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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015258
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】中間駅案内装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B61L25/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117969
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】我妻 正也
(72)【発明者】
【氏名】武田 浩二
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161CC20
5H161DD01
5H161GG03
5H161GG15
5H161GG22
(57)【要約】
【課題】拠点駅が通常時の運行ダイヤに追随して、中間駅の案内情報板を速やかに通常時の運行ダイヤの案内表示に表示させる中間駅案内装置を提供する。
【解決手段】拠点駅Aと拠点駅Bの間にある中間駅Cに設置された中間駅案内装置2cには、拠点駅Aに設置された拠点駅案内装置2aと、中間駅Cの上り方向、下り方面のプラットホームPcにそれぞれ設置された案内情報板3cとが接続されている。中間駅案内装置2cは、拠点駅Aが通常ダイヤに復旧した際に送信される中間駅用列車情報に基づいて、案内情報板3cに表示させる案内情報を生成する。中間駅用列車情報には、復旧する最初の列車である1番目の列車の発着列車情報と、2番目の列車の発着列車情報とを含み、1番目の列車が中間駅Cを発車した後に、2番目の列車の案内情報を中間駅Cの先発列車情報として案内情報板3cに表示することで、中間駅の案内情報板3cを通常モードに復旧させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行路線の拠点駅のプラットホーム毎の案内情報を制御する拠点駅案内装置と、前記運行路線の中間駅のプラットホーム毎の案内情報を表示する案内情報板とに接続し、
前記中間駅の各プラットホームに対応する発着列車情報テーブルの発着列車情報に基づいて生成した前記中間駅のプラットホーム毎の前記案内情報を、前記案内情報板に表示する中間駅案内装置であって、
通常運用時に前記拠点駅を最初に発車する第1の列車から3番目に発車する第3の列車までの前記拠点駅の前記発着列車情報の一部分である部分発着列車情報を含み、前記拠点駅案内装置の前記案内情報を更新する度に、前記拠点駅案内装置から送信される中間駅用列車情報を受信し、かつ前記第1の列車が前記中間駅のプラットホームを発車後に、2番目に発車する第2の列車に対応する前記発着列車情報を先発列車情報として前記案内情報を作成し、該案内情報を前記案内情報板に表示させることを特徴とする中間駅案内装置。
【請求項2】
前記拠点駅案内装置が、運行ダイヤが乱れて、前記中間駅用列車情報の送信を行わない緊急モードから、通常時の前記運行ダイヤが回復した通常モードに復旧した後に、前記拠点駅案内装置から送信される前記中間駅用列車情報を受信し、かつ前記第1の列車が前記中間駅のプラットホームを発車後に、前記第2の列車に対応する前記発着列車情報を先発列車情報として前記案内情報を作成し、該案内情報の表示を前記案内情報板に開始することで、前記通常モードに復旧させることを特徴とする請求項1に記載された中間駅案内装置。
【請求項3】
現在時刻と、前記第1の列車に対応する前記発着列車情報テーブルの前記発着列車情報の発車予定時刻又は到着予定時刻とを比較して、前記現在時刻が前記発車予定時刻又は前記到着予定時刻に対して所定時間以上経過した場合には、表示している前記案内情報板の前記先発列車情報の発車予定時刻のみを未表示に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載された中間駅案内装置。
【請求項4】
前記中間駅用列車情報は、前記発着列車情報テーブル内の連続する列車の前記部分発着列車情報から成り、第1の中間駅用列車情報である中間駅用通常列車情報と、前記発着列車情報テーブル内の連続する2つの列車の前記部分発着列車情報の間に、臨時列車の発着臨時列車情報を含む、第2の中間駅用列車情報である中間駅用臨時列車情報とから成ることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された中間駅案内装置。
【請求項5】
前記中間駅用列車情報は、前記中間駅用通常列車情報及び前記中間駅用臨時列車情報に加えて、前記発着列車情報テーブル内の連続する列車の前記部分発着列車情報から、運休列車の前記部分発着列車情報を削除した、第3の中間駅用列車情報である中間駅用運休列車情報を含むことを特徴とする請求項4に記載された中間駅案内装置。
【請求項6】
前記中間駅用列車情報が、前記第2の列車が前記臨時列車である前記中間駅用臨時列車情報である場合には、前記第1の列車が前記中間駅のプラットホームを発車後に、前記第2の列車に対応する前記発着臨時列車情報を先発列車情報として前記案内情報を作成し、該案内情報を前記案内情報板に表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載された中間駅案内装置。
【請求項7】
前記臨時列車である前記第2の列車に対応する前記部分発着列車情報は、前記第2の列車の列車種別、行先のデータから成ることを特徴とする請求項6に記載された中間駅案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行路線の中間駅に設置された案内情報板に対して、案内情報の表示制御を行う中間駅案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道路線の各駅では、案内情報表示システムによって旅客案内情報を表示している。この案内情報表示システムでは、駅構内やプラットホームに設けられた案内情報板に、旅客案内情報として列車の運行状況等を表示して、駅の利用客に提供している。天候や事故等の影響によって、鉄道路線の運行状況に変更が生じた場合には、案内情報表示システムは変更された運行状況に対応し、旅客案内情報を変更して案内情報板に表示する。
【0003】
特許文献1には、駅に設置された表示制御装置から列車の行先、出発順序等の旅客案内情報を出力し、駅のホームや改札口等に設けられた複数のLED表示器を有する表示装置に表示させる案内情報表示システムが開示されている。
【0004】
この特許文献1の表示制御装置は、始発駅や折返し駅でもある行先駅等の拠点駅では、鉄道路線の運行管理装置と接続されており、この運行管理装置には列車の着発時刻、使用番線、出発順序の情報等を含むダイヤ情報が記憶されている。拠点駅の表示制御装置ではこのダイヤ情報から、現在時刻とプラットホームに現に発着する列車の情報とに対応した案内情報を抽出して、プラットホーム等に設けられた案内情報板等の表示装置に自動的に表示させている。
【0005】
また、列車の運行本数が少ないローカル鉄道路線等においては、始発駅と行先駅との間に存在する複数の中間駅又は各中間駅に対して、通常運用時の通常ダイヤ情報が記憶された1つの操作卓が配置されている。操作卓ではこれらの各中間駅に対応した通常ダイヤ情報から、現在時刻に対応した複数の中間駅又は各中間駅の案内情報を抽出し、複数の中間駅又は各中間駅に設置された案内情報板に自動的に表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-30763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉄道路線の運行ダイヤは、上述の通りに、運行線路内における列車事故や悪天候等の発生が原因となって、列車の運休や臨時列車の追加等の対応を行うことにより、大きく乱れた状態となる。その際に、各駅の案内情報表示システムは、この乱れたダイヤ状態から、通常時の運行ダイヤへの復旧過程に適応した案内情報を表示することを要求される。
【0008】
そこで、運行管理装置と接続された拠点駅の案内情報表示システムにおいては、運行ダイヤが乱れた状態では、案内情報板には発車時刻を表示させず、行先のみを表示させたり、「調整中」や「遅延中」の文字表示のみや、非表示状態としている。
【0009】
そして、運行状況が通常時の運行ダイヤに復旧した場合には、運行管理装置に記憶されているダイヤ情報のどの時点から通常時の運行ダイヤに復旧したのかを、オペレータの介入処理によって設定し、案内情報板に表示させる案内情報を、通常時の運行ダイヤの状態に復旧させている。なお、通常状態に復旧させた時点以降は、運行管理装置に記憶されているダイヤ情報に対応した案内情報を、拠点駅の案内情報板に自動的に表示させることになる。
【0010】
一方、運行管理装置と接続されていない中間駅においては、ダイヤ情報が乱れた状態では、オペレータが操作卓から介入処理を行い、案内情報板を「調整中」や「遅延中」の文字表示のみや、非表示状態にしている。そして、拠点駅に電話連絡等をして運行状況が通常時の運行ダイヤに復旧したことを確認した後に、オペレータが操作卓で復旧処理を行うことにより、通常時の運行ダイヤの案内情報表示に復旧させている。
【0011】
このように、運行ダイヤが乱れた状態から通常時の運行ダイヤに復旧させる際に、所定の時点から通常時の運行ダイヤに完全に復旧させる場合もあるが、状況によっては通常時の運行ダイヤの復旧の前段階として臨時列車や運休列車を含む変則的なダイヤを介して通常時の運行ダイヤに復旧させることもある。更には、通常時の運行ダイヤの運用中であっても、一時的に臨時列車や運休列車を含む変則的なダイヤを割り込ませて運用することもある。
【0012】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、運行管理装置に接続されていない中間駅を含む運行路線であっても、拠点駅において運行ダイヤが乱れた状態から通常時の運行ダイヤに復旧、又は通常時の運行ダイヤに一時的な変則的ダイヤの割り込みに追随して、中間駅の案内情報板を表示内容に間違いのない案内情報を速やかに表示させる中間駅案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る中間駅案内装置は、運行路線の拠点駅のプラットホーム毎の案内情報を制御する拠点駅案内装置と、前記運行路線の中間駅のプラットホーム毎の案内情報を表示する案内情報板とに接続し、前記中間駅の各プラットホームに対応する発着列車情報テーブルの発着列車情報に基づいて生成した前記中間駅のプラットホーム毎の前記案内情報を、前記案内情報板に表示する中間駅案内装置であって、通常運用時に前記拠点駅を最初に発車する第1の列車から3番目に発車する第3の列車までの前記拠点駅の前記発着列車情報の一部分である部分発着列車情報を含み、前記拠点駅案内装置の前記案内情報を更新する度に、前記拠点駅案内装置から送信される中間駅用列車情報を受信し、かつ前記第1の列車が前記中間駅のプラットホームを発車後に、2番目に発車する第2の列車に対応する前記発着列車情報を先発列車情報として前記案内情報を作成し、該案内情報を前記案内情報板に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る中間駅案内装置によれば、運行管理装置に直接接続されていない中間駅において、拠点駅が緊急モードから通常モードに復旧した際、又は通常時の運行ダイヤに一時的な変則的ダイヤを割り込ませた際に追随して、拠点駅案内装置から送信される中間駅用列車情報に基づいて、中間駅の案内情報板に表示させる案内情報を変更し、、運行路線の利用者に対して正確な案内情報を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】案内情報表示システムの全体システム構成図である。
図2】発着列車情報テーブルの説明図である。
図3】案内情報テーブルの説明図である。
図4】復旧した際の拠点駅の案内情報板の説明図である。
図5】中間駅用通常列車情報の説明図である。
図6】中間駅用臨時列車情報の説明図である。
図7】中間駅用運休列車情報の説明図である。
図8】中間駅の案内情報板を復旧させるフローチャート図である。
図9】中間駅用通常列車情報を受信後に、列車が1番目の中間駅を発車した際の案内情報板の説明図である。
図10】中間駅用通常列車情報を受信後に、列車が2番目の中間駅を発車した際の案内情報板の説明図である。
図11】中間駅用臨時列車情報を受信した際の案内情報板を復旧させるフローチャート図である。
図12】中間駅用臨時列車情報を受信後に、列車が拠点駅を発車した際の案内情報板の説明図である。
図13】中間駅用臨時列車情報を受信後に、列車が1番目の中間駅を発車した際の案内情報板の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0017】
図1は案内情報表示システムの全体システム構成図であり、案内情報表示システムは、一方の始発駅又は行先駅である拠点駅A及び他方の始発駅又は行先駅である拠点駅Bにそれぞれ設置された運行管理装置1a、1bと、この運行管理装置1a、1bのそれぞれに接続された第1の案内装置である拠点駅案内装置2a、2bと、拠点駅A及び拠点駅B間にある中間駅C1~C3の中の中間駅C2に設置された第2の案内装置である中間駅案内装置2cとを備えている。
【0018】
運行管理装置1a、1bと拠点駅案内装置2a、2bは、LAN等の通信回線により有線及び/又は無線接続されており、高速伝送可能とされている。なお、実施例においては拠点駅A、Bのそれぞれに運行管理装置1a、1bを設置しているが、中央管理センタに1台の運行管理装置1を設置し、高速通信回線を介して拠点駅A、Bの拠点駅案内装置2a、2bと接続するようにしてもよい。また運行管理装置ではなく当該拠点駅のみを制御するPTC等の制御装置でもよい。
【0019】
また、従来の案内情報表示システムでは拠点駅と中間駅との間に、通信ネットワークが構築されていないのに対して、本実施例の案内情報表示システムでは、拠点駅案内装置2a、2bと中間駅案内装置2cとは、通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNとしては、例えば運行路線Rに沿って既に敷設されているメタル回線を用いることができ、この既設のメタル回線等のように通信速度が貧弱である低速通信回線を想定している。後述する拠点駅案内装置2a、2bから中間駅案内装置2cに通信ネットワークNを介して送信するデータ量は、例えば数10キロバイト程度の少量とされている。
【0020】
拠点駅Aに設置された拠点駅案内装置2aは、拠点駅Aのプラットホーム毎の案内情報を制御する装置であり、拠点駅案内装置2aには上り方面である1番線のプラットホームPa1に設置された案内情報板3a1及び下り方面である2番線のプラットホームPa2に設置された案内情報板3a2が接続されている。
【0021】
同様にして、拠点駅Bに設置された拠点駅案内装置2bには、上り方面である1番線のプラットホームPb1に設置された案内情報板3b1及び下り方面である2番線のプラットホームPb2に設置された案内情報板3b2が接続されている。
【0022】
中間駅C2に設置された中間駅案内装置2cには、複数の中間駅C1~C3の上り方面である1番線のプラットホームPc11~Pc31、下り方面である2番線のプラットホームPc12~Pc32にそれぞれ設置された案内情報板3c11~3c31、案内情報板3c12~3c32が接続されている。
【0023】
これらの接続には、前述の既設のメタル回線を利用してもよい。なお、中間駅案内装置2cを実施例では2番目の中間駅C2に設けているが、表示制御を行う中間駅C1~C3の任意の駅に設置してもよいし、各中間駅C1~C3にそれぞれ中間駅案内装置2cを設置してもよい。
【0024】
また、拠点駅A及び拠点駅B間の中間駅Cの駅数は、中間駅C1~C3の3駅には限定されず、任意の中間駅Cの駅数に対応することができ、複数の中間駅Cに適宜に中間駅案内装置2cを設置することもできる。このように複数の中間駅案内装置2cを設置する場合には、それぞれの中間駅案内装置2cが通信ネットワークNに接続される。
【0025】
運行管理装置1a、1bには、運行路線R上の各駅に発着する運行列車の運行ダイヤがダイヤ情報として保存されており、図示しない運行管理装置1a、1bに接続された操作部により、運行ダイヤを作成及び変更することが可能である。
【0026】
また、拠点駅A、Bの拠点駅案内装置2a、2bには、それぞれ操作卓4a、4bが接続されており、オペレータは操作卓4a、4bを介して拠点駅A、Bの上り方面である1番線のプラットホームPa1、Pb1、下り方面である2番線のプラットホームPa2、Pb2における列車の運行状況を確認可能である。
【0027】
一方、中間駅C2の中間駅案内装置2cには、操作卓4cが接続されており、オペレータはこの操作卓4cを介して中間駅における発車情報を含む運行状況を確認することが可能である。ただし、通信ネットワークNは低速通信回線に対応可能とするため、後述するように確認できる運行状況は限定される。
【0028】
このように構成された案内情報表示システムにおいて、各拠点駅A、Bに設置された運行管理装置1a、1bには、ダイヤ情報に基づく拠点駅A、Bの各プラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2毎の発着列車情報テーブルが記憶されている。
【0029】
運行管理装置1aは、接続されている拠点駅Aに設置された拠点駅案内装置2aに対して、拠点駅AのプラットホームPa1、Pa2の発着列車情報テーブルを提供する。また、運行管理装置1bは、接続されている拠点駅Bに設置された拠点駅案内装置2bに対して、拠点駅BのプラットホームPb1、Pb2の発着列車情報テーブルを提供する。そして、拠点駅案内装置2a、2bは、取得した発着列車情報テーブルから、それぞれ拠点駅A、Bの現在時刻におけるプラットホームP毎の発着列車情報Hを読み込む。
【0030】
図2は通常時に使用する発着列車情報テーブルの説明図であり、発着列車情報テーブルは、例えば各駅のプラットホームP毎に発着する各列車の発着列車情報Hをリスト化したものである。発着列車情報テーブルは、発着する各運行列車に関する列車番号と、普通、特急等を示す列車種別と、行先駅と、発車予定時刻とから成る1行分の発着列車情報Hが、発着時刻の早い運行列車から順次に上行から下行へと並置された多数行で構成されている。
【0031】
列車番号にはユニークな数字や、アルファベット又はカタカナと数字とを組み合わせた文字列等が割り振られており、例えば下行に進む程、つまり発車時刻が遅い程、数字が大きくなるように割り振るようにしてもよい。更には、上り方向を奇数、下り方向を偶数として数字を割り振るようにしてもよい。
【0032】
なお、到着時刻と発車時刻が大きく異なり、発車時刻のみでは取り扱えない運行列車が含まれる場合には、発着列車情報Hとして発車時刻を読み込むだけではなく、到着時刻も読み込んでテーブル化すればよい。
【0033】
拠点駅案内装置2a、2bは、これらのプラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2毎の発着列車情報テーブルに基づいて、各プラットホームPに対応する案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2に表示する案内情報を生成する。
【0034】
案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2は、LEDディスプレイ等の表示手段を備えており、拠点駅案内装置2a、2bから送信されてきた案内情報を表示する。この表示手段は、例えば1行目に第1の列車Tである先発列車Ta、2行目に第2の列車Tである次発列車Tbの2行の文字列を表示可能としているが、少なくとも1行の文字列を表示可能であればよい。
【0035】
図3は拠点駅案内装置2a、2bで処理される案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2の案内情報テーブルの説明図であり、この案内情報テーブルは図2に示す発着列車情報テーブルに、列車Tが未発車か発車済かを表示する発車情報の列を追加して構成されている。
【0036】
拠点駅案内装置2a、2bでは、現在時刻と、プラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2における軌道回路等による列車検出情報とに基づいて、プラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2における列車Tの停車状況から列車Tが未発車か発車済かを判断することが可能である。そして、列車Tが発車したと判断した場合には、図3に示すように該当する列車の発車情報を未発車から発車済とする処理を行う。
【0037】
拠点駅案内装置2a、2bは、列車Tが発車したと判断した場合には、プラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2の案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2の案内情報の表示を更新する。
【0038】
この案内情報の更新処理は、例えば案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2に先発列車情報と次発列車情報を2行で表示している場合には、先発列車Taである列車Tの発車済の発車情報に応じて、1行目に表示されている発車済となった先発列車Taの先発列車情報を消去し、2行目に表示されている次発列車Tbの次発列車情報を1行目にシフトさせて先発列車情報として表示させ、未表示である第3の列車Tである次々発列車Tcの次々発列車情報を2行目の次発列車情報として表示させる。
【0039】
これらの案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2の表示制御処理は、現在時刻と、発着列車情報Hにおける列車の発車予定時刻及びプラットホームPa1、Pa2、Pb1、Pb2における軌道回路等による列車Tの列車検出情報とにより、更新される列車Tの発車情報に基づいて、繰り返し実行される。
【0040】
なお、実際の案内情報板に表示する行数、つまり列車の本数は上述のように2本に限定されるべきではなく、案内情報板が備えるディスプレイのサイズ等に対応して決定するのが好ましい。
【0041】
拠点駅A、Bに設置された操作卓4a、4bでは、オペレータが拠点駅案内装置2a、2bに記憶された案内情報テーブルを参照することにより、何処までの列車が発車済となったのかを示す現在の拠点駅A、BにおけるプラットホームP毎の発車情報を確認することが可能である。
【0042】
上述の拠点駅A、Bで繰り返し実行される案内情報表示と並行して、中間駅案内装置2cでは、上り方面である1番線のプラットホームPc11~Pc31、下り方面である2番線のプラットホームPc12~Pc32にそれぞれ設置された1番線の案内情報板3c11~3c31、2番線の案内情報板3c12~3c32に対して、同様な案内情報の表示制御が行われている。
【0043】
中間駅C1~C3の1番線の案内情報板3c11~3c31、2番線の案内情報板3c12~3c32の表示制御を行う中間駅案内装置2cには、操作卓4cが接続されており、オペレータはこの操作卓4cを介して運行路線Rの上り方面である1番線、下り方面である2番線の案内表示状態を確認することが可能である。
【0044】
中間駅案内装置2cには、中間駅C1~C3の発着列車情報テーブルが記憶されている。これらの発着列車情報テーブルは、運行路線Rの運行ダイヤを作成可能な運行管理装置1a、1bから出力されて、記憶媒体等を介して中間駅案内装置2cに記憶される。従って、運行路線Rのダイヤ改正等が行われる際には、中間駅案内装置2cに記憶されている中間駅C1~C3の発着列車情報テーブルを、操作卓4cを介して更新する必要がある。
【0045】
中間駅C2の中間駅案内装置2cは、記憶している中間駅C1~C3の発着列車情報テーブルから、各中間駅C1~C3の現在時刻における図2に示す発着列車情報Hを読み込み、各列車の発車情報を付加して図3に示すような案内情報テーブルを生成する。
【0046】
そして、案内情報テーブルに基づいて、中間駅C1~C3の1番線の案内情報板3c11~3c31、2番線の案内情報板3c12~3c32に案内情報を表示させる。なお、案内情報板3c11~3c32に対する案内情報を表示させる中間駅案内装置2cの表示制御処理は、拠点駅案内装置2a、2bによる案内情報板3a1~3b2の表示制御処理と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0047】
このように、中間駅C1~C3の1番線の案内情報板3c11~3c31、2番線の案内情報板3c12~3c32では、それぞれ列車Tが運行するに従って、自動的に案内情報の表示の切換えが行われている。
【0048】
運行路線R上に悪天候や事故が発生した場合には、ダイヤ情報の通りに列車を運行させることができなくなる。列車Tの各駅への到着が大幅に遅れるため、例えば拠点駅A、Bの拠点駅案内装置2a、2bでは、発着列車情報Hに示されている発車時刻までには列車Tが拠点駅A、B及び中間駅Cに到着せず、案内情報における発車情報は未発車の状態のままとなる。
【0049】
このように、運行ダイヤが乱れた場合には、オペレータによる操作卓4a、4bからの介入処理によって、通常モードから緊急モードに移行させる。又は、列車Tの発車予定時刻から所定時間を経過しても、列車Tが拠点駅A、Bを未発車の場合には、自動的に通常モードから緊急モードに移行させるようにしてもよい。なお、通常モードとは、案内情報板3a、3bに対して発着列車情報テーブルの発着列車情報に従って、通常時の運行ダイヤを自動的に表示する動作モードである。
【0050】
緊急モードに移行すると、拠点駅案内装置2a、2bは、拠点駅A、Bの案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2に対して、通常時の運行ダイヤの案内情報の表示を中断し、「調整中」の文字表示のみを行う。或いは、「調整中」の文字表示をせずに全て非表示の状態にするか、通常の案内情報の発車予定時刻のみを非表示の状態としてもよい。
【0051】
通常モードから緊急モードに拠点駅A、Bが移行した場合には、拠点駅A、Bの拠点駅案内装置2a、2bは、運行ダイヤが乱れた列車Tの進行方向である下流側の中間駅C1~C3の中間駅案内装置2cに対して、通信ネットワークNを介して緊急モード移行を緊急情報として送信する。
【0052】
この緊急情報を受信した中間駅案内装置2cは、接続されている中間駅C1~C3の1番線の案内情報板3c11~3c31、2番線の案内情報板3c12~3c32に対して、拠点駅A、Bの案内情報板3a1、3a2、3b1、3b2と同様に「調整中」の文字表示を行う。或いは、「調整中」の文字表示をせずに全て非表示の状態にするか、通常の案内情報の発車予定時刻のみを非表示の状態としてもよい。
【0053】
なお、上り方面だけ運行ダイヤが乱れた場合には、拠点駅Aの拠点駅案内装置2aから中間駅案内装置2cに対して、上り方面だけの緊急モード移行を緊急情報として送信する。この緊急情報を受信した中間駅案内装置2cは、接続されている中間駅C1~C3の1番線の案内情報板3c11~3c31だけに対して、「調整中」の文字表示を行う。
【0054】
運行路線Rの運行ダイヤの乱れる原因が解消し、拠点駅Aの拠点駅案内装置2aが緊急モードから通常モードに復旧されると、拠点駅Aの拠点駅案内装置2aは発着列車情報テーブルから、拠点駅Aの現在時刻における発着列車情報Hを読み込むことを再開する。
【0055】
緊急モードから通常モードへの復旧処理は、発着列車情報テーブルの順序通りに復旧させる通常復旧処理と、発着列車情報テーブルの順序通りではあるが、一部に臨時列車T0の追加、又は運休列車T0’の削除が含まれる状態で復旧させる部分復旧処理に分けることができる。
【0056】
通常復旧処理は、操作卓4aを介してオペレータが拠点駅案内装置2aに読み込まれた拠点駅Aの発着列車情報テーブルから、現在時刻に対応したプラットホームPa1における復旧後の最初に運行する列車の発着列車情報Hを選択して指定することによって行われる。
【0057】
図4は、拠点駅案内装置2aが緊急モードから通常モードに通常復旧処理により復旧される際の、案内情報表示システムの上り方面である1番線の拠点駅A及び中間駅C1~C3におけるシステム構成図である。そして、拠点駅AのプラットホームPa1における復旧後の最初に発車する1番目の列車Tである先発列車Taが、例えば図2に示す発着列車情報テーブルの2行目の発着列車情報Hである場合について示している。
【0058】
オペレータが拠点駅AのプラットホームPa1における復旧後の最初の運行列車の発着列車情報H1を指定すると、拠点駅案内装置2aでは発着列車情報H1を先発列車情報として処理し、その次の行の発着列車情報H2を次発列車情報として処理して、これらの発着列車情報Hに基づく案内情報を生成して、プラットホームPa1の案内情報板3a1に対して、案内情報の表示制御を行う。
【0059】
案内情報板3a1では、拠点駅案内装置2aからの表示指令に従って、図4に示すように、先発列車情報を発着列車情報H1、次発列車情報を発着列車情報H2として案内情報を表示し、通常モードによる案内情報の表示制御が再開される。つまり、未表示又は「調整中」の案内情報板3a1の表示に対して、案内情報の表示が開始されることなる。
【0060】
また、部分復旧処理は、操作卓4aを介してオペレータが拠点駅Aの発着列車情報テーブルに、臨時列車T0の発着列車情報Hの追加、又は運休列車T0’の発着列車情報Hの削除を一時的に行い、臨時列車T0、運休列車T0’の直前に発車する運行列車であって、復旧後の最初の運行列車の発着列車情報H1を選択して指定することによって行われる。
【0061】
オペレータが拠点駅AのプラットホームPa1における復旧後の最初の運行列車の発着列車情報H1を指定すると、拠点駅案内装置2aでは発着列車情報H1を先発列車情報として処理し、その次の行の臨時列車T0又は運休列車T0’の次の列車Tの発着列車情報H2を次発列車情報として処理して、これら発着列車情報Hに発車情報を付加した案内情報を生成して、プラットホームPa1の案内情報板3a1に対して、案内情報の表示制御を行う。この部分復旧処理の表示制御後は、通常復旧処理の表示制御に移行する。
【0062】
このように、通常復旧処理により通常モードに復旧した後、又は部分復旧処理から通常復旧処理に移行し、通常モードに復旧した後においては、拠点駅案内装置2a及び案内情報板3a1は、現在時刻と、発着列車情報Hにおける運行列車の発車時刻と、プラットホームPa1における軌道回路等による列車Tの列車検出情報とに基づいて、拠点駅AのプラットホームPa1を発車する運行列車の案内情報を自動的に切換える表示制御が再開される。
【0063】
このように、オペレータが拠点駅AのプラットホームPa1における復旧後の最初の運行列車である先発列車Taの発着列車情報H1を指定する、又は発着列車情報テーブルに、臨時列車T0の追加、又は運休列車T0’の削除を行った後に、復旧後の最初の運行列車である先発列車Taの発着列車情報H1を指定することにより、案内情報の表示を通常モードに復旧させ、拠点駅Aにおける案内情報の自動表示を再開するのと同時に、拠点駅案内装置2aは、通信ネットワークNを介して中間駅案内装置2cに中間駅用列車情報Fを送信する。
【0064】
この中間駅用列車情報Fは、拠点駅AのプラットホームPa1における復旧後の最初の先発列車Taから3番目の次々発列車Tcが、発着列車情報テーブル内の発着列車情報Hに基づいて拠点駅Aを順次に発車することを、中間駅C1~C3に伝える情報である。
【0065】
中間駅用列車情報Fの送信に際しては、通信ネットワークNが低速通信回線であることを考慮して、3列車分の列車Tの中間駅用列車情報Fを、図2に示す3行分の列車番号、列車種別、行先のデータとすることによって、送信データ量を低く抑えている。
【0066】
拠点駅AのプラットホームPa1において、復旧した際に送信される中間駅用列車情報Fは、発着列車情報テーブル内の連続する列車T1~T3の3列車に対応し、前述の通常復旧処理時に送信される中間駅用通常列車情報F1と、発着列車情報テーブル内の連続する列車T1、T2の間に、臨時列車T0を含む列車T1、T0、T2の3列車に対応し、前述の部分復旧処理時に送信される中間駅用臨時列車情報F2と、発着列車情報テーブル内の連続する列車T1~T4において列車T2又は列車T3が運休列車T0’となり、列車T1、T3、T4の3列車、又は列車T1、T2、T4の3列車になった場合に対応し、前述の部分復旧処理時に送信される中間駅用運休列車情報F3との3種類に分類される。
【0067】
図5図2に示す発着列車情報テーブルの一部分である中間駅用通常列車情報F1、図6は列車番号91を臨時列車T0とした中間駅用臨時列車情報F2、図7は列車番号55を運休列車T0’とした中間駅用運休列車情報F3を例示した中間駅用列車情報Fの説明図である。
【0068】
何れの中間駅用列車情報Fも拠点駅Aの発着列車情報テーブルの発着列車情報Hの一部分である列車番号、列車種別、行先のデータから成る部分発着列車情報H0から構成されている。この部分発着列車情報H0には、少なくとも列車番号が含まれており、列車種別、行先等は発着列車情報テーブルの発着列車情報Hから適宜に選択して追加することができる。
【0069】
中間駅案内装置2cは拠点駅案内装置2aから送信された中間駅用列車情報Fに基づいて、拠点駅Aから中間駅C1~C3に向う列車Tの上り方向の運行ダイヤの乱れが解消され、拠点駅案内装置2aが緊急モードから通常モードに復旧されたことを認識する。そして、中間駅案内装置2cは、中間駅C1~C3の上り方向である1番線の案内情報板3c11~3c31の案内情報の表示を、緊急モードから通常モードに復旧させる処理に取り掛かる。なお、中間駅用列車情報Fは拠点駅案内装置2aから常に送信するようにしてもよく、この場合には拠点駅案内装置2aが送信する中間駅用列車情報Fに、通常モード移行を通知する緊急情報を含ませておき、中間駅案内装置2cはこの緊急情報に基づいて、通常モードに復旧させる処理に取り掛かってもよい。
【0070】
図8は拠点駅Aの拠点駅案内装置2a及び案内情報板3a1が通常モードに復旧後に、中間駅案内装置2cによって列車Tの進行方向にある隣接駅である中間駅C1の1番線の案内情報板3c11を復旧させる処理のフローチャート図である。
【0071】
上述の通りに、拠点駅Aの拠点駅案内装置2aから緊急モード移行の緊急情報を受信すると、中間駅案内装置2cは緊急モード制御を開始し、ステップST11では拠点駅Aからみて列車Tの進行方向である上り方向の中間駅C1~C3の案内情報板3c11~3c31に対して、自動的に「調整中」の文字を表示させる。
【0072】
次のステップST12では、中間駅案内装置2cが拠点駅案内装置2aから中間駅用列車情報Fを受信したか否かの確認を行う。なお、受信する中間駅用列車情報Fは、前述の中間駅用通常列車情報F1、中間駅用臨時列車情報F2、中間駅用運休列車情報F3の何れかである。
【0073】
ステップST12において、中間駅案内装置2cが中間駅用列車情報Fを受信した場合にはステップST13に進み、中間駅用列車情報Fを受信していない場合にはステップST11に戻って、中間駅用列車情報Fを受信するまでループ処理が繰り返される。このループ処理が継続する限り、つまり運行ダイヤの乱れが解消され、拠点駅Aにおいて緊急モードが解除されない限り、案内情報板3c11~3c31には「調整中」の文字が継続して表示される。
【0074】
ステップST12において、中間駅用列車情報Fを受信するとステップST13に進み、中間駅案内装置2cに記憶されている発着列車情報テーブル内の発着列車情報H’に、中間駅用列車情報Fに含まれる3列車分の部分発着列車情報H0の列車番号、列車種別、行先と、並び順が完全に一致する3列車分の発着列車情報H’が存在するか否かを判定する。
【0075】
中間駅用列車情報Fに対して並び順が一致する発着列車情報H’が、中間駅案内装置2cに記憶されている中間駅C1の発着列車情報テーブル内に存在する場合には、中間駅用列車情報Fは中間駅用通常列車情報F1であると判断してステップST14に移行し、並び順が一致する発着列車情報H’が発着列車情報テーブル内に存在しない場合にはステップST15に移行する。
【0076】
ステップST15において、中間駅案内装置2cに記憶されている発着列車情報テーブル内の発着列車情報H’と比較すると、中間駅用列車情報Fの3列車分の部分発着列車情報H0に発着列車情報の欠落している列車がある場合には、この欠落している列車を運休列車T0’とみなし、中間駅用列車情報Fは中間駅用運休列車情報F3であると判断してステップST14に移行し、中間駅用列車情報Fが中間駅用運休列車情報F3でない場合にはステップST17に移行する。なお、発着列車情報の欠落している列車が1つである場合、つまり運休列車T0’が1つである場合について説明したが、運休列車T0’が連続して複数個である場合についても、同様の処理を行うことができる。
【0077】
ステップST14において、先ず中間駅案内装置2cは、中間駅C1の発着列車情報テーブル内から、中間駅用列車情報Fの3列車の部分発着列車情報H0に対応する発着列車情報H’を抽出する。そして、抽出した発着列車情報H’よりも以前の発着列車情報H’は、既に中間駅C1を発車済とみなして、中間駅C1の案内情報テーブルに対して発車情報を発車済として処理する。
【0078】
続いて、中間駅用列車情報Fにおける最初の部分発着列車情報H01に対応する先発列車Taが、中間駅C1の1番線のプラットホームPc11に到着したか否かの判定を行う。
【0079】
通常モードに復旧した当初では、拠点駅Aと中間駅C1の間の運行路線R上に遅延する列車T等が運行している可能性があるので、復旧後に中間駅C1に最初に到着する列車Tが、通常モードに復旧後の最初の列車となる中間駅用列車情報Fの部分発着列車情報H01に対応する先発列車Taではない可能性がある。
【0080】
そこで、軌道回路情報等によって先発列車Taが拠点駅Aから発車したことを認識した後に、先発列車Taの走行位置を追跡し、中間駅C1の1番線のプラットホームPc11に先発列車Taが到着したか否かを判定することで、発着列車情報H1’の発車予定時刻前に、プラットホームPc11に到着した列車Tを、前述の遅延した列車Tとみなすか否かを判断可能である。つまり、中間駅C1の発着列車情報H1’の発車予定時刻の前後に、中間駅C1の1番線のプラットホームPc11に到着した列車Tを、先発列車Taとみなすか否かを判定可能である。
【0081】
ステップST14において、中間駅C1のプラットホームPc11に発着列車情報H1’に対応する先発列車Taが到着した場合には、ステップST16に移行する。
【0082】
ステップST16において、中間駅案内装置2cは受信した中間駅用列車情報Fが例えば図5に示す中間駅用通常列車情報F1の場合には、プラットホームPc11の軌道回路情報等に基づいて、先発列車Taが中間駅C1を発車したと判断した後に、列車番号55である発着列車情報H2’の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を先発列車情報として、列車番号57である発着列車情報H3’の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を次発列車情報として、案内情報板3c11の通常モードによる表示を再開する。つまり、未表示又は「調整中」の案内情報板3c11の表示に対して、案内情報の表示が開始されることなる。
【0083】
中間駅案内装置2cが受信した中間駅用列車情報Fが、例えば図7に示す中間駅用運休列車情報F3の場合には、列車番号57である発着列車情報H2’の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を先発列車情報として、列車番号59である発着列車情報H3’の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を次発列車情報として、案内情報板3c11の通常モードによる表示を再開する。
【0084】
図9はステップST16の表示処理を示した説明図であり、中間駅案内装置2cが中間駅用通常列車情報F1を受信後に、先発列車Taが中間駅C1のプラットホームPc11を発車した直後の上り方面の案内情報板3c11を示している。
【0085】
案内情報板3c11は、2番目の次発列車Tbである列車番号55の発着列車情報H2’を先発列車情報とする表示から通常モードに復旧する。これ以後については、中間駅案内装置2cは案内情報テーブルに従って、自動的に案内情報板3c11に対して、案内情報の表示制御を行う。なお、中間駅案内装置2cが中間駅用運休列車情報F3を受信した際も、同様な案内情報の表示制御を行う。
【0086】
図10は先発列車Taが中間駅C2のプラットホームPc21を発車した直後の上り方面の案内情報板3c21の説明図であり、前述の復旧処理を中間駅C2のプラットホームPc21の案内情報板3c21に対しても同様に行う。
【0087】
中間駅案内装置2cは現在時刻、プラットホームPc21の列車検出情報及び発車予定時刻に基づいて、先発列車Taが中間駅C2を発車したと判断した後に、プラットホームPc21の発着列車情報H2”の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を先発列車情報として、発着列車情報H3”の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を次発列車情報として、案内情報板3c21の通常モードによる表示を再開する。
【0088】
また、図8に示すステップST17において、中間駅用列車情報Fの3列車分の部分発着列車情報H0に、中間駅案内装置2cに記憶されている発着列車情報テーブルに存在しない臨時列車T0が含まれている場合には、中間駅用列車情報Fは中間駅用臨時列車情報F2であるとして、ステップST20に移行する。中間駅用列車情報Fに臨時列車T0が含まれていない場合には、中間駅用列車情報Fの3列車分の部分発着列車情報H0はエラー情報であるとして、ステップST11に戻る処理を行う。
【0089】
図11は、中間駅案内装置2cが中間駅用臨時列車情報F2を受信した際に、中間駅C1の1番線の案内情報板3c11を復旧させる処理のフローチャート図であり、図8に示すステップST20が図11に示すステップST20に続いている。ステップST20において、臨時列車T0を含む案内情報板3c11の表示処理を開始する。
【0090】
ステップST21では、ステップST14と同様に、中間駅用臨時列車情報F2における最初の発着列車情報H1に対応する先発列車Taが、中間駅C1の1番線のプラットホームPc11に到着したか否かの判定を行う。中間駅C1のプラットホームPc11に発着列車情報H1’に対応する先発列車Taが到着した場合には、ステップST22に移行する。
【0091】
ステップST22において、中間駅案内装置2cは受信した中間駅用列車情報Fが例えば図6に示す中間駅用臨時列車情報F2の場合には、プラットホームPc11の軌道回路情報等に基づいて、先発列車Taが中間駅C1を発車したと判断した後に、部分発着列車情報H02から臨時列車T0である列車番号91の発着臨時列車情報である列車種別、行先のデータを取得する。
【0092】
そして、取得した臨時列車T0の列車種別、行先から成る案内情報を先発列車情報として、発着列車情報H2’の列車種別、行先、発車予定時刻から成る案内情報を次発列車情報として、案内情報板3c11の通常モードによる表示を再開する。なお、先発列車情報の臨時列車T0の発車予定時刻の欄は、「臨時」と表示してもよいし、未表示としてもよい。
【0093】
図12は先発列車Taが拠点駅AのプラットホームPa1を発車した直後の案内情報板3a1の説明図である。図13はステップST22の表示処理を示した説明図であり、中間駅案内装置2cが中間駅用臨時列車情報F2を受信し、先発列車Taが中間駅C1のプラットホームPc11を発車した直後の上り方面の案内情報板3c11を示している。
【0094】
案内情報板3c11は、復旧後の2番目の次発列車Tbであり臨時列車T0である列車番号91の列車種別、行先を先発列車情報とする表示から通常モードに復旧する。これ以後については、中間駅案内装置2cは案内情報テーブルに従って、自動的に案内情報板3c11に対して、案内情報の表示制御を行う。
【0095】
また、先発列車Taが中間駅C2のプラットホームPc21を発車した直後の上り方面の案内情報板3c21の表示処理についても同様に行う。
【0096】
中間駅案内装置2cで受信する中間駅用列車情報Fのうち、中間駅用通常列車情報F1の受信は、運行路線Rの上りの発着列車情報テーブルの順序に基づく運行に復旧し、緊急モードから通常モードに完全に復旧したことを意味する。しかし、中間駅用臨時列車情報F2又は中間駅用運休列車情報F3の受信は、臨時列車T0又は運休列車T0’により、前後に発車する列車Tの発車予定時刻が調整されることがある。
【0097】
従って、中間駅案内装置2cが中間駅用通常列車情報F1以外である中間駅用臨時列車情報F2及び中間駅用運休列車情報F3を受信して通常モードに復旧させる場合には、中間駅C1のプラットホームPc11に先発列車Taが到着した後の案内情報板3c11の先発列車情報、次発列車情報の表示に対して、全ての発車予定時刻を未表示とするようにしてもよい。そして、その後に続けて中間駅案内装置2cが受信する中間駅用通常列車情報F1から、発車予定時刻を表示する処理を行うことにしてもよい。なお、この表示処理は、後述する実施例2の中間駅案内装置2cに適用することもできる。
【0098】
先発列車Taが進行方向である上り方向の中間駅C1~C3に順次に通過するに従って、図8及び図11に示したフローチャートによる復旧処理を各中間駅Cで順次に行うことで、案内情報板3c11~3c31の案内情報表示は通常モードに順次復旧してゆく。そして、上り方向の最終駅である行先の拠点駅Bにおいても、図8及び図11に示したフローチャートによる復旧処理を行うことで、拠点駅BのプラットホームPb1の案内情報板3b1も通常モードに復旧する。
【0099】
なお、列車Tの進行方向が下り方向の場合における中間駅C1~C3の案内情報板3c12~3c32の案内情報表示に関しても、中間駅案内装置2cが拠点駅Bからの中間駅用列車情報Fを受信して、順次に中間駅C3、C2、C1に対して図8及び図11に示したフローチャートによる復旧処理を行うことで、案内情報表示を通常モードに復旧させることができるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例0100】
実施例1では、拠点駅A、Bが緊急モードから通常モードに復旧した際に、拠点駅案内装置2a、2bから送信される中間駅用列車情報Fに基づいて、中間駅Cの案内情報板3c11は通常時の運行ダイヤの案内情報の表示を再開して、通常モードに復旧させる処理について説明したが、以下の実施例2の中間駅案内装置2cは、中間駅用列車情報Fの送信を行わない緊急モード以外では、拠点駅案内装置2a、2bから中間駅用列車情報Fを受信し、中間駅用列車情報Fの受信に基づいて、中間駅Cの案内情報板3c11の表示制御を行う。
【0101】
拠点駅案内装置2a、2bは、通常モードである通常時の運行ダイヤの発着列車情報テーブルの発着列車情報に従って、案内情報板3a、3bの案内情報を更新する度に、つまりプラットホームPa、Pbから列車Tが発車する毎に、中間駅用列車情報Fを送信する。
【0102】
また、通常運用時である通常モードであっても、拠点駅案内装置2a、2bにおいて、一時的に臨時列車T0、運休列車T0’を含む臨時ダイヤを採用することがあり、このような場合は、操作卓4aを介してオペレータが拠点駅Aの発着列車情報テーブルに、臨時列車T0の発着列車情報Hの追加、又は運休列車T0’の発着列車情報Hの削除を一時的に行う。
【0103】
このように、緊急モード以外の通常運用時において、常時、中間駅用列車情報Fを受信する実施例2の中間駅案内装置2cの案内情報板3c11の表示制御フローは、図8に示すフロー図のステップST12の中間駅用列車情報Fの受信から開始される。
【0104】
中間駅用列車情報Fを受信しない場合は、ステップST12を繰り返し処理を行い、中間駅用列車情報Fの受信後は、図8図11のフローに従って処理される。そして、ステップST16、ステップST20、ステップST22の案内情報板3c11の表示処理後は、ステップST12に戻る処理を繰り返す。
【0105】
また、ステップST14、ステップST21の列車Taが到着する前に、現在時刻と、この列車Taに対応する中間駅C1の発着列車情報H1’の発車予定時刻又は到着予定時刻とを比較し、現在時刻が発車予定時刻又は到着予定時刻に対して所定時間以上、例えば5分間以上経過した場合には、表示している案内情報板3c11の先発列車情報の発車予定時刻のみを未表示に変更することもできる。
【0106】
これは、拠点駅Aと中間駅C1の間を諸事情により先発列車Taが低速度で走行することがあり、拠点駅Aでは定刻通りに発車したとしても、中間駅C1の到着時刻が大幅に遅れることがあるためである。このような表示処理は、実施例1における中間駅案内装置2cにも適用することができる。
【0107】
このように、実施例1、2の発明に係る中間駅案内装置2cによれば、運行管理装置1a、1bに直接接続されていない中間駅Cにおいて、拠点駅A、Bが緊急モードから通常モードに復旧した際、又は通常時の運行ダイヤに一時的な変則的ダイヤを割り込ませた際に追随して、拠点駅案内装置2a、2bから送信される中間駅用列車情報Fに基づいて、中間駅Cの案内情報板3cに表示させる案内情報に変更し、運行路線Rの利用者に対して正確な案内情報を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1a、1b 運行管理装置
2a、2b 拠点駅案内装置
2c 中間駅案内装置
3a1、3a2、3b1、3b2、3c11、3c12、3c21、3c22、3c31、3c32 案内情報板
4a、4b、4c 操作卓
A、B 拠点駅
C1、C2、C3 中間駅
Pa1、Pa2、Pb1、Pb2、Pc11、Pc12、Pc21、Pc22、Pc31、Pc32 プラットホーム
R 運行路線
T 列車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13