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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152611
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ワイヤレス報知システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20221004BHJP
   G08B 21/24 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055446
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】河田 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】盛岡 健一
(72)【発明者】
【氏名】住田 哲哉
【テーマコード(参考)】
5C086
5K038
【Fターム(参考)】
5C086BA03
5C086CA09
5C086CB26
5C086DA01
5C086EA13
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA01
5K038AA06
5K038DD24
5K038EE05
5K038GG04
(57)【要約】
【課題】周囲の音を集音するマイクを備え、所定の音が入力されたときに報知信号を無線送信する送信機と、報知信号を受信し、該報知信号に基づいて周囲に所定の報知をする受信機と、を備えたワイヤレス報知システムにおいて、予め所定の音を登録させる際に、不要な音が誤って登録されることを防ぎつつ、音の登録のタイミングを把握しながら操作できるようにする。
【解決手段】送信機2の登録スイッチ22の操作により音登録モードが起動した後、CPU25は所定の音登録保留時間の経過後にマイク27から入力した音の登録を開始する。また、受信機3に登録開始信号を無線送信しLED31などで通知する。これにより、音登録の作業者は、インターホンシステム4の呼出音を登録する際に、玄関子機41までの移動時間を確保できるとともに、音登録保留時間を把握することで音登録開始のタイミングを計ることができる。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の音を集音するマイクを備え、所定の音が入力されたときに報知信号を無線送信する送信機と、前記報知信号を受信し、該報知信号に基づいて周囲に所定の報知をする受信機と、を備えたワイヤレス報知システムであって、
前記送信機が、前記マイクから入力した音を登録する登録手段と、前記登録手段を操作する操作手段と、前記登録手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記操作手段が操作されてから所定の時間が経過した後に前記登録手段による登録を開始させることを特徴とするワイヤレス報知システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記登録手段による登録を開始させるとともに前記受信機に登録開始信号を送信し、
前記受信機が、前記登録開始信号に基づいて、前記登録手段による登録の開始を通知する受信機通知手段を含む請求項1に記載のワイヤレス報知システム。
【請求項3】
前記送信機が、前記登録手段による登録の開始を通知する送信機通知手段を含み、
前記制御手段は、前記登録手段による登録を開始させるとともに前記送信機通知手段を動作させる請求項1または2に記載のワイヤレス報知システム。
【請求項4】
前記送信機通知手段、及び/又は、前記受信機通知手段は、光により通知を行う請求項1~3のいずれか一項に記載のワイヤレス報知システム。
【請求項5】
前記受信機通知手段は、音により通知を行う請求項1~4のいずれか一項に記載のワイヤレス報知システム。
【請求項6】
複数の前記受信機を備えた請求項1~5のいずれか一項に記載のワイヤレス報知システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンの呼出音等といった特定の音が鳴ったことを検知し無線送信する送信機と、無線送信される信号を受けて音が鳴ったことを報知する受信機とから構成されるワイヤレス報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホンの報知音や電話の呼出音等といった機器の呼出音を離れた場所でも分かるように増設スピーカや増設チャイムをワイヤレスで設置し呼出を報知する装置が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1に示す増設スピーカ装置は、マイクが集音した音が予め登録されている音であるとCPUが判断したら、当該音に関連付けられている音或いはメッセージを記憶部から取り出して、スピーカから拡声報音させる。拡声対象の機器の発する音を情報として登録しそれを基に拡声報音するため、拡声対象機器の機種を限定することなく増設することができる。
【0004】
また、この増設スピーカ装置は第1増設スピーカと第2増設スピーカとから構成され、マイクが集音した音が予め登録されている音であるとCPUが判断したら、第1増設スピーカから第2増設スピーカに無線通信して報音情報を送信し、第2増設スピーカは受信した報音情報に基づいて拡声報音させる。この構成により第2増設スピーカは第1増設スピーカと離れた場所に設置する場合でも有線接続する必要がなく、携行できる増設スピーカとして構成することも可能であり、より利便性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-115615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このようなワイヤレス報知システムでは報知行為のトリガとなる所定の音を予め登録する必要があるが、インターホンシステムの居室親機の発する呼出音を登録する場合、ワイヤレス報知システムの音登録モードを起動し玄関子機で呼出操作をして居室親機の呼出音を鳴らす必要がある。音登録をする機器は音が発せられる居室親機の側に置かれる必要があるので、音登録の作業者が音登録モード開始の操作をしてから急ぎ玄関の外に出て玄関子機の呼出ボタンを押す場合、実際の呼出音が鳴る前までに生ずるノイズ音といった不要な音が登録音として機器に登録されてしまうおそれがある。また、音登録の操作をする人と玄関子機で呼出操作する人といった複数名で音の登録作業を進めることもできるが、音登録操作の開始タイミングを離れた屋外にいる玄関子機の呼出操作をする人に対して伝える必要がある。いずれの作業も極めて煩雑である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ワイヤレス報知システムに予め所定の音を登録させる際に、不要な音が誤って登録されることを防ぎつつ、音の登録のタイミングを把握しながら操作することができるワイヤレス報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、次のようなワイヤレス報知システムを提供する。
(1)周囲の音を集音するマイクを備え、所定の音が入力されたときに報知信号を無線送信する送信機と、報知信号を受信し、該報知信号に基づいて周囲に所定の報知をする受信機と、を備えたワイヤレス報知システムであって、送信機が、マイクから入力した音を登録する登録手段と、登録手段を操作する操作手段と、登録手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、操作手段が操作されてから所定の時間が経過した後に登録手段による登録を開始させることを特徴とするワイヤレス報知システム。
【0009】
(2)制御手段は、登録手段による登録を開始させるとともに受信機に登録開始信号を送信し、受信機が、登録開始信号に基づいて、登録手段による登録の開始を通知する受信機通知手段を含む(1)に記載のワイヤレス報知システム。
【0010】
(3)送信機が、登録手段による登録の開始を周囲の人物に通知する送信機通知手段を含み、制御手段は、登録手段による登録を開始させるとともに送信機通知手段を動作させる(1)又は(2)に記載のワイヤレス報知システム。
【0011】
(4)前記送信機通知手段、及び/又は、前記受信機通知手段は、光により通知を行う(1)~(3)のいずれか一つに記載のワイヤレス報知システム。
【0012】
(5)前記受信機通知手段は、音により通知を行う(1)~(4)のいずれか一つに記載のワイヤレス報知システム。
【0013】
(6)複数の受信機を備えた(1)~(5)のいずれか一つに記載のワイヤレス報知システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明のワイヤレス報知システムによれば、制御手段が、操作手段が操作されてから所定の時間が経過した後に登録手段による登録を開始させるので、所定の音を登録するタイミングを登録手段から離れた場所であっても把握することができ、意図しない音を登録するおそれをなくすとともに登録作業が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による一実施形態のワイヤレス報知システムの構成を示すシステム図である。
図2】ワイヤレス報知システムの構成を示すブロック図である。
図3】送信機に音を登録する作業を開始する状態を示す模式図である。
図4】本発明の送信機に音を登録する作業の流れを示す説明図である。
図5】受信機を使用して本発明の送信機に音を登録する作業の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面においては各システムの商用電源からの給電等を制御する電源部に関して図示を省略する。図1に示すように、本願のワイヤレス報知システム1は、インターホンの呼出音等といった特定の音が鳴ったことを検知し無線送信する送信機2と、無線送信される信号を受けて音が鳴ったことを報知する受信機3から構成されている。
【0017】
図2に示すように、送信機2は、通知や報知のための点灯をするLED21と、所定の音を予め登録する操作に使用する登録スイッチ22と、受信機3に信号を無線送信する無線インターフェース23と、登録された所定の音を記憶する記憶部24、送信機2の動作の制御を行うCPU25、送信機2周辺の音を入力するマイク27と、音による報知に使用するスピーカ28と、マイク27及びスピーカ28の入力音/出力音を制御する音響部26とから構成されている。
【0018】
一方、受信機3は、通知や報知のための点灯をするLED31と、送信機2から無線送信された信号を受信する無線インターフェース33と、受信機3の動作の制御を行うCPU35、音による通知や報知に使用するスピーカ38と、スピーカ38の出力音を制御する音響部36とから構成されている。
【0019】
図1に示すように、来訪者が屋外に設置されているインターホンシステム4の玄関子機41から呼出操作すると部屋Aに設置されている居室親機42の呼出音が鳴り、送信機2のマイク27に入力される。図1では送信機2も部屋Aに配置されているが、居室親機42の発する呼出音をマイク27に入力できる範囲内であれば自由に配置することができる。送信機2のCPU25は、マイク27から入力された音が記憶部24に予め記憶され登録されている呼出音であると識別した場合、報知信号を無線インターフェース23から無線送信する。同時にLED21を光らせたりスピーカ28から音を鳴らしたりする等により、送信機2の周辺に居室親機42が呼出されていることを知らせる報知をすることもできる。この際の報知音は居室親機42が発する呼出音を増幅させて鳴らしてもよいし、音響部26に独自の報知音を用意して鳴らしてもよい。
【0020】
受信機3は、送信機2とは離れた報知信号の受信ができる範囲内にある部屋Bに配置されている。無線インターフェース33が送信機2から発せられた報知信号を受信すると、CPU35は、LED31を光らせたりスピーカ38から音を鳴らしたりする等により、受信機3の周辺に居室親機42への呼出を知らせる報知をする。この際の報知音は居室親機42が発する呼出音を増幅させて鳴らしてもよいし、音響部36に独自の報知音を用意して鳴らしてもよい。
【0021】
以上説明してきたワイヤレス報知システム1が動作するためには、予め居室親機42の呼出音を送信機2に登録しておく必要がある。この音の登録は、図3に示すように、登録スイッチ22を操作し、送信機2が音を登録できるための状態である音登録モードを起動することで行う。音登録モードを起動した送信機2は、CPU25の制御により一定時間内に呼出音をマイク27から入力し記憶部24に記憶させ登録させる。しかし、登録したい呼出音を鳴らすためには玄関の外に配置されている玄関子機41の呼出ボタン43を押す必要がある。この際、送信機2の音登録モードを開始してから実際に呼出ボタン43が押され呼出音が鳴るまでには、音登録の作業者の玄関までの移動時間以上の時間が経過することになる。そのため、呼出音が鳴るまでの間に関係のないノイズ音が生ずるとその音が登録音とされてしまうおそれがある。また、複数名で音登録の作業をするとしても、玄関子機41の操作をする人にそのタイミングを知らせる必要がある。そこで、本発明では以下のような実施形態を採用した。
【実施例0022】
本発明の実施例1のワイヤレス報知システムでは、図4に示すように、本発明のワイヤレス報知システム1においては、送信機2の登録スイッチ22を操作し音登録モードを起動しても、例えば、30秒といった、所定の時間内はマイク27から入力される音を登録せず、所定の時間の経過後に入力される音を登録音として記憶部24に記憶させるという制御をCPU25に行わせる。これにより、登録したい呼出音を鳴らすために玄関子機41に赴き呼出ボタン43を押すまでの時間的猶予を確保することができるとともに、所定の時間の経過後に音登録がされるというタイミングをあらかじめ作業者が知ることができるので、送信機2に登録したい音を適切な時に鳴らせて確実に登録させることができる。CPU25は、マイク27から入力される音が無音の状態になって1~2秒ほど継続した場合に音登録が完了したものと判断し音登録モードを終了する。なお、音登録を保留する所定の時間(以下、「音登録保留時間」という。)は任意に変更することができるようにしてもよい。
【0023】
この登録スイッチ22を操作した際に、音登録保留時間の時間計測が開始したことを操作している人に通知するために、CPU25がLED21を点灯や点滅させることで通知することができる。そして、音登録保留時間が経過により実際の音登録が開始されたら、LED21を音登録保留時間中とは異なる点灯方法(点灯する色を変える、点滅のパターンが異なる)で知らせることができる。さらに、音登録の完了時には完了を通知する点灯やスピーカ28による音での通知をすることもできる。
【実施例0024】
本発明の実施例2のワイヤレス報知システムでは、送信機2への音登録に、持ち運びをすることが可能な受信機3を活用することもできる。図5に示すように、登録スイッチ22を操作し音登録モードが起動されると、CPU25は、例えば、30秒といった、音登録保留時間の計測を開始する。一方、音登録の作業者は音登録モードの起動後、受信機3を携帯し玄関子機41に移動する。音登録保留時間が経過すると、CPU25は音登録を開始するとともに無線インターフェース23を介して音登録開始信号を受信機3に無線送信する。
【0025】
無線インターフェース33介して音登録開始信号を受信した受信機3のCPU35はLED31を点灯又は点滅させることで、送信機2の実際の音登録が開始したことを通知する。当該通知により音登録の作業者は、送信機2の音登録の開始を正確に認知し、適正なタイミングで呼出ボタン43を押すことができ、居室親機42の呼出音を適正に送信機2に登録することができる。
【0026】
送信器2が音登録を完了し音登録モードを終了する際に、CPU25は、音登録終了信号を受信機3に無線送信する。受信機3のCPU35は当該信号の受信をもってLED31の点灯・点滅を終了させる制御とすることで、受信機3を保持する作業者に音登録モードの終了を通知することができる。
【0027】
なお、送信機2及び受信機3による音登録モードの各種の通知は、LED31を使用した光による通知に加えて、又は、代えて、スピーカ28,38を使用した音による通知としてもよい。
【0028】
さらに、受信機3は離れた場所に複数設置することにより、送信機2から離れた複数の場所において、同時に玄関親機42の呼出音が鳴っていることを報知することができる。
【0029】
なお、本発明のワイヤレス報知システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜変更して実施することも可能である。例えば、インターホンシステム4の居室親機42に送信機2の機能を組み込むことで一体化することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 ワイヤレス報知システム
2 送信機
3 受信機
4 インターホンシステム
21,31 LED
22 登録スイッチ
23,33 無線インターフェース
24 記憶部
25,35 CPU
26,36 音響部
27 マイク
28,38 スピーカ
41 玄関子機
42 居室親機
43 呼出ボタン

図1
図2
図3
図4
図5