(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152786
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】判定システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/38 20060101AFI20221004BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221004BHJP
【FI】
G01M3/38 H
G06T7/00 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055691
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 康
【テーマコード(参考)】
2G067
5L096
【Fターム(参考)】
2G067AA38
2G067BB15
2G067BB26
2G067BB36
2G067DD10
2G067EE06
5L096AA02
5L096BA03
5L096DA02
5L096FA64
5L096FA67
5L096GA08
5L096GA38
5L096GA41
5L096GA51
5L096JA03
(57)【要約】
【課題】フランジのシール面の状態を容易に判定することが可能な判定システムを提供することである。
【解決手段】判定システムは、対象フランジのシール面の画像を取得する画像取得部と、錆が付着した第1シール面の第1画像の色値と対象フランジのシール面の画像の色値との第1色差と、付着物が存在しない第2シール面の第2画像の色値と対象フランジのシール面の画像の色値との第2色差とを算出する色差算出部と、第1色差に基づいて、第1シール面と対象フランジのシール面との第1の一致度を算出し、第2色差に基づいて、第2シール面と対象フランジのシール面との第2の一致度を算出する一致度算出部と、第1の一致度および第2の一致度に基づいて、対象フランジのシール面における付着物の付着状態を判定する第1判定部とを備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象フランジのシール面の画像を取得する画像取得部と、
錆が付着した第1シール面の第1画像の色値と前記対象フランジのシール面の画像の色値との第1色差と、付着物が存在しない第2シール面の第2画像の色値と前記対象フランジのシール面の画像の色値との第2色差とを算出する色差算出部と、
前記第1色差に基づいて、前記第1シール面と前記対象フランジのシール面との第1の一致度を算出し、前記第2色差に基づいて、前記第2シール面と前記対象フランジのシール面との第2の一致度を算出する一致度算出部と、
前記第1の一致度および前記第2の一致度に基づいて、前記対象フランジのシール面における付着物の付着状態を判定する第1判定部とを備える、判定システム。
【請求項2】
前記第1の一致度が第1閾値以上である場合、前記第1判定部は、前記第2の一致度に関わらず、前記対象フランジのシール面に錆が付着していると判定する、請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記第1の一致度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満であって、かつ前記第2の一致度が第3閾値以上である場合、前記第1判定部は、前記対象フランジのシール面に付着物が存在しないと判定する、請求項2に記載の判定システム。
【請求項4】
前記第1の一致度が前記第2閾値未満であって、かつ前記第2の一致度が前記第3閾値未満である場合、前記第1判定部は、前記対象フランジのシール面に錆以外の他の付着物が付着していると判定する、請求項3に記載の判定システム。
【請求項5】
前記対象フランジのシール面の画像に基づいて、当該シール面に生じた傷を検出する検出部と、
前記傷が、前記対象フランジのシール面の中心に近い第1領域、および前記中心から遠い第2領域のいずれの領域に含まれるかを判定する領域判定部と、
前記傷の太さ、長さおよび角度の少なくとも1つと、前記傷が存在する領域とに基づいて、前記傷を許容するか否かを判定する第2判定部とをさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の判定システム。
【請求項6】
前記傷が前記第1領域に存在し、かつ、前記傷の太さが基準値以上または前記傷の角度が所定角度以上である場合、前記第2判定部は、前記傷を許容しないと判定する、請求項5に記載の判定システム。
【請求項7】
前記傷が前記第2領域に存在し、前記傷の太さが基準値以上であり、かつ前記傷の角度が所定角度以上である場合、前記第2判定部は、前記傷を許容しないと判定する、請求項5または6に記載の判定システム。
【請求項8】
前記傷が前記第2領域に存在し、前記傷の太さが基準値未満であり、前記傷の角度が所定角度未満であり、前記傷の長さが所定長さ未満である場合、前記第2判定部は、前記傷を許容すると判定する、請求項5~7のいずれか1項に記載の判定システム。
【請求項9】
前記第1判定部の判定結果および前記第2判定部の判定結果の少なくとも一方に基づいて、前記対象フランジに関するアドバイス情報を出力する出力制御部をさらに備える、請求項5~8のいずれか1項に記載の判定システム。
【請求項10】
前記出力制御部は、前記対象フランジのシール面に錆が付着しているとの前記第1判定部の判定結果、または、検出された前記傷を許容しないとの前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記対象フランジのシール面の研磨を推奨するアドバイス情報を出力する、請求項9に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を運ぶ配管のフランジ部分に生ずる高温の漏れの箇所を発見するためのガス漏れ検知システムがある。例えば、特開2009-192470号公報(特許文献1)は、赤外線カメラを利用して、配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても遠隔にて検知可能な技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フランジ部からのガス漏れの原因の一つとしては、配管のつなぎ目に用いられるガスケットの劣化や損傷などがあるため、定期的に作業者はガスケットを交換する。このとき、作業者は、フランジのシール面の状態を目視で確認し、その状態に応じてフランジのシール面に対して洗浄あるいは研磨等の適切な作業を実施した後、新しいガスケットに交換する。しかしながら、フランジのシール面の状態の確認およびそれに対応する適切な作業を実施するためには、技術的知識および経験が必要とされる。そのため、熟練者ではない知識や経験が乏しい者がシール面を確認しても、どのような作業を実施したよいか即時に判断できない場合も多い。したがって、個人の知識や経験に依存せずに、フランジのシール面の状態を容易に判定できるシステムが必要とされている。
【0005】
本開示のある局面における目的は、フランジのシール面の状態を容易に判定することが可能な判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従う判定システムは、対象フランジのシール面の画像を取得する画像取得部と、錆が付着した第1シール面の第1画像の色値と対象フランジのシール面の画像の色値との第1色差と、付着物が存在しない第2シール面の第2画像の色値と対象フランジのシール面の画像の色値との第2色差とを算出する色差算出部と、第1色差に基づいて、第1シール面と対象フランジのシール面との第1の一致度を算出し、第2色差に基づいて、第2シール面と対象フランジのシール面との第2の一致度を算出する一致度算出部と、第1の一致度および第2の一致度に基づいて、対象フランジのシール面における付着物の付着状態を判定する第1判定部とを備える。
【0007】
好ましくは、第1の一致度が第1閾値以上である場合、第1判定部は、第2の一致度に関わらず、対象フランジのシール面に錆が付着していると判定する。
【0008】
好ましくは、第1の一致度が第1閾値よりも小さい第2閾値未満であって、かつ第2の一致度が第3閾値以上である場合、第1判定部は、対象フランジのシール面に付着物が存在しないと判定する。
【0009】
好ましくは、第1の一致度が第2閾値未満であって、かつ第2の一致度が第3閾値未満である場合、第1判定部は、対象フランジのシール面に錆以外の他の付着物が付着していると判定する。
【0010】
好ましくは、判定システムは、対象フランジのシール面の画像に基づいて、当該シール面に生じた傷を検出する検出部と、傷が、対象フランジのシール面の中心に近い第1領域、および中心から遠い第2領域のいずれの領域に含まれるかを判定する領域判定部と、傷の太さ、長さおよび角度の少なくとも1つと、傷が存在する領域とに基づいて、傷を許容するか否かを判定する第2判定部とをさらに備える。
【0011】
好ましくは、傷が第1領域に存在し、かつ、傷の太さが基準値以上または傷の角度が所定角度以上である場合、第2判定部は、傷を許容しないと判定する。
【0012】
好ましくは、傷が第2領域に存在し、傷の太さが基準値以上であり、かつ傷の角度が所定角度以上である場合、第2判定部は、傷を許容しないと判定する。
【0013】
好ましくは、傷が第2領域に存在し、傷の太さが基準値未満であり、傷の角度が所定角度未満であり、傷の長さが所定長さ未満である場合、第2判定部は、傷を許容すると判定する。
【0014】
好ましくは、判定システムは、第1判定部の判定結果および第2判定部の判定結果の少なくとも一方に基づいて、対象フランジに関するアドバイス情報を出力する出力制御部をさらに備える。
【0015】
好ましくは、出力制御部は、対象フランジのシール面に錆が付着しているとの第1判定部の判定結果、または、検出された傷を許容しないとの第2判定部の判定結果に基づいて、対象フランジのシール面の研磨を推奨するアドバイス情報を出力する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、フランジのシール面の状態を容易に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】判定システムの全体構成を説明するための図である。
【
図2】判定システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】フランジのシール面の解析領域を説明するための図である。
【
図5】
図4の解析領域の詳細を説明するための図である。
【
図6】付着状態の判定基準を説明するための図である。
【
図7】
図6の判定基準に従う各フランジの付着状態の判定結果を説明するための図である。
【
図8】付着状態の判定方式およびアドバイス情報を説明するための図である。
【
図9】シート面の傷の状態の判定に用いられる解析領域の詳細を説明するための図である。
【
図10】シート面に生じた傷の検出方式を説明するための図である。
【
図11】シート面の傷の状態の判定方式を説明するための図である。
【
図13】情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
<システム構成>
図1は、判定システム1000の全体構成を説明するための図である。
図1を参照して、判定システム1000は、フランジ24のシール面の状態を判定するためのシステムである。判定システム1000は、情報処理装置10と、カメラ22と、サーバ30と、端末装置40とを含む。なお、本実施の形態では、端末装置40のユーザである作業者が、フランジ24の締結に用いられていた使用済のシール材を新たな使用前のシール材に交換する際に、情報処理装置10がフランジ24のシール面の状態を判定する場面を想定する。以下、判定対象のフランジ24のシール面を「対象シール面」と称する場合がある。
【0020】
シール材はフランジ24の規格に合ったものが使用される。作業者は、シール材を介した一対のフランジ24の締結を適切に行なうために、対象シール面をカメラ22を用いて撮像し、その撮像画像を端末装置40に取り込む。端末装置40は、取り込んだ撮像画像を情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10は、受信した撮像画像を解析して対象シール面の状態を判定し、判定結果に基づくアドバイス情報を端末装置40へ送信する。
【0021】
シール材は、一対のフランジ24同士が接合する部分に挟み込まれ、フランジ24のボルトの締め付けによって固定されることで、フランジ24の隙間から流体が漏洩することを防止する。シール材は、例えば、ガスケットと称される固定用のシール材である。ガスケットは、設置される部位の隙間を封止し、その部位に密封性を持たせることが可能なシール材である。ガスケットには様々な種類が存在し、配管の使用態様に応じて適宜選択される。なお、シール材は、パッキンと称される運動用のシール材であってもよい。
【0022】
端末装置40は、情報処理装置10と通信可能に構成される。端末装置40は、フランジ24の撮像画像を取得し、当該撮像画像を情報処理装置10に送信する。端末装置40は、当該撮像画像に対する応答として、情報処理装置10から対象シール面の状態に関するアドバイス情報を受信する。端末装置40は、典型的には、スマートフォンであるが、これに限られず、例えば、タブレット端末装置であってもよい。なお、端末装置40は、サーバ30と通信可能に構成されていてもよい。
【0023】
端末装置40は、カメラ22からフランジ24のシール面の撮像画像を取得する。カメラ22は、一例として、レンズなどの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった、複数の画素に区画された撮像素子を含んで構成される。カメラ22による撮像によって取得された撮像画像は、端末装置40へ伝送される。
【0024】
本実施の形態では、情報処理装置10は、判定対象のフランジ24の撮像画像と、データベースに記憶された各種状態のフランジの撮像画像とに基づいて、対象シール面の状態を判定する。
【0025】
情報処理装置10は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有しており、予めインストールされたプログラムをプロセッサが実行することで、後述する各種の処理を実現する。情報処理装置10は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)である。ただし、情報処理装置10は、以下に説明する機能および処理を実行可能な装置であればよく、他の装置(例えば、ラップトップPC、タブレット端末装置)であってもよい。
【0026】
サーバ30は、情報処理装置10と通信可能に構成される。サーバ30は、情報処理装置10による各種処理結果を受信して、これらをデータベース化して記憶する。
【0027】
図2は、判定システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。
図2を参照して、カメラ22は、フランジ24のシール面を撮像して、撮像画像を生成する(ステップS10)。情報処理装置10は、当該撮像画像をカメラ22から取得して、内部メモリに記憶する(ステップS12)。なお、情報処理装置10は、フランジ24が撮像されたときの撮像条件(例えば、撮像距離、解像度、光の照射角度、光源波長、輝度等)も記憶する。
【0028】
情報処理装置10は、フランジ24のシール面の画像の色値と、複数の参照シール面の画像の色値との色差を算出する(ステップS14)。例えば、対象シール面の画像の色値がL1
*,a1
*,b1
*であり、参照シール面の画像の色値がL2
*,a2
*,b2
*である場合、色差ΔEは、ΔE={(L2
*-L1
*)2+(a2
*-a1
*)2+(b2
*-b1
*)2}1/2で表される。複数の参照シール面の色値は、例えば、錆が付着したシール面の色値と、付着物が存在しない良好な状態のシール面の色値とを含む。各参照シール面の画像の色値(または画像自体)は、情報処理装置10のメモリに記憶されている。
【0029】
情報処理装置10は、算出した複数の色差ΔEを用いた判定処理を実行して、対象シール面における付着物の付着状態を判定するための処理を実行する(ステップS16)。詳細は後述するが、情報処理装置10は、各色差ΔEを用いて、各参照シール面と対象シール面との一致度を算出し、各一致度に基づいて対象シール面の付着状態を判定する。情報処理装置10は、撮像画像を2値化処理した2値化画像を解析して、対象シール面に生じた傷を検出する(ステップS18)。情報処理装置10は、検出された傷の状態を判定するための処理を実行する(ステップS20)。詳細は後述するが、情報処理装置10は、検出された傷の位置、太さ、角度および長さ等に基づいて、当該傷を許容するか否か(すなわち、当該傷が許容範囲内の傷か否か)を判定する。
【0030】
情報処理装置10は、ステップS16およびS20で行なわれた各判定結果に基づくアドバイス情報を生成し、各判定結果およびアドバイス情報を端末装置40に送信する(ステップS22)。端末装置40は、受信した各判定結果およびアドバイス情報をディスプレイに表示する(ステップS24)。なお、情報処理装置10は、各判定結果、およびアドバイス情報をサーバ30に送信してもよい。この場合、サーバ30は、情報処理装置10から受信した判定結果およびアドバイス情報をデータベース化して記憶する。
【0031】
判定システム1000によると、フランジ24のシール面の撮像画像を用いて、当該シール面における付着物の付着状態および傷の状態が判定され、当該状態に応じたアドバイス情報が提供される。そのため、熟練者でない人でもシール面の状態を迅速に把握でき、シール面の状態に適した処置を効率的に行なうことができる。
【0032】
<ハードウェア構成>
(情報処理装置)
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3を参照して、情報処理装置10は、プロセッサ101と、メモリ103と、ディスプレイ105と、入力装置107と、入出力インターフェイス(I/F)109と、通信インターフェイス(I/F)111とを含む。これらの各部は、互いにデータ通信可能に接続される。
【0033】
プロセッサ101は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Multi Processing Unit)等といった演算処理部である。プロセッサ101は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、情報処理装置10の各部の動作を制御する。より詳細にはプロセッサ101は、当該プログラムを実行することによって、情報処理装置10の各機能を実現する。
【0034】
メモリ103は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現される。メモリ103は、プロセッサ101によって実行されるプログラム、カメラ22によって取得された撮像画像等を記憶する。
【0035】
ディスプレイ105は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ105は、情報処理装置10と一体的に構成されてもよいし、情報処理装置10とは別個に構成されてもよい。
【0036】
入力装置107は、情報処理装置10に対する操作入力を受け付ける。入力装置107は、例えば、キーボード、ボタン、マウスなどによって実現される。また、入力装置107は、タッチパネルとして実現されていてもよい。
【0037】
入出力インターフェイス109は、プロセッサ101とカメラ22との間のデータ伝送を仲介する。入出力インターフェイス109は、例えば、カメラ22と接続される。プロセッサ101は、入出力インターフェイス109を介して、カメラ22で撮像された撮像画像を取得する。
【0038】
通信インターフェイス111は、プロセッサ101とサーバ30および端末装置40等との間のデータ伝送を仲介する。通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等による無線通信方式が用いられる。なお、通信方式として、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信方式を用いてもよい。なお、プロセッサ101は、通信インターフェイス111を介して、カメラ22と通信してもよい。
【0039】
(サーバ)
サーバ30は、後述するような情報処理を全体として提供できればよく、そのハードウェア構成については公知のものを採用することができる。例えば、サーバ30は、各種処理を実行するためのプロセッサと、プログラムやデータなどを格納するためのメモリと、情報処理装置10と各種データを送受信するための通信インターフェイスと、ユーザからの指示を受け付けるための入力装置とを含む。
【0040】
(端末装置)
端末装置40は、後述するような情報処理を全体として提供できればよく、そのハードウェア構成については公知のものを採用することができる。例えば、端末装置40は、プロセッサと、メモリと、情報処理装置10と各種データを送受信するための通信インターフェイスと、ユーザからの指示を受け付けるためのタッチパネルと、各種情報を表示するためのディスプレイとを含む。
【0041】
<付着状態の判定方式>
図4は、フランジ24のシール面の解析領域を説明するための図である。
図4を参照して、フランジ24の解析領域51~58は、フランジ24のシール面における締結部61を含む領域に設定される。締結部61はシール材(例えば、ガスケット)が配置される部位である。カメラ22は、解析領域51~58を含むようにフランジ24のシール面を撮像する。カメラ22は、各解析領域51~58をすべて含む撮像画像を生成してもよいし、解析領域51~58ごとに異なる撮像画像を生成してもよい。なお、情報処理装置10は、各解析領域51~58について付着状態の判定処理を実行する。各解析領域における付着状態の判定方式は同様である。そのため、以下では、代表として、解析領域51における付着状態の判定方式について説明する。
【0042】
図5は、
図4の解析領域の詳細を説明するための図である。具体的には、
図5(a)は、
図4中に示すV-V線に沿った模式断面図である。
図5(b)は、
図4の解析領域51を含む画像を示す図である。
【0043】
図5(a)を参照して、Cはボルト穴の中心円径であり、Dは外径であり、gは座径であり、dは内径であり、hはボルト穴径である。
図5(b)の矩形の解析領域51の点P1と点P2との距離をLPで示している。この場合、LP=(C/2-d/2-h/2)である。
【0044】
また、
図5(b)の解析領域51の点Q1と点Q2との距離をLQとする。なお、
図4に示すようにボルト本数は8本であり、LQは8角形の1辺の長さに対応する。そのため、LQ=2(C/2-h/2)×tan{(360°/(2×8)}である。解析領域51は、点P1および点P2を結ぶ線分と、点Q1および点Q2を結ぶ線分とで区分される4つの領域51A~51Dを有する。
【0045】
図6は、付着状態の判定基準を説明するための図である。具体的には、
図6(a)は、色差の一致度Mとポイントとの関係を示す図である。80<M≦100の場合には、ランクR4であり、ポイントが80である。60<M≦80の場合には、ランクR3であり、ポイントが60である。20<M≦60の場合には、ランクR2であり、ポイントが20である。M≦20の場合には、ランクR1であり、ポイントが0である。
【0046】
図6(b)は、各領域51A~51Dにおける一致度M1の平均ポイントと、錆の付着程度を示す錆レベルとの関係を示す図である。平均ポイントが50以上の場合、錆レベルは“3”である。錆レベル“3”は、シール面に錆が付着した状態であることを示す。平均ポイントが10以上50未満の場合、錆レベルは“2”である。錆レベル“2”は、シール面に錆と、錆以外の付着物とが付着した状態であることを示す。平均ポイントが10未満の場合、錆レベルは“1”である。錆レベル“1”は、シール面に錆以外の付着物が付着しているか、付着物が存在しない状態であることを示す。なお、各領域51A~51Dにおける一致度M1の平均ポイントは、解析領域51における一致度M1に対応する。
【0047】
図6(c)は、各領域51A~51Dにおける一致度M2の平均ポイントと、どれだけ良好な状態であるかを示す良品レベルとの関係を示す図である。平均ポイントが50以上である場合、良品レベルは“3”である。良品レベル“3”は、シール面に付着物がほぼ存在しない綺麗な状態であることを示す。平均ポイントが10以上50未満の場合、良品レベルは“2”である。良品レベル“2”は、シール面にやや付着物が存在する普通の状態であることを示す。平均ポイントが10未満の場合、良品レベルは“1”である。良品レベル“1”は、シール面に付着物が存在し、汚れている状態であることを示す。なお、各領域51A~51Dにおける一致度M2の平均ポイントは、解析領域51における一致度M2に対応する。
【0048】
図7は、
図6の判定基準に従う各フランジの付着状態の判定結果を説明するための図である。情報処理装置10は、フランジKa,Kb,Kc(以下、「フランジK」とも総称する。)のシール面の状態を判定するものとする。錆が付着した状態のシール面の各領域51A~51Dの色値と、付着物が存在しないシール面の各領域51A~51Dの色値とは、情報処理装置10のメモリ103に記憶されているとする。
【0049】
情報処理装置10は、フランジKの各領域51A~51Dの錆レベルを評価する。具体的には、情報処理装置10は、フランジKのシール面の領域51Aの色値と、錆が付着したシール面の領域51Aの色値との色差ΔE1を算出する。情報処理装置10は、色差ΔE1を割合換算して百分率で示した一致度M1を算出する。M1=(1/ΔE1)で算出される。例えば、ΔE1=2.8である場合、M1=(1/2.8)×100=35.7%となる。領域51B~51Dについても同様に一致度M1が算出される。
【0050】
図6および
図7を参照して、フランジKaでは、領域51A,51B,51C,51DのランクがそれぞれR3,R3,R4,R4である。また、各領域51A~51Dのポイントの平均値(すなわち、平均ポイント)は70であるため、錆レベルは“3”となる(
図6(b)参照)。同様に、フランジKbでは、平均ポイントが5であるため、錆レベルは“1”となる。フランジKcでは、平均ポイントが40であるため、錆レベルは“2”となる。
【0051】
次に、情報処理装置10は、フランジKの各領域51A~51Dの良品レベルを評価する。具体的には、情報処理装置10は、フランジKのシール面の領域51Aの色値と、付着物が存在しないシール面の領域51Aの色値との色差ΔE2を算出する。情報処理装置10は、色差ΔE2を割合換算して百分率で示した一致度M2を算出する。M2=(1/ΔE2)で算出される。領域51B~51Dについても同様に一致度M2が算出される。
【0052】
図6および
図7を参照して、フランジKaに関しては、錆レベルが“3”であり、錆が付着していると判定されているため、良品レベルの評価は省略されている。なお、フランジKaについても良品レベルの評価を実施してもよい。フランジKbでは、領域51A,51B,51C,51DのランクがそれぞれR2,R2,R2,R1である。また、各領域51A~51Dのポイントの平均値(すなわち、平均ポイント)は15であるため、良品レベルは“2”となる(
図6(c)参照)。同様に、フランジKcでは、平均ポイントが40であるため、良品レベルは“2”となる。
【0053】
これにより、情報処理装置10は、フランジKaのシール面には錆が付着していると判定し、フランジKbのシール面には錆以外の何らかの付着物が付着していると判定し、フランジKcのシール面には錆と、錆以外の他の付着物とが付着していると判定する。他の付着物は、例えば、シール材(ガスケット)の一部である。
【0054】
次に、錆レベルと良品レベルとの組み合わせに基づく付着状態の判定方式と、付着状態に応じて提供されるアドバイス情報についてより具体的に説明する。
【0055】
図8は、付着状態の判定方式およびアドバイス情報を説明するための図である。
図8を参照して、錆レベルが“1”の場合か、または、錆レベルが“2”かつ良品レベルが“3”の場合に、情報処理装置10は、シート面に錆が付着している(
図8中の「錆」に対応)と判定し、シール面の研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。
【0056】
錆レベルが“2”、かつ良品レベルが“2”または“1”の場合、情報処理装置10は、シート面に錆および他の付着物が付着していると判定し(
図8中の「錆/付着」に対応)、シール面の研磨および洗浄を推奨するアドバイス情報を生成する。
【0057】
錆レベルが“1”、かつ良品レベルが“3”の場合、情報処理装置10は、シート面に付着物が存在せず良好な状態であると判定し(
図8中の「良」に対応)、良好な状態であることを示すアドバイス情報を生成する。この場合、情報処理装置10は、傷状態の判定を作業者に促す情報を生成する。
【0058】
錆レベルが“1”、かつ良品レベルが“2”または“1”の場合、情報処理装置10は、シート面に錆以外の他の付着物が付着していると判定し(
図8中の「付着」に対応)、シート面の洗浄を推奨するアドバイス情報を生成する。
【0059】
典型的には、作業者は、シート面の研磨または洗浄の作業を推奨するアドバイス情報を確認した場合、当該作業終了後に再度シート面を撮像して、撮像画像を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、撮像画像に基づいて、再度、付着状態の判定を行なう。この場合、情報処理装置10は、付着状態が「錆」または「錆/付着」と判定した場合、再研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。情報処理装置10は、付着状態が「付着」と判定した場合、研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。
【0060】
情報処理装置10は、付着状態が「錆」または「錆/付着」と判定した場合、再研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。情報処理装置10は、付着状態が「付着」と判定した場合、研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。再判定の結果、情報処理装置10が、付着状態が良好な状態であると判定した場合、傷状態の判定を作業者に促す情報を生成する。
【0061】
上記の
図6の説明では、解析領域51が4つの領域51A~51Dに区分される構成について説明したが、区分されない構成であってもよい。また、情報処理装置10は、各領域51A~51Dについての一致度をポイントに換算し、各ポイントの平均値(すなわち、平均ポイント)に基づいて付着状態を判定する構成について説明したが、ポイントに換算しない構成であってもよい。
【0062】
例えば、解析領域51における一致度M1が閾値Th1(例えば、50%)以上である場合(例えば、錆レベル3)、情報処理装置10は、一致度M2に関わらず、フランジ24のシート面に錆が付着していると判定する。また、一致度M1が閾値Th1よりも小さい閾値Th2(例えば、10%)未満であって(例えば、錆レベル1)、かつ一致度M2が閾値Th3(例えば、50%)以上である場合(例えば、良品レベル3)、情報処理装置10は、フランジ24のシール面に付着物が存在しない(すなわち、良好な状態)と判定してもよい。さらに、一致度M1が閾値Th2未満であって(例えば、錆レベル1)、かつ一致度M2が閾値Th3未満である場合(例えば、良品レベル2または1)、情報処理装置10は、フランジ24のシール面に他の付着物が付着していると判定する。
【0063】
<傷の状態の判定方式>
図9は、シート面の傷の状態の判定に用いられる解析領域の詳細を説明するための図である。具体的には、
図9(a)は、
図4中に示すV-V線に沿った模式断面図である。
図9(b)は、
図4の解析領域51を含む画像を示す図である。
【0064】
図9(a)および
図9(b)を参照して、シール面の傷の状態の判定に用いられる解析領域は、解析領域51に含まれる矩形領域500である。矩形領域500の縦方向の長さである点P2と点P3との距離をLP1とする。この場合、LP1=(g/2-d/2)である。
図9(b)の矩形領域500の横方向の長さである点Q3と点Q4との距離をLQ1とする。LQ1は、
図5の距離LQと同じである。そのため、LQ1=2(C/2-h/2)×tan{(360°/(2×8)}である。
【0065】
図10は、シート面に生じた傷の検出方式を説明するための図である。
図10を参照して、ステップJ1において、情報処理装置10は、
図9(b)の矩形領域500の領域を2値化処理した画像81を生成する。ステップJ2において、情報処理装置10は、画像処理により、
図4に示す締結部61の内側の円周を示す線71と、締結部61の外側の円周を示す線72とを検出する。情報処理装置10は、線71と線72とで囲まれる領域を二等分する線73を描画し、線71と線72とで囲まれる領域を、線71と線73とで囲まれる領域Aiと、線72と線73とで囲まれる領域Aoとに区分する。
【0066】
ステップJ3において、情報処理装置10は、領域Aiおよび領域Ao内に生じた傷を検出し、検出された傷を示す線分77を描画する。シート面の傷は、公知の技術を用いて検出されればよい。例えば、情報処理装置10は、メモリ103に予め記憶された傷の特徴量と、領域Aiおよび領域Ao内の画像の特徴量とを比較することで、シート面の傷を検出する。また、情報処理装置10は、線分77の太さWを算出する。
【0067】
ステップJ4において、情報処理装置10は、線分77の長さFを算出する。例えば、情報処理装置10は、線分77の一端を原点とするxy平面を定義する。このとき、線分77の他端の座標を(x1,y1)とすると、F=(x12+y12)1/2となる。ステップJ5において、情報処理装置10は、線分77とx軸とがなす角度θを算出する。ただし、角度θは鋭角であるとする。
【0068】
図11は、シート面の傷の状態の判定方式を説明するための図である。
図11を参照して、情報処理装置10は、検出された傷(線分77)の位置と、傷の太さWと、傷の長さFと、角度θとに基づいて、傷の状態を判定する。
【0069】
具体的には、情報処理装置10は、検出された傷が領域Aiおよび領域Aoのいずれの領域に含まれるのかを判断する。傷が領域Aiおよび領域Aoの両方に含まれる場合には、情報処理装置10は、傷が領域Aiに含まれると判断する。領域Aiはシール面の中心に近い領域であり、領域Aoはシール面の中心から遠い領域である。そのため、領域Aiは、領域Aoよりも内側であり、流体(例えば、ガス)が輸送される箇所に近い。そのため、流体漏れを考慮すると、傷は、領域Aiよりも領域Aoに存在する方が好ましい。
【0070】
情報処理装置10は、傷の太さWが基準値Ra以上か否かを判断する。基準値Raは、例えば、フランジ加工時の表面粗さである。これは、傷の太さがフランジ加工時の表面粗さ未満であれば、その傷の太さは概ね許容できるとの考え方に基づいている。
【0071】
情報処理装置10は、長さFが所定長さ以上であるか否かを判断する。所定長さは、例えば、締結部61の内側の線71と外側の線72との距離Dx(
図10参照)の1/2である。傷の長さFが長いほど流体漏れが発生し易くなるため、長さFが小さい方が傷の状態は好ましい。
【0072】
情報処理装置10は、角度θが所定角度(例えば、45°)以上であるか否かを判断する。傷の角度θが大きいほど、内側から外側に流体が漏れ易くなるため、角度θが小さい方が傷の状態は好ましい。
【0073】
情報処理装置10は、上記4つの判断結果に基づいて、検出された傷の状態を判定する。まず、傷が領域Aiに存在する場合について説明する。太さWが基準値Ra以上である場合、および、角度θが45°以上である場合のいずれかの場合に、情報処理装置10は傷の状態が不良であると判定する。太さWが基準値Ra未満であり、かつ角度が45°未満である場合、情報処理装置10は、傷の状態がやや不良であると判定する。
【0074】
次に、傷が領域Aoに存在する場合について説明する。太さWが基準値Ra以上かつ角度θが45°以上である場合、太さWが基準値Ra以上かつ長さFがDx/2以上である場合、および、太さWが基準値Ra未満かつ角度θが45°以上かつ長さFがDx/2以上である場合のいずれかの場合に、情報処理装置10は、傷の状態が不良であると判定する。太さWが基準値Ra以上かつ角度θが45°未満かつ長さFがDx/2未満である場合、太さWが基準値Ra未満かつ角度θが45°以上かつ長さFがDx/2未満である場合、および、太さWが基準値Ra未満かつ角度θが45°未満かつ長さFがDx/2以上である場合のいずれかの場合に、情報処理装置10は、傷の状態がやや不良であると判定する。太さWが基準値Ra未満かつ角度θが45°未満かつ長さFがDx/2未満である場合、情報処理装置10は、傷の状態が良好であると判定する。
【0075】
情報処理装置10は、傷の状態が「不良」または「やや不良」の場合には、当該傷を許容できない(すなわち、許容範囲外である)と判定する。そのため、情報処理装置10は、傷の状態が「不良」の場合にはシート面の研磨を強く推奨するアドバイス情報を生成し、傷の状態が「やや不良」の場合にはシート面の研磨を推奨するアドバイス情報を生成する。一方、情報処理装置10は、傷の状態が「良好」の場合には、当該傷を許容できる(すなわち、許容範囲内である)と判定する。そのため、情報処理装置10は、傷の状態が「良好」の場合にはシート面が使用可能な状態であることを示すアドバイス情報を生成する。
【0076】
典型的には、作業者は、シート面の研磨作業を推奨するアドバイス情報を確認した場合、当該作業終了後に再度シート面を撮像して、撮像画像を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、撮像画像に基づいて、再度、傷の状態の判定を行なう。情報処理装置10は、前回の判定処理において傷の状態が「やや不良」と判定し、今回の判定処理においても傷の状態が「やや不良」と判定した場合、点検頻度を増加させることを条件として、フランジ24を使用可能である旨のアドバイス情報を生成する。
【0077】
情報処理装置10は、前回の判定処理において傷の状態が「やや不良」または「不良」と判定し、今回の判定処理において傷の状態が「不良」と判定した場合、フランジ24を別のフランジに交換することを推奨するアドバイス情報を生成する。情報処理装置10は、前回の判定処理において傷の状態が「やや不良」または「不良」と判定し、今回の判定処理において傷の状態が「良好」と判定した場合、フランジ24を使用可能である旨のアドバイス情報を生成する。
【0078】
なお、
図10に示す傷の検出方式において、そもそもシート面の傷が検出されなかった場合には、情報処理装置10は、傷の状態を「良好」と判定し、フランジ24を使用可能である旨のアドバイス情報を生成する。
【0079】
<表示例>
情報処理装置10は、上記のようにフランジ24の状態判定処理後、判定結果およびアドバイス情報を端末装置40に送信する。端末装置40は、判定結果およびアドバイス情報に基づいて、
図12に示すような結果レポートを表示する。なお、情報処理装置10は、フランジ24の付着状態の判定結果と、フランジ24の傷の状態の判定結果とを個別に送信してもよいし、まとめて送信してもよい。
【0080】
図12は、結果レポートの表示例を示す図である。
図12を参照して、端末装置40は、結果レポートを示すユーザインターフェイス画面150をディスプレイに表示する、ユーザインターフェイス画面150は、表示領域152,154,156,158,160を含む。
【0081】
表示領域152は、フランジ24の状態の概要を表示する領域である。
図12の例では、フランジ24のシート面に傷があり、錆および他の付着物が付着していることが示されている。表示領域154は、改善方法を表示する領域である。
図12の例では、改善方法として、フランジ24のシート面の洗浄および研磨が推奨することが示されている。
【0082】
表示領域156は、フランジ24の付着状態の詳細を表示する領域である。
図12の例では、シート面の8箇所の各々について、状態判定結果(「錆」、「錆/付着」または「良好」)が示されている。表示領域158は、フランジ24の傷の状態の詳細を表示する領域である。
図12の例では、シート面の8箇所の各々について、状態判定結果(「傷」または「良好)が示されている。なお、状態判定結果「傷」は、
図11の「やや不良」または「不良」との判定結果に相当する。
【0083】
表示領域160は、フランジ24の状態判定の実施状況を表示する領域である。
図12の例では、付着状態および傷状態の各判定が実施済であり、付着状態の判定結果「錆/付着あり」が示され、傷状態の判定結果「傷あり」が示されている。そして、最終判定結果として、改善が必要であることが示されている。
【0084】
<機能構成>
図13は、情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13を参照して、情報処理装置10は、主たる機能構成として、画像取得部201と、色差算出部203と、一致度算出部205と、第1判定部207と、検出部209と、領域判定部211と、第2判定部213と、出力制御部215とを含む。これらの各機能は、例えば、情報処理装置10のプロセッサ101がメモリ103に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。
【0085】
画像取得部201は、カメラ22で撮像されたフランジ24のシール面の撮像画像をカメラ22から取得する。
【0086】
色差算出部203は、錆が付着した第1シール面の参照画像の色値と、フランジ24のシール面の画像の色値との色差(例えば、ΔE1)を算出する。色差算出部203は、付着物が存在しない第2シール面の参照画像の色値と、フランジ24のシール面の画像の色値との色差(例えば、ΔE2)を算出する。メモリ103は、錆が付着したシール面の参照画像および付着物が存在しないシール面の参照画像の各々の色値を記憶している。
【0087】
一致度算出部205は、色差ΔE1に基づいて、第1シール面とフランジ24のシール面との一致度M1を算出する。一致度算出部205は、色差ΔE2に基づいて、第2シール面とフランジ24のシール面との一致度M2を算出する。
【0088】
第1判定部207は、一致度M1および一致度M2に基づいて、フランジ24のシール面における付着物の付着状態を判定する。具体的には、一致度M1が閾値Th1(例えば、50%)以上である場合、第1判定部207は、一致度M2に関わらず、フランジ24のシート面に錆が付着していると判定する。一致度M1が閾値Th2(例えば、10%)未満であって、かつ一致度M2が閾値Th3(例えば、50%)以上である場合、第1判定部207は、フランジ24のシール面に付着物が存在しないと判定する。一致度M1が閾値Th2未満であって、かつ一致度M2が閾値Th3未満である場合、第1判定部207は、フランジ24のシール面に錆以外の他の付着物(例えば、シール材の一部)が付着していると判定する。
【0089】
検出部209は、フランジ24のシール面の画像に基づいて、当該シール面に生じた傷を検出する。検出部209は、
図10で説明した検出方式に従って、当該傷を検出する。検出部209は、傷の太さW、長さFおよび角度θを算出する。
【0090】
領域判定部211は、検出された傷が、フランジ24のシール面の中心に近い第1領域(例えば、領域Ai)、および中心から遠い第2領域(例えば、領域Ao)のいずれの領域に含まれるかを判定する。
【0091】
第2判定部213は、傷の太さW、長さFおよび角度θの少なくとも1つと、傷が存在する領域とに基づいて、当該傷を許容するか否かを判定する。具体的には、傷が領域Aiに存在し、かつ、太さWが基準値Ra以上または角度θが所定角度(例えば、45°)以上である場合、第2判定部213は、当該傷を許容しないと判定する。傷が領域Aoに存在し、太さWが基準値Ra以上であり、かつ角度θが所定角度以上である場合、第2判定部213は、当該傷を許容しないと判定する。一方、傷が領域Aoに存在し、太さWが基準値Ra未満であり、角度θが所定角度未満であり、かつ長さFが所定長さ未満である場合、第2判定部213は、当該傷を許容すると判定する。
【0092】
出力制御部215は、第1判定部207の判定結果および第2判定部213の判定結果の少なくとも一方に基づいて、フランジ24に関するアドバイス情報を出力する。例えば、出力制御部215は、フランジ24のシール面に錆が付着しているとの第1判定部207の判定結果、または、検出された傷を許容しないとの第2判定部213の判定結果に基づいて、フランジ24のシール面の研磨を推奨するアドバイス情報を出力する。
【0093】
<利点>
本実施の形態によると、フランジのシール面の撮像画像を用いて、当該シール面における付着物の付着状態および傷の状態が判定され、当該状態に応じたアドバイス情報が提供される。そのため、熟練者でない人でもシール面の状態を迅速に把握でき、シール面の状態に適した処置を効率的に行なうことができる。
【0094】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態における
図13の情報処理装置10の機能構成のうちの一部の構成をサーバ30が有していてもよい。例えば、情報処理装置10が画像取得部201および色差算出部203を有し、サーバ30が一致度算出部205、第1判定部207、検出部209、領域判定部211、第2判定部213および出力制御部215を有する構成であってもよい。この場合、情報処理装置10は、色差算出部203で算出された色差等をサーバ30に送信する。
【0095】
(2)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0096】
プログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。また、本実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
【0097】
(3)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
10 情報処理装置、22 カメラ、24 フランジ、30 サーバ、40 端末装置、61 締結部、101 プロセッサ、103 メモリ、105 ディスプレイ、107 入力装置、109 入出力インターフェイス、111 通信インターフェイス、150 ユーザインターフェイス画面、201 画像取得部、203 色差算出部、205 一致度算出部、207 第1判定部、209 検出部、211 領域判定部、213 第2判定部、215 出力制御部、1000 判定システム。