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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152534
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ガス栓の固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
F16L5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055336
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 典之
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
(72)【発明者】
【氏名】植田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】玉城 康年
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス栓とフランジ部材とを強固に連結固定することができるとともに、これらの連結固定を簡単にして施工性を向上させることができるガス栓の固定構造を提供する。
【解決手段】接続筒部14を有するガス栓2と、挿入接続部24を有するフランジ部材4とを備え、フランジ部材4の挿入接続部にガス栓2の接続筒部14が挿入接続されるガス栓の固定構造。フランジ部材4の挿入接続部24には、押圧保持部材(ストップリングなどのリング状部材)が装着されており、ガス栓2側の接続筒部14がフランジ部材4側の挿入接続部24に挿入されると、押圧保持部材は、この接続筒部14を径方向内周側に押圧し且つこの接続筒部14の少なくとも周方向の大部分に作用して接続保持し、これにより、ガス栓2とフランジ部材4とが確実に連結固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続筒部を有するガス栓と、挿入接続部を有するフランジ部材とを備え、前記フランジ部材の前記挿入接続部に前記ガス栓の前記接続筒部が挿入接続されるガス栓の固定構造であって、
前記フランジ部材の前記挿入接続部には、前記ガス栓の前記接続筒部が挿入された状態で前記接続筒部を径方向内周側に押圧し且つ前記接続筒部の少なくとも周方向の大部分に作用して接続保持するための押圧保持部材が設けられていることを特徴とするガス栓の固定構造。
【請求項2】
前記ガス栓の前記接続筒部は、被押圧部となる円周状面を有し、前記押圧保持部材は、前記フランジ部材の前記挿入接続部の挿入孔内部に装着され且つ前記径方向内周側に付勢するリング状部材から構成され、前記リング状部材は、前記ガス栓の前記接続筒部が前記挿入接続部の前記挿入孔部に挿入された状態で前記接続筒部の前記円周状面に作用して接続保持することを特徴とする請求項1に記載のガス栓の固定構造。
【請求項3】
前記フランジ部材の前記挿入接続部の前記挿入孔部の内周面には、前記リング状部材を収容する収容溝が設けられ、前記ガス栓の前記接続筒部には、前記被押圧部を構成する溝部又は段部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のガス栓の固定構造。
【請求項4】
前記フランジ部材の前記挿入接続部の前記収容溝には、前記リング状部材に作用して同心状に保持する環状スペーサが収容され、前記環状スペーサの内周側に前記リング状部材が配設されていることを特徴とする請求項3に記載のガス栓の固定構造。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス栓とこのガス栓に取り付けられるフランジ部材とを固定するガス栓の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄管配管で用いられるガス栓をフレキシブル配管にも適用可能とするために、ガス栓の流入接続部(具体的には、その先端側の接続筒部)にフランジ部材を接続し、このフランジ部材をキッチンなどの固定壁に固定し、このようにフランジ部材を取り付けることにより、フレキシブル配管に接続されたガス栓を固定壁に固定している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このガス栓とフランジ部材との固定構造は、例えば、次のように構成されている。ガス栓の流入接続部の外周面が六角形状に形成され、またフランジ部材の挿入接続部には、ガス栓の流入接続部の六角形状に対応した六角形状の挿入開口部が設けられ、また流入接続部の先端側の接続筒部に対応して挿入接続部(具体的には、挿入開口部の内側)に挿入孔部が設けられている。このガス栓では、ガス栓の接続筒部は、フランジ部材の挿入開口部を通して挿入孔部に挿入され、この挿入孔部に挿入した状態にて、フランジ部材の挿入接続部を径方向に貫通して固定ねじが螺着され(例えば、周方向に間隔をおいた3箇所に螺着される)、このようにしてガス栓の接続筒部がフランジ部材の挿入接続部に取り付けられる。
【0004】
このガス栓を固定壁などに取り付けるときには、フランジ部材と組み合わせてガス栓を固定するための取付金具が用いられ、この取付金具は、固定壁などに形成された引出し開口よりも大きくなる基本形態と、この引出し開口よりも小さくなる変形形態との間を形態変更可能に構成される。この取付金具は、一対の取付ねじによってフランジ部材に取り付けられ、かく取り付けた状態にて変形形態に形態変更させて例えば固定壁の引出し開口を通してその内側に挿入される。この取付金具は、挿入後に変形形態を開放することにより基本形態に戻るように構成されており、このような基本形態の状態において一対の取付ねじを締め付けることにより、取付金具がフランジ部材に近接する方向に移動してこのフランジ部材と協働して取り付けるべき固定壁を挟持し、このようにしてガス栓が固定壁に取付固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-266366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガス栓とフランジ部材とのこのような固定構造では、次の通りの問題がある。即ち、ガス栓とフランジ部材とを固定ねじを用いて固定しているために、例えば、3箇所の固定ねじを締め付けて固定しなければならず、この締付け固定のための工程が必要となり、その固定作業も煩雑になる。また、固定ねじでもって複数箇所を締め付けて固定するためには、全てのねじ止め箇所を適切な強さで締め付ける必要があり、それ故に、これらを所要の通りに締め付けて固定するための施工性が悪くなる。
【0007】
本発明の目的は、ガス栓とフランジ部材とを強固に固定することができるとともに、これらの固定を簡単にして施工性を向上させることができる連結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載のガス栓の固定構造は、接続筒部を有するガス栓と、挿入接続部を有するフランジ部材とを備え、前記フランジ部材の前記挿入接続部に前記ガス栓の前記接続筒部が挿入接続されるガス栓の固定構造であって、
前記フランジ部材の前記挿入接続部には、前記ガス栓の前記接続筒部が挿入された状態で前記接続筒部を径方向内周側に押圧し且つ前記接続筒部の少なくとも周方向の大部分に作用して接続保持するための押圧保持部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のガス栓の固定構造では、前記ガス栓の前記接続筒部は、被押圧部となる円周状面を有し、前記押圧保持部材は、前記フランジ部材の前記挿入接続部の挿入孔内部に装着され且つ前記径方向内周側に付勢するリング状部材から構成され、前記リング状部材は、前記ガス栓の前記接続筒部が前記挿入接続部の前記挿入孔部に挿入された状態で前記接続筒部の前記円周状面に作用して接続保持することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載のガス栓の固定構造では、前記フランジ部材の前記挿入接続部の前記挿入孔部の内周面には、前記リング状部材を収容する収容溝が設けられ、前記ガス栓の前記接続筒部には、前記被押圧部を構成する溝部又は段部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の請求項4に記載のガス栓の固定構造では、前記フランジ部材の前記挿入接続部の前記収容溝には、前記リング状部材に作用して同心状に保持する環状スペーサが収容され、前記環状スペーサの内周側に前記リング状部材が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のガス栓の固定構造によれば、フランジ部材の挿入接続部には押圧保持部材が設けられているので、フランジ部材の挿入接続部にガス栓の接続筒部を挿入すると、押圧保持部材がガス栓の接続筒部を径方向内周側に押圧するとともに、この接続筒部の周方向の少なくとも大部分に作用して接続保持するので、ガス栓とフランジ部材とをこの押圧保持部材によって強固に連結接続することができる。また、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に挿入することによって連結接続することができるので、従来の締付作業が不要となり、ガス栓にフランジ部材を取り付ける取付作業の施工性が向上する。尚、押圧保持部材がガス栓の接続筒部に作用する少なくとも大部分とは、この接続筒部の全周に対して60%以上であり、80%以上であるのが好ましく、90%以上が更に好ましい。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載のガス栓の固定構造によれば、ガス栓の接続筒部は被押圧部となる円周状面を有し、押圧保持部材は、フランジ部材の挿入接続部の挿入孔部に装着されたリング状部材から構成されているので、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入孔部に挿入すると、リング状部材の径方向内周側にガス栓側の接続筒部の円周状面が位置し、この挿入状態でリング状部材がこの接続筒部の円周状面を径方向内周側に付勢する。従って、押圧保持部材としてのリング状部材の付勢作用により、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に強固に固定することができる。本明細書において、リング状部材とは完全な円形状のもののみならず、円形状の一部が欠けた略C字状のものを含む概念である。尚、このリング状部材としては、ストップリング、スナップリング、Cリングなどを用いることができるが、ストップリングを用いるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載のガス栓の固定構造によれば、フランジ部材の挿入接続部の挿入孔部の内周面に収容溝が設けられ、この収容溝にリング状部材が収容されているので、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に挿入したとき、このリング状部材が挿入方向に移動することがなく、挿入孔部内の所定位置に保持される。また、ガス栓の接続筒部に溝部又は段部が設けられているので、ガス栓の接続筒部を挿入した状態においは、リング状部材がガス栓側の溝部(又は段部)に嵌まり込み、かくして、このリング状部材の内周側への付勢によって、ガス栓の接続筒部とフランジ部材の挿入接続部を強固に連結固定することができる。
【0015】
更に、本発明の請求項4に記載のガス栓の固定構造によれば、フランジ部材の挿入接続部の収容溝に環状スペーサが収容され、更にその内周側にリング状部材が配設されているので、この環状スペーサは収容溝内でリング状部材を同心状に保持するとともに、その変形も同心状に保って拡大、収縮するように作用する。従って、ガス栓の接続筒部を挿入するときには、フランジ部材の収容溝内に同心状に保たれた状態で拡径し、これにより、挿入時にリング状部材の位置が片寄ることがなく、その位置ズレによる接続不良などをなくすことができる。また、この接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に挿入したときには、フランジ部材の収容溝内に同心状に保たれた状態にて縮径し、これにより、リング状部材を接続筒部の円形状面に安定的に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従うガス栓の固定構造の一実施形態を分解して示す分解斜視図。
図2図1のガス栓の固定構造におけるフランジ部材を示す正面図。
図3図2のフランジ部材を示す側面図。
図4図2におけるIV-IV線による断面図。
図5図1のガス栓の固定構造において、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に挿入する前の状態を示す側面図。
図6図1のガス栓の固定構造において、ガス栓の接続筒部をフランジ部材の挿入接続部に挿入した後の状態を示す側面図。
図7図1のガス栓の固定構造におけるガス栓の接続筒部及びフランジ部材の挿入接続部の一部を拡大して示す部分拡大断面図。
図8図1のガス栓の固定構造において、フランジ部材の挿入接続部にガス栓の接続筒部を連結した状態の一部を示す部分拡大断面図。
図9】ガス供給管を継手部材に接続した状態において、フランジ部材に取付金具を取り付ける前の状態を示す斜視図。
図10】ガス栓に連結接続されたフランジ部材に取付金具を取り付けた状態を示す斜視図。
図11】ガス栓を固定壁に取付固定した状態を固定壁の表側から見た斜視図。
図12】ガス栓を固定壁に取付固定した状態を断面で示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うガス栓の固定構造の一実施形態について説明する。まず、図1を参照して、ガス栓2及びフランジ部材4について説明する。図示のガス栓2は、ガス栓本体6を有し、このガス栓本体6に設けられたガス流路(図示せず)に開閉栓(図示せず)が開閉自在に装着され、操作部8を開方向に回動することによって開閉栓が開状態となってガス流路が開放され、また操作部8を閉方向に回動することによって、この開閉栓が閉状態なってガス流路が閉塞される。このガス栓本体6の流入側には流入接続部10が設けられ、その流出側には供給接続部12が設けられ、この供給接続部12に、例えばガス機器に燃料ガスを供給するための供給ホース(図示せず)が接続される。
【0018】
この実施形態では、ガス栓本体6の流入接続部10の外周面は六角形状に形成され、その先端部に接続筒部14が設けられている。図7をも参照して、接続筒部14は、先端側に突出する短円筒形状であり、その先端部に先端側に向けて外径が漸減するテーパ部16を有している。また、この接続筒部14には環状の溝部18が設けられ、この溝部18は接続筒部14の全周にわたって設けられている。この溝部18の底面は断面円形状の円周状面を規定し、この円周状面は、後述する押圧保持部材36が作用する被押圧部として機能する。尚、このガス栓本体6の接続筒部14の内周面には、後述する継手部材20が接続される雌ねじ部(図示せず)が設けられている。
【0019】
次に、図1とともに図2~4を参照して、ガス栓本体6の接続筒部14に連結されるフランジ部材4について説明する。図示のフランジ部材4は、円板状のフランジ本体22を備え、このフランジ本体22の一端側(ガス栓2と対向する側)に挿入接続部24が設けられている。このフランジ部材22の中央部には貫通開口26が設けられ、この貫通開口26は、挿入接続部24及びフランジ本体22を軸方向(図2において紙面に垂直な方向、図3及び図4において左右方向)に貫通している。この貫通開口26の軸方向中間部に、ガス栓本体6の接続筒部14が挿入される挿入孔部28が規定され、この挿入孔部28の挿入側に挿入開口部30が規定されている。この挿入接続部24の挿入孔部28は、ガス栓本体6の接続筒部14の外形形状に対応した形状を有し、この接続筒部14が、フランジ部材4側の挿入開口部30を通して挿入孔部28に挿入される。また、挿入接続部24の挿入開口部30は、ガス栓本体6の流入接続部10の外形形状に対応した形状を有し、この流入接続部10が、フランジ部材4側の挿入開口部30に挿入される。
【0020】
このフランジ部材4の挿入孔部28の内周面には、ガス栓本体6の接続筒部14の溝部18に対応して収容溝32が設けられ(図4図7及び図8参照)、ガス栓本体6の接続筒部14をフランジ部材4の挿入孔部28に挿入した状態では、図8に示すように、フランジ部材4側の収容溝32の径方向内周側にガス栓本体6側の溝部18が位置するようになる。
【0021】
この実施形態では、フランジ部材4の挿入孔部28の収容溝32内に、環状スペーサ34が収容され、更にこの環状スペーサ34の径方向内周側(即ち、環状スペーサ34の表面側)に押圧保持部材36が配設される。環状スペーサ34は、合成ゴム、合成樹脂などから形成された弾性部材から構成され、押圧保持部材36をこの収容溝32に対して同心状に保持するように作用する。
【0022】
また、押圧保持部材36は金属製のリング状部材から構成され、このリング状部材としては、ストップリングが好ましいが、スナップリング、Cリングなどでもよい。また、この押圧保持部材36(例えば、ストップリング)は、ガス栓本体6の接続筒部14の少なくとも大部分、例えばこの接続筒部14の全周に対して60%以上に作用するように構成し、その全周の80%以上に作用するようにするのが好ましく、その全周の90%以上に作用するようにするのが更に好ましい。
【0023】
このリング状部材は、次のように構成するのが好ましい。即ち、自然状態(拡径、縮径していない状態)におけるリング状部材(押圧保持部材36)の内径がこの接続筒部14の溝部18の底面の外径よりも小さくなるように設定され、このように設定することにより、ガス栓本体6の接続筒部14をフランジ部材4側の挿入孔部28に挿入した状態において、このリング状部材が幾分拡径した状態(換言すると、径方向内周側への縮径作用によって押圧する状態)にてこの接続筒部14の溝部18の底面に作用する。
【0024】
また、自然状態におけるリング状部材(押圧保持部材36)の外径がフランジ部材4側の挿入接続部24の挿入孔部28の内径よりも大きくなるように設定され、このように設定することにより、ガス栓本体6の接続筒部14をフランジ部材4側の挿入孔部28に挿入する前の状態において、このリング状部材がフランジ部材4側の収容溝32内に収容された状態に保持される。
【0025】
尚、環状スペーサ34は、フランジ部材4側の収容溝32内に収容され、その表面側(リング状部材との接触側)が自然状態のリング状部材の外周面と接触乃至近接する大きさに形成され、このような大きさにすることにより、この収容溝32に収容されたリング状部材(押圧保持部材36)を同心状に保持するとともに、同心状に保った状態でのリング状部材の径方向の拡径及び縮径が可能となる。
【0026】
このフランジ部材4には、更に、その他端側に貫通開口26内に突出する環状突起38が設けられ、この環状突起38の内側にパッキン40が配設されている。ガス栓本体6の接続筒部14を後述するようにフランジ部材4側の挿入孔部28に挿入したときに、この接続筒部14の先端面がパッキン40に当接し、このパッキン40によって、ガス栓本体6の接続筒部14とフランジ部材4の環状突起38との間の密封性が確保される。
【0027】
このフランジ部材4には、更に、一対のねじ用貫通孔42が設けられ、かかるねじ用貫通孔42は、フランジ本体22を軸方向(図2において紙面に対して垂直な方向、図3及び図4において左右方向)に貫通して延びている。尚、このねじ用貫通孔42を通して装着される取付ねじ44(図1図10及び図11参照)がフランジ部材4の挿入接続部24に当接しないように、この挿入接続部24の外周部の一部に凹部46が設けられている。また、フランジ本体22の他端面に環状凹部48が設けられ、この環状凹部48にOリング50が配設され、このOリング50は、後に記載から理解されるように、ガス栓2が取り付けられる固定壁52との間に介在される。
【0028】
このガス栓2は、例えば、次のようにしてキッチンなどの固定壁52に取り付けられる。固定壁52に取り付ける際には、まず、ガス栓2にフランジ部材4を連結固定する。この連結固定は、図5に示す状態からガス栓本体6側の流入接続部10の接続筒部14をフランジ部材4側の挿入接続部24の挿入孔部28に挿入すればよく、かく挿入すると、ガス栓本体6側の接続筒部14の先端面(テーパ部16の端面)がパッキン40を介してフランジ本体22の環状突部38に当接し(図8参照)、このようにしてガス栓6の流入接続部10が、図6及び図8に示すように、フランジ部材4の挿入接続部24に取り付けられる。
【0029】
ガス栓本体6側の接続筒部14をフランジ本体22側の挿入開口部30を通して挿入孔部28に挿入する際には、この挿入孔部28の収容溝32に環状スペーサ34によりリング状部材(押圧保持部材36)が同心状に収容保持されているので、この接続筒部14のテーパ部16がリング状部材の中央空間にスムースに挿入され、またその接続筒部14の挿入移動により径方向外周側に同心状に拡径される。そして、所定位置まで挿入すると、図8に示すように、拡径したリング状部材(押圧保持部材36)が径方向内周側に同心状に縮径してこの接続筒部14の溝部18に嵌まり込み、このようにしてフランジ本体22側の挿入接続部24の挿入孔部28にガス栓本体6側の流入接続部10の接続筒部14が固定される。
【0030】
かく連結固定した状態では、上述した記載から理解されるように、リング状部材(押圧保持部材36)が幾分拡径した状態でガス栓本体6側の接続筒部14の溝部18に収容されるので、このリング状部材がこの溝部18の底面に食い込むように作用し、またその食込みはこの接続筒部14(具体的には、溝部18の底面)の周方向の少なくとも大部分に作用し、かくして、ガス栓本体6とフランジ本体22とを強固に連結固定することができる。尚、この固定状態においては、ガス栓2側の流入接続部10の先端部は、フランジ部材4側の挿入接続部24の挿入開口部30に挿入される。
【0031】
次に、継手部材20の雄ねじ部62に軸線方向に弾性を有する固定金具64を挿入し、この挿入した状態において、継手部材20の雄ねじ部62をフランジ部材4の貫通開口26を通してガス栓本体6の接続筒部14の雌ねじ部(図示せず)に螺合接続する。かく螺合接続すると、この固定金具64は、フランジ部材4の他面(裏面)と継手部材20の工具掛け六角部66との間において圧縮され、このように構成することにより、フランジ部材4は、固定金具64の弾性でもってガス栓2側に偏倚され、その接続筒部14側に強固に押圧された状態に保持される。
【0032】
次いで、図9に示すように、ガス供給管68を固定壁52に設けられた引出し開口70をして室内側に引き出し、引き出したガス供給管68の先端側を取付金具72の挿通開口73に挿通させる。尚、この引出し開口70については、予めガス栓2を取り付ける固定壁52側の所定部位(即ち、取付部位)に形成される。
【0033】
また、取付金具72については、例えば特開2006-266366号公報に開示されたそれ自体周知のものを用いることができる。この取付金具72は、支持本体74と、この支持本体74に例えば板ばねによって形態変更可能に装着された一対の当接プレート76とを備え、一対の当接プレート76は、支持本体74に対して平行状態となる基本形態(図1図9図10及び図12に示す形態)と、支持本体74に対して斜めに略V字状に変形した変形形態との間を形態変更可能に構成される。基本形態の状態のときには、一対の当接プレート76は拡がった状態となり、固定壁52側の引出し開口70よりも大きくなり、この引出し開口70を通して出し入れすることができないが、変形形態の状態のときには、一対の当接プレート76は相互に近接する方向に内側に傾斜した状態となり、この引出し開口70よりも小さくなり、この引出し開口52を通しての出し入れが可能となる。
【0034】
その後、図10に示すように、ガス供給管68の先端管部78(例えば、フレキシブル管部)を継手部材20に接続し、更に取付ねじ44をフランジ部材4のねじ用貫通孔42を通して取付金具72の支持本体74に設けられたねじ孔80に螺合させる。このようにして、ガス供給管68の先端部に継手部材20を介してガス栓2が接続されるとともに、このガス供給管68に取付金具72が外嵌される。
【0035】
しかる後、取付金具72を変形形態に形態変更させて固定壁52の引出し開口70を通してこの固定壁52の内側に挿入し、この取付金具72を固定壁52の内側に配置した状態において、一対の取付ねじ44を固定壁52の表面側(即ち、室内側)から締め付ける。かく締め付けると、取付金具72が固定壁52側に引き寄せられ、かくして、図11及び図12に示すように、ガス栓2に取り付けられたフランジ部材4及び取付金具72が固定壁52を両側から挟持し、このようにしてガス栓2が固定壁52に所要の通りに取り付けられる。かかる取付状態においては、図12に示すように、取付金具72は継手部材20を内挿した状態となる。
【0036】
以上、本発明に従うガス栓の固定構造の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の修正乃至変更が可能である。
【0037】
上述した実施形態では、ガス栓2側の接続筒部14に溝部18を設けているが、このような溝部18に代えて段部を設けるようにしてもよく、この場合、押圧保持部材36(リング状部材)は、この段部に嵌まり込み、この段部の底面に食い込むようになる。尚、このような溝部又は段部は必ずしも設ける必要はなく、この接続筒部14の外周面(円形状面)に食い込むように作用させるようにしてもよい。
【0038】
また、例えば、上述した実施形態では、フランジ部材4側の挿入孔部28の収容溝32内に環状スペーサ34及び押圧保持部材36(リング状部材)の双方を収容しているが、この押圧保持部材36を収容溝32内に収容した状態にて所要の通りに拡径、縮径可能であるときには、環状スペーサ34については省略することができる。
【符号の説明】
【0039】
2 ガス栓
4 フランジ部材
6 ガス栓本体
10 流入接続部
14 接続筒部
18 溝部
22 フランジ本体
24 挿入接続部
28 挿入孔部
32 収容溝
34 環状スペーサ
36 押圧保持部材(リング状部材)
52 固定壁
68 ガス供給管
72 取付金具




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12