(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152685
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】スクロール流体機械
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20221004BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F04C18/02 311Q
F04C29/00 E
F04C29/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055545
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 保徳
(72)【発明者】
【氏名】岡部 良次
(72)【発明者】
【氏名】小川 博史
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘文
(72)【発明者】
【氏名】北口 恵太
【テーマコード(参考)】
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H039AA05
3H039AA12
3H039BB03
3H039BB05
3H039BB07
3H039BB08
3H039CC02
3H039CC17
3H039CC35
3H129AA02
3H129AA14
3H129AA33
3H129AB03
3H129BB31
3H129BB32
3H129CC05
3H129CC38
(57)【要約】
【課題】軸受から受ける荷重によって樹脂製の旋回ボス部が破損するリスクを低減させることができるスクロール流体機械を提供する。
【解決手段】渦巻状の固定側壁体が固定側端板の一面に立設されている固定スクロール部材と、固定側壁体と共に圧縮室を画定する渦巻状の旋回側壁体22が旋回側端板21の一面に立設されるとともに筒状の旋回ボス部23が旋回側端板21の他面に形成されている旋回スクロール部材20と、旋回ボス部23の内周面に設けられている補強リング部材30と、補強リング部材30の内周側に設けられるとともにクランク軸が挿入される軸受81と、を備え、旋回スクロール部材20は、樹脂材料で形成され、補強リング部材30は、旋回スクロール部材20を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻状の固定側壁体が固定側端板の一面に立設されている固定スクロール部材と、
前記固定側壁体と共に圧縮室を画定する渦巻状の旋回側壁体が旋回側端板の一面に立設されるとともに筒状の旋回ボス部が前記旋回側端板の他面に形成されている旋回スクロール部材と、
前記旋回ボス部の内周面又は外周面に設けられている補強リング部材と、
前記補強リング部材の内周側又は前記旋回ボス部の内周側に設けられるとともにクランク軸が挿入される軸受と、
を備え、
前記旋回スクロール部材は、樹脂材料で形成され、
前記補強リング部材は、前記旋回スクロール部材を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているスクロール流体機械。
【請求項2】
前記固定スクロール部材は、樹脂材料で形成されている請求項1に記載のスクロール流体機械。
【請求項3】
前記補強リング部材は、前記旋回ボス部からの脱落を防止する抜止め部を有している請求項1又は2に記載のスクロール流体機械。
【請求項4】
前記抜止め部は、前記補強リング部材の外周面又は内周面に形成された凹凸、段差又は勾配とされている請求項3に記載のスクロール流体機械。
【請求項5】
前記旋回スクロール部材の歯元において、前記旋回側壁体と前記旋回側端板とに亘って前記旋回側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた歯元補強部材を備え、
該歯元補強部材は、前記旋回スクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている請求項1から4のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項6】
前記固定スクロール部材の歯元において、前記固定側壁体と前記固定側端板とに亘って前記固定側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた他の歯元補強部材を備え、
該歯元補強部材は、前記固定スクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている請求項1から5のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項7】
前記歯元補強部材は、位置角で少なくとも300°以上660°以下の位置に設けられている請求項5又は6に記載のスクロール流体機械。
【請求項8】
前記歯元補強部材は、前記旋回側壁体の背側にのみ設けられている請求項5から7のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項9】
前記歯元補強部材は、歯底からの高さが歯丈の10%以上50%以下とされている請求項5から8のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項10】
前記歯元補強部材は、前記旋回スクロール部材と機械的に接合する接合部を有している請求項5から9のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項11】
前記接合部は、凹凸、ピン、井桁構造又は貫通穴とされている請求項10に記載のスクロール流体機械。
【請求項12】
前記旋回側端板の前記他面には、前記旋回スクロール部材の自転を防止するピン部材と内接する自転防止リングが嵌め込まれる複数のリング溝が前記旋回側端板の周方向に設けられ、
前記リング溝とそれに隣接する前記リング溝との間には、リブが設けられている請求項1から11のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【請求項13】
前記リング溝とそれに隣接する前記リング溝と前記リブとによって形成された凹所に嵌め込まれた摺動パッドを備えている請求項12に記載のスクロール流体機械。
【請求項14】
前記リング溝及び前記リブは、前記旋回側端板の前記他面に設けられた端板補強部材によって形成され、
前記端板補強部材は、前記固定スクロール部材及び前記旋回スクロール部材を形成する樹脂よりも高弾性率かつ低摩擦な材料で形成されている請求項12又は13に記載のスクロール流体機械。
【請求項15】
前記固定側壁体及び前記旋回側壁体は、歯先から歯元に向かって厚さが漸増している請求項1から14のいずれかに記載のスクロール流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクロール流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール圧縮機に例示されるスクロール流体機械は、一般的に、固定スクロール部材と旋回スクロール部材とを備えている。そして、固定スクロール部材が有す渦巻状の壁体と旋回スクロール部材が有する渦巻状の壁体とが噛み合わされた状態で旋回スクロール部材が公転旋回することで、壁体同士によって画定された密閉空間において流体が圧縮/膨張されるように構成されている。
【0003】
ここで、スクロール流体機械には、固定スクロール部材や旋回スクロール部材がアルミ等の金属で形成されたものの他に、固定スクロール部材や旋回スクロール部材が樹脂で形成されたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなスクロール流体機械において、旋回スクロール部材には、クランク軸が挿入される軸受が嵌合されるボス穴が形成されたボス部が設けられている。
【0006】
ボス部にはクランク軸からの荷重が軸受を介して作用するが、旋回スクロール部材が樹脂で形成されている場合、アルミ製の旋回スクロール部材に設けられたボス部と比較して強度や弾性率が小さいために、ボス部が破損するリスクがある。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、軸受から受ける荷重によって樹脂製の旋回ボス部が破損するリスクを低減させることができるスクロール流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のスクロール流体機械は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係るスクロール流体機械は、渦巻状の固定側壁体が固定側端板の一面に立設されている固定スクロール部材と、前記固定側壁体と共に圧縮室を画定する渦巻状の旋回側壁体が旋回側端板の一面に立設されるとともに筒状の旋回ボス部が前記旋回側端板の他面に形成されている旋回スクロール部材と、前記旋回ボス部の内周面又は外周面に設けられている補強リング部材と、前記補強リング部材の内周側又は前記旋回ボス部の内周側に設けられるとともにクランク軸が挿入される軸受と、を備え、前記旋回スクロール部材は、樹脂材料で形成され、前記補強リング部材は、前記旋回スクロール部材を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、軸受から受ける荷重によって樹脂製の旋回ボス部が破損するリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るスクロール流体機械の部分的な縦断面図である。
【
図2】
図1に示す切断線II-IIにおける断面図である。
【
図5】補強リング部材の凹凸部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図6】補強リング部材のフランジ部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図7】補強リング部材の勾配部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図9】歯元補強部材の凹凸部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図10】歯元補強部材のピン部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図11】歯元補強部材の井桁部を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図12】歯元補強部材の貫通穴を示す旋回スクロール部材の縦断面図である。
【
図13】本開示の第3実施形態に係る旋回スクロール部材の底面斜視図である。
【
図14】スクロール流体機械の部分的な縦断面図である。
【
図17】固定側壁体及び旋回側壁体の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係るスクロール流体機械について図面を用いて説明する。
なお、本開示のスクロール流体機械は圧縮機及び膨張機に適用できるが、以下では圧縮機を例に説明する。
【0012】
図1に示すように、スクロール圧縮機は、固定スクロール部材10、旋回スクロール部材20、クランク軸71及びそれらを収容するハウジング91を備えている。
【0013】
固定スクロール部材10は、固定側端板11及び固定側壁体12を有している。固定スクロール部材10は、金属材料又は樹脂材料で形成されている。金属材料としては、アルミ材等が例示される。樹脂材料としては、例えばスーパーエンジニアリングプラスチック等の樹脂や短繊維複合材料等が例示される。
固定側端板11は、円板状の部材とされている。固定側端板11は、図示しない締結部材によってハウジング91と固定されている。これによって、固定スクロール部材10がハウジング91と固定されることになる。
固定側壁体12は、固定側端板11の一面(
図1においては下面)から立設する渦巻状(
図2参照)の壁部である。
【0014】
図3に示すように、旋回スクロール部材20は、旋回側端板21、旋回側壁体22及び旋回ボス部23を有している。旋回スクロール部材20は、樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、例えばスーパーエンジニアリングプラスチック等の樹脂や短繊維複合材料等が例示される。
旋回側端板21は、円板状の部材とされている。
旋回側壁体22は、旋回側端板21の一面(
図1においては上面)から立設する渦巻状(
図2参照)の壁部である。旋回側壁体22は、固定側壁体12と噛み合わされることによって、固定側壁体12とともに圧縮室95を画定している。
旋回ボス部23は、旋回側端板21の他面(
図1においては下面であって、上記の一面に対向する面)から立設する筒状の部分である。
【0015】
旋回ボス部23の内周面には、補強リング部材30が設けられている。
補強リング部材30は、筒状の部材とされている。補強リング部材30は、旋回スクロール部材20を形成している樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料としては、連続繊維UD(一方向)材、長繊維材、アルミ材、鉄、チタン等が例示される。
【0016】
旋回スクロール部材20を形成している樹脂材料は、選択によって種々の強度及び弾性率を取り得るが、本実施形態では、選択された樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率となるような材料を選択して補強リング部材30を形成していることが特徴である。
【0017】
なお、補強リング部材30は、旋回スクロール部材20を射出成形する際に旋回スクロール部材20と一体化される。すなわち、補強リング部材30は、インサート成形によって旋回スクロール部材20に設けられている。
【0018】
補強リング部材30の内周面には、軸受81が設けられている。軸受81としては、ころ軸受や滑り軸受等が例示される。軸受81の内側には、後述するクランク軸71のクランクピン71bが中心軸線を共有するように挿入される。
補強リング部材30の内周面には、溝31が周方向に沿って形成されている。溝31には、スナップリング82が嵌め込まれる。これによって、軸受81が補強リング部材30から脱落することを防止している。
【0019】
なお、
図3に示す補強リング部材30の高さは、旋回ボス部23の高さと略一致しているが、軸受81が接触可能な範囲及び溝31が形成可能な範囲が確保できていれば旋回ボス部23の高さ未満であってもよい。
【0020】
図1に示すように、クランク軸71は、軸本体71a及びクランクピン71bを有している。
軸本体71aは、軸線C1を中心とする軸状の部材とされている。軸本体71aは、図示しない電動機によって、軸線C1周りに回転駆動される。
クランクピン71bは、軸線C2を中心とする軸状の部材とされ、軸本体71aと一体に形成されている。軸線C2は、軸線C1に対してρだけ偏心している。つまり、クランクピン71bは、軸本体71aが軸線C1周りに回転駆動することで、軸線C1周りに公転運動することになる。
【0021】
軸受81を介してクランク軸71(クランクピン71b)と接続された旋回スクロール部材20は、自転防止機構によって軸線C1周りに公転旋回運動するように構成されている。
【0022】
自転防止機構としては、ピンリング機構が例示される。ピンリング機構は、自転防止リング92及び自転防止ピン93を有している。
図3及び
図4に示すように、自転防止リング92は、旋回側端板21の他面において旋回ボス部23の周方向に設けられた複数のリング溝24に嵌め込まれた筒状の部材である。なお、自転防止リング92は省略することができる。
自転防止ピン93は、ハウジング91に固定されたピン状の部材である。自転防止ピン93は、自転防止リング92の内周面に対して摺動する。
【0023】
スクロール圧縮機は、旋回スクロール部材20が公転旋回運動することによって圧縮室95の容積が変化して圧縮室95に取り込まれた冷媒が圧縮されるように構成されている。
【0024】
旋回スクロール部材20が公転旋回運動するとき、旋回ボス部23には、クランクピン71bからの荷重が軸受81を介して作用する。なお、クランクピン71bからの荷重とは、具体的には、軸線C2に対する半径方向の荷重のことである。
本実施形態では、この荷重の一部を補強リング部材30が受け持つことで、樹脂製の旋回ボス部23がクランクピン71bからの荷重によって破損するリスクを低減している。
【0025】
補強リング部材30には、旋回ボス部23からの脱落を防止する抜止め部を設けることが好ましい。ここで言う抜止め部とは、補強リング部材30を旋回ボス部23に対して機械的に固定する構造を意味する。ただし、抜け止め部は、溶着や接着による固定を採用してもよい。
機械的に固定された抜止め部としては、次の構造が例示される。
【0026】
すなわち、
図5に示すように、補強リング部材30の外周面に形成された凹凸部32を抜止め部とする。
インサート成形時に射出された樹脂材料は、凹凸部32によって形成された窪みに充填される。これによって、補強リング部材30が旋回ボス部23に対して機械的に固定されることになる。
【0027】
また、
図6に示すように、補強リング部材30の外周面に形成されたフランジ部33等の段差を抜止め部としてもよい。
フランジ部33は、旋回ボス部23に対して引っ掛かる突起物となる。これによって、補強リング部材30が旋回ボス部23に対して機械的に固定されることになる。
【0028】
また、
図7に示すように、補強リング部材30の外周面に形成された勾配部34を抜止め部としてもよい。
勾配部34は、旋回側端板21から旋回ボス部23の端部に向かって徐々に縮径している。これによって、補強リング部材30が旋回ボス部23に対して機械的に固定されることになる。
【0029】
なお、補強リング部材30は、旋回ボス部23の外周面に設けられていてもよい。この場合、旋回ボス部23の内周面に軸受81が設けられることになる。
【0030】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
固定スクロール部材10及び旋回スクロール部材20は、樹脂材料で形成され、補強リング部材30は、固定スクロール部材10及び旋回スクロール部材20を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているので、樹脂製の旋回ボス部23が軸受81から受ける半径方向の荷重を補強リング部材30で受け持つことができる。これによって、軸受81から受ける荷重によって樹脂製の旋回ボス部23が破損するリスクを低減させることができる。
【0031】
また、補強リング部材30は、旋回ボス部23からの脱落を防止する抜止め部を有しているので、機械的に補強リング部材30を旋回ボス部23に対して固定することができる。このため、融着や接着で固定した場合と比較して、固定強度の個体差をなくすことができる。
ここで、抜止め部は、例えば補強リング部材30の外周面又は内周面に形成された凹凸部32、フランジ部33等の段差又は勾配部34とされている。
【0032】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態に係るスクロール流体機械について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、第1実施形態に対して歯元補強部材の有無で相違しているが、その他の構成は同様である。このため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図8に示すように、旋回スクロール部材20には、歯元補強部材40が設けられている。
歯元補強部材40は、旋回側壁体22及び旋回側端板21の歯底面に亘って形成された略L字状の断面形状を有した部材である。歯元補強部材40は、内表面が旋回側壁体22及び旋回側端板21に対して面一とされているか、旋回側壁体22及び/又は旋回側端板21の歯底面よりも内部側に埋設されている。なお、歯元補強部材40は、樹脂製とされた固定スクロール部材10にも設けてもよい。
【0034】
歯元補強部材40は、補強リング部材30と同じように、旋回スクロール部材20を形成している樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。これによって、樹脂製の旋回側壁体22が受ける曲げモーメントを歯元補強部材40で受け持つことができる。曲げモーメントは、例えば圧縮室95の内圧や固定スクロール部材10との接触によって発生する。
【0035】
歯元補強部材40は、旋回スクロール部材20の歯元において渦巻方向に沿うよう設けられている。ここで、歯元補強部材40を設ける範囲は、渦巻方向に沿った全範囲でもよいし、限定的な範囲でもよい。限定的な範囲としては、例えば位置角θ(
図2参照)で300°以上660°以下の範囲が例示される。この範囲においては、圧縮室95の内圧に起因した歯元への応力が大きく、この範囲を補強することで、効率的に旋回スクロール部材20の歯元を補強することができる。
【0036】
歯元補強部材40は、旋回側壁体22の腹側及び背側の少なくとも一方に設けられていればよい。なお、
図8に示す歯元補強部材40は、背側にのみ設けられている。この場合、背側から大きな荷重が作用する旋回スクロール部材20に対して効率的に補強をすることができる。
【0037】
歯元補強部材40の高さh(旋回側壁体22の立設方向に沿った歯底からの寸法)は、旋回側壁体22の歯丈の10%以上50%以下とされている。また、歯元補強部材40の幅w(歯底の面内に沿った旋回側壁体22からの寸法)は、歯元補強部材40の高さと同程度とされている。これによって、大きな曲げモーメントが発生しやすい範囲に歯元補強部材40を設けることができる。
【0038】
なお、歯元補強部材40は、旋回スクロール部材20を射出成形する際に旋回スクロール部材20と一体化される。すなわち、歯元補強部材40は、インサート成形によって旋回スクロール部材20に設けられている。
【0039】
歯元補強部材40には、旋回スクロール部材20と接合する接合部を設けることが好ましい。ここで言う接合部とは、歯元補強部材40を旋回スクロール部材20に対して機械的に固定する構造を意味する。ただし、接合部は、溶着や接着による固定を採用してもよい。
機械的に固定された接合部としては、次の構造が例示される。
【0040】
すなわち、
図9に示すように、歯元補強部材40の外表面に形成された凹凸部41を抜止め部とする。
インサート成形時に射出された樹脂材料は、凹凸部41によって形成された窪みに充填される。これによって、歯元補強部材40が旋回スクロール部材20に対して機械的に接合されることになる。
【0041】
また、
図10に示すように、歯元補強部材40の外表面に形成されたピン部42を抜止め部としてもよい。
ピン部42は、歯元補強部材40に対して引っ掛かる突起物となる。これによって、歯元補強部材40が旋回スクロール部材20に対して機械的に固定されることになる。
【0042】
また、
図11に示すように、歯元補強部材40の外表面に形成された井桁部43を抜止め部としてもよい。
インサート成形時に射出された樹脂材料は、井桁部43によって形成された隙間に充填される。これによって、歯元補強部材40が旋回スクロール部材20に対して機械的に接合されることになる。
【0043】
また、
図12に示すように、歯元補強部材40の外表面と内表面とを連通する貫通穴44を抜止め部としてもよい。
インサート成形時に射出された樹脂材料は、貫通穴44の内部に充填される。これによって、歯元補強部材40が旋回スクロール部材20に対して機械的に接合されることになる。
【0044】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
旋回スクロール部材20の歯元において、旋回側壁体22と旋回側端板21とに亘って旋回側壁体22の渦巻方向に沿うよう設けられた歯元補強部材40を備え、歯元補強部材40は、固定スクロール部材10及び旋回スクロール部材20を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているので、樹脂製の旋回側壁体22が受ける曲げモーメントを歯元補強部材40で受け持つことができる。これによって、曲げモーメントによって樹脂製の旋回側壁体22が破損するリスクを低減させることができる。
【0045】
また、歯元補強部材40は、位置角で少なくとも300°以上660°以下の位置に設けられているので、圧縮室95の内圧に起因した曲げモーメントが大きくなりやすい範囲に歯元補強部材40を設けることができる。
【0046】
また、歯元補強部材40は、旋回側壁体22の背側にのみ設けた場合、背側から大きな荷重が作用する旋回スクロール部材20に対して効率的に補強をすることができる。
【0047】
また、歯元補強部材40は、歯底からの高さが歯丈の10%以上50%以下とされているので、大きな曲げモーメントが発生しやすい範囲に歯元補強部材40を設けることができる。
【0048】
また、歯元補強部材40は、旋回スクロール部材20と機械的に接合する接合部を有しているので、機械的に歯元補強部材40を旋回スクロール部材20に対して固定することができる。このため、融着や接着で固定した場合と比較して、固定強度の個体差をなくすことができる。また、歯元補強部材40と旋回スクロール部材20とを強固に一体化させられるので、確実に荷重を歯元補強部材40に受け持たせることができる。
ここで、接合部は、例えば凹凸部41、ピン部42、井桁部43又は貫通穴44とされている。
【0049】
[第3実施形態]
以下、本開示の第3実施形態に係るスクロール流体機械について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、第1実施形態に対してリブ25や摺動パッド60の有無で相違しているが、その他の構成は同様である。このため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図13に示すように、旋回スクロール部材20には、リング溝24と周方向においてそれに隣接するリング溝24との間に、リブ25が形成されている。リブ25は、リング溝24とリング溝24との間に2つの凹所26(窪み)を設けることで形成される。これによって、旋回側端板21の強度を増加させることができる。
【0051】
図14に示すように、この凹所26に、摺動パッド60を嵌め込んでもよい。摺動パッド60は、旋回スクロール部材20が公転旋回運動する際に、ハウジング91に対して摺動する部材である。これによって、スラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
【0052】
以上の通り構成された、リング溝24及びリブ25は、旋回側端板21の他面に設けられた端板補強部材50によって形成されもよい。
図15及び
図16に示すように、端板補強部材50は、旋回ボス部23の周囲かつ旋回側端板21の内側に設けられた円板状(円環状)の部材とされている。このとき、旋回ボス部23の外周面に突起23aを設けてもよい。これによって、端板補強部材50の脱落を防止できる。
【0053】
端板補強部材50は、固定スクロール部材10及び旋回スクロール部材20を形成する樹脂よりも高弾性率かつ低摩擦な材料で形成されている。樹脂材料よりも高弾性率かつ低摩擦な材料としては、連続繊維複合材のうち、摩擦係数が小さく、かつ、摩耗率が小さい樹脂(PEEKやPPS等)を含むものが例示される。これによって、旋回側端板21の変形を低減するとともにスラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
【0054】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
リング溝24とそれに隣接するリング溝24との間には、リブ25が設けられているので、リブ25によって旋回側端板21の強度を増加させることができる。また、リブ25を設けることによって不可避的に凹凸が形成されるので、旋回スクロール部材20を射出成形する際にヒケやクラック等の欠陥が発生するリスクを低減できる。
【0055】
また、凹所26に摺動パッド60を設けた場合も、スラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
【0056】
また、リング溝24及びリブ25は、旋回側端板21の他面に設けられた端板補強部材50によって形成され、端板補強部材50は、固定スクロール部材10及び旋回スクロール部材20を形成する樹脂よりも高弾性率かつ低摩擦な材料で形成されているので、旋回側端板21の変形を低減するとともにスラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
【0057】
[変形例]
以上の通り説明した各実施形態において、
図17に示すように、固定側壁体12及び旋回側壁体22を、歯先から歯元に向かって厚さが漸増するようにテーパ状に形成してもよい。これによって、歯元の強度を増加させることができる。
【0058】
なお、上記の各実施形態は、それぞれ独立して成立し得るものである。例えば、補強リング部材30や歯元補強部材40を省略して端板補強部材50のみを備えた旋回スクロール部材20としてもよいし、歯元補強部材40を省略して補強リング部材30及び端板補強部材50を備えた旋回スクロール部材20としてもよい。
【0059】
以上の通り説明した各実施形態は、例えば以下のように把握される。
すなわち、本開示の一実施形態に係るスクロール流体機械は、渦巻状の固定側壁体(11)が固定側端板(12)の一面に立設されている固定スクロール部材(10)と、前記固定側壁体と共に圧縮室(95)を画定する渦巻状の旋回側壁体(21)が旋回側端板(22)の一面に立設されるとともに筒状の旋回ボス部(23)が前記旋回側端板の他面に形成されている旋回スクロール部材(20)と、前記旋回ボス部の内周面又は外周面に設けられている補強リング部材(30)と、前記補強リング部材の内周側又は前記旋回ボス部の内周側に設けられるとともにクランク軸(71)が挿入される軸受(81)と、を備え、前記固定スクロール部材及び前記旋回スクロール部材は、樹脂材料で形成され、前記補強リング部材は、前記固定スクロール部材及び前記旋回スクロール部材を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。
【0060】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、固定スクロール部材及びスクロール部材は、樹脂材料で形成され、補強リング部材は、固定スクロール部材及びスクロール部材を形成する樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているので、樹脂製の旋回ボス部が軸受から受ける半径方向の荷重を補強リング部材で受け持つことができる。これによって、軸受から受ける荷重によって樹脂製の旋回ボス部が破損するリスクを低減させることができる。
樹脂材料としては、例えばスーパーエンジニアリングプラスチック等の樹脂や短繊維複合材料等が例示される。
樹脂材料よりも高強度かつ高弾性率な材料としては、連続繊維一方向(UD)材、長繊維材、アルミ材、鉄、チタン等が例示される。
【0061】
また、本開示の一実施形態に係るスクロール流体機械において、前記固定スクロール部材は、樹脂材料で形成されている。
【0062】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、固定スクロール部材は、樹脂材料で形成されているので、固定スクロールの軽量化を図ることができる。
【0063】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記補強リング部材は、前記旋回ボス部からの脱落を防止する抜止め部を有している。
【0064】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、前記補強リング部材は、旋回ボス部からの脱落を防止する抜止め部を有しているので、機械的に補強リング部材を旋回ボス部に対して固定することができる。このため、融着や接着で固定した場合と比較して、固定強度の個体差をなくすことができる。
【0065】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記抜止め部は、前記補強リング部材の外周面又は内周面に形成された凹凸(32)、段差(33)又は勾配(34)とされている。
【0066】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、抜止め部は、補強リング部材の外周面又は内周面に形成された凹凸、段差又は勾配とされているので、機械的な構造によって補強リング部材を旋回ボス部に対して固定することができる。
【0067】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機は、前記旋回スクロール部材の歯元において、前記旋回側壁体と前記旋回側端板とに亘って前記旋回側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた歯元補強部材(40)を備え、該歯元補強部材は、前記固定スクロール部材及び前記旋回スクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。
【0068】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、旋回スクロール部材の歯元において、旋回側壁体と旋回側端板とに亘って旋回側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた歯元補強部材を備え、歯元補強部材は、固定スクロール部材及びスクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているので、樹脂製の旋回側壁体が受ける曲げモーメントを歯元補強部材で受け持つことができる。これによって、曲げモーメントによって樹脂製の旋回側壁体が破損するリスクを低減させることができる。曲げモーメントは、例えば圧縮室の内圧や固定スクロール部材との接触によって発生する。
【0069】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機は、前記固定スクロール部材の歯元において、前記固定側壁体と前記固定側端板とに亘って前記固定側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた他の歯元補強部材を備え、該歯元補強部材は、前記固定スクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されている。
【0070】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、固定スクロール部材の歯元において、固定側壁体と固定側端板とに亘って固定側壁体の渦巻方向に沿うよう設けられた他の歯元補強部材を備え、歯元補強部材は、固定スクロール部材を形成する樹脂よりも高強度かつ高弾性率な材料で形成されているので、樹脂製の固定側壁体が受ける曲げモーメントを歯元補強部材で受け持つことができる。これによって、曲げモーメントによって樹脂製の固定側壁体が破損するリスクを低減させることができる。曲げモーメントは、例えば圧縮室の内圧や旋回スクロール部材との接触によって発生する。
【0071】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、歯元補強部材は、位置角で少なくとも300°以上660°以下の位置に設けられている。
【0072】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、歯元補強部材は、位置角で少なくとも300°以上660°以下の位置に設けられているので、圧縮室の内圧に起因した曲げモーメントが大きくなりやすい範囲に歯元補強部材を設けることができる。
【0073】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記歯元補強部材は、前記旋回側壁体の背側にのみ設けられている。
【0074】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、歯元補強部材は、旋回側壁体の背側にのみ設けられているので、背側から大きな荷重が作用する旋回スクロール部材に対して効率的に補強をすることができる。
【0075】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記歯元補強部材は、歯底からの高さが歯丈の10%以上50%以下とされている。
【0076】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、歯元補強部材は、歯底からの高さが歯丈の10%以上50%以下とされているので、大きな曲げモーメントが発生しやすい範囲に歯元補強部材を設けることができる。
【0077】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、歯元補強部材は、前記旋回スクロール部材と機械的に接合する接合部を有している。
【0078】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、歯元補強部材は、旋回スクロール部材と機械的に接合する接合部を有しているので、機械的に歯元補強部材を旋回スクロール部材に対して固定することができる。このため、融着や接着で固定した場合と比較して、固定強度の個体差をなくすことができる。また、歯元補強部材と旋回スクロール部材とを強固に一体化させられるので、確実に荷重を歯元補強部材に受け持たせることができる。
【0079】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、接合部は、凹凸(41)、ピン(42)、井桁構造(43)又は貫通穴(44)とされている。
【0080】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、接合部は、凹凸、ピン、井桁構造又は貫通穴とされているので、機械的な構造によって歯元補強部材を旋回スクロール部材に対して固定することができる。
【0081】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記旋回側端板の前記他面には、前記旋回スクロール部材の自転を防止するピン部材(93)と内接する自転防止リング(92)が嵌め込まれる複数のリング溝(24)が前記旋回側端板の周方向に設けられ、前記リング溝とそれに隣接する前記リング溝との間には、リブ(25)が設けられている。
【0082】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、旋回側端板の他面には、旋回スクロール部材の自転を防止するピン部材と内接する自転防止リングが嵌め込まれる複数のリング溝が旋回側端板の周方向に設けられ、リング溝とそれに隣接するリング溝との間には、リブが設けられているので、リブによって旋回側端板の強度を増加させることができる。また、リブを設けることによって不可避的に凹凸が形成されるので、旋回スクロール部材を射出成形する際にヒケやクラック等の欠陥が発生するリスクを低減できる。
【0083】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機は、前記リング溝とそれに隣接する前記リング溝と前記リブとによって形成された凹所(26)に嵌め込まれた摺動パッド(60)を備えている。
【0084】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、リング溝とそれに隣接するリング溝とリブとによって形成された凹所に嵌め込まれた摺動パッドを備えているので、スラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
【0085】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記リング溝及び前記リブは、前記旋回側端板の前記他面に設けられた端板補強部材(50)によって形成され、前記端板補強部材は、前記固定スクロール部材及び前記旋回スクロール部材を形成する樹脂よりも高弾性率かつ低摩擦な材料で形成されている。
【0086】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、リング溝及びリブは、旋回側端板の他面に設けられた端板補強部材によって形成され、端板補強部材は、固定スクロール部材及びスクロール部材を形成する樹脂よりも高弾性率かつ低摩擦な材料で形成されているので、旋回側端板の変形を低減するとともにスラストプレート等の焼付防止を目的とした部品を省略することができる。
樹脂材料よりも高弾性率かつ低摩擦な材料としては、連続繊維複合材のうち、低摩擦係数かつ低摩耗率の樹脂(PEEKやPPS等)を含むものが例示される。
【0087】
また、本開示の一態様に係るスクロール圧縮機において、前記固定側壁体及び前記旋回側壁体は、歯先から歯元に向かって厚さが漸増している。
【0088】
本態様に係るスクロール流体機械によれば、固定側壁体及び旋回側壁体は、歯先から歯元に向かって厚さが漸増しているので、大きな曲げモーメントが発生しやすい歯元の強度を増加させることができる。
【符号の説明】
【0089】
10 固定スクロール部材
11 固定側端板
12 固定側壁体
20 旋回スクロール部材
21 旋回側端板
22 旋回側壁体
23 旋回ボス部
23a 突起
24 リング溝
25 リブ
26 凹所
30 補強リング部材
31 溝
32 凹凸部
33 フランジ部
34 勾配部
40 歯元補強部材
41 凹凸部
42 ピン部
43 井桁部
44 貫通穴
50 端板補強部材
60 摺動パッド
71 クランク軸
71a 軸本体
71b クランクピン
81 軸受
82 スナップリング
91 ハウジング
92 自転防止リング
93 自転防止ピン
95 圧縮室