具材とご飯がつなぎ材で接着されているため、ご飯が崩れにくいという特徴がある。また、つなぎ材に味付けをしているため、味付けのバリエーションを豊富に揃えることが容易である。そして、食べる直前には加熱を必要とするが、電子レンジによる加熱、蒸す、焼く、といった加熱方法だけでなく、おでんやラーメンのような温かい汁物の中に入れても、おいしく食べることができるものである。
【0014】
図1は、惣菜をご飯で包んだ食品の製造方法を説明するフロー図である。食品の製造方法10の概略としては、まず準備段階として、具材となる惣菜の整形11、味付けしたつなぎ材の準備12及び炊飯した米を冷却してβ化する工程14をそれぞれ進める。そうして、整形した惣菜をつなぎ材でコーティング13し、そのつなぎ材にβ化した冷飯を接着させて惣菜全体をβ化した冷飯で包む15ことで、惣菜をご飯で包んだ食品ができあがる。この食品は、そのまま販売してもよいし、冷凍してから販売16してもよい。
【0015】
図2は、惣菜をご飯で包んだ食品の断面図である。惣菜をご飯で包んだ食品20が完成したときは、中心位置に具材となる惣菜21があり、その周囲をつなぎ材22でコーティングしていて、惣菜21の全体がβ化した冷飯23で包まれている。つまり、ご飯23と具材21は、つなぎ材22を介して接着している。以下、このような惣菜をご飯で包んだ食品20の製造方法を順に説明する。
【0016】
まず、惣菜の整形11について説明する。具材となる惣菜21は、ハンバーグのような肉製品や野菜など、おかずになるものであれば、特に限定しない。ただし、この具材21はご飯で包まれるため、一塊に整形できることが必要である。例えば、具材21が肉製品の場合は、食材として牛肉、豚肉、鶏肉などを含んでいるとよい。一塊というのは、片手で持てるおにぎりの中に詰められるくらいの大きさであり、その形としては、球形や小判形が適している。
【0017】
一塊に整形した惣菜21を作るためには、基本的には食材を加熱したり、凍結させたりする必要がある。例えば、具材21がハンバーグの場合は、ミンチ肉を焼いてハンバーグを形成してもよいし、ミンチ肉を成形して凍結させただけのものでもよい。なお、凍結させた場合は、食べる直前に加熱することによって、ご飯の中のハンバーグが完成するようにしなければならない。また、この場合の凍結は、一塊に整形して、つなぎ材22や冷飯23を接着させるときに、容易に形が崩れない程度の凍結でよいので、固まってさえすれば特に何度以下にしなければならないという限定はない。ただし、食品として形成された後に冷凍食品として保存する場合は、-18℃以下にする必要がある。
【0018】
次に、炊飯した米を冷却してβ化する工程14を説明する。ご飯をβ化して冷飯23にすることで、粘着性を抑え、小さな塊にすることができる。ここで、更に冷飯23の塊を小さくして粒状にするために、冷飯23に穀粉をまぶしてもよい。
【0019】
米の炊飯方法は、特別な方法ではなく、一般的なご飯の炊き方でよい。なお、ご飯は、調味料を加えた味付けご飯であってもよい。
【0020】
ご飯をβ化するとは、炊飯した米のでんぷん質(ブドウ糖)をβ化させることである。具体的なβ化の方法としては、炊飯した米を平らな容器等の上に広げて常温になるまで冷まし、更に冷蔵庫内で一晩以上冷却すればよい。ここで、冷蔵庫内の温度は0℃~10℃程度で、一晩以上というのは12時間以上とする。冷蔵庫内の温度を0℃以下にするとβ化しなくなるし、10℃を超えると細菌の増殖が早くなってしまうからである。また、冷蔵庫内の保管時間もあまりに長くすると細菌を増殖することになるので、冷蔵期間は長くても2~3日以内にしなければならない。こうして、十分に冷たくなった冷飯23の準備が完了する。
【0021】
そして、具材となる惣菜23全体の周りをこの冷飯23で包むのだが、具材21と冷飯23の接着のために、つなぎ材(バッター)22を用いる。そこで、次は、、味付けしたつなぎ材を準備する工程12と、惣菜を所望の味付けをしたつなぎ材でコーティングする工程13の説明をする。つなぎ材22の原料としては、小麦粉を水で溶いたものを基本とする。十分な粘着力があって、惣菜の味を損ねないものであれば、小麦粉以外でもよい。ここで、例えば、惣菜21をハンバーグとした場合、ハンバーグソースには和風やデミグラスなど様々な種類が考えられる。しかし、これらの味を再現するために、それぞれのハンバーグを別々に製造するのは、生産効率がよくない。また、ソースとつなぎ材をそれぞれ具材の周りにコーティングするのも難しい。そこで、つなぎ材自体に所望の味付けを施しておくこととする。そうすることで、具材であるハンバーグは同じ食材を使って整形して、つなぎ材の味付けを変えたものを複数用意しておけば、一種類の惣菜について、味付けのバリエーションを容易かつ豊富に取り揃えることができる。
【0022】
このような味付けのバリエーションの増やし方は、ハンバーグ以外の惣菜を具材にする場合にも適用できる。例えば、辛い惣菜を具材とする場合には、辛さの度合いを何段階かに分けること(激辛、中辛、甘口など)も可能である。
【0023】
なお、惣菜21につなぎ材22をコーティングする方法としては、惣菜21をつなぎ材22がたっぷり入った容器の中に通してもよいし、刷毛などで惣菜21の周りにつなぎ材22を塗ってもよい。いずれにしても、具材21とご飯23とを接着させなければならないので、惣菜21の全体に塗り残しのないようにコーティングしなければならない。
【0024】
そして最後に、つなぎ材でコーティングされた惣菜を冷飯で包む工程15を行うことで惣菜をご飯で包んだ食品20が完成する。包み方としては、揚げ物の衣を付けるように、つなぎ材22に冷飯23を接着させることで、惣菜21の全体を冷飯23で包めばよい。なお、この食品20は、冷飯23で包んだ状態のままで販売することもできるし、冷飯23で包んだ後で冷凍することで、冷凍食品にして販売してもよい。冷凍食品にする場合は、―18℃以下で凍結させる必要がある。
【0025】
また、つなぎ材を使って冷飯を接着させる前に、β化した冷飯に穀粉をまぶす工程を追加してもよい。冷飯に穀粉を付着させることで、冷飯の米粒同士が互いに貼着しない状態になる。そうすると、惣菜全体の周りに冷飯を均一に接着させやすいという効果がある。穀粉としては、例えば、上新粉、米菓子粉、微細パン粉、コーン、そば、粟又は高きび粉などの単体若しくはこれらの混合物を用いることができる。また、穀粉のまぶし方は、しっかりと冷飯に混ぜ合わせるだけでもよいが、混ぜ合わせた後、更に、ふるいにかけて粒を小さくしてもよい。
【0026】
前述した通り、この食品20を食す直前には、加熱する必要がある。加熱の方法は、電子レンジによる加熱、蒸す、焼く、温かい汁物の中に入れるなど、いろいろな方法があるが、食品20そのものが冷凍したものか生のものか、具材が加熱したものか加熱せずに凍結させたものか、といったそれぞれの状態に合わせて、適した加熱方法や加熱時間等を各々決定しておけばよい。なお、食品20を焼いた場合には、表面が焼きおにぎりのようになるが、電子レンジによる加熱や蒸したりすれば、ご飯のふっくらとした食感を残すことも可能である。
【0027】
以上の製造方法で製造された惣菜をご飯で包んだ食品は、ご飯と具材がつなぎ材で接着されているところが普通のおにぎりとは異なり、それによってご飯が崩れにくく、手軽に惣菜とご飯を食すことができるという特徴がある。また、つなぎ材に所望の味付けを施すことで、具材の味付けのバリエーションを容易に増やすことが可能であり、食品の大量生産にも適している。
【符号の説明】
【0028】
10 食品の製造方法
11 惣菜の整形工程
12 味付けしたつなぎ材の準備
13 惣菜をつなぎ材でコーティングする工程
14 炊飯した米を冷却してβ化する工程
15 β化した冷飯で惣菜を包む工程
16 販売又は冷凍保存
20 惣菜をご飯で包んだ食品
21 惣菜(具材)
22 つなぎ材
23 冷飯
図1
図2