(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152784
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20221004BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055689
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 純也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喜好
(72)【発明者】
【氏名】加納 忍
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D132FA04
2D132FA05
2D132FA08
2D132FC04
2D132FJ07
4F033AA11
4F033BA04
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA10
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】シャワーフェイスを連結部材にねじ込み固定する際に大きな力を必要とせずに、シャワーノズルによるシールを行うことができるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】シャワーヘッド1であって、連結部材20は、雄ネジ部21と前記雄ネジ部21と同心のシール溝22を有し、シャワーフェイス50は雌ネジ部54を有し、前記雌ネジ部54が前記雄ネジ部21にねじ込まれて、前記シャワーフェイス50が前記連結部材20に固定されており、シャワーノズル40は円筒状のシール壁42を有し、前記シール壁42が前記シール溝22内に位置しており、前記シール溝22と前記シール壁42は、前記シャワーフェイス50のねじ込み方向に交差する方向にてシールしている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーケースと、
前記シャワーケースに固定された連結部材と、
弾性材料にて形成され、前記シャワーケースに供給された湯水を吐出する散水孔を有する散水ニップルが複数突設されたシャワーノズルと、
前記シャワーノズルに当接して配置され、前記散水ニップルがそれぞれ挿通する複数の挿通孔を有するシャワーフェイスと、を備えたシャワーヘッドであって、
前記連結部材は、第一ネジ部と前記第一ネジ部と同心のシール溝を有し、
前記シャワーフェイスは第二ネジ部を有し、前記第二ネジ部が前記第一ネジ部にねじ込まれて、前記シャワーフェイスが前記連結部材に固定されており、
前記シャワーノズルは円筒状のシール壁を有し、前記シール壁が前記シール溝内に位置しており、
前記シール溝と前記シール壁は、前記シャワーフェイスのねじ込み方向に交差する方向にてシールしていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記シールは、少なくとも前記シール溝の外側面と前記シール壁の外壁面とによりなされていることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記シール溝は有底であり、前記シール壁の先端面は前記シール溝の底面と離間していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記シール壁の外壁面には周方向に延びる突部が形成されており、前記突部が前記シール溝の外側面に接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記シール溝又は前記シール壁の少なくともいずれかは、前記ねじ込み方向に向かうほど溝幅が狭くなっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、従来、弾性材料にて形成されたシャワーノズル101と、前記シャワーノズル101に当接して配置されるシャワーフェイス102を備えたシャワーヘッドがある(特許文献1)。
【0003】
このシャワーフェイス102をシャワーケース103に取り付ける構成として、連結部材104を用いている。具体的には、連結部材104をネジ等によりシャワーケースに取り付ける。また、シャワーフェイス102には雌ネジ部105を形成し、連結部材104には雄ネジ部106を形成する。そして、シャワーフェイス102をシャワーケース103にねじ込みにより固定する構成である。
【0004】
一方、シャワーノズル101はシール部を兼ねた外周縁107を有し、この外周縁107がシャワーフェイス102と連結部材104との間に位置する。そして、シャワーフェイス102を連結部材104にねじ込む際に両者に挟持されたシャワーノズル101の外周縁107が弾性変形してシール機能を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この特許文献1に記載のシャワーヘッドでは、シャワーフェイス102を連結部材104にねじ込む方向(
図9の上下方向)と同方向にシャワーノズル101の外周縁107を弾性変形させてシールしている。このため、シャワーノズル101の外周縁107を弾性変形させてシールする方向がねじ込み方向と同じ方向となる。
【0007】
このような構成では、シャワーフェイス102を連結部材104にねじ込み固定する際にシャワーノズル101の弾性変形の反発力がねじ込み方向に作用するためねじ込みに大きな力を要し、組付け性が悪くなることが考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、シャワーフェイスを連結部材にねじ込み固定する際に大きな力を必要とせずに、シャワーノズルによるシールを行うことができるシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためのシャワーヘッドは、シャワーケースと、前記シャワーケースに固定された連結部材と、弾性材料にて形成され、前記シャワーケースに供給された湯水を吐出する散水孔を有する散水ニップルが複数突設されたシャワーノズルと、前記シャワーノズルに当接して配置され、前記散水ニップルがそれぞれ挿通する複数の挿通孔を有するシャワーフェイスと、を備えたシャワーヘッドであって、前記連結部材は、第一ネジ部と前記第一ネジ部と同心のシール溝を有し、前記シャワーフェイスは第二ネジ部を有し、前記第二ネジ部が前記第一ネジ部にねじ込まれて、前記シャワーフェイスが前記連結部材に固定されており、前記シャワーノズルは円筒状のシール壁を有し、前記シール壁が前記シール溝内に位置しており、前記シール溝と前記シール壁は、前記シャワーフェイスのねじ込み方向に交差する方向にてシールしていることを特徴とする。
【0010】
上記シャワーヘッドについて、前記シールは、少なくとも前記シール溝の外側面と前記シール壁の外壁面とによりなされていることを特徴とする。
上記シャワーヘッドについて、前記シール溝は有底であり、前記シール壁の先端面は前記シール溝の底面と離間していることを特徴とする。
【0011】
上記シャワーヘッドについて、前記シール壁の外壁面には周方向に延びる突部が形成されており、前記突部が前記シール溝の外側面に接触していることを特徴とする。
上記シャワーヘッドについて、前記シール溝又は前記シール壁の少なくともいずれかは、前記ねじ込み方向に向かうほど溝幅が狭くなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャワーフェイスを連結部材にねじ込み固定する際に大きな力を必要とせずに、シャワーノズルによるシールを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2(a)はシャワーケースの部分平面図、
図2(b)はその矢視断面図。
【
図3】
図3(a)は連結部材の平面図、
図3(b)の左は側面図、右は
図3(a)の矢視断面図、
図3(c)は部分断面図。
【
図4】
図4(a)はシャワーノズルの平面図、
図4(b)は側面図、
図4(c)は
図4(a)の矢視断面図。
【
図5】
図5(a)はシャワーフェイスの平面図、
図5(b)の左は側面図、右は
図5(a)の矢視断面図、
図5(c)は部分断面図。
【
図8】
図8(a)は組み付けたシャワーヘッドの断面図、
図8(b)はその部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、シャワーヘッド1の実施形態を説明する。
図1にシャワーヘッド1の分解斜視図を示す。同図に示すようにシャワーヘッド1は、その外殻をなすシャワーケース10を有する。また、シャワーヘッド1は、シャワーケース10に固定される連結部材としての通水部材20と、その固定手段としての複数本(実施形態では3本)の固定ネジ30を有する。さらに、シャワーヘッド1は、シャワーノズル40と、シャワーノズル40に当接して配置され通水部材20に固定されるシャワーフェイス50とを有する。なお、以下、シャワーヘッド1及びこれを構成する各部材において前面(前方)、背面(後方)とは、
図1に示す方向をいう。
【0015】
図1及び
図2に示すように、シャワーケース10は棒状の把持部11とその把持部11の先端に位置するヘッド部12とを有する。把持部11は、使用者がシャワーヘッド1を使用する際に手で把持する部分であり内部が中空の棒状に形成されている。把持部11の内部には図示しない湯水の配管が配置されており、この配管を通って図示しないホースからの湯水がヘッド部12へと供給される。
【0016】
図2(a)、
図2(b)に示すように、ヘッド部12は、円筒状の枠部13と枠部13の後方に一体形成された底部14とを有する前方開口の有底円筒枠状をなす。ヘッド部12の底部14には連結部材をネジ固定するためのボス15が複数(実施形態では3つ)形成されており、各ボス15は底部14から開口する前方に向けて突出し、各ボス15の先端にネジ穴が形成されている。また、把持部11とヘッド部12との接続部分には湯水の配管をヘッド部12内に導入するため配管挿通部16が開口形成されている。
【0017】
図3に示すように、通水部材20は円筒状をなしており、熱可塑性樹脂にて形成されている。なお、通水部材20は円筒状であるため、
図3に示す通水部材20の説明にあたり径(方向)、周(方向)、高さ(方向)という表現も用いる。
図3(b)に示すように、通水部材20の外周であって高さ方向の上方には第一ネジ部としての雄ネジ部21が形成されている。また、通水部材20の外周のうち雄ネジ部21より下側は雄ネジ部21より小径に形成されている。雄ネジ部21の直径は通水部材20の高さ方向のいずれの箇所でも一定に形成されている。なお、雄ネジ部21の直径は
図3(b)における左右両端のネジ山同士間の距離として把握することができる。
【0018】
図3(a)ないし
図3(c)に示すように、通水部材20には、雄ネジ部21の径方向内側に雄ネジ部21と同心の円形状のシール溝22が形成されている。シール溝22は、径方向外側に位置する外側面221と同内側に位置する内側面222と両者間に位置する底面223とからなる有底溝である。外側面221は、雄ネジ部21の径方向内側に位置して形成されている。
【0019】
図3(c)に示すように、シール溝22の内側面222は外側面221に比して上端が低くなっている。また、内側面222の直径はその上下端の面取り部分を除いて通水部材20の高さ方向のいずれの箇所でも一定に形成されている。一方、シール溝22の外側面221は通水部材20の高さ方向に対して傾斜して形成されている。具体的には
図3(c)に断面図を示すように、外側面221は上下端の面取り部分を除いて下から上に向かって径方向外側に傾斜しており、外側面221の直径は通水部材20の高さ方向の上に向うほど大径となる。このため、外側面221と内側面222とによって形成されるシール溝22の溝幅は通水部材20の高さ方向において下方となる底面223が最も幅狭であり、上に向うほど順次幅広となる。
【0020】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、通水部材20のうち、シール溝22よりも径方向内側は通水部材20を高さ方向の上下に隔てる仕切り部23となっている。仕切り部23の前面は緩やかな凸状の曲面となっており、複数の支持突起24が前方に向けて突出形成されている。また仕切り部23には、その複数(実施形態では3つ)に仕切り部23を前後に貫通するネジ挿通孔25が形成されている。
図3(b)に示すように、仕切り部23の径方向中心には下方に凹んだ凹部26が形成されており、この凹部26は仕切り部23の背面側において径方向外側に延びる接続口27に繋がっている。この接続口27は、把持部11内の配管(図示せず)から供給された湯水を通水部材20に供給するものである。
【0021】
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、シャワーノズル40は前方が凸の曲面となるよう全体が緩やかに湾曲した円板状のノズル部41と、ノズル部41の外周縁から後方に延びる円筒状のシール壁42とを有する。シャワーノズル40は弾性材料にて一体形成されている。なお、シャワーノズル40は円板状、円筒状であるため、
図4に示すシャワーノズル40の説明にあたり径(方向)、周(方向)、高さ(方向)という表現も用いる。
【0022】
図4(a)に示すように、シャワーノズル40のノズル部41は、その前面から前方に向けて突出する複数の散水ニップル43が形成されている。また、各散水ニップル43の内部にはシャワーノズル40の前後を連通する散水孔44が形成されている。なお、
図4各図では多数の散水ニップル43及び散水孔44の一部にのみ符号を付している。
【0023】
図4(c)らに示すように、シャワーノズル40のシール壁42は、ノズル部41の前面から連続し径方向外側に位置する外壁面421と、ノズル部41の背面から連続し径方向内側に位置する内壁面422と、その先端の先端面423とを有する。シール壁42のうち、外壁面421はノズル部41の厚み分だけ内壁面422よりも高く形成されている。また、外壁面421の高さ方向の中央付近には径方向外側に突出する断面半円形状の突部45が外壁面421の周方向の全周に亘って一体形成されている。シール壁42は、通水部材20に形成されたシール溝22と略同径に形成されており、シール壁42を前方からシール溝22内に挿入可能である。
【0024】
シール壁42の幅(厚み)は突部45を除いて一定である。突部45を除いたシール壁42の幅はシール溝22の最狭部の幅より狭く、突部45を含むシール壁42の幅はシール溝22の最広部の幅より広い。さらに、シール壁42は、通水部材20のシール溝22に挿入された状態(
図8参照)でシール壁42の先端面423がシール溝22の底面223から離間する高さに形成されている。
【0025】
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、シャワーフェイス50は前方が凸の曲面となるよう全体が緩やかに湾曲した円盤状のカバー部51と、カバー部51の背面から後方に延びる円筒状の筒部52とを有する。シャワーフェイス50は熱可塑性樹脂にて一体形成されている。なお、シャワーフェイス50も円板状、円筒状であるため、
図5に示すシャワーフェイス50の説明にあたり径(方向)、周(方向)、高さ(方向)という表現も用いる。
【0026】
シャワーフェイス50のカバー部51には、その前後を貫通する複数の挿通孔53が形成されている。各挿通孔53はシャワーノズル40の散水ニップル43に対応する位置に形成されており、シャワーノズル40とシャワーフェイス50とを組み付けた状態(
図6参照)では、散水ニップル43が挿通孔53内を通り抜けてシャワーフェイス50の前方に突出する。なお、
図5各図では多数の挿通孔53の一部にのみ符号を付している。
【0027】
シャワーフェイス50の筒部52において径方向内側には第二ネジ部としての雌ネジ部54が形成されている。この雌ネジ部54は通水部材20の雄ネジ部21にねじ込み可能である。筒部52に形成された雌ネジ部54の直径はシャワーフェイス50の高さ方向においてわずかに傾斜して形成されている。なお、雌ネジ部54の直径は
図5(b)における左右両端のネジ山同士間の距離として把握することができる。同図では左側の雌ネジ部54は図示されていないが右図の延長でネジ溝が形成されている。具体的には、
図5(c)に断面図を示すように、雌ネジ部54は下方から上方に向かって径方向内側に傾斜しており、雌ネジ部54の直径はシャワーフェイス50の高さ方向の上方に向うほど小径となる。したがって、
図5(b)では左側のネジ山(図示されず)の延長線と右側のネジ山の延長線は上に向うほど縮径する。
【0028】
シャワーヘッド1の組み付け
上記で説明した各部材を以下のとおり組み付けてシャワーヘッド1とする。なお、シャワーケース10に組み込む配管等については説明を省略する。
【0029】
図6に示すように、シャワーノズル40の前面にシャワーフェイス50のカバー部51の背面を重ねて、散水ニップル43が挿通孔53内を通り抜けて前方に突出した状態とする。これにより
図6の上側に示す構成となる。また、シャワーケース10のヘッド部12に通水部材20を固定する。具体的には、ヘッド部12のボス15と通水部材20のネジ挿通孔25とをそれぞれ位置決めし、通水部材20の前方から固定ネジ30によりネジ止めする。これにより、
図6の下側に示す構成となる。続けて、ヘッド部12に固定した通水部材20の雄ネジ部21に、シャワーノズル40を組み付けたシャワーフェイス50の筒部52の雌ネジ部54を嵌め合わせてねじ込んでいく。
【0030】
図7(a)に示すように、シャワーフェイス50を通水部材20にねじ込んでいくと、シャワーフェイス50に組み付けられたシャワーノズル40も同時に通水部材20に対してその高さ方向下方(後方)に回転しながら移動していく。また、シャワーノズル40のシール壁42も、通水部材20のシール溝22の開口側から挿入されてシール溝22の底面223に向かって回転しながら移動していく。ここで、シール壁42は突部45を含む部分の幅(厚み)がシール溝22の溝幅より広く(厚く)なっている。このため、
図7(b)のように、シール溝22内に挿入されたシール壁42は、シール溝22の外側面221と内側面222との間で径方向に弾性変形した状態で圧入され、シール溝22との間をシールする。また、シール溝22の溝幅は開口から底面223に向うほど狭くなっており、シール壁42が底面223に向けて移動するにしたがってより圧入の度合いが高まる。
【0031】
シャワーフェイス50の筒部52に形成された雌ネジ部54の直径はシャワーフェイス50の高さ方向の上方(前方)に向うほど小径となっている。このため、シャワーフェイス50の雌ネジ部54をねじ込むに伴い通水部材20の雄ネジ部21が締め付けられて縮径し、併せてシール溝22の外側面221が径方向内側に向けて移動することとなって溝幅が狭くなる。このため、シール溝22に挿入された突部45を含むシール壁42は、シール溝22の外側面221の移動により押圧されて弾性変形する。
【0032】
図8(a)に示すようにシャワーフェイス50を完全に通水部材20にねじ込むとシャワーヘッド1が完成する。この状態では、
図8(b)に示すように、シール溝22とシール壁42とは、シール溝22の外側面221とシール壁42の外壁面421、特に突部45との間、及びシール溝22の内側面222とシール壁42の内壁面422との間との間でシールがされている。そのシールの方向はシャワーフェイス50のねじ込み方向(
図8の上下方向)に交差する径方向(
図8の左右方向)となる。また、シール壁42の先端面423はシール溝22の底面223と接触しておらず両者は離間している。
【0033】
組み付け後のシャワーヘッド1では、シャワーノズル40はその背面に位置する通水部材20の支持突起24に支持されて自身の凸形状を保持することができる。その結果、シャワーヘッド1において通水部材20の前面とシャワーノズル40の背面との間に空間が形成される。図示しない配管を通して通水部材20の凹部26へと供給された湯水は、この空間内でシャワーノズル40の径方向外側に拡散して多数の散水ニップル43から吐出される。
【0034】
上記実施形態のシャワーヘッド1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シール溝22に挿入されるシール壁42は、突部45を含む部分の幅(厚み)がシール溝22の溝幅より広く(厚く)なっている。このため、シール溝22内に挿入されたシール壁42は、圧入状態となってシール溝22の外側面221と内側面222との間で弾性変形し、シール機能を発揮する。このシールの方向はシャワーフェイス50の径方向であって、ねじ込み方向に交差する方向である。したがって、シャワーフェイス50のねじ込み方向とシール方向が同方向とならない。これにより、ねじ込みに弾性部材であるシール壁42の反発力が作用しにくく、シャワーフェイス50のねじ込み方向とシール方向が同方向の場合に比して大きくなりにくいものとなる。
【0035】
(2)上記実施形態では、シール溝22の溝幅は開口から底面223に向うほど狭くなっており、シール壁42が底面223に向けて移動するにしたがってより圧入の度合いが高まり、シール性が向上する。
【0036】
これによっても、ねじ込みに弾性部材であるシール壁42の反発力が作用しにくく、シャワーフェイス50のねじ込み方向とシール方向が同方向の場合に比して大きくなりにくいものとなる。
【0037】
(3)組付け状態ではシャワーノズル40のシール壁42の先端面423は、通水部材20のシール溝22の底面223と離間している。このため、シャワーフェイス50のねじ込み時にもシャワーノズル40のシール壁42の先端面423が通水部材20のシール溝22の底面223に接触、押圧することがなく、シャワーフェイス50のねじ込み時にシール壁42にねじ込み方向の荷重が作用しない。
【0038】
(4)シール壁42の外壁面421には断面半円形状の突部45が全周に亘って形成されている。このため、シール壁42の外壁面421のうち突部45が積極的にシール溝22の外側面221と接触することによりシールが確実となる。
【0039】
(5)上記実施形態では、雌ネジ部54の直径がシャワーフェイス50の高さ方向における上方ほど小径となっている。このため、シャワーフェイス50のねじ込みに伴って雄ネジ部21が締め付けられてシール溝22の溝幅が狭くなり、シール溝22に挿入されたシール壁42を押圧する。いわゆるカム機構によりねじ込み方向(前後方向)の力をシャワーフェイス50の径方向という交差する方向に変換することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・シャワーフェイス50の筒部52に形成された雌ネジ部54をいわゆるテーパねじとしたが、これに限らず、雌ネジ部54の直径が高さ方向にて一定である平行ネジとしてもよい。
【0041】
・シール溝22の外壁面421は通水部材20の高さ方向において上に向かうほど拡径する形状としたが、内壁面422のみあるいは外壁面421と内壁面422の双方を前方に向かうほど拡径する形状としてもよい。
【0042】
・シール溝22の外壁面421と内壁面422を通水部材20の高さ方向において一定とし、シール溝22の溝幅を一定としてもよい。また、シール壁42の厚みを先端面423に向うほど狭くしてもよい。
【0043】
・シール壁42の外壁面421に形成された突部45を省略したり、内壁面422に形成したり、あるいは複数列形成してもよい。
・組付け状態でシャワーノズル40のシール壁42の先端面423が、通水部材20のシール溝22の底面223と接触する構成としてもよい。
【0044】
・シール溝22の外側面221及び内側面222がともに傾斜していてもよい。
・シール壁42の突部45を含めた幅を、シール溝22の溝幅と同じかあるいは狭くしてもよい。この場合、シール溝22内に挿入したシール壁42の突部45が、シール溝22の外側面221に接触し、シール壁42の内壁面422はシール溝22の内側面222から離間するように構成する。この構成では、シャワー吐水時に通水部材20の前方かつシャワーノズル40の背面側に吐水圧が作用する。そして、この吐水圧はシール溝22内でシール壁42の内壁面422を径方向外側に押圧し、シール溝22の外側面221とシール壁42の突部45との間がシールされる。この構成であれば、シール壁42をシール溝22に圧入する必要がないため、より小さい力でシャワーフェイスをねじ込むことができる。
【0045】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)シャワーフェイス50の雌ネジ部54はシャワーフェイス50の高さ方向の上側に向うほど直径が小さくなるシャワーヘッド1。
【0046】
従って、この(a)に記載の発明によれば、シャワーフェイス50の雌ネジ部54を通水部材20の雄ネジ部21にねじ込むことにより通水部材20の雄ネジ部21が縮径され、シール溝22の溝幅も狭くなる。このため、シール溝22がねじ込み方向に交差する方向に変形し、シール溝22内に位置するシール壁42をシールすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…シャワーヘッド、10…シャワーケース、20…通水部材(連結部材)、22…シール溝、40…シャワーノズル、42…シール壁、43…散水ニップル、44…散水孔、50…シャワーフェイス、221…(シール壁の)外側面、222…(シール壁の)内側面、223…(シール壁の)底面、421…(シール溝の)外壁面、422…(シール溝の)内壁面、423…(シール溝の)先端面。