(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152707
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両修理費用保険契約運用システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20221004BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055573
(22)【出願日】2021-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】507391155
【氏名又は名称】住友三井オートサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 一
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対人や対物の賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険であって、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも少額の保険金額を設定可能な、新しい車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムを提供する。
【解決手段】車両修理費用保険契約運用システムは、既に加入している車両保険の有無を判定し、車両保険に加入していない場合に、契約者10の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料を表示して設定させ、表示された保険料に応じた保険金額を表示して設定させ、設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる。そして、事故発生時に、事故報告を受け付け、事故報告を受け付けた車両についての保険契約を確認して、保険金の支払対象であるか否かを判定し、保険金の支払対象であると判定された時は、修理費の支払処理を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムであって、
既に加入している車両保険の有無を判定する加入判定手段と、
車両保険に加入していない場合に、契約者の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料を表示して設定させる保険料表示設定手段と、
表示された保険料に応じた保険金額を表示して設定させる保険金額表示設定手段と、
設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる契約手段と、
事故発生時に、事故報告を受け付ける事故報告受付手段と、
前記事故報告を受け付けた車両についての保険契約を確認して、保険金の支払対象であるか否かを判定する有責判定手段と、
前記保険金の支払対象であると判定された時は、修理費の支払処理を行う支払処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項2】
前記修理費の支払処理を、損害査定を行うことなく行うことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項3】
車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する手段と、
該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項4】
前記事故報告を受け付けた事故についての当事者の過失割合に応じて、事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する債権額算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項5】
前記加入判定手段で、既に車両保険に加入していると判定された時に、保険金額が車両価額に達していなければ、車両価額と加入済みの車両保険の保険金額の差の範囲内で車両修理費用保険が契約可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両修理費用保険契約運用システムに係り、特に、対人賠償保険や対物賠償保険などの賠償保険とは別個に契約可能な、新しい車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の保険には、自動車損害賠償保障法によって全ての車の所有者に加入が義務付けられた強制保険である自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)の他に、自賠責保険では補いきれない損害をカバーするために契約者が任意に加入する任意保険である対人賠償保険、対物賠償保険、搭乗者傷害保険及び車両保険等がある。
【0003】
このうち車両保険の保険料算定や設定に関しては、特許文献1乃至3に記載されている技術がある。
【0004】
又、事故発生時の損害査定に関しては、特許文献4や5に記載されている技術がある。
【0005】
又、特許文献6には、複数の保険から車両に適用する保険を選定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-256655号公報
【特許文献2】特開2006-39642号公報
【特許文献3】特表2020-530578号公報
【特許文献4】特開2003-67578号公報
【特許文献5】特開2002-7713号公報
【特許文献6】国際公開第2017/168883号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来は、対人・対物賠償保険等を締結することなく車両保険単独で契約することができなかった。したがって、車両保険の事故実績によって対人・対物賠償保険等の割引率が変化し保険料も変動するという問題があり、これを避けるために車両保険を契約しなかったり、契約者によっては少額の損害の場合は車両保険を使わない等、車両保険が使いにくいという問題があった。又、車両保険の保険金額も車両価額に応じた額しか設定できず、生命保険のように契約者が負担可能な保険料に応じた保険金額を任意に設定できないという問題もあった。更に、保険料は業種、走行距離、保険の使用実績等に応じて決まり、危険運転や安全運転等の運転者の運転挙動を反映することができないという問題もあった。又、損害査定が複雑で調査・査定から損害認定まで時間がかかり、なかなか修理に着手できず保険金の支払も遅いという問題もあった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、対人や対物の賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険であって、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも少額の保険金額を設定可能な新しい車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムであって、既に加入している車両保険の有無を判定する加入判定手段と、車両保険に加入していない場合に、契約者の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料を表示して設定させる保険料表示設定手段と、表示された保険料に応じた保険金額を表示して設定させる保険金額表示設定手段と、設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる契約手段と、事故発生時に、事故報告を受け付ける事故報告受付手段と、前記事故報告を受け付けた車両についての保険契約を確認して、保険金の支払対象であるか否かを判定する有責判定手段と、前記保険金の支払対象であると判定された時は、修理費の支払処理を行う支払処理手段と、を備えることにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
ここで、前記修理費の支払処理を、損害査定を行うことなく行うことができる。
【0011】
又、車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する手段と、該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、を更に備えることができる。
【0012】
又、前記事故報告を受け付けた事故についての当事者の過失割合に応じて、事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する債権額算出手段を更に備えることができる。
【0013】
又、前記加入判定手段で、既に車両保険に加入していると判定された時に、保険金額が車両価額に達していなければ、車両価額と加入済みの車両保険の保険金額の差の範囲内で車両修理費用保険を契約可能とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対人・対物などの賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険であるため、事故実績(車両保険の修理実績)によって対人・対物賠償保険の保険料が変動することがない。又、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額を設定することが可能であるため、保険料を予算に応じてコントロールすることができる。
【0015】
特に、修理費の支払処理を損害査定を行うことなく行うようにした場合は、調査・査定や損害認定を待つことなく修理に着手することができ、迅速な修理が可能である。
【0016】
又、運転挙動に応じて保険料と保険金額の関係を変更できるようにした場合は、安全運転や危険運転等の運転挙動に応じた適切な保険料を設定することができ、運転者や契約者に安全運転を促すことができる。
【0017】
又、既に加入している車両保険の保険金額が車両価額に達していない場合に、車両価額と加入済みの車両保険の保険金額の差の範囲内で車両修理費用保険を契約可能とした場合は、補償内容を充実させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】前記実施形態で保険金額を設定する画面の例を示す図
【
図5】従来の自動車保険契約の事故処理の流れを示す図
【
図6】本発明の実施形態における損害調査の仕組みを示す図
【
図7】従来の自動車保険契約の損害調査の仕組みを示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0020】
【0021】
本実施形態は、契約者10が操作するスマートフォンやパソコンにインストールされた利用アプリ11と、車両20に搭載された車載器22等のコネクテッド機器と、車両20の運転者24が携帯するスマートフォン等の携帯機器にインストールされた行動アプリ26や挙動報告アプリと、前記利用アプリ11、車載器22、行動アプリ26と携帯電話回線TやインターネットIを介して接続されたクラウドサーバー30と、該クラウドサーバー30とインターフェイス手段32を介して接続されたキーボード40、ディスプレイ42、プリンタ44等を備えている。
【0022】
前記クラウドサーバー30は、そのインターフェイス手段32及びインターネットIを介して、車両保険の契約を記録した契約データベース(DB)200、事故車両を修理する修理工場300等と接続されている。
【0023】
本発明に係る、賠償保険とは別個に契約可能な新しい車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システム100は、前記クラウドサーバー30内に設けられたコンピュータで構成されており、契約者10が既に加入している車両保険の有無を契約DB200に照会して判定する加入判定手段110と、加入判定結果を記憶する加入判定結果記憶手段112と、前記車載器22や行動アプリ26の出力に基づいて運転者24の運転挙動を検知する運転挙動検知手段114と、検知された運転挙動を記憶する運転挙動記憶手段116と、車両保険に加入していない場合に、契約者10の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する、前記運転挙動記憶手段116に記憶された運転挙動により変化する関係に基づく保険料を、契約者10のスマートフォンやパソコンのディスプレイに表示して設定させる保険料表示設定手段120と、設定された保険料を記憶する保険料記憶手段122と、表示された保険料に対応する保険金額を表示して設定させる保険金額表示設定手段124と、設定された保険金額を記憶する保険金額記憶手段126と、設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる契約手段130と、成立した保険契約を記憶し、例えばインターネットIを介して前記契約DB200に送る契約記憶手段132と、事故発生時に、契約者10や運転者24からの事故報告を受け付ける事故報告受付手段140と、受け付けた事故報告を記憶する事故報告記憶手段142と、事故報告を受け付けた車両についての契約を契約DB200に確認して、有効な契約があり、且つ、保険料が支払われている保険金の支払対象であるか否かを判定する有責判定手段150と、有責判定結果を記憶する有責判定結果記憶手段152と、保険金の支払対象であると判定された時は、損害査定を行うことなく、例えば修理工場300への修理費の支払処理を行う支払処理手段160と、支払った修理費の金額を記憶する支払金額記憶手段162と、例えば携帯電話回線T又はインターネットIを介して契約者10への保険金支払完了報告を行う支払完了報告手段170と、支払完了報告を記憶する支払完了報告記憶手段172と、事故報告を受け付けた事故についての当事者の過失割合に応じて、事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する債権額算出手段180と、算出された債権額を記憶する債権額記憶手段182と、を備えている。
【0024】
前記保険金額表示設定手段124による保険金額の設定画面の例を
図2に示す。
【0025】
本発明においては、従来の車両保険と異なり、車両価額にかかわらず、契約者10の方針で、予算に応じて、車両価額よりも低額の保険金額が、例えば5万円単位で例えば5万円から500万円まで設定可能である。勿論、車両価額と同額の保険金額を設定することも可能である。
図2は、毎月3,000円の支払を入力すると75万円の保険金額が表示されることを示している。画面には更に参考として、保険料が月額5,000円なら保険金額が108万円、保険料が月額10,000円なら保険金額が260万円になることも表示されている。
【0026】
ここで、保険料と保険金額の関係を、運転者24の運転挙動に基づいて変更させることにより、安全運転を促すことができる。
【0027】
これに対して従来の自動車保険における車両保険は、車種、グレード、登録年式により車両保険価額が算定され、価額範囲を上回ったり下回ったりすることは許されていなかった。例えば2017年式のA車の場合、車両保険設定可能金額は190~240万円の範囲で、保険料は例えば16等級の場合、62,000円であった。これに対して本発明の実施例によれば、同年式の車両の場合、例えば契約者10の希望保険料年間36,000円に応じて75万円という保険金額を設定することができる。
【0028】
【0029】
契約希望があった場合、まず、ステップ1000で契約DB200に照会して、既に加入している車両保険の有無を判定し、判定結果を加入判定結果記憶手段112に記憶する。判定結果が否であり車両保険に加入していない場合には、ステップ1100に進み、契約者10の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料(運転挙動に応じて変化)を表示して設定させ、保険料記憶手段122に記憶する。
【0030】
この際、表示される保険料を、車載器22等のコネクテッド機器による車両20の動態管理結果や、運転者24からの行動アプリ26や業務報告アプリによる行動管理結果を反映した額とすることができる。これにより、IoTやオンラインによる車・ヒトの行動把握技術を用いて能動的に優良運転者を育成することができる。
【0031】
次いで、ステップ1150に進み、表示された保険料に対応する保険金額を保険金額表示設定手段124に表示して設定させ、保険金額記憶手段126に記憶する。
【0032】
前記保険料記憶手段122に記憶された保険料と前記保険金額記憶手段126に記憶された保険金額により、ステップ1200で保険契約を成立させ、契約記憶手段132に記憶すると共に契約DB200に記録する。
【0033】
事故が発生し、ステップ1300で契約者10から事故報告12(
図4参照)が入った場合には、ステップ1400で事故報告12を受け付けると共に、事故報告記憶手段142に記憶する。
【0034】
次いで、ステップ1500で、有効な契約があり、且つ、保険料が支払われているか否か、即ち、保険会社に支払責任がある有責であるか否かを判定し、判定結果を有責判定結果記憶手段152に記憶する。判定結果が正である場合には、ステップ1600に進み、複雑な損害査定を行うことなく、例えば修理工場300や整備店からの請求に応じて修理費を支払うと共に、支払った修理費を支払金額記憶手段162に記憶する。なお、ステップ1600で、例えば調査員による現物調査を省略した、写真だけによる簡単な損害査定や、従来と同様の損害査定を行うことも可能である。
【0035】
次いで、ステップ1700に進み、契約者10に支払完了報告を行って、支払完了報告記憶手段172に記憶する。
【0036】
次いで、ステップ1800に進み、単独事故か否かを判定する。判定結果が否である場合には、ステップ1900に進み、過失割合に応じて事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出すると共に、債権額記憶手段182に記憶する。
【0037】
一方、ステップ1000の判定結果が正であり既に加入している車両保険があると判定された場合には、ステップ2000に進み、既に加入している車両保険の保険金額が車両価額に達しているか否かを判定し、前記加入判定結果記憶手段112に記憶する。判定結果が否である場合には、ステップ2100に進み、加入済みの車両保険の車両価額と保険金額の差の範囲内の保険金額に対する保険料(運転挙動に応じて変化)を表示し設定させて保険料記憶手段122に記憶し、ステップ1150に戻る。
【0038】
ステップ2000の判定結果が正である場合、ステップ1300、1500の判定結果が否である場合、ステップ1800の判定結果が正である場合には、処理を終了する。
【0039】
本発明の実施形態における事故処理の流れを
図4に示す。
【0040】
車両保険の顧客である契約者10や車両20の運転者24が例えばインターネットIやスマートフォンのアプリで事故報告12を行うと、例えば24時間受付コールセンター(オンライン)50が受け付け、クラウドサーバー30が設けられた事故対応サービスセンター(集中センター)60に連絡する。
【0041】
すると、事故対応サービスセンター60は、車両修理費用保険契約運用システム100の事故報告受付手段140で事故受付14を行い、次いで有責判定手段150で契約確認(有責判断)を行い、次いで初動受付手段154で初動受付を行って備金を計上し、次いで支払処理手段160で、複雑な損害査定を行うことなく修理工場300や整備店からの修理費請求にしたがって修理工場300等に対する支払処理(決裁・振込)を行う。そして、支払完了報告手段170で保険金支払完了報告を契約者10に行う。
【0042】
修理費支払い後、支払後代位で債権回収を行うべく債権額算出手段180で事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する。
【0043】
これに対して従来は、
図5に示す如く、契約者10からの事故報告12を電話で代理店18が受け付け、営業拠点19が他社共有DB400から、同一車両に関する事故履歴や保険金請求履歴等のロス情報の提供を受け、代理店18又はウェブ/コールシステムを介して24時間受付コールセンター(有人・オンライン)52に連絡が行く。すると24時間受付コールセンター52と全国各地の事故対応サービスセンター62が共同して、事故受付、契約確認(有責判断)、事故登録(担当設定)、初動受付(備金計上)、調査・査定開始、調査・査定活動、損害認定、支払処理(決裁・振込)、保険金支払完了報告、支払後代位による債権回収を行っていた。したがって、損害査定に多くの時間がかかり、修理になかなか着手できないという問題点を有していた。特に近年、自動車のASV(Advanced Safety Vehicle)化、自動運転レベル高度化により、自動車事故の要因が人(運転者)から車(工業製造品)に移りつつある。その結果として、自動車事故の発生要因は複雑化する予測である。これにより、従来型自動車保険の損害査定(支払額確定)プロセスが長期化するおそれがあった。これに対して本発明によれば、損害査定プロセスを省略又は極端に軽減することにより、迅速な支払(修理)が可能となる。
【0044】
本発明の実施形態における損害調査の仕組みを
図6に示す。
【0045】
事故報告12を24時間受付コールセンター50経由で事故対応サービスセンター60が受け付けた後、車両修理費用保険契約運用システム100が契約DB200、事故DB230、コネクテッド機器データ情報及び行動アプリ(スマホアプリ)からの情報を運転挙動として記憶した運転DB240と連携をとって、
図4に示した処理を含む処理工程管理、支払備金管理、着信管理(写真/書類)、情報提供、決裁(支払確定)を行い、修理工場300への保険金支払を行う。
【0046】
これに対して従来は、
図7に示す如く、調査員が事故車両を調べた損害調査情報16を受けて、法令・判例DB210や他社共有DB400とも連携して損害調査を行って損害査定と保険金算定を行っていたため、時間がかかっていた。
【0047】
なお、前記実施形態では、損害査定を全く行わないようにしていたが、例えば調査員による現物調査を省略した、写真だけによる簡単な損害査定や、従来と同様の損害査定を行うことも可能である。
【0048】
又、車載器22や行動アプリ26による運転挙動検知手段114や運転DB240を省略して、運転挙動にかかわらず、保険料と保険金額の関係を一定に固定することもできる。
【0049】
更に、単独事故でない場合は、相手方から回収すべき修理費を算出するようにしていたが、これを省略することもできる。
【0050】
又、車両保険に既に加入していても、本発明に係る新しい車両保険への加入を可能としていたが、新しい車両保険への追加加入を認めないようにすることもできる。
【0051】
更に、24時間受付コールセンター50でオンライン以外の受付を可能にしたり、24時間受付を止めることもできる。
【0052】
又、事故対応サービスセンター60も、一個所の集中センターに限定されず、例えば東日本、西日本等、複数設けることもできる。
【0053】
更に、車両修理費用保険契約運用システム100を設ける場所もクラウドサーバー30に限定されない。
【符号の説明】
【0054】
10…契約者(顧客)
11…利用アプリ
12…事故報告
20…車両
22…車載器(コネクテッド機器)
24…運転者
26…行動アプリ
30…クラウドサーバー
50…24時間受付コールセンター
60…事故対応サービスセンター
100…車両修理費用保険契約運用システム
110…加入判定手段
114…運転挙動検知手段
120…保険料表示設定手段
124…保険金額表示設定手段
130…契約手段
140…事故報告受付手段
150…有責判定手段
160…支払処理手段
170…支払完了報告手段
180…債権額算出手段
200…契約DB
230…事故DB
240…運転DB
300…修理工場
I…インターネット
T…携帯電話回線
【手続補正書】
【提出日】2021-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムであって、
既に加入している車両保険の有無を判定する加入判定手段と、
車両保険に加入していない場合に、契約者の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料を表示して設定させる保険料表示設定手段と、
表示された保険料に応じた保険金額を表示して設定させる保険金額表示設定手段と、
設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる契約手段と、
事故発生時に、事故報告を受け付ける事故報告受付手段と、
前記事故報告を受け付けた車両についての保険契約を確認して、保険金の支払対象であるか否かを判定する有責判定手段と、
前記保険金の支払対象であると判定された時は、修理費の支払処理を行う支払処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項2】
前記修理費の支払処理を、損害査定を行うことなく行うことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項3】
車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する運転挙動検知手段と、
該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項4】
前記事故報告を受け付けた事故についての当事者の過失割合に応じて、事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する債権額算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項5】
前記加入判定手段で、既に車両保険に加入していると判定された時に、保険金額が車両価額に達していなければ、車両価額と加入済みの車両保険の保険金額の差の範囲内で車両修理費用保険が契約可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
又、車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する運転挙動検知手段と、該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、を更に備えることができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賠償保険とは別個に契約可能な車両修理費用保険のための車両修理費用保険契約運用システムであって、
既に加入している車両保険の有無を判定する加入判定手段と、
車両保険に加入していない場合に、契約者の希望に応じて、車両価額又は車両価額とは独立して車両価額よりも低額の保険金額に対応する保険料を表示して設定させる保険料表示設定手段と、
表示された保険料に応じた保険金額を表示して設定させる保険金額表示設定手段と、
設定された保険料と保険金額により保険契約を成立させる契約手段と、
事故発生時に、事故報告を受け付ける事故報告受付手段と、
前記事故報告を受け付けた車両についての保険契約を確認して、保険金の支払対象であるか否かを判定する有責判定手段と、
前記保険金の支払対象であると判定された時は、修理費の支払処理を行う支払処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項2】
前記修理費の支払処理を、損害査定を行うことなく行うことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項3】
車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する運転挙動検知手段と、
該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項4】
前記事故報告を受け付けた事故についての当事者の過失割合に応じて、事故の相手方から回収すべき修理費を債権額として算出する債権額算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【請求項5】
前記加入判定手段で、既に車両保険に加入していると判定された時に、保険金額が車両価額に達していなければ、車両価額と加入済みの車両保険の保険金額の差の範囲内で車両修理費用保険が契約可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両修理費用保険契約運用システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
又、車両に取付けたコネクテッド機器、及び、運転者の行動アプリの少なくともいずれかに応じて運転挙動を検知する運転挙動検知手段と、該運転挙動検知手段により検知した運転挙動に応じて、保険料と保険金額の関係を変更する手段と、を更に備えることができる。