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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152475
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】回転刃式草刈り機のアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A01D34/90 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055261
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390027292
【氏名又は名称】根本企画工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】柚木 遼
(72)【発明者】
【氏名】根本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢治
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083CA02
2B083CA06
2B083CA27
2B083CB01
2B083GA02
2B083HA24
2B083HA52
(57)【要約】
【課題】線路周辺の有害な雑草を能率よく刈り取り、通信ケーブルや作業者の身体などを損傷することもなく、かつ蔓性の雑草が絡まることのない回転式草刈り機のアタッチメントを実現する。
【解決手段】前後方向の長径がディスクの外径よりも長く装着状態で前端はディスクよりも突出し、左右方向の短径はディスクの外径よりも短い略楕円形の枠体2の一方の側面に外方に向けて伸びてその先端がディスクの外径よりも突出する複数本のくし歯3を設けると共に、他方の側面には一部を内側に湾曲させてディスクよりも内側となる凹部22aを形成して構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に切断刃が設けられたディスクと所定の器材との接触を回避する回転刃式草刈り機のアタッチメントにおいて、
前記ディスクの下側に前記ディスクと平行に保持される基体部を有し、
前記基体部の外縁部のうち前記切断刃が作業者側に回転する左弦部には、ディスクの半径方向で外方に向けて延びて先端が前記ディスクの外周端よりも突出する複数本のくし歯が設けられ、
前記基体部の外縁部のうち前記切断刃が前記作業者から遠ざかる方向に回転する右弦部でかつ前記ディスクの回転中心より前記作業者側の部分は、前記ディスクの外周端より半径方向で内側に窪んで凹部が形成されるとともに、
前記右弦部で前記凹部より先端側の部分は、前記ディスクの外周端より半径方向で外側に突き出てガード部となっており、
前記ディスクは、前記くし歯同士の間の部分および前記凹部の部分で切断を行うように構成されている
ことを特徴とする回転刃式草刈り機のアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の回転刃式草刈り機のアタッチメントにおいて、
複数本の前記くし歯の先端部は、斜め上側に屈曲していることを特徴とする回転刃式草刈り機のアタッチメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転刃式草刈り機のアタッチメントにおいて、
前記草刈り機は、前記ディスクを取り付ける回転軸を収容した短軸管と、前記短軸管を先端部に取り付けた主杆とを有し、
前記基体部を前記草刈り機から吊り下げて保持する支持手段を更に備え、
前記支持手段は、前記短軸管に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットから前方側に延びていて前記基体部の前端部に連結されている第1支持杆と、前記主杆に固定されるステーと、前記ステーから下側に延びていて前記基体部の後端部分に連結された第2支持杆および第3支持杆とを備えている
ことを特徴とする回転刃式草刈り機のアタッチメント。
【請求項4】
請求項3に記載の回転刃式草刈り機のアタッチメントにおいて、
前記ブラケットは、前記短軸管の頂部に密着して嵌合する調整ブロックと、前記調整ブロックを下面側に着脱可能に取り付ける取付板とを備えていることを特徴とする回転刃式草刈り機のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転刃式草刈り機を使用して鉄道線路のバラスト道床などの草刈り作業を行なう際に、草刈り機の刃の近傍に装着することで通信ケーブル等の雑草以外のものを切断することを防止するとともに、作業者本人ならびに周囲の人々や設備の安全性を向上させるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路のバラスト(砕石)道床や線路脇には雑草が生えがちである。雑草が繁茂すると、線路標識などが目視しにくくなり、列車運転や線路保守上の障害となるばかりでなく、道床の水はけが悪くなって締め固められた道床を崩す要因となり、また見た目も悪くなるなど不都合が多いため、除草作業を頻繁に行なうことが必要である。従来は草刈り鎌などを使用した手作業で除草を行なっていたが、近年では除草剤の散布や、モータあるいはエンジンを駆動源とした草刈り機を使用するのが一般的である。
【0003】
しかし、除草剤は環境汚染を伴うので使用は好ましくない。また回転刃(円盤カッタもしくはディスク)方式の草刈り機は作業効率は良いが作業者の手足を傷つける危険があり、またバラストの砕石を弾きとばす事故が頻繁に発生して周囲に損害を与えるなどの問題点がある。このような不都合を防止もしくは回避するためには、回転刃の近傍にこれらの問題を抑止するアタッチメントを取り付けることが必要である。また、鉄道線路には信号用の通信ケーブルや、転轍機用の動力ケーブルなどが存在し、誤ってこれらを雑草と共に切断してしまう作業ミスも回避しなければならない。
【0004】
特許文献1には、このようなアタッチメントの一例が示されている。図6はそのアタッチメント、図7はそのアタッチメントを草刈り機に取り付けた状態を示す斜視図である。草刈り機は、図示しないモータやエンジンなどの駆動力源から延びている主杆H1と、その先端部に下向きに連結してある短軸管H2とを有し、主杆H1の内部にドライブシャフトが収容され、その先端部にベベルギヤなどの伝動部材を介して連結したディスクシャフトが短軸管H2の内部に収容されている。回転刃(ディスク)Rはそのディスクシャフトの先端部(下端部)に取り付けられている。アタッチメントはその回転刃Rの下側に配置される。そのアタッチメントは、短軸が回転刃Rの直径より小さく、長軸が回転刃Rの直径より大きい楕円形の枠体91を有し、その枠体91の外側に、短軸と平行な方向でかつ先端が回転刃Rの外周より外側に突き出るように、複数の触手棒92が設けられている。また、枠体91の長軸方向での一方の端部に、枠体91から上方に延びている取り付け杆93が設けられており、その上端側の部分は、主杆H1に沿うように屈曲し、かつ取り付け孔が形成されている。このアタッチメントを主杆H1に取り付けるためのホルダ94a,94bは、主杆H1の外側に嵌合するリング部と、そのリング部から延びているプレート部とを有し、リング部を主杆H1に嵌合させた状態で、取り付け杆93における上端側で屈曲している部分をネジ94c,94dでプレート部に固定するようになっている。
【0005】
作業者が主杆H1に取り付けられているハンドル(図示せず)持って草刈り作業を行うとき、草の中に固い石などの障害物があった場合に、触手棒92がまずこの障害物に当たり、作業者がこれを感知するので回転刃Rと障害物との直接の接触がなく、回転刃の損傷が回避できる。また触手棒92が回転刃Rよりも外側に突出しているため、回転刃Rが本来保護されるべき樹木や建造物に接触しないから、これらを保護することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-117550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし本発明者らの経験によると、刈り取られるべき草の中に蔓性の雑草などがあった場合、蔓性の雑草が回転刃Rに巻き込まれて枠体91と回転刃Rとの間に詰まってしまって作業を継続できなくなるという新たな問題点が発生するため、絡まり防止対策を講じないとこのアタッチメントは実用にならない。
【0008】
本発明は、線路にとって有害な雑草のみを刈り取り、蔓性の雑草が絡まることもなく、通信ケーブルや作業者の身体などを損傷することもない回転刃式草刈り機のアタッチメントを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外周部に切断刃が設けられたディスクと所定の器材との接触を回避する回転刃式草刈り機のアタッチメントにおいて、前記ディスクの下側に前記ディスクと平行に保持される基体部を有し、前記基体部の外縁部のうち前記切断刃が作業者側に回転する左弦部には、ディスクの半径方向で外方に向けて延びて先端が前記ディスクの外周端よりも突出する複数本のくし歯が設けられ、前記基体部の外縁部のうち前記切断刃が前記作業者から遠ざかる方向に回転する右弦部でかつ前記ディスクの回転中心より前記作業者側の部分は、前記ディスクの外周端より半径方向で内側に窪んで凹部が形成されるとともに、前記右弦部で前記凹部より先端側の部分は、前記ディスクの外周端より半径方向で外側に突き出てガード部となっており、前記ディスクは、前記くし歯同士の間の部分および前記凹部の部分で切断を行うように構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、複数本の前記くし歯の先端部は、斜め上側に屈曲していてよい。
【0011】
また、本発明では、前記草刈り機は、前記ディスクを取り付ける回転軸を収容した短軸管と、前記短軸管を先端部に取り付けた主杆とを有し、前記基体部を前記草刈り機から吊り下げて保持する支持手段を更に備え、前記支持手段は、前記短軸管に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットから前方側に延びていて前記基体部の前端部に連結されている第1支持杆と、前記主杆に固定されるステーと、前記ステーから下側に延びていて前記基体部の後端部分に連結された第2支持杆および第3支持杆とを備えていてよい。
【0012】
さらに、本発明では、前記ブラケットは、前記短軸管の頂部に密着して嵌合する調整ブロックと、前記調整ブロックを下面側に着脱可能に取り付ける取付板とを備えていてよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアタッチメントを装着することにより、草刈り機回転刃の刃先がくし歯の先端よりも引っ込んでいるために作業者にとって安全で周辺の構造物や器材を損傷することもなく、切断刃側に侵入した雑草だけを切断し、切断刃側に入らない太い寸法の電線類を誤って切断することもない。また、くし歯は片側1箇所にしかないので、一旦蔓草が回転刃に絡まっても、くし歯を設けていない側に回転して解放されるから詰まりが生じず、したがって作業が中断することがないなど、草刈り作業を安全に、かつ能率よく遂行できるという、すぐれた効果を奏する。さらに、くし歯を設けていない他の片側の凹部では、回転刃がアタッチメントより外側に突き出ているので、枝や木などの太い物の切断に使用できる。その場合、切断されて地面側に残る枝や木などの太い物が凹部に入って凹部に引っ掛かるので、草刈り機が大きく跳ね返されることを回避もしくは抑制でき、この点でも作業安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例を示すアタッチメントの斜視図である。
図2】本発明の一実施例におけるアタッチメントの草刈り機への着脱状況を示す説明図である。
図3】本発明の一実施例におけるアタッチメントを草刈り機に装着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施例におけるアタッチメントを装着した状態の草刈り機を、作業者の右側から見た側面図である。
図5】本発明の一実施例におけるアタッチメントを装着した状態の草刈り機を、作業者の前面から見た正面図である。
図6】特許文献1に記載のアタッチメントの一例を示す斜視図である。
図7図6に示したアタッチメントを草刈り機に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例について図面により詳細に説明する。図1は本発明の一実施例としてのアタッチメント1の斜視図である。アタッチメント1は、前後方向の長さが、外周部に切断刃が設けられているディスクの外径よりも長く、装着状態で前端はディスクよりも突出し、左右方向の寸法(幅)がディスクの外径よりもやや短い略楕円形もしくは歪んだ円形の輪郭である基体部2を主要部材としている。この基体部2は金属製の平板であってもよいが、軽量化のために枠体として構成することが好ましく、以下の説明では「枠体2」と記す。なお、以下の説明で、前後、左右などの表現は、このアタッチメント1を装着した草刈り機の作業者からの方向で、前とは草刈り機の先端方向、後は作業者本人に近い側であり、左右も同様であって作業者側から見た場合の左右方向である。
【0016】
ディスクRは上から見て反時計方向に回転し、右側から左側に移動させる(振る)ことにより、主として、その左側の部分で草などの切断を行う。ディスクRの左側の部分では、切断刃が作業者側に向けて回転するので、切断に伴う反力がディスクRを作業者から遠ざける方向に作用し、これとは反対にディスクRの右側では、切断に伴う反力がディスクRを作業者側に押す方向に作用するからである。以下の説明では、ディスクRを作業者側に押し戻す反力が生じる右側を「逆転側」、これとは反対の左側を「順転側」と記すことがある。
【0017】
枠体2は、ディスクRの下面側に配置され、その取り付け状態での順転側の左弦部23はディスクRよりも内側に位置し、これとは反対の逆転側の右弦部22は刃先よりも外側に位置するようになっており、したがってその形状は左右対称ではない。そして左弦部23には外方に向けて伸びてその先端がディスクRの刃先よりも半径方向で外側に突出する複数本(この図では13本)のくし歯3が等間隔に並んで、くし状のプロテクタが形成されている。このくし歯3は前掲の特許文献1に記載されている「触手棒92」として説明されているものとほぼ同一の役割を行う。実施例では、道床に存在する「切ってはならないケーブル」などの器材の最も細いものの外径を10mmと想定し、これが入り込むことのないように、くし歯3のすきま(間隔)を9mmとしてある。
【0018】
また、くし歯3の先端部は斜め上側に向けて屈曲している。草刈りを行う場合、ディスクRが左弦部23側で下がるように傾けるのが一般的であり、アタッチメント1をそのように傾けた場合に、くし歯3の先端部が地面と可及的に平行になって地面に刺さらないようにするために、くし歯3の先端部が枠体2によって形成される平面に対して所定角度θ、斜め上方に向けて屈曲している。その状態を図1に部分図として併記してある。
【0019】
枠体2における逆転側の部分の形状について説明すると、先端側の約半分(時計の文字盤になぞらえていえば、ほぼ0時から3時までのほぼ90度の範囲)が前述した右弦部22であって、この右弦部22はディスクRの外周端(すなわち刃先)より僅か外側に位置している。したがってこの右弦部22は、雑草などの被切断物とディスクRとを接触させないガード部となっており、これによりキックバックを回避している。
【0020】
これに対して、右弦部22より後ろ側(作業者側)の部分(時計の文字盤になぞらえていえば、ほぼ3時から6時までのほぼ90度の範囲)は、ディスクRよりも内側に湾曲していて、ここに凹部22aが形成されている。これはケーブルを切断しない、という問題とは別に、太めの樹木の枝等を意図的に切り取ることが可能なように設けたものである。この凹部22aに相当する部分で雑草などの切断を行った場合、ディスクRを作業者側に斜めに跳ね返す反力が生じるとしても、ディスクRの逆転側を使用して切断する場合にはしっかりとした意図を持って切断を行うのが通常であるから、ディスクRが跳ね返されないように反力を作業者が確実に支え、したがって不測の事態が生じる可能性は低い。また、ディスクRによる切断が可能な凹部22aは、ディスクRの回転中心より後ろ側(作業者に対しては手前側)に設けてあるので、草刈り機の先端部側をはじき返すモーメントを小さくでき、この点でも作業の安全性を担保できる。
【0021】
また、凹部22aの形状は、図1に示すように、前後方向もしくは斜め前後方向を向く内縁部を有する形状が好ましい。このような形状であれば、逆転側の切断刃が木や枝などの太い物を切断した場合、地面側に残っている当該太い物が凹部22aに引っ掛かって、ディスクRあるいは草刈り機Sが作業者側に過度に押されることを回避もしくは抑制し、作業安全性を向上させることができる。
【0022】
枠体2の手前(作業者側)の部分は、ディスクRによる草などの切断とは特に関係しないので、ここで説明している実施例では、単純な平板状の金属板を用いて、枠体2の後部プレート21としている。
【0023】
枠体2を草刈り機Sあるいはその主杆Hに取り付けるための支持手段としての取付枠4が以下に説明するように構成されている。草刈り機Sでは、図示しないモータやエンジンなどの駆動力源から伸びているドライブシャフトが主杆Hの内部に収容されており、その主杆Hの先端部には、ディスクRを取り付ける回転軸(図示せず)を収容している短軸管Eが、使用状態では上下方向を向くように取り付けられている。なお、ドライブシャフトと回転軸とは短軸管Eの内部でベベルギヤなどによって連結されている。アタッチメント1はこの短軸管Eを支持点として草刈り機Sに取り付けるように構成されている。
【0024】
すなわち、取付枠4は、短軸管Eの上端部に取り付けるブラケット42を備えている。そのブラケット42は、枠体2とほぼ平行な取付板42aと、その取付板42aの下面にボルトなどによって着脱される調整ブロック42bとを有している。その取付板42aから前方に延びている軸状の第1支持杆43が、前述した枠体2の先端部に繋がって一体となっている。また、取付板42aには第1支持杆43とは反対の方向に延びている板状のステー41が一体に設けられている。このステー41は、前述した主杆Hと短軸管Eとがなす角度とほぼ同じ角度で取付板42aからその後方に延びており、したがってステー41は主杆Hに添わせるように構成されている。
【0025】
調整ブロック42bは、枠体2の取付高さを調整するための部材であって、上記の取付板42aと短軸管Eとの間に介在することにより、短軸管Eに対する取付板42aの取付高さすなわち枠体2の草刈り機Sに対する取付高さを調整するようになっている。ディスクRと枠体2(特にくし歯3)との間隔は、切断した蔓草の絡みつきなどに影響し、好ましい間隔が存在するのに対して、短軸管Eの長さもしくはその頂部の高さが草刈り機Sの機種毎に異なっているので、高さの異なる複数の調整ブロック42bを用意しておき、草刈り機Sの機種に応じて調整ブロック42bを選んで使用する。その調整ブロック42bの下面側には、短軸管Eの頂部にほぼ密着して嵌合する嵌合穴(図示せず)が形成されている。したがって、調整ブロック42bあるいは枠体2は、短軸管Eに対して緩みなく装着される。
【0026】
さらに、ステー41の後端部(作業者側の端部)には、左右方向でかつ下側に延びている軸状の第2および第3の支持杆44,45が設けられており、これらの第2および第3の支持杆44,45が前述した枠体2の後端部分、すなわち枠体2の一部を構成している後部プレート21に連結されている。より具体的に説明すると、第1の支持杆43の先端部分は、ディスクRの外周縁を外側に越えた箇所で、ディスクRの上面側から下面側に向けて屈曲しており、その先端部が枠体2の前端部分に連結されている。また、枠体2のうちくし歯3が設けられている左弦部23から後ろ側に続いている部分および前記凹部22aから後ろ側に続いている部分は、上記のステー41とほぼ平行になっていて、ディスクRの外周縁よりも後ろ側に延びている。これらの部分の端部同士が後部プレート21によって連結されている。この後部プレート21の両端部に、第2および第3の支持杆44,45の下端部が連結されている。したがって、枠体2はその前後の三箇所で、各支持杆43~45によって保持されてブラケット42やステー41から吊り下げられている。
【0027】
一方、後部プレート21は、上記の左弦部23や右弦部22などより剛性(強度)が大きい細長い金属板であって、中央部分が下側に湾曲している。この湾曲した部分はいわゆるガイド部となっており、ここを地面に接触させた状態で上記の左弦部23や右弦部22などを地面から浮かせ、その状態でディスクRを地面に沿って左方向に移動させるようになっている。
【0028】
なお、アタッチメント1を主杆Hに固定するための手段は、従来知られている適宜のものであってよい。一例を挙げると、図1ないし図5に示す例では、二つ割りのリング構造の締結具46が2つ用いられている。すなわち、この締結具46は、ステー41に固定した一方の分割片と、他方の分割片とによって主杆Hを挟み込み、その状態で各分割片を連結するボルト(もしくはビス)を締め込むことにより、ステー41を主杆Hに固定し、アタッチメント1を草刈り機Sに取り付けるように構成されている。その場合、ブラケット42に設けられている上記の調整ブロック42bを短軸管Eの頂部に密着させて嵌合させる。したがって、枠体2は、主杆Hと短軸管Eとに連結されるとともに、3本の支持杆43~45による3ヶ所で支持されるので、草刈りに伴う振動が生じるとしても枠体2が大きく振れることを回避もしくは抑制することができる。
【0029】
図2はアタッチメント1の草刈り機Sへの着脱状況を示す説明図、図3はアタッチメントを草刈り機Sに装着した状態を示す斜視図である。ディスクRは図2に矢印Aで示す反時計周りに回転する。そして矢印Bに示すように、アタッチメント1の装着は横方向から、すなわちくし歯3のない側から行う。装着の際は取付枠4のブラケット42における調整ブロック42bを草刈り機Sの短軸管Eの上端部に嵌合させ、また2箇所の締結具46を草刈り機Sの主杆Hに固定する。
【0030】
図3は、アタッチメント装着状態の草刈り機Sを、作業者と反対側の前方から見た斜視図である。草刈り作業は、キックバックを生じさせないように、この草刈り機Sを矢印で示すように作業者から見て左側に振りながら行う。したがって、アタッチメント1のうちくし歯3のある部分が草を切断する箇所である。その場合、刃先が幾分下向きとなるようにディスクRを傾けるのが通常であり、それに伴ってくし歯3も傾く。しかしながら、くし歯3の先端部は前述したように、上向きに屈曲しているので、ディスクRと共に枠体2が傾くとしてもくし歯3の先端部は地面に突き刺さる向きにはならず地面とほぼ平行になる。つまり、くし歯3がディスクRを振る方向に向けて突き出ているとしても草刈り作業に支障となることは殆どない。また、枠体2における後部プレート21の下側に湾曲した部分を地面に接触させてディスクRを左方向に振って草刈りを行う。こうすることにより、後部プレート21をガイドとして草刈り機Sを地面に沿って移動させることができるので、草刈り機Sの重量の一部を地面に受け持たせることができることと相まって、作業者の負担を軽減できる。
【0031】
一方、追って説明するように、枠体2の後部プレート21は取り付け状態で下側に下がっていて地面に接触し、それに伴って上記の左弦部23や右弦部22を地面から浮き上がらせるので、枠体2は全体として、ディスクRの下側に所定の間隔をあけてディスクRとほぼ平行となるように保持されている。そのため、枠体2のうち、ディスクRの回転方向で、後部プレート21に続く凹部22aはディスクRよりも内側になっている。したがってくし歯3の位置で、万が一、蔓草が切断刃に絡まっても、ディスクRは反時計回りなので、後部プレート21や凹部22aのところを通過する間に「絡み」は解放され、詰まりは起こらない。
【0032】
図4は、図3の草刈り機Sを作業者の右側すなわち図3での向かって左側から見た側面図、図5は同じく前面から見た正面図である。枠体2の後部プレート21が、ディスクRのすぐ下ではなく、かなり下方に下がっていて、これに接続する右弦部22が前面から後面に向かって傾斜している。前記したように、蔓草の詰まり防止にはこれが効果を発揮していると思われる。また図4に示すように、草刈り機Sと取付枠4とは、草刈り機Sの短軸管Eと取付枠4のブラケット42、草刈り機Sの主杆Hと取付枠4の2箇所の締結具46との計3箇所で固定されており、きわめて安定していることもここで説明している実施例の特徴である。
【0033】
なお、これまで主として鉄道線路の道床や線路脇の草刈りの例で説明したが、本発明のアタッチメントは線路の除草に限らず、他の除草作業全般に適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 アタッチメント
2 枠体
3 くし歯
4 取付枠
21 後部プレート
22 右弦部
22a 凹部
23 左弦部
41 ステー
42 ブラケット
42a 取付板
42b 調整ブロック
43,44,45 第1ないし第3の支持杆
46 締結具
S 草刈り機
R ディスク
E 短軸管
H 主杆
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7