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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152772
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】包装袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055675
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA11
3E064AA14
3E064AB13
3E064AB14
3E064AD14
3E064BA22
3E064EA08
3E064FA03
3E064GA02
3E064HE10
3E064HM01
3E064HP10
3E064HS10
(57)【要約】
【課題】品質が安定した包装袋を得る。
【解決手段】包装袋1の製造方法は、重ね合わされた一対の側面シート11の上部に未接着縁部13が形成されるように下部シール部31、34を形成する下部接着工程と、未接着縁部13に開口部14を開口させる開口工程と、開口部14からスパウト21を挿入する挿入工程と、スパウト21の挿入部位21aと一対の側面シート11の内面とを接着するスパウト接着部36を形成するとともに、スパウト21の両側部から延びて未接着縁部13を接着する上部シール部33、35を形成する上部接着工程を備えている。下部接着工程では、スパウト21の取付端縁11aから未接着縁部13の下端縁13aまでのスパウト21の軸線方向Nの長さAが、スパウト接着部36の軸線方向Nの長さBより長くなるように下部シール部34を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側面シートの縁部同士を接着してなるシール部によって袋状とされた容器本体と、先端を前記容器本体から突出させるとともに前記側面シートの内面に接着された挿入部位を有する態様で前記容器本体の上端部に取り付けられたスパウトとを備えた包装袋の製造方法であって、
重ね合わせられた一対の前記側面シートの上部に前記縁部同士が接着されていない未接着縁部が形成されるように、一対の前記側面シートの下部に前記シール部としての下部シール部を形成する下部接着工程と、
前記未接着縁部を互いに離間する方向へ移動させて、前記未接着縁部に開口部を開口させる開口工程と、
前記開口部から前記スパウトを挿入する挿入工程と、
前記スパウトの前記挿入部位と一対の前記側面シートの内面とを接着するスパウト接着部を形成するとともに、その端部が前記下部シール部の端部に重なるように、挿入された前記スパウトの両側部から延びて前記未接着縁部を接着する前記シール部としての上部シール部を形成する上部接着工程と、
を備え、
前記下部接着工程では、前記側面シートにおける前記スパウトの取付端縁から前記未接着縁部の下端縁までの前記スパウトの軸線方向の長さが、前記スパウト接着部の前記軸線方向の長さより長くなるように、前記下部シール部を形成することを特徴とする包装袋の製造方法。
【請求項2】
前記上部接着工程は、前接着工程と後接着工程を備え、
前記前接着工程では、前記スパウト接着部を形成するとともに、挿入された前記スパウトの両側部から該スパウトの前記軸線方向に対して交差する方向に延びる前記上部シール部としてのスパウトシール部を一対の前記側面シートの上縁部に形成し、
前記後接着工程では、前記下部シール部の上端部及び前記スパウトシール部の端部に重なるように、前記側面シートの側縁で上下方向に延びる前記上部シール部としての上部サイドシール部を形成することを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造方法。
【請求項3】
前記前接着工程では、前記スパウトシール部を、前記スパウトの前記軸線方向に対して直交する方向に延びるように形成することを特徴とする請求項2に記載の包装袋の製造方法。
【請求項4】
一対の側面シートの縁部同士を熱圧着してなるシール部が形成されていることによって袋状とされた容器本体と、先端を前記容器本体から突出させるとともに前記側面シートの内面に接着された挿入部位を有する態様で前記容器本体の上端部に取り付けられたスパウトとを備えた包装袋であって、
前記シール部は、前記容器本体の側縁の下部に設けられた一対の下部シール部と、前記下部シール部の上端部と重なるように前記容器本体の上部に設けられた上部シール部を備え、
前記スパウトの前記挿入部位は、スパウト接着部によって前記側面シートの内面に接着され、
前記側面シートにおける前記スパウトの取付端縁から前記下部シール部の上端縁までの前記スパウトの軸線方向の長さは、前記スパウト接着部の前記軸線方向の長さより長いことを特徴とする包装袋。
【請求項5】
前記上部シール部の下端縁は、前記下部シール部の上端縁より明瞭な熱圧着痕を形成していることを特徴とする請求項4に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及びその製造方法に関する。具体的には、スパウトが取り付けられたスパウト付き包装袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料水やゼリー飲料等の食品、ハンドソープやシャンプー等のトイレタリー用品、美容液や乳液等の化粧品等を収容する包装容器として、樹脂シートにより袋状に形成された容器本体にスパウトを取り付けたスパウト付き包装袋が知られている。
【0003】
スパウト付き包装袋は、例えば、図5に示すようにして製造される。
図5(a)に示すように、まず、前面シート41aと後面シート41bとからなる一対の側面シートの間に、二つ折りされた底面シート42を側面シートの下縁に沿って挟み込む。そして、図5(b)に示すように、側面シートにおける上縁部43を除いた縁部を熱溶着等によって接着する。これにより、未接着の上縁部43を開口可能な容器本体Hが形成される。続いて、図5(c)に示すように、容器本体Hの未接着縁部である上縁部43を開いて開口部44を開口させ、その開口部44にスパウトSを挿入する。この後、図5(d)に示すように、容器本体Hの上縁部43同士、及び上縁部43とスパウトSとを熱溶着等により接着する。これにより、容器本体Hの上縁部43にスパウトSが取り付けられたスパウト付き包装袋40が製造される。なお、図5において、網掛け表示部分は接着部分を示している。
【0004】
容器本体HにスパウトSを取り付ける装置として、特許文献1に記載されるようなスパウト装着装置が知られている。このスパウト装着装置では、互いに対向配置される一対の吸着体の間に、図5(b)に示す状態の容器本体Hを搬送する。そして、吸着体のそれぞれで、一対の側面シートのそれぞれを吸着させて互いに相反する方向に移動させることで、容器本体Hの上縁部43に開口部44を開口させ、開口部44からスパウトSを挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-093836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、美容液や乳液等の化粧品を収容するような包装袋では、容器本体Hの容量が比較的小さいものが多い。そのため、一対の吸着体で開口部44を開口させる際に、装着するスパウトSの大きさに対して十分な大きさの開口部44を開口させることができない場合がある。このような場合、開口部44からスパウトSを挿入しようとすると、上縁部43にスパウトSの基端部が引っ掛かって上縁部43に皴が寄ったり、スパウトSの挿入ずれが起こったりし易い。その結果、包装袋の品質が安定し難いことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、一対の側面シートの縁部同士を接着してなるシール部によって袋状とされた容器本体と、先端を前記容器本体から突出させるとともに前記側面シートの内面に接着された挿入部位を有する態様で前記容器本体の上端部に取り付けられたスパウトとを備えた包装袋の製造方法であって、重ね合わせられた一対の前記側面シートの上部に前記縁部同士が接着されていない未接着縁部が形成されるように、一対の前記側面シートの下部に前記シール部としての下部シール部を形成する下部接着工程と、前記未接着縁部を互いに離間する方向へ移動させて、前記未接着縁部に開口部を開口させる開口工程と、前記開口部から前記スパウトを挿入する挿入工程と、前記スパウトの前記挿入部位と一対の前記側面シートの内面とを接着するスパウト接着部を形成するとともに、その端部が前記下部シール部の端部に重なるように、挿入された前記スパウトの両側部から延びて前記未接着縁部を接着する前記シール部としての上部シール部を形成する上部接着工程と、を備え、前記下部接着工程では、前記側面シートにおける前記スパウトの取付端縁から前記未接着縁部の下端縁までの前記スパウトの軸線方向の長さが、前記スパウト接着部の前記軸線方向の長さより長くなるように、前記下部シール部を形成する。
【0008】
上記の構成によれば、開口工程では、スパウトの大きさに対して十分な大きさの開口部を開口させることができる。そのため、挿入工程でスパウトを挿入し易く、スパウトの挿入時に、一対の側面シートの縁部にスパウトが引っ掛かることが抑制される。これにより、容器本体の縁部に皴が寄ったり、スパウトの挿入ずれが起こったりし難く、品質の安定した包装袋を製造することができる。
【0009】
なお、包装袋の上下は、スパウトの取付位置を基準として規定する。すなわち、取り付けられたスパウトの軸線方向に沿って見たときに、スパウトが取り付けられている側が包装袋の上側であり、スパウトが取り付けられていない側が包装袋の下側である。
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、一対の側面シートの縁部同士を熱圧着してなるシール部が形成されていることによって袋状とされた容器本体と、先端を前記容器本体から突出させるとともに前記側面シートの内面に接着された挿入部位を有する態様で前記容器本体の上端部に取り付けられたスパウトとを備えた包装袋であって、前記シール部は、前記容器本体の側縁の下部に設けられた一対の下部シール部と、前記下部シール部の上端部と重なるように前記容器本体の上部に設けられた上部シール部を備え、前記側面シートにおける前記スパウトの取付端縁から前記下部シール部の上端縁までの前記スパウトの軸線方向の長さは、前記挿入部位の長さより長い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、品質の安定した包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の包装袋の斜視図。
図2】包装袋の正面図。
図3】(a)~(e)は、包装袋の製造方法について説明する図。
図4】(a)、(b)は、変更例の包装袋の正面図。
図5】(a)~(d)は、従来の包装袋の製造方法について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の包装袋の製造方法で製造される包装袋を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の包装袋1は、内部に美容液が収容された袋状の容器本体10と、容器本体10の上端部に取り付けられたキャップ付きスパウト20を備えている。ここでは、包装袋1においてキャップ付きスパウト20が取り付けられている側を包装袋1の上側、キャップ付きスパウト20が取り付けられていない側を包装袋1の下側と言う。また、キャップ付きスパウト20については、容器本体10から突出している側を先端側、容器本体10の内部に収容されている側を基端側と言う場合がある。
【0014】
図1に示すように、容器本体10は、一対の側面シート11と、一対の側面シート11の下端部で側面シート11の間に挟み込まれた底面シート12を備えている。容器本体10は、一対の側面シート11及び底面シート12の縁部に、一対の側面シート11及び底面シート12が熱圧着されることにより接着されてなるシール部30が形成されている。
【0015】
図2に示すように、シール部30は、底部シール部31、サイドシール部32、及びスパウトシール部33を有している。図1及び図2では、シール部30が形成された範囲を網掛けで表示している。
【0016】
底部シール部31は、一対の側面シート11の下縁部と底面シート12の縁部とを接着している。サイドシール部32は、一対の側面シート11の側縁部同士を接着しており、容器本体10の上下方向に延びている。スパウトシール部33は、一対の側面シート11の上縁部同士を接着しており、キャップ付きスパウト20の幅方向両側部から、キャップ付きスパウト20の軸線方向Nに対して直交する方向に延びている。
【0017】
キャップ付きスパウト20は、先端が容器本体10から突出しているとともに、基端部が側面シート11の内面に接着された態様で容器本体10に取り付けられている。キャップ付きスパウト20は、キャップ22及びスパウト21を有しており、スパウト21の基端部の挿入部位21aが容器本体10内に挿入されている。キャップ付きスパウト20は、スパウト21の挿入部位21aの外面と一対の側面シート11の内面との熱溶着により形成されたスパウト接着部36によって、容器本体10に取り付けられている。スパウト接着部36は、キャップ付きスパウト20の軸線方向Nに対して直交する方向に延びており、スパウトシール部33と直線状に連なっている。
【0018】
サイドシール部32は、容器本体10の側縁部で上下方向に直線状に延びており、容器本体10の下側の下部サイドシール部34と、容器本体10の上側の上部サイドシール部35を有している。下部サイドシール部34の上端部と上部サイドシール部35の下端部は重なり合っている。
【0019】
下部サイドシール部34の上端縁34aは、側面シート11の側縁部の上下方向の中間領域であって、キャップ付きスパウト20の基端縁21bより下方に位置している。具体的には、キャップ付きスパウト20の基端縁21bから延びて、キャップ付きスパウト20の軸線方向Nに直交する仮想線Mを仮定したとき、下部サイドシール部34の上端縁34aは、サイドシール部32と仮想線Mとが交わる位置より下方に位置している。つまり、本実施形態の包装袋1では、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから下部サイドシール部34の上端縁34aまでの軸線方向Nの長さAは、スパウト接着部36の軸線方向Nの長さBより長くなっている。
【0020】
下部サイドシール部34の上端部と上部サイドシール部35の下端部は重なり合っていることから、上部サイドシール部35の下端縁35aは、下部サイドシール部34の上端縁34aより少し下方に位置している。また、上部サイドシール部35の下端縁35aは、下部サイドシール部34の上端縁34aより明瞭な熱圧着痕として視認される。
【0021】
次に、本実施形態の包装袋1の製造方法について、その作用とともに説明する。
本実施形態の包装袋1の製造方法は、下部接着工程、開口工程、挿入工程、前接着工程、及び後接着工程を備えている。製造方法について説明する図3(a)~(e)では、各工程での包装袋1の状態を示している。前接着工程及び後接着工程が、請求項で言う上部接着工程に相当する。
【0022】
図3(a)に示すように、下部接着工程では、まず、二つ折りした底面シート12を一対の側面シート11の下端部に挟み込む。続いて、図3(b)に示すように、一対の側面シート11及び底面シート12を支持した状態で、側面シート11の下部側の縁部に加熱押圧治具を押し当てる。加熱押圧治具により、側面シート11及び底面シート12が熱圧着により接着されて、底部シール部31及び下部サイドシール部34が形成された状態の容器本体10が得られる。この状態の容器本体10は、側面シート11の下縁部及び側縁部の下部側が互いに接着される一方で、側面シート11の上縁部及び側縁部の上部側は未接着の状態となっている。下部接着工程で熱圧着されなかった縁部を、未接着縁部13とする。下部接着工程で形成された底部シール部31及び下部サイドシール部34が、請求項で言う下部シール部である。
【0023】
下部接着工程では、下部サイドシール部34の上端縁34aが、その後に取り付けられるスパウト21の基端縁21bより下方に位置するように下部シール部を形成する。具体的には、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから未接着縁部13の下端縁13aまでのスパウト21の軸線方向Nの長さが、スパウト21の挿入部位21aの長さより長くなるように下部シール部を形成する。未接着縁部13の下端縁13aと下部サイドシール部34の上端縁34aは同じである。これにより、下部サイドシール部34の上端縁34aは、側面シート11の側縁部の仮想線M上の位置より下方に位置することになる。
【0024】
図3(c)に示すように、開口工程では、下部接着工程で未接着とされた未接着縁部13に開口部14を開口させ、挿入工程では、開口部14からスパウト21の基端部側を挿入する。開口工程及び挿入工程は、例えば、特許第5709508号に記載される開口装置を使用して行うことができる。具体的には、開口装置には、下部接着工程を経た容器本体10を搬送する支持面が設けられており、一対の吸着部材が支持面を挟んで対向配置されている。容器本体10を支持面上で支持した状態で、一対の吸着部材のそれぞれで一対の側面シート11のそれぞれを吸着し、一対の吸着部材を互いに離間する方向へ移動させる。これにより、一対の側面シート11の未接着縁部13が互いに離間する方向へ移動して、開口部14が開口される。
【0025】
続いて、図3(c)に矢印で示すように、開口部14からスパウト21を挿入する。下部接着工程で形成された下部サイドシール部34の上端縁34aは、側面シート11の側縁部の上下方向中間領域に位置している。そのため、上端縁34aが側面シート11の側縁部の上端に位置している場合に比べて、未接着縁部13の範囲が長く、より大きな開口部14が開口される。これにより、挿入されるスパウト21の基端部が、開口部14周辺の側面シート11の縁部に接触することが抑制される。
【0026】
図3(d)に示すように、前接着工程では、挿入されたスパウト21が位置決めされた状態で容器本体10を支持し、側面シート11の上縁部に加熱押圧治具を押し当てる。加熱押圧治具により、側面シート11の上縁部が熱溶着されて、スパウトシール部33及びスパウト接着部36が形成される。これにより、容器本体10の上縁部にスパウト21が取り付けられた状態で、スパウト21と側面シート11とが隙間なく接着される。
【0027】
図3(e)に示すように、後接着工程では、下部サイドシール部34及びスパウトシール部33に重なるように、上部サイドシール部35を形成する。スパウト21が取り付けられた状態の容器本体10を支持し、側面シート11の上側の側縁部に加熱押圧治具を押し当てる。加熱押圧治具は、上部サイドシール部35の下端部が下部サイドシール部34の上端部に重なり、上部サイドシール部35の上端部がスパウトシール部33の端部に重なるように位置調整されている。これにより、上縁部にスパウト21が取り付けられた包装袋1が得られる。上部サイドシール部35を形成する後接着工程を、下部サイドシール部34を形成する下部接着工程の後に行うことにより、上部サイドシール部35の下端縁35aは、下部サイドシール部34の上端縁34aより明瞭な熱圧着痕を形成することになる。
【0028】
なお、前接着工程で形成されたスパウトシール部33、及び後接着工程で形成された上部サイドシール部35が、請求項で言う上部シール部である。
次に本実施形態の包装袋1及びその製造方法の効果について、以下に記載する。
【0029】
(1)下部接着工程では、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから未接着縁部13の下端縁13aまでのスパウト21の軸線方向Nの長さAが、スパウト接着部36の軸線方向Nの長さBより長くなるように下部サイドシール部34を形成している。
【0030】
そのため、開口工程で開口部14を大きく開口させることができる。挿入工程で挿入するスパウト21の基端部が側面シート11の縁部と干渉し難く、側面シート11に皴が寄ったり、スパウト21の挿入ずれが起こったりし難い。包装袋1の品質を安定させることができる。
【0031】
(2)後接着工程では、下部サイドシール部34及び上部サイドシール部35の端部同士が重なるように上部サイドシール部35を形成している。
そのため、下部サイドシール部34と上部サイドシール部35との境界部分での接着強度を確保することができる。
【0032】
(3)後接着工程では、上部サイドシール部35及びスパウトシール部33の端部同士が重なるように上部サイドシール部35を形成している。
そのため、上部サイドシール部35とスパウトシール部33との境界部分での接着強度を確保することができる。
【0033】
(4)前接着工程では、容器本体10の上縁部を接着してスパウトシール部33及びスパウト接着部36を形成する一方で、容器本体10の側縁部の上部は未接着の状態としている。そして、後接着工程で、容器本体10の側縁部の上部を接着して上部サイドシール部35を形成している。
【0034】
そのため、容器本体10の上縁部と側縁部の上部側を一度に熱圧着して接着する場合に比べて、側縁部の上部の接着ずれを抑制することができる。包装袋1の品質を安定させることができる。
【0035】
(5)前接着工程では、スパウトシール部33及びスパウト接着部36を、スパウト21の軸線方向Nに対して直交する方向に延びるように直線状に形成している。
そのため、容器本体10に対してスパウト21を強固に接着することができる。
【0036】
(6)本実施形態の包装袋1は、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから下部サイドシール部34の上端縁34aまでのスパウト21の軸線方向Nの長さAが、スパウト21の挿入部位21aの長さより長い。また、上部サイドシール部35の下端縁35aの熱圧着痕は、下部サイドシール部34の上端縁34aの熱圧着痕より明瞭である。
【0037】
そのため、下部サイドシール部34を熱圧着して未接着縁部13からスパウト21を挿入した後、上部サイドシール部35で未接着縁部13を接着することができる。未接着縁部13でのスパウト21の挿入、位置決めがし易く、スパウト21が所定の位置に安定して取り付けられた包装袋1である。
【0038】
(7)本実施形態の包装袋1は、下部サイドシール部34の上端部及び上部サイドシール部35の下端部が重なっている。
そのため、下部サイドシール部34と上部サイドシール部35との境界部分での接着強度が強い。
【0039】
上記実施形態は、以下のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態の製造方法では、前接着工程でスパウトシール部33とスパウト接着部36を形成した後、後接着工程で上部サイドシール部35を形成している。これに限らず、前接着工程と後接着工程を同時に行ってもよい。この場合、スパウトシール部33と上部サイドシール部35とが1つのシール部として構成されることもある。
【0040】
・上記実施形態の製造方法では、下部接着工程で、底部シール部31及び下部サイドシール部34を形成している。これに限定されず、下部接着工程では、二つ折りした底面シート12を一対の側面シート11の下端部に挟み込んだ状態で、下部サイドシール部34のみを形成するようにしてもよい。この場合、開口工程、挿入工程、前接着工程、及び後接着工程は上記実施形態と同様にして行い、接着されていない底面シート12と側面シート11の間から内容物を挿入する。そして、その後、底部シール部31を形成する。
【0041】
・容器本体10の構成において底面シート12は必須ではない。容器本体10を一対の側面シート11のみによって構成することも可能である。この場合、下部接着工程では、一対の側面シート11の下端同士を接着することになる。なお、この下部接着工程は、内容物を挿入した後に行うことも可能である。
【0042】
・キャップ付きスパウト20は上記実施形態のものに限定されない。キャップ付きスパウト20として、スパウト21の下端部にストローのような細い管状の部材が取り付けられたものを採用してもよい。このようなキャップ付きスパウト20の場合、通常は、ストローのような細い管状の部材は、側面シート11に熱溶着されていない。そのため、スパウト21の挿入部位21aのうち、ストローのような細い管状の部材を除いた部分が側面シート11と熱溶着されてスパウト接着部36を形成している。
【0043】
このようなキャップ付きスパウト20の場合も、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから下部サイドシール部34の上端縁34aまでの軸線方向Nの長さAは、スパウト接着部36の軸線方向Nの長さBより長ければよい。これは、ストローのような細い管状の部材が、キャップ付きスパウト20を挿入する際の妨げになり難いことによる。
【0044】
・包装袋1の形状は実施形態のものに限定されない。例えば、図4(a)に示すように、スパウト21が、略長方形状の側面シート11において隣り合う側辺の境界部分に取り付けられていてもよい。このような形状の包装袋1の場合も、図4(a)に示すように、包装袋1においてキャップ付きスパウト20が取り付けられている側を包装袋1の上側、キャップ付きスパウト20が取り付けられていない側を包装袋1の下側と言う。そして、スパウト21の軸線方向Nに直交する方向に延びる仮想線Mを仮定した場合、下部サイドシール部34の上端縁34aが、容器本体10の縁部において仮想線M上より下側に位置していればよい。つまり、下部接着工程では、側面シート11におけるスパウト21の取付端縁11aから下部サイドシール部34の上端縁34aまでの軸線方向Nの長さAが、スパウト接着部36の軸線方向Nの長さBより長くなるように下部サイドシール部34を形成すればよい。これにより、開口工程、挿入工程でスパウト21を容易に挿入することができる。
【0045】
図4(b)に示すように、側面シート11の下縁部が曲線状に延びており、底部シール部31が形成されていなくてもよい。
・上記実施形態の包装袋1では、一対の下部サイドシール部34の上端縁34aの上下方向の各高さ位置が同じであるがこれに限定されない。図4(b)に示すように異なっていてもよい。
【0046】
・スパウトシール部33は、スパウト接着部36と直線状に連なっていなくてもよい。
・スパウトシール部33は、スパウト21の軸線方向Nに対して直交する方向に延びていなくてもよい。スパウト21の軸線方向Nに対して交差する方向に延びていればよい。
【0047】
・容器本体10が、一対の側面シート11のみで袋状に形成されて、底面シート12を有していなくてもよい。
・一対の側面シート11の縁部同士を接着剤で接着してもよい。この場合、下部接着工程、前接着工程、後接着工程では、側面シート11の縁部に接着剤を塗布した後、押圧治具で縁部を押圧するようにすればよい。
【0048】
・キャップ付きスパウト20は、上記形状のものに限定されない。従来公知の形状のものを適用することができる。
・容器本体10内に収容されるのは美容液でなくてもよい。
【符号の説明】
【0049】
A…長さ
B…長さ
N…軸線方向
1…包装袋
10…容器本体
11…側面シート
11a…取付端縁
13…未接着縁部
14…開口部
21…スパウト
21a…挿入部位
21b…基端縁
31…底部シール部(下部シール部)
32…サイドシール部
33…スパウトシール部(上部シール部)
34…下部サイドシール部(下部シール部)
34a…上端縁(端縁)
35…上部サイドシール部(上部シール部)
36…スパウト接着部
図1
図2
図3
図4
図5