IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンクラジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-積荷移動台車 図1
  • 特開-積荷移動台車 図2
  • 特開-積荷移動台車 図3
  • 特開-積荷移動台車 図4
  • 特開-積荷移動台車 図5
  • 特開-積荷移動台車 図6
  • 特開-積荷移動台車 図7
  • 特開-積荷移動台車 図8
  • 特開-積荷移動台車 図9
  • 特開-積荷移動台車 図10
  • 特開-積荷移動台車 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152495
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】積荷移動台車
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B60P1/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055285
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】594016768
【氏名又は名称】オールセーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】沼辺 淳志
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積荷移動台車を積荷の下から抜き取る作業による作業者の負担を軽減することできる積荷移動台車を提供すること。
【解決手段】この積荷移動台車は、積荷が載置される上壁部11を有するボディ10と、ボディ10における上壁部11の下方に間隔をおいて設けられた複数の走行ローラ22と、複数の走行ローラ22を支持するシャーシフレームFLと、シャーシフレームFLにボディ10の長手方向に間隔をおいて設けられた複数の昇降ローラ32と、上壁部11の下面に固定された複数の傾斜部材33と、ボディ10における前記長手方向の一端側に設けられた第1昇降操作機構40と、ボディ10における前記長手方向の他端側に設けられた第2昇降操作機構50と、を備え、第1昇降操作機構40の操作によってボディ10がシャーシフレームFLに対してリフトされ、第2昇降操作機構50の操作によってボディ10がシャーシフレームFLに対してリフトされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けられた溝内に配置され、積荷が載置される上壁部を有するボディと、
前記ボディにおける前記上壁部の下方に前記ボディの長手方向に間隔をおいて設けられ、前記溝の底面上を転動する複数の走行ローラと、
前記複数の走行ローラを支持するシャーシフレームと、
前記シャーシフレームに前記長手方向に間隔をおいて設けられた複数の昇降ローラと、
前記上壁部の下面に固定された複数の傾斜部材と、
前記ボディにおける前記長手方向の一端側に設けられた第1昇降操作機構と、
前記ボディにおける前記長手方向の他端側に設けられた第2昇降操作機構と、を備え、
前記第1昇降操作機構の操作によって、前記ボディに対して前記シャーシフレームが前記長手方向の前記他端側に向かって移動すると共に、各前記昇降ローラが対応する前記傾斜部材の傾斜面上を転動し、これにより前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされ、
前記第2昇降操作機構の操作によって、前記ボディに対して前記シャーシフレームが前記長手方向の前記他端側に向かって移動すると共に、各前記昇降ローラが対応する前記傾斜面上を転動し、これにより前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされる、積荷移動台車。
【請求項2】
前記第2昇降操作機構が、
前記ボディに前記長手方向に揺動可能に支持された第1リンク部材と、
一端部が前記第1リンク部材に前記長手方向に揺動可能に連結されると共に、他端部が前記シャーシフレームに前記長手方向に揺動可能に連結され、前記第1リンク部材の所定方向への揺動によって前記長手方向の前記他端側に向かって移動する第2リンク部材と、
を有し、
前記第1リンク部材には、前記第1リンク部材を前記所定方向に向かって揺動させるための操作棒が係合する係合部が設けられ、
前記ボディの前記上壁部における前記長手方向の前記他端側には前記第2昇降操作機構を操作するための操作開口部が形成され、
前記所定方向に向かって揺動した前記第1リンク部材の少なくとも一部は、前記操作開口部を介して、前記上壁部における前記積荷が載置される載置面よりも上方に配置される、請求項1に記載の積荷移動台車。
【請求項3】
前記第1昇降操作機構の操作によって前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされる時に、前記第2昇降操作機構の前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が前記載置面よりも上方に配置されないように構成されている、請求項2に記載の積荷移動台車。
【請求項4】
前記第1リンク部材は前記ボディに前記長手方向に移動可能な態様で支持され、前記第1昇降操作機構の操作によって前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされる時に前記第1リンク部材が前記ボディの前記長手方向の前記他端側に向かって移動する、請求項3に記載の積荷移動台車。
【請求項5】
前記第1リンク部材は、前記長手方向に揺動可能、且つ、前記長手方向に移動可能な態様で前記ボディに支持されている、請求項2に記載の積荷移動台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積荷移動台車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の積荷移動台車は、床に設けられた溝の長手方向に長手を有するボディと、ボディの中空部内に前記長手方向に間隔をおいて配置された複数の走行ローラと、複数の走行ローラを支持するシャーシフレームと、を有する。また、この積荷移動台車は、シャーシフレームに前記長手方向に間隔をおいて設けられた複数の昇降ローラと、複数の昇降ローラに対応するようにボディに固定された斜面部材と、を備えている。そして、この積荷移動台車は、ボディの前記長手方向の一端側に設けられた昇降操作機構を操作すると、昇降操作機構によってシャーシフレームがボディの前記長手方向の他端側に向かって押されると共に、各昇降ローラが対応する斜面部材の下部の傾斜面上を転動し、これによりボディがシャーシフレームに対してリフトされる。例えば特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-064753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、一対の積荷移動台車に1000kg以上の積荷が載置され、1500kg以上の積荷が載置される場合もある。即ち、1つの積荷移動台車に加わる重量が750kg以上になることがある。このように重い積荷は、先ずフォークリフト等によってトラックの荷室の入り口近傍に載置される。フォークリフトの爪の長さや移動範囲に限界があるため、多くの場合は積荷の端部は、荷室の入り口の端と同等の位置、又は、荷室の入り口の端から突出した位置に配置される。
【0005】
この状況で、積荷移動台車を荷室の入り口側から積荷の下に挿し込んでも、積荷移動台車の操作側の端部が荷室に接地していない状態となる。このため、作業者は積荷移動台車を荷室の奥側から積荷の下に挿し込む必要がある。この状態で、作業者は、積荷のリフトを行うと共に積荷を荷室の奥側に少し移動した後、積荷移動台車を荷室の入り口側から積荷の下に再度挿し込み、積荷のリフトを行うと共に積荷を荷室の奥側の任意の位置まで移動する。このように積荷移動台車を積荷の下に複数回挿し込む作業は作業者の負担となる。
【0006】
前述の事情に鑑み、積荷移動台車を積荷の下に挿し込む作業および挿し込んだ積荷移動台車を積荷の下から抜き取る作業による作業者の負担を軽減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の積荷移動台車は、床面に設けられた溝内に配置され、積荷が載置される上壁部を有するボディと、前記ボディにおける前記上壁部の下方に前記ボディの長手方向に間隔をおいて設けられ、前記溝の底面上を転動する複数の走行ローラと、前記複数の走行ローラを支持するシャーシフレームと、前記シャーシフレームに前記長手方向に間隔をおいて設けられた複数の昇降ローラと、前記上壁部の下面に固定された複数の傾斜部材と、前記ボディにおける前記長手方向の一端側に設けられた第1昇降操作機構と、前記ボディにおける前記長手方向の他端側に設けられた第2昇降操作機構と、を備え、前記第1昇降操作機構の操作によって、前記ボディに対して前記シャーシフレームが前記長手方向の前記他端側に向かって移動すると共に、各前記昇降ローラが対応する前記傾斜部材の傾斜面上を転動し、これにより前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされ、前記第2昇降操作機構の操作によって、前記ボディに対して前記シャーシフレームが前記長手方向の前記他端側に向かって移動すると共に、各前記昇降ローラが対応する前記傾斜面上を転動し、これにより前記ボディが前記シャーシフレームに対してリフトされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の積荷移動台車および荷室の斜視図である。
図2】本実施形態の積荷移動台車の縦断面図である。
図3】本実施形態の積荷移動台車の要部縦断面図である。
図4】本実施形態の積荷移動台車の要部縦断面図である。
図5】本実施形態の積荷移動台車の縦断面図である。
図6】本実施形態の積荷移動台車の要部縦断面図である。
図7】本実施形態の積荷移動台車の要部縦断面図である。
図8】本実施形態の積荷移動台車の縦断面図である。
図9】本実施形態の積荷移動台車の操作棒の平面図である。
図10】本実施形態の変形例の積荷移動台車の要部縦断面図である。
図11】本実施形態の変形例の積荷移動台車の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積荷移動台車が図面を参照しながら以下に説明されている。
この積荷移動台車は、図1図4に示すように、荷室1、コンテナ等の床面2に設けられた溝3内に、溝3の長手方向に長手を有するように配置される。以下の説明は、方向に関する説明を分かりやすくするために、図3および図4に示すように水平な面の上に載置された積荷移動台車について説明されている。
【0010】
この積荷移動台車は、パレット4等を含む積荷が載置される載置面10aを備えると共に下方に開口する中空部10bを有するボディ10を備える。また、この積荷移動台車は、ボディ10の長手方向に間隔をおいて中空部10b内に配置され、溝3の底面上を転動する複数の走行ローラ22を有し、溝3内でその長手方向に移動する複数のローラ台車20を備える。つまり、上壁部11の下方に複数の走行ローラ22および複数のローラ台車20が配置されている。また、この積荷移動台車は、ボディ10をローラ台車20に対して昇降させ、上昇時に載置面10aを溝3の上端よりも上方に配置させる昇降機構を備える。
【0011】
この積荷移動台車は、トラック等の車両の荷室1内、コンテナ内等で積荷を移動させるために使用される。例えば、車両の進行方向に延びる複数の溝3が床面2に設置されている荷室1内において、作業者によって積荷移動台車が積荷の下の溝3内に配置されると共に、作業者が積荷移動台車によって積荷を床面2から浮かせて車両の進行方向に移動させる。
【0012】
各ローラ台車20は、図2図5等に示すように、台車幅方向に互いに対向する一対のフレーム板21と、一対のフレーム板21によって支持された複数の走行ローラ22とを有する。各フレーム板21は金属製の板部材である。本実施形態では各ローラ台車20に2つ又は3つの走行ローラ22が取付けられ、2つの走行ローラ22はローラ台車20における台車長手方向の両端側にそれぞれ配置されている。各走行ローラ22は台車幅方向に延びる支軸を有し、各走行ローラ22は支軸周りに回転可能である。支軸の両端はそれぞれ一対のフレーム板21に固定されている。
【0013】
ボディ10は、図1図2等に示すように、鋼鈑等の金属製板部材を屈曲成形することにより形成されている。ボディ10は、図1図5等に示すように、積荷が載置される載置面10aを構成する平板状の上壁部11と、上壁部11における台車幅方向の一方及び他方から下方に延びる一対の側壁部12とを有する。上壁部11の下方には、上壁部11及び一対の側壁部12によって囲まれた中空部10bが形成されている。なお、図1に示すように、ボディ10の長手方向は台車長手方向と一致しており、ボディ10の幅方向、つまり一対の側壁部12が対向する方向は、台車幅方向と一致している。また、図1図5等に示すように、一対の側壁部12は上下方向に延びていると言える。
【0014】
複数のローラ台車20は、図2および図5に示すように、フレーム板23によって台車長手方向に互いに連結されている。フレーム板23は金属製の板部材であり、対となるローラ台車20を一対のフレーム板23が連結している。一例では、一対のフレーム板23は互いに台車幅方向に対向しており、各フレーム板23の一端は対となるローラ台車20の一方のフレーム板21に連結され、各フレーム板23の他端は対となるローラ台車20の他方のフレーム板21に連結されている。本実施形態では、複数のフレーム板21および複数のフレーム板23によって、複数の走行ローラ22を台車長手方向に間隔をおいて回転可能に支持するシャーシフレームFLが形成されている。
【0015】
図1図3図4等に示すように、ボディ10における台車長手方向の一端側には後述する第1昇降操作機構40が収容されている。また、ボディ10の上壁部11における台車長手方向の一端側には上壁部11を上下方向に貫通する第1操作開口部11aが設けられている。例えば、鋼鈑等の金属製板部材を屈曲成形して上壁部11及び一対の側壁部12が形成される際に、第1操作開口部11aが打ち抜き加工、機械加工等により形成される。
【0016】
図1図3図4等に示すように、ボディ10における台車長手方向の他端側には後述する第2昇降操作機構50が収容されている。また、ボディ10の上壁部11における台車長手方向の他端側には上壁部11を上下方向に貫通する第2操作開口部11bが設けられている。例えば、鋼鈑等の金属製板部材を屈曲成形して上壁部11及び一対の側壁部12が形成される際に、第2操作開口部11bが打ち抜き加工、機械加工等により形成される。
【0017】
本実施形態の昇降機構は、図2および図5に示すように、シャーシフレームFLに回転可能に設けられた複数の昇降ローラ32と、ボディ10の上壁部11の下面に固定され、傾斜面33aを有する複数の斜面部材33と、昇降を操作する第1昇降操作機構40および第2昇降操作機構50とを有する。傾斜面33aは各斜面部材33の下部に形成されている。
【0018】
本実施形態では、複数のローラ台車20にそれぞれ昇降ローラ32が設けられている。複数の斜面部材33は複数の昇降ローラ32にそれぞれ対応した位置に設けられている。各斜面部材33の傾斜面33aは、ボディ10の台車長手方向における他端側の方が一端側よりも下側に位置する面である。
本実施形態では、昇降ローラ32は各ローラ台車20において2つの走行ローラ22の間に配置されている。
【0019】
図5に示すようにシャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の他端側(第2操作開口部11bが設けられた側)に移動させると、昇降機構において、各昇降ローラ32が対応する斜面部材33の傾斜面33a上を転動すると共に、各昇降ローラ32が対応する斜面部材33の頂部に移動し、これによりローラ台車20に対してボディ10が上方の位置(リフト位置)に移動する。各斜面部材33の頂部にはボディ10がリフト位置にある時に昇降ローラ32が収まる凹部33b(図4)が形成されている。一方、図2に示すようにシャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の一端側(第1操作開口部11aが設けられた側)に移動させると、各昇降ローラ32が各斜面部材33の傾斜面33aの麓位置又は下りた位置に移動し、ローラ台車20に対してボディ10が下方の位置(下降位置)に移動する。
【0020】
第1昇降操作機構40は、シャーシフレームFLの台車長手方向の一端に連結されている。また、第1昇降操作機構40は、図9に示される操作棒60の一端60aが挿し込まれ係合する挿入穴(係合部)40a(図3等)を有する。第1昇降操作機構40は、挿入穴40aに取付けられた操作棒60の他端を台車長手方向且つ下方に傾動させることにより、シャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の他端側に押して移動させる(リフト動作)。また、第1昇降操作機構40は、挿入穴40aに取付けられた操作棒60の他端を前記リフト動作の時と反対方向に傾動させることにより、シャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の一端側に移動させる。
【0021】
この積荷移動台車は、図1に示すように、床面2に車両の進行方向に延設された複数の溝3のうち、積荷のパレット4の下方に配置された溝3内に挿入される。また、作業者が操作棒60によって昇降機構を操作してボディ10をシャーシフレームFLに対して上昇させることにより(リフト動作)、パレット4を積荷移動台車の上に載置して床面2から浮かせる。この状態で、作業者が操作棒60の他端側に車両進行方向の力を加えることにより、荷室内で積荷を車両進行方向に移動させる。
【0022】
図3図6等に示すように、本実施形態の第1昇降操作機構40は、カム部材41を有する。カム部材41における一端側には、ボディ10が前記下降位置にある時に台車長手方向に延びると共に少なくとも一部が台車長手方向の他端側に向かって斜め上方に延びる長孔42を有する。長孔42には台車幅方向に延びるシャフト44が台車前後方向に係合しており、シャフト44はボディ10に固定されている。当該一端側は、ボディ10が前記下降位置にある時において、カム部材41における台車長手方向の他端側である。本実施形態では、長孔42の台車長手方向の一端側は、ボディ10が前記下降位置にある時に台車長手方向に延びる第1部分42aであり、長孔42の台車長手方向の他端側は、ボディ10が前記下降位置にある時に台車長手方向に延びると共に斜め上方に延びる第2部分42bである。第1部分42aと第2部分42bとは滑らかに繋がっている。
【0023】
図3図6等に示すように、カム部材41における他端側であって長孔42よりも他端側はシャーシフレームFLの台車長手方向の一端側に台車長手方向に揺動可能に連結されている。本実施形態では、カム部材41における他端側はあるローラ台車20に連結され、当該連結部43の位置はそのローラ台車20の1つの走行ローラ22と別の走行ローラ22との間である。当該連結部43は、シャーシフレームFLに対するカム部材41の台車長手方向の揺動を許容する態様であればよく、本実施形態では、シャーシフレームFLに固定されたシャフトがカム部材41に設けられた孔を貫通している。また、カム部材41は、図9に示される操作棒60の一端60aが着脱自在に取付けられる挿入穴40aを有する。本実施形態では台車長手方向において長孔42と連結部43との間に挿入穴40aが配置されているが、操作部60によってカム部材41を台車長手方向に揺動させることができれば、挿入穴40aをカム部材41の他の位置に設けることも可能である。
【0024】
挿入穴40aに取付けられた操作棒60の他端を台車長手方向且つ下方に傾動させることにより、カム部材41が台車長手方向に揺動し、図3の状態から図6の状態に移行し、ボディ10をシャーシフレームFLに対して台車長手方向の他端側に押して移動させる(リフト動作)。これにより、各昇降ローラ32が対応する斜面部材33の頂部に移動し、ローラ台車20に対してボディ10が上方の位置(リフト位置)に移動する。
また、この状態で、カム部材41の一端部は第1操作開口部11aを介して載置面10aよりも上方に突出する。
【0025】
また、40aに取付けられた操作棒60の他端を前記リフト動作の時と反対方向に傾動させることにより、シャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の一端側に移動させる。これにより、ローラ台車20に対してボディ10が下方の位置(下降位置)に移動する。
この状態で、カム部材41は、載置面10aよりも下方に配置される。
【0026】
第2昇降操作機構50は、シャーシフレームFLの台車長手方向の他端側に連結されている。また、第2昇降操作機構50は、図9に示される操作棒60の一端60aが着脱自在に取付けられる挿入穴50aを有する。第2昇降操作機構50は、挿入穴50aに取付けられた操作棒60の他端を台車長手方向且つ下方に傾動させることにより、シャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の他端側に引っ張って移動させるように構成されている(リフト動作)。また、第2昇降操作機構50は、挿入穴50aに取付けられた操作棒60の他端を前記リフト動作の時と反対方向に傾動させることにより、シャーシフレームFLをボディ10に対して台車長手方向の一端側に移動させるように構成されている。
【0027】
図4図7等に示すように、本実施形態の第2昇降操作機構50は、第1リンク部材51および第2リンク部材52を有する。第1リンク部材51の一端部はボディ10における台車長手方向の他端側に台車長手方向に揺動可能に支持され、第2リンク部材52の一端部は第1リンク部材51の他端部に台車長手方向に揺動可能に連結されている。第2リンク部材52の他端部は、シャーシフレームFLにおける長手方向の他端側、つまり複数のローラ台車20のうち最も台車長手方向の他端側に配置されたローラ台車20に台車長手方向に揺動可能に連結されている。
【0028】
本実施形態では、第1リンク部材51の一端部には台車幅方向外側に延びる一対の第1支軸51aが設けられている。また、ボディ10における台車長手方向の他端側の一対の側壁部12にはそれぞれ溝12aが設けられ、第1支軸51aの端がそれぞれ一対の側壁部12の溝12aによって台車長手方向に移動可能に支持されている。各溝12aは台車長手方向に長手を有する溝であり、各溝12aの上下方向の寸法は第1支軸51aの直径よりも僅かに大きい。このため、第1リンク部材51の一端部は溝12aに沿って台車長手方向に移動可能である。なお、溝12aが設けられた板部材等の他の部材が側壁部12の中空部10b側の面に固定されていてもよい。また、各側壁部12に溝12aの代わりに台車長手方向に長手を有する長孔が設けられ、当該長孔に第1支軸51aが台車長手方向に移動可能な態様で支持されてもよい。
【0029】
第1リンク部材51における前記一端部と前記他端部との間に挿入穴50aが形成されている。挿入穴50aに取付けられた操作棒60の他端側を台車長手方向且つ下方に傾動させることにより、第1リンク部材51がその一端部周りに台車長手方向の他端側に向かって揺動し(所定方向への揺動)、第2リンク部材52が台車長手方向の他端側に向かって移動する(図8)。第2昇降操作機構50の当該動きによってボディ10がリフト位置に移動する。
この状態で、第1リンク部材51の他端部および第2リンク部材52の一端部は第2操作開口部11bを介して載置面10aよりも上方に突出する。
【0030】
挿入穴50aに取付けられた操作棒60の他端側を反対方向に傾動させることにより、第1リンク部材51がその一端部周りに台車長手方向の一端側に向かって揺動し、第2リンク部材52が台車長手方向の一端側に向かって移動する。第2昇降操作機構50の当該動きによってボディ10が下降位置に移動する。
この状態で、第1リンク部材51および第2リンク部材52は、載置面10aよりも下方に配置される。
【0031】
前述のように、第1昇降操作機構40のカム部材41と、第2昇降操作機構50の第1リンク部材51および第2リンク部材52とは、ボディ10が下降位置に配置されている時に、載置面10aよりも下方に配置される。このため、使用していない時に積荷移動台車がコンパクトになり、積荷移動台車を溝3内に完全に収納することも可能となる。
【0032】
本実施形態では、図2および図5に示すように、ボディ10の上壁部11の下面に複数の脱落防止プレート13が固定されている。複数の脱落プレート13は台車長手方向に間隔をおいて配置されている。一方、シャーシフレームFLには複数の脱落防止プレート13にそれぞれ上方から係合する複数の係合ピン34が固定されている。脱落防止プレート13および係合ピン34によって、シャーシフレームFLがボディ10から脱落しないように構成されている。
【0033】
代わりに、例えば特開2016-064753号公報に示される従来の積荷移動台車と同様に、フレーム板21における台車幅方向の外側の面に斜めの溝が形成され、ボディ10の側壁部12に前記溝に係合するピンが固定されていてもよい。当該ピンが当該溝に上下方向に係合することによって、シャーシフレームFLがボディ10から脱落しないように構成される。なお、シャーシフレームFLのボディ10からの脱落を防止する他の公知の構造が採用されてもよい。
【0034】
図1図2図47等に示すように、ボディ10の上壁部11における台車長手方向の他端側には、上下方向に貫通する貫通孔11cが形成されている。また、貫通孔11c内にはストッパ14が上下方向に移動可能に収容されている。ストッパ14は上壁部11の下面に固定された収容部15内に収容され、収容部15内には付勢部材であるスプリング16が配置されている。スプリング16はストッパ14を上方に付勢し、スプリング16の付勢力によってストッパ14の上端部が載置面10aから上方に突出している。また、ストッパ14に下方に向かう力が加わると、ストッパ14はスプリング16の付勢力に抗して下方に移動し、これによりストッパ14の上端が載置面10aと同等の位置又は載置面10aよりも下方に配置される。
【0035】
ストッパ14は第2昇降操作機構50の挿入穴50aおよび第2操作開口部10bよりも台車長手方向の一端側に配置され、本実施形態ではストッパ14と挿入穴50a又は第2操作開口部10bとの台車長手方向の一端部との距離は10cm以下である。また、ストッパ14の上端面は、図4等に示すように、台車長手方向の他端側から一端側に向かって斜め上方に向かって傾斜している。
【0036】
この積荷移動台車の最も効率的な使用方法の一つを説明する。先ず、図1に示すように、第1昇降操作機構40側が荷室1、コンテナ等の入り口に配置され、第2昇降操作機構50側が荷室1、コンテナ等の奥側に配置されるように、作業者は積荷移動台車を溝3内に配置する。多くの場合、1つのパレット4の下に2つの溝3が配置され、1つのパレット4の下に一対の積荷移動台車が配置される。この時、図1に示すように、既に積荷のパレット4が床面2上に載置されていてもよく、積荷移動台車が溝3内に配置された後にパレット4が床面2上に載置されてもよい。
【0037】
この状態で、図1に示すように、第2昇降操作機構50の少なくとも一部がパレット4よりも荷室1等の奥側に配置されており、第1昇降操作機構40の少なくとも一部がパレット4よりも荷室1の入り口側に配置されている。換言すると、積荷移動台車のボディ10は上記の状態になるような長さを有する。
【0038】
本実施形態では、ストッパ14がパレット4に荷室1等の奥側から当接する態様で、積荷移動台車が溝3内に配置される。これにより、パレット4が積荷移動台車上の適切な位置に確実に載置される。なお、パレット4がストッパ14上に間違って載置されても、ストッパ14がスプリング16の付勢力に抗して載置面10aの下方に配置されるので、特に問題はない。
【0039】
ここで、荷室1等にパレット4を載置するフォークリフトは、フォークの長さが限られているので、パレット4における荷室1等の入り口側の端が荷室1等の入り口の近傍に配置される。このため、図1のように積荷移動台車の第1昇降操作機構40側が荷室1から突出した状態となり易く、この状態で第1昇降操作機構40を操作するのは作業者等の安全の観点で好ましくない。
【0040】
続いて、作業者は、操作棒60の一端60aを第2昇降操作機構50の挿入穴50aに取付け、前記リフト動作を行う。これによりシャーシフレームFLに対しボディ10をリフト位置に移動させる。この状態で、作業者は操作棒60を引っ張ることによって、一対の積荷移動台車を荷室1等の奥側に移動させる。
【0041】
続いて、作業者は、操作棒60によってボディ10を前記下降位置に移動させる。そして、作業者は、操作棒60を第1昇降操作機構40の挿入穴40aに取付け、前記リフト動作を行う。当該リフト動作によってシャーシフレームFLがボディ10に対して台車長手方向の他端側に移動する。
【0042】
ここで、第2昇降操作機構50の第1リンク部材51の一端部は、溝12aに沿って台車長手方向に移動可能である。このため、前記リフト動作によってシャーシフレームFLがボディ10に対して台車長手方向の他端側に移動する時に、第1リンク部材51の一端部も台車長手方向の他端側に移動する。このため、図5および図7に示すように、第2昇降操作機構50の第1リンク部材51および第2リンク部材52は載置面10aよりも上方に突出しない。
なお、第2昇降操作機構50によってリフト動作を行うと、第1昇降操作機構40のカム部材41が第1操作開口部11aを介して載置面10aよりも上方に突出する。
【0043】
一例では、作業者は、パレット4を荷室1等の奥に隙間無く収容するために、第2昇降操作機構50の上方にパレット4を載置した状態で、第1昇降操作機構40によってリフト動作を行い、パレット4を荷室1等の奥側に移動する。そして、作業者は、パレット4が所望の位置に移動された後に第1昇降操作機構40によってボディ10を下降させ、パレット4を所望の位置に載置する。
【0044】
この積荷移動台車を用いると、作業者は、前述のようにパレット4の下に入れた積荷移動台車の前後の向きを変更する必要がない。また、この積荷移動台車では、第1昇降操作機構40によってボディ10をリフト位置に移動した時に、第2昇降操作機構50の第1リンク部材51および第2リンク部材52は載置面10aよりも上方に突出しない。このため、この積荷移動台車を用いると、作業者はパレット4が積荷移動台車の他端部に載っている状態で第1昇降操作機構40によってボディ10をリフト位置に移動できる。従って、パレット4を荷室1等の奥側に移動させる時に、パレット4とその奥の荷物との隙間を小さくすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、前述のように、第2昇降操作機構50によってリフト動作を行う場合は、シャーシフレームFLが台車長手方向の一端側に向かって引っ張られる。つまり、各フレーム板21,23に圧縮方向の力ではなく引張方向の力が加わる。また、図1のように積荷移動台車の一端部が荷室1等の入り口から突出した状態で第1昇降操作機構40によってリフト動作を行うと、シャーシフレームFLに異常な力が加わり易いが、第2昇降操作機構50があることによりその可能性が低減される。このため、各フレーム板21,23の板厚寸法を小さくすることも場合によっては可能となり、当該構成は積荷移動台車の軽量化および耐久性の向上に寄与する。
【0046】
なお、第1昇降操作機構40を図10および図11に示すように構成してもよい。図10および図11では、カム部材41の他端側が直接にシャーシフレームFLに連結されていない。代わりに、カム部材41の他端側がリンク部材42の一端に台車長手方向に揺動可能に連結され、リンク部材42の他端がシャーシフレームFLの台車長手方向の一端側に台車長手方向に揺動可能に連結されている。
【0047】
図10および図11では、ボディ10の台車長手方向の一端部に収容部17が形成され、収容部17内にカム部材41とリンク部材42の一部が収容されている。収容部17は例えば金属板をボディ10の一端部に溶接等で固定することによって形成されている。図10および図11では収容部17は載置面10aよりも上方に突出している。また、図10および図11では、カム部材41の一端側は収容部17に台車長手方向に揺動可能に支持されており、カム部材41の一端側には挿入穴40aも設けられている。挿入穴40aの位置は適宜決定可能である。
【0048】
図10および図11に示す積荷移動台車では、挿入穴40aに取付けられた操作棒60の他端側を台車長手方向且つ下方に傾動させた時に、シャーシフレームFLがボディ10に対して台車長手方向の他端側に移動する。第1昇降操作機構40の当該動きによってボディ10がリフト位置に移動する。この場合でも、第1リンク部材51の一端部が溝12aに沿って台車長手方向の他端側に移動し、第2昇降操作機構50の第1リンク部材51および第2リンク部材52は載置面10aよりも上方に突出しない。
【0049】
なお、上記実施形態において、ボディ10の中空部10b内に1つの長いローラ台車20が設けられてもよい。この場合、複数の昇降ローラ32がローラ台車20に台車長手方向に間隔をおいて設けられ、フレーム板23は設けられない。つまり、シャーシフレームFLが長いフレーム板21から形成される。この場合でも前述と同様の作用効果が達成される。
【符号の説明】
【0050】
1 荷室
2 床面
3 溝
4 パレット
10 ボディ
10a 載置面
10b 中空部
11 上壁部
11a 第1操作開口部
11b 第2操作開口部
12a 溝
20 ローラ台車
21 フレーム板
22 走行ローラ
23 フレーム板
32 昇降ローラ
33 斜面部材
33a 傾斜面
40 第1昇降操作機構
40a 挿入穴(係合部)
41 カム部材
50 第2昇降操作機構
50a 挿入穴(係合部)
51 第1リンク部材
51a 支軸
52 第2リンク部材
60 操作棒
FL シャーシフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11