(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152643
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20221004BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20221004BHJP
H01L 21/283 20060101ALI20221004BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/44 Y
H01L21/283 B
H01L21/283 C
H01L21/90 N
H01L21/90 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055491
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 整
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 幸則
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F102
【Fターム(参考)】
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB14
4M104CC01
4M104CC03
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4M104EE06
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4M104FF10
5F033GG02
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5F102GV06
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC16
5F102HC19
(57)【要約】
【課題】ソースフィールドプレートとドレイン電極との間の保護膜の絶縁破壊を抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜と、前記第1保護膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層内に形成され、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、
前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、
前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜と、
前記第1保護膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、
前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁破壊抑制部は、前記第1保護膜中に形成された空隙を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁破壊抑制部は、膜密度が前記第1保護膜の膜密度よりも高い第2保護膜を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1保護膜はSi窒化膜であり、前記第2保護膜はAl酸化膜である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2保護膜は、前記第1保護膜中に埋め込まれている請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁破壊抑制部は、前記断面視で、前記ソースフィールドプレート内の点と、前記ドレイン電極内の点とを結ぶ線分のうちで最も短い線分上に位置する部分を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記断面視で、
前記ドレイン電極は、前記ソースフィールドプレート側に位置し、前記第1保護膜に接触し、前記第1方向に垂直な第1辺を有し、
前記絶縁破壊抑制部は、前記ソースフィールドプレート内の点のうちで最も前記ドレイン電極に近い点と、前記第1辺との間の領域を横切るように配置されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記絶縁破壊抑制部の前記第1方向の寸法及び前記第1主面に垂直な方向の寸法は10nm以上である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に形成された窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層内に形成され、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、
前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、
前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆うSi窒化膜と、
前記Si窒化膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、
前記第1保護膜中に形成され、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備えた空隙と、
を有し、
前記空隙の前記第1方向の寸法は50nm以上であり、前記第1主面に垂直な方向の寸法は100nm以上である半導体装置。
【請求項10】
基板上に窒化物半導体層を形成する工程と、
前記窒化物半導体層内に、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記窒化物半導体層上に、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極を形成する工程と、
前記窒化物半導体層上に、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜を形成する工程と、
前記第1保護膜上に、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートを形成する工程と、
前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁破壊抑制部を形成する工程は、
前記第1保護膜を形成する工程において、
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜に、前記断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備える凹部を形成する工程と、
前記凹部の少なくとも一部が空隙として残るように前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
を有する請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソース電極に接続されたソースフィールドプレートを備えた半導体装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-516244号公報
【特許文献2】特開2019-169552号公報
【特許文献3】特表2019-537284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のソースフィールドプレートを備えた半導体装置では、ゲート電極とドレイン電極との距離を短縮すると、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間の保護膜に絶縁破壊が生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間の保護膜の絶縁破壊を抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板上に形成された窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層内に形成され、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜と、前記第1保護膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間の保護膜の絶縁破壊を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の効果を示す断面図(その1)である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の効果を示す断面図(その2)である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図11】
図11は、絶縁膜及び空隙の形成方法を示す断面図(その1)である。
【
図12】
図12は、絶縁膜及び空隙の形成方法を示す断面図(その2)である。
【
図13】
図13は、絶縁膜及び空隙の形成方法を示す断面図(その3)である。
【
図14】
図14は、絶縁膜及び空隙の形成方法を示す断面図(その4)である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図16】
図16は、絶縁膜及び第2保護膜の形成方法を示す断面図(その1)である。
【
図17】
図17は、絶縁膜及び第2保護膜の形成方法を示す断面図(その2)である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板上に形成された窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層内に形成され、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜と、前記第1保護膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部と、を有する。
【0012】
半導体装置が動作すると、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間に電界が生じ、時間の経過に連れて、第1保護膜中に複数の欠陥が発生する。動作時間が長くなると、欠陥同士が繋がるようになる。しかし、絶縁破壊抑制部が設けられているため、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間での欠陥の連続が妨げられる。このため、ソースフィールドプレートとドレイン電極とを繋ぐリークパスの生成が抑制され、第1保護膜の絶縁破壊が抑制される。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記絶縁破壊抑制部は、前記第1保護膜中に形成された空隙を含んでもよい。この場合、空隙にはリークパスとなるような欠陥が生じないため、絶縁破壊をより抑制しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕において、前記絶縁破壊抑制部は、膜密度が前記第1保護膜の膜密度よりも高い第2保護膜を含んでもよい。この場合、第2保護膜には第1保護膜よりも欠陥が生じにくいため、絶縁破壊を抑制できる。
【0015】
〔4〕 〔3〕において、第1保護膜はSi窒化膜であり、前記第2保護膜はAl酸化膜であってもよい。この場合、既存の装置を用いてSi窒化膜及びAl酸化膜は形成しやすい。
【0016】
〔5〕 〔3〕又は〔4〕において、第2保護膜は、前記第1保護膜中に埋め込まれていてもよい。この場合、第2保護膜をソースフィールドプレートとドレイン電極との間に配置しやすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記絶縁破壊抑制部は、前記断面視で、前記ソースフィールドプレート内の点と、前記ドレイン電極内の点とを結ぶ線分のうちで最も短い線分上に位置する部分を備えてもよい。この場合、リークパスが生じやすい線分上に絶縁破壊抑制部が位置するため、絶縁破壊を抑制しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記断面視で、前記ドレイン電極は、前記ソースフィールドプレート側に位置し、前記第1保護膜に接触し、前記第1方向に垂直な第1辺を有し、前記絶縁破壊抑制部は、前記ソースフィールドプレート内の点のうちで最も前記ドレイン電極に近い点と、前記第1辺との間の領域を横切るように配置されていてもよい。この場合、広範囲にわたって絶縁破壊を抑制しやすい。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記絶縁破壊抑制部の前記第1方向の寸法及び前記第1主面に垂直な方向の寸法は10nm以上であってもよい。この場合、欠陥の大きさは概ね10nm未満であるため、効果的に絶縁破壊を抑制できる。
【0020】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板上に形成された窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層内に形成され、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と、前記窒化物半導体層上に形成され、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆うSi窒化膜と、前記Si窒化膜上に形成され、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートと、前記第1保護膜中に形成され、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備えた空隙と、を有し、前記空隙の前記第1方向の寸法は50nm以上であり、前記第1主面に垂直な方向の寸法は100nm以上である。
【0021】
〔10〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板上に窒化物半導体層を形成する工程と、前記窒化物半導体層内に、前記基板の第1主面に平行な第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記窒化物半導体層上に、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極を形成する工程と、前記窒化物半導体層上に、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1保護膜を形成する工程と、前記第1保護膜上に、前記ソース電極に電気的に接続され、前記第1主面に垂直な方向からの平面視で前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置するソースフィールドプレートを形成する工程と、前記第1主面に平行、かつ前記第1方向に垂直な第2方向からの断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備え、前記第1保護膜の絶縁破壊を抑制する絶縁破壊抑制部を形成する工程と、を有する。
【0022】
〔11〕 〔10〕において、前記絶縁破壊抑制部を形成する工程は、前記第1保護膜を形成する工程において、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記ゲート電極を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜に、前記断面視で、前記ソースフィールドプレートの前記ドレイン電極側の端と、前記ドレイン電極の前記ソースフィールドプレート側の端との間に位置する部分を備える凹部を形成する工程と、前記凹部の少なくとも一部が空隙として残るように前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、を有してもよい。この場合、絶縁破壊抑制部として空隙を形成しやすい。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0024】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、窒化物半導体を主構成材料とするGaN-HEMTを含む半導体装置に関する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図1は、ゲート幅方向に垂直な断面を示す。
【0025】
第1実施形態に係る半導体装置100は、
図1に示すように、第1主面11を備えた基板10と、基板10の第1主面11の上に形成された複数の窒化物半導体層の積層構造20とを有する。基板10は、例えば(0001)主面を有するSiC基板であり、積層構造20の積層方向は例えば[0001]方向である。積層構造20は、基板10側から順に形成される電子走行層12と、電子供給層14と、キャップ層16とを含む。電子走行層12は、例えば厚さが1000nm程度のアンドープGaN層である。電子供給層14は、例えば厚さ20nm程度のn型AlGaN層である。キャップ層16は、例えば厚さ5nm程度のn型GaN層である。積層構造20は窒化物半導体層の一例である。
【0026】
積層構造20の上に絶縁膜22が形成されている。絶縁膜22は、例えばSi窒化膜である。絶縁膜22及び積層構造20に、ソース電極用の開口31と、ドレイン電極用の開口32とが形成されている。積層構造20にオーミックコンタクトするソース電極41が開口31内に形成され、積層構造20にオーミックコンタクトするドレイン電極42が開口32内に形成されている。ソース電極41及びドレイン電極42は、基板10の第1主面11に平行な方向に並ぶ。本開示では、ソース電極41及びドレイン電極42が並ぶ方向を第1方向といい、第1主面11に平行、かつ第1方向に垂直な方向を第2方向といい、第1主面11に垂直な方向を第3方向という。また、平面視とは第3方向からの平面視をいい、断面視とは第2方向からの断面視をいう。ソース電極41及びドレイン電極42は、例えば、Ti膜と、このTi膜の上に形成されたAl膜とを有する。絶縁膜22、ソース電極41及びドレイン電極42の上に絶縁膜24が形成されている。絶縁膜24は、例えばSi窒化膜である。
【0027】
ソース電極41とドレイン電極42との間において、絶縁膜22及び24に、ゲート電極用の開口35が形成されている。積層構造20にショットキーコンタクトするゲート電極43が開口35内に形成されている。ゲート電極43の一部が絶縁膜24上にあってもよい。ゲート電極43は、例えば、Ni膜と、このNi膜上に形成されたAu膜とを有する。
【0028】
絶縁膜24に、ソース配線用の開口33と、ドレイン配線用の開口34とが形成されている。ソース電極41に接続されるソース配線45が開口33内に形成され、ドレイン電極42に接続されるドレイン配線46が開口34内に形成されている。ソース配線45及びドレイン配線46は、例えば、Au膜を有する。絶縁膜24、ソース配線45、ゲート電極43及びドレイン配線46の上に絶縁膜26が形成されている。絶縁膜26は、例えばSi窒化膜である。絶縁膜22、24及び26が第1保護膜28に含まれる。
【0029】
絶縁膜26上にソースフィールドプレート44が形成されている。ソースフィールドプレート44は、
図1の断面図には現れない経路を通じてソース電極41に電気的に接続されている。ソースフィールドプレート44は、平面視でゲート電極43とドレイン電極42との間に位置する。ソースフィールドプレート44は、例えば、Ti膜と、このTi膜の上に形成されたNi膜とを有する。ソースフィールドプレート44が、
図1に示す断面図に現れる経路を通じて、すなわちゲート電極43を絶縁膜26の上から覆うようにしてソース電極41に接続されていてもよい。
【0030】
絶縁膜26中に空隙51が形成されている。空隙51は、断面視でソースフィールドプレート44のドレイン電極42側の端と、ドレイン電極42のソースフィールドプレート44側の端との間に位置する。空隙51は、断面視で、ソースフィールドプレート44内の点と、ドレイン電極42内の点とを結ぶ線分のうちで最も短い線分59上に位置する部分を備えることが好ましい。例えば、空隙51の第1方向の寸法は50nm程度であり、第3方向の寸法は100nm程度である。空隙51は絶縁破壊抑制部の一例である。
【0031】
ここで、第1実施形態に係る半導体装置100の効果について説明する。
図2及び
図3は、第1実施形態に係る半導体装置100の効果を示す断面図である。
【0032】
半導体装置100が動作すると、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間に電界が生じ、時間の経過に連れて、
図2に示すように、第1保護膜28中に複数の欠陥71が発生する。各欠陥71の大きさは概ね10nm未満である。
【0033】
動作時間が長くなると、
図3に示すように、欠陥71同士が繋がるようになる。そして、複数の欠陥71がソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間で繋がると、繋がった欠陥71がリークパスとなり得る。これに対し、第1実施形態では、空隙51が第1保護膜28中に形成されている。空隙51よりもソースフィールドプレート44側で複数の欠陥71が繋がり、かつ空隙51よりもドレイン電極42側で複数の欠陥71が繋がったとしても、空隙51中にはリークパスとなるような欠陥は生じないため、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42とを繋ぐリークパスの生成が抑制される。
【0034】
従って、ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくし、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の距離を小さくしても、第1保護膜28の絶縁破壊を抑制することができる。ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくすることで、ゲート電極43とドレイン電極42との間でのチャネルの抵抗を低減できる。また、ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくすることで、半導体装置100を小型化し、1枚の半導体ウェハから製造できる半導体装置100の数を増やし、半導体装置100の材料コストを低減できる。
【0035】
平面視でゲート電極43とドレイン電極42との間の距離は、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下であり、更に好ましくは1.0μm以下である。上記のように、ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離が小さくても、第1保護膜28の絶縁破壊は生じにくく、この距離が小さいほどチャネルの抵抗を低減したり、材料コストを低減したりできる。
【0036】
また、平面視でソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の距離は、好ましくは1.0μm以下であり、より好ましくは0.7μm以下であり、更に好ましくは0.5μm以下である。上記のように、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の距離が小さくても、第1保護膜28の絶縁破壊は生じにくく、この距離が小さいほどゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくしやすい。
【0037】
また、空隙51が形成されていない場合、距離が最も短い線分59及びその近傍で欠陥71が繋がりやすいが、第1実施形態では、空隙51が線分59上の部分を含んでいるため、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の欠陥71の繋がりを抑制しやすい。
【0038】
断面視で、空隙51は、ドレイン電極42の第1辺42Aとソースフィールドプレート44内の点のうちで最もドレイン電極42に近い点との間の領域を横切るように配置されていることが好ましい。ここで、第1辺42Aは、ソースフィールドプレート44側に位置し、第1保護膜28に接触し、第1方向に垂直な辺である。空隙51がこのように配置されていることで、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の欠陥71の繋がりを広範囲にわたって抑制できる。なお、第1辺42Aは、第1方向に完全に垂直でなくてもよく、例えば、エッチングの際に不可避的に傾斜した辺となっていてもよい。
【0039】
空隙51の第1方向の寸法及び第3方向の寸法は10nm以上であることが好ましい。上記のように、時間の経過に連れて発生する個々の欠陥71の大きさは概ね10nm未満である。従って、第1方向の寸法及び第3方向の寸法が10nm以上であれば、欠陥71の繋がりを抑制しやすい。第1方向の寸法は、好ましくは30nm以上であり、より好ましくは50nm以上である。また、第3方向の寸法は、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは100nm以上である。
【0040】
次に、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。
図4~
図10は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0041】
まず、
図4に示すように、基板10上に、有機金属化学気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法を用いて、複数の窒化物半導体層を含む積層構造20を成長する。次に、積層構造20の上面に接する絶縁膜22を、減圧(low pressure:LP)CVD法を用いて成膜する。絶縁膜22は、例えば厚さが40nmのSi窒化膜である。電子走行層12を形成する前に基板10の上に核形成層を形成し、核形成層の上に電子走行層12を形成してもよい。核形成層は、例えば厚さ数十nmのAlN層である。
【0042】
次に、
図5に示すように、絶縁膜22及び積層構造20にソース電極用の開口31と、ドレイン電極用の開口32とを形成し、開口31内にソース電極41を形成し、開口32内にドレイン電極42を形成する。
【0043】
開口31及び32の形成では、例えば、開口を備えたマスクを用いて絶縁膜22及び積層構造20の反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。また、ソース電極41及びドレイン電極42の形成では、例えば、開口31及び32の形成に用いたマスクを成長マスクとして用いた蒸着法による金属層の形成と、マスクの除去(リフトオフ)と、熱処理による金属層の合金化とを行う。
【0044】
次に、
図6に示すように、絶縁膜22、ソース電極41及びドレイン電極42の上に、絶縁膜24を、プラズマ(plasma enhanced:PE)CVD法を用いて成膜する。絶縁膜24は、例えば厚さが20nmのSi窒化膜である。
【0045】
次に、
図7に示すように、ソース電極41とドレイン電極42との間において、絶縁膜24及び22にゲート電極用の開口35を形成し、開口35内にゲート電極43を形成する。ゲート電極43の一部が絶縁膜24上に形成されてもよい。
【0046】
開口35の形成では、例えば、開口を備えたマスクを用いて絶縁膜24及び絶縁膜22のRIEを行う。また、ゲート電極43の形成では、例えば、開口を備えた別のマスクを成長マスクとして用いた蒸着法による金属層の形成と、マスクの除去(リフトオフ)とを行う。
【0047】
次に、
図8に示すように、絶縁膜24にソース配線用の開口33と、ドレイン配線用の開口34とを形成し、開口33内にソース配線45を形成し、開口34内にドレイン配線46を形成する。
【0048】
開口33及び34の形成では、例えば、開口を備えたマスクを用いて絶縁膜24のRIEを行う。また、ソース配線45及びドレイン配線46は、例えば、めっき法により形成できる。
【0049】
次に、
図9に示すように、絶縁膜24、ソース配線45、ゲート電極43及びドレイン配線46の上に、絶縁膜26及び空隙51を形成する。絶縁膜26は、例えば厚さが400nmのSi窒化膜である。絶縁膜22、24及び26が第1保護膜28に含まれる。絶縁膜26及び空隙51の形成方法については後述する。
【0050】
次に、
図10に示すように、絶縁膜26上にソースフィールドプレート44を形成する。ソースフィールドプレート44は、
図1の断面図には現れない経路を通じてソース電極41に電気的に接続されている。ソースフィールドプレート44は、平面視でゲート電極43とドレイン電極42との間に位置する。ソースフィールドプレート44の形成では、例えば、開口を備えたマスクを成長マスクとして用いた蒸着法による金属層の形成と、マスクの除去(リフトオフ)とを行う。
【0051】
その後、必要に応じて配線等を形成する。このようにして、GaN-HEMTを含む半導体装置100を製造することができる。
【0052】
ここで、絶縁膜26及び空隙51の形成方法について説明する。
図11~
図14は、絶縁膜26及び空隙51の形成方法を示す断面図である。
図11~
図14には、平面視でソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の領域を示す。
【0053】
まず、
図11に示すように、絶縁膜24、ソース配線45、ゲート電極43及びドレイン配線46の上に第1絶縁膜26Aを形成する。第1絶縁膜26AはSi窒化膜である。第1絶縁膜26Aの厚さは絶縁膜26の厚さよりも小さく、例えば300nmである。第1絶縁膜26Aは、例えばプラズマCVD法により形成できる。
【0054】
次に、
図12に示すように、第1絶縁膜26Aの上にi線レジスト61を塗布し、フォトリソグラフィにより、i線レジスト61に開口61Xを形成する。開口61Xを通じて第1絶縁膜26Aが露出する。例えば、i線レジスト61の厚さは650nmとし、開口61Xの寸法(開口幅)は300nmとする。
【0055】
次に、
図13に示すように、i線レジスト61をマスクとし、エッチングガスとしてCHF
3及びO
2の混合ガスを用いて、第1絶縁膜26AのRIEを行う。CHF
3及びO
2の混合ガスを用いた場合、第1絶縁膜26Aのエッチングで発生した反応生成物62が開口61Xの側壁面に付着しやすい。このため、深部ほど狭い凹部26Xが第1絶縁膜26Aに形成される。例えば、凹部26Xの断面視において、互いに対向する反応生成物62同士の最短距離Wに対する凹部26Xの深さDの比は、2.0以上とする。
【0056】
次に、
図14に示すように、i線レジスト61を除去する。次に、第1絶縁膜26Aの上に第2絶縁膜26Bを形成する。第2絶縁膜26BはSi窒化膜である。第2絶縁膜26Bの厚さは絶縁膜26の厚さよりも小さく、例えば100nmである。第2絶縁膜26Bは、例えば減圧CVD法により形成できる。この時、第2絶縁膜26Bは、凹部26Xを埋めることができず、空隙51が形成される。
【0057】
このようにして、第1絶縁膜26A及び第2絶縁膜26Bからなる絶縁膜26と、空隙51とを形成できる。
【0058】
このような方法によれば、絶縁破壊抑制部として作用する空隙51を備えた半導体装置100を安定して製造できる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、絶縁破壊抑制部の構成の点で第1実施形態と相違する。
図15は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0060】
第2実施形態に係る半導体装置200では、
図15に示すように、絶縁膜26中に空隙51に代わって第2保護膜52が形成されている。つまり、第2保護膜52が第1保護膜28中に埋め込まれている。第2保護膜52は、第1保護膜28の膜密度よりも膜密度が高い材料からなる。例えば、第1保護膜28はSi窒化膜であり、第1保護膜28の膜密度は3.2g/cm
3程度であるのに対し、第2保護膜52はAl酸化膜であり、第2保護膜52の膜密度は3.9g/cm
3程度である。第2保護膜52は絶縁破壊抑制部の一例である。膜密度とは、当該膜の単位体積当たりの質量であり、例えばX線反射率法により測定できる。
【0061】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0062】
なお、
図15では省略しているが、後述の絶縁膜26の形成方法の説明からもわかるように、第2保護膜52が、第1実施形態における空隙51の位置だけでなく、全面に広がるように形成されていてもよい。
【0063】
第2実施形態に係る半導体装置200においても、動作時間が長くなるにつれて、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間で第1保護膜28中に複数の欠陥71が発生する。しかし、第2保護膜52の膜密度が第1保護膜28の膜密度よりも高いため、第2保護膜52中には欠陥が生じにくい。従って、第2保護膜52よりもソースフィールドプレート44側で複数の欠陥71が繋がり、かつ第2保護膜52よりもドレイン電極42側で複数の欠陥71が繋がったとしても、第2保護膜52中にはリークパスとなるような欠陥が生じにくいため、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42とを繋ぐリークパスの生成が抑制される。
【0064】
従って、第1実施形態と同様に、ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくすることで、ゲート電極43とドレイン電極42との間でのチャネルの抵抗を低減したり、半導体装置100の材料コストを低減したりできる。
【0065】
第2保護膜52の膜密度は第1保護膜28の膜密度より高ければよいが、好ましくは3.4g/cm3以上であり、より好ましくは3.6g/cm3程以上であり、更に好ましくは3.8g/cm3程以上である。第1保護膜28がSi窒化膜であり、第2保護膜52がAl酸化膜であると、既存の装置を用いて成膜しやすい。
【0066】
次に、絶縁膜26及び第2保護膜52の形成方法について説明する。
図16~
図17は、絶縁膜26及び第2保護膜52の形成方法を示す断面図である。
図16~
図17には、平面視でソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間の領域を示す。
【0067】
まず、
図16に示すように、第1実施形態と同様にして、凹部26Xの形成までの処理を行う。次に、第1絶縁膜26Aの上に第2保護膜52を形成する。第2保護膜52はAl酸化膜である。第2保護膜52の厚さは、例えば平坦部で35nmである。ここでいう第2保護膜52の厚さは、凹部26Xの外側で第1絶縁膜26A上の部分の厚さである。第2保護膜52は、原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法によりできる。ALD法により形成されるAl酸化膜の被覆性(カバレッジ)は良好であり、凹部26Xは第2保護膜52により埋められる。
【0068】
次に、第2保護膜52の上に第2絶縁膜26Bを形成する。第2絶縁膜26BはSi窒化膜である。第2絶縁膜26Bの厚さは絶縁膜26の厚さよりも小さく、例えば100nmである。第2絶縁膜26Bは、例えば減圧CVD法により形成できる。
【0069】
このようにして、第1絶縁膜26A及び第2絶縁膜26Bからなる絶縁膜26と、第2保護膜52とを形成できる。なお、第2絶縁膜26Bの形成の前に、凹部26X内の部分を除き第2保護膜52を除去してもよい。
【0070】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、絶縁破壊抑制部の構成の点で第1、第2実施形態と相違する。
図18は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0071】
第3実施形態に係る半導体装置300では、
図18に示すように、絶縁膜26中に空隙51も第2保護膜52も形成されておらず、絶縁膜26上に第3保護膜53が形成されている。第3保護膜53は、第1保護膜28の膜密度よりも膜密度が高い材料からなる。例えば、第1保護膜28はSi窒化膜であり、第1保護膜28の膜密度は3.2g/cm
3程度であるのに対し、第3保護膜53はAl酸化膜であり、第3保護膜53の膜密度は3.9g/cm
3程度である。ソースフィールドプレート44は第3保護膜53上に形成されている。第3保護膜53は絶縁破壊抑制部の一例である。
【0072】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0073】
第3実施形態に係る半導体装置300においても、動作時間が長くなるにつれて、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42との間で第1保護膜28中に複数の欠陥71が発生する。しかし、第3保護膜53の膜密度が第1保護膜28の膜密度よりも高いため、第3保護膜53中には欠陥が生じにくい。従って、第3保護膜53よりもドレイン電極42側で複数の欠陥71が繋がったとしても、第3保護膜53中にはリークパスとなるような欠陥が生じにくいため、ソースフィールドプレート44とドレイン電極42とを繋ぐリークパスの生成が抑制される。
【0074】
従って、第1実施形態と同様に、ゲート電極43とドレイン電極42との間の距離を小さくすることで、ゲート電極43とドレイン電極42との間でのチャネルの抵抗を低減したり、半導体装置100の材料コストを低減したりできる。
【0075】
第3保護膜53の膜密度は第1保護膜28の膜密度より高ければよいが、好ましくは3.4g/cm3以上であり、より好ましくは3.6g/cm3程以上であり、更に好ましくは3.8g/cm3程以上である。
【0076】
次に、本願発明者らが行った実験について説明する。この実験では、第1実施形態に倣って試料(試料No.1)を作製した。また、第1保護膜中に空隙が形成されていない試料(試料No.2)も作製した。試料No.1と試料No.2との間では、空隙の有無を除く構造は同一とした。なお、平面視でのソースフィールドプレートとドレイン電極との間の距離は1μmとした。従来の半導体装置では、平面視でのソースフィールドプレートとドレイン電極との間の距離は短くても3μm程度であり、この1μmという距離は極めて短い距離である。
【0077】
そして、試料No.1及びNo.2について、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間に印加する電圧と、ソースフィールドプレートとドレイン電極との間に流れる電流との関係(I-V特性)を調べた。この結果を
図19に示す。
図19は、I-V特性を示す図である。
図19中の横軸はソースフィールドプレートとドレイン電極との間の電圧を示し、縦軸はソースフィールドプレートとドレイン電極との間を流れる電流を示す。
【0078】
図19に示すように、空隙が形成されていない試料No.2では、80Vの電圧が印加されると、電流が急激に増加した。一方、空隙が形成されている試料No.1では、100Vの電圧が印加されても、電流の増加は僅かであった。この結果から、試料No.2の絶縁耐圧は80V以下であるのに対し、試料No.1の絶縁耐圧は100V以上であることがわかる。つまり、試料No.1では、試料No.2よりも25%以上高い絶縁耐圧が得られることがわかる。
【0079】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10:基板
11:第1主面
12:電子走行層
14:電子供給層
16:キャップ層
20:積層構造
22、24、26:絶縁膜
26A:第1絶縁膜
26B:第2絶縁膜
26X:凹部
28:第1保護膜
31、32、33、34、35:開口
41:ソース電極
42:ドレイン電極
42A:第1辺
43:ゲート電極
44:ソースフィールドプレート
45:ソース配線
46:ドレイン配線
51:空隙
52:第2保護膜
53:第3保護膜
59:線分
61:i線レジスト
61X:開口
62:反応生成物
71:欠陥
100、200、300:半導体装置