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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152596
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】建設機械のキャブ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20221004BHJP
   B60H 3/06 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
E02F9/16 C
B60H3/06 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055424
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 薫
(72)【発明者】
【氏名】宮地 功
(72)【発明者】
【氏名】藤川 幸治
【テーマコード(参考)】
2D015
3L211
【Fターム(参考)】
2D015EC01
3L211AA09
3L211BA54
3L211BA57
3L211DA75
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】室内側において、利便性が高く、かつ、見栄えが良い建設機械のキャブを提供する。
【解決手段】建設機械1のキャブであって、キャブ5内に配置される運転席20と、運転席20を覆う壁面11と、壁面11内に設けられ、吸入外気用の外気フィルタ41を有する空調ユニット40と、を備え、外気フィルタ41は、壁面11に設けられた開口部32を介して室内側から取り外し可能に構成され、開口部32は、着脱可能なカップホルダ50によって覆われている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のキャブであって、
前記キャブ内に配置される運転席と、
前記運転席を覆う壁面と、
前記壁面内に設けられ、吸入外気用の外気フィルタを有する空調ユニットと、を備え、
前記外気フィルタは、前記壁面に設けられた開口部を介して室内側から取り外し可能に構成され、該開口部は、着脱可能な物品ホルダによって覆われていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項2】
前記外気フィルタを前記壁面内で保持するダクトと、
前記物品ホルダが着脱される支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記開口部を覆うとともに前記ダクトと当接可能な被覆部および該被覆部に設けられ前記外気フィルタを挿通可能な挿通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の建設機械のキャブ。
【請求項3】
前記被覆部の下部には該物品ホルダの底部を支持する底板部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の建設機械のキャブ。
【請求項4】
前記開口部は、前記運転席の側方または前方に設けられ、前記外気フィルタは左右方向に引き出して取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の建設機械のキャブ。
【請求項5】
前記物品ホルダは、前側端部に前記開口部へ着脱可能な着脱操作部を有し、該着脱操作部において該開口部に係合されることを特徴とする請求項4に記載の建設機械のキャブ。
【請求項6】
前記物品ホルダは、壁面側から室内側へ向かって延出する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、壁面側端部が前記外気フィルタの端部を壁面側へ押圧し、前記物品ホルダ内に物品が入った状態において、室内側端部が該物品を室内側へ押圧することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のキャブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体および上部旋回体から構成され、上部旋回体は、アームを有するアタッチメントと、運転操作を行う作業者が乗り込む運転室としてのキャブを備える。
【0003】
近年では、作業者が快適に運転作業できるよう、キャブに空調ユニットが備えられた建設機械も増えてきている。空調ユニットは、室外の塵埃等が外気とともにキャブ内へ導入されることを防ぐため、外気フィルタを有する。
【0004】
例えば、特許文献1には、空調ユニットを車両搭載後のメンテナンス等の時にキャブの内側および外側から取り出し可能にキャブの右側壁面に取り付けた油圧ショベルの空調装置が開示されている。特許文献2には、キャブボックスの側面と運転席の側部との間を通る外気ダクトの中間部位に、キャブボックス内に開口してフィルタ収容部を設けた建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4261962号公報
【特許文献2】特許第5612134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような空調ユニットを備える建設機械において、キャブ内を、利便性が良く、かつ、見栄えの良い、より快適な作業空間とすることが求められている。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、外気用フィルタはキャブ室外に開口した外気導入口から着脱可能な構成としてあるため、室内側から着脱することができない。特許文献2では、外気フィルタのフィルタ挿着口がキャブボックス内で上向きに開口したフィルタ収容部を備える構成としてあり、外気フィルタをキャブ室内側から着脱できるが、フィルタ挿着口は、運転席の側方に位置して上向きに開口するように配置されているので、外気フィルタおよびフィルタ挿着口が運転席から目に付きやすい。
【0008】
外気フィルタを室内側から着脱可能な構成とすればメンテナンスが容易となるが、キャブ内は狭く限られた空間であることから、外気フィルタを着脱容易な場所に設けると、キャブ内の見栄えを損なうため、利便性と見栄えが両立できないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室内側において利便性が高く、かつ、見栄えが良い建設機械のキャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械のキャブであって、前記キャブ内に配置される運転席と、前記運転席を覆う壁面と、前記壁面内に設けられ、吸入外気用の外気フィルタを有する空調ユニットと、を備え、前記外気フィルタは、前記壁面に設けられた開口部を介して室内側から取り外し可能に構成され、該開口部は、着脱可能な物品ホルダによって覆われていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成によると、外気フィルタをキャブの室内側から着脱できるため、メンテナンスが容易である。また、外気フィルタを取り外すための開口部は、運転操作を行う作業者が小物入れやカップホルダとして使用可能な物品ホルダによって覆われる。開口部の蓋の役割を物品ホルダが担うことで、外気フィルタが作業者の目に付かず、キャブ内の見栄えと利便性を両立することができる。物品ホルダは着脱式であるため、物品ホルダ内の清掃が容易である。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記外気フィルタを前記壁面内で保持するダクトと、前記物品ホルダが着脱される支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記開口部を覆うとともに前記ダクトと当接可能な被覆部および該被覆部に設けられ前記外気フィルタを挿通可能な挿通孔を有することを特徴とする。
【0013】
上記の構成によると、開口部を覆う被覆部がダクトと当接することで、外気フィルタを取り外す際、外気フィルタを保持するダクトも一緒に引き出されることがなく、外気フィルタを容易に取り外すことができる。
【0014】
第3の発明では、第1または第2の発明において、前記被覆部の下部には該物品ホルダの底部を支持する底板部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると、底板部が物品ホルダの底部を支持することで、建設機械の走行中や作業中に発生する振動により物品ホルダが脱落するのを防ぐことができる。
【0016】
第4の発明では、第1から第3のいずれかの発明において、前記開口部は、前記運転席の側方または前方に設けられ、前記外気フィルタは左右方向に引き出して取り外し可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によると、運転席から取り扱い易い位置に開口部が設けられているため、外気フィルタの取り外しがより容易となるとともに、開口部を覆う物品ホルダの利便性がより高まる。開口部が運転席から目に付きやすい位置であるにも関わらず、見栄えを損なわないことから、本発明の構成とする意義が大きい。
【0018】
第5の発明では、第4の発明において、前記物品ホルダは、前側端部に前記開口部へ着脱可能な着脱操作部を有し、該着脱操作部において該開口部に係合されることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によると、運転席から遠い物品ホルダの前側端部に着脱操作部を設けたことで、運転席の作業者が誤って着脱操作部に接触し、物品ホルダが脱落するのを防止することができる。
【0020】
第6の発明では、第1から第5のいずれかの発明において、前記物品ホルダは、壁面側から室内側へ向かって延出する弾性部材を備え、前記弾性部材は、壁面側端部が前記外気フィルタの端部を壁面側へ押圧し、前記物品ホルダ内に物品が入った状態において、室内側端部が該物品を室内側へ押圧することを特徴とする。
【0021】
上記の構成によると、弾性部材の壁面側端部が外気フィルタの端部を壁面側へ押圧することで、物品ホルダの固定やがたつきの防止ができる。また、室内側端部が物品を室内側へ押圧することにより、物品ホルダ内の物品を固定できる。
【発明の効果】
【0022】
室内側において、利便性が高く、かつ、見栄えが良い建設機械のキャブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例である油圧ショベルの概略側面図である。
図2】本実施形態に係るキャブ内を示す上部旋回体の断面図である。
図3】キャブ内の右側前方を示す斜視図である。
図4】キャブ内の右側前方を示す側面図である。
図5】支持部材を取り付けた状態を示す空調カバーの室内側側面図である。
図6】本実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図7】カップホルダを取り外した状態のキャブ内の右側前方を示す側面図である。
図8図4のVIII-VIII線端面図である。
図9】本実施形態に係るカップホルダを室内側から見た斜視図である。
図10】本実施形態に係るカップホルダを壁面側から見た斜視図である。
図11】カップホルダと外気フィルタの位置を説明するための斜視図である。
図12】カップホルダのガイド部を説明するための底面図である。
図13】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
図14】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
図15】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
図16】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
図17】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
図18】カップホルダと外気フィルタの着脱手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
いくつかの図面には矢印で方向を示し、下部走行体の進行方向を前後方向、運転席から見た左右方向を左右方向、下部走行体の上下方向を上下方向としている。また、キャブの壁面の構成を説明する際には便宜上、左右方向は、キャブ内から見て室内方向および壁面方向と記載する。特に言及しない限り、これら矢印で示す方向に従って説明し、旋回する上部旋回体の方向は、図1に示す状態を基準とする。
【0026】
建設機械1は、例えば油圧ショベルであり、図1に示すように、クローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に搭載された上部旋回体3を備える。上部旋回体3には、アタッチメント4、キャブ5、カウンタウエイト8などが配置されている。
【0027】
図2に示すように、上部旋回体3は、前側端部の略中央にブラケット7を備える。図2では省略したが、アタッチメント4はブラケット7によって左右に揺動可能に支持されている。上部旋回体3の略中央部から右側には機械室6が設けられ、内部に図示しないエンジンや油圧ポンプなどが収容されている。上部旋回体の略中央部から左側には、作業者が乗り込む箱型の運転室であるキャブ5が設けられている。また、キャブ5および機械室6の後方には、カウンタウエイト8が設けられている。
【0028】
キャブ5内には、床面10に運転席20が設置され、運転席20は、周囲を壁面11およびガラス面12によって覆われて外部から区画されている。
【0029】
運転席20の前方には、走行レバー21および走行ペダル22が設置されている。左右一対の走行レバー21,21は、クローラの走行方向を操作するレバーであり、床面10から運転席20に向かって上方に延びている。また、左右一対の走行ペダル22,22は、クローラの走行速度を操作するペダルであり、作業者が踏み込み操作可能に床面10に設置されている。
【0030】
運転席20の左右両側には、コントロールボックス23a,23bが設置されている。コントロールボックス23a,23bは前側上部にそれぞれ操作レバー24a,24bを有する。操作レバー24a,24bはアタッチメント4を操作するレバーである。
【0031】
図3に示すように、キャブ5は、運転席20の前側に前側ガラス面12a、右側に右側ガラス面12b、左側にガラス面を備える扉部(不図示)を備え、これらのガラス面12a,12bによって作業者の視界が確保されている。また、右側ガラス面12bの下方には、コンソール(不図示)や後述の空調ユニットを覆う壁面11が設けられている。なお、本実施形態において、右側のコントロールボックス23aは壁面11の一部を構成している。
【0032】
壁面11の上部には、空調ユニットの吹き出し部25が複数設けられ、操作レバー24aの前方にディスプレイ26が設置されている。そして、図4にも示すように、ディスプレイ26の下方には、室内側に面する空調カバー30が設けられ、空調カバー30は、右側のコントロールボックス23aの前側に連接し、コントロールボックス23aとともに壁面11を構成する。空調カバー30には、上下2箇所に吹き出し部25が設けられ、その吹き出し部25,25の間に物品ホルダ50が着脱可能に取り付けられている。物品ホルダ50は、様々な物品を保持することのできるホルダや小物入れであり、その種類は特に限定されないが、例えば本実施形態では、飲料カップやボトルを保持可能なカップホルダ50である。
【0033】
図5は、空調カバー30をキャブ5の室内側から見た側面図である。空調カバー30の前方上部および下部には、空調ユニットによって調節されたエアがキャブ5内へ吹き出される吹き出し孔31,31が設けられている。吹き出し孔31には吹き出し部25が嵌め込まれる。吹き出し孔31,31の間には、開口部32が設けられている。メンテナンス時、外気フィルタ41は、開口部32を介して室内側から取り外し可能である。開口部32には、カップホルダ50が着脱される支持部材60が、室外側から取り付けられている。開口部32の前側端部は、略中央部分が前側に切り欠かれるとともに縁部が室内側に突出した係合部32aが形成されている。また、開口部32の後側端部は、略中央部分が後側に切り欠かれた切り欠き部32bが形成されている。また、空調カバー30の下部には、内気を導入するための内気導入孔33がスリット状に設けられている。
【0034】
支持部材60は、板状の部材であり、図6に示すように、開口部32を覆う被覆部61と、被覆部61の下部から室内側に屈折して形成された底板部62を有する。被覆部61には、外気フィルタ41を挿通可能な挿通孔61aが設けられている。底板部62は、カップホルダ50の底部を支持する。底板部62がカップホルダ50の底部を支持することで、建設機械1の走行中や作業中に発生する振動によりカップホルダ50が脱落するのを防ぐことができる。
【0035】
また、支持部材60の後側端部は、略中央部に切り欠き部61bが形成されている。この切り欠き部61bは開口部32に設けられた切り欠き部32bとともに、後述するカップホルダ50の差込片57が差し込まれる差込孔を形成する。
【0036】
開口部32は、外気フィルタ41のメンテナンス時を除いて、カップホルダ50によって覆われている。カップホルダ50を取り外すと、図7に示すように、開口部32および挿通孔61aを介して外気フィルタ41の端部が視認可能となる。
【0037】
図8に示すように、壁面11内に、空調ユニット40が設けられており、壁面11の一部である空調カバー30は空調ユニット40をキャブ5の室内側から覆う。
【0038】
空調ユニット40は、吸入外気用の外気フィルタ41を有する。空調ユニットは、内気導入孔33内に設置された内気フィルタ43を介して内気を導入し、外気フィルタ41を介して外気を導入する。導入された内気および外気は、熱交換器(不図示)によって温度調節され、壁面11の上部や側部に複数設けられた吹き出し部25から室内側へ送風される。
【0039】
外気フィルタ41は、左右方向に延びる板状のフィルタ部材であり、ダクト42によって外周を覆われ、壁面11内に保持されている。外気フィルタ41は、室内側端部に、壁面11内から室内側に突出する取っ手部41aを備える。メンテナンス時には作業者が取っ手部41aを掴んで左右方向にスライドさせることにより、外気フィルタ41の取り外しおよび取り付けを行うことができる。
【0040】
外気フィルタ41は、空調カバー30に設けられた開口部32および支持部材60に設けられた挿通孔61aを介して室内側から取り外し可能である。開口部32は、外気フィルタ41を保持するダクト42の室内側端部より大きく形成されているが、挿通孔61aは、外気フィルタ41より大きく、かつ、ダクト42の室内側端部より小さい。図8に示すように、被覆部61の室外側面がダクト42の室内側端部に当接可能であるため、支持部材60はダクト42のストッパーの役割を担う。なお、ダクト42を安定して固定するために、被覆部61の室外側面とダクト42の室内側端部は面接触することが好ましい。このような構成により、外気フィルタ41を室内側に引き出してもダクト42が一緒に引き出されることがなく、メンテナンスが容易である。
【0041】
次に、カップホルダ50について詳細に説明する。カップホルダ50は、図9および図10に示すように、底部51を有する略筒状のホルダであり、上部から飲料カップ等を挿入して保持するものである。カップ収容部52を平面視すると、室内側に突出する室内側側壁部52aが略弧状に形成され、壁面側側壁部52bが壁面11に沿って略直線状に形成された略半円弧状である。室内側側壁部52aは、室内側端部に上方に開口する切り欠き部53を有するので、切り欠き部53にマグカップ等の取っ手を挿入することができる。
【0042】
壁面側側壁部52bは、前後方向に間隔をあけて2箇所に壁面へ向かって延びる支持片54,54を有する。支持片54,54は、図8に示すように、壁面11に取り付けた際に被覆部61に当接してカップホルダ50の安定性を高めることができる。支持片54,54には、互いに対向する面に、壁面側端部から室内側へ向かってスリット54aが形成されている。また、壁面側側壁部52bは、壁面側から室内側へ向かって延出する弾性部材70を備える。
【0043】
弾性部材70は、例えば板ゴムで形成されており、壁面側端部70aが前後方向に延び、壁面側端部70aのほぼ中央部から室内側へ向かって延びる平面視略T字形状である。弾性部材70は、支持片54のスリット54aに前後両端部をガイドされ、壁面側側壁部52bの略中央部に設けられた挿通孔に挿通されて壁面側から室内側に延出する。壁面側端部70aは、外気フィルタ41の取っ手部41aの室内側端部よりもやや壁面側まで伸びていることから、取っ手部41aを壁面側へ押圧してカップホルダ50を固定し、がたつきを防止することができる。また、カップホルダ50内にカップ等が入った状態において、弾性部材70の室内側端部は該カップ等を室内側へ押圧し、カップ等を固定することができる。
【0044】
また、カップホルダ50は、室内側側壁部52aの壁面側端部、底部51の壁面側端部および壁面側側壁部52bの上端部が、壁面側側壁部52bより壁面側に延出し、枠状の延出部55を形成している。図11に示すように、この延出部55によって形成されるスペースに、壁面11から室内側に突出する外気フィルタ41の室内側端部が収納される。
【0045】
延出部55の前側端部には、着脱操作部56が形成されている。着脱操作部56は、延出部55から壁面側へ延び、室内側へ折り返して形成された弾性変形可能な係止爪である。着脱操作部56は、前側に向かって突出する凸条56aを備え、凸条56aは開口部32の壁面側に係止されて脱落を防止する。着脱操作部56は、折り返し部の内側に補強のため複数のリブ56bを備える。また、着脱操作部56の端部は前側に延出して、操作ツマミ56cが形成されている。
【0046】
延出部55の後側端部には、差込片57が形成されている。差込片57は、延出部55から壁面側へ延び壁面側端部が後側に向かって屈折している。差込片57が、支持部材60に設けられた切り欠き部61bと開口部32に設けられた切り欠き部32bによって形成される差込孔に差し込まれ、着脱操作部56が開口部32の係合部32aへ係合操作されることにより、カップホルダ50を開口部32へ取り付けることができる。運転席20から遠いカップホルダ50の前側端部に、開口部32へ係合される着脱操作部56を設けると、運転席20の作業者が誤って着脱操作部56に接触し、カップホルダ50が脱落することを防ぐことができる。
【0047】
カップホルダ50の底部には、図12に示すように、支持部材60の底板部62をガイドするガイド部51aが設けられている。ガイド部51aは、壁面側が開口するコ字形状のリブであり、前側部分は壁面側から室内側へ向かって後方に傾斜している。カップホルダ50の取り付け時、後側の差込片57を開口部32に差し込んだ後、前側の着脱操作部56を係合部32aへ係合させる際、底板部62がガイド部51aにガイドされるため、取付けが容易である。
【0048】
次に、外気フィルタ41をメンテナンスする際のカップホルダ50の取り外しおよび取り付けの操作手順について、図13から図18に沿って説明する。
【0049】
図13に示すように、メンテナンス時以外は、開口部32にはカップホルダ50が取り付けられており、開口部32内の外気フィルタ41は室内側から視認できない。メンテナンス時にカップホルダ50を取り外す際は、まず、前方の操作ツマミ56cを後方に押圧して着脱操作部56を弾性変形させ、図14に示すように、係合部32aとの係合を解除する。次に、後方の差込片57を、支持部材60および開口部32に設けられた切り欠き部61b,32bによって形成される差込孔から抜くと、カップホルダ50を取り外すことができる。
【0050】
カップホルダ50を取り外すと、図15に示すように、開口部32および挿通孔61aから外気フィルタ41を視認することができる。外気フィルタ41の取っ手部41aを掴み、図16に示すように、室内側へ引き出して取り外す。
【0051】
外気フィルタ41の交換または清掃の終了後、再び外気フィルタ41を空調カバー30内へ戻す際には、図17に示すように、支持部材60の挿通孔61aを狙って外気フィルタ41を差し込む。
【0052】
次に、カップホルダ50の差込片57を、支持部材60および開口部32に設けられた切り欠き部61b,32bによって形成される差込孔へ差し込んだ後、図18に示すように、着脱操作部56を係合部32aに押し込んで係合させると、開口部32はカップホルダ50に覆われ、外気フィルタ41が視認されない見栄えの良い状態となる。
【0053】
以上のように構成した本実施形態の建設機械において、外気フィルタ41をキャブ5の室内側から着脱できるため、メンテナンスが容易である。また、外気フィルタ41を取り外すための開口部32は、カップホルダ50によって覆われる。開口部32の蓋の役割をカップホルダ50が担うことで、外気フィルタ41が作業者の目に付かず、キャブ5内の見栄えと利便性を両立することができる。また、カップホルダ50は着脱式であるため、清掃が容易である。
【0054】
また、本実施形態において、開口部32は運転席20前方に設けられているが、運転席20から取り扱い易い位置であれば良く、運転席20の側方に設けられていてもよい。運転席20の前方や側方は目に付きやすい位置だが、開口部32はカップホルダ50に覆われているため、利便性と見栄えを両立できる。
【符号の説明】
【0055】
1 建設機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アタッチメント
5 キャブ
11 壁面
20 運転席
30 空調カバー
31 吹き出し孔
32 開口部
32a 係合部
32b 切り欠き部
40 空調ユニット
41 外気フィルタ
41a 取っ手部
42 ダクト
50 カップホルダ
54 支持片
56 着脱操作部
57 差込片
60 支持部材
61 被覆部
61a 挿通孔
61b 切り欠き部
62 底板部
70 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18