(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152539
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】経路情報生成装置、経路情報生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221004BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20221004BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221004BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221004BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01C21/36
G05D1/00 A
G05D1/02 H
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055349
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中尾 優真
(72)【発明者】
【氏名】南 雄也
(72)【発明者】
【氏名】吉原 貴仁
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H301
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC14
2C032HD16
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129CC01
2F129CC12
2F129DD19
2F129DD53
2F129DD57
2F129EE02
2F129EE32
2F129EE52
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF32
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5H301AA01
5H301AA04
5H301AA06
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】情報量の低減と経路の精密さとを両立させた経路情報を生成すること。
【解決手段】経路情報生成装置は、経路情報を取得する経路情報取得部と、経路情報取得部が取得する経路情報に含まれる複数の地点の座標情報のうち、所定の圧縮程度によって一部の地点の座標情報を除外することにより、経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成する経路情報圧縮部と、経路情報圧縮部が生成した圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、制約条件を満たすか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、圧縮程度を変更して圧縮後経路情報を再生成させる圧縮制御部と、圧縮後経路情報が示す経路が制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記経路情報取得部が取得する前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成する経路情報圧縮部と、
前記経路情報圧縮部が生成した前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して前記圧縮後経路情報を再生成させる圧縮制御部と、
前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力する出力部と、
を備える経路情報生成装置。
【請求項2】
前記圧縮程度の初期値は、前記制約条件を満たすと判定される前記経路情報の圧縮の程度よりも高く、
前記圧縮制御部は、前記圧縮程度を前記初期値よりも下げて、前記圧縮後経路情報を再生成させる
請求項1に記載の経路情報生成装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記圧縮後経路情報に含まれる地点の数に基づいて経路が分割された区間ごとに、前記制約条件を満たすか否かを判定し、
前記圧縮制御部は、前記判定部が前記制約条件を満たさないと判定した前記区間について、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させる
請求項1または請求項2に記載の経路情報生成装置。
【請求項4】
前記制約条件とは、前記障害物の位置と大きさとに基づく条件である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の経路情報生成装置。
【請求項5】
前記制約条件とは、前記障害物の位置と、前記経路の許容幅とに基づく条件である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の経路情報生成装置。
【請求項6】
前記経路情報に基づいて移動する移動体が移動した結果得られる障害物の位置の情報を取得する障害物情報取得部と、
前記障害物情報取得部が取得する前記障害物の位置の情報に基づいて、前記制約条件を更新する地図情報更新部と、
を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の経路情報生成装置。
【請求項7】
コンピュータが、障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得することと、
コンピュータが、取得された前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって、一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成することと、
コンピュータが、生成された前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定することと、
コンピュータが、前記判定の結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させることと、
コンピュータが、前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力することと、
を有する経路情報生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得することと、
取得された前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって、一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成することと、
生成された前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定することと、
前記判定の結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させることと、
前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路情報生成装置、経路情報生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両などの移動体を自律走行させる場合において、無線通信端末を操作することによって移動体の走行経路を生成するシステムが例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術において、利用者(例えばオペレータ)が無線通信端末の画面をなぞるように操作して、画面をなぞった軌跡を移動体の移動経路として設定することが行われる場合がある。この移動経路の設定方式によると、経路情報の情報量が比較的大きくなるため、経路情報の情報量を低減することが求められる。
しかしながら、情報量を低減しすぎると経路の精密さが損なわれるため、情報量の圧縮程度を決めることが困難であった。すなわち、上述した従来技術では、経路情報の情報量の低減と経路の精密さとを両立させることが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、情報量の低減と経路の精密さとを両立させた経路情報を生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得する経路情報取得部と、前記経路情報取得部が取得する前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成する経路情報圧縮部と、前記経路情報圧縮部が生成した前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して前記圧縮後経路情報を再生成させる圧縮制御部と、前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力する出力部と、を備える経路情報生成装置である。
(2)本発明の一態様は、上記の経路情報生成装置において、前記圧縮程度の初期値は、前記制約条件を満たすと判定される前記経路情報の圧縮の程度よりも高く、前記圧縮制御部は、前記圧縮程度を前記初期値よりも下げて、前記圧縮後経路情報を再生成させる。
(3)本発明の一態様は、上記の経路情報生成装置において、前記判定部は、前記圧縮後経路情報に含まれる地点の数に基づいて経路が分割された区間ごとに、前記制約条件を満たすか否かを判定し、前記圧縮制御部は、前記判定部が前記制約条件を満たさないと判定した前記区間について、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させる。
(4)本発明の一態様は、上記の経路情報生成装置において、前記制約条件とは、前記障害物の位置と大きさとに基づく条件である。
(5)本発明の一態様は、上記の経路情報生成装置において、前記制約条件とは、前記障害物の位置と、前記経路の許容幅とに基づく条件である。
(6)本発明の一態様は、上記の経路情報生成装置において、前記経路情報に基づいて移動する移動体が移動した結果得られる障害物の位置の情報を取得する障害物情報取得部と、前記障害物情報取得部が取得する前記障害物の位置の情報に基づいて、前記制約条件を更新する地図情報更新部とをさらに備える。
(7)本発明の一態様は、コンピュータが、障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得することと、コンピュータが、取得された前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって、一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成することと、コンピュータが、生成された前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定することと、コンピュータが、前記判定の結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させることと、コンピュータが、前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力することと、を有する経路情報生成方法である。
(8)本発明の一態様は、コンピュータに、障害物を回避する制約条件に従って第1地点から第2地点に移動する経路が、前記経路上のそれぞれの地点の座標情報を前記経路に沿った順に接続することにより表現される経路情報を取得することと、取得された前記経路情報に含まれる複数の地点の前記座標情報のうち、所定の圧縮程度によって、一部の地点の前記座標情報を除外することにより、前記経路情報の情報量を圧縮した圧縮後経路情報を生成することと、生成された前記圧縮後経路情報に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、前記制約条件を満たすか否かを判定することと、前記判定の結果に基づいて、前記圧縮程度を変更して、前記圧縮後経路情報を再生成させることと、前記圧縮後経路情報が示す経路が前記制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報を出力することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報量の低減と経路の精密さとを両立させた経路情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の端末装置及び移動体の概要の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の端末装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の地図画像の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の経路指定操作の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の経路情報処理部の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の経路情報圧縮部による経路情報の圧縮の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の端末装置の動作の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の経路情報処理部による圧縮動作の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の圧縮程度が十分に大きい場合の経路画像の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の圧縮後経路情報が示す経路と障害物との衝突判定の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態の圧縮程度を低下させた圧縮後経路情報による経路画像の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の圧縮程度をさらに低下させた圧縮後経路情報による経路画像の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態の経路の制約条件の第1の変形例を示す図である。
【
図14】本実施形態の経路の制約条件の第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の端末装置1及び移動体2の概要の一例を示す図である。端末装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどであり、利用者が利用する装置である。端末装置1は、利用者の操作によって移動体2の移動経路を指示する。
移動体2は、例えば、自動車、船舶、航空機、ドローン、自動搬送車などであり、端末装置1の指示に従って移動する装置である。移動体2は、自律移動可能な無人移動体であってもよい。
【0010】
図2は、本実施形態の端末装置1の機能構成の一例を示す図である。端末装置1は、経路情報生成装置10と、表示部11と、受信部12と、地図情報記憶部13と、操作検出部14とを備える。
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイを備えており、経路情報生成装置10が出力する画像を表示する。
受信部12は、例えば、無線アンテナを備えており、移動体2から送信される情報を受信する。
地図情報記憶部13は、例えば、半導体メモリやハードディスクドライブを備えており、移動体2が移動するエリアの地図情報が記憶されている。この地図情報には、移動体2が移動する際に避けるべき障害物の位置を示す情報(例えば、障害物の座標303)が含まれる。
操作検出部14は、例えば、タッチパネルやマウス、キーボードなどの操作デバイスに接続されており、利用者による表示部11への操作を検出する。この利用者による表示部11への操作には、表示部11に表示された地図画像に対して、利用者が移動体2の移動経路を指定する操作(経路指定操作)や、表示部11に表示された経路を利用者が確定する操作(経路確定操作)が含まれる。
【0011】
経路情報生成装置10は、例えば、CPU(中央演算処理装置)などによる演算機能を有している。経路情報生成装置10は、地図画像出力部101、経路指定操作受付部102、経路情報処理部103、経路画像出力部104、移動体情報取得部106及び地図情報取得部107を、演算機能部として備える。
【0012】
移動体情報取得部106は、移動体情報を取得する。移動体情報とは、受信部12が移動体2から受信する情報である。移動体情報には、移動体2の位置、移動方位(進行方向)、移動速度が含まれる。移動体情報取得部106は、取得した移動体情報を地図画像出力部101に供給する。
【0013】
地図情報取得部107は、地図情報記憶部13から地図情報を取得する。地図情報取得部107は、取得した地図情報を地図画像出力部101に供給する。
【0014】
地図画像出力部101は、移動体情報取得部106から供給される移動体情報と、地図情報取得部107から供給される地図情報とに基づき、地図上に移動体2の位置や進行方向を示す移動体画像201を示した地図画像を生成する。地図画像出力部101は、生成した地図画像を表示部11に出力する。この結果、表示部11には地図画像が表示される。
【0015】
図3は、本実施形態の地図画像の一例を示す図である。地図画像には、移動体画像201、方角表示202、障害物203の画像、及び移動体2の周囲の地形を示す地図や衛星写真が含まれる。
同図に示す一例では、障害物203には、障害物203a、障害物203b及び障害物203cが含まれる。以下の説明において、これら障害物203a、障害物203b及び障害物203cを区別しない場合には、これらを総称して障害物203とも記載する。
【0016】
なお、移動体2は、移動体情報を所定の時間間隔で順次送信する。移動体情報取得部106は、移動体2から順次受信した移動体情報を、地図画像出力部101に順次供給する。地図画像出力部101は、新たな移動体情報が移動体情報取得部106から供給されるごとに、表示部11に表示される地図画像を更新する。
これにより、表示部11には、移動体2の現在の位置、進行方向及び移動速度を示す情報が表示される。
【0017】
また、移動体情報取得部106は、移動体2から順次受信した移動体情報を、移動体情報記憶部(不図示)に記憶させてもよい。これにより、端末装置1は、移動体情報記憶部に記憶された移動体2の移動経路に基づく処理(例えば、移動体2の移動経路管理など。)を行うことができる。
【0018】
図2に戻り、経路指定操作受付部102は、操作検出部14において検出された経路指定操作を受け付ける。
【0019】
図4は、本実施形態の経路指定操作の一例を示す図である。経路指定操作とは、利用者が表示部11に表示される地図画像を参照しながら、地図画像に含まれる障害物203を避けつつ、移動体2を第1地点Ps(例えば、現在位置)から第2地点Pg(例えば、目的地)に移動させる経路を指定する操作である。
【0020】
この一例では、地図画像に、障害物203a~203cの3つの障害物203が示されている。この一例において、障害物203a~203cは、例えば、養殖いけすや定置網、灯浮標などの海上障害物である。
表示部11がタッチパネルを備える場合には、利用者は、指204によって表示部11をなぞることにより、3つの障害物203を避けつつ移動体2を移動させる軌跡を描く。
なお、利用者は、指204によって表示部11をなぞることに代えて、マウスやキーボードなどの操作デバイスによって、3つの障害物203を避けつつ移動体2を移動させる軌跡を描いてもよい。以下では、表示部11がタッチパネルを備える場合について説明する。
【0021】
操作検出部14は、指204が触れている表示部11上の座標を、所定の時間間隔によってサンプリングする。操作検出部14は、サンプリングによって得られた座標を、その取得順(例えば、時系列)に経路指定操作受付部102に出力する。
【0022】
図2に戻り、経路指定操作受付部102は、操作検出部14が出力する座標(つまり、利用者の経路指定操作によってなぞられた座標)を取得する。経路指定操作受付部102は、一連の経路指定操作によって得られた座標群を時系列に並べた情報を、経路情報20として経路画像出力部104に供給する。
【0023】
経路情報20とは、利用者が表示部11をなぞることにより得られた、点群(waypointともいう。)により構成される軌跡情報である。すなわち、経路情報20とは、障害物203を回避する制約条件に従って第1地点Psから第2地点Pgに移動する経路が、経路上のそれぞれの地点の座標情報を経路に沿った順に接続することにより表現される情報である。
【0024】
ここで、障害物203を回避する制約条件には、地図上の地形、障害物の位置や大きさ、移動体2の大きさに基づいて定められる経路(例えば、航路)の幅などが含まれる。
すなわち、制約条件には、障害物の位置と、経路の許容幅とに基づく条件が含まれる。
【0025】
なお、地図情報の座標系と、経路指定操作によって得られた座標群の座標系とは互いに異なる座標系である場合がある。例えば、地図情報の座標系は地球上での位置を示すグローバル座標系(例えば、世界測地系)であり、経路指定操作によって得られた座標群の座標系は、表示部11上での位置を示す表示部座標系である。
このように座標系が互いに異なる場合には、経路指定操作受付部102は、経路指定操作によって得られた座標群の座標系を、地図情報の座標系に変換する。
【0026】
経路情報20は、様々な形式で管理され得る。例えば、経路情報20は、経路上のそれぞれの地点の座標情報(例えば、緯度・経度)がリスト形式で管理される形式であってもよい。
【0027】
経路画像出力部104は、情報量圧縮前の経路画像と、情報量圧縮後の経路画像との2種類の経路画像を表示部11に表示させることが可能である。
ここで、情報量圧縮前の経路画像とは、経路指定操作受付部102が生成した経路情報20に基づく軌跡の画像である。つまり、情報量圧縮前の経路画像とは、利用者が表示部11をなぞることにより得られた軌跡である。上述したように、経路情報20は、利用者の指204の表示部11上の座標を、所定の時間間隔でサンプリングすることにより得られる情報である。このため、経路情報20は、サンプリングの時間間隔によっては、移動体2の移動経路を示すための座標情報としては、情報量が過多である場合がある。
情報量圧縮後の経路画像とは、経路情報20の情報量が圧縮されたのちの圧縮後経路情報21に基づく軌跡の画像である。
【0028】
(1)情報量圧縮前の経路画像の表示
経路画像出力部104は、経路指定操作受付部102が生成した経路情報20に基づく軌跡を、表示部11に表示させる。これにより、利用者は、表示部11に表示される画像により、自身が表示部11をなぞった軌跡(すなわち、移動体2の移動経路)を確認することができる。
【0029】
ここで、経路指定操作受付部102は、経路情報20が示す軌跡(すなわち、移動体2の移動経路)が、障害物203に接触する又は重なるか否かを判定してもよい。この場合において、経路指定操作受付部102は、経路情報20が示す軌跡が、障害物203に接触する又は重なると判定した場合には、例えば、表示部11にメッセージを表示するなどにより、利用者に対して経路指定操作のやり直しを要求してもよい。
【0030】
(2)情報量圧縮後の経路画像の表示
経路指定操作受付部102は、生成した経路情報20を経路情報処理部103に供給する。
経路情報処理部103は、経路指定操作受付部102が出力する経路情報20について、その情報量が圧縮された圧縮後経路情報21を生成する。経路情報処理部103は、生成した圧縮後経路情報21を経路画像出力部104に供給する。
【0031】
経路画像出力部104は、経路情報処理部103が生成した圧縮後経路情報21が示す経路画像を、表示部11に表示させる。
【0032】
[変形例(利用者の操作によって地図情報を更新する場合)]
操作検出部14は、利用者による地図情報更新操作を検出してもよい。地図情報更新操作とは、地図情報に含まれていない新たな障害物203を登録したり、地図情報に含まれる障害物203の位置や大きさを変更したりする操作である。
【0033】
この場合、経路情報生成装置10は、地図情報更新部108を備えていてもよい。地図情報更新部108は、操作検出部14が検出した地図情報更新操作に基づいて、地図情報記憶部13に記憶されている地図情報を更新する。
【0034】
[変形例(ネットワーク経由で提供される情報に基づいて地図情報を更新する場合)]
なお、最新の地図情報がネットワーク(例えば、インターネット)経由で提供される場合がある。この場合には、経路情報生成装置10は、ネットワーク通信部(不図示)を備えていてもよい。地図情報更新部108は、ネットワーク通信部が受信する最新の地図情報に基づいて、地図情報記憶部13に記憶されている地図情報を更新する。
【0035】
[経路情報処理部の機能の詳細について]
図5は、本実施形態の経路情報処理部103の機能構成の一例を示す図である。経路情報処理部103は、経路情報取得部1031と、経路情報圧縮部1032と、判定部1033と、出力部1034と、圧縮制御部1035とを、その機能部として備える。
【0036】
圧縮制御部1035は、経路情報取得部1031、経路情報圧縮部1032、判定部1033及び出力部1034の各部を制御する。
【0037】
経路情報取得部1031は、経路指定操作受付部102が供給する経路情報20を取得する。
経路情報圧縮部1032は、経路情報20の情報量を圧縮して圧縮後経路情報21を生成する。
より具体的には、経路情報圧縮部1032は、経路情報取得部1031が取得する経路情報20に含まれる複数の地点の座標情報のうち、所定の圧縮程度によって一部の地点の座標情報を除外することにより、経路情報20の情報量を圧縮した圧縮後経路情報21を生成する。
【0038】
図6は、本実施形態の経路情報圧縮部1032による経路情報の圧縮の一例を示す図である。本実施形態の経路情報圧縮部1032は、所定の圧縮アルゴリズム(例えば、Dougla Peucker法)によって経路情報20を圧縮する。Dougla Peucker法は、情報量の圧縮閾値をソロパラメータとする既知の経路圧縮アルゴリズムであり、経路情報圧縮部1032に採用される所定の圧縮アルゴリズムの一例である。
【0039】
この圧縮閾値を変更することにより、圧縮後経路情報21の情報量と、圧縮後経路情報21が示す経路の精密さとを変化させることができる。例えば、圧縮閾値が比較的高い場合には、圧縮後経路情報21の情報量は少なくなり、圧縮後経路情報21が示す経路の精密さは低下する。また、圧縮閾値が比較的低い場合には、圧縮後経路情報21の情報量は多くなり、圧縮後経路情報21が示す経路の精密さは上昇する。
なお、経路の精密さとは、例えば、利用者が設定した経路(圧縮前の経路情報20が示す経路)と、圧縮後経路情報21が示す経路との一致度をいう。
【0040】
同図[A]には、圧縮前の経路情報20の一例を示す。この一例においては、経路情報20は、第1地点Psから第2地点Pgまでの経路として、中間地点P1~P10を順に接続した経路を示す。経路情報20には、中間地点P1~P10の座標をそれぞれ示す10点の座標情報が含まれている。この一例において、経路情報20には、第1地点Psの座標情報と、第2地点Pgの座標情報と、10点の中間地点Pnの座標情報との、合わせて12点の座標情報が含まれている。
【0041】
ここで、本実施形態の経路情報圧縮部1032が採用する圧縮アルゴリズムの圧縮手法について説明する。
(1)同図[A]に示すように、与えられた経路情報20について、開始点(第1地点Ps)と、終了点(第2地点Pg)とを接続する直線を基準線Lbとする。
(2)中間地点Pnの基準線Lbに対する距離Dtを、中間地点Pnごとに求める。例えば、中間地点P1について、距離Dt1を求める。中間地点P10について、距離Dt10を求める。
(3)各中間地点Pnのうち、距離Dtが最も大きい中間地点Pnを求める。同図[A]に示す一例では、中間地点P4の距離Dt4が最も大きい。
(4)最も距離Dtが大きい中間地点Pn(例えば、中間地点P4)について、距離Dtの大きさと許容距離εとを比較する。距離Dtが許容距離εよりも大きければ、その中間地点Pn(例えば、中間地点P4)を残す。この一例では、中間地点P4の距離Dt4は、許容距離εよりも大きいとして、中間地点P4を残す。
なお、もし距離Dtが許容距離ε以下であれば、その中間地点Pnを削除する。
(5)残された中間地点P4を区分点にして、第1地点Psと中間地点P4との間を第1区間Sc1とし、中間地点P4と第2地点Pgとの間を第2区間Sc2とする。区間Scごとに、基準線Lbを設定する。例えば、中間地点P4と第2地点Pgとの間を第2区間Sc2について、中間地点P4と第2地点Pgと接続する直線を基準線Lb2とする(同図[C])。
(6)各区間Scごとに距離Dtが許容距離εよりも大きい中間地点Pnがなくなるまで、上述の(2)~(5)を再帰的に繰り返す。
【0042】
上述の圧縮アルゴリズムによれば、許容距離εを極端に大きく(つまり、圧縮程度を極端に高く)すれば、圧縮後経路情報21には、開始点(第1地点Ps)と、終了点(第2地点Pg)とだけが残る。許容距離εを小さく(つまり、圧縮程度を低く)すれば、圧縮後経路情報21には、許容距離εに応じた個数の中間地点Pnが残る。
つまり、上述の圧縮アルゴリズムによれば、圧縮程度(例えば、許容距離ε)を変化させることにより、圧縮後経路情報21に残る中間地点Pnの個数を変化させることができる。
【0043】
同図[B]には、圧縮閾値を最も高くした場合の圧縮後経路情報21の一例を示す。この圧縮後経路情報21には、情報量が圧縮された結果、中間地点P1~P10の座標情報のすべてが捨象されて、第1地点Psと第2地点Pgとの2点の座標情報だけが残される。
この一例においては、圧縮後経路情報21は、第1地点Psと第2地点Pgとを直線で接続した経路を示す。
【0044】
同図[C]には、圧縮閾値を同図[B]の圧縮閾値よりも低くした場合の圧縮後経路情報21の一例を示す。この圧縮後経路情報21には、情報量が圧縮された結果、中間地点P1~P10の座標情報のうち、中間地点P4の座標情報が残されて他が捨象され、第1地点Ps、第2地点Pg及び中間地点P4の3点の座標情報だけが残される。
この一例においては、圧縮後経路情報21は、第1地点Psと中間地点P4とを直線で結んだ第1区間Sc1と、中間地点P4と第2地点Pgとを直線で結んだ第2区間Sc2とによって経路を示す。
【0045】
同図[D]には、圧縮閾値を同図[C]の圧縮閾値よりもさらに低くした場合の圧縮後経路情報21の一例を示す。この圧縮後経路情報21には、情報量が圧縮された結果、中間地点P1~P10の座標情報のうち、中間地点P4及び中間地点P8の座標情報が残されて他が捨象され、第1地点Ps、第2地点Pg、中間地点P4及び中間地点P8の4点の座標情報だけが残される。
この一例においては、圧縮後経路情報21は、第1地点Psと中間地点P4とを直線で結んだ第1区間Sc11と、中間地点P4と中間地点P8とを直線で結んだ第21区間Sc21と、中間地点P8と第2地点Pgとを直線で結んだ第22区間Sc22とによって経路を示す。
【0046】
図5に戻り、判定部1033は、経路情報圧縮部1032が生成した圧縮後経路情報21に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、制約条件を満たすか否かを判定する。
ここでいう制約条件とは、圧縮後経路情報21が示す経路が障害物203を回避できているという条件である。
【0047】
圧縮制御部1035は、判定部1033による判定結果に基づいて、圧縮程度を変更して圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0048】
出力部1034は、圧縮後経路情報21が示す経路が制約条件を満たすと判定された場合に、当該圧縮後経路情報21を出力する。
この結果、表示部11には、制約条件を満たした移動経路の経路画像が表示される。
【0049】
[端末装置1の動作]
次に
図7を参照して、端末装置1の動作の一例について説明する。
図7は、本実施形態の端末装置1の動作の一例を示す図である。
【0050】
(ステップS110)端末装置1は、表示部11に地図画像を表示させる(
図3を参照)。
(ステップS120)端末装置1は、利用者による経路指定操作を受け付ける(
図4を参照)。
【0051】
(ステップS130)端末装置1は、ステップS120において受け付けた経路指定操作に基づいて、経路情報20を生成する(
図6[A]を参照)。この経路情報20は、障害物を回避しつつ、第1地点Psから第2地点Pgに到達する経路を示している。
なお、端末装置1は、経路情報20が示す経路が、障害物を回避できていない場合には、ステップS120の経路指定操作を再度行うように利用者に促すように構成されていてもよい。
【0052】
(ステップS140)端末装置1は、ステップS130において生成した経路情報20の情報量を圧縮して、圧縮後経路情報21を生成する。
【0053】
図8は、本実施形態の経路情報処理部103による圧縮動作の一例を示す図である。
(ステップS141)経路情報取得部1031は、経路情報20を取得し、取得した経路情報20を経路情報圧縮部1032に供給する。圧縮制御部1035は、経路情報圧縮部1032による圧縮程度(圧縮閾値)を十分に大きい値に設定する。
(ステップS142)経路情報圧縮部1032は、設定された圧縮閾値によって、経路情報20の情報量を圧縮する。この結果、
図6[B]に示すように、圧縮後経路情報21には、第1地点Psと第2地点Pgとの2点のみの座標情報が残される。
なお、ここで、経路画像出力部104は、圧縮後経路情報21が示す経路画像を表示部11に表示させてもよい。
【0054】
図9は、本実施形態の圧縮程度が十分に大きい場合の経路画像の一例を示す図である。圧縮後経路情報21には、第1地点Psと第2地点Pgとの2点のみの座標情報が残されている。この場合、同図に示すように、圧縮後経路情報21が示す経路は第1地点Psと第2地点Pgとを直線で接続する経路205bとなる。
【0055】
(ステップS143)判定部1033は、経路情報圧縮部1032が生成した圧縮後経路情報21に含まれる複数の地点を順に接続した経路が、制約条件を満たすか否かを判定する。
判定部1033は、経路が障害物と衝突している(つまり、制約条件を満たしていない)と判定した場合(ステップS143;YES)には、処理をステップS144に進める。判定部1033は、経路が障害物と衝突していない(つまり、制約条件を満たしている)と判定した場合(ステップS143;NO)には、処理をステップS145に進める。
【0056】
図9に示す一例では、判定部1033は、経路205bが障害物203b及び障害物203cに衝突しており、制約条件を満たしていないと判定する。この場合には、圧縮制御部1035は、処理をステップS144に進める。
【0057】
上述したように、制約条件とは、障害物203の位置と大きさとに基づく条件である。判定部1033は、障害物203の位置と大きさとに基づいて、圧縮後経路情報21が示す経路が、障害物203に衝突(干渉)するか否かを判定する。
【0058】
なお、経路と障害物203との衝突判定において、障害物の大きさに余白(余裕代)を与えてもよい
【0059】
図10は、本実施形態の圧縮後経路情報21が示す経路と障害物との衝突判定の一例を示す図である。障害物203の大きさは、実際の障害物の大きさに対して余白mが与えられている。このように障害物203の大きさに対して余白mを与えることにより、圧縮後経路情報21に基づいて移動体2が実際に移動する際に、圧縮後経路情報21が示す移動経路と実際の移動経路との間にずれが生じたとしても、障害物に衝突しないようにすることができる。
【0060】
(ステップS144)
図8に戻り、圧縮制御部1035は、判定部1033による判定結果に基づいて圧縮程度を変更して、処理をステップS142に戻し、圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0061】
図11は、本実施形態の圧縮程度を低下させた圧縮後経路情報21による経路画像の一例を示す図である。圧縮制御部1035が圧縮閾値を所定の更新幅によって低下させると、
図6[C]に示したように、中間地点P4の座標情報が残されて他が捨象され、圧縮後経路情報21には、第1地点Ps、第2地点Pg及び中間地点P4の3点の座標情報だけが残される。
図11に示す一例においては、圧縮後経路情報21が示す経路は、第1地点Psと中間地点P4とを結ぶ第1区間Sc1と、中間地点P4と第2地点Pgとを結ぶ第2区間Sc2とを有する経路205cとなる。
同図に示す経路205cは、障害物203cを回避できているものの、障害物203bに衝突している。この場合、判定部1033は、経路205cが制約条件を満たしていないと判定する。この場合には、圧縮制御部1035は、圧縮閾値をさらに低下させて再設定し、処理をステップS142に戻す。
【0062】
すなわち、圧縮程度の初期値は、制約条件を満たすと判定される経路情報20の圧縮の程度よりも高く設定されている。圧縮制御部1035は、圧縮程度を初期値よりも下げて、圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0063】
なお、圧縮程度の初期値は、制約条件を満たすと判定される経路情報20の圧縮の程度よりも低く設定されていてもよい。この場合、圧縮制御部1035は、圧縮程度を初期値よりも上げて、圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0064】
なお、
図11に示す一例では、経路205cのうち、第1区間Sc1においては、障害物を回避できており、第2区間Sc2においては、障害物を回避できていない。
このように、経路が障害物を回避できているか否かが、区間Scによって異なる場合がある。判定部1033は、区間Scごとに、制約条件を満たすか否かを判定する。
ここで、区間Scとは、圧縮後経路情報21に含まれる地点の数に基づいて経路が分割された、経路の一部のことをいう。
この場合、圧縮制御部1035は、判定部1033が制約条件を満たさないと判定した区間について、圧縮程度を変更して、圧縮後経路情報21を再生成させる。
例えば、
図11に示す一例では、圧縮制御部1035は、第2区間Sc2について、圧縮程度を変更して、圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0065】
換言すると、判定部1033は、圧縮後経路情報21に含まれる地点の数に基づいて経路が分割された区間ごとに、制約条件を満たすか否かを判定する。また、圧縮制御部1035は、判定部1033が制約条件を満たさないと判定した区間について、圧縮程度を変更して、圧縮後経路情報21を再生成させる。
【0066】
図12は、本実施形態の圧縮程度をさらに低下させた圧縮後経路情報21による経路画像の一例を示す図である。圧縮制御部1035が圧縮閾値を所定の更新幅によってさらに低下させると、
図6[A]に示した各中間地点Pnのうち、中間地点P4、中間地点P6、中間地点P8の座標情報が残されて他が捨象され、圧縮後経路情報21には、第1地点Ps、第2地点Pg、中間地点P4、中間地点P6及び中間地点P8の5点の座標情報だけが残される。
同図に示す経路205dは、地図画像に含まれるすべての障害物203を回避できている。この場合、判定部1033は、経路205dが制約条件を満たしていないと判定する。この場合には、圧縮制御部1035は、圧縮後経路情報21を確定し、確定した圧縮後経路情報21を出力部1034から出力させる。
この結果、表示部11には、確定された圧縮後経路情報21に基づく経路(つまり、情報量が圧縮され、かつ、障害物を回避可能な経路)が表示される。
【0067】
なお、圧縮制御部1035は、判定部1033が制約条件を満たさないと判定した区間について、圧縮程度を変更して、圧縮後経路情報21を再生成させるとして説明したがこれに限られない。圧縮制御部1035は、判定部1033が制約条件を満たさないと判定した区間が存在する場合、複数の区間(又はすべての区間)について、圧縮程度を変更して、圧縮後経路情報21を再生成させてもよい。
【0068】
なお、圧縮制御部1035は、表示部11に経路確定ボタン31を表示させてもよい。この場合、圧縮制御部1035は、利用者が経路確定ボタン31を操作した場合に、圧縮後経路情報21を確定する。
また、端末装置1は、確定された圧縮後経路情報21を送信部(不図示)を介して移動体2に送信してもよい。
【0069】
また、圧縮閾値の初期値や圧縮閾値の更新幅は、実フィールドの状況,無人移動機のサイズなどに依存する。圧縮制御部1035は、地図情報の精度、地図情報が示すエリアの気象条件・海象条件、移動体2の大きさなどを取得して、圧縮閾値の初期値や更新幅を設定してもよい。
【0070】
上述したように、圧縮制御部1035が設定する圧縮程度(圧縮閾値)の初期値は、制約条件を満たすと判定される経路情報20の圧縮の程度よりも高くされている。
このように構成することにより、圧縮制御部1035は、圧縮閾値を比較的高く設定して圧縮後経路情報21の情報量を比較的少なくしつつ、圧縮後経路情報21が示す経路の精密さが低下しすぎないようにして、圧縮閾値を設定することができる。
【0071】
[変形例]
図13は、本実施形態の経路の制約条件の第1の変形例を示す図である。
同図に示すように、障害物203の位置の情報は与えられているが、障害物203の大きさの情報までは与えられていない場合がある。このような場合には、圧縮制御部1035は、移動体2の大きさに応じた半径rに基づいて、圧縮閾値(許容距離ε)を設定してもよい。
このように構成することにより、経路情報生成装置10は、障害物203の大きさの情報までは与えられていない場合であっても、障害物203に衝突しにくい経路を示す圧縮後経路情報21を生成することができる。つまり、経路情報生成装置10は、情報量の低減と経路の精密さとを両立させた圧縮後経路情報21を生成することができる。
【0072】
[変形例(移動体から受信する障害物情報によって地図情報を更新する場合)]
図14は、本実施形態の経路の制約条件の第2の変形例を示す図である。
移動体2に与えられた経路情報が示す障害物の位置・大きさと、実際の障害物403の位置・大きさとが異なる場合がある。この場合、移動体2は、与えられた経路情報に基づいて移動すると、実際の障害物403と衝突するおそれがある。このため、移動体2は、レーダー、ライダー、センサ、カメラなどのデバイスによって障害物403を検出し、障害物403を回避するように経路を変更する、移動速度を低下させる、停止するなどの自律制御する機能を備えている場合がある。
【0073】
このような場合において、移動体2は、障害物情報を端末装置1に対して送信してもよい。障害物情報とは、移動体2が観測した実際の障害物403の位置や大きさを示す情報である。この場合、移動体2の受信部12は、移動体情報に加えて、障害物情報を移動体2から受信する。
【0074】
移動体2が障害物情報を送信する構成の場合、経路情報生成装置10は、障害物情報取得部105を備えていてもよい。
障害物情報取得部105は、移動体2が送信する障害物情報を取得する。障害物情報には、移動体2が観測した障害物の位置や大きさを示す情報が含まれる。
地図情報更新部108は、障害物情報取得部105が取得する障害物情報が示す障害物203の位置の情報に基づいて、地図情報を更新する。
【0075】
また、地図情報更新部108は、移動体2が移動した結果に基づいて、地図情報を更新してもよい。移動体2は、実際の障害物403を避けながら移動する。したがって、移動体2が移動した経路の情報には、与えられた移動経路と、自律的に移動した経路とのずれ量dの情報(つまり、実際の障害物403の位置や大きさを示す情報)が含まれている。
障害物情報取得部105は、経路情報20に基づいて移動する移動体が移動した結果得られる障害物203の位置の情報を取得する。
障害物情報取得部105は、取得した障害物情報を地図情報更新部108に供給する。
地図情報更新部108は、障害物情報取得部105が取得する障害物203の位置の情報に基づいて、地図情報を更新する。
このように構成された経路情報生成装置10によれば、地図情報の精度や鮮度を自動的に向上させることができる。
【0076】
なお、これにより、例えば経路情報の情報量を低減できることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0078】
上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0079】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0080】
1…端末装置、2…移動体、10…経路情報生成装置、11…表示部、12…受信部、13…地図情報記憶部、14…操作検出部、101…地図画像出力部、102…経路指定操作受付部、103…経路情報処理部、1031…経路情報取得部、1032…経路情報圧縮部、1033…判定部、1034…出力部、1035…圧縮制御部、104…経路画像出力部、105…障害物情報取得部、106…移動体情報取得部、107…地図情報取得部、108…地図情報更新部