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  • 特開-案内装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152561
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】案内装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20221004BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20221004BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221004BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0962
G09B29/10 A
G09B29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055378
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】神村 崇史
(72)【発明者】
【氏名】永田 仁
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC28
2C032HC31
2C032HD07
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE85
2F129FF12
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA01
5H181FF05
5H181FF14
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含む案内についてユーザが理解し易くする。
【解決手段】案内装置1は、案内情報生成部2が音声案内情報を生成する。そして、判断部5が音声案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断し、出力部6が当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、固有名詞を含まない内容に音声案内情報を変更して出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声による案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した前記固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断する判断部と、
当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、前記固有名詞を含まない内容に前記案内情報を変更して出力する出力部と、
を備えることを特徴とする案内装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記固有名詞を前記案内情報の出力予定地点から案内地点までの交差点の数に変更して出力することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記固有名詞を前記案内情報の出力予定地点から案内地点までの距離に変更して出力することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記固有名詞を案内地点近傍の目印となる地物名に変更して出力することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項5】
前記出力部は、案内地点が交差点である場合、現在走行中の道路と交差する道路名称を用いた内容に前記固有名詞を変更して出力することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記固有名詞を、前記案内情報の出力予定地点から案内地点までの交差点の数、前記案内情報の出力予定地点から前記案内地点までの距離、前記案内地点近傍の目印となる地物名、現在走行中の道路と交差する道路名称を用いた内容、のうち2以上を組み合わせたものに変更して出力することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記案内情報生成部が前記案内情報を生成したタイミングで前記固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項8】
現在位置を取得する現在位置取得部を備え、
前記判断部は、前記現在位置に基づいて前記固有名詞が示す地点まで所定距離以内に近づいたタイミングで前記固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項9】
前記判断部は、前記固有名詞に難読漢字を含む場合は、前記固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難と判断することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項10】
現在の利用者の走行履歴を取得する第1履歴取得部を備え、
前記判断部は、前記走行履歴に基づいて前記固有名詞が示す地点を含む地域の走行頻度が低い場合には前記固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難と判断することを特徴とする請求項9に記載の案内装置。
【請求項11】
他の利用者の走行履歴を取得する第2履歴取得部を備え、
前記複数の利用者の走行履歴を参照し、前記固有名詞が示す地点における挙動に基づいて前記固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断することを特徴とする請求項9に記載の案内装置。
【請求項12】
探索された経路に沿って音声による案内情報を生成する案内情報生成部を備えた案内装置で実行される案内方法であって、
前記案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した前記固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断する判断工程と、
当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、前記固有名詞を含まない内容に前記案内情報を変更して出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする案内方法。
【請求項13】
請求項12に記載の案内方法をコンピュータにより実行させることを特徴とする案内プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の案内プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探索された経路に沿って案内情報を出力する案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置等の案内装置は、予め設定した目的地へ向かう経路を探索し、探索した経路に沿って案内をする。この種の案内装置では、目的地までの経路画像に加えて、次に向かうべき経路を例えば「次の交差点を右へ」というような音声で案内することも行われている。
【0003】
特許文献1には、取得した現在地の位置情報および取得した目的地の位置情報に基づいて、距離算出部が現在地から目的地までの距離を算出し、特性処理部が算出された目的地までの距離に基づいて、スピーカから出力される音の特性を制御する音声ナビゲーションシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-138277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような音声ナビゲーションシステムにおいては、交差点の右左折等の案内を音声のみで行っているが、その際に、交差点名称等が難読漢字等であるために、音声のみで表記を正しく伝えることが難しい場合がある。
【0006】
道路標識には交差点の名称がローマ字等で併記されている場合もあるが、ローマ字等の文字サイズが小さい等により、例えば自動車等で走行している際に併記された文字が識別できずに右左折等のタイミングを逃してしまうことがあった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含む案内についてユーザに分かり易く伝達することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、音声による案内情報を生成する案内情報生成部と、前記案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した前記固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断する判断部と、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、前記固有名詞を含まない内容に前記案内情報を変更して出力する出力部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項12に記載の発明は、探索された経路に沿って音声による案内情報を生成する案内情報生成部を備えた案内装置で実行される案内方法であって、前記案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した前記固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断する判断工程と、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、前記固有名詞を含まない内容に前記案内情報を変更して出力する出力工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の案内方法を案内プログラムとしてコンピュータにより実行させることを特徴としている。
【0011】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の案内プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体へ格納したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例にかかる案内装置の概略構成図である。
図2図1に示された案内装置の動作のフローチャートである。
図3図1に示された案内装置による案内例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる案内装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる案内装置は、案内情報生成部が音声による案内情報を生成する。そして、判断部が案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断し、出力部が当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、固有名詞を含まない内容に案内情報を変更して出力する。このようにすることにより、表記を視覚的に認識するのが困難な固有名詞を含まない案内情報に変更できるので、ユーザに分かり易く伝達できる。
【0014】
また、出力部は、案内情報の出力予定地点から固有名詞を案内地点までの交差点の数に変更して出力してもよい。このようにすることにより、例えば、固有名詞を含む交差点名を「3つ目の交差点」や「3つ目の信号」といった表現に変更することができる。したがって、音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0015】
また、出力部は、案内情報の出力予定地点から固有名詞を案内地点までの距離に変更して出力してもよい。このようにすることにより、例えば、固有名詞を含む交差点名を「1km先の交差点」や「1km先の信号」といった表現に変更することができる。したがって、音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0016】
また、出力部は、固有名詞を案内地点近傍の目印となる地物名に変更して出力してもよい。このようにすることにより、例えば、固有名詞を含む交差点名を「コンビニエンスストア手前の交差点」といった表現に変更することができる。したがって、音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0017】
また、出力部は、案内地点が交差点である場合、現在走行中の道路と交差する道路名称を用いた内容に固有名詞を変更して出力してもよい。このようにすることにより、例えば、固有名詞を含む交差点名を「国道〇号線との交差点」といった表現に変更することができる。したがって、音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0018】
また、出力部は、固有名詞を、案内情報の出力予定地点から案内地点までの交差点の数、案内情報の出力予定地点から案内地点までの距離、案内地点近傍の目印となる地物名、現在走行中の道路と交差する道路名称を用いた内容、のうち2以上を組み合わせたものに変更して出力してもよい。このようにすることにより、上記した各変更のパターンを組み合わせることができる。例えば、固有名詞を含む交差点名を「1km先、3つ目の交差点」や「コンビニエンスストア手前の国道〇号線との交差点」といった表現に変更することができる。したがって、音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0019】
また、判断部は、案内情報生成部が案内情報を生成したタイミングで固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断してもよい。このようにすることにより、例えば目的地までの経路探索を行った時点で固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断することができる。したがって、予め固有名詞を含まない案内情報を用いて案内をすることが可能となり、案内時の処理負荷を軽減することができる。
【0020】
また、現在位置を取得する現在位置取得部を備え、判断部は、現在位置に基づいて固有名詞が示す地点まで所定距離以内に近づいたタイミングで固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断してもよい。このようにすることにより、走行速度や渋滞等の走行状況を考慮して適切なタイミングで案内情報を変更するか否か判断することが可能となる。
【0021】
また、判断部は、固有名詞に難読漢字を含む場合は、固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難と判断してもよい。このようにすることにより、難読漢字を含む交差点名称等については、案内情報を変更して、当該難読漢字を含まないようにすることができる。
【0022】
また、現在の利用者の走行履歴を取得する第1履歴取得部を備え、判断部は、走行履歴に基づいて固有名詞が示す地点を含む地域の走行頻度が低い場合には固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難と判断してもよい。このようにすることにより、当該地域の走行頻度が低く、土地勘のない場所においては難読漢字等を変更した案内をすることができる。
【0023】
また、他の利用者の走行履歴を取得する第2履歴取得部を備え、複数の利用者の走行履歴を参照し、固有名詞が示す地点における挙動に基づいて固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断してもよい。このようにすることにより、例えば他のユーザ等においても案内を無視されることが多い地点等については、案内の内容を変更することでユーザが案内の内容を理解して走行することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態にかかる案内方法は、判断工程で案内情報に含まれる固有名詞を検出し、検出した固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断し、出力工程で当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、固有名詞を含まない内容に案内情報を変更して出力する。このようにすることにより、表記を視覚的に認識するのが困難な固有名詞を含まない案内情報に変更できるので、ユーザに分かり易く伝達できる。
【0025】
また、上述した案内方法を、案内プログラムとしてコンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、表記を視覚的に認識するのが困難な固有名詞を含まない案内情報に変更できるので、ユーザに分かり易く伝達できる。
【0026】
また、上述した案内プログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例0027】
本発明の一実施例にかかる案内装置を図1図3を参照して説明する。図1は、本実施例にかかる案内装置の概略構成図である。
【0028】
案内装置1は、自動車等の車両内に設けられている。案内装置1は、例えばカーナビゲーション装置であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末等の車外に持ち出し可能な機器であってもよい。
【0029】
案内装置1は、図1に示したように、案内情報生成部2と、現在位置取得部3と、履歴取得部4と、判断部5と、出力部6と、を備えている。
【0030】
案内情報生成部2は、例えばタッチパネルや音声入力等の入力手段により入力された目的地までの経路を探索し、その経路までの案内に関する音声情報(音声案内情報)を生成する。なお、経路探索は別の機能ブロックで実行してもよい。あるいは他の機器で経路探索を実行した結果を取得してもよい。案内情報生成部2は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成されている。
【0031】
現在位置取得部3は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機等が取得した現在位置情報(緯度経度情報等)を取得する。現在位置取得部3は、例えば外部インターフェース等で構成されている。なお、GPS受信機を内蔵して、GPS受信機を現在位置取得部3として構成してもよい。
【0032】
履歴取得部4は、後述するユーザの走行履歴や他のユーザの走行履歴等を取得する。これらの走行履歴は、案内装置1が有する記憶装置(不図示)や外部のサーバ装置等に格納されている。履歴取得部4は、例えば記憶装置とのインターフェースや外部サーバ装置との通信部等で構成されている。
【0033】
判断部5は、案内情報生成部2が生成した音声案内情報について、当該音声案内情報に含まれる地名や施設名等の固有名詞に用いられる漢字及び、現在位置取得部3が取得した現在位置情報、履歴取得部4が取得した履歴情報に基づいて音声案内情報の内容を変更する必要があるか否か判断する。音声案内情報の内容を変更する必要があると判断された場合は、音声案内情報の内容を変更して出力部6に出力する。判断部5は、例えばCPU等で構成されている。
【0034】
出力部6は、判断部5が出力した音声案内情報を音声として出力する。出力部6は、例えばスピーカ等で構成されている。
【0035】
次に、上述した構成の案内装置1の動作(案内方法)を図2のフローチャートを参照して説明する。なお、図2のフローチャートをCPU等を備えたコンピュータで実行されるプログラムとして構成することで案内プログラムとすることができる。
【0036】
まず、案内情報生成部2において音声案内情報を生成する(ステップS1)。ステップS1では、上述したように、案内情報生成部2が、例えばタッチパネルや音声入力等の入力手段により入力された目的地までの経路を探索し、その経路までの案内に関する音声情報(音声案内情報)を生成する。
【0037】
ステップS1で生成された音声案内情報は、ステップS5で音声案内情報として出力部6から音声出力される。但し、当該音声案内情報に地名や施設名等の固有名詞が含まれている場合は(ステップS2)、判断部5は、音声案内情報の内容を変更して当該固有名詞を含まない内容にする必要があるか否か判断する(ステップS3)。
【0038】
この内容の変更は、例えば、難読漢字等により、ユーザが道路標識等を視認しても音声で案内された地点名称等と理解することが困難な場合に、当該固有名詞を含まない音声案内情報に変更することである。即ち、音声案内情報の内容を変更して当該固有名詞を含まない内容にする必要があるか否か判断することとは、検出した固有名詞について、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断することに相当する。そして、後述するように、当該固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、その固有名詞を含まない内容に音声案内情報を変更するものである。
【0039】
内容を変更する必要があるか否かの判断、つまり検出された固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難かの判断は、例えば当該固有名詞に難読漢字が含まれているか否かで判断すればよい。具体的には、例えば難読漢字が含まれている固有名詞には予めフラグ等を付与しておき、当該フラグの有無で判断すればよい。あるいは難読漢字のリスト等を有し、当該リスト等と照合することで判断してもよい。
【0040】
また、案内装置1内部の記憶装置又は外部サーバ等に当該案内装置1のユーザ(現在の利用者)の走行軌跡等の走行履歴を格納し、履歴取得部4が当該走行履歴を取得して、判断部5は取得した走行履歴も考慮して音声案内情報の内容を変更して当該固有名詞を含まない内容にする必要があるか否か判断を行ってもよい。例えば、現在走行している地域の走行頻度が高い場合は、当該地域の地理に詳しいと考えられるので、固有名詞に難読漢字が含まれていても固有名詞を変更する必要ないと判断する。また、地域の走行頻度ではなく、過去に当該固有名詞を有する音声案内情報で案内どおりに走行している場合も固有名詞を変更する必要はないと判断してもよい。つまり、案内が成功した実績がある場合も音声案内情報の内容を変更して当該固有名詞を含まない内容にする必要がないと判断してよい。
【0041】
また、外部サーバ等に他のユーザ(他の利用者)の走行履歴を格納し、履歴取得部4が当該他のユーザの走行履歴を取得して、判断部5は取得した他のユーザの走行履歴も考慮して音声案内情報の内容を変更して当該固有名詞を含まない内容にする必要があるか否か判断を行ってもよい。例えば、他のユーザの走行時に当該固有名詞を有する音声案内情報で案内どおりに走行されないことが多い場合、音声案内情報を変更して当該固有名詞を含まない内容に変更する必要があると判断する。つまり、他のユーザの案内時に無視される等、案内が失敗することが多い場合は固有名詞を含まない内容に変更する必要があると判断してもよい。なお、他のユーザの走行履歴はできる限り多くのユーザの履歴を取得するのが好ましい。即ち、判断部5は、複数の利用者の走行履歴を参照し、固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難か判断している。
【0042】
上記したユーザ(自身)と他のユーザの走行履歴の利用については、自身の走行履歴による判断を優先するようにしてもよい。例えばある固有名詞を含む案内について、自身の走行履歴では当該固有名詞を含む地域の走行頻度が高く、他のユーザの走行履歴では案内が失敗することが多い場合は、自身の走行履歴を優先して固有名詞を含まない内容に変更する必要はないと判断してもよい。また、走行頻度や案内が成功した割合等により、どちらを優先するか切り替えるようにしてもよい。これは、例えば毎日走行しているような地域の場合は自身の走行履歴による判断を優先する、あるいは自身の走行において、当該地点について案内どおりに走行できた割合が8割未満の場合は他のユーザの走行履歴に基づく判断を優先する等とする。
【0043】
また、走行履歴の収集や取得においては、案内装置1の使用時にユーザ認証を行い、ユーザの識別を行うのが望ましいが、簡易的に1つの案内装置1を1ユーザと見做して走行履歴の収集等を行ってもよい。
【0044】
次に、判断部5は、音声案内情報を変更する(ステップS4)。変更内容は、例えば変更後の案内文等を用意し、その案内文に基づいて音声案内情報を変更する。案内文の具体的変更方法は、例えば、以下のような5パターンが挙げられる。
【0045】
1つ目は、固有名詞を音声案内情報の出力予定地点から案内地点までの交差点の数に変更する。例えば案内地点が交差点でその交差点名に難読漢字が含まれていた場合、その交差点名を「3つ目の交差点」又は「3つ目の信号」といった内容に変更する。つまり「(難読漢字を含む交差点名称)を右折してください」といった音声案内情報を「3つ目の交差点を右折してください」といった音声案内情報に変更するものである。出力予定地点から案内地点までの交差点の数は、例えば地図情報を参照してもよいし、予め設定してもよい。出力予定地点は例えば経路探索時に予め特定可能である。このようにすることにより、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0046】
2つ目は、固有名詞を音声案内情報の出力予定地点から案内地点までの距離に変更する。例えば案内地点が交差点でその交差点名に難読漢字が含まれていた場合、その交差点名を「1km先の交差点」や「1km先の信号」といった内容に変更する。これは「(難読漢字を含む交差点名称)を右折してください」といった音声案内情報を「1km先の交差点を右折してください」といった音声案内情報に変更するものである。出力予定地点から案内地点までの距離は、例えば地図情報を参照してもよいし、予め設定してもよい。出力予定地点は例えば経路探索時に予め特定可能である。このようにすることにより、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0047】
3つ目は、固有名詞を案内地点近傍の目印となる地物名に変更する。例えば案内地点が交差点でその交差点名に難読漢字が含まれていた場合、その交差点名を「コンビニエンスストア手前の交差点」といった内容に変更する。これは「(難読漢字を含む交差点名称)を右折してください」といった音声案内情報を「コンビニエンスストア手前の交差点を右折してください」といった音声案内情報に変更するものである。目印となる地物は地図情報を参照してもよいし、予め設定してもよい。このようにすることにより、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0048】
4つ目は、案内地点が交差点である場合、現在走行中の道路と交差する道路名称を用いた内容に固有名詞を変更する。例えば案内地点が交差点でその交差点名に難読漢字が含まれていた場合、その交差点名を「国道〇号線との交差点」といった内容に変更する。これは「(難読漢字を含む交差点名称)を右折してください」といった音声案内情報を「国道〇号線との交差点を右折してください」といった音声案内情報に変更するものである。現在走行中の道路と交差する道路名称は、例えば地図情報を参照してもよいし、予め設定してもよい。このようにすることにより、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。
【0049】
最後は、上記した4つのパターンの組み合わせに変更する。例えば案内地点が交差点でその交差点名に難読漢字が含まれていた場合、その交差点名を「1km先、3つ目の交差点」といった内容に変更する。これは「(難読漢字を含む交差点名称)を右折してください」といった音声案内情報を「1km先、3つ目の交差点を右折してください」といった音声案内情報に変更するものである。このようにすることにより、難読漢字等の音声のみで表記を伝えるのが困難な固有名詞を含まずに案内をすることができる。また、この組み合わせの場合、上記4つのパターン単独よりも分かり易い案内とすることができる。
【0050】
上記5パターンは、案内装置1の設計時に予め1パターンを選択して案内文を設定してもよいし、5パターンの案内文を全て用意してユーザ等に任意に選択させるようにしてもよい。また、固有名詞毎に異なるパターンとしてもよい。この場合、固有名詞の示す交差点や施設の特徴を加味して適当なパターンを選択すればよい。例えば、交差点名の場合、通常は交差点数とするが、数が多くなってしまう場合は距離とする。また、交差点近隣に目立つ(有名な)施設等がある場合は目印となる地物名とする。また、国道等の比較的大きな道路(多車線を有する等)と交差する場合は交差する道路名とする。あるいは、組み合わせを基本とするようにしてもよい。
【0051】
上述したようにして音声案内情報が変更されると、変更された音声案内情報が出力部6から出力されて音声案内がなされる(ステップS5)。即ち、出力部6は、固有名詞の表記を視覚的に認識するのが困難な場合には、その固有名詞を含まない内容に案内情報を変更して出力する。
【0052】
なお、上述したフローチャートにおいて、判断部5が判断するタイミングは、現在位置取得部3が取得した現在位置に基づいて固有名詞が示す地点まで所定距離以内に近づいたタイミングとしてもよい。このようにすることにより、走行速度や渋滞等の走行状況を考慮して適切なタイミングで音声案内情報について固有名詞を含まない内容に変更する必要があるか否か判断することが可能となる。
【0053】
あるいは、案内情報生成部2が音声案内情報を生成したタイミングであってもよい。このようにすることにより、例えば目的地までの経路探索を行った時点で音声案内情報について固有名詞を含まない内容に変更する必要があるか否か判断することができる。したがって、予め固有名詞を含まない内容に変更した案内情報を用いて案内をすることが可能となり、案内時の処理負荷を軽減することができる。
【0054】
以上の説明から明らかなように、ステップS2、S3が判断工程、ステップS4、S5が出力工程としてそれぞれ機能する。
【0055】
図3に上述した案内装置1による案内の例を示す。図3は、車両Vが道路を走行中に潮来(イタコ)交差点を左折する例である。また、潮来交差点の手前には夷参(イサマ)交差点と砂(イサゴ)交差点があるとする。
【0056】
このような場合に、案内装置1は、“潮来”が固有名詞であり、難読漢字であるとして、“潮来”を含まない内容に変更する必要があると判断して、「2km先、3つ目の信号を左折してください」といった音声案内を出力する。
【0057】
図3の例は、読みが類似する固有名詞が周囲に存在している場合の例であるが、それに限らない。例えば、読みが類似する固有名詞が周囲に存在していなくても、当該固有名詞に難読漢字等を含むため、ユーザが標識等の文字を音声案内の示すものであると理解できない場合は本発明を適用することができる。
【0058】
本実施例によれば、案内装置1は、案内情報生成部2が音声案内情報を生成する。そして、判断部5が音声案内情報に含まれる固有名詞を検出し、音声案内情報の内容を当該固有名詞の含まれない内容に変更する必要があるか否か判断し、音声案内情報の内容を当該固有名詞の含まれない内容に変更する必要がある場合には、出力部6は当該固有名詞を含まない内容に音声案内情報を変更して出力する。このようにすることにより、表記を視覚的に認識するのが困難な固有名詞を含まない音声案内情報に変更できるので、ユーザに分かり易く伝達できる。
【0059】
また、判断部5は、固有名詞に難読漢字を含む場合に、音声案内情報の内容を変更する必要があるか否か判断している。このようにすることにより、難読漢字を含む交差点名称等について補足情報を付加することができる。
【0060】
また、履歴取得部4が現在のユーザの走行履歴を取得し、判断部5は、走行履歴に基づいて固有名詞が示す地点を含む地域の走行頻度が低い場合には音声案内情報の内容を変更する必要があると判断してもよい。このようにすることにより、当該地域の走行頻度が低く、土地勘のない場所においては難読漢字等を変更した案内をすることができる。
【0061】
また、履歴取得部4が他のユーザの走行履歴を取得し、他のユーザの走行履歴を参照し、固有名詞が示す地点における挙動に基づいて音声案内情報の内容を変更する必要があるか否か判断してもよい。このようにすることにより、他のユーザ等によっても案内を無視されることが多い地点については、案内の内容を変更することでユーザが案内の内容を理解して走行することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の案内装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 案内装置
2 案内情報生成部
3 現在位置取得部
4 履歴取得部(第1履歴取得部、第2履歴取得部)
5 判断部
6 出力部
図1
図2
図3