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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152733
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】抗体結合磁性粒子の保存安定化方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G01N33/543 541A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055608
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 万友美
(72)【発明者】
【氏名】中島 旭
(72)【発明者】
【氏名】石橋 一馬
(57)【要約】
【課題】抗体結合磁性粒子に固定化した抗体の安定性を高め、継続的に安定した測定を可能にすることを課題とする。
【解決手段】pHが5.7~6.8である溶液と、抗体結合磁性粒子とを接触させることを含む、抗体結合磁性粒子の保存安定化方法であって、
前記溶液が、緩衝液を含む、前記方法により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHが5.7~6.8である溶液と、抗体結合磁性粒子とを接触させることを含む、抗体結合磁性粒子の保存安定化方法であって、
前記溶液が、緩衝液を含む、前記方法。
【請求項2】
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、請求項1に記載の保存安定化方法。
【請求項3】
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、請求項1又は2に記載の保存安定化方法。
【請求項4】
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、請求項1~3のいずれかに記載の保存安定化方法。
【請求項5】
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、請求項1~4のいずれかに記載の保存安定化方法。
【請求項6】
前記溶液が、ブロッキング剤をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の保存安定化方法。
【請求項7】
抗体結合磁性粒子と
緩衝液と
を含み、pHが5.7~6.8である、懸濁液。
【請求項8】
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、請求項7に記載の懸濁液。
【請求項9】
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、請求項7又は8に記載の懸濁液。
【請求項10】
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、請求項7~9のいずれかに記載の懸濁液。
【請求項11】
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、請求項7~10のいずれかに記載の懸濁液。
【請求項12】
請求項7~11のいずれかに記載の懸濁液を用いる、抗原の分析方法。
【請求項13】
緩衝液を含み、pHが5.7~6.8である、抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液。
【請求項14】
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、請求項13に記載の懸濁用溶液。
【請求項15】
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、請求項13又は14に記載の懸濁用溶液。
【請求項16】
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、請求項13~15のいずれかに記載の懸濁用溶液。
【請求項17】
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、請求項14~16のいずれかに記載の懸濁用溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体結合磁性粒子の保存安定化方法に関する。また、本発明は、抗体結合磁性粒子を含む懸濁液、及び抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液に関する。本発明は、免疫分析方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
免疫分析(イムノアッセイ)は、抗体を用いて試料に含まれる被検出物質の存在若しくは不存在、又は量を分析する方法である。近年では、この免疫分析において、磁性粒子を用いた全自動測定が行われることが多い。磁性粒子を利用した免疫分析は、以下のような手順で進行する。(1)試料中の被検出物質と特異的に反応する抗体または抗原を固相化した抗体結合磁性粒子を用意する。(2)この抗体結合磁性粒子を試料中の被検出物質と反応させる。(3)被検出物質と特異的に反応する標識された抗原又は抗体などを反応させる。(4)この標識を利用したシグナルを検出して、被検出物質の存在若しくは不存在、又は量を分析する。
【0003】
上記のような手順で免疫分析を行うためのキット又は試薬が販売されている。しかし、経時的に物質の活性が低下したり、保存状態によって物質の活性が変化したりすると正確な測定結果は期待できず、大きな問題となる。このような問題を防止するために、抗体結合磁性粒子は、種々の溶液中に懸濁した状態で保存することが提案されている。例えば、特許文献1では、ラクトース及びグリシンを含む溶液中で抗原又は抗体を固定化した粒子を保存することが開示されている(特許文献1)。しかしながら、上記の方法では、溶液中に特定の物質を添加する必要がある。また、液状で長期間保存する場合には、満足な効果が得られない場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6449221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、抗体結合磁性粒子に固定化した抗体の安定性を高め、継続的に安定した測定を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討した。そして、緩衝液を含む、pHが5.7~6.8である溶液を用いることで、抗体結合磁性粒子を安定的に保存できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は以下のとおりである。
<1>
pHが5.7~6.8である溶液と、抗体結合磁性粒子とを接触させることを含む、抗体結合磁性粒子の保存安定化方法であって、
前記溶液が、緩衝液を含む、前記方法。
<2>
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、<1>に記載の保存安定化方法。
<3>
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、<1>又は<2>に記載の保存安定化方法。
<4>
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、<1>~<3>のいずれかに記載の保存安定化方法。
<5>
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、<1>~<4>のいずれかに記載の保存安定化方法。
<6>
前記溶液が、ブロッキング剤をさらに含む、<1>~<5>のいずれかに記載の保存安定化方法。
<7>
抗体結合磁性粒子と
緩衝液と
を含み、pHが5.7~6.8である、懸濁液。
<8>
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、<7>に記載の懸濁液。
<9>
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、<7>又は<8>に記載の懸濁液。
<10>
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、<7>~<9>のいずれかに記載の懸濁液。
<11>
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、<7>~<10>のいずれかに記載の懸濁液。
<12>
<7>~<11>のいずれかに記載の懸濁液を用いる、抗原の分析方法。
<13>
緩衝液を含み、pHが5.7~6.8である、抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液。
<14>
前記緩衝液の20℃におけるpKa値が、5.0~8.2である、<13>に記載の懸濁用溶液。
<15>
前記緩衝液が、MES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisである、<13>又は<14>に記載の懸濁用溶液。
<16>
前記磁性粒子上の抗体と結合するための官能基が、エポキシ基又はトシル基である、<13>~<15>のいずれかに記載の懸濁用溶液。
<17>
前記抗体の等電点が、5.2~8.0である、<14>~<16>のいずれかに記載の懸濁用溶液。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抗体結合磁性粒子を安定的に保存することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書においては、発明の態様に分けて説明をしているが、それぞれの態様に記載の事項、語句の定義、及び実施形態は、他の態様においても適用可能である。
【0009】
1.抗体結合磁性粒子の保存安定化方法
(抗体結合磁性粒子)
本明細書において、「抗体結合磁性粒子」とは、抗体が結合している磁性粒子を意味する。
磁性粒子は、一般的に免疫分析の分野で使用されるものであれば特に限定されず使用することができる。磁性粒子に含まれる磁性材料としては、例えば四酸化三鉄(Fe)、三酸化二鉄(γ-Fe)、各種フェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属、又はそれらの合金を挙げることができる。
上述の磁性材料を含む、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカプラミド、若しくはポリエチレンテレフタレートなどから成る疎水性粒子;又は、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(2-オキシエチルアクリレート)、ポリ(2-オキシエチルメタクリレート)、ポリ(2,3-ジオキシプロピルアクリレート)、ポリ(2,3-ジオキシプロピルメタクリレート)、若しくはポリエチレングリコールメタクリレートなどから成る親水性粒子を、磁性粒子として使用することができる。
磁性粒子としては、例えばDynabeads(登録商標) M-280 Tosylactivated(Thermo Fisher Scientific社製)を使用することができる。
磁性粒子の平均粒子径は、以下に限定されるものではないが、粒径100nm~1mm、好ましくは500nm~100μm、より好ましくは1μm~10μm、特に好ましくは1μm~5μmの粒子を使用することができる。
【0010】
磁性粒子の表面は、抗体を固定化するために、官能基で修飾されていることが好ましい。官能基は、チオール基、マレイミド基、スクシンイミジル基、カルボキシ基、トシル基、アミノ基、又はエポキシ基などが好ましく、エポキシ基又はトシル基がより好ましい。
【0011】
(抗体)
本発明における抗体結合磁性粒子では、抗体が、磁性粒子に結合している。抗体を結合させる方法に関しては、公知の物理吸着法または化学結合法をあげることができるが、抗体を磁性粒子の表面の官能基を介して、磁性粒子に化学的に結合させることが好ましい。具体的には、官能基と、抗体中のアミノ基又はチオール基とを共有結合させることが好ましい。
【0012】
抗体の種類は、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されることはなく、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれも使用することができるが、好ましくはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体としては、IgG、IgE、IgM、IgD、又はIgAのいずれであってもよい。
本明細書において、「モノクローナル抗体」は、本発明の効果が得られる限りにおいて、該モノクローナル抗体の機能を有する断片を含む。例えば、モノクローナル抗体の機能を有する断片としては、モノクローナル抗体の酵素的消化により得られる該モノクローナル抗体のFab部分を含む機能性断片、遺伝子組換えによって作製される該モノクローナル抗体のFab部分を含む機能性断片、及びファージディスプレイ法で作製されたscFvを含む機能性断片等が挙げられる。
【0013】
本発明において使用される抗体は、例えば、以下の被検出物質に結合する抗体であることができる。
CK-MB、H-FABP、トロポニン(トロポニンI、トロポニンT)、ミオグロビン等の心筋マーカー:フィブリン分解産物(例えばDダイマー)、可溶性フィブリン、TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合体)、PIC(プラスミン-プラスミンインヒビター複合体)などの凝固・線溶マーカー:酸化LDL、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)などの循環関連マーカー:アディポネクチンなどの代謝関連マーカー:CEA(癌胎児性抗原)、AFP(α-フェトプロテイン)、PSA(前立腺特異抗原)、PIVKA-II(Protein induced by vitamin K absence or antagonist II)、ムチン型糖タンパク質などの腫瘍マーカー:CRP(C反応性蛋白)、LRG(ロイシンリッチαグリコプロテイン)、TARC(Thymus and activation-regulated chemokine)などの炎症関係マーカー:MMP-3(マトリックスメタプロテイナーゼ-3)、CA・RF(抗ガラクトース欠損IgG抗体)などの自己免疫関連マーカー:インフルエンザ、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、トキソプラズマ、クラミジア、梅毒、黄色ブドウ球菌、大腸菌、プロカルシトニンなどの感染症関連マーカー:ホルモン:薬物:アレルゲン物質。
【0014】
等電点とはタンパク質の有効電荷が0になるときのpHである。一般的に、タンパク質の等電点と、タンパク質を含む溶液のpHとの間に極端な差がある場合に、タンパク質が変性する可能性があることが知られている。磁性粒子上に結合した抗体についても、同様の現象が生じる可能性がある。本発明において使用される抗体の等電点は、例えば、好ましくは5.2~8.0、より好ましくは5.7~7.5、最も好ましくは5.9~7.3である。抗体の等電点は、等電点電気泳動により測定することができる。
【0015】
(溶液)
本発明において使用される溶液のpHは、5.7~6.8である。pHを上記範囲内にすることにより、抗体結合磁性粒子を安定的に保存することができる。
本発明者らは、抗体結合磁性粒子を、緩衝液を含む溶液において高温(37℃)で保存する加速試験を行った。その結果、上記範囲内の溶液においては、抗体結合磁性粒子が安定的に保存され、免疫分析に使用した場合に感度の低下が抑制されていた。pHが7.0の溶液で保存した比較例1に関しては、感度が80%以下に低下し、pHが5.5の溶液で保存した比較例2に関しては、感度が60%以下に低下した。
抗体結合磁性粒子を溶液に懸濁させて保存する場合、溶液のpHは、前述の特許文献のように中性(pH7.0)に設定されるか、又は弱アルカリ性(pH7.0~8.0)に設定されることが多い。本発明において使用される溶液のように、pHが5.7~6.8と弱酸性の溶液で良好な保存安定性が得られたのは驚くべきことである。
本発明において使用される溶液のpHは、下限が、好ましくは5.8、より好ましくは5.9、最も好ましくは6.0である。上限が、好ましくは6.7、より好ましくは6.6、最も好ましくは6.5である。具体的な範囲としては、好ましくは5.8~6.7、より好ましくは5.9~6.6、最も好ましくは6.0~6.5である。
上記具体的な範囲の上限は、6.4であってもよい。
【0016】
本明細書において、「緩衝液」は、pHの緩衝作用を有する溶液を意味する。本発明において用いられる緩衝液は、以下に限定されるものではないが、例えば、MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid:CAS No 4432-31-9)、PIPES(piperazine-N,N′-bis(2-ethanesulfonic acid:CAS No 5625-37-6)、ACES(N-(2-Acetamido)-2-aminoethanesulfonic acid:CAS No 7365-82-4)、ADA(N-(2-Acetamido)iminodiacetic acid:CAS No 26239-55-4)、Bis―Tris(2,2-Bis(hydroxyethyl)-(iminotris)-(hydroxymethyl)-methane:CAS No 6976-37-0)、Tris(tris(hydroxymethyl)aminomethane:CAS No 77-86-1)、MOPS(3-Morpholinopropanesulfonic acid:CAS No 1132-61-2)、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid:CAS No 7365-45-9)、クエン酸緩衝液、又はリン酸緩衝液などの公知の緩衝液を適宜用いることができる。本発明において用いられる緩衝液は、好ましくはMES、PIPES、ACES、ADA、又はBis―Trisであり、より好ましくはMES又はPIPESであり、最も好ましくはMESである。
緩衝液のpKa値(酸解離定数)は、本発明の効果が得られる限りは特に限定されないが、溶液中で強い緩衝作用が得られるように、使用されるpHに近いpKaを選択し、保存温度によるpH変化を抑制して抗体結合磁性粒子を一定条件下で保存できるように、考慮することが好ましい。例えば、20℃において、5.0~8.2、好ましくは5.5~8.2、より好ましくは5.8~7.5、最も好ましくは6.0~7.0である。
【0017】
緩衝液の濃度は、本発明の効果が得られる限りは特に限定されないが、たとえば、1mM~500mM、好ましくは5mM~400mM、より好ましくは10mM~300mM、最も好ましくは50mM~200mMである。
本発明において使用される緩衝液のpHは、下限が、好ましくは5.8、より好ましくは5.9、最も好ましくは6.0である。上限が、好ましくは6.7、より好ましくは6.6、最も好ましくは6.5である。具体的な範囲としては、好ましくは5.8~6.7、より好ましくは5.9~6.6、最も好ましくは6.0~6.5である。
上記具体的な範囲の上限は、6.4であってもよい。
【0018】
(ブロッキング剤)
本発明において使用される溶液は、ブロッキング剤をさらに含むことが好ましい。本明細書において「ブロッキング剤」とは、抗体を磁性粒子に結合した後、試料中のタンパク質等が磁性粒子へ非特異的に吸着するのを防止するために溶液に添加する、抗体に対して免疫学的に反応しない物質、例えば、ポリマー、タンパク質等を意味する。本発明において使用されるブロッキング剤は、試料中のタンパク質等が磁性粒子へ非特異的に吸着するのを防止できれば限定されることはないが、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン等の生体由来高分子を用いてもよく、Blockmaster(登録商標) CE210(株式会社医学生物学研究所)、Blockmaster CE510(株式会社医学生物学研究所)、Lipidure(登録商標)シリーズ(例えば、LIPIDURE(登録商標)-BL100シリーズ、BL200シリーズ、BL400シリーズ、BL500シリーズ、BL700シリーズ、BL800シリーズ、BL1000シリーズ、又はBL1200シリーズ、BL1300シリーズ)(日油株式会社)、ブロッキング試薬N101(日油株式会社)、ブロッキング試薬N102(日油株式会社)などの市販されているものを使用することもできる。
本発明において使用される溶液は、試薬ブランク反応の低減を考慮して、好ましくは、ブロッキング剤としてBlockmaster CE210及び/又はBlockmaster CE510を含み、さらに好ましくはBlockmaster CE210を含み、さらに好ましくはBlockmaster CE210及びウシ血清アルブミン(BSA)の両方を含む。
ブロッキング剤の濃度は、抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液基準で、例えば、0.01質量%~10質量%、0.05質量%~8質量%、0.1質量%~5質量%、0.2質量%~4質量%、又は0.5質量%~2質量%であることができる。なお、上記濃度は、複数のブロッキング剤を含む場合は、合計の濃度である。また、上記濃度は、ブロッキング剤に含まれる有効成分の濃度である。
【0019】
本発明において使用される溶液は、防腐剤、界面活性剤、キレート剤、塩類、及び糖類などの成分を含むことができる。
本発明において使用される溶液は、最も好ましくは、ブロッキング剤として、0.1質量%~0.5質量%のBlockmaster CE210、及び0.1質量%~1質量%のウシ血清アルブミン(BSA)を含む。
【0020】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。市販の界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤のTween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート:CAS No 9005-64-5)、陰イオン性界面活性剤のデモール(登録商標)NL(β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩:CAS No 9084-06-4)などを使用することができる。
界面活性剤の濃度は、抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液基準で、例えば、0.001質量%~1質量%、又は0.005質量%~0.02質量%であることができる。
【0021】
防腐剤としては、ProClin150、ProClin200、ProClin300、又はProClin950(全てメルク社)などを使用することができる。
防腐剤の濃度は、抗体結合磁性粒子の懸濁用溶液基準で、例えば、0.01質量%~1質量%、又は0.02質量%~0.1質量%であることができる。
【0022】
キレート剤としては、EDTA-3Na(エデト酸三ナトリウム)、EDTA-2Na(エデト酸二ナトリウム)、EDTA-2K(エデト酸二カリウム)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、又はEGTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸)などを使用することができる。
キレート剤の濃度は、例えば、1mM~100mM、又は2mM~10mMであることができる。
【0023】
塩類としては、塩化ナトリウム、又は塩化カリウムなどが挙げられる。
塩類の濃度は、例えば、1mM~1000mM、又は50mM~500mMであることができる。
【0024】
糖類としては、ショ糖、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0025】
上記各成分の濃度は、抗体結合磁性粒子懸濁液基準の濃度であることもできる。
【0026】
(接触)
pHが5.7~6.8である溶液と、抗体結合磁性粒子との接触は、抗体結合磁性粒子が安定的に保存できる限り、いずれの方法を用いてもよい。
例えば、pHが5.7~6.8である溶液に抗体結合磁性粒子を添加することができる。抗体結合磁性粒子は、事前に他の分散液に分散された形態で、pHが5.7~6.8である溶液に添加されてもよい。また、pHが5.7~6.8以外である溶液に抗体結合磁性粒子を添加した後にpH調整を行い、pHを5.7~6.8にしてもよい。pH調整剤としては、公知のもの、例えば、水酸化ナトリウム又は塩酸などを使用することができる。当業者であれば、測定用試薬の構成、被検出物質等を考慮して好ましい接触の形態を採用することができる。抗体結合磁性粒子が安定的に保存できるように、pHが5.7~6.8である溶液に抗体結合磁性粒子を添加することが好ましい。
抗体結合磁性粒子を、懸濁液における抗体結合磁性粒子の濃度が、例えば、0.01mg/mL~100mg/mL、好ましくは0.05mg/mL~50mg/mL、より好ましくは0.1mg/mL~25mg/mL、さらに好ましくは0.25mg/mL~10mg/mL、最も好ましくは0.5mg/mL~5mg/mLとなるように、pHが5.7~6.8である溶液と接触させることができる。
【0027】
(保存容器)
pHが5.7~6.8である溶液と、抗体結合磁性粒子とを接触させて、抗体結合磁性粒子を含む懸濁液を調製する。調製した抗体結合磁性粒子を含む懸濁液は、任意の保存容器に保存することができる。保存容器の形態としては、ハードタイプまたはソフトタイプのいずれでもよく、チューブ、ボトル、アンプル、バイアル、ソフトバッグ、ガラス瓶などが例示される。
保存容器の材質は、抗体結合磁性粒子を安定的に保存でき、そして密封ができれば特に限定されないが、少なくとも抗体結合磁性粒子を含む懸濁液との接触部分の一部又は全部が、プラスチック[例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素樹脂、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂(セルロースアセテートなど)、炭化水素系樹脂(ハロゲン原子置換品を含む)など]、又はガラスであることができる。
【0028】
(保存安定化)
本明細書において、「保存安定化」又は「安定的に保存する」は、抗体結合磁性粒子を含む懸濁液を特定の温度で長期間保存した後、この抗体結合磁性粒子を用いて免疫分析を行った場合でも、保存前と比較して感度が低下しないことを意味する。感度が低下するとは、免疫分析に供する試料には相当量の被検出物質が含まれているにもかかわらず、抗体結合磁性粒子を含む懸濁液を保存する前と比較して、標識物質に由来するシグナルが十分に得られない(あるいは、競合法の場合は、過度に得られる)ことである。
「長期間」とは、例えば、1週間以上、又は3週間以上である。「特定の温度」とは、例えば室温、又は37℃での加速試験が挙げられる。
本発明の抗体結合磁性粒子の保存安定化方法では、抗体結合磁性粒子を含む懸濁液を37℃で3週間保存して、この抗体結合磁性粒子を用いて免疫分析を行った場合の感度が、好ましくは、保存せずに免疫分析を行った場合の感度の80%以上、より好ましくは82%以上、さらに好ましくは84%以上、最も好ましくは86%以上である。
【0029】
2.懸濁液
本発明の懸濁液は、抗体結合磁性粒子とpKa値が5.0~8.2である緩衝液とを含む。本発明の懸濁液のpHは、5.7~6.8である。
【0030】
本発明の懸濁液は、懸濁液のみからなる試薬の形態であってもよく、複数の試薬からなる試薬形態(すなわち、試薬キット)であってもよい。
試薬キットは、本発明の懸濁液以外に、反応時の溶液として使用する反応用緩衝液、抗体結合磁性粒子に含まれる抗体に結合する、標識抗体溶液(標識試薬)、検体希釈液、基質溶液、及び内部標準試薬等をさらに含んでもよい。
【0031】
標識抗体に結合した標識物質としては、例えば金属錯体、酵素、不溶性粒子、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、又はアビジンが挙げられる。例えば、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(ALP)などの酵素を標識物質として用いる場合には、その酵素の特異的基質(酵素がHRPの場合には、例えばO-フェニレンジアミン(OPD)あるいは3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、ALPの場合にはp-ニトロフェニル・ホスフェートなど)を用いて酵素活性を測定することができる。ビオチンを標識物質として用いる場合には、モノクローナル抗体をビオチンで標識し、酵素、色素、又は蛍光標識(好ましくはHRP)で標識したアビジン又はストレプトアビジンを反応させることもできる。
【0032】
本発明の懸濁液は、電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)、化学発光免疫測定法(CLIA法)、又は酵素免疫測定法(ELISA法)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA法)、を行うための試薬であることが好ましい。
【0033】
ECLIA法とは、通電により標識物質を発光させ、その発光量を検出することで被検出物質の量を測定する方法を意味する。
ECLIA法の測定を行うための試薬キットである場合は、以下の試薬(A)及び(B)を含むことができる。
(A)被検出物質に結合する第二抗体と電気化学発光物質(例えば、ルテニウム錯体等)とのコンジュゲートを含む標識試薬、及び
(B)被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子を含む懸濁液。
【0034】
被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子に、試料を添加して反応させた後、続いてコンジュゲートを添加して反応させる。磁性粒子を洗浄後、電気エネルギーを加えて発光させる。続いて、標識物質の発光量を測定することにより、被検出物質を分析することができる。ある一つの様態では、磁性粒子と試料を反応させた後、試料を除去して洗浄することもできる。
【0035】
CLEIA法とは、固定化した抗体に対して抗原を反応させた後、酵素標識した抗体を抗原に反応させ、化学発光基質を加えて発光強度を測定する方法である。CLEIA法の測定を行うための試薬キットである場合は、以下の試薬(A)及び(B)を含むことができる。
(A)被検出物質に結合する第二抗体と酵素(例えば、アルカリフォスタファーゼ等)とのコンジュゲートを含む標識試薬、及び
(B)被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子を含む懸濁液。
また、(C)として、反応時の溶液として使用する反応用緩衝液を含むこともできる。(D)として、酵素の基質溶液(例えば、2-クロロ-5-(4-メトキシスピロ[1,2-ジオキセタン-3,2’-(5-クロロトリシクロ[3.3.1.13.7]デカン])-4-イル]-1-フェニルリン酸二ナトリウム(CDP-Star 登録商標))を含んでもよい。
被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子に、試料を添加して反応させた後、続いてコンジュゲートを添加して反応させる。磁性粒子を洗浄後、酵素の基質を加えて反応させる。続いて、発光量を測定することにより、被検出物質を分析することができる。ある一つの様態では、磁性粒子と試料を反応させた後、試料を除去して洗浄することもできる。
【0036】
CLIA法とは、固定化した抗体に対して抗原を反応させた後、化学発光物質で標識した抗体を抗原に反応させ、その後、化学発光物質の発光強度を測定する方法である。化学発光物質としては、アクリジニウムなどを用いることができる。
酵素ではなく、化学発光物質で標識する以外は、キットに含まれる試薬(A)及び(B)の内容は、CLEIA法と同様である。
【0037】
ELISA法とは、試料中に含まれる被検出物質である抗原又は抗体を、前記被検出物質に対する抗体又は抗原を利用して捕捉した後に、酵素反応を利用して検出する方法を意味する。ELISA法の測定を行うための試薬キットである場合は、以下の試薬(A)及び(B)を含むことができる。
(A)被検出物質に結合する第二抗体と酵素(HRP又はALP等)とのコンジュゲートを含む標識試薬
(B)被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子を含む懸濁液。
このようなキットでは、まず、第一抗体を固定化した磁性粒子に試料を添加した後インキュベートし、試料を除去して洗浄する。次に、標識試薬を添加した後インキュベートし、基質を加えて発色させる。発色を測定することにより、被検出物質を分析することができる。
FLEIA法の測定原理は、蛍光基質を加えて蛍光強度を計測する以外は、ELISA法と同様である。
【0038】
サンドイッチELISAにおいて、二次抗体を用いることもできる。二次抗体を用いる場合、本発明の分析キットは、以下(A)~(D)を含むことができる。
(A)一次抗体としての、被検出物質に結合する第二抗体
(B)被検出物質に結合する第一抗体を固定化した磁性粒子を含む懸濁液
(C)酵素(HRP又はALP等)で標識した、第二抗体に対する抗体(二次抗体)を含む標識試薬
(D)酵素の基質(OPD、TMB、又はp-ニトロフェニル・ホスフェートなど)
このようなキットでは、まず、第一抗体を固定化した磁性粒子に適宜処理し希釈した試料を添加した後インキュベートし、試料を除去して洗浄する。続いて、一次抗体を添加してインキュベート及び洗浄を行う。さらに酵素で標識した二次抗体を添加してインキュベートを行う。その後、基質を加えて発色させる。発色を測定することにより、被検出物質を分析することができる。
【0039】
(試料)
本発明において、被検出物質を含有する可能性のある試料としては、主に生物由来の生体試料やそれらから被検出物質を抽出した抽出液等が挙げられる。液体飲料、半固形食品、及び固形食品等に代表される食品検体、土壌、河川、及び海水等の自然界からのサンプリング検体、並びに工場内の生産ライン又はクリーンルームのふき取り検体も、被検出物質を含有する可能性のある試料として使用することが可能である。生物由来の物質としては、具体的には、血液(全血)、血清、血漿、リンパ液、尿、糞便、腹水、胸水、組織、又は細胞などが挙げられる。生体試料には、前記全血などから、遠心分離、ろ過、若しくは精製などの手段により分離若しくは分画された測定試料成分、有機溶媒などにより抽出された測定試料成分、界面活性剤などにより可溶化された測定試料成分、緩衝液などにより希釈された測定試料成分、又は化学反応などにより修飾若しくは改変された測定試料成分などが含まれる。
生体試料を採取する対象は、ヒト又は動物(例えば、サル、イヌ、ネコ、マウス、モルモット、ラット、及びハムスター)を含み、好ましくはヒトである。
【0040】
抗原としては、前述の抗体で分析可能な抗原が挙げられる。
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に説明のない限り、%は質量%を意味する。
【実施例0042】
≪実施例1 抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液の調製≫
1-1 使用した試薬等
・30mg/mL磁性粒子(積水メディカル社製、平均粒子径3μm)
・抗BNPモノクローナル抗体
・PBS(pH7.8)
・3M硫酸アンモニウム液(in PBS)
・ブロッキング液(PBS/1%BSA)
・洗浄・保存液(PBS/1%BSA/0.05% Tween20)
【0043】
1-2 操作
PBSを用いて抗BNPモノクローナル抗体を終夜透析した。次に、PBSを使用して、磁性粒子30mgを洗浄した。抗体濃度を0.75Absに調整し、この抗体溶液を磁性粒子30mgに添加して撹拌した。さらに3M硫酸アンモニウム液を加えて撹拌した。25℃で16~24時間回転撹拌した。次に、抗体溶液を除去し、洗浄した。ブロッキング液を磁性粒子液に添加して、25℃で3時間回転撹拌した。ブロッキング液を除去して洗浄液で洗浄した。洗浄液を除去した後、保存液を添加して、必要に応じて37℃で2日間エージングした後、4℃で保存して、30mg/mL濃度の抗BNP抗体結合磁性粒子含有溶液を調製した。
上記の操作により調製した抗BNP抗体結合磁性粒子含有溶液を以下の表1の組成を有する懸濁用溶液に、抗BNP抗体結合磁性粒子の濃度が1.0mg/mLとなるように懸濁させ、抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を調製した。
【0044】
【表1】
【0045】
また、実施例1とは緩衝液の種類、緩衝液のpKa値、緩衝液の濃度、及び懸濁用溶液のpHを変更して、実施例2~12、及び比較例1~2の懸濁用溶液を調製した。各懸濁用溶液に含まれる緩衝液の種類、緩衝液のpKa値、緩衝液の濃度、及び懸濁用溶液のpHを表4及び5に示す。
【0046】
≪実施例2 抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液の保存とECL分析による感度への影響確認≫
実施例2~12、及び比較例1~2の各々の懸濁用溶液に対して、実施例1の1-2で調製した抗BNP抗体結合磁性粒子含有溶液を実施例1と同様に添加して、抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を調製した。これらの抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を37℃で1週間又は3週間保存した。保存0日、1週間後、及び3週間後に、各々の抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いて、ECL分析を行い、感度を比較した。試料としては、低値検体(51.5pg/mL)、中値検体(100pg/mL)、高値検体(2361.1pg/mL又は5000pg/mL)を用いた。
【0047】
測定装置の所定の場所に、装置指定の容器に入れた抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液と、ルテニウム標識抗BNP抗体溶液をセットした。測定装置指定の反応用容器に、反応用緩衝液を50μL分注し、次に測定試料を30μL投入した。測定試料が入った反応用容器を測定装置の所定の場所にセットし、測定準備を完了させた。装置測定をスタートすると、測定試料が入った反応用容器に抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液25μLが投入され、28℃で約7分間抗原抗体反応が行われた(第一反応)。次にルテニウム標識抗BNP抗体溶液が50μL投入され、28℃で約3分間抗原抗体反応が行われた(第二反応)。その後、装置指定のBF洗浄液でBF分離が行われ、未反応の試料及びルテニウム標識抗体が除去された。反応によって生成された抗原抗体サンドイッチ複合体を装置指定の発光基質(トリプロピルアミン)溶液に懸濁し、装置の所定の場所にて電気を加え、化学発光(ECL発光)させた。試験は、BNP含有量が少ない低値検体(BNP:51.5pg/mL)、中値検体(BNP:100pg/mL)、高値検体(BNP:2361.1pg/mL)を用いて行った。
【0048】
なお、反応用緩衝液(表2)及びルテニウム標識抗BNP抗体溶液(表3)の組成は、以下の通りである。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
結果を以下の表4及び5に示す。結果(%)は、保存0日を100とした場合の値である。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
表4には、緩衝液としてMESを用い、濃度又はpHを変更して行った結果を示している。pHが6.0~6.4である実施例1~4は、37℃で3週間保存した抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合において、保存0日の抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合に対して、低値検体及び高値検体のいずれも80%以上の感度を示した。
pHが、それぞれ7.0及び5.5である比較例1及び2は、37℃で3週間保存した抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合において、保存0日の抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合に対して、低値検体及び高値検体のいずれも80%未満の感度を示した。
【0055】
表5には、緩衝液の種類及びpHを変更して行った結果を示している。実施例5~12は、37℃で3週間保存した抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合において、保存0日の抗BNP抗体結合磁性粒子懸濁液を用いた場合に対して、中値検体及び高値検体のいずれも80%未満の感度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、抗体結合磁性粒子を安定的に保存することができる。