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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152810
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】給湯暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20220101AFI20221004BHJP
   F24D 3/08 20060101ALI20221004BHJP
   F24D 3/18 20060101ALI20221004BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20221004BHJP
【FI】
F24D3/00 J
F24D3/08 Z
F24D3/18
F24H4/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055734
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中島 匠
【テーマコード(参考)】
3L070
3L122
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070AA07
3L070BB01
3L070BB14
3L070BC20
3L070BC22
3L070CC02
3L070DD02
3L070DD06
3L070DE09
3L070DF06
3L070DG01
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA62
3L122AB22
3L122AB34
3L122AB42
3L122BB02
3L122BB05
3L122DA02
3L122DA15
3L122DA21
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプを高温暖房端末に対して効率よく使用することができる給湯暖房機を提供する。
【解決手段】給湯水が循環する給湯水循環路20と、高温暖房端末76に熱供給する暖房水が循環する暖房水循環路80と、給湯水循環路20及び暖房水循環路80に配置され、ヒートポンプ61と、給湯水熱交換器63と、暖房水熱交換器65と、を有するヒートポンプユニット6と、給湯水循環路20に配置され、給湯水熱交換器63によって加熱された給湯水を貯える貯湯タンク4と、暖房水循環路80に配置され、暖房水を加熱する燃焼器8と、貯湯タンク4の出湯口43と暖房水循環路80における高温暖房端末76よりも上流側の流路との間に設けられる接続水路44と、を備え、暖房水循環路80は、高温暖房端末76に熱供給可能に接続されるとともに、高温暖房端末76に対して、接続水路44を介して貯湯タンク4の給湯水の熱を供給可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯水が循環する給湯水循環路と、
高温暖房端末に熱供給する暖房水が循環する暖房水循環路と、
前記給湯水循環路及び前記暖房水循環路に配置され、ヒートポンプと、前記ヒートポンプによって加熱された冷媒と熱交換して前記給湯水を加熱する給湯水熱交換器と、前記ヒートポンプによって加熱された冷媒と熱交換して前記暖房水を加熱する暖房水熱交換器と、を有するヒートポンプユニットと、
前記給湯水循環路に配置され、前記給湯水熱交換器によって加熱された前記給湯水を貯える貯湯タンクと、
前記暖房水循環路に配置され、前記暖房水を加熱する燃焼器と、
前記貯湯タンクの出湯口と前記暖房水循環路における前記高温暖房端末よりも上流側の流路との間に設けられる接続水路と、を備え、
前記暖房水循環路は、前記高温暖房端末に熱供給可能に接続されるとともに、前記高温暖房端末に対して、前記接続水路を介して前記貯湯タンクの前記給湯水の熱を供給可能に構成されている給湯暖房機。
【請求項2】
前記高温暖房端末として浴室暖房乾燥機を有し、
前記浴室暖房乾燥機の乾燥運転において、前記貯湯タンクの前記給湯水の熱量が所定熱量以上のときに、前記貯湯タンクの前記給湯水を前記接続水路から前記暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第1乾燥運転が実行可能であり、前記貯湯タンクの前記給湯水の熱量が所定熱量未満のときに、前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給にする第2乾燥運転が実行可能である請求項1に記載の給湯暖房機。
【請求項3】
前記高温暖房端末として浴室暖房乾燥機を有し、
前記浴室暖房乾燥機の暖房運転において、前記浴室暖房乾燥機が設置された浴室内の浴室温度が暖房設定温度を越えているときに、前記貯湯タンクの前記給湯水を前記接続水路から前記暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第1暖房運転、及び、前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第2暖房運転の何れか一方が実行可能であり、前記浴室温度が暖房設定温度以下のときに、少なくとも前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器及び前記燃焼器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第3暖房運転が実行可能である請求項1又は2に記載の給湯暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを有する給湯暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には給湯暖房機が開示されている。特許文献1に記載された給湯暖房機は、冷媒を加熱するヒートポンプと、ヒートポンプによって加熱された冷媒が流れる給湯用冷媒路と、給湯用冷媒路と並列で設けられ、ヒートポンプによって加熱された冷媒が流れる暖房用冷媒路とを備えている。また、この給湯暖房機は、給湯水が流れる給湯用水路と、給湯用水路を流れる給湯水と給湯用冷媒路を流れる冷媒との熱交換によって給湯水を加熱する給湯水熱交換器と、暖房水が流れる暖房用水路と、暖房用水路を流れる暖房水と暖房用冷媒路を流れる冷媒との熱交換によって暖房水を加熱する暖房水熱交換器と、を備えている。これにより、給湯暖房機は、ヒートポンプによって加熱されて給湯用冷媒路を流れる冷媒の熱によって給湯用水路を流れる給湯水を加熱する沸き上げ運転と、ヒートポンプによって加熱されて暖房用冷媒路を流れる冷媒の熱によって暖房用水路を流れる暖房水を加熱する暖房運転とを実行可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-8968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の給湯暖房機では、暖房対象として高温暖房端末と低温暖房端末を有し、ヒートポンプの他に暖房用の熱源機(文献では、「暖房水加熱バーナ」)を備える。高温暖房端末は例えば浴室暖房乾燥機が該当し、低温暖房端末は例えば床暖房装置が該当する。ここで、ヒートポンプは通常50℃~60℃程度の温水しか生成できないため、低温暖房端末に供給する暖房水の加熱に用いられる。一方、熱源機は約80℃の高温水を生成可能であることから、高温暖房端末に供給する暖房水の加熱に用いられる。このため、給湯暖房機において、ヒートポンプを効率よく使用するうえで改善の余地があった。
【0005】
上記実情に鑑み、ヒートポンプを高温暖房端末に対して効率よく使用することができる給湯暖房機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給湯暖房機の特徴構成は、給湯水が循環する給湯水循環路と、高温暖房端末に熱供給する暖房水が循環する暖房水循環路と、前記給湯水循環路及び前記暖房水循環路に配置され、ヒートポンプと、前記ヒートポンプによって加熱された冷媒と熱交換して前記給湯水を加熱する給湯水熱交換器と、前記ヒートポンプによって加熱された冷媒と熱交換して前記暖房水を加熱する暖房水熱交換器と、を有するヒートポンプユニットと、前記給湯水循環路に配置され、前記給湯水熱交換器によって加熱された前記給湯水を貯える貯湯タンクと、前記暖房水循環路に配置され、前記暖房水を加熱する燃焼器と、前記貯湯タンクの出湯口と前記暖房水循環路における前記高温暖房端末よりも上流側の流路との間に設けられる接続水路と、を備え、前記暖房水循環路は、前記高温暖房端末に熱供給可能に接続されるとともに、前記高温暖房端末に対して、前記接続水路を介して前記貯湯タンクの前記給湯水の熱を供給可能に構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、高温暖房端末に対して、燃焼器又はヒートポンプユニットの暖房水熱交換器によって加熱された暖房水の熱とは別に、ヒートポンプユニットの給湯水熱交換器によって加熱されて貯湯タンクに貯えられた給湯水の熱を供給することができる。これにより、給湯暖房機は、高温暖房端末に対する熱供給の際にヒートポンプを効率よく使用することができる。高温暖房端末において貯湯タンクに貯えられた給湯水を利用する場合、給湯水の温度は50℃~60℃ではあるが高温暖房端末の運転モードによってはそのまま利用することができる。
【0008】
他の特徴構成は、前記高温暖房端末として浴室暖房乾燥機を有し、前記浴室暖房乾燥機の乾燥運転において、前記貯湯タンクの前記給湯水の熱量が所定熱量以上のときに、前記貯湯タンクの前記給湯水を前記接続水路から前記暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第1乾燥運転が実行可能であり、前記貯湯タンクの前記給湯水の熱量が所定熱量未満のときに、前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給にする第2乾燥運転が実行可能である点にある。
【0009】
本構成によれば、浴室暖房乾燥機の乾燥運転において、浴室暖房乾燥機に対して、燃焼器又はヒートポンプユニットの暖房水熱交換器によって加熱された暖房水とは別に、ヒートポンプユニットの給湯水熱交換器によって加熱されて貯湯タンクに貯えられた給湯水を熱供給に用いることができる。具体的には、貯湯タンクの給湯水の熱量が所定量以上のときには、貯湯タンクの給湯水を接続水路から暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を浴室暖房乾燥機に供給する第1乾燥運転を実行することができる。また、貯湯タンクの給湯水の熱量が所定量未満のときには、ヒートポンプユニットの暖房水熱交換器によって加熱された暖房水の熱を浴室暖房乾燥機に供給する第2乾燥運転を実行することができる。これにより、給湯暖房機は、浴室暖房乾燥機の乾燥運転の際にヒートポンプを効率よく使用することができる。
【0010】
他の特徴構成は、前記高温暖房端末として浴室暖房乾燥機を有し、前記浴室暖房乾燥機の暖房運転において、前記浴室暖房乾燥機が設置された浴室内の浴室温度が暖房設定温度を越えているときに、前記貯湯タンクの前記給湯水を前記接続水路から前記暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第1暖房運転、及び、前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第2暖房運転の何れか一方が実行可能であり、前記浴室温度が暖房設定温度以下のときに、少なくとも前記ヒートポンプユニットの前記暖房水熱交換器及び前記燃焼器によって加熱された前記暖房水の熱を前記浴室暖房乾燥機に供給する第3暖房運転が実行可能である点にある。
【0011】
本構成によれば、浴室暖房乾燥機の暖房運転において、浴室暖房乾燥機に対して、燃焼器又はヒートポンプユニットの暖房水熱交換器によって加熱された暖房水とは別に、ヒートポンプユニットの給湯水熱交換器によって加熱されて貯湯タンクに貯えられた給湯水を熱供給に用いることができる。具体的には、浴室暖房乾燥機が設置された浴室内の浴室温度が暖房設定温度を越えているときには、貯湯タンクの給湯水を接続水路から暖房水循環路に導入して当該給湯水の熱を浴室暖房乾燥機に供給する第1暖房運転、及び、ヒートポンプユニットの暖房水熱交換器によって加熱された暖房水の熱を浴室暖房乾燥機に供給する第2暖房運転の何れか一方が実行可能である。また、浴室温度が暖房設定温度以下のときには、少なくともヒートポンプユニットの暖房水熱交換器及び燃焼器によって加熱された暖房水の熱を浴室暖房乾燥機に供給する第3暖房運転が実行可能である。これにより、給湯暖房機は、浴室暖房乾燥機の暖房運転の際にヒートポンプを効率よく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】給湯暖房機の模式図である。
図2】乾燥運転の一例を示すフローチャートである。
図3】暖房運転の一例を示すフローチャートである。
図4】暖房運転の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明に係る給湯暖房機の実施形態を説明する。
【0014】
図1に示されるように、給湯暖房機1は、貯湯タンク4と、ヒートポンプユニット6と、燃焼器8と、を備えている。
【0015】
ヒートポンプユニット6は、ヒートポンプ61、給湯水熱交換器63、暖房水熱交換器65等を備える熱源機である。ヒートポンプ61は、不図示の空気熱交換器、圧縮機、膨張弁等によって構成されている。ヒートポンプ61は、冷媒を循環させることで外気から受け取った熱を利用して給湯水や暖房水を加熱する。
【0016】
給湯水熱交換器63は、ヒートポンプ61によって加熱された冷媒と、後述の給湯水循環路20を流れる給湯水との間で熱交換を行うことで、給湯水を加熱する。暖房水熱交換器65は、ヒートポンプ61によって加熱された冷媒と、後述の暖房水循環路80を流れる暖房水との間で熱交換を行うことで、暖房水を加熱する。ヒートポンプユニット6において、給湯水熱交換器63及び暖房水熱交換器65は並列に設けられている。
【0017】
貯湯タンク4は、ヒートポンプユニット6の給湯水熱交換器63によって加熱された給湯水を貯える。給湯水が循環する給湯水循環路20には、貯湯タンク4及びヒートポンプユニット6が配置されている。給湯水循環路20において、ヒートポンプユニット6の上流端が貯湯タンク4の下部に接続され、ヒートポンプユニット6の給湯水熱交換器63を通過して、ヒートポンプユニット6の下流端が貯湯タンク4の上部に接続されている。給湯水循環路20には不図示の循環ポンプが介装されている。
【0018】
給水路41は、上流端が給湯暖房機1の外部の水供給源(不図示)に接続され、下流端が貯湯タンク4の下部に接続されている。給湯路42は、上流端が貯湯タンク4の上部に接続され、下流端が給湯栓(不図示)に接続されている。
【0019】
燃焼器8は、加熱バーナ等を備え、暖房水循環路80を循環する暖房水を加熱可能に配置されている。
【0020】
暖房水が循環する暖房水循環路80には、ヒートポンプユニット6、燃焼器8が配置されている。暖房水循環路80は、低温暖房端末72及び高温暖房端末76に対して熱供給可能に接続されている。具体的には、低温暖房端末72は、暖房水循環路80から分岐して暖房水が流れる低温暖房循環路71を介して暖房水の熱が供給可能に構成されており、高温暖房端末76は、暖房水循環路80に配置された熱交換器74を介して暖房水の熱が供給可能に構成されている。暖房水循環路80は、ヒートポンプユニット6と燃焼器8との間に第1往路81を有し、第1往路81の途中(分岐部分71a)において低温暖房循環路71と分岐している。低温暖房循環路71には、低温暖房端末72が備えられている。本実施形態の低温暖房端末72は、例えば床暖房パネルである。低温暖房端末72は、ヒートポンプユニット6により加熱された暖房水からの放熱によって暖房する。低温暖房循環路71には熱動弁73が介装されている。尚、低温暖房循環路71は、後述の第2往路82の途中において分岐してもよい。
【0021】
第1往路81には、低温暖房循環路71の分岐部分71aよりも下流側に燃焼器8が介装されている。燃焼器8は、燃料(例えば都市ガスなどの燃料ガス)の燃焼によって暖房水循環路80を流れる暖房水を加熱する燃焼熱源機である。暖房水循環路80において燃焼器8の下流側には熱交換器74との間に第2往路82が設けられている。熱交換器74は、暖房水循環路80を流れる暖房水と高温暖房循環路75を流れる熱媒との間で熱交換を行うことで、高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。高温暖房循環路75には、高温暖房端末76が備えられている。本実施形態の高温暖房端末76は、例えば浴室暖房乾燥機である。高温暖房端末76は、暖房水循環路80を流れる暖房水によって加熱された高温暖房循環路75の熱媒を用いて暖房する。高温暖房循環路75には熱動弁77が介装されている。熱動弁77は、高温暖房循環路75を流れる熱媒の温度が所定温度以上になると開放される。これにより、高温暖房循環路75の熱媒が循環するようになり、高温暖房端末76において暖房運転(または乾燥運転)が可能になる。暖房水循環路80において熱交換器74とヒートポンプユニット6の暖房水熱交換器65との間には復路83が設けられ、復路83の途中に低温暖房循環路71との合流部分71bが設けられている。
【0022】
貯湯タンク4の出湯口43と暖房水循環路80の第2往路82との間には、両者を接続する接続水路44が設けられている。すなわち、接続水路44は、貯湯タンク4の出湯口43と、暖房水循環路80において燃焼器8の下流側で熱交換器74(高温暖房端末76)の上流側の流路との間に設けられている。貯湯タンク4の給湯水は、接続水路44を介して暖房水循環路80に導入可能であり、熱交換器74に供給可能に構成されている。これにより、接続水路44から暖房水循環路80に導入された貯湯タンク4の給湯水の熱は熱交換器74を介して高温暖房端末76に供給にされる。接続水路44の途中には流路弁45が設けられている。流路弁45が開状態になると、暖房水循環路80への貯湯タンク4の給湯水の流入が可能となり、流路弁45が閉状態になると、暖房水循環路80への貯湯タンク4の給湯水の流入は停止する。尚、接続水路44では、例えば流路弁45を逆止弁として構成する等により、暖房水循環路80から貯湯タンク4への暖房水の流れは阻止される。
【0023】
給湯暖房機1は制御部10を備えている。制御部10は、CPU、ROM、RAM等を有し、RAMまたはROMには各種の運転プログラムが格納されている。また、RAM には、制御部10に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御部10は、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、給湯暖房機1の各構成要素の動作を制御する。また、制御部10にはリモコン11が接続されている。リモコン11には、使用者が給湯暖房機1を操作するための各種のスイッチや、使用者に給湯暖房機1の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられている。
【0024】
次に、給湯暖房機1の動作について説明する。以下では、給湯暖房機1が実行する、高温暖房端末76(浴室暖房乾燥機)における乾燥運転及び暖房運転を順に説明する。
【0025】
(乾燥運転)
乾燥運転とは、高温暖房端末76の一例である浴室暖房乾燥機によって浴室に吊るされた洗濯物を乾燥する運転である。制御部10には、乾燥運転について、例えば、ヒートポンプユニット6を利用した運転モードと、燃焼器8を利用した運転モードと、が予め設定されている。使用者は、例えばリモコン11で運転モードを選択することで、制御部10の制御に基づく乾燥運転を実行することができる。燃焼器8を利用した乾燥運転の場合には、浴室暖房乾燥機は送風温度を高温にすることができるので、洗濯物を早期に乾燥させることができる。一方、ヒートポンプユニット6を利用した乾燥運転の場合には、浴室暖房乾燥機は送風温度が燃焼器8の利用時よりも低い温度になるため、洗濯物の乾燥時間が燃焼器8の利用時よりも長くなる。
【0026】
以下では、ヒートポンプユニット6を利用した浴室暖房乾燥機の乾燥運転について、図2のフローチャートを参照して詳述する。
【0027】
乾燥運転において、ステップ#10では、制御部10が、貯湯タンク4に貯えられた給湯水の熱量が所定熱量(閾値W1)以上であるか否かを判断する。貯湯タンク4の給湯水の熱量が所定熱量以上(閾値W1以上)である場合は、制御部10がYesと判断してステップ#11に進む。そうでない場合は、制御部10がNoと判断してステップ#13に進む。貯湯タンク4の給湯水の熱量は、貯湯タンク4の給湯水の水温及び水量によって算出することができる。貯湯タンク4には不図示の水温センサ及び水量センサが設けられており、各センサによって検出された貯湯タンク4の水温及び水量が制御部10によって検知可能に構成されている。
【0028】
ステップ#11では、制御部10が接続水路44の流路弁45を開状態にする。これにより、貯湯タンク4の給湯水が暖房水循環路80の第2往路82に導入される。続いて、ステップ#12において、第2往路82に導入された給湯水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)の高温暖房循環路75の熱媒を加熱し、貯湯タンク4の給湯水を用いた第1乾燥運転が実行される。すなわち、貯湯タンク4の給湯水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。ステップ#12の後はリターンによってステップ#10に戻る。
【0029】
一方、貯湯タンク4の給湯水量が所定量(閾値W1)未満である場合(ステップ#10,No)は、ステップ#13において、制御部10が接続水路44の流路弁45を閉状態にし、ステップ#14において、ヒートポンプユニット6が単独運転を開始し、ヒートポンプユニット6の暖房水熱交換器65によって暖房水循環路80を循環する暖房水を加熱する。続いて、ステップ#15において、ヒートポンプ61によって加熱された暖房水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)の高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。こうして、ヒートポンプユニット6の単独運転による暖房水を用いた第2乾燥運転が実行される。すなわち、ヒートポンプユニット6によって加熱された暖房水循環路80の暖房水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。ステップ#15の後はリターンによってステップ#10に戻る。
【0030】
(暖房運転)
暖房運転とは、低温暖房端末72及び高温暖房端末76によって暖房する運転である。使用者によってリモコン11等から暖房運転の実行が指示されると、暖房水熱交換器65を通過する際に加熱された暖房水の熱が、低温暖房端末72や高温暖房端末76に供給される。さらに、制御部10は、必要に応じて燃焼器8を作動する。これにより、高温暖房端末76には、燃焼器8による加熱によってより高温となった暖房水の熱が供給される。
【0031】
以下では、ヒートポンプユニット6を利用した浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)の暖房運転第1モードについて図3のフローチャートを参照して詳述する。
【0032】
暖房運転第1モードとは、浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)が設置される浴室温度T1が暖房設定温度TSを越えているときの運転形態である。浴室温度T1が暖房設定温度TSを越えているか否かは、制御部10において浴室温度T1と暖房設定温度TSとの比較を行うことで判断することができる。浴室温度T1は、例えば浴室乾燥暖房機等に設けられた浴室温度センサー(不図示)を用いて検出することができる。
【0033】
暖房運転第1モードでは、ステップ#20において、制御部10が、貯湯タンク4の湯量が所定量以上であるか否かを判断する。貯湯タンク4の湯量が所定量(閾値W1)以上である場合(ステップ#20,Yes)は、ステップ#21において接続水路44の流路弁45を開き、貯湯タンク4の給湯水が暖房水循環路80の第2往路82に導入される。その後、ステップ#22において第2往路82に導入された湯水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機の高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。こうして、貯湯タンク4の給湯水を用いた第1暖房運転が実行される。すなわち、貯湯タンク4の給湯水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。ステップ#22の後はリターンによってステップ#20に戻る。
【0034】
一方、貯湯タンク4の給湯水の熱量が所定熱量未満である場合(ステップ#20,No)は、ステップ#23において、制御部10が接続水路44の流路弁45を閉状態にし、ステップ#24においてヒートポンプユニット6が単独運転を開始し、ヒートポンプユニット6の暖房水熱交換器65によって暖房水循環路80の暖房水が加熱される。その後、ステップ#25において、当該暖房水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機の高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。こうして、ヒートポンプユニット6の単独運転による暖房水を用いた第2暖房運転が実行される。すなわち、ヒートポンプユニット6によって加熱された暖房水循環路80の暖房水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。第2暖房運転では燃焼器8の運転は行われない。ステップ#25の後はリターンによってステップ#20に戻る。
【0035】
以下では、ヒートポンプユニット6を利用した浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)の暖房運転第2モードについて図4のフローチャートを参照して詳述する。
【0036】
暖房運転第2モードとは、浴室温度T1が暖房設定温度TS以下のときの運転形態である。
【0037】
暖房運転第2モードでは、ステップ#30において、制御部10が、貯湯タンク4の給湯水の熱量が所定熱量以上であるか否かを判断する。貯湯タンク4の給湯水の熱量が所定熱量(閾値W1)以上である場合(ステップ#30,Yes)は、ステップ#31において接続水路44の流路弁45を開状態にし、貯湯タンク4の給湯水が暖房水循環路80の第2往路82に導入される。続いて、ステップ#32において、ヒートポンプユニット6が運転を開始するとともに燃焼器8も燃焼運転を開始する。これにより、第2往路82に導入された貯湯タンク4の給湯水は、ヒートポンプユニット6の暖房水熱交換器65で加熱されるとともに、燃焼器8によっても加熱される。続いて、ステップ#33において、加熱された当該給湯水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機の高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。こうして、ヒートポンプユニット6及び燃焼器8を用いた第3暖房運転が実行される。すなわち、貯湯タンク4の給湯水の熱を含む暖房水循環路80の暖房水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。
【0038】
一方、貯湯タンク4の給湯水量が所定量未満である場合(ステップ#30,No)は、ステップ#34において、制御部10が接続水路44の流路弁45を閉状態にし、ステップ#35においてヒートポンプユニット6が運転を開始するとともに燃焼器8も燃焼運転を開始する。これにより、ヒートポンプユニット6の暖房水熱交換器65及び燃焼器8によって暖房水が加熱される。続いて、ステップ#36において、当該暖房水が熱交換器74を介して浴室暖房乾燥機の高温暖房循環路75の熱媒を加熱する。こうして、ヒートポンプユニット6及び燃焼器8によって加熱された暖房水を用いた第4暖房運転が実行される。すなわち、暖房水循環路80の暖房水の熱が浴室暖房乾燥機(高温暖房端末76)に供給される。
【0039】
暖房運転第2モードにおいては、さらに、第3暖房運転(ステップ#33)または第4暖房運転(ステップ#36)の実行の際に、ステップ#37において、燃焼器8の入口側の暖房水温T2を検出し、ステップ#38において、暖房水温T2に基づいて燃焼器8のガス消費量を制御する。暖房水循環路80には、例えば、燃焼器8の入口側に水温センサ84が配置されている(図1参照)。水温センサ84は燃焼器8の内部に配置されていてもよい。ステップ#37及びステップ#38により、暖房水温T2と基準温度との差が大きい場合には、燃焼器8のガス消費量を高くする制御を行い、暖房水温T2と基準温度との差が小さい場合には、燃焼器8のガス消費量を低くする制御を行うことができる。これにより、給湯暖房機1において暖房運転を効率よく行うことができる。ステップ#38の後はリターンによってステップ#30に戻る。
【0040】
上記の実施形態では、暖房運転においてヒートポンプユニット6と燃焼器8とを併用する構成を示したが、例えば浴室温度T1が暖房設定温度TSよりも極端に低い場合等、浴室温度T1が暖房設定温度TSよりも所定温度低いときには、燃焼器8を単独運転するようにしてもよい。
【0041】
上記の実施形態では、暖房運転の暖房運転第2モードにおいて、貯湯タンク4の給湯水熱量が閾値W1以上のときに、貯湯タンク4の給湯水を暖房水循環路80に導入しつつ、暖房水をヒートポンプユニット6及び燃焼器8によって加熱する構成を示した。これに代えて、暖房運転の暖房運転第2モードは、貯湯タンク4の給湯水を暖房水循環路80に導入するフローを有さず、暖房水をヒートポンプユニット6及び燃焼器8によって加熱するフローのみを有する構成であってもよい。
【0042】
上記の実施形態では、高温暖房端末76が高温暖房循環路75を流れる熱媒が暖房水循環路80に配置された熱交換器74を介して加熱される例を示したが、高温暖房端末76は、低温暖房端末72と同じく、高温暖房循環路75が暖房水循環路80から分岐する構成でもよい。
【0043】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ヒートポンプを有する給湯暖房機に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :給湯暖房機
4 :貯湯タンク
6 :ヒートポンプユニット
8 :燃焼器
10 :制御部
20 :給湯水循環路
41 :給水路
42 :給湯路
43 :出湯口
44 :接続水路
45 :流路弁
61 :ヒートポンプ
63 :給湯水熱交換器
65 :暖房水熱交換器
71 :低温暖房循環路
72 :低温暖房端末
74 :熱交換器
75 :高温暖房循環路
76 :高温暖房端末
80 :暖房水循環路
図1
図2
図3
図4