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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152754
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】クリーム状練歯磨剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20221004BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221004BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20221004BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221004BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/31
A61K8/06
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055642
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 由佳
(72)【発明者】
【氏名】田邉 伸哉
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC442
4C083AD281
4C083AD282
4C083BB04
4C083BB36
4C083CC41
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】しっとりとした使用感を有しつつ、保存安定性に優れたクリーム状練歯磨剤を提供する。
【解決手段】本発明に係るクリーム状練歯磨剤は、油性基剤と、膨潤性粘土鉱物と、水溶性高分子と、ノニオン性界面活性剤と、ポリオールと、水とを含み、前記油性基剤の含有量が、8質量%以上である。また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成ヘクトライトからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記水溶性高分子は、セルロース系高分子であることが好ましい。また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、1~10質量%であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性基剤と、膨潤性粘土鉱物と、水溶性高分子と、ノニオン性界面活性剤と、ポリオールと、水とを含み、
前記油性基剤の含有量が、8質量%以上である、クリーム状練歯磨剤。
【請求項2】
前記膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成ヘクトライトからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のクリーム状練歯磨剤。
【請求項3】
前記水溶性高分子は、セルロース系高分子である、請求項1または2に記載のクリーム状練歯磨剤。
【請求項4】
前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、1~10質量%である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクリーム状練歯磨剤。
【請求項5】
前記油性基剤は、高級アルコールと、炭化水素とを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のクリーム状練歯磨剤。
【請求項6】
前記油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含み、
クリーム状練歯磨剤中における前記高級アルコールの含有量が、2質量%以上であり、
クリーム状練歯磨剤中における前記炭化水素の含有量が、6.5質量%以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクリーム状練歯磨剤。
【請求項7】
前記膨潤性粘土鉱物の含有量をA[質量%]、前記水溶性高分子の含有量をB[質量%]としたとき、0.5≦A/B≦10の関係を満足する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のクリーム状練歯磨剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム状練歯磨剤、特に、油性基剤を多く含み、クリーム様の使用感を備えたクリーム状練歯磨剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤のような口腔用組成物には、一般に、油性成分が含まれている。油性成分は、例えば、血行促進、殺菌効果や保湿効果等の効果が期待される成分として配合されている。
油性成分は、少量であれば、保存安定性に特に問題は生じないが、口腔用組成物中に多く存在する場合、保存安定性が低下する場合があり、油性成分の種類によっては、使用感が低下する問題がある。
【0003】
そこで、油性成分を多く含む口腔用組成物の安定化を図るために、所定の物性を備えたリン酸水素カルシウムを口腔用組成物に添加する試みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-144160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の口腔用組成物では、製剤の安定性をある程度は保つことはできるが、十分ではなく、また、油性成分を含むことによる特有のしっとり感が低下してしまう問題があった。
【0006】
そこで、本発明では、油性成分(油性基剤)を多く含有するクリーム状練歯磨剤において、しっとりとした使用感(クリーム様の使用感)を有しつつ、保存安定性に優れたクリーム状練歯磨剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクリーム状練歯磨剤は、油性基剤と、膨潤性粘土鉱物と、水溶性高分子と、ノニオン性界面活性剤と、ポリオールと、水とを含み、
前記油性基剤の含有量が、8質量%以上である。
【0008】
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成ヘクトライトからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記水溶性高分子は、セルロース系高分子であることが好ましい。
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、1~10質量%であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記油性基剤は、高級アルコールと、炭化水素とを含むことが好ましい。
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含み、
クリーム状練歯磨剤中における前記高級アルコールの含有量が、2質量%以上であり、
クリーム状練歯磨剤中における前記炭化水素の含有量が、6.5質量%以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るクリーム状練歯磨剤では、前記膨潤性粘土鉱物の含有量をA[質量%]、前記水溶性高分子の含有量をB[質量%]としたとき、0.5≦A/B≦10の関係を満足することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、油性成分(油性基剤)を多く含有するクリーム状練歯磨剤において、しっとりとした使用感(クリーム様の使用感)を有しつつ、保存安定性に優れたクリーム状練歯磨剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のクリーム状練歯磨剤の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明に係るクリーム状練歯磨剤は、油性基剤と、膨潤性粘土鉱物と、水溶性高分子と、ノニオン性界面活性剤と、ポリオールと、水とを含み、油性基剤の含有量が、8質量%以上であるものである。
【0014】
このように油性基剤を多く含んでいる場合であっても、本発明のクリーム状練歯磨剤では、ベタつきが抑制され、しっとりとした使用感を発現させることができる。さらに、本発明では、長期保存した場合でも、油性基剤の分離を抑制することができ、保存安定性に優れたクリーム状練歯磨剤を提供することができる。
なお、本発明のクリーム状練歯磨剤は、クリーム様の使用感を備えるものである。
【0015】
以下、各成分について説明する。
<油性基剤>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、油性基剤を含む。
油性基剤は、水難溶性の成分であり、口腔内において、しっとりとした使用感の発現に寄与する成分である。
本発明において、油性基剤の含有量は、8質量%以上である。油性基剤の含有量が8質量%以上であることにより、しっとりとした使用感を効果的に発現させることができる。
【0016】
なお、油性基剤の含有量は、8質量%以上であるが、8~50質量%であるのが好ましく、10~40質量%であるのがより好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の使用感におけるベタつきをより効果的に抑えつつ、しっとりとした使用感をより確実に発現させることができる。また、クリーム状練歯磨剤の保存安定性をより優れたものとすることができる。
【0017】
油性基剤としては、例えば、炭化水素類、高級アルコール、高級脂肪酸、植物油、ろう類、シリコーン油、金属石鹸等を挙げることができ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
炭化水素類としては、例えば、スクワラン、動植物性スクワラン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、炭化水素類として、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリンからなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。これにより、しっとりとした使用感をより確実に発現させることができる。
【0019】
また、高級アルコールとしては、特に限定されないが、炭素数が8~22のものを用いることが好ましい。このような高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、高級アルコールとして、セタノール及び/またはステアリルアルコールを用いるのが好ましい。これにより、しっとりとした使用感をより確実に発現させることができる。
【0020】
また、高級脂肪酸としては、特に限定されないが、炭素数が8~22のものを用いることが好ましい。このような高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
植物油としては、例えば、オリーブ油、マカデミアナッツ油、パーム油、カカオ脂等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ろう類としては、例えば、ラノリン、ミツロウ、ホホバ油等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
また、シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン等の食品添加物として用いることができるものが挙げられる。
また、金属石鹸類としては、例えば、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、本発明のクリーム状練歯磨剤において、油性基剤は、高級アルコールと、炭化水素とを含んでいるのが好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の使用感におけるベタつきを効果的に抑えつつ、しっとりとした使用感をより確実に発現させることができる。
【0024】
油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含む場合、クリーム状練歯磨剤における高級アルコールの含有量は、2質量%以上であるのが好ましく、2.5質量%以上であるのがより好ましく、3質量%以上であるのがさらに好ましい。これにより、しっとりとした使用感をより効果的に発現させることができる。また、油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含む場合、クリーム状練歯磨剤中における高級アルコールの含有量は、15質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の保存安定性をより優れたものとすることができる。
【0025】
また、油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含む場合、クリーム状練歯磨剤における炭化水素の含有量は、6.5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、15質量%以上であるのがさらに好ましい。これにより、しっとりとした使用感をより効果的に発現させることができる。また、油性基剤として、高級アルコールと、炭化水素とを含む場合、クリーム状練歯磨剤中における炭化水素の含有量は、35質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましく、25質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の保存安定性をより優れたものとすることができる。
【0026】
<膨潤性粘土鉱物>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、膨潤性粘土鉱物を含む。
膨潤性粘土鉱物は、水膨潤性を有する粘土鉱物であり、水を保持することで、油性基剤の分離を抑制する効果を有する成分である。
【0027】
膨潤性粘土鉱物は、一般的な性質として、成分の大部分を結晶性ケイ酸塩が占めている。これは、4個の酸素原子の作る三角錐の真ん中の隙間に1個のケイ素原子が入り込んで出来るケイ酸四面体が、平たく並んで層を作り、さらにその層とアルミニウムやマグネシウムなどを中心とした別の層とがサンドイッチ状に積み重なった層状ケイ酸塩鉱物である。この様に、ケイ酸四面体の層の積み重なり方は3つのタイプがあり、その層内の原子の種類とか配置などによってカオリン鉱物、雲母粘土鉱物、スメクタイト及び混合層鉱物が微粒の水膨潤性粘土鉱物である。膨潤性粘土鉱物は、含水ケイ酸塩鉱物が主体となっており、その化学成分は、主にケイ酸・アルミナ・水でこのほかに鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどが含まれている。
【0028】
本発明で用いられる膨潤性粘土鉱物は、リザーダイト、バーチェリン、アメサイト、クロンステダイト、ネポーアイト、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト(板状)、オーディナイト等のカオリン鉱物;雲母粘土鉱物;ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、合成ヘクトライト(合成ケイ酸マグネシウムナトリウム)等のスメクタイト;コレンサイト、ハイドロバイオタイト、アリエッタイト、クルケアイト、レクトライト、トスダイト、ドジライト、ルニジャンライト、サライオタイト等の混合層鉱物が挙げられる。なお、膨潤性粘土鉱物として、天然物由来のもの及び化学合成により得られたもののどちらを用いてもよい。
【0029】
これらの中でも、膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成ヘクトライトからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、合成ヘクトライトを用いることがより好ましい。これらのスメクタイトは入手が容易であり、さらに、これら成分を含むことで、クリーム状練歯磨剤の保存安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0030】
膨潤性粘土鉱物の含有量は、0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~8質量%であるのがより好ましく、1~5質量%であるのがさらに好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の味や使用感に影響を与えることなく、より効率よく保存安定性を向上させることができる。
【0031】
<水溶性高分子>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、水溶性高分子を含む。
水溶性高分子と前述した膨潤性粘土鉱物とを含むことにより、クリーム状練歯磨剤内に水分を確実に保持することができる。その結果、油性基剤と水との接触を少なくすることができ、油性基剤の分離を効果的に抑制することができる。
また、水溶性高分子は、クリーム状練歯磨剤において粘結剤として機能する成分である。
【0032】
水溶性高分子としては、セルロース系高分子、セルロース系以外の増粘性多糖類、合成系の高分子などが挙げられる。これらの中でも、セルロース系高分子を用いるのが好ましい。
【0033】
セルロース系高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、四級化窒素含有ヒドロキシエチルセルロースおよびそれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/またはカルボキシメチルセルロースを用いるのが好ましい。
【0034】
また、セルロース系以外の増粘性多糖類としては、例えば、キサンタンガム、タラガム、グアーガム、トラガントガム、ガティガム、アエロモナスガム、アラビアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンド、アルギン酸、アルギン酸塩、カラギーナン(ι、λ、κ)、寒天、澱粉、α化澱粉、デキストリン、デキストラン、ペクチン、グルコマンナン、プルラン、ヒアルロン酸ナトリウム、ファーセレランなどが挙げられる。
【0035】
合成系の高分子としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチル澱粉、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、水溶性アクリル酸コポリマー、ポリビニルメチルエーテル、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体などが挙げられる。
【0036】
水溶性高分子の含有量は、0.05~10質量%であるのが好ましく、0.1~8質量%であるのがより好ましく、0.5~5質量%であるのがさらに好ましい。
膨潤性粘土鉱物の含有量をA[質量%]、水溶性高分子の含有量をB[質量%]としたとき、0.5≦A/B≦10の関係を満足することが好ましく、1≦A/B≦6の関係を満足することがより好ましい。このような関係を満足することにより、クリーム状練歯磨剤の味や使用感に影響を与えることなく、さらに効率よく保存安定性を向上させることができる。
【0037】
<ノニオン性界面活性剤>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、ノニオン性界面活性剤を含む。これにより、油性基剤の分離を効果的に抑制することができる。また、ノニオン性界面活性剤を含むことにより、油性基剤を含むことによるベタつきを抑制することができる。
ノニオン性界面活性剤は、クリーム状練歯磨剤において発泡剤として機能する成分でもある。
【0038】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ソルビタン)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、モノステアリン酸ソルビタン及び/またはモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを用いるのが好ましい。これにより、油性基剤の分離をさらに効果的に抑制することができる。
【0039】
ノニオン性界面活性剤の含有量は、1~10質量%であるのが好ましく、2~8質量%であるのがより好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の味や使用感に影響を与えることなく、より効果的に保存安定性を向上させることができる。
なお、本発明のクリーム状練歯磨剤には、ノニオン性界面活性剤以外に、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0040】
<ポリオール>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、ポリオールを含む。
ポリオールを含むことにより、クリーム状練歯磨剤中に膨潤性粘土鉱物などの成分を均一に分散させ、クリーム状練歯磨剤の保存安定性を向上させることができる。また、しっとりとした使用感をより効果的に発現させることができる。
また、ポリオールは、湿潤剤としても機能する成分である。
【0041】
ポリオールとしては、例えば、グリセリン(濃グリセリン)、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、グリセリンを用いるのがより好ましい。これにより、本発明のクリーム状練歯磨剤の保存安定性をさらに向上させることができる。
ポリオールの含有量は、5~40質量%であるのが好ましく、10~30質量%であるのがより好ましい。これにより、クリーム状練歯磨剤の保存安定性をより効果的に向上させることができる。
【0042】
<水>
本発明のクリーム状練歯磨剤は、水を含む。
これにより、クリーム状練歯磨剤の取り扱いを容易にするとともに、口腔内におけるクリーム状練歯磨剤の分散を容易なものとすることができる。
【0043】
<その他の成分>
本発明のクリーム状練歯磨剤には、その剤型等に応じて、種々の成分を配合してもよい。例えば、本発明のクリーム状練歯磨剤には、研磨剤、甘味剤、防腐剤、香料成分、薬用成分等を配合することができる。
研磨剤としてシリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
研磨剤の配合量は、特に限定されないが、3~60質量%が好ましい。
【0044】
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
甘味剤の配合量は、特に限定されないが、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0045】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
防腐剤の配合量は、その種類等によって異なるが、0.005~5.0質量%であるのが好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0046】
香料成分として、l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、0.02~2質量%の範囲が一般的である。
【0047】
また、本発明のクリーム状練歯磨剤には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼオライト、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、ビサボロール、酢酸トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントイン、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0048】
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0049】
また、本発明のクリーム状練歯磨剤には、上記のほか、生薬抽出物を配合してもよい。
生薬抽出物としては、例えば、生薬エキスの例として、カミツレエキス、カノコソウエキス、ナツメエキス、ホップエキス、ラベンターエキス、リンデンエキス、カリンエキス、キンギンカエキス、クマザサエキス、グミエキス、チョウジエキス、デンシチニンジンエキス、サルビアエキス、ムクロジエキス、キキョウエキス、ジオウエキス、シャクヤクエキス、サンザシエキス、トウキエキス、チャエキス、ウラジロガシエキス、オオバクエキス、シラカバエキス、ニンジンエキス、アセンヤクエキス、ウコンエキス、ローズマリーエキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
本発明のクリーム状練歯磨剤は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、得られたクリーム状練歯磨剤の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0051】
以上、本発明のクリーム状練歯磨剤について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のクリーム状練歯磨剤には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例0052】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.クリーム状練歯磨剤の製造
(実施例1~5、比較例1~8)
表1および2に示す成分を表1および2に示す含有量となるように調製し、クリーム状練歯磨剤を常法に準じて製造した。
なお、表中の含有量の単位は質量%である。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
2.評価方法
[保存安定性について]
各実施例および各比較例の練歯磨剤を15mLコニカルチューブに入れ、10,000r.p.m.において3分遠心し、以下の4段階の基準に従い、目視にて評価した。
◎:相液分離はみられない
〇:やや相液分離はみられない
△:相液分離がある
×:製剤がクリーム状にならず、液状であった
[使用感について]
各実施例および各比較例の練歯磨剤を約1g歯ブラシにのせ、口腔内での分散性・味・しっとり感が得られるかを、以下の基準に従い総合的に評価した。
◎:非常に良い
〇:良い
△:やや悪い
×:悪い
これらの結果を表1および2に合わせて示した。
表1および2から解るように、実施例では、保存安定性も高く、また、しっとりとした使用感が得られるものであった。これに対して、比較例では、満足いく結果が得られなかった。