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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152515
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20221004BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20221004BHJP
   B60T 8/92 20060101ALI20221004BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20221004BHJP
   F16H 61/12 20100101ALI20221004BHJP
   F16H 63/48 20060101ALI20221004BHJP
   F16H 59/12 20060101ALI20221004BHJP
   F16H 59/40 20060101ALI20221004BHJP
   F16H 59/54 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F16H61/00
B60W30/08
B60T8/92
B60T17/22 C
F16H61/12
F16H63/48
F16H59/12
F16H59/40
F16H59/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055311
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】ベシュド ナシム
(72)【発明者】
【氏名】下郷 真弓
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇司
(72)【発明者】
【氏名】上原 秀章
【テーマコード(参考)】
3D049
3D241
3D246
3J552
【Fターム(参考)】
3D049BB02
3D049CC01
3D049HH51
3D049KK13
3D049QQ01
3D049RR04
3D049RR11
3D241AA71
3D241BA55
3D241BB73
3D241BB77
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DB02Z
3D246BA01
3D246DA02
3D246EA09
3D246GA01
3D246HA43
3D246HA86A
3D246JB43
3D246LA04Z
3D246MA08
3D246MA18
3J552NA01
3J552PA51
3J552PB03
3J552PB08
3J552PB09
3J552QB06
3J552QC09
3J552RA21
3J552RA27
3J552RB02
3J552TA10
3J552TB02
3J552TB13
3J552UA05
3J552VA37W
3J552VA63W
3J552VA76W
3J552VB01W
3J552VB16X
(57)【要約】
【課題】 ブレーキセンサの異常時においても、安全に駐車状態を維持することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】 少なくともパーキングレンジを選択可能なシフト選択部18と、ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキセンサ22と、車速を検出する車速センサ23と、ブレーキセンサ22によりブレーキペダルが踏み込まれている状態が検出され、かつ、車速に基づいて停車状態と判定した場合に、パーキングレンジへのシフト切り換えを許可する制御部40とを備え、制御部40は、ブレーキセンサ22に関連する異常が検出されたときは、車速に基づいて停車状態と判定され、かつ、停車状態が所定時間継続した場合に、パーキングレンジへのシフト切り換えを許可することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともパーキングレンジとその他のシフトレンジを選択可能なシフトレンジ選択部と、
ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキ状態検出部と、
車両の車速を検出する車速検出部と、
前記ブレーキ状態検出部により前記ブレーキペダルが踏み込まれている状態が検出され、かつ、前記車速検出部により検出された車速から前記車両が停車状態と判定した場合に、前記その他のシフトレンジから前記パーキングレンジへのシフト切り換えを許可する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ブレーキ状態検出部に関連する異常を検出したときは、前記車速検出部により検出された車速から前記車両が停車状態と判定し、かつ、前記停車状態が所定時間継続した場合に、前記その他のシフトレンジから前記パーキングレンジへのシフト切り換えを許可することを特徴とする、
車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の制御装置、詳しくは、ブレーキセンサに関連する異常の検出時にフェールセーフ制御を行う車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバーによるブレーキペダルの踏み込み操作に基づいて車両の制動力を制御するフットブレーキ装置が存在しており、ブレーキペダルの踏み込み状態は、ブレーキ液圧センサ、ストロークセンサなどブレーキセンサによって検出されている。こうしたブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキセンサの異常を検出する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-240617号公報
【特許文献2】特開2018-103848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、ブレーキセンサは、本来のブレーキペダルの踏み込み状態を検出することは勿論、ブレーキセンサの検出結果は様々な用途に用いられている。例えば、ドライバーがシフトレバーなどを操作することにより変速段を設定するシフトレンジの選択条件にも利用されている。
【0005】
シフトレンジは複数のレンジが設けられており、例えば、パーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、走行レンジ(Dレンジ)等が設定されている。このうち、走行レンジ、リバースレンジ及びニュートラルレンジからパーキングレンジへの切り換えは、車両が確実に停止している状態で切り換えられることが望ましい。そのため、車速センサからの情報に基づいて車両が停車状態であることが検出され、且つ、ブレーキセンサからの情報に基づいてブレーキペダルが踏み込まれていることが検出された場合に走行レンジからパーキングレンジへの切り換えが許可されている。
【0006】
しかしながら、ブレーキセンサの信号が途絶するなどブレーキセンサに関連する異常が生じてしまった場合には、ブレーキペダルが踏み込まれていることが検出されないため、走行レンジ、リバースレンジ及びニュートラルレンジからパーキングレンジへの切り換えが許可されない状態に陥ってしまうことが考えられる。そのような場合は、走行レンジやニュートラルレンジの状態で駐車ブレーキを作動させて停車状態を維持することが考えられるが、安全上、そのような状態で車両を長時間停車させることは好ましくない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両のブレーキセンサに関連する異常がある場合においても、安全に駐車状態を維持することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0009】
本適用例に係る車両の制御装置は、少なくともパーキングレンジとその他のシフトレンジを選択可能なシフトレンジ選択部と、ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキ状態検出部と、車両の車速を検出する車速検出部と、前記ブレーキ状態検出部により前記ブレーキペダルが踏み込まれている状態が検出され、かつ、前記車速検出部により検出された車速から前記車両が停車状態と判定した場合に、前記その他のシフトレンジから前記パーキングレンジへのシフト切り換えを許可する制御部とを備え、前記制御部は、前記ブレーキ状態検出部に関連する異常を検出したときは、前記車速検出部により検出された車速から前記車両が停車状態と判定し、かつ、前記停車状態が所定時間継続した場合に、前記その他のシフトレンジから前記パーキングレンジへのシフト切り換えを許可することを特徴とする。
【0010】
ブレーキ状態検出部(例えばブレーキ液圧センサやストロークセンサ)に関連する異常が生じた場合、従来の制御では、その他のレンジ(走行レンジ、リバースレンジやニュートラルレンジ)からパーキングレンジへの切り換えができないため、ドライバーは走行レンジなどのシフトレンジで駐車ブレーキなど作動して駐車状態を維持することになってしまう。これに対して上記構成の本発明では、ブレーキ状態検出部の異常を検出したときには、車両が所定時間以上確実に停車しているか否かを車速に基づいて制御部が判別して、車両が停車状態であると判別された場合にパーキングレンジへの切り換えを許可するフェールセーフ制御を行うこととしている。
【0011】
従って、ブレーキ状態検出部が正常であるときは、ブレーキの踏み込みに基づく速やかなパーキングレンジへの切換許可ができる。そして、ブレーキ状態検出部が異常であるときであっても、車速から車両が確実に停止していることの確認できた場合にはパーキングレンジへの切換許可を行うことで、車両が停止しているにもかかわらずパーキングレンジに切り換えることができなくなるという状態を防ぐことができる。これは、例えば車両の動力発生部のシャットダウンの条件にパーキングレンジであることが含まれる場合に、動力発生部をシャットダウンできなくなるという問題を解消することにもつながる。
【0012】
これにより、車両のブレーキセンサに関連する異常(センサの異常、センサの信号異常)がある場合においても、安全に駐車状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を適用した車両の概略構成図である。
図2】シフト選択部の一例の上面概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置の制御システムのブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置が実行するフェールセーフ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る車両の制御装置1を適用した車両10の駆動系の主要部分を示す概略構成図である。車両10は、動力発生部11が駆動力を発生させ、当該駆動力が動力伝達部12及び駆動軸13を介して左右の駆動輪14に伝達されることで走行する。本実施形態の動力発生部11はエンジン(内燃機関)であり、動力発生部11の出力軸(不図示)は動力伝達部12において自動変速機15の入力軸(不図示)と連結され、自動変速機15の出力軸16は、差動機構17を介して駆動軸13に連結されている。なお、車両10は、動力発生部11が走行用モータである電気自動車であってもよいし、動力発生部としてエンジンと走行用モータを備えるハイブリッド車両であってもよい。また、動力伝達部12における自動変速機15は動力発生部11が走行用モータである電気自動車の場合には減速機であっても良い。
【0016】
車両10は、運転席付近にシフトレバー等のシフト選択部(シフトレンジ選択部)18を備える。図2は、本実施形態のシフト選択部18を示す上面概略図である。シフト選択部18は、主にシフトチェンジの指示を行うためにドライバーが操作してシフトレンジを選択可能なシフトレバー及びスイッチを含む装置である。シフト選択部18において選択可能なシフト位置としては、自動変速機15のギヤをニュートラルとするニュートラルレンジ(N)、前進走行時に選択する走行レンジ(D)、後進時に選択するリバースレンジ(R)、駐車時に選択するパーキングレンジ(P)(以下、Pレンジという)等がある。また、図2には図示されていないが、その他のレンジとして、手動で変速段をシフトアップ又はシフトダウン可能なマニュアルレンジ(M)等を備えることもできる。
【0017】
また、本実施例ではPレンジの選択を、図2に示すような作動ランプ24を備える押しボタン型のPレンジスイッチ25を押下することにより行う。なお、本実施例では押しボタン型のPレンジスイッチ25としているが、その他のレンジと同じようにシフトレバーで操作できるように設けても良い。
【0018】
自動変速機15は、動力発生部11で発生した動力を車速に合わせて変速し、動力を駆動輪14へ伝達する。自動変速機15は、いわゆるオートマティックトランスミッションであり、後述する制御部40からの制御情報に基づいて、所定の変速段が自動的に選択されるように制御される。例えば、シフト選択部18でシフトレンジとして走行レンジ(以下、Dレンジという)が選択された場合、動力発生部11の駆動力が左右の駆動輪14に伝達される。一方、シフト選択部18でニュートラルレンジ(以下、Nレンジという)が選択された場合は、動力発生部11から左右の駆動輪14への駆動力の伝達が遮断される。
【0019】
車両10は、さらに、自動変速機15の出力軸16の出力側に、パーキングロック19を備える。パーキングロック19は、シフトレンジがPレンジの場合に、自動変速機15の出力軸16を拘束し、車両10の駐車状態を維持するためのものである。具体的には、車両10の自動変速機15の出力軸16に設けられた固定ギヤに爪付きロックレバーが噛合して、出力軸16の回転を拘束する。パーキングロック19は、パーキングロック用電動アクチュエータ(不図示)を備え、後述する制御部40によってパーキングロック用電動アクチュエータの作動が制御されて、爪付きロックレバーが駆動される。
【0020】
車両10は、運転席付近にアクセルペダル20aを備える。アクセルペダル20aは運転者の踏み込み操作に応じて、車両10を加速又は減速の指示を行うためのペダルである。
【0021】
車両10は、アクセル開度センサ20を備える。アクセル開度センサ20は、アクセルペダル20aの踏み込み状態を検出する機能を有しており、検出した結果を制御部40に出力する。
【0022】
車両10は、運転席付近にブレーキペダル22aを備える。ブレーキペダル22aは運転者がブレーキの指示を行うためのペダルである。車両10は、ブレーキペダル22aの操作に応じて作動するアクチュエータ(不図示)により駆動輪14等に制動力を付与して車両10を減速又は停車させる。
【0023】
車両10は、ブレーキセンサ22(ブレーキ状態検出部)を備える。ブレーキセンサ22は、ブレーキペダル22aの踏み込み状態を検出する機能を有する。具体的には、ブレーキセンサ22は、ブレーキペダル22aに対する踏力に応じたブレーキ液の圧力Bpを検出し、制御部40にアナログ電圧値で出力する。
【0024】
車両10は、車両10の車速Vを検出して制御部40に出力する車速センサ(車速検出部)23を備える。この車速センサ23としては、駆動輪14又は図示しない従動輪の回転速度を検出するものや動力発生部11であるエンジンのクランクシャフトの回転速度を検出するものを適用することができる。
【0025】
このように構成された車両10の各部は、車両10に搭載された制御部40に接続されている。制御部40は、電子演算装置から構成される制御ユニットで、例えばVCU(車両制御ユニット:Vehicle Control Unit)であり、車両の制御装置1の各コンポーネントや各種センサとCAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークを介して通信可能である。本実施形態では、制御部40は、主に予めインストールされた所定のプログラムに従って動作しブレーキセンサ22に関連する異常の検出及びシフトレンジの切換制御を行う機能を有する。なお、制御部40は複数の制御ユニットから構成されてもよく、例えばブレーキセンサ22に関連する異常を判定するユニットと、シフトレンジの切換を制御するユニット(いわゆるCLU:Change Lever Unit)とが連携して以下の制御を実行してもよい。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置1の制御システムのブロック図である。本図を参照して、車両の制御装置1の構成と機能を以下に説明する。
【0027】
車両の制御装置1は、自動変速機15、シフト選択部18、パーキングロック19、アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22、及び、車速センサ23と、これらと通信可能に接続された制御部40を備える。制御部40は、相互に通信可能に接続された、検出状態判定部41、及び、シフト切換制御部42を備える。
【0028】
パーキングロック19は、制御部40がPレンジへの切換えを許可した場合に、パーキングロック用電動アクチュエータを作動させる。パーキングロック19は、ロックレバーが噛合したことを検知するパーキングロック作動スイッチ、例えばリミットスイッチ(不図示)を備え、パーキングロック19の作動状態を示すパーキングロック作動情報、又はその解除状態を示すパーキングロック解除情報を生成し、制御部40に出力する機能を有する。ここで、パーキングロック19の作動状態とは、ロックレバーが固定ギヤに噛合した状態をいい、解除状態とはロックレバーが固定ギヤから外れている状態をいうものとする。
【0029】
シフト選択部18は、選択されたシフトレンジの要求情報を生成し制御部40に出力する機能を有する。例えば、Pレンジが選択された場合は、Pレンジ要求情報を、Dレンジが選択された場合はDレンジ要求情報を制御部40に出力する。
【0030】
また、シフト選択部18は、制御部40から出力されるPレンジ確定情報を取得するとPレンジの作動ランプ24を点灯する。すなわち、図2に示すシフト選択部18でドライバーがPレンジスイッチ25を押した直後には作動ランプ24は消灯状態であるが、制御部40がPレンジへの切り換えを許可してパーキングロック19が作動完了したあとに制御部40がPレンジ確定情報をシフト選択部18に出力することにより、作動ランプ24が点灯する。なお、本実施例では、車両10の動力発生部11のシャットダウン(エンジン停止)は、シフト選択部18でPレンジが選択されているだけでなく、制御部40においてPレンジが確定している場合のみ可能となっている。
【0031】
制御部40は、自動変速機15、シフト選択部18、アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22、及び、車速センサ23からの情報の入出力を制御する機能を有している。
【0032】
検出状態判定部41は、ブレーキセンサ22の検出した圧力Bpをアナログ電圧値として取得して監視し、ブレーキセンサ22の動作とセンサから出力された信号が正常か異常かを判定する(ブレーキセンサ異常判定)。具体的には、検出状態判定部41は、圧力Bpのアナログ電圧値について、設定範囲外(アウトオブレンジ)、ハーネスの断線などによる出力信号の途絶、センサの固着等が発生した場合にブレーキセンサ22の異常と判定する。異常と判定されない場合は正常と判定される。検出状態判定部41は、また、圧力Bpに基づいて、ブレーキペダル22aが踏み込まれた状態か否かを判定する(ブレーキペダル踏込判定)。
【0033】
シフト切換制御部42は、シフト選択部18からのPレンジ要求情報を取得すると、次の制御を行う。すなわち、シフト切換制御部42は、検出状態判定部41においてブレーキセンサ22の動作が正常と判定されたときは、ブレーキセンサ22により検出された圧力Bpに基づいてブレーキペダル22aが踏み込まれた状態と判定すると共に、車速センサ23により検出された車速Vに基づいて車両10が停車状態と判定した場合、シフト選択部18によるPレンジ以外のシフトレンジからPレンジへの切り換えを許可する制御を行う機能を有する。
【0034】
また、シフト切換制御部42は、検出状態判定部41においてブレーキセンサ22に関連する異常が検出された場合には、車速センサ23によって検出された車速Vに基づいて車両10が停車状態と判定されると共に、停車状態が所定時間T以上継続したとき、シフト選択部18によるPレンジ以外のシフトレンジからPレンジへの切り換えを許可する制御を行う機能を有する。車速センサ23による車両10の停車状態の判定は、例えば車速センサ23により検出された車速Vが所定速度以下であるときに停車状態と判定する。この所定速度は、ブレーキセンサ22の正常時と異常時とで設定を異ならせてもよく、本実施形態ではブレーキセンサ22の正常時の第1の所定速度V1を2.0km毎時とし、ブレーキセンサ22の異常時の第2の所定速度V2を0.5km毎時とする。このように第2の所定速度V2は、車両が確実に停止していることを判定するため、第1の所定速度V1よりも低い車速に設定するのが好ましい。
【0035】
シフト切換制御部42は、Pレンジへの切り換えを許可すると、パーキングロック19を作動させる制御を行う。また、シフト切換制御部42は、パーキングロック19の作動が完了したことを示すパーキングロック作動情報を取得して、Pレンジへの切り換えが完了したことを示すPレンジ確定情報を生成し、シフト選択部18へ出力する。
【0036】
また、制御部40は、シフト切換制御部42によりPレンジ確定情報が生成された場合に、動力発生部11のシャットダウンを許可する。つまり、車両10が停止しPレンジ確定後に、図示しない運転席付近の動力発生部11の停止操作を行うスイッチ(例えばイグニッションスイッチ)がドライバーにより操作されると、制御部40は動力発生部11をシャットダウンする。
【0037】
一方、シフト切換制御部42は、上述の条件を満たさない場合は、シフト選択部18によるPレンジ以外のシフトレンジからPレンジへの切り換えを許可しない(不許可)制御を行う。つまりシフト切換制御部42は、パーキングロック19を作動させず、Pレンジは確定されないこととなる。
【0038】
このように構成された車両の制御装置1の制御部40は、シフト選択部18においてPレンジが選択された場合に、ブレーキセンサ22に関連する異常が発生していても、車速Vに基づいて車両10の停車状態が所定時間T以上継続したと判断した場合にパーキングロック19を作動させるPレンジ動作を許可するフェールセーフ制御を行う。
【0039】
図4には、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置1が実行するフェールセーフ制御ルーチンを示すフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。なお、当該制御ルーチンは、シフト選択部18においてPレンジが選択される、即ちシフト選択部18からPレンジ要求情報が生成されると、スタートする。
【0040】
まず、ステップS1として、制御部40は、シフト切換制御部42において、シフト選択部18からPレンジ要求情報を取得してステップS2に進む。
【0041】
続くステップS2として、制御部40は、検出状態判定部41において、ブレーキセンサ22に関連する異常が発生しているか否かを判定する(ブレーキセンサ異常判定)。当該判定結果が真(Yes)の場合、即ちブレーキセンサ22に関連する異常が生じている場合は、ステップS7に進む。当該判定結果が偽(No)の場合は、即ちブレーキセンサ22が正常である場合は、ステップS3に進む。
【0042】
ステップS3では、制御部40は、シフト切換制御部42において、車速センサ23から取得した車速Vに基づいて車両10が停車状態か否かを判定する。具体的には、車両10の第1の停車状態として、車速Vが第1の所定速度V1未満か否かを判定する。第1の所定速度V1は、本実施形態では例えば2.0km毎時に設定されている。当該判定結果が真(Yes)の場合は、ステップS4に進む。
【0043】
ステップS4として、制御部40は、検出状態判定部41において、ブレーキペダル22aが踏み込まれた状態か否かを判定する(ブレーキペダル踏込判定)。具体的には、ブレーキセンサ22から取得した圧力Bpが所定圧力Bp1より大きいか否かを判定する。所定圧力Bp1は、例えば0.5MPaに設定されている。当該判定結果が真(Yes)の場合は、ステップS5に進む。
【0044】
ステップS5として、制御部40は、シフト切換制御部42おいて、Pレンジ動作を許可し、パーキングロック19の作動を制御して、ステップS6に進む。パーキングロック19は作動を完了すると制御部40にパーキングロック作動情報を出力する。
【0045】
続くステップS6では、制御部40は、パーキングロック19の作動スイッチからパーキングロック作動情報を取得してPレンジを確定し、シフト選択部18にPレンジ確定情報を出力して当該ルーチンをリターンする。シフト選択部18は、Pレンジ確定情報を取得して作動ランプ24を点灯する。
【0046】
一方、検出状態判定部41において、ブレーキセンサ22に関連する異常を検出している場合、上記ステップS2の判定結果が真(Yes)となり、シフト切換制御部42はステップS7に処理を進める。
【0047】
ステップS7として、制御部40は、シフト切換制御部42おいて、車速センサ23から取得した車速Vに基づいて車両10が停車状態であるか否かを判定する。具体的には、車両10の第2の停車状態として、車速Vが第2の所定速度V2未満で所定時間T以上継続したか否かを判定する。例えば、本実施形態では第2の所定速度V2は0.5km毎時に、所定時間Tは2秒に設定されている。当該判定結果が真(Yes)の場合、即ち車両10が第2の停車状態にある場合はステップS5に進み、シフト切換制御部42は、上述したようにPレンジ動作を許可し、ステップS6にてPレンジを確定する。
【0048】
一方、ステップS7の判定結果が偽(No)の場合、即ち車速Vが第2の所定速度V2以上である場合や、車速Vが第2の所定速度V2未満であっても未だ所定時間Tを経過していない場合は、シフト切換制御部42はステップS8に処理を進める。また、上記ステップS3又はステップS4の判定結果が偽(No)の場合、即ちブレーキセンサ22が正常であっても、車速Vが第1の所定速度V1以上である場合や、ブレーキセンサ22の検出した圧力Bpが所定圧力Bp1以下である場合も、制御部40はステップS8に処理を進める。
【0049】
ステップS8として、制御部40は、シフト切換制御部42において、シフト選択部18によるPレンジ以外のシフトレンジからPレンジへの切り換えを許可しないで、当該ルーチンをリターンする。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る車両の制御装置1によれば、ブレーキセンサ22に関連した異常が発生したときであっても、車速Vに基づいて車両10が停車状態と判定され、かつ、その停車状態が所定時間T以上継続した場合には、Pレンジ以外のシフトレンジからPレンジへのシフト切り換えを許可するフェールセーフ制御を行っている。
【0051】
従って、ブレーキセンサ22が正常であるときは、ブレーキペダル22aの踏み込みに基づく速やかなPレンジへの切換許可ができる。そして、ブレーキセンサ22が異常であるときであっても、車速Vから車両10が確実に停止していることの確認できた場合にPレンジへの切換許可を行うことで、車両が停止しているにもかかわらずPレンジに切り換えることができなくなるという状態を防ぐことができる。そして、本実施形態のように車両10の動力発生部11のシャットダウンの条件にPレンジが含まれる場合には、動力発生部11をシャットダウンできなくなるという問題を解消することができる。
【0052】
これにより、車両のブレーキセンサ22に関連する異常がある場合においても、安全に駐車状態を維持することができる。
【0053】
以上で本発明に係る車両の制御装置1の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0054】
上記実施形態のブレーキセンサ22は、液圧を検出する圧力センサであったが、ブレーキペダル22aの踏み込み移動量を検出するストロークセンサでもよい。また、液圧センサとストロークセンサを併用し、ブレーキセンサ内部で液圧とストロークを対比してブレーキセンサ自体がエラーを出力する形にしても良い。これにより、制御部の構成を簡易化できる。
【符号の説明】
【0055】
1 :車両の制御装置
10 :車両
11 :動力発生部
12 :動力伝達部
13 :駆動軸
14 :駆動輪
15 :自動変速機
16 :出力軸
17 :差動機構
18 :シフト操作部
19 :パーキングロック
20 :アクセル開度センサ
20a :アクセルペダル
22 :ブレーキセンサ
22a :ブレーキペダル
23 :車速センサ
24 :作動ランプ
25 :Pレンジスイッチ
40 :制御部
41 :検出状態判定部
42 :シフト切換制御部
図1
図2
図3
図4