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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152564
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20221004BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B60K15/05 B
F02M37/00 301F
F02M37/00 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055382
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 博之
(72)【発明者】
【氏名】石原 徳彦
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA07
3D038CA11
3D038CA27
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】燃料タンクへ燃料を供給するための通路内に、雨水や異物が入る込むことを抑制しつつ給油口と通路とを連通可能な構成を、簡易な構造により実現する。
【解決手段】開閉装置は、燃料タンクへ燃料を供給するための通路を開閉する。開閉装置は、給油ノズルが挿入される給油口を形成する給油口形成部材と、給油口を開閉する第1開閉部材と、給油口形成部材に接続され、通路のうちの給油口に連なる少なくとも一部を形成する通路形成部材と、通路形成部材の内部に配置され、給油口よりも燃料タンク側の位置において通路を開閉する第2開閉部材と、を備え、第1開閉部材は、給油口を閉じた状態において、給油口の外側と通路とを連通する通気孔を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクへ燃料を供給するための通路を開閉する開閉装置であって、
給油ノズルが挿入される給油口を形成する給油口形成部材と、
前記給油口を開閉する第1開閉部材と、
前記給油口形成部材に接続され、前記通路のうちの前記給油口に連なる少なくとも一部を形成する通路形成部材と、
前記通路形成部材の内部に配置され、前記給油口よりも前記燃料タンク側の位置において前記通路を開閉する第2開閉部材と、
を備え、
前記第1開閉部材は、前記給油口を閉じた状態において、前記給油口の外側と前記通路とを連通する通気孔を有する、開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記給油口形成部材は、前記給油口の周りに形成された閉止部であって、前記第1開閉部材により前記給油口が閉じられた状態において前記第1開閉部材と接する閉止部を有し、
前記通気孔は、前記給油口の外側に通じる外側開口と、前記通路に通じる内側開口と、を有し、
前記外側開口は、前記閉止部に対して、前記燃料タンク側と、前記燃料タンク側とは反対の反対側と、のうちの前記反対側に位置する、開閉装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の開閉装置において、
前記通気孔は、前記給油口の外側に通じる外側開口と、前記通路に通じる内側開口と、を有し、
前記第1開閉部材は、
前記第1開閉部材により前記給油口が閉じられた状態において前記給油口形成部材と接し、前記内側開口が形成された本体部と、
前記本体部に対して、前記燃料タンク側と、前記燃料タンク側とは反対の反対側と、のうちの前記反対側に位置し、前記本体部のうちの少なくとも前記内側開口を含む部分を覆う覆い部と、
を有し、
前記外側開口は、前記本体部と前記覆い部との間の隙間として形成されている、開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉装置において、
前記開閉装置が設置された状態において、前記外側開口は、前記覆い部を前記覆い部から前記本体部に向かう方向に沿って見たときの前記覆い部の外形の接線が、下方側で交差する範囲に形成されている、開閉装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の開閉装置において、
前記第1開閉部材は、前記通路の外に位置する回転軸を中心とした回転動作により前記給油口を開閉し、
前記覆い部において前記回転軸を中心とした回転径方向において最も離れた端部には、切り欠きが設けられている、開閉装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の開閉装置において、
前記第1開閉部材は、前記通路の外に位置する回転軸を中心とした回転動作により前記給油口を開閉し、
前記内側開口は、段付きの円形状であって、前記回転軸に対して回転径方向において近い側に配置されてより径が大きな半円状の大径部と、前記回転軸に対して前記回転径方向において遠い側に配置されて前記大径部と連通し、より径が小さな半円状の小径部と、を有する段付きの円形状の平面視形状を有し、
前記外側開口は、前記回転軸に対して前記回転径方向において遠い位置に配置されている、開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料タンクへ燃料を供給するための通路を開閉する開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクへ燃料を供給するための通路を開閉する開閉装置として、給油ノズルが挿入される第1開口を開閉する第1開閉部材と、通路内に設けられた第2開口を開閉する第2開口部材とを備える開閉装置が提案されている(特許文献1参照)。このような開閉装置では、通路内の圧力の変化に応じて通路内に外気を導入するため、および通路内のガスを外部に迸出するために、通路内と外部と連通する外気通気路が設けられる。例えば、特許文献1の開閉装置では、第1開口形成部材とパイプ本体との間の小さな隙間により外部と連通し、また、第1開口形成部材の内側に配置された第2開口形成部材において第1開口に近い側の側面に形成された通気孔により通路内部と連通する外気通気路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-71503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように開閉装置に形成される外気通気路は、雨水や塵や埃などの異物が通路内に流入することを防ぐために、特許文献1のように、複雑な迷路構造により構成される。しかし、そのような迷路構造を実現するためには、部品設計負担の増大や装置の大型化を招くという問題がある。そこで、燃料タンクへ燃料を供給するための通路内に、雨水や異物が入る込むことを抑制しつつ給油口と通路とを連通可能な構成を、簡易な構造により実現可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、燃料タンクへ燃料を供給するための通路を開閉する開閉装置が提供される。この開閉装置は、給油ノズルが挿入される給油口を形成する給油口形成部材と、前記給油口を開閉する第1開閉部材と、前記給油口形成部材に接続され、前記通路のうちの前記給油口に連なる少なくとも一部を形成する通路形成部材と、前記通路形成部材の内部に配置され、前記給油口よりも前記燃料タンク側の位置において前記通路を開閉する第2開閉部材と、を備え、前記第1開閉部材は、前記給油口を閉じた状態において、前記給油口の外側と前記通路とを連通する通気孔を有する。
【0007】
上記形態の開閉装置によれば、第1開閉部材は、給油口を閉じた状態において給油口の外側と通路とを連通する連通孔を有するので、第1開閉部材により給油口を閉じることにより通路内に雨水や異物が入り込むことを抑制しつつ、連通孔により給油口の外側と通路とを連通するという構成を実現でき、また、第1開閉部材に連通孔を設けるので、給油口形成部材に複雑な構造の通気路を設ける、或いは、給油口形成部材や第1開閉部材等の複数の部材に亘る複雑な構造を設けることなく、かかる構成を実現できる。
【0008】
本開示は、開閉装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、開閉装置を備える燃料供給装置や、燃料供給装置を備える車両や、開閉装置用の開閉部材や、開閉装置の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態としての本開示の一実施形態としての開閉装置の設置状態を示す説明図である。
図2】開閉装置の詳細構成を示す部分破断斜視図である。
図3】開閉装置の詳細構成を示す断面図である。
図4】第1開閉部材を示す斜視図である。
図5】第1開閉部材の断面図である。
図6】第1開閉部材を示す斜視図である。
図7】第1開閉部材におけるガス流路GLを示す説明図である。
図8】外側開口の形成範囲を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
A1.開閉装置の全体構成:
図1は、本開示の一実施形態としての本開示の一実施形態としての開閉装置10の設置状態を示す説明図である。開閉装置10は、車両に搭載された図示しないタンクへ燃料を供給するための通路(以下、「燃料通路」とも呼ぶ)を開閉する。車両の後部には、給油蓋FLが給油室FRにアクセスするための開口FOを開閉可能に配置されている。図1では、開口FOが開いている状態を示している。給油室FR内には、基板BPに支持された開閉装置10が配置されている。開閉装置10は、燃料キャップを用いることなく燃料通路を開閉するための構造を有する。ユーザは、図示しない燃料ノズルの先端で開閉装置10を押すことにより、燃料通路に通じる開口(後述の第1開口52)を開くと共に、燃料ノズルを開閉装置10の内部、換言すると、燃料通路へと挿入できる。
【0011】
図1では、互いに直交するX0軸、Y0軸およびZ0軸と、互いに直交するX1軸、Y1軸およびZ1軸とが表されている。Z0軸は、鉛直方向と平行である。+Z0方向は、鉛直上方を示す。X0軸およびY0軸は、水平方向と平行である。Z1軸は、開閉装置10の中心軸(後述の中心軸AX)と平行な方向である。本実施形態において、Z0軸とZ1軸との間の角度は、およそ45度である。なお、45度に限らず、30度以上60度以下の範囲内の任意の角度であってもよい。他の図2図7におけるX0軸、Y0軸およびZ0軸と、X1軸、Y1軸およびZ1軸とは、図1のX0軸、Y0軸およびZ0軸と、X1軸、Y1軸およびZ1軸とに対応する。本実施形態において、「X1軸方向」は、+X1方向と-X1方向の総称である。同様に、「Y1軸方向」は+Y1方向および-Y1方向の総称であり、「Z1軸方向」は+Z1方向および-Z1方向の総称である。以下、開閉装置10の詳細構成について説明する。
【0012】
図2は、開閉装置10の詳細構成を示す部分破断斜視図である。図3は、開閉装置10の詳細構成を示す断面図である。図2では、後述する第1開閉部材100およびブリーザポート部40を除く他の部分を、開閉装置10の中心軸AXで破断した図を表している。また、図3は、中心軸AXを含む面での断面図を表している。開閉装置10は、第1通路形成部材20と、第2通路形成部材30と、ブリーザポート部40と、保護部材25と、給油口形成部材50と、第1開閉部材100と、第2開閉部材200とを備える。
【0013】
第1通路形成部材20は、第2通路形成部材30と共に、燃料通路の一部、より具体的には、燃料通路において、給油ノズルが挿入される給油口(「第1開口52」とも呼ぶ)に連なる一部を形成する。第1通路形成部材20は、筒状の外観形状を有し、内部の空洞は、第1通路部90aとして機能する。第1通路形成部材20の+Z1方向の端部開口は、給油口形成部材50により形成される第1開口52と連通する。第1通路形成部材20の-Z1方向の端部開口は、第2開閉部材200によって開閉可能に構成されている。本実施形態において、-Z1方向は、燃料流路において図示しない燃料タンク側といえる。他方、+Z1方向は、燃料流路において、燃料タンク側とは反対となる側(以下、「反対側」とも呼ぶ)といえる。なお、本実施形態では、+Z1方向、つまり、反対側を「先端側」とも呼ぶ。また、-Z方向、つまり、タンク側を「基端側」とも呼ぶ。第1通路形成部材20は、-Z1方向に向かうにつれて次第に径が小さくなるテーパ構造を有する。第1通路形成部材20の-Z1方向の端部開口を、本実施形態では「第2開口22」と呼ぶ。この第2開口22は、第2開閉部材200によって開閉される。本実施形態において、第1通路形成部材20は、樹脂により構成されている。
【0014】
第2通路形成部材30は、筒状の外観形状を有し、内部の空洞は、第2通路部90bとして機能する。第2通路形成部材30の+Z1方向の端部には、第1通路形成部材20の-Z1方向の端部が挿入されている。第1通路形成部材20において第2通路形成部材30の内部に挿入された基端部21の外周面と、第2通路形成部材30の+Z1方向の端部に相当する先端部31の内周面との間には、シール部材29が配置されている。また、第2通路形成部材30の+Z1方向の端部は、保護部材25の-Z1方向の端部に挿入されている。第2通路形成部材30の先端部31の外周面と保護部材25の内周面との間には、シール部材39が配置されている。上述の2つのシール部材29、39は、いずれもゴム製のO-リングにより構成されている。第2通路形成部材30の-Z1方向の端部には、ファーツリ部32が形成されている。ファーツリ部32は、燃料タンクへと繋がる燃料パイプの端部に圧入されている。本実施形態において、第2通路形成部材30は、樹脂により構成されている。
【0015】
ブリーザポート部40は、略直角に屈曲した筒状の外観形状を有する。ブリーザポート部40の一端は第2通路形成部材30に接続され、他端はブリーザパイプに挿入される。ブリーザパイプにおいてブリーザポート部40が挿入されている側とは反対側の端部は、燃料タンクの内部と連通する。ブリーザポート部40は、燃料タンク内の燃料蒸気を第2通路部90b内に導入する。第2通路部90b内に導入された燃料蒸気は、燃料通路を流れる燃料と共に燃料タンクに供給される。本実施形態において、ブリーザポート部40は、樹脂により構成されている。
【0016】
保護部材25は、筒状の外観形状を有し、開閉装置10の先端側(+Z1方向端部側)の外殻を構成する。保護部材25は、内部に第1通路形成部材20を収容する。また、保護部材25の-Z1方向の端部は、第1通路形成部材20と第2通路形成部材30との接続部分を収容する。保護部材25の+Z1方向の端部は、給油口形成部材50の内部に収容されている。本実施形態において、保護部材25は、金属により構成されている。金属としては、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の任意の種類の金属を用いてもよい。
【0017】
給油口形成部材50は、開閉装置10において、最も+Z1方向の端部に位置する。給油口形成部材50は、略円環状の外観形状を有し、中央に第1開口52が形成されている。上述のように、第1開口52は、給油ノズルが挿入される給油口に相当する。第1開口52は、第1開閉部材100により開閉可能に構成されている。図1および図2では、第1開口52が第1開閉部材100により閉じられた状態を示している。給油口形成部材50は、閉止部51を備える。閉止部51は、給油口形成部材50において第1開口52を囲む円環状の部位である。閉止部51は、第1開口52が閉じられた状態において、第1開閉部材100(後述の本体部110)と接する。本実施形態において、給油口形成部材50は、金属により構成されている。金属としては、例えば、上述の保護部材25と同様に、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の任意の種類の金属を用いてもよい。
【0018】
第1開閉部材100は、回転動作を行うことにより第1開口52を開閉する。第1開閉部材100が第1開口52を閉じることにより、燃料通路内に、雨水や異物が入り込むことを抑制できると共に、第1開口52から燃料や燃料蒸気が外部へと多量に流出することを抑制できる。第1開閉部材100は、略円盤状の外観形状を有し、第1通路形成部材20および保護部材25における+Z1方向の端部に接続されている。第1開閉部材100の詳細構成については、後述する。
【0019】
第2開閉部材200は、回転動作を行うことにより第2開口22を開閉する。第2開閉部材200が第2開口22を閉じることにより、燃料タンクまで雨水や異物が流れていくことを抑制できると共に、燃料や燃料蒸気が逆流して第1開口52から外部へと多量に流出することをより確実に抑制できる。第2開閉部材200は、略円盤状の外観形状を有し、第1通路形成部材20と第2通路形成部材30との接続部分に配置されている。第2開閉部材200の中央には、Z1軸方向に変位可能に配置された弁201が配置されている。かかる弁201が変位することにより、第2開閉部材200が第2開口22を閉じた状態においても、第1通路部90aと第2通路部90bとは連通可能となる。
【0020】
図3において太い矢印により示すように、第1開閉部材100により第1開口52が閉じられ、また、第2開閉部材200により第2開口22が閉じられた状態においても、開閉装置10内部には燃料通路と外部とを連通するガス流路GLが形成されている。このガス流路GLは、第1開閉部材100が有する通気孔(後述する通気孔OP1)と、第2開閉部材200が有する通気孔OP200とを含む。通気孔OP1は、外部と第1通路部90aとを連通する。通気孔OP200は、第1通路部90aと第2通路部90bとを連通する。通気孔OP1は、第1開口52の開閉状態に関わらず常時開放されている。他方、通気孔OP200は、第1通路部90aと第2通路部90bの内部の圧力差に応じて弁201によって開閉される。具体的には、第2通路部90bの内部圧力が第1通路部90aの内部圧力よりも大きい場合には、弁201は通気孔OP200を開き、燃料通路内が過剰に高圧となることを抑制している。他方、第2通路部90bの内部圧力が第1通路部90aの内部圧力以下の場合には、弁201は通気孔OP200を閉じる。ただし、燃料流路内(第2通路部90b)が過剰に負圧になった場合には、第1通路部90aと第2通路部90bの内部の圧力差により、第2開閉部材200自体が回動して第2開口22を開き、第1通路部90aと第2通路部90bとが連通し、燃料流路内に、通気孔OP1を介して外部から空気が流入することとなる。これにより、燃料流路内が過剰に減圧することを抑制している。
【0021】
A2.第1開閉部材の詳細構成:
図4は、第1開閉部材100を示す斜視図である。図5は、第1開閉部材100の断面図である。図6は、第1開閉部材100を示す斜視図である。図7は、第1開閉部材100におけるガス流路GLを示す説明図である。図5は、図4に示すV-V断面を示す。図7では、後述の覆い部120により覆われている一部の構成を破線により表している。
【0022】
図2、3に示すように、第1開閉部材100は、ばね101と、軸部材102と、本体部110と、覆い部120とを備えている。
【0023】
ばね101は、第1開閉部材100を、第1開口52を閉じる側に向かって付勢する。ばね101は、本体部110が有する軸受部130において、軸部材102と中心軸を一致するように配置されたねじりコイルばねにより構成されている。なお、図4図7では、図示の便宜上、ばね101および軸部材102が省略されている。軸部材102は、棒状の部材であり、第1開閉部材100が回動する際の回転軸として機能する。
【0024】
本体部110は、覆い部120と一体成形されている。本体部110の-Y1方向の端部には、一対の軸受部130が形成されている。一対の軸受部130は、軸部材102の両端を回転可能に支持する。換言すると、本体部110は、一対の軸受部130により支持される軸部材102を中心として回動可能に構成されている。この場合、回転方向は、Y1-Z1平面に沿った方向となる。したがって、回転径方向も、Y1-Z1平面に沿った方向となる。「回転径方向」とは、回転軸を中心として、放射状に延びる方向を意味する。図2および図3に示すように、軸受部130、軸部材102およびばね101は、燃料通路(第1通路部90a)の外に位置する。
【0025】
本体部110は、略円環状の外観形状を有する。図2および図3に示すように、第1開閉部材100により第1開口52が閉じられた状態において、本体部110は、給油口形成部材50(閉止部51)と接する。図6および図7に示すように、本体部110の中央には、段付きの円形状の外観形状を有する内側開口OP10が形成されている。内側開口OP10は、大径部OP11と、小径部OP12とを有する。大径部OP11は、半円状の平面視形状を有し、回転径方向において小径部OP12と比べて回転軸(軸部材102)に近い側に配置されている。大径部OP11は、小径部OP12と比べて径が大きい。小径部OP12は、半円状の平面視形状を有し、回転径方向において、大径部OP11に比べて回転軸から遠い側に配置されている。本体部110の中央には、図6に示すように支柱部111が形成されている。支柱部111は、Y1軸方向に延びる柱状の構造を有する。この支柱部111により、内側開口OP10は、X1軸方向に二分されている。支柱部111の+Z1方向の端面は、覆い部120の-Z1方向の面に連なる。支柱部111の+X1方向の面には、力伝達部112が形成されている。力伝達部112は、X1軸方向に延びるばね101の図示しない脚部と接する。給油ノズルが挿入されて第1開閉部材100が回動する際に、力伝達部112は、給油ノズルの押す力をばね101に伝え、また、ばね101に生じる復元力を第1開閉部材100全体に伝える。
【0026】
覆い部120は、略円盤状の外観形状を有する。覆い部120は、本体部110に対して、燃料タンク側(-Z1方向)と、反対側(+Z1方向)とのうちの反対側に位置する。換言すると、覆い部120は、本体部110に対して+Z1方向にずれた(突出した)位置に配置されている。覆い部120は、給油ノズルが第1開閉部材100内に挿入される際に、給油ノズルにより押される部分に相当する。図6および図7に示すように、覆い部120は、本体部110のうち、少なくとも内側開口OP10を含む部分を覆う。覆い部120における-Y1方向の部分は、本体部110の+Z1方向の面に連なっており、覆い部120における+Y方向の部分は、本体部110の+Z1方向の面から離れている。このため、本体部110と覆い部120との間であって、+Y1方向側(回転径方向において回転軸から遠い側)には、支柱部111によって互いに分けられた2つの外側開口OP20が形成されている。2つの外側開口OP20のうち+X1方向に位置する外側開口OP20は、本体部110と、覆い部120と、支柱部111における+X1方向の表面との間に形成された第1隙間G1として形成されている。また、-X1方向に位置する外側開口OP20は、本体部110と、覆い部120と、支柱部111における-X1方向の表面との間に形成された第2隙間G2として形成されている。
【0027】
図8は、外側開口OP20の形成範囲を説明するための説明図である。図8では、覆い部120を、-Z1方向、言い換えると、覆い部120から本体部110に向かう方向に沿って見たときの覆い部120の外形(以下、単に「外形」とも呼ぶ)と、かかる外形に接する5つの接線l1~l5とが表されている。また、図8では、外側開口OP20(第1隙間G1および第2隙間G2)を太い破線で示している。さらに、図8では、覆い部120の外形の中心(重心)を通りX0軸と平行な線L0も併せて表されている。図1および図8に示すように、この線L0を境界として、図面上方側が覆い部120の上方側(鉛直上方側)にほぼ相当し、図面下方が覆い部120の下方側(鉛直下方側)にほぼ相当する。3つの接線l1~l3における覆い部120の外形との接点は、いずれも外側開口OP20の範囲に含まれている。他方、2つの接線l4、l5における覆い部120の外形との接点は、いずれも外側開口OP20の範囲に含まれていない。接線l1と接線l2との交点p1と、接線l1と接線l3との交点p2と、接線l2と接線l3との交点p3とは、いずれも覆い部120における下方側に位置している。他方、接線l3と接線l4との交点p4と、接線l1と接線l5との交点p5と、接線l4と接線l5との交点p6とは、いずれも覆い部120における上方側に位置している。接線l1については、他の接線との交点(例えば、交点p1、p2)が覆い部120の下方側に位置する場合がある。同様に、接線l2、l3についても他の接線との交点(例えば、交点p1、p2、p3)が覆い部120の下方側に位置する場合がある。他方、接線l4および接線l5については、他の接線との交点(例えば、交点p5、p6)は、いずれも覆い部120の上方側に位置し、下方側に位置する場合がない。そして、接線l1~l3は、上述のように、外側開口OP20の範囲に含まれている。したがって、外側開口OP20は、覆い部120を覆い部120から本体部110に向かう方向に沿って見たときの覆い部120の外形の接線が、下方側で交差する範囲に形成されている、といえる。
【0028】
図5に示すように、第1開閉部材100の内部の通気孔OP1において、燃料通路(第1通路部90a)に通じる開口は、内側開口OP10により形成されている。他方、通気孔OP1において第1開口52の外部に通じる開口は、2つの外側開口OP20により形成されている。覆い部120が内側開口OP10をZ1軸方向において覆っているので、雨水や異物が内側開口OP10に入る込むことを抑制できる。また、上述のように、外側開口OP20は、覆い部120を覆い部120から本体部110に向かう方向に沿って見たときの覆い部120の外形の接線が、下方側で交差する範囲に形成されている。そして、外側開口OP20よりも回転軸側、すなわち、図1における上方側において、本体部110と覆い部120とは互いに連なっており、外側開口OP20は閉塞されている。したがって、外側開口OP20から燃料通路(第1通路部90a)内に雨水や異物が入り込むことが抑制される。図5に示すように、通気孔OP1は、比較的シンプルな構造であり、第1開閉部材100の内部のみに形成され、他の構成部材、例えば、給油口形成部材50や第1通路形成部材20や保護部材25等に亘って形成されていない。したがって、第1開口52の外部と燃料通路とを連通させてガスを流通させる流路(ガス流路GL)を、簡易な構造により実現できる。
【0029】
図2図4図5および図7に示すように、覆い部120において+Y1方向の端部、換言すると、回転軸に対して回転径方向において元も離れた端部には、切り欠きC1が形成されている。給油ノズルにより覆い部120が押されて第1開閉部材100が回転し、その後、給油ノズルが第1通路部90aに挿入される際、覆い部120において回転軸に対して回転径方向において元も離れた端部は、給油ノズルの先端部分に最も近づくこととなる。そこで、かかる部分に切り欠きC1を形成することにより、挿入される給油ノズルの外周面と覆い部120とが干渉することを抑制できる。
【0030】
また、図2図4図5および図7に示すように、覆い部120において-Y1方向の端部、換言すると、回転軸に対して回転径方向において元も近い端部には、傾斜部123が形成されている。傾斜部123は、回転径方向に沿って回転軸に近づくにつれて本体部110の天井面(+Z1方向の面)に近づくようなテーパ部として構成されている。覆い部120において回転軸に対して回転径方向において元も近い端部は、給油ノズルの基端部分が最も近づくこととなる。そこで、かかる部分に傾斜部123を形成することにより、上述の切り欠きC1と同様に、挿入される給油ノズルの外周面と覆い部120とが干渉することを抑制できる。
【0031】
以上説明した実施形態の開閉装置10によれば、第1開閉部材100は、第1開口52(給油口)を閉じた状態において第1開口52の外側と燃料通路とを連通する通気孔OP1を有するので、第1開閉部材100により第1開口52を閉じることにより燃料通路内に雨水や異物が入り込むことを抑制しつつ、通気孔OP1により第1開口52の外側と燃料通路とを連通するという構成を実現できる。また、第1開閉部材100に通気孔OP1を設けるので、給油口形成部材50に複雑な構造の通気路を設ける、或いは、給油口形成部材50や第1通路形成部材20等の複数の部材に亘る複雑な構造を設けることなく、上記構成を実現できる。
【0032】
また、通気孔OP1が有する外側開口OP20は、閉止部51に対して、燃料タンク側とは反対の反対側に位置するので、第1開口52(給油口)が閉じられた状態において、通気孔OP1を介して燃料通路を確実に第1開口52の外側と連通させることができる。
【0033】
また、外側開口OP20は、内側開口OP10が形成された本体部110と、覆い部120との間の隙間G1、G2として形成されているので、内側開口OP10を含む部分を覆う機能と、外側開口OP20を形成する機能とを、それぞれ異なる部材により実現する構成に比べて、部品点数の低減や装置の小型化を図ることができる。
【0034】
また、外側開口OP20は、覆い部120を覆い部120から本体部110に向かう方向に沿って見たときの覆い部120の外形の接線が、下方側で交差する範囲に形成されているので、外側開口OP20から燃料通路に雨水や異物が侵入することを抑制できる。
【0035】
また、覆い部120において回転軸に対して回転径方向において最も離れた端部には、切り欠きC1が設けられているので、第1開口52(給油口)が開いて給油ノズルが挿入される際に、かかる切り欠きC1が無い構成に比べて燃料通路の断面積を大きくでき、第1開閉部材100(覆い部120)と給油ノズルとが干渉する(接触する)ことを抑制できる。このため、第1開閉部材100の損傷を抑制できる。
【0036】
また、内側開口OP10には、大径部OP11が形成されていることにより、内側開口OP10が小径部OP12の径を単一の径とする円形状の開口である構成に比べて通気孔OP1を通るガス量を増大させることができつつ、内側開口OP10が大径部OP11の径を単一の径とする円形状の開口である構成に比べて、外側開口OP20に近い部分の径を小さくして雨水や異物が入り込むことをより抑制できる。
【0037】
また、第1開閉部材100に通気孔OP1を設けるので、第1開口52全体を覆うようなカバー付きの給油ノズルにより給油を行う際に、通気孔OP1を介して外気がカバー内に入り込むことを抑制できる。このため、かかるカバーに、燃料通路とは別に燃料タンク内と連通する連通路が設けられる構成において、カバー内に入り込んだ外気がタンク内に供給されてタンク内の圧力が過剰に上昇することを抑制できる。また、覆い部120を設けずに本体部110において、内側開口OP10に代えて切り欠きを形成する比較例の構成においては、かかる切り欠きにより形成された隙間から雨水が浸入し、かかる雨水が凍って開閉部材が開閉できなくなるおそれがある。かかる比較例に対して、上記実施形態では、覆い部120により内側開口OP10に雨水が浸入することを抑制できる。
【0038】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、外側開口OP20は、閉止部51に対して、燃料タンク側とその反対側とのうちの反対側に位置していた。換言すると、外側開口OP20は、閉止部51に対して、中心軸AXに沿って外側に位置していた。しかし、本開示はこれに限定されない。外側開口OP20を閉止部51に対してタンク側に配置する、又は閉止部51と中心軸AX方向に沿った位置が同じになるように配置してもよい。
【0039】
(B2)上記実施形態において、覆い部120を省略してもよい。かかる構成においては、通気孔OP1は、本体部110に形成された開口、すなわち、内側開口OP10のみにより構成される。かかる構成においても、第1開口52が第1開閉部材100により閉じられた状態において、第1開口52の外部と燃料通路(第1通路部90a)とを連通させることができ、この点において上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0040】
(B3)上記実施形態における開閉装置10の構成は、あくまでも一例であり、様々に変更可能である。例えば、切り欠きC1と傾斜部123とのうちの少なくとも一方を省略してもよい。また、内側開口OP10は、大径部OP11と小径部OP12とを有する段付きの円形状の平面視形状を有していたが、本開示はこれに限定されない。単一の径の円形状の平面視形状を有していてもよい。また、本体部110において、支柱部111および力伝達部112を省略してもよい。または、支柱部111と同様な柱状の構造を追加して、外側開口OP20を複数の開口により形成してもよい。また、ばね101を、ねじりコイルばねに代えて板ばね等の他の種類のばねにより構成してもよい。
【0041】
本開示は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…開閉装置、20…第1通路形成部材、21…基端部、22…第2開口、25…保護部材、29…シール部材、30…第2通路形成部材、31…先端部、32…ファーツリ部、39…シール部材、40…ブリーザポート部、50…給油口形成部材、51…閉止部、52…第1開口、90a…第1通路部、90b…第2通路部、100…第1開閉部材、101…ばね、102…軸部材、110…本体部、111…支柱部、112…力伝達部、120…覆い部、123…傾斜部、130…軸受部、200…第2開閉部材、201…弁、AX…中心軸、BP…基板、C1…切り欠き部、FL…給油蓋、FO…開口、FR…給油室、G1…第1隙間、G2…第2隙間、GL…ガス流路、OP1…通気孔、OP10…内側開口、OP11…大径部、OP12…小径部、OP20…外側開口、OP200…通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8