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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152854
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】シャツ
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20221004BHJP
   A41B 1/18 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A41D27/20 G
A41B1/18 C
A41D27/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055785
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591160811
【氏名又は名称】山喜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】山内 知子
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 和良
(72)【発明者】
【氏名】土岐 保
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA02
3B035AA17
3B035AB09
3B035AB11
3B035AC03
3B035AC16
3B035AC24
3B035AD11
(57)【要約】
【課題】本発明は、マスクを載置するスペースがなくても、マスクを衛生的に保つことができるシャツを提供する。
【解決手段】内側ポケット部と、外側ポケット部を有し、内側ポケット部は、身頃に内側ポケット形成布が重ねられて構成され、身頃の表面又は内側ポケット形成布の外側面に内側固定部が設けられており、外側ポケット部は、内側ポケット形成布の外側に外側ポケット形成布が重ねられて構成され、内側ポケット形成布と外側ポケット形成布の間に外側収納空間を備えており、外側ポケット形成布は、第1辺と、第2辺と、第1辺と第2辺の間に挟まれる外側角部を有し、外側収納空間は、第1辺側と第2辺側から外部に解放されており、外側ポケット部は、角部の近傍に外側固定部を有し、マスクを収納する際には、マスクを外側収納空間に挿入し、耳掛け部内で内側固定部と外側固定部を固定する構成とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体部と、耳掛け部を有するマスクを収納可能なシャツであって、
内側ポケット部と、外側ポケット部を有し、
前記内側ポケット部は、身頃に内側ポケット形成布が重ねられて構成され、前記身頃の表面又は前記内側ポケット形成布の外側面に内側固定部が設けられており、
前記外側ポケット部は、前記内側ポケット形成布の外側に外側ポケット形成布が重ねられて構成され、前記内側ポケット形成布と前記外側ポケット形成布の間に外側収納空間を備えており、
前記外側ポケット形成布は、第1辺と、前記第1辺に対する交差方向に延びる第2辺と、前記第1辺と前記第2辺の間に挟まれる外側角部を有し、
前記外側収納空間は、前記第1辺側と前記第2辺側から外部に解放されており、
前記外側ポケット部は、前記外側角部の近傍に外側固定部を有し、
前記マスクを収納する際には、前記マスクの少なくとも一部を前記外側収納空間に挿入し、正面視において前記耳掛け部内で前記内側固定部と前記外側固定部を固定する、シャツ。
【請求項2】
前記マスクを収納する際には、前記マスク本体部の中間部で折り曲げた状態の前記マスクを前記外側収納空間に挿入する、請求項1に記載のシャツ。
【請求項3】
前記内側固定部は、固定用ボタンであり、
前記外側固定部は、前記固定用ボタンと対をなし、前記固定用ボタンと係合可能な固定用ボタン穴である、請求項1又は2に記載のシャツ。
【請求項4】
前記第1辺は、前記外側ポケット部の上側縁部を構成しており、
前記固定用ボタン穴は、前記第2辺に沿って延びるスリット溝である、請求項3に記載のシャツ。
【請求項5】
前記外側ポケット形成布は、前記外側ポケット部の下側縁部を構成する第3辺を有し、
前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第3辺に沿って縫製された下方側縫製部を有している、請求項1~4のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項6】
前記第2辺は、前記外側ポケット部の一方の側方側縁部を構成しており、
前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第2辺に沿って縫製された第1側方側縫製部を有しており、
前記第1側方側縫製部は、前記第3辺から上方に向かって延び、延び方向の長さが前記第2辺の長さの1/10以上である、請求項5に記載のシャツ。
【請求項7】
前記外側ポケット形成布は、前記外側ポケット部の他方の側方側縁部を構成する第4辺を有し、
前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第4辺に沿って縫製された第2側方側縫製部を有している、請求項5又は6に記載のシャツ。
【請求項8】
前記外側ポケット形成布は、少なくとも前記外側収納空間側の面に抗ウイルス加工が施されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項9】
前記外側ポケット形成布は、前記内側ポケット形成布よりも面積が小さく、全体が前記内側ポケット形成布と重なっている、請求項1~8のいずれか1項に記載のシャツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを収納可能なポケットを有するドレスシャツ(ワイシャツ)、カジュアルシャツ等のシャツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルス等の感染症の対策として、外出時にはマスクの着用が求められている。そのため、飲食店等で飲食を行う際には、マスクを一時的に外し、マスクをテーブル上に載置し、飲食を行うことが多い。
しかしながら、テーブル上にマスクを直接載置すると、マスクの外側面が直接テーブルに接触するだけでなく、テーブル上のマスクの装着面たる内側面が露出するため、衛生的に好ましくない。
【0003】
そこで、一部の飲食店では、例えば、特許文献1のような紙製のマスクケースが配布され、テーブルにマスクを置く際に、マスクケースでマスクを挟んでテーブルに載置することを推奨している。
特許文献1のマスクホルダーでは、台紙が二つ折り加工され、右半分の台紙の上方角部付近に係止用の切り抜きが形成され、左半分の台紙の上方角部付近に差し込み片の輪郭を画定する切り込みが形成されている。そして、特許文献1のマスクホルダーは、台紙を二つ折りして右半分の台紙と左半分の台紙でマスクを挟み、右半分の台紙の切り抜きに左半分の台紙の差し込み片を挿入することで、マスクを台紙の内側に収納し、マスクが飛び出したり落ちたりすることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3230550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のマスクホルダーは、マスクを折り畳んで収納するため、全体的な大きさをマスクの半分程度に小さくできるものの、テーブルに置く際には寝かせて載置することになる。そのため、テーブル上のスペースが小さい場合、マスクホルダーで挟んだマスクをテーブルに載置できない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、マスクを載置するスペースがなくても、マスクを衛生的に保つことができるシャツを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、マスク本体部と、耳掛け部を有するマスクを収納可能なシャツであって、内側ポケット部と、外側ポケット部を有し、前記内側ポケット部は、身頃に内側ポケット形成布が重ねられて構成され、前記身頃の表面又は前記内側ポケット形成布の外側面に内側固定部が設けられており、前記外側ポケット部は、前記内側ポケット形成布の外側に外側ポケット形成布が重ねられて構成され、前記内側ポケット形成布と前記外側ポケット形成布の間に外側収納空間を備えており、前記外側ポケット形成布は、第1辺と、前記第1辺に対する交差方向に延びる第2辺と、前記第1辺と前記第2辺の間に挟まれる外側角部を有し、前記外側収納空間は、前記第1辺側と前記第2辺側から外部に解放されており、前記外側ポケット部は、前記外側角部の近傍に外側固定部を有し、前記マスクを収納する際には、前記マスクの少なくとも一部を前記外側収納空間に挿入し、正面視において前記耳掛け部内で前記内側固定部と前記外側固定部を固定する、シャツである。
【0008】
ここでいう「外側角部の近傍」とは、第1辺の1/4以内の範囲をいい、例えば、一般的なシャツの場合、外側角部から3cm以内の範囲をいう。
【0009】
本発明の構成によれば、マスクの少なくとも一部を外側ポケット部の外側収納空間に収納できるので、マスクを外側ポケット部で支持でき、テーブル等にマスクを載置するスペースがなくても、マスクを衛生的に保つことができる。
本発明の構成によれば、マスクを収納する際に、マスクの少なくとも一部を外側ポケット部の外側収納空間に挿入し、マスクの耳掛け部内で内側固定部と外側固定部を固定するので、マスクが外側収納空間の外部に落下しても、内側固定部又は外側固定部によってマスクの耳掛け部が係止されるので、マスクが地面まで落下することを防止できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記マスクを収納する際には、前記マスク本体部の中間部で折り曲げた状態の前記マスクを前記外側収納空間に挿入する、請求項1に記載のシャツである。
【0011】
本発明の構成によれば、マスクを折り曲げた状態で外側収納空間に挿入するので、外側収納空間の大きさを小さくすることができ、外側ポケット部をコンパクト化できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記内側固定部は、固定用ボタンであり、前記外側固定部は、前記固定用ボタンと対をなし、前記固定用ボタンと係合可能な固定用ボタン穴である、請求項1又は2に記載のシャツである。
【0013】
本発明の構成によれば、内側固定部と外側固定部を固定しやすい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記第1辺は、前記外側ポケット部の上側縁部を構成しており、前記固定用ボタン穴は、前記第2辺に沿って延びるスリット溝である、請求項3に記載のシャツである。
【0015】
本発明の構成によれば、第1辺が上側縁部を構成しており、外側固定部たる固定用ボタン穴が第1辺の延び方向に対する交差方向に延びる第2辺に沿って延びるスリット溝である。そのため、内側固定部たる固定用ボタンを留める際に固定用ボタン穴を幅方向に開きやすく、固定用ボタンを固定用ボタン穴に留めやすい。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記外側ポケット形成布は、前記外側ポケット部の下側縁部を構成する第3辺を有し、前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第3辺に沿って縫製された下方側縫製部を有している、請求項1~4のいずれか1項に記載のシャツである。
【0017】
本発明の構成によれば、外側ポケット形成布が下側縁部を構成する第3辺に沿って縫製されて、下方側縫製部が形成されている。すなわち、外側収納空間は、下方側が下方側縫製部によって閉塞されているため、マスクが外側ポケット部内で下方側から落下することを防止できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記第2辺は、前記外側ポケット部の一方の側方側縁部を構成しており、前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第2辺に沿って縫製された第1側方側縫製部を有しており、前記第1側方側縫製部は、前記第3辺から上方に向かって延び、延び方向の長さが前記第2辺の長さの1/10以上である、請求項5に記載のシャツである。
【0019】
本発明の構成によれば、外側ポケット部は、一方の側方側縁部を構成する第2辺の一部が縫製されて第1側方側縫製部が形成されており、第1側方側縫製部によって外側収納空間内に挿入されたマスクの一部を係止できるので、マスクが一方の側方側から落下することを防止できる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記外側ポケット形成布は、前記外側ポケット部の他方の側方側縁部を構成する第4辺を有し、前記外側ポケット部は、前記外側ポケット形成布が前記内側ポケット形成布に対して前記第4辺に沿って縫製された第2側方側縫製部を有している、請求項5又は6に記載のシャツである。
【0021】
本発明の構成によれば、外側ポケット形成布が他方の側方側縁部を構成する第4辺に沿って縫製されて、第2側方側縫製部が形成されている。すなわち、外側収納空間は、他方の側方側が第2側方側縫製部によって閉塞されているため、マスクが他方の側方側から落下することを防止できる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、前記外側ポケット形成布は、少なくとも前記外側収納空間側の面に抗ウイルス加工が施されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のシャツである。
【0023】
本発明の構成によれば、外側ポケット形成布の外側収納空間側の面に抗ウイルス加工が施されているため、外側ポケット形成布がマスクに接触することで、マスクに付着したウイルスの数を減少させることができ、マスクを清潔に保つことができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、前記外側ポケット形成布は、前記内側ポケット形成布よりも面積が小さく、全体が前記内側ポケット形成布と重なっている、請求項1~8のいずれか1項に記載のシャツである。
【0025】
本発明の構成によれば、外側ポケット形成布と内側ポケット形成布の面積が相違し、外側ポケット形成布の全体が内側ポケット形成布と重なっているので、外側ポケット部を形成しやすい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のシャツによれば、マスクを載置するスペースがなくても、マスクを衛生的に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係るシャツの説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
図2図1の要部の説明図であり、(a)はポケットにマスクを収納した状態の正面図であり、(b)はポケットからマスクを出した状態の正面図である。
図3図1の要部の斜視図である。
図4図3の要部を別の方向からみた分解斜視図である。
図5図1のマスクを展開した展開図である。
図6図1のシャツのポケットにマスクを収納する際の手順の説明図であり、(a)はマスクを二つ折にし、外側収納空間内にマスクを挿入する途中の斜視図であり、(b)は固定用ボタンを固定用ボタン穴に留める際の斜視図である。
図7】本発明のシャツの説明図であり、(a)が本発明の他の実施形態のシャツの要部の正面図であり、(b)は(a)とは異なる他の実施形態のシャツの要部の正面図である。
図8】本発明のシャツの説明図であり、(a)が本発明の他の実施形態のシャツの要部の正面図であり、(b)は(a)とは異なる他の実施形態のシャツの要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態のシャツ1は、ドレスシャツ(ワイシャツ)、カジュアルシャツなどの上衣であり、マスク100を保持可能となっている。
シャツ1は、通常のシャツと同様、図1のように、主要構成部位として、着用者の銅体を覆う身頃2と、着用者の肩部分を覆う肩ヨーク3と、着用者の腕を囲んで覆う袖部5a,5bを備え、これらの各部分が裁断した布状の生地を縫製することで形成されている。
【0030】
身頃2は、着用者の胴体の前面側を覆う前身頃6a,6bと、着用者の胴体の後面側を覆う後身頃7で構成されている。
前身頃6a,6bには、袖部5a,5bとは反対側の端部に前立て8が設けられている。
本実施形態のシャツ1は、前身頃6aにポケット10が設けられており、ポケット10に主な特徴を有している。そこで、以下の説明においては、主にポケット10について説明し、他の部分については従来と同様であるため、説明を省略する。
【0031】
ポケット10は、二重ポケットであり、図2図3のように、内側ポケット部11と、外側ポケット部12を備えている。
内側ポケット部11は、パッチポケットであり、前身頃6aの表面に内側ポケット形成布15が縫製されて形成されている。
内側ポケット部11は、図4のように、前身頃6aと内側ポケット形成布15によって内側収納空間16が形成されており、内側収納空間16の上部に上方が開口した内側ポケット口17が形成されている。すなわち、内側ポケット部11は、内側ポケット口17を介して内側ポケット部11の内外が連通している。
内側ポケット形成布15は、図4のように、略四角形状の布状体であり、上辺18aが内側ポケット口17の一部を構成し、残りの三辺18b~18dに沿って縫製されている。
内側ポケット形成布15は、上辺18aと側辺18cによって挟まれた内側角部20が形成されている。
内側ポケット部11は、内側角部20の近傍であって内側ポケット形成布15の外側面に固定用ボタン21(内側固定部)が設けられている。
【0032】
外側ポケット部12は、内側ポケット部11に対して設けられたパッチポケットである。
外側ポケット部12は、図3のように内側ポケット形成布15の外側面に外側ポケット形成布30が縫製されて形成されている。
外側ポケット部12は、内側ポケット形成布15と外側ポケット形成布30によって外側収納空間31が形成されている。
【0033】
外側ポケット形成布30は、図4のように略四角形状の布状体であり、上辺35a(第1辺)と、下辺35b(第3辺)と、第1側辺35c(第2辺)と、第2側辺35d(第4辺)と、第1傾斜辺36aと、第2傾斜辺36bを備えている。
【0034】
外側ポケット形成布30は、上辺35aと第1側辺35cによって挟まれた外側角部37が形成されている。
外側角部37は、図2のように正面視したときに、上辺35aと第1側辺35cが交差することで形成された角張った角部である。
【0035】
上辺35aは、図4のように外側ポケット部12の上側縁部を構成する辺であり、正面視したときに横方向Xに延びる横辺である。
下辺35bは、外側ポケット部12の下側縁部を構成する辺であり、正面視したときに横方向Xに延びる横辺である。
下辺35bは、上辺35aと外側ポケット形成布30を挟んで縦方向Y(横方向Xに対して直交方向)に対向している。
第1側辺35cは、外側ポケット部12の一方の側方側縁部(前立て8側の縁部)を構成する辺であり、正面視したときに縦方向Yに延びる縦辺である。
【0036】
第1側辺35cは、上辺35a及び下辺35bの延び方向に対する交差方向(直交方向)に延びている。
第2側辺35dは、外側ポケット部12の他方の側方側縁部(袖部5b側の縁部)を構成する辺であり、正面視したときに縦方向Yに延びる縦辺である。
第2側辺35dは、第1側辺35cと外側ポケット形成布30を挟んで横方向Xに対向している。
また、第2側辺35dは、図2のように、正面視したときに、第1側辺35cに対して外側に位置している。すなわち、第1側辺35cは、正面視したときに、内側辺であり、第2側辺35dは外側辺である。
【0037】
第1傾斜辺36aは、下辺35bと第1側辺35cを接続し、下辺35bから第1側辺35cに向かって傾斜して延びた辺である。
第2傾斜辺36bは、下辺35bと第2側辺35dを接続し、下辺35bから第2側辺35dに向かって傾斜して延びた辺である。
【0038】
外側ポケット形成布30は、抗ウイルス布又は抗ウイルスシートで形成されており、少なくとも内側面(外側収納空間31側の面)に抗ウイルス加工が施されている。
なお、外側ポケット形成布30は、抗ウイルス加工の他にも、抗菌加工や防臭加工、消臭加工等の加工が施されていてもよい。
【0039】
外側ポケット部12は、図2(b)のように、下方側縫製部50と、第1側方側縫製部51と、第2側方側縫製部52と、第1傾斜側縫製部53と、第2傾斜側縫製部54と、外側ポケット口55(図3参照)と、固定用ボタン穴56(外側固定部)を備えている。
【0040】
下方側縫製部50は、外側ポケット形成布30の下辺35bの近傍において、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15に対して下辺35bに沿って縫製された部位である。下方側縫製部50は、第1傾斜側縫製部53と第2傾斜側縫製部54との間に跨って延びており、下辺35bと平行となっている。
【0041】
第1側方側縫製部51は、外側ポケット形成布30の第1側辺35cの近傍において、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15に対して第1側辺35cに沿って縫製された部位である。
第1側方側縫製部51は、第1傾斜側縫製部53から上方に向かって延びており、第1側辺35cと平行に延びている。
本実施形態の第1側方側縫製部51は、上辺35aまで至っていない。
第1側方側縫製部51の延び方向の長さは、第1側辺35cの長さの1/10以上であることが好ましく、1/6以上であることがより好ましい。
【0042】
第2側方側縫製部52は、外側ポケット形成布30の第2側辺35dの近傍において、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15に対して第2側辺35dに沿って縫製された部位である。
第2側方側縫製部52は、第2傾斜側縫製部54から上方に向かって延び、上辺35a又は上辺35aの近傍まで至っており、第2側辺35dの大部分と平行に設けられている。
【0043】
第1傾斜側縫製部53は、外側ポケット形成布30の第1傾斜辺36aの近傍において、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15に対して第1傾斜辺36aに沿って縫製された部位である。第1傾斜側縫製部53は、下方側縫製部50と第1側方側縫製部51との間に跨って延びており、第1傾斜辺36aと平行となっている。
【0044】
第2傾斜側縫製部54は、外側ポケット形成布30の第2傾斜辺36bの近傍において、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15に対して第2傾斜辺36bに沿って縫製された部位である。第2傾斜側縫製部54は、下方側縫製部50と第2側方側縫製部52との間に跨って延びており、第2傾斜辺36bと平行となっている。
【0045】
外側ポケット口55は、外側ポケット形成布30の周縁部において、各縫製部50~54が形成されていない部分であり、上辺35aと第1側辺35cで挟まれた外側角部37を含むように形成されている。
外側ポケット口55は、図3のように横方向X及び縦方向Yの二方向に開口したポケット口であり、上方側開口部60と、側方側開口部61を有している。
上方側開口部60と側方側開口部61は、図6(a)のように固定用ボタン21を固定用ボタン穴56から外した状態で連続する開口部であり、図3のように固定用ボタン21を固定用ボタン穴56で留めたときに区画される開口部である。
【0046】
上方側開口部60は、図3のように、上辺35aから上方に向かって開口した開口部である。上方側開口部60は、上辺35aの大部分に形成されており、上辺35aの90%以上の範囲で形成されていることが好ましい。
ここでいう「大部分」とは、全体の50%超過の部分をいう。
側方側開口部61は、図3のように、第1側辺35cから一方の側方に向かって開口した開口部であり、第1側辺35cの一部に形成されている。
側方側開口部61は、外側ポケット口55を大きく開く観点から、第1側辺35cの30%以上の範囲で形成されていることが好ましく、50%以上の範囲で形成されていることがより好ましい。
【0047】
固定用ボタン穴56は、図4のように、内側ポケット形成布15の外側面に設けられた固定用ボタン21と対をなし、固定用ボタン21と係合可能な係合穴であり、外側ポケット形成布30の厚み方向に深さをもった有底穴又は貫通孔である。
本実施形態の固定用ボタン穴56は、上辺35aに対して直交する方向に延び、第1側辺35cに沿って平行に延びるスリット溝であり、外側ポケット形成布30を厚み方向に貫通した貫通溝である。
固定用ボタン穴56は、正面視したときに外側角部37近傍であって、内側ポケット形成布15の固定用ボタン21と対応する位置に設けられている。
【0048】
マスク100は、図5のように、マスク本体部101と、第1耳掛け部102と、第2耳掛け部103を備えている。
マスク本体部101は、展開時において長方形状の部分であり、長手方向に対向する第1縁部105と第2縁部106を有している。
第1耳掛け部102は、着用者の右耳に引っ掛ける部位であり、第1縁部105に対して半円状に延びた紐状部である。
第2耳掛け部103は、着用者の左耳に引っ掛ける部位であり、第2縁部106に対して半円状に延びた紐状部である。
耳掛け部102,103は、ともに延び方向に伸縮可能となっている。
【0049】
続いて、本実施形態のシャツ1の各構成部材の位置関係について説明する。
【0050】
外側ポケット形成布30は、図4のように内側ポケット形成布15と厚み方向に重なっており、正面視したときに外側角部37が内側ポケット形成布15の内側角部20と一致している。
外側ポケット形成布30は、横方向Xの長さが内側ポケット形成布15の横方向Xの長さよりも小さく、縦方向Yの長さも内側ポケット形成布15の縦方向Yの長さよりも小さい。すなわち、外側ポケット形成布30の面積は、内側ポケット形成布15の面積よりも小さく、内側ポケット形成布15上に収まっている。
言い換えると、内側ポケット形成布15は、外側ポケット形成布30から横方向Xに張り出した横方向張出部と、外側ポケット形成布30から縦方向Yに張り出した縦方向張出部を有する。
外側ポケット形成布30の固定用ボタン穴56は、正面視したときに内側ポケット形成布15に設けられた固定用ボタン21と重なる位置に設けられている。
【0051】
続いて、本実施形態のシャツ1にマスク100を収納する際の手順を各構成部材の位置関係とともに説明する。
【0052】
まず、図6(a)のように、マスク100をマスク本体部101の長手方向の中間部で二つ折にし、固定用ボタン21を固定用ボタン穴56から外した状態で、外側ポケット口55から外側収納空間31内に挿入する。
【0053】
このとき、マスク本体部101の折り返し部分側(耳掛け部102,103とは反対側)から外側収納空間31内に挿入する。
【0054】
続いて、図6(b)のように、固定用ボタン21をマスク100の第1耳掛け部102内(第1耳掛け部102と第1縁部105で囲まれる領域)及び第2耳掛け部103内(第2耳掛け部103と第2縁部106で囲まれる領域)で固定用ボタン穴56に留め、マスク100のマスク本体部101の全体が外側収納空間31内に収まるようにマスク100の位置調整を行う。
以上の手順によってマスク100は、ポケット10の外側収納空間31内に収納される。
【0055】
本実施形態のシャツ1によれば、マスク100の大部分を外側ポケット部12の外側収納空間31に収納できるので、テーブル等にマスク100を載置するスペースがなくても、マスク100を衛生的に保つことができる。
本実施形態のシャツ1によれば、マスク100の大部分を外側ポケット部12の外側収納空間31に挿入し、正面視したときに、マスク100の耳掛け部102,103内で固定用ボタン21を固定用ボタン穴56で留めて固定する。そのため、マスク100が外側収納空間31の外部に落下しても、固定用ボタン21と固定用ボタン穴56の係合によってマスク100の耳掛け部102,103が係止され、地面まで落下することを防止できる。
【0056】
本実施形態のシャツ1によれば、マスク100のマスク本体部101を折り曲げた状態で外側収納空間31に挿入するので、外側ポケット部12の大きさを小さくできる。
【0057】
本実施形態のシャツ1によれば、固定用ボタン穴56が第1側辺35cに沿って延びるスリット溝であるため、固定用ボタン21を固定用ボタン穴56で留める際に固定用ボタン穴56を幅方向に開きやすく、固定用ボタン21を固定用ボタン穴56に留めやすい。
【0058】
本実施形態のシャツ1によれば、外側ポケット形成布30が下辺35bに沿って縫製されて下方側縫製部50が形成されており、外側収納空間31の下方側が下方側縫製部50によって閉塞されている。そのため、マスク100が外側ポケット部12の底部から落下することを防止できる。
【0059】
本実施形態のシャツ1によれば、外側ポケット部12は、第1側辺35cの一部が縫製されて第1側方側縫製部51が形成されており、第1側方側縫製部51によって外側収納空間31内に挿入されたマスク100の一部を係止できるので、マスク100が一方の側方側(前立て8側)から落下することを防止できる。
【0060】
本実施形態のシャツ1によれば、外側ポケット形成布30が第2側辺35dに沿って縫製されて第2側方側縫製部52が形成されており、外側収納空間31の他方の側方側(袖部5b側)が第2側方側縫製部52によって閉塞されている。そのため、マスク100が他方の側方側から落下することを防止できる。
【0061】
本実施形態のシャツ1によれば、外側ポケット形成布30の外側収納空間31側の面に抗ウイルス加工が施されているため、マスク100に付着したウイルスの数を減少させることができ、マスク100を清潔に保つことができる。
【0062】
本実施形態のシャツ1によれば、外側ポケット形成布30が内側ポケット形成布15よりも面積が小さく、全体が内側ポケット形成布15と重なっている。そのため、外側ポケット形成布30の縫製がしやすく、外側ポケット部12を形成しやすい。
【0063】
上記した実施形態では、第1耳掛け部102内及び第2耳掛け部103内で固定用ボタン21を固定用ボタン穴56に留めていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1耳掛け部102と第2耳掛け部103のうち一方の耳掛け部内で固定用ボタン21を固定用ボタン穴56に留めてもよい。
【0064】
上記した実施形態では、第1係合部たる固定用ボタン21は、内側ポケット形成布15の外側面に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。身頃2の前身頃6aの表面に第1係合部として固定用ボタン21を設けてもよい。この場合、外側ポケット形成布30の一部を内側ポケット部11から張り出させたり、図7(a)のように外側ポケット形成布30に延伸部70を設け、延伸部70に固定用ボタン穴56を設けたりすることで固定用ボタン21を固定用ボタン穴56に係合させることができる。
【0065】
上記した実施形態では、横方向Xにおいて前立て8側(袖部5aとは反対側)に外側ポケット口55が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。図7(b)のように袖部5b側に外側ポケット口55が設けられていてもよい。
【0066】
上記した実施形態では、外側ポケット形成布30の内側面に抗ウイルス加工を施し、内側ポケット形成布15の外側面には抗ウイルス加工を施していなかったが、本発明はこれに限定されるものではない。内側ポケット形成布15の外側面にも抗ウイルス加工を施してもよい。こうすることで、マスク100は抗ウイルス加工がされた面で挟まれることとなり、マスク100に付着したウイルスの数を減少させることができ、マスク100を清潔に保つことができる。
【0067】
上記した実施形態では、固定用ボタン21を固定用ボタン穴56に留めることで内側ポケット形成布15の内側角部20と外側ポケット形成布30の外側角部37を接続していたが、本発明はこれに限定されるものではない。内側ポケット形成布15の内側角部20と外側ポケット形成布30の外側角部37を接続する接続手段は特に限定されない。例えば、内側ポケット形成布15に固定用ボタン穴56を設け、外側ポケット形成布30に固定用ボタン21を設けて接続してもよい。
また、接続手段は、例えばスナップボタンや面ファスナー、係止片等で構成されていてもよい。
【0068】
上記した実施形態では、外側角部37は、上辺35aと第1側辺35cが互いに交差(直交)して形成される角張った角部であったが、本発明はこれに限定されるものではない。外側角部37の形状は特に限定されない。外側角部37は、例えば、図8(a)のように上辺35aと第1側辺35cの間を円弧状に延びた形状となっていてもよいし、図8(b)のように上辺35aと第1側辺35cの間を傾斜して延びた形状であってもよい。
【0069】
上記した実施形態では、固定用ボタン穴56は、第1側辺35cに沿って平行に延びていたが、本発明はこれに限定されるものではない。固定用ボタン穴56の延び方向は特に限定されない。例えば、固定用ボタン穴56の延び方向は、正面視したときに、上辺35aに沿って平行に延びていてもよいし、第1側辺35c及び上辺35aに対して傾斜して延びていてもよい。
【0070】
上記した実施形態では、外側ポケット部12内にマスク100の大部分を収納していたが、本発明はこれに限定されるものではない。外側ポケット部12内にマスク100の一部分が収納されていればよい。
【0071】
上記した実施形態では、マスク100を二つ折にして外側ポケット部12内に収納したが、本発明はこれに限定されるものではない。マスク100を折り畳まずに、外側ポケット部12内に収納してもよいし、3つ折り以上で折り畳んで外側ポケット部12内に収納してもよい。
【0072】
上記した実施形態では、シャツ1のポケット10は、前身頃6aの着用者の胸部付近に位置する胸ポケットであったが、本発明はこれに限定されるものではない。他の部分のポケットであってもよい。例えば、後身頃7の表面にポケット10を設けてもよい。
【0073】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0074】
1 シャツ
2 身頃
10 ポケット
11 内側ポケット部
12 外側ポケット部
15 内側ポケット形成布
21 固定用ボタン(内側固定部)
30 外側ポケット形成布
31 外側収納空間
35a 上辺(第1辺)
35b 下辺(第3辺)
35c 第1側辺(第2辺)
35d 第2側辺(第4辺)
37 外側角部
50 下方側縫製部
51 第1側方側縫製部(一方の側方側縫製部)
52 第2側方側縫製部(他方の側方側縫製部)
56 固定用ボタン穴(外側固定部)
100 マスク
101 マスク本体部
102 第1耳掛け部
103 第2耳掛け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8