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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152645
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20221004BHJP
【FI】
H02K11/33
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055494
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】パッタラワディー パーオブトン
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB06
5H611BB08
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】回路基板で生じた熱を安定して放熱することができる電動機を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る電動機は、円筒状の樹脂外郭の開口端部を覆うヒートシンクと、上記樹脂外郭と上記ヒートシンクとで覆われた内部空間に配置される回路基板と、を備える。上記ヒートシンクは、円板部と、上記円板部から軸方向の上記回路基板側に突出する環状突出部と、上記環状突出部よりも前記樹脂外郭の内径側に配置され、上記円板部から上記回路基板側に向かって突出し上記回路基板と熱的に接触する突起部と、を有する。上記円板部は、上記樹脂外郭の上記開口端部と当接する軸方向位置決め部を有し、上記環状突出部は、上記樹脂外郭の内周面または外周面に当接する径方向位置決め部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端側に開口端部を有する円筒状の樹脂外郭と、前記樹脂外郭と一体的に形成された固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内径側に配置された回転子と、前記樹脂外郭の前記開口端部を覆うヒートシンクと、前記樹脂外郭と前記ヒートシンクとで覆われた内部空間に配置される回路基板と、を備え、
前記ヒートシンクは、
円板部と、
前記円板部から前記軸方向の前記回路基板側に突出する環状突出部と、
前記環状突出部よりも前記樹脂外郭の内径側に配置され、前記円板部から前記回路基板側に向かって突出し前記回路基板と熱的に接触する突起部と、
を有し、
前記円板部は、前記樹脂外郭の前記開口端部と当接する軸方向位置決め部を有し、
前記環状突出部は、前記樹脂外郭の内周面または外周面に当接する径方向位置決め部を有する
電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機であって、
前記径方向位置決め部は、前記環状突出部の外周面に形成されるとともに、前記樹脂外郭の内周面に当接する
電動機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動機であって、
前記軸方向位置決め部は、前記円板部の前記環状突出部より外周側に位置する
電動機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電動機であって、
前記突起部の前記軸方向への突出高さは、前記環状突出部の突出高さよりも大きい
電動機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の電動機であって、
前記回路基板は、通電により発熱する電子部品を含み、
前記突起部は、前記電子部品に対向する対向面を有する
電動機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の電動機であって、
前記樹脂外郭は、前記回路基板が固定される載置面を有する
電動機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の電動機であって、
前記電動機は、前記回転子が固定される回転シャフトと、前記回転シャフトを回転自在に支持する第1の軸受とを有し、
前記ヒートシンクは、前記第1の軸受を収容する軸受収容部をさらに有する
電動機。
【請求項8】
請求項2~4のいずれか1つに記載の電動機の製造方法であって、
前記ヒートシンクは、ダイカスト成型によって形成される
電動機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機に関し、さらに詳しくは電動機に内蔵された回路基板の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動機の内部に電動機の回転駆動を制御する回路基板を備えた電動機が知られている。そしてこの回路基板は、通電により発熱する電子部品を含み、その電子部品で発生した熱を電動機の外部へ放熱する、ヒートシンクを有する電動機もまた知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、固定子鉄心をモールドする樹脂(以下、樹脂外郭という)と、モータの反出力側の軸受を支持し、上記モータの反出力側の樹脂外郭の端部に取り付けられた金属ブラケットと、上記金属ブラケットを介して上記樹脂外郭の端部に固定され、上記金属ブラケットの外面に設けられた孔部に挿入可能な突起部を含む放熱フィン(ヒートシンク)と、上記樹脂外郭の内部に配置された回路基板とを備えたブラシレスモータであって、上記突起部を、熱伝導樹脂を介して上記回路基板上の電子部品へ接触させる構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-131127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、ヒートシンクとしての放熱フィンは、金属ブラケットを介して樹脂外郭の端部に固定される。しかしながら、ヒートシンクを備える電動機には、寸法ばらつき、そして、組立ばらつきなどが存在する。寸法ばらつきとは、各部品そのものの寸法のばらつきである。そして、組立ばらつきとは、各部品を組み立てる際に生じる各部品同士の相対位置(一方の部品の位置を基準としたときの他方の部品の位置)のばらつきである。特に、ヒートシンクが鋳造(ダイカスト)により成形される場合には、ヒートシンクそのものの寸法精度が低くなりやすく、寸法ばらつきが大きくなる傾向がある。
【0006】
そのため、金属ブラケットを介して樹脂外郭の端部にヒートシンク(放熱フィン)を固定する特許文献1の構造では、上記電動機の各種ばらつきの影響により、ヒートシンクと樹脂外郭の端部との間における上記軸方向および径方向の相対位置でのばらつきが生じやすい。これにより、ヒートシンクの突起部と回路基板との間における上記軸方向および径方向の相対位置のばらつきが生じやすくなり、回路基板の電子部品とヒートシンクの突起部との間に隙間が生じるなどして、十分な放熱を行えなくなる(すなわち放熱性が低下する)おそれがあった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、回路基板で生じた熱を安定的に放熱することのできる電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る電動機は、軸方向の一端側に開口端部を有する円筒状の樹脂外郭と、上記樹脂外郭と一体的に形成された固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内径側に配置された回転子と、上記樹脂外郭の上記開口端部を覆うヒートシンクと、上記樹脂外郭と上記ヒートシンクとで覆われた内部空間に配置される回路基板と、を備える。上記ヒートシンクは、円板部と、上記円板部から上記軸方向の上記回路基板側に突出する環状突出部と、上記環状突出部よりも前記樹脂外郭の内径側に配置され、上記円板部から上記回路基板側に向かって突出し上記回路基板と熱的に接触する突起部と、を有する。上記円板部は、上記樹脂外郭の上記開口端部と当接する軸方向位置決め部を有し、上記環状突出部は、上記樹脂外郭の内周面または外周面に当接する径方向位置決め部を有する。
【0009】
上記電動機によれば、上記軸方向位置決め部によって上記樹脂外郭の上記開口端部と当接し、さらに上記径方向位置決め部によって上記樹脂外郭の内周面または外周面に当接することで、上記ヒートシンクの上記突起部と上記回路基板との上記軸方向および上記径方向の位置精度が確保される。これにより、上記回路基板で発生する熱を、上記ヒートシンクを介して安定した放熱性を確保できる。
【0010】
上記径方向位置決め部は、上記環状突出部の外周面に形成されるとともに、上記樹脂外郭の内周面に当接してもよい。
【0011】
上記軸方向位置決め部は、上記円板部の上記環状突出部より外周側に位置してもよい。
【0012】
上記突起部の上記軸方向への突出高さは、上記環状突出部の突出高さよりも大きくてもよい。
【0013】
上記回路基板は、配線基板と、上記配線基板の上に搭載された通電により発熱する電子部品とを含み、上記突起部は、上記電子部品に対向する対向面を有してもよい。
【0014】
上記円筒状の樹脂外郭は、上記回路基板が固定される載置面を有してもよい。
【0015】
上記ヒートシンクは、上記回転シャフトを回転自在に支持する第1の軸受を収容する軸受収容部をさらに有してもよい。
【0016】
本技術の一形態に係る電動機の製造方法は、上記ヒートシンクを、ダイカスト成型によって形成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回路基板で生じた熱を安定的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電動機の断面図である。
図2】上記電動機における樹脂外郭の斜視図である。
図3】上記電動機におけるヒートシンクの斜視図であって、(A)は上面側斜視図、(B)は背面側斜視図である。
図4】上記電動機におけるヒートシンクの加工工程を示す断面図であって、(A)は、径方向位置決め部の加工工程を示す断面図、(B)は、軸方向位置決め部と対向面との加工工程を示す断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る電動機の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なり得ることに留意すべきである。したがって、具体的な構成部品については以下の説明を参酌して判断すべきものである。
【0020】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る電動機1の断面図である。本実施形態の電動機1は、例えば、空気調和機の室内機に搭載される送風ファンの回転駆動源に用いられる。
【0022】
[電動機の全体構成]
電動機1は、固定子鉄心21と、回転子3と、樹脂外郭10と、第1の軸受71と、第2の軸受81と、ヒートシンク4と、回路基板5とを備えている。
【0023】
固定子鉄心21は、樹脂外郭10と一体的に形成される。
回転子3は、回転シャフト6に固定され、固定子鉄心21の内径側に配置される。
樹脂外郭10は、回転シャフト6の軸心Cに平行な方向(以下、軸方向ともいう)の一端に開口端部101を有する円筒形状である。
ヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101を覆うように配置される。
回路基板5は、樹脂外郭10とヒートシンク4とで覆われた内部空間に配置される。
【0024】
以下では、例として、回転磁界を発生する円筒状の固定子2の径方向の内側に、永久磁石部31を有する円柱状の回転子3を回転可能に配置したインナーロータ型のブラシレスDCモータを電動機1として説明する。なお、電動機1は、もちろんこれに限られず、例えばアウターロータ型のブラシレスDCモータや、ACモータ等の他の電動機であってもよい。
【0025】
また以下の説明において、回転シャフト6の軸心Cは、電動機1の中心軸、つまり回転子3の回転軸でもある。径方向とは、軸心Cを通り、軸方向とは直交する方向である。また内径側とは、径方向の内側であり、外径側とは、径方向の外側である。さらに、周方向とは、軸心Cを中心とする回転方向である。
【0026】
(回転子)
回転子3は、環状の永久磁石部31と、回転子本体30とを有する。回転子本体30は、外周面と、内周面とを有する。回転子本体30の外周面には、永久磁石部31が固定される。回転子本体の内周面には、回転シャフト6が固定される。これにより、回転子本体30と一体となって回転シャフト6が回転駆動する。
【0027】
回転子3は、上記外周面に環状に永久磁石部31が固定された表面磁石型である。永久磁石部31は、N極とS極が周方向に等間隔に交互に現れるように、複数(例えば8または10個)の永久磁石で環状に形成されている。なお、永久磁石部31は、典型的には、Nd-Fe-B系合金等の金属焼結体で形成されるが、これ以外にも、磁石粉末を樹脂で固めることで環状に形成されたプラスチックマグネットを用いてもよい。
【0028】
図1に示すように、回転子本体30は、外周側鉄心32と、絶縁部材33と、内周側鉄心34とを有する。
【0029】
外周側鉄心32は、環状に形成されており、回転子本体30の外周面を形成する。外周側鉄心32は、複数枚の電磁鋼板等の軟磁性材料からなる板の積層体である。内周側鉄心34は、環状に形成されており、回転子本体30の内周面を形成する。
内周側鉄心34は、複数枚の電磁鋼板等の軟磁性材料からなる板の積層体である。内周側鉄心34の中心には、回転シャフト6が圧入やカシメなどによって固着されている。
【0030】
絶縁部材33は、外周側鉄心32と内周側鉄心34との間を電気的に絶縁する。これにより、電動機1の固定子側の静電容量と回転子側の静電容量との差を低減して軸受71、81の電食を抑制することができる。絶縁部材33は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などの誘電体の樹脂で形成されており、外周側鉄心32と内周側鉄心34の間に固定されている。絶縁部材33は、環状の成形体であってもよいし、外周側鉄心32と内周側鉄心34の間にインサート成形等により充填された樹脂材料であってもよい。
【0031】
(固定子)
固定子2は、円筒形状のヨーク部と同ヨーク部から内径側に延びる複数のティース部を有した固定子鉄心21と、ティース部に巻回された巻線(コイル)22と、を備えている。固定子鉄心21は、例えば複数枚の電磁鋼板等の軟磁性材料からなる板の積層体である。この固定子2(固定子鉄心21)の外周面は、樹脂外郭10で覆われている(図1参照)。固定子2は、回転子3の永久磁石部31が固定子2の固定子鉄心21に径方向に空隙(磁気ギャップ)を介して対向するように配置されている。
【0032】
(樹脂外郭)
樹脂外郭10は、絶縁性の樹脂材料で形成される。図2は、電動機1における樹脂外郭10の斜視図であり、図2に示すように、軸方向の一端側(本実施形態では回転シャフト6の反出力端部61側)に開口端部101を有する中空円筒状に形成される。ここで、反出力端部61とは、回転シャフト6の出力端部62とは反対側の端部である。出力端部62とは、電動機1の負荷側(負荷に接続される側)の端部である。
上述のように、樹脂外郭10は、固定子2と一体成形される。樹脂外郭10を形成する樹脂材料は特に限定されず、例えばBMC(Bulk Molding Compound:不飽和ポリエステル樹脂)樹脂で形成される。
【0033】
また、樹脂外郭10は、載置面9を有する。載置面9は、樹脂外郭10の内周面10a側に形成され、軸方向に垂直な内周平面であって、軸方向で回転子3よりもから間隙を介して回転シャフト6の反出力端部61側に設けられる。載置面9は、後述する回路基板5を支持する。本実施形態において載置面9は、樹脂外郭10の内周面10aから内径側に突出するように設けられた段部の上記反出力端部61側の面である。載置面9は、樹脂外郭10の内周面10aに、その周方向に連続的に形成されてもよいし、その周方向に間隔をおいて複数個所に形成されてもよい。
【0034】
樹脂外郭10は、後述する第2の軸受81を収容する第2の軸受収容部82をさらに有する。第2の軸受収容部82の概形は、軸心Cを中心とする一端側が塞がれた円筒形状である。第2の軸受収容部82は、樹脂外郭10の開口端部101とは反対側の底部102に設けられている。
【0035】
(回路基板)
回路基板5は、配線基板50と、配線基板50の表面(回転シャフト6の反出力端部61側の面)に搭載された通電により発熱する電子部品51とを含む。回路基板5は、概ね円板形状であり、回路基板5の周縁部は、載置面9に支持され、例えば、接着、粘着、ネジ締結、はんだ付け等によって固定される。なお、回路基板5の周縁部に位置決め用の凸部を、そして樹脂外郭10の内周面10aに上記凸部と係合する位置決め用の凹部をそれぞれ設けてもよく、これにより回路基板5を周方向に位置決めした状態で載置面9に固定することができる。
【0036】
通電により発熱する電子部品51とは、主として、電源パワーIC、モータ駆動電流の制御用IC等の半導体パッケージ部品であるが、コンデンサ等の受動部品が含まれてもよい。なお、配線基板50には、電子部品51のほか、電源ケーブルと接続されるコネクタ部品等の他の部品が搭載されるが、これらの図示は省略する。上記電源ケーブルは、樹脂外郭10の開口端部101の近傍にその周方向の所定角度範囲にわたって形成されたケーブル挿通部105を通して図示しない電源に接続される。
【0037】
図2に示すように載置面9には、回路基板5を貫通する複数(本例では2つ)の位置決めピン9cが設けられている。
また、樹脂外郭10の内周面10aに、回路基板5を収容する位置決め用の凹部104を部分的に設けてもよく、これによっても回路基板5を周方向に位置決めした状態で載置面9に固定することができる。
また、図2に示されるコイル22の端部221は、回路基板5に電気的に接続されるように形成され、回路基板5は、複数の位置決めピン9cにより載置面9上に位置決めされるとともに、回路基板5とコイルの端部221とのはんだ付けにより、載置面9上に固定される。
【0038】
(軸受)
図1に示すように、第1の軸受71は、外輪711、内輪712、複数のボール713等を有するボールベアリングである。第2の軸受81は、外輪811、内輪812、ボール813等を有するボールベアリングである。
【0039】
第1の軸受71の外輪711は、ヒートシンク4(第1の軸受収容部41)に固定され、第1の軸受71の内輪712は、回転シャフト6の反出力端部61側に固定される。第2の軸受81の外輪813は、樹脂外郭10(第2の軸受収容部82)に固定され、第2の軸受81の内輪812は、回転シャフト6の出力端部62に固定される。これにより、回転シャフト6は、第1の軸受71および第2の軸受81により、ヒートシンク4および樹脂外郭10に対して軸心Cのまわりに回転可能に支持される。
【0040】
(ヒートシンク)
ヒートシンク4は、第1の軸受収容部41と、円板部42と、環状突出部43と、突起部44とを有する。ヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101に取り付けられ、固定される。ヒートシンク4は、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料で形成される。ヒートシンク4は、円板部42と、環状突出部43と、突起部44とがそれぞれ一体に成形される。ヒートシンク4は例えば、ダイカスト(鋳造)によって成型される。
【0041】
ヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101を覆うことで樹脂外郭10の開口部を閉塞する蓋部材(ブラケット)としての機能と、第1の軸受71を支持する軸受収容部(ベアリングハウス)としての機能と、電動機内部の電子部品51で生じた熱を電動機外部へ放熱する放熱部材としての機能を有する。ヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101に図示しない複数のネジ部材を用いて固定される。
【0042】
図3(A)は、ヒートシンク4の内面側(図1において下面側)の斜視図であり、図3(B)はヒートシンク4の外面側(図1において上面側)の斜視図である。
【0043】
円板部42は、軸心Cを中心とする中心孔40を有する円環状の板部である。本実施形態では、円板部42の外径は、樹脂外郭10の開口端部101の外径と同一又はほぼ同一の大きさである。図3(A)、(B)に示すように、円板部42は、上面423と、その反対側の背面424とを有する。後述するように、円板部42の上面部423には、第1の軸受収容部41が形成される。円板部42の背面424には、軸方向位置決め部420、環状突出部43および突起部44が設けられる。
【0044】
環状突出部43は、円板部42の背面424側から回路基板5側に向かって突出するように形成される。また、環状突出部43は、樹脂外郭10の内周面10aに当接する径方向位置決め部430を有する。
【0045】
突起部44は、環状突出部43よりも内径側に配置され、円板部42の背面424側から回路基板5側に向かって突出し、回路基板5(本実施形態では電子部品51)に熱的に接触する。本実施形態では、図1に示すように、突起部44は、ヒートシンク4を樹脂外郭10に取り付けたとき、径方向において、第1の軸受収容部41と環状突出部43との間の領域に配置され、電子部品51と対向する。
以下、各部の詳細について説明する。
【0046】
(第1の軸受収容部)
第1の軸受収容部41は、第1の軸受71を収容する。第1の軸受収容部41は、軸心Cを中心とする一端側が塞がれた円筒形状を有し、第1の軸受71を収容する。第1の軸受収容部41は、円板部42の中心孔40の内周縁部401の上面423側に形成されている。
【0047】
(円板部)
円板部42は、軸方向位置決め部420を有する。図3(A)に示すように、軸方向位置決め部420は、円板部42の外周縁部422の背面424側に形成される。本実施形態において、外周縁部422とは、円板部42の、環状突出部43よりも外径側の領域である。
【0048】
外周縁部422より内径側の領域における円板部42の軸方向の厚みは、外周縁部422の軸方向の厚みより、薄くてもよい。外周縁部422より内径側の領域における円板部42の厚みを外周縁部422よりも薄くした場合、図3(A)に示すように、円板部42の背面424側に複数のリブ部425を設けてもよい。複数のリブ部425は、第1の軸受収容部41から環状突出部43に向かって放射状に形成される。複数のリブ部425を設けることにより、ヒートシンク4の強度を確保することができる。
【0049】
軸方向位置決め部420は、外周縁部422の背面424側に形成され、樹脂外郭10の開口端部101と当接する。図1に示すように、軸方向位置決め部420は、開口端部101に軸心Cの方向に当接する。軸方向位置決め部420は、例えばヒートシンク4のダイカスト等による成形後、旋盤等により、平面に加工されてもよい。本実施形態では、軸方向位置決め部420は、軸心Cに直交する平面に形成されている。
【0050】
軸方向位置決め部420は、図3(A)に示すように、外周縁部422の背面424側全域が軸心Cに直交する平面で形成されるが、この限りではない。例えば、ヒートシンク4の軸方向位置決め部420は、開口端部101に向かって突出する環状の突出部を有してもよく、樹脂外郭10の開口端部101にはその突出部と対応する環状の溝部を有していてもよい。この突出部の径方向から見た断面は、台形状であってもよいし、曲面形状であってもよい。
【0051】
図3(A)、(B)に示すように、円板部42の外周縁部422の複数個所には、ねじが挿通される孔部421が形成される。孔部421は、本実施形態では、外周縁部422に等角度間隔で3箇所設けられる。なお、外周縁部422に設けられる孔部421の数や位置は適宜変更可能であり、外周縁部422に孔部421を設けなくともよい。本実施形態では、樹脂外郭10の開口端部101には、孔部421と対向する位置に図2に示されるねじ受部103が形成される。ヒートシンク4は、各孔部421に挿通される複数のねじによって樹脂外郭10の開口端部101に固定される。この際、ヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101に対してその周方向に位置決めされる。
【0052】
円板部42はさらに、その外周縁部422の一部に所定角度範囲にわたって形成された切欠き部426を有する。切欠き部426は、樹脂外郭10の開口端部101の近傍にわたって形成された上述のケーブル挿通部に対応する位置に設けられる。これにより、切欠き部426を、ヒートシンク4を樹脂外郭10の開口端部101に組み付けるに際して、樹脂外郭10に対する周方向の位置決めの目印として用いることができる。
【0053】
(環状突出部)
上述したように、環状突出部43は、径方向位置決め部430を有する。本実施形態では径方向位置決め部430は、樹脂外郭10の開口端部101の内周面に当接する環状突出部43の外周面に形成されている。すなわち、図1図2図3(A)に示すように、径方向位置決め部430は、樹脂外郭10の内周面10aに嵌合する円筒面を有する。
【0054】
図3(A)に示すように、環状突出部43は、円板部42の背面424に、軸心Cを中心とする円環状に形成される。図1に示すように、環状突出部43の軸心Cに平行な断面は、概ね長方形状である。また、図3(A)に示すように、環状突出部43は、切れ目なく周方向に連続的に形成されているが、この限りではなく、一部に切れ目があってもよい。
【0055】
(突起部)
上述したように、突起部44は、環状突出部43よりも内径側に配置され、円板部42の背面424から軸方向における回路基板5側に向かって突出する。
【0056】
図3(A)に示すように、本実施形態では、突起部44は、回路基板5上に搭載された電子部品51に向かって突出する直方体形状のブロックである。さらに、突起部44は、電子部品51と対向する対向面441を有する。なお、突起部44の形状は、直方体形状に限られず、例えば、円柱形状であってもよい。
【0057】
詳しくは後述するが、図1に示されるように、突起部44の軸方向への突出高さは、環状突出部43の突出高さよりも大きく形成されるのが好ましい。ここでいう突出高さとは、円板部42の背面424を基準として軸方向に突出する高さである。本実施形態では、突起部44の対向面441は、環状突出部43の軸方向の先端部よりも、回路基板5に近い位置にある。突起部44の上記突出高さは、円板部42の軸方向位置決め部420が樹脂外郭10の開口端部101に当接したときに、突起部44の対向面441が電子部品51の上面に所定範囲の大きさの間隙を形成するように設定される。
【0058】
対向面441の電子部品51側から見た形状は、電子部品51の形状に合わせて形成されてもよく、例えば四角形状の平面である(図3(A)参照)。対向面441は、例えばヒートシンク4のダイカスト等による成形後、旋盤等により、平面に加工されてもよい。
【0059】
電子部品51と突起部44との間には、電子部品51側から順に伝熱部材52と接着部材53が配置されており、突起部44の対向面441は、伝熱部材52および接着部材53を介して電子部品51と熱的に接触する。対向面441と電子部品51との距離は、伝熱部材52の厚みと接着部材53の厚みを足した合計の厚み以下に設定される。これにより、伝熱部材52および接着部材53を介して対向面441を電子部品51の上面に安定して接触させることができる。なお、これに限られず、電子部品51と突起部44との間には伝熱部材52または接着部材53のみが配置されてもよい。
【0060】
伝熱部材52としては、熱伝導性が良好で、絶縁性が高いものが好ましく、例えばシリコン樹脂製の放熱シートが用いられる。接着部材53に関しても同様に、熱伝導性が良好で、絶縁性が高いものが好ましく、例えばシリコン樹脂製の接着剤が用いられる。接着部材53は、伝熱部材52と突起部44とを接着するだけでなく、接着部材53の変形により、突起部44と電子部品51との軸方向の位置のばらつきを吸収する。さらに、接着部材53は、ヒートシンク4が樹脂外郭10へ嵌合される際に、突起部44から電子部品51への押し付ける力を、接着部材53の変形により逃がす。これにより、突起部44と電子部品51との安定した熱的接続を確保できるとともに、突起部44から軸方向へ加わる力で電子部品51や回路基板5が破損するのを防止することができる。
【0061】
[ヒートシンクの加工工程]
図4は、本実施形態における、ヒートシンク4の加工工程の一部を示す模式図である。本実施形態では、ダイカスト(鋳造)により形成されるヒートシンク4の軸心C方向の寸法精度を高めるため、後加工として、ヒートシンク4の軸方向位置決め部420と対向面441とが平面となるように旋盤で加工している。ヒートシンク4は、まず、鋳造(ダイカスト)工程において、図示しない金型に流し込まれた金属(合金)が固まることによって、その概形が鋳物として形成される。その後、ヒートシンク4は、旋盤加工により、径方向位置決め部430、軸方向位置決め部420、および対向面441のそれぞれが加工される。本実施形態では、ヒートシンク4を、普通旋盤(汎用旋盤)によって、径方向位置決め部430、軸方向位置決め部420、対向面441の順番で加工する場合を例示する。
【0062】
旋盤加工では、鋳造されたヒートシンク4が、図示しないチャック(爪)を用いて、図示しない主軸台(取り付けた部材を回転させる機構)に対して固定される。これにより、ヒートシンク4が、軸心Cを中心に回転する。次に、刃物台に固定されたバイトB(切削加工用の刃物)を、回転するヒートシンク4に対して接触させることで、ヒートシンク4の端面が削れていく。このとき、バイトBを軸心Cの径方向に移動させることで、軸心Cに対して垂直な平面が形成される。また、バイトBを軸心Cに対して平行に移動させることで、円筒面が形成される。
【0063】
図4(A)は、径方向位置決め部430の加工工程を示す断面図である。すなわち、図4(A)に示すように、バイトBを軸心Cと平行に移動させることで、環状突出部43の外周面である径方向位置決め部430は、その径方向寸法が高い精度で形成される。このとき、径方向位置決め部430が、環状突出部43の外周面に形成されていることで、旋盤に対して軸心Cの外径側からバイトBを近づける場合に、環状突出部43が加工の邪魔にならない。そのため、ヒートシンク4がダイカスト(鋳造)により成型された場合であっても、樹脂外郭10(不図示)とヒートシンク4を組み合わせる際、環状突出部43の外周面(径方向位置決め部430)と樹脂外郭10の内周面10a(不図示)とを、高い寸法精度で当接させることができる。
【0064】
図4(B)は、軸方向位置決め部420と対向面441との加工工程を示す断面図である。
また、図4(B)に示すように、バイトBを軸心Cと垂直な径方向に移動させることで、環状突出部43の外径側に形成された軸方向位置決め部420は、その軸方向寸法が高い精度で形成される。このとき、軸方向位置決め部420が、上述の環状突出部43よりも外周側に形成されていることで、旋盤に対して軸心Cの外径側からバイトBを近づける場合に、環状突出部43が加工の邪魔にならない。そのため、ヒートシンク4がダイカスト(鋳造)により成型された場合であっても、樹脂外郭10(不図示)とヒートシンク4を組み合わせる際、ヒートシンク4の軸方向位置決め部420と樹脂外郭10の開口端部101(不図示)とを、高い寸法精度で当接させることができる。
【0065】
さらに、図4(B)に示すように、バイトBを軸心Cと垂直な径方向に移動させることで、環状突出部43の内径側に形成された突起部44の対向面441は、その軸方向寸法が高い精度で形成される。このとき、対向面441は、環状突出部43よりも内周側に形成されているものの、突起部44の突出高さが環状突出部43の突出高さよりも高くなるように形成されていることで、旋盤に対して軸心Cの外径側からバイトBを近づける場合に、環状突出部43が加工の邪魔にならない。そのため、ヒートシンク4がダイカスト(鋳造)により成型された場合であっても、樹脂外郭10(不図示)とヒートシンク4を組み合わせる際、樹脂外郭10に固定された回路基板5とヒートシンク4の突起部44とを、高い寸法精度で位置決めすることができる。
【0066】
[ヒートシンクの作用]
上述のように、本実施形態のヒートシンク4は、樹脂外郭10の開口端部101と当接する軸方向位置決め部420と、樹脂外郭10の開口端部101の内周面に当接する径方向位置決め部430とを有する。このため、樹脂外郭10へのヒートシンク4の組み付けと同時に、樹脂外郭10に対してヒートシンク4が軸方向および径方向の双方向に位置決めされる。
【0067】
より具体的には、一体の部品であるヒートシンク4に、樹脂外郭10に対するヒートシンク4の軸方向の相対位置を位置決めする軸方向位置決め部420が設けられるとともに、回路基板5の電子部品51に対するヒートシンク4の軸方向の相対位置を位置決めする突起部44の対向面441が設けられる。そのため、ヒートシンク4の樹脂外郭10に対する軸方向の相対位置の精度が確保される。これにより、突起部44の対向面441と電子部品51との軸方向の相対位置のばらつき(寸法ばらつき、組立ばらつき)を抑えて、電子部品51からヒートシンク4へと安定的に伝熱し、電動機1の外部へと十分に放熱することができる。
【0068】
また、ヒートシンク4に径方向位置決め部430が形成されていることにより、ヒートシンク4と樹脂外郭10の径方向の組立ばらつきを小さくできるので、ヒートシンク4の突起部44の対向面441を、樹脂外郭10に固定された回路基板5上の電子部品51に軸方向に精度よく対向させることができる。また、第1の軸受71を軸心Cと同軸上に精度よく配置することができる。
【0069】
したがって本実施形態によれば、ヒートシンク4と樹脂外郭10の開口端部101との間に位置決め用の別途の支持部材(例えば、特許文献1に記載の金属ブラケット)を必要とすることなく、樹脂外郭10に対してヒートシンク4を直接組み付けることができる。これにより、例えば特許文献1に記載のように、軸受を支持する金属ブラケットを介して放熱フィンを樹脂外郭の端部に固定する場合と比較して、部品点数の削減および組立作業性の向上を図ることができるだけでなく、樹脂外郭に対するヒートシンクの位置決めの精度を高めることができる。
【0070】
すなわち、樹脂外郭とヒートシンク(放熱フィン)との間に上記金属ブラケットのような他の部材が介在する場合、当該金属ブラケットやヒートシンク自体の厚みばらつき、加工寸法ばらつき、樹脂外郭と金属ブラケットの組立ばらつき、金属ブラケットとヒートシンクの組立ばらつきなどの各種ばらつきの影響を受けて、ヒートシンクと樹脂外郭との間における軸方向および径方向の相対位置のばらつきが生じやすい。このため、回路基板とヒートシンクの突起部との間における所望距離がばらつくことで、とする伝熱特性が安定して確保することができないおそれがあった。
【0071】
これに対して本実施形態によれば、上記金属ブラケットを介在させることなく、ヒートシンク4を樹脂外郭10の開口端部101に直接組み付けているため、上記金属ブラケットの各種ばらつきの影響を小さくし、ヒートシンク4の突起部44を回路基板5(電子部品51)に対して高い精度で位置決めすることができる。これにより、ヒートシンク4の突起部44の対向面441と回路基板5の電子部品51との距離のばらつきを抑えることができる。したがって、突起部44(対向面441)と回路基板5(電子部品51)との距離が必要以上大きくなってしまう(例えば、対向面441と電子部品51との距離が、伝熱部材52の厚みと接着部材53の厚みを足した合計の厚み以上となる)ことを防ぎ、電子部品51からヒートシンク4への伝熱が妨げられ安定した放熱ができなくなってしまうのを防止できる。さらに、対向面441と電子部品51との距離が必要以上小さくなってしまうことを防ぎ、突起部44から軸方向へ加わる力で電子部品51や回路基板5が破損するのを防止できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、ヒートシンク4が軸受収容部41を備えているため、上記金属ブラケットを必要とすることなく第1の軸受71を支持することができる。これにより、部品点数の削減と電動機1の組立作業性の向上を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、ヒートシンク4が寸法ばらつきの大きいダイカスト成型によって形成される場合に、軸方向位置決め部420と対向面441とを、旋盤による後工程で端面処理することで、ヒートシンク4の軸方向の寸法ばらつきを小さくすることができる。よって、突起部44の対向面441と電子部品51との軸方向の相対位置のばらつき(組立ばらつき)をも更に抑えて、電子部品51からヒートシンク4へと安定的に伝熱し、電動機1の外部へと十分に放熱することができる。
【0074】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る電動機1Aの要部の概略断面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0075】
図5に示されるように、本実施形態の電動機1Aは、円板部42Aと、環状突出部43Aと、突起部44とを有するヒートシンク4Aを備える。本実施形態のヒートシンク4Aは、環状突出部43Aが樹脂外郭10の開口端部101よりも外側に位置している点で、第1の実施形態と異なる。
【0076】
本実施形態において、円板部42Aは、樹脂外郭10の開口端部101の外径よりも大きな外径を有する。円板部42Aは、その背面424側に、樹脂外郭10の開口端部101と当接する軸方向位置決め部420Aを有する。軸方向位置決め部420Aは、第1の実施形態と同様に軸心Cに直交する平面で形成される。
【0077】
環状突出部43Aは、円板部42Aの背面424側であって、円板部42Aの外周縁部427から軸方向に突出するように形成される。本実施形態において、外周縁部427とは、円板部42Aの、軸方向位置決め部420Aより外周側の領域である。径方向位置決め部430Aは環状突出部43Aの内周面に形成され、樹脂外郭10の外周面に当接する。
【0078】
以上のように構成される本実施形態のヒートシンク4Aは、樹脂外郭10の開口端部101と当接する軸方向位置決め部420Aと、樹脂外郭10の開口端部101の外周面に当接する径方向位置決め部430を有する。このため、第1の実施形態と同様に、樹脂外郭10へのヒートシンク4Aの組み付けと同時に、樹脂外郭10に対してヒートシンク4Aが軸方向および径方向の双方向に位置決めされる。これにより、ヒートシンク4Aの突起部44を回路基板5(電子部品51)に対して高い精度で位置決めすることができるため、ヒートシンク4Aと回路基板5(電子部品51)との間の良好な伝熱特性を確保することができる。
【0079】
<変形例>
以上の各本実施形態では、ヒートシンク4,4Aの突起部44が一つの場合を記載したが勿論これに限られず、電子部品等に合わせて複数設けられてもよい。例えば、異なる高さの電子部品が2つ以上ある場合、それぞれの高さに合わせた突起部を複数設けてもよいし、2つの同じ高さの電子部品が近くにある場合、一つの突起部で2つの電子部品に突出するように形成されてもよい。
【0080】
また以上の本実施形態では、電動機1のシャフト6の一方の端部に負荷(トルク)が設けられ、その負荷に対して出力をする片軸モータを例に説明したが、シャフト6の両端部に負荷(トルク)が設けられ、その負荷に対して出力をする両軸モータであってもよい。
【0081】
また、以上の本実施形態では、回路基板5は、樹脂外郭10の内周面10aに沿った円板形状であったが、もちろんこれに限られない。載置面9に支持できる形状であればよく、例えば、長方形状であってもよい。
【0082】
さらに以上の実施形態では、回転子本体30が外周側鉄心32、絶縁部材33および内周側鉄心34の3分割構造で構成されたが、これに限られず、単一の鉄心部材で構成されてもよい。
【0083】
また、回転子3は、実施形態のような表面磁石型に限られず、回転子本体30(回転子鉄心)に永久磁石が埋め込まれる磁石埋込穴が複数形成された埋込磁石型であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、1A…電動機
4,4A…ヒートシンク
10…樹脂外郭
101…開口端部
2…固定子
21…固定子鉄心
3…回転子
31…永久磁石部
32…外周側鉄心
33…絶縁部材
34…内周側鉄心
4…ヒートシンク
41…第1の軸受収容部
42,42A…円板部
43,43A…環状突出部
44…突起部
420,420A…軸方向位置決め部
430,430A…環状突出部
5…回路基板
51…電子部品
6…回転シャフト
C…軸心
図1
図2
図3
図4
図5