(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152550
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】遠隔運転代行システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221004BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221004BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221004BHJP
G16Y 40/50 20200101ALI20221004BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/09 V
G16Y10/40
G16Y40/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055364
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】吉河 訓太
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181MC12
5H181MC19
5H181MC27
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手軽に遠隔運転サービスを利用することができる遠隔運転代行システムを提供すること。
【解決手段】ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末と、端末と通信する運転代行管理サーバと、を備える遠隔運転代行システムにおいて、運転代行管理サーバは、端末から代行依頼情報を受信すると、撮影画像に基づいて車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する判定部と、車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、車両の運転を代行する代行者の選択肢をユーザに選択可能に提示する代行者提示部と、代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ車両の運転の代行を指示する運転代行指示部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末装置と、
前記端末装置と通信するサーバ装置と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記端末装置から前記代行依頼情報を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する判定部と、
前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示する代行者提示部と、
前記代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示する運転代行指示部と、
を備える遠隔運転代行システム。
【請求項2】
前記車両は、
前記運転代行指示部により指示された代行者の遠隔運転装置へ前記車両の位置情報及び周囲の撮影映像を含む車両情報を送信する車両情報送信部と
前記遠隔運転装置から送信された操作情報を受信する操作情報受信部と、
前記操作情報受信部により受信された操作情報に基づいて前記車両を制御する車両制御部と、
を備え、
前記遠隔運転装置は、
前記車両から送信された前記車両情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部により受信された車両情報に基づいて前記代行者が前記車両を遠隔操作する操作に応じた操作情報を、前記車両へ送信する操作情報送信部と、
を備える請求項1に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項3】
前記代行者提示部は、
前記代行者の料金及び技能に関する情報を少なくとも含む選択肢を前記ユーザに提示する、
請求項1または請求項2に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項4】
前記代行者の料金及び技能の一方又は両方の選択基準と道路状況との対応付けが前記ユーザにより予め設定されており、
前記運転代行指示部は、
運転を代行する前記車両の目的地までの経路の道路状況に基づいて、当該道路状況に対応付けられた前記料金及び技能の一方又は両方の選択基準に基づく代行者を選択し、選択された代行者へ運転代行を指示する、
請求項3に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項5】
前記代行者提示部は、
前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示する際に、選択された代行者による運転の代行が困難になった場合に当該代行者に代替して運転を代行する代替代行者の選択も選択可能に提示し、
前記運転代行指示部は、
前記代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代替代行者へ運転代行の待機を指示する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項6】
前記車両は、
前記運転代行指示部により指示された代行者の遠隔運転装置へ前記車両の位置情報及び周囲の撮影映像を含む車両情報を送信する車両情報送信部、
を備え、
前記車両情報送信部は、
前記運転代行指示部により運転代行の待機を指示された代替代行者の遠隔運転装置にも前記車両情報を送信する、
請求項5に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項7】
前記代行者の前記遠隔運転装置は、
前記代替代行者の前記遠隔運転装置から待機状態を示す情報を前記サーバ装置を介して取得し、取得した情報に基づいて前記代行者が運転の代行を切り替えることを承認した場合、当該承認したことを示す承認情報を前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置の前記運転代行指示部は、
前記代替代行者の前記遠隔運転装置が前記承認情報を受信した後、前記車両から送信される前記車両情報に基づいて前記代替代行者が所定の操作を行ったタイミングに応じて、前記車両の運転の代行を前記代行者から前記代替代行者へ切り替える、
請求項6に記載の遠隔運転代行システム。
【請求項8】
ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる運転代行依頼を送信する端末装置と、前記端末装置と通信するサーバ装置とを備える遠隔運転代行システムにおける制御方法であって、
前記サーバ装置において、
判定部が、前記端末装置から前記運転代行依頼を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、
代行者提示部が、前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示するステップと、
運転代行指示部が、前記代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示するステップと、
を含む制御方法。
【請求項9】
ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる運転代行依頼を送信する端末装置と、前記端末装置と通信するサーバ装置とを備える遠隔運転代行システムにおける前記サーバ装置としてのコンピュータに、
前記端末装置から前記運転代行依頼を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、
前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示するステップと、
提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔運転代行システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のユーザに対して遠隔運転サービスを提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、遠隔運転サービスを利用するにはユーザが使用する車両の識別情報やユーザの属性情報などを予め登録しておく必要があり、手軽に利用することができなった。
【0005】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる遠隔運転代行システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様に係る遠隔運転代行システムは、ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末装置と、前記端末装置と通信するサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、前記端末装置から前記代行依頼情報を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する判定部と、前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示する代行者提示部と、前記代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示する運転代行指示部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る遠隔運転代行システムにおける制御方法は、ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる運転代行依頼を送信する端末装置と、前記端末装置と通信するサーバ装置とを備える遠隔運転代行システムにおける制御方法であって、前記サーバ装置において、判定部が、前記端末装置から前記運転代行依頼を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、代行者提示部が、前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示するステップと、運転代行指示部が、前記代行者提示部が提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示するステップと、を含む。
【0008】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、ユーザの車両を撮影した撮影画像が含まれる運転代行依頼を送信する端末装置と、前記端末装置と通信するサーバ装置とを備える遠隔運転代行システムにおける前記サーバ装置としてのコンピュータに、前記端末装置から前記運転代行依頼を受信すると、前記撮影画像に基づいて前記車両が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、前記車両が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、前記車両の運転を代行する代行者の選択肢を前記ユーザに選択可能に提示するステップと、提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ前記車両の運転の代行を指示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る遠隔運転代行システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態に係る端末の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】第1の実施形態に係る車両の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】第1の実施形態に係る運転代行管理サーバの構成の一例を示すブロック図。
【
図5】第1の実施形態に係る代行者情報のデータ例を示す図。
【
図6】第1の実施形態に係る遠隔運転装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図7】第1の実施形態に係る遠隔運転代行システムにおける処理の流れを示す図。
【
図8】第3の実施形態に係る処理の前半の流れを示す図。
【
図9】第3の実施形態に係る処理の後半の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
[遠隔運転代行システムの概要]
図1は、本実施形態に係る遠隔運転代行システム1の構成の一例を示すブロック図である。遠隔運転代行システム1は、端末10と、車両20と、運転代行管理サーバ40と、遠隔運転装置50とを含んで構成されている。端末10は、車両20の運転手または乗客となるユーザUが所有している端末装置であり、スマートフォンや、タブレット端末等である。
【0012】
車両20は、ユーザUが運転手または乗客として使用する自動車である。車両20には、通信装置30とセンサ31とが設置されている。例えば、通信装置30とセンサ31とは、車両20の購入後にユーザU(或いはユーザUに依頼された業者)により設置されたものである。センサ31は、車両20の周囲の状況を撮影する複数のカメラを含む。また、センサ31は、車両20の周囲の物体との距離を検出する複数の距離センサを含んでもよい。距離センサとしては、電波を使用して測定するレーダ装置またはレーザー光を使用して測定するLiDAR(Light Detection And Ranging)装置などを用いることができる。
【0013】
なお、通信装置30及びセンサ31は、一部または全部が車両20の外部に設置されてもよいし、車両20の内部に設置されてもよい。また、センサ31の台数は、例えば、前方用、左方用、右方用、及び後方用の計4台としてもよいし、4台より多い台数或いは4台未満の台数としてもよい。
【0014】
車両20は、運転手として乗車したユーザUが運転する手動運転モードと、通信装置30を介して通信接続される遠隔運転装置50を使用して代行運転手Dが運転する遠隔運転モードとの両方に対応している。代行運転手Dは、ユーザUに代わって車両20を遠隔運転する運転手である。例えば、代行運転手Dは、遠隔運転による運転代行サービス(遠隔運転サービス)を提供する運転代行業者に所属している運転手である。なお、代行運転手Dは、運転代行業者に所属していない個人事業主の運転手でもよい。以下では、運転代行業者及び代行運転手のことをまとめて「代行者」と総称する。
【0015】
ユーザUは、端末10を使用して運転の代行を依頼することができる。端末10は、ユーザUの操作に応じて、通信ネットワークを介して運転の代行を依頼する代行依頼情報を運転代行管理サーバ40へ送信する。代行依頼情報には、ユーザUが端末10で撮影した車両20の撮影画像が少なくとも含まれる。車両20の撮影画像には、車両20に設置された通信装置30及びセンサ31の少なくとも一部が含まれる。この撮影画像は、基本的には静止画像であるが、動画像とすることも可能である。なお、端末10から代行依頼情報を運転代行管理サーバ40へ送信する機能は、例えば運転代行依頼用の所定のアプリケーションを端末10で実行することにより実現される。
【0016】
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行依頼情報を受信すると、撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する。例えば、運転代行管理サーバ40は、撮影画像に含まれる通信装置30またはセンサ31の少なくとも一部の形状を検出して照合することにより、遠隔運転用に提供されている機器であるか否かを判定する。また、通信装置30またはセンサ31のいずれかの場所に規定の印を設けておき、運転代行管理サーバ40は、当該印が撮影された撮影画像に基づいて、車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定してもよい。印とは、絵柄、記号、文字などである。例えば、1台の車両に設置される通信装置30及びセンサ31のセットごとに固有の識別情報(以下、「サービスID」と称する)となる1次元コードまたは2次元コードを印としてもよい。このサービスIDは、運転代行管理サーバ40を用いた遠隔運転サービスによる遠隔運転に対応していることを証明する規定のIDである。固有のサービスIDを印とすることにより、運転代行管理サーバ40は、車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かの判定とともに、遠隔運転に対応した車両であると判定した場合には、車両の特定も行うことができる。
【0017】
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行依頼情報を受信し、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定した場合、車両20の運転を代行する代行者(運転代行業者、または代行運転手)の選択肢を端末10へ送信し、ユーザUに選択可能に提示する。そして、運転代行管理サーバ40は、選択肢の中から端末10でユーザにより選択された代行者の選択情報を端末10から取得し、選択された代行者へ車両20の運転の代行を指示する。例えば、運転代行管理サーバ40は、車両20の運転の代行を指示する代行指示情報を、代行運転手Dの遠隔運転装置50へ通信ネットワークを介して送信する。
【0018】
遠隔運転装置50は、運転代行管理サーバ40から代行指示情報を受信すると、車両20と通信ネットワークを介して通信を開始する。遠隔運転装置50は、車両20から車両20の位置情報及び周囲の撮影映像(動画像)などを含む車両情報を受信し、受信した車両情報に基づいて車両20の周囲の撮影映像や位置情報を表示する。代行運転手Dが車両情報に基づいて遠隔運転操作を行うと、遠隔運転装置50は、代行運転手Dの遠隔運転操作に応じた操作情報を車両20へ送信する。車両20は、遠隔運転装置50から送信された操作情報を受信し、受信した操作情報に基づいて車両20の運転を制御する。これにより、代行運転手Dは、遠隔運転装置50を使用して車両20を遠隔運転することができる。
【0019】
ここで、端末10と運転代行管理サーバ40との通信及び運転代行管理サーバ40と遠隔運転装置50との通信に用いる通信ネットワークは、インターネット、携帯電話通信網、公衆無線LAN(Local Area Network)などの少なくともいずれかの通信ネットワークを用いることができる。一方、車両20と遠隔運転装置50との通信に用いる通信ネットワークは、高速通信に対応した通信ネットワークが好ましい。一例として、車両20と遠隔運転装置50との通信に用いる通信ネットワークは、5G(5th Generation)等の携帯電話網などの通信ネットワークを用いることができる。
【0020】
このように、遠隔運転代行システム1は、車両やユーザの情報を予め登録する必要がなく、車両20の撮影画像を送信することで、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる。以下、遠隔運転代行システム1の各構成について詳しく説明する。
【0021】
[端末10の構成]
端末10は、前述したようにユーザUが使用する端末装置(例えば、スマートフォン)である。
図2は、本実施形態に係る端末10の構成の一例を示すブロック図である。端末10は、通信部11と、入力部12と、表示部13と、撮像部14と、記憶部15と、位置情報取得部16と、端末制御部17とを備えている。通信部11は、通信ネットワークを介して、運転代行管理サーバ40などの他の装置と通信を行う。
【0022】
入力部12は、タッチパネルや操作ボタンなどを含んで構成されている。入力部12は、ユーザUの操作による各種の指示が入力され、当該入力に応じた操作信号を出力する。なお、入力部12は、音声により各種の指示の入力が可能なマイクロホンや、周辺機器として接続されるキーボードやマウスなどを含む構成としてもよい。
【0023】
表示部13は、画像や映像、テキスト等の情報を表示するディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネルなどを含んで構成されている。
【0024】
撮像部14は、レンズ及び撮像素子などを含んで構成され、レンズを通して入射される光学像を電気信号に変換して撮像する。例えば、撮像部14は、ユーザUの撮影操作に応じて撮像した画像を撮影画像として出力する。即ち、端末10は、カメラとして機能する。
【0025】
記憶部15は、例えばROM(Read-Only Memory)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成され、プログラムやデータ等を記憶する。なお、記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などを含んで構成されてもよい。
【0026】
位置情報取得部16は、例えばGNSS(global navigation satellite system)の受信モジュールを含んで構成され、端末10の位置座標を取得する。
【0027】
端末制御部17は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部15に記憶されているプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する。例えば、端末制御部17は、入力部12に対するユーザUの撮影操作に応じて撮像部14を制御して、撮影画像を取得する。また、端末制御部17は、運転代行依頼用の所定のアプリケーション(プログラム)を実行することにより、入力部12に対するユーザUの操作に応じて代行依頼情報を運転代行管理サーバ40へ送信する。代行依頼情報には、車両20の撮影画像に加えて、ユーザUの情報(名前など)、位置情報取得部16が取得した端末10の位置座標(現在位置)、ユーザUが入力した車両20の目的地(行先)などの情報が含まれてもよい。
【0028】
なお、端末10は、不図示のスピーカ、音声出力端子、ジャイロセンサなどのハードウェア構成を含んで構成されてもよい。
【0029】
[車両20の構成]
図3は、本実施形態に係る車両20の構成の一例を示すブロック図である。車両20は、操作部21と、車両制御部22とを備えている。また、車両20には、通信装置30とセンサ31とが設置されている。前述したように、通信装置30とセンサ31とは、購入後に車両20に設置されたものである。なお、通信装置30とセンサ31とは、標準仕様またはオプションとして、購入時点で車両20に設置済みであってもよい。
【0030】
操作部21は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、及びウィンカーレバーなどの車両20を運転するために必要な操作部材を含んで構成されている。また、操作部21は、エアコン(エア・コンディショナー)、カーナビ(カーナビゲーションシステム)、ウィンドウ開閉ボタンなどの車両20の装備を操作するために必要な操作部材を含んでもよい。
【0031】
車両制御部22は、車両20に乗車した運転手(例えば、ユーザU)が運転する手動運転モードと、遠隔運転装置50を使用して代行運転手Dが運転する遠隔運転モードとのいずれかのモードで車両20の走行や装備などを制御する。車両制御部22は、手動運転モードの場合、操作部21に対する操作に基づいて車両20の走行や装備などを制御する。一方、遠隔運転モードの場合、車両制御部22は、遠隔運転装置50から送信される操作情報を通信装置30を介して取得し、取得した操作情報に基づいて車両20の走行や装備などを制御する。
【0032】
また、車両制御部22は、車両20に装備されているカーナビのGNSS機能を利用して車両20の位置情報を取得してもよい。また、車両制御部22は、走行状態に関する情報を取得してもよい。走行状態に関する情報とは、車両20が停車中の状態を示す情報、走行中の状態を示す情報、走行中の速度を示す情報などである。例えば、車両制御部22は、車両20の位置情報及び走行状態に関する情報の少なくとも一部の情報が含まれる車両情報を通信装置30へ出力する。
【0033】
通信装置30は、車両情報取得部301と、車両情報送信部302と、操作情報受信部303とを備えている。
車両情報取得部301は、車両制御部22から車両20の位置情報及び走行状態に関する情報の少なくとも一部の情報が含まれる車両情報を取得する。なお、車両情報取得部301は、自身がGNSS機能を有し、当該GNSS機能を利用して車両20の位置情報を取得してもよい。また、車両情報取得部301は、センサ31(複数のカメラまたは複数の距離センサ)から車両20の周囲の撮影映像及び周囲の物体との距離情報を車両情報として取得する。
【0034】
車両情報送信部302は、代行者(代行運転手D)の遠隔運転装置50へ車両情報取得部301が取得した車両情報を送信する。車両情報には、少なくとも車両20の位置情報及び周囲の撮影映像が含まれる。
操作情報受信部303は、遠隔運転装置50から送信された操作情報を受信する。操作情報受信部303は、受信した操作情報を車両制御部22へ出力する。
【0035】
なお、車両制御部22は、自動運転モードにも対応していてもよい。例えば、車両制御部22は、通信装置30を介して車両20の周囲の撮影映像及び周囲の物体との距離情報を取得するとともに、取得した撮影映像及び距離情報と、車両20に装備されているカーナビの位置情報及び地図情報などを用いて車両20の走行を制御してもよい。また、自動運転モードは、特定の道路条件下では自動運転とし、それ以外の条件では手動運転又は遠隔運転に切り替える併用型のモードであってもよい。この併用型の自動運転モードにおける遠隔運転も遠隔運転モードとして適用することができる。
【0036】
[運転代行管理サーバ40の構成]
図4は、本実施形態に係る運転代行管理サーバ40の構成の一例を示すブロック図である。運転代行管理サーバ40は、通信部41と、記憶部42と、管理制御部43とを備えている。通信部41は、通信ネットワークを介して、端末10及び遠隔運転装置50などの他の装置と通信を行う。
【0037】
記憶部42は、例えばROM、フラッシュROM、RAM、HDD、SSDなどを含んで構成され、プログラムやデータ等を記憶する。なお、記憶部42は、運転代行管理サーバ40に内蔵されるものに限らず、USB(Universal Serial Bus)等の入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。また、記憶部42は、通信部41及び通信ネットワークを介して接続される記憶装置でもよい。
【0038】
例えば、記憶部42には、運転代行管理サーバ40の機能を実現するために実行するプログラムや各種データが記憶される。例えば、記憶部42には、代行者情報421が記憶される。代行者情報421は、遠隔運転サービスを提供する複数の代行者に関する情報である。
【0039】
図5は、本実施形態に係る代行者情報421のデータ例を示す図である。代行者情報421には、代行者、技能、料金、遠隔運転可能日時などが関連付けられている。代行者は、運転代行業者の名称及び運転代行業者に所属している代行運転手の名前、或いは個人事業主としての代行運転手の名前などである。技能は、代行運転手の運転の技能である。例えば、技能は、代行運転手の運転の経験年数、運転回数、走行距離、事故歴、利用者の評価などに基づく指標を用いた評価により、3段階又は5段階などでランク付けされ運転技能のレベル(高低)を表す。一例として、技能は高い方から低い方へ順に、S、A、B、C、Dの5段階でランク付けされる。料金は、代行者(運転代行業者又は代行運転手)ごとに設定されている遠隔運転サービスの利用料金である。例えば、料金は、単位距離あたりの料金を表す情報である。なお、料金は、季節ごと、曜日ごと、時間帯ごと等によって設定されてもよい。また、料金は、遠隔運転の対象となる車両の車種によって設定されてもよい。遠隔運転可能日時には、代行運転手ごとに遠隔運転が可能な日時の情報が格納されている。技能、料金、遠隔運転可能日時などの情報は、変更に応じて更新される。
【0040】
また、記憶部42には、代行者選択情報422が記憶される。代行者選択情報422は、車両20の運転を代行する代行者の選択肢の中からユーザUにより選択された代行者の情報である。例えば、代行者選択情報422には、代行依頼情報に含まれるユーザUの情報(名前など)、現在位置、及び目的地などの情報、車両20に設置されている通信装置30及びセンサ31のセットごとサービスID、代行者の選択情報などが関連付けられる。
【0041】
管理制御部43は、情報取得部431と、判定部432と、代行者提示部433と、運転代行指示部434とを備えている。情報取得部431は、端末10から代行依頼情報を受信する。例えば、代行依頼情報には、ユーザUの情報(名前など)、現在位置、及び目的地などの情報、及び車両20の撮影画像が含まれる。また、情報取得部431は、代行者の選択肢の中からユーザUに選択された代行者の情報(代行者の選択情報)を端末10から取得する。情報取得部431は、代行依頼情報に含まれるユーザUの情報(名前など)、現在位置、及び目的地などの情報、車両20の撮影画像から抽出したサービスID、及び代行者の選択情報などを関連付けて代行者選択情報422として記憶部42に保存する。
【0042】
判定部432は、情報取得部431により受信された代行依頼情報に含まれる撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する。例えば、判定部432は、撮影画像に含まれる通信装置30またはセンサ31の少なくとも一部の形状を検出して照合することにより、遠隔運転用に提供されている機器であるか否かを判定してもよい。また、判定部432は、車両20の撮影画像に撮影されている1次元コードまたは2次元コードなどから規定のサービスIDを抽出できた場合、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定してもよい。
【0043】
代行者提示部433は、判定部432により車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示する。例えば、代行者提示部433は、記憶部42に記憶されている代行者情報421を参照して、代行運転可能な代行者の選択肢のリストを生成し、端末10へ送信する。例えば、代行者の選択肢のリストには、代行者の料金及び技能に関する情報が含まれてもよい。
【0044】
運転代行指示部434は、代行者提示部433が提示した代行者の選択肢の中からユーザUに選択された代行者へ車両20の運転の代行を指示する。例えば、運転代行指示部434は、選択された代行者(例えば、代行運転手D)の遠隔運転装置50へ運転の代行を指示する代行指示情報を送信する。代行指示情報には、運転の代行を依頼したユーザUの情報(名前など)、現在位置、及び目的地などの情報と、遠隔運転の対象となる車両20を特定するサービスIDなどが含まれる。
【0045】
[遠隔運転装置50の構成]
図6は、本実施形態に係る遠隔運転装置50の構成の一例を示すブロック図である。遠隔運転装置50は、通信部51と、記憶部52と、表示部53と、操作部54と、遠隔運転制御部55とを備えている。通信部51は、通信ネットワークを介して、遠隔運転装置50などの他の装置と通信を行うとともに、車両20と高速通信ネットワークを介して接続し、車両20と遠隔運転に関する通信を行う。
【0046】
記憶部52は、例えばROM、フラッシュROM、RAM、HDD、SSDなどを含んで構成され、プログラムやデータ等を記憶する。なお、記憶部52は、運転代行管理サーバ40に内蔵されるものに限らず、USB等の入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。また、記憶部52は、通信部51及び通信ネットワークを介して接続される記憶装置でもよい。
【0047】
例えば、記憶部42には、運転代行管理サーバ40の機能を実現するために実行するプログラムや各種データが記憶される。例えば、記憶部42には、代行者情報421が記憶される。代行者情報421は、遠隔運転サービスを提供する複数の代行者に関する情報である。
【0048】
表示部53は、画像や映像、テキスト等の情報を表示するディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネルなどを含んで構成されている。この表示部53は、車両20を遠隔運転する際に車両20の周囲の撮影映像を表示するため、比較的に大画面のディスプレイであり、少なくとも車両20の前方側に対応する場所がディスプレイ面となるように設置されている(
図1参照)。
【0049】
操作部54は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、及びウィンカーレバーなどの車両20を遠隔運転するために必要な操作部材を含んで構成されている。また、操作部54は、エアコン、ウィンドウ開閉ボタンなどの車両20の装備を遠隔操作するために必要な操作部材を含んでもよい。
【0050】
遠隔運転制御部55は、車両情報受信部551と、操作情報送信部552とを備えている。車両情報受信部551は、車両20から送信された車両情報を、通信部51を介して受信する。車両情報受信部551は、受信した車両情報に含まれる車両20の周囲の撮影映像を表示部53に表示させる。また、車両情報受信部551は、受信した車両情報に含まれる車両20の位置情報、周囲の物体との距離情報、及び走行状態に関する情報などを必要に応じて表示部53に表示させる。
【0051】
操作情報送信部552は、車両情報受信部より受信された車両情報に基づいて代行運転手Dが操作部54に対して遠隔操作する操作に応じた操作情報を、通信部51を介して車両20へ送信する。
【0052】
[遠隔運転代行システム1における処理の流れ]
次に、遠隔運転代行システム1における処理の流れを説明する。
図7は、本実施形態に係る遠隔運転代行システム1における処理の流れを示す図である。端末10は、ユーザUの操作に応じて車両20を撮影する(ステップS101)。次に、端末10は、運転代行依頼用の所定のアプリケーションに対してユーザUが運転の代行を依頼する操作を受け付けると(ステップS103)、車両20の撮影画像、ユーザUの情報(名前など)、現在位置、車両20の目的地(行先)などの情報が含まれる代行依頼情報を運転代行管理サーバ40へ送信する(ステップS105)。
【0053】
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行依頼情報を取得すると、車両20の撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する(ステップS107)。運転代行管理サーバ40は、車両20が遠隔運転に対応した車両でないと判定した場合(NO)、代行依頼を受けずに処理を終了する。一方、運転代行管理サーバ40は、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定した場合(YES)、代行運転可能な代行者の選択肢のリスト(代行者リスト)を生成する(ステップS109)。そして、運転代行管理サーバ40は、生成した代行者リストを端末10へ送信する(ステップS111)。
【0054】
端末10は、運転代行管理サーバ40から代行者リストを取得すると、取得した代行者リストを表示し、ユーザUによる代行者の選択操作を受け付ける(ステップS113)。端末10は、ユーザUにより選択された代行者を示す代行者選択情報を運転代行管理サーバ40へ送信する(ステップS115)。
【0055】
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行者選択情報を取得すると、代行者選択情報に基づいて、端末10でユーザUにより選択された代行者(代行運転手D)に運転の代行を指示する代行指示情報を生成する(ステップS117)。そして、運転代行管理サーバ40は、生成した代行指示情報を代行運転手Dの遠隔運転装置50へ送信する(ステップS119)。
【0056】
遠隔運転装置50は、運転代行管理サーバ40から代行指示情報を取得すると、車両20と通信を確立し通信を開始する(ステップS121)。車両20は、車両情報を遠隔運転装置50へ送信開始する(ステップS123)。遠隔運転装置50は、車両20から車両情報を取得し、車両情報(車両20の周囲の撮影映像など)の表示を開始する(ステップS125)。
【0057】
遠隔運転装置50は、代行運転手Dが遠隔運転の操作を開始すると(ステップS127)、この遠隔運転の操作に応じた操作情報を車両20へ送信する(ステップS129)。これにより、車両20は、代行運転手Dの遠隔運転操作に応じて車両の走行などの制御を行う(ステップS131)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る遠隔運転代行システム1は、ユーザUの車両20を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末10(端末装置の一例)と、端末10と通信する運転代行管理サーバ40(サーバ装置の一例)とを備えている。
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行依頼情報を受信すると、撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定する。運転代行管理サーバ40は、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示し、提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ車両20の運転の代行を指示する。
【0059】
これにより、遠隔運転代行システム1は、車両20やユーザUの情報を予め登録する必要がなく、車両20の撮影画像を送信することで、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる。
【0060】
また、車両20は、運転代行管理サーバ40により指示された代行者の遠隔運転装置50へ車両20の位置情報及び周囲の撮影映像を含む車両情報を送信する。遠隔運転装置50は、車両20から送信された車両情報を受信し、受信した車両情報に基づいて代行者が車両20を遠隔操作する操作に応じた操作情報を、車両20へ送信する。そして、車両20は、遠隔運転装置50から送信された操作情報を受信し、受信した操作情報に基づいて車両20を制御する。
【0061】
これにより、遠隔運転代行システム1は、ユーザUにより選択された代行者の遠隔操作によりユーザUの車両20の走行などを制御することができる。
【0062】
例えば、運転代行管理サーバ40は、代行者の料金及び技能に関する情報を少なくとも含む選択肢をユーザUに提示する。
【0063】
これにより、遠隔運転代行システム1は、ユーザUが遠隔運転を依頼する代行者を、料金や代行運転手の技能などの情報を基に複数の代行者の中から選択することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る、ユーザUの車両20を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末10(端末装置の一例)と、端末10と通信する運転代行管理サーバ40(サーバ装置の一例)とを備える遠隔運転代行システム1における制御方法は、運転代行管理サーバ40において、端末10から代行依頼情報を受信すると、撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示するステップと、提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ車両20の運転の代行を指示するステップと、を含む。
【0065】
これにより、遠隔運転代行システム1における制御方法は、車両20やユーザUの情報を予め登録する必要がなく、車両20の撮影画像を送信することで、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るプログラムは、ユーザUの車両20を撮影した撮影画像が含まれる代行依頼情報を送信する端末10(端末装置の一例)と、端末10と通信する運転代行管理サーバ40(サーバ装置の一例)とを備える遠隔運転代行システム1における運転代行管理サーバ40としてのコンピュータに、端末10から代行依頼情報を受信すると、撮影画像に基づいて車両20が遠隔運転に対応した車両であるか否かを判定するステップと、車両20が遠隔運転に対応した車両であると判定された場合、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示するステップと、提示した代行者の選択肢の中から選択された代行者へ車両20の運転の代行を指示するステップと、を実行させる。
【0067】
これにより、運転代行管理サーバ40としてのコンピュータに実行させるプログラムは、車両20やユーザUの情報を予め登録する必要がなく、車両20の撮影画像を送信することで、手軽に遠隔運転サービスを利用することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。ユーザUは、依頼の度に代行者を選択してもよいが、予め設定された条件により自動で代行者が選択されてもよい。例えば、代行者の料金及び技能の一方又は両方の選択基準と道路状況との対応付けがユーザUにより予め設定されてもよい。道路状況とは、運転を代行する車両20の現在位置から目的地までの経路の道路状況である。道路状況には、市街地、山道、悪路などといった道路の物理的な状況、渋滞や気象状況などといった道路上の変化する状況が含まれる。また、代行者の選択基準としては、「料金は高いが技能も高い代行者」、「市街地の抜け道を熟知した技能を有する代行者」、「技能は高くないが料金も低い代行者」などを設定することができる。
【0069】
例えば、「市街地」と「市街地の抜け道を熟知した技能を有する代行者」とを対応付けておくことで、運転代行管理サーバ40は、目的地までの経路が主に市街地の場合に、「市街地の抜け道を熟知した技能を有する代行者」を自動で選択してもよい。また、「山道や悪路」と「料金は高いが技能も高い代行者」とを対応付けておくことで、運転代行管理サーバ40は、目的地までの経路に山道や悪路がある場合、「料金は高いが技能も高い代行者」を自動で選択してもよい。また、「渋滞」と「技能は高くないが料金も低い代行者」とを対応付けておくことで、運転代行管理サーバ40は、目的地までの経路が渋滞している場合、「技能は高くないが料金も低い代行者」を自動で選択してもよい。なお、運転代行管理サーバ40は、地図サーバや道路交通情報を提供しているサーバなどから通信ネットワークを介して道路状況を取得する。
【0070】
このように、代行者の料金及び技能の一方又は両方の選択基準と道路状況との対応付けがユーザUにより予め設定されてもよい。例えば、運転代行管理サーバ40の運転代行指示部434は、運転を代行する車両20の目的地までの経路の道路状況に基づいて、当該道路状況に対応付けられた料金及び技能の一方又は両方の選択基準に基づく代行者を選択し、選択された代行者へ運転代行を指示する。
【0071】
これにより、遠隔運転代行システム1は、ユーザUが依頼の度に代行者を選択しなくとも、目的地までの道路状況に応じて適切な代行者による遠隔運転を提供することができる。
【0072】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。代行者の都合などにより遠隔運転による代行が困難になった場合に備えて、代替可能な代行者を予め選択可能な構成としてもよい。本実施形態では、運転代行管理サーバ40の代行者提示部433は、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示する際に、選択された代行者による運転の代行が困難になった場合に当該代行者に代替して運転を代行する代替代行者も選択可能にユーザUに提示する。また、運転代行指示部434は、代行者提示部433が提示した代行者の選択肢の中からユーザUに選択された代替代行者へ運転代行の待機を指示する。ここで、ユーザUにより選択された代行者のことを第1代行者、代替代行者のことを第2代行者と称する。また、第1代行者が操作する遠隔運転装置を遠隔運転装置50A、第2代行者が操作する遠隔運転装置を遠隔運転装置50Bと称する。
【0073】
車両20の車両情報送信部302は、第1代行者の遠隔運転装置50Aのみではなく、第2代行者の遠隔運転装置50Bにも車両情報を送信する。また、第1代行者の遠隔運転装置50Aは、第2代行者の遠隔運転装置50Bから待機状態を示す情報を運転代行管理サーバ40を介して取得する。遠隔運転装置50Aは、取得した待機状態を示す情報に基づいて第1代行者が運転の代行を切り替えることを承認した場合、当該承認したことを示す承認情報を運転代行管理サーバ40へ送信する。
【0074】
運転代行管理サーバ40の運転代行指示部434は、遠隔運転装置50Aから承認情報を受信した後、車両20から送信される車両情報に基づいて第2代行者が所定の操作を行ったタイミングに応じて、車両20の運転の代行を第1代行者から第2代行者へ切り替える。第2代行者が行う所定の操作は、代行者を切り替える操作でもよいし、単に車両20を遠隔運転する操作であってもよい。
【0075】
以下、
図8及び
図9を参照して、代行者を切り替えに関する処理の流れを説明する。
図8は、本実施形態に係る処理の前半の流れを示す図である。
図9は、本実施形態に係る処理の後半の流れを示す図である。処理の前半は、第1代行者と第2代行者との両方を選択する点が第1の実施形態(
図7)と異なる。処理の後半は、第1代行者から第2代行者への切り替えが第1の実施形態(
図7)と異なる。
【0076】
ステップS201~S211の処理は、
図7のステップS101~S111の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
端末10は、運転代行管理サーバ40から代行者リストを取得すると、取得した代行者リストを表示し、ユーザUによる第1代行者及び第2代行者の選択操作を受け付ける(ステップS113)。端末10は、ユーザUにより選択された第1代行者及び第2代行者を示す代行者選択情報を運転代行管理サーバ40へ送信する(ステップS215)。
【0078】
運転代行管理サーバ40は、端末10から代行者選択情報を取得すると、代行者選択情報に基づいて、端末10でユーザUにより選択された第1代行者に運転の代行を指示する代行指示情報と、第2代行者に運転の代行の待機を指示する代行待機指示情報とを生成する(ステップS217)。そして、運転代行管理サーバ40は、生成した代行指示情報を第1代行者の遠隔運転装置50Aへ送信する(ステップS219)。また、運転代行管理サーバ40は、生成した代行待機指示情報を第2代行者の遠隔運転装置50Bへ送信する(ステップS221)。
【0079】
遠隔運転装置50Aは、運転代行管理サーバ40から代行指示情報を取得すると、車両20と通信を確立し通信を開始する(ステップS223)。車両20は、車両情報を遠隔運転装置50Aへ送信開始する(ステップS225)。また、遠隔運転装置50Bは、運転代行管理サーバ40から代行待機指示情報を取得すると、車両20と通信を確立し通信を開始する(ステップS227)。車両20は、車両情報を遠隔運転装置50Bへ送信開始する(ステップS229)。
【0080】
遠隔運転装置50Aは、車両20から車両情報を取得し、車両情報(車両20の周囲の撮影映像など)の表示を開始する(ステップS231)。そして、遠隔運転装置50Aは、第1代行者が遠隔運転の操作を開始すると(ステップS233)、この遠隔運転の操作に応じた操作情報を車両20へ送信する(ステップS235)。これにより、車両20は、第1代行者の遠隔運転操作に応じて車両の走行などの制御を行う(ステップS237)。一方、遠隔運転装置50Bは、車両20から車両情報を取得し、車両情報(車両20の周囲の撮影映像など)の表示を開始する(ステップS239)。
【0081】
次に、第1代行者による運転の代行が困難になった場合、遠隔運転装置50Aは、第1代行者の操作に応じて、第2代行者の待機状態を運転代行管理サーバ40へ問い合わせる(ステップS241)。運転代行管理サーバ40は、第2代行者の待機状態の問い合わせに応じて、第2代行者が待機状態であること示す待機状態情報を遠隔運転装置50Aへ送信する(ステップS243)。
【0082】
第1代行者は、第2代行者が待機状態であることを確認すると、第2代行者への切り替えを承認する操作を行う(ステップS245)。遠隔運転装置50Aは、第2代行者への切り替えを承認する操作がされると、第2代行者への切り替えを承認する承認情報を運転代行管理サーバ40へ送信する(ステップS247)。運転代行管理サーバ40は、承認情報を取得すると、代行指示情報を第2代行者の遠隔運転装置50Bへ送信する(ステップS249)。
【0083】
遠隔運転装置50Bは、代行指示情報を取得することにより、遠隔運転操作が可能となる。遠隔運転装置50Bは、第2代行者が遠隔運転の操作を開始すると、操作を開始したことを運転代行管理サーバ40へ通知する(ステップS251)。また、遠隔運転装置50Bは、第2代行者による遠隔運転の操作に応じた操作情報を車両20へ送信する(ステップS253)。これにより、車両20は、第2代行者の遠隔運転操作に応じて車両の走行などの制御を行う(ステップS255)。
【0084】
また、運転代行管理サーバ40は、ステップS251において第2代行者が遠隔運転の操作を開始したことが通知されると、第1代行者による運転代行の終了を指示する代行終了指示情報を遠隔運転装置50Aへ送信する(ステップS257)。遠隔運転装置50Aは、代行終了指示情報を取得すると、車両20との通信を切断する(ステップS257)。このようにして、車両20を遠隔運転する代行者が第1代行者から第2代行者へ切り替わる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る遠隔運転代行システム1において、運転代行管理サーバ40は、車両20の運転を代行する代行者の選択肢をユーザUに選択可能に提示する際に、選択された第1代行者による運転の代行が困難になった場合に当該第1代行者に代替して運転を代行する第2代行者(代替代行者)の選択も選択可能に提示する。そして、運転代行管理サーバ40は、提示した代行者の選択肢の中から選択された第2代行者へ運転代行の待機を指示する。
【0086】
これにより、遠隔運転代行システム1は、第1代行者が運転の代行を継続することが困難になった場合でも、運転を切り替える第2代行者を事前に待機させておくことでスムーズに切り替えることができる。
【0087】
車両20は、運転代行管理サーバ40により運転代行の待機を指示された第2代行者の遠隔運転装置50Bにも車両情報を送信する。
【0088】
これにより、遠隔運転代行システム1は、運転代行を待機している第2代行者が待機中から車両20の状況を把握できるため、スムーズに切り替えることができる。
【0089】
第1代行者の遠隔運転装置50Aは、第2代行者の遠隔運転装置50Bから待機状態を示す情報を運転代行管理サーバ40を介して取得し、取得した情報に基づいて第1代行者が運転の代行を切り替えることを承認した場合、当該承認したことを示す承認情報を運転代行管理サーバ40へ送信する。運転代行管理サーバ40は、承認情報を受信した後、車両20から送信される車両情報に基づいて第2代行者が遠隔運転開始の操作(所定の操作の一例)を行ったタイミングに応じて、車両20の運転の代行を第1代行者から第2代行者へ切り替える。
【0090】
これにより、遠隔運転代行システム1は、運転の代行を切り替える際に、第1代行者の承認後に、第2代行者の操作によって代行者が切り替わるため、代行者の切り替わりが生じて問題の無いタイミング(信号で停車中の時や、直線を安定走行している時など)で代行者を切り替えることができる。
【0091】
なお、第1代行者を代替する第2代行者をユーザUが複数選択しておくことが可能な構成としてもよい。複数の第2代行者を選択可能な場合は、優先順位を付けて選択可能な構成としてもよい。
【0092】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、遠隔運転代行システム1における検査・校正について説明する。端末10は、車両20を撮影しながら、発行信号を送信すると同時に、車両20の通信装置30が運転代行管理サーバ40と通信することで、車両20に搭載されているセンサ系の検査・校正をリモートで行ってもよい。例えば、運転代行管理サーバ40は、端末10から発信されるペアリング信号を、車両20の通信装置30を介して確認する。運転代行管理サーバ40は、通信装置30を介して得られる端末10の位置情報(通信装置30の認識する端末10の位置情報)と、端末10で実行されているアプリケーションからの情報(端末10と通信装置30との相対位置の情報)とを照合することにより、通信装置30及びセンサ31を検査・校正する。また、端末10からセンサ31に対して異なる波長の光を発信することにより、運転代行管理サーバ40は、センサ31が検出した光と端末10が発信した光とを波長ごとに照合することにより、センサ31の感度の校正を行ってもよい。車両20にコーティングが実施されたり汚れが生じたりすることで、センサ31の感度の波長依存性が変化することがあるため、これらを校正することは重要である。また、静止位置だけでなく、ユーザUが端末10を操作した際の動的情報によっても、センサ31の状態を検査してもよい。
【0093】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、上記実施形態で説明した構成は、任意に組み合わせてもよい。
【0094】
なお、遠隔運転装置50は、カメラ及びマイクを備え、車両20を遠隔運転する代行者(代行運転手D)の映像及び音声を車両20へ送信してもよい。また、車両20に設置されているセンサ31が車両20の車内を撮影するカメラとマイクを備えることで、通信装置30は、車両20の遠隔運転中に車内の撮影映像及び音声を遠隔運転装置50へ送信してもよい。このような構成により、車両20の遠隔運転中に、車両20に乗車しているユーザUと、遠隔運転装置50で遠隔運転を行う代行運転手Dとがコミュニケーションをとれるようにしてもよい。
【0095】
また、運転代行管理サーバ40は、車両20に乗車しているユーザUの撮影画像または撮影映像を取得して確認してもよい。これにより、遠隔運転代行システム1は、遠隔運転サービスの不正利用を抑制する。
【0096】
なお、上述した端末10、車両20、通信装置30、運転代行管理サーバ40、及び遠隔運転装置50は、内部にコンピュータシステムを有してもよい。そして、上述した端末10、車両20、通信装置30、運転代行管理サーバ40、及び遠隔運転装置50のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した端末10、車両20、通信装置30、運転代行管理サーバ40、及び遠隔運転装置50のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0097】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0098】
また、上述した実施形態における端末10、車両20、通信装置30、運転代行管理サーバ40、及び遠隔運転装置50が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 遠隔運転代行システム、10 端末、11 通信部、12 入力部、13 表示部、14 撮像部、15 記憶部、16 位置情報取得部、17 端末制御部、20 車両、21 操作部、22 車両制御部、30 通信装置、301 車両情報取得部、302 車両情報送信部、303 操作情報受信部、31 センサ、40 運転代行管理サーバ、41 通信部、42 記憶部、43 管理制御部、431 情報取得部、432 判定部、433 代行者提示部、434 運転代行指示部、50 遠隔運転装置、51 通信部、52 記憶部、53 表示部、54 操作部、55 遠隔運転制御部、551 車両情報受信部、552 操作情報送信部