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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152865
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】インパクト工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B25B21/02 A
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055797
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 靖仁
(57)【要約】
【課題】アンビルの前端部の周辺を小径化すること。
【解決手段】インパクト工具は、モータと、モータにより回転されるハンマと、先端工具が挿入される工具孔を有し、ハンマにより回転方向に打撃されるアンビルと、アンビルに設けられたボール孔を介して少なくとも一部が工具孔の内側に配置される進入位置と工具孔の外側に配置される退避位置とに移動可能なボールと、ボールの移動のために径方向に移動されるボタンと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより回転されるハンマと、
先端工具が挿入される工具孔を有し、ハンマにより回転方向に打撃されるアンビルと、
前記アンビルに設けられたボール孔を介して少なくとも一部が前記工具孔の内側に配置される進入位置と前記工具孔の外側に配置される退避位置とに移動可能なボールと、
前記ボールの移動のために径方向に移動されるボタンと、を備える、
インパクト工具。
【請求項2】
前記ボタンが径方向内側に移動することにより、前記ボールが前記進入位置から前記退避位置に移動する、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項3】
前記ボタンは、左右方向に移動可能である、
請求項1又は請求項2に記載のインパクト工具。
【請求項4】
前記ボタンは、2つ配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項5】
前記先端工具が前記工具孔に挿入されることにより、前記ボールが前記進入位置から前記退避位置に移動する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項6】
前記ボールは、径方向に移動可能であり、
前記進入位置は、前記退避位置よりも径方向内側に規定される、
請求項5に記載のインパクト工具。
【請求項7】
前記ボールが前記退避位置から前記進入位置に移動するように前記ボールを付勢するボール付勢部材を備える、
請求項6に記載のインパクト工具。
【請求項8】
前記ボールを前記進入位置に押圧するロック位置と前記押圧を解除するリリース位置とに移動可能なロック部材を備え、
前記ボタンが径方向に移動することにより、前記ロック部材が移動する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項9】
前記ボタンが径方向内側に移動することにより、前記ロック部材が前記ロック位置から前記リリース位置に移動する、
請求項8に記載のインパクト工具。
【請求項10】
前記ロック部材は、前後方向に移動可能であり、
前記ロック位置は、前記リリース位置よりも前方に規定される、
請求項9に記載のインパクト工具。
【請求項11】
前記ボタンは、前記ロック部材よりも径方向外側に配置され、
前記ボタンは、径方向外側に向かって後方に傾斜し、前記ロック部材の少なくとも一部に接触する押圧面を有し、
前記ロック部材は、径方向外側に向かって後方に傾斜し、前記押圧面に接触するスライド面を有し、
前記押圧面と前記スライド面とが接触した状態で、前記ボタンが移動する、
請求項10に記載のインパクト工具。
【請求項12】
前記押圧面は、前記ロック部材が前記ロック位置に配置された状態で前記スライド面の一部に接触する第1押圧領域と、前記ロック部材が前記リリース位置に配置された状態で前記スライド面の別の一部に接触する第2押圧領域と、を有する、
請求項11に記載のインパクト工具。
【請求項13】
前記ロック部材が前記リリース位置から前記ロック位置に移動するように前記ロック部材を付勢するロック付勢部材を備える、
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項14】
前記ロック部材が前記ボタンに接触した状態で前記ロック付勢部材により付勢されることにより、前記ボタンが径方向外側に移動する、
請求項13に記載のインパクト工具。
【請求項15】
前記ロック部材は、前記アンビルの周囲に配置される、
請求項8から請求項14のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項16】
前記アンビルの周囲に配置され、前記ボタンを移動可能に支持する支持部材を備える、
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項17】
前記アンビルの前部を支持する前側アンビルベアリングを備え、
前記前側アンビルベアリングは、前記支持部材に支持される、
請求項16に記載のインパクト工具。
【請求項18】
前記前側アンビルベアリングは、前記アンビルの前端部に圧入される、
請求項17に記載のインパクト工具。
【請求項19】
前記ハンマを収容するハンマケースを備え、
前記支持部材は、前記ハンマケースに固定される、
請求項16から請求項18のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項20】
前記アンビルの後部を支持する後側アンビルベアリングを備え、
前記後側アンビルベアリングは、前記ハンマケースに支持される、
請求項19に記載のインパクト工具。
【請求項21】
前記アンビルの後方に配置され、前記モータの回転力を前記アンビルに伝達するスピンドルを備え、
前記アンビルの後端部に後方に突出するアンビル凸部が設けられ、
前記スピンドルに前端部に、前記アンビル凸部が挿入されるスピンドル凹部が設けられる、
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、インパクト工具に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクト工具は、アンビルと、アンビルに装着された先端工具を保持するチャックスリーブのような工具保持機構とを有する。特許文献1には、チャックスリーブを使用した場合よりも軸方向の長さを短くすることができるインパクトドライバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4917408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクト工具においては、操作性及び作業性の向上のために、アンビルの前端部の周辺を小径化することが要求される。
【0005】
本開示は、アンビルの前端部の周辺を小径化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、インパクト工具を開示する。インパクト工具は、モータと、モータにより回転されるハンマと、先端工具が挿入される工具孔を有し、ハンマにより回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。インパクト工具は、アンビルに設けられたボール孔を介して少なくとも一部が工具孔の内側に配置される進入位置と工具孔の外側に配置される退避位置とに移動可能なボールと、ボールの移動のために径方向に移動されるボタンと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、アンビルの前端部の周辺を小径化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るインパクト工具を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す正面図である。
図5図5は、実施形態に係るインパクト工具の上部を示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係る工具保持機構を示す断面図である。
図7図7は、実施形態に係る工具保持機構を示す断面図である。
図8図8は、図6の一部を拡大した図である。
図9図9は、図7の一部を拡大した図である。
図10図10は、図6のA-A線断面矢視図である。
図11図11は、実施形態に係る工具保持機構を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態に係る工具保持機構を示す分解斜視図である。
図13図13は、実施形態に係るボールとボタンとロック部材との関係を示す前方からの斜視図である。
図14図14は、実施形態に係るボールとボタンとロック部材との関係を示す後方からの斜視図である。
図15図15は、実施形態に係るボタンを示す後方からの斜視図である。
図16図16は、実施形態に係る支持部材とボタンとの関係を示す後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、モータと、モータにより回転されるハンマと、先端工具が挿入される工具孔を有し、ハンマにより回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。インパクト工具は、アンビルに設けられたボール孔を介して少なくとも一部が工具孔の内側に配置される進入位置と工具孔の外側に配置される退避位置とに移動可能なボールと、ボールの移動のために径方向に移動されるボタンと、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、工具保持機構は、径方向に移動されることによりボールを進入位置と退避位置とに移動可能なボタンを有する。そのため、アンビルの前端部を小径化することができる。また、ボタンを径方向に移動するだけで先端工具を着脱することができ、先端工具の着脱動作を小さな動作で実施することができる。また、工具保持機構も小型化される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボタンが径方向内側に移動することにより、ボールが進入位置から退避位置に移動してもよい。
【0012】
上記の構成では、ボタンが径方向内側に押し込まれることにより、ボールが進入位置から退避位置に移動することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボタンは、左右方向に移動可能でもよい。
【0014】
上記の構成では、ボタンの操作性が向上する。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボタンは、2つ配置されてもよい。
【0016】
上記の構成では、2つのボタンが相互に接近するように操作されることにより、ボールが進入位置から退避位置に移動される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、先端工具が工具孔に挿入されることにより、ボールが進入位置から退避位置に移動されてもよい。
【0018】
上記の構成では、先端工具が工具孔に挿入されることにより、ボールが進入位置から退避位置に移動されるので、先端工具は工具孔に円滑に挿入される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボールは、径方向に移動可能であり、進入位置は、退避位置よりも径方向内側に規定されてもよい。
【0020】
上記の構成では、ボールが進入位置に配置されることにより、ボールにより先端工具がアンビルに保持される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボールが退避位置から進入位置に移動するようにボールを付勢するボール付勢部材を備えてもよい。
【0022】
上記の構成では、ボール付勢部材の付勢力により、ボールは先端工具をロックするように移動することができる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、ボールを進入位置に押圧するロック位置と押圧を解除するリリース位置とに移動可能なロック部材を備えてもよい。ボタンが径方向に移動することにより、ロック部材が移動してもよい。
【0024】
上記の構成では、ボールはロック部材を介して移動される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボタンが径方向内側に移動することにより、ロック部材がロック位置からリリース位置に移動されてもよい。
【0026】
上記の構成では、ボタンが径方向内側に移動することにより、ロック部材がロック位置からリリース位置に移動するので、ボールが進入位置から退避位置に移動することができる。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロック部材は、前後方向に移動可能でもよい。ロック位置は、リリース位置よりも前方に規定されてもよい。
【0028】
上記の構成では、ロック部材が後方に移動することにより、リリース位置に移動することができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ボタンは、ロック部材よりも径方向外側に配置されてもよい。ボタンは、径方向外側に向かって後方に傾斜し、ロック部材の少なくとも一部に接触する押圧面を有してもよい。ロック部材は、径方向外側に向かって後方に傾斜し、押圧面に接触するスライド面を有してもよい。押圧面とスライド面とが接触した状態で、ボタンが移動してもよい。
【0030】
上記の構成では、押圧面とスライド面とが接触した状態でボタンが径方向内側に移動されることにより、ロック部材はリリース位置に移動することができる。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、押圧面は、ロック部材がロック位置に配置された状態でスライド面の一部に接触する第1押圧領域と、ロック部材がリリース位置に配置された状態でスライド面の別の一部に接触する第2押圧領域と、を有してもよい。
【0032】
上記の構成では、ボタンの操作性が向上する。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、ロック部材がリリース位置からロック位置に移動するようにロック部材を付勢するロック付勢部材を備えてもよい。
【0034】
上記の構成では、ボタンの操作が解除された場合、ロック部材がリリース位置からロック位置に移動する。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロック部材がボタンに接触した状態でロック付勢部材により付勢されることにより、ボタンが径方向外側に移動してもよい。
【0036】
上記の構成では、ボタンの操作が解除された場合、ボタンが径方向外側に移動することができる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロック部材は、アンビルの周囲に配置されてもよい。
【0038】
上記の構成では、工具保持機構が小型化される。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、アンビルの周囲に配置され、ボタンを移動可能に支持する支持部材を備えてもよい。
【0040】
上記の構成では、工具保持機構は、支持部材により支持される。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、アンビルの前部を支持する前側アンビルベアリングを備えてもよい。前側アンビルベアリングは、支持部材に支持されてもよい。
【0042】
上記の構成では、前側アンビルベアリングを支持する支持部材により、工具保持機構が支持される。また、アンビルの前端部が小径なので、前側アンビルベアリングも小径化される。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前側アンビルベアリングは、アンビルの前端部に圧入されてもよい。
【0044】
上記の構成では、前側アンビルベアリングがアンビルの前端部に圧入されるので、アンビルの強度が向上する。そのため、例えばねじ締め作業において先端工具からアンビルに力が加わって、アンビルが拡径するように変形しようとする場合があるが、前側アンビルベアリングがアンビルに圧入されることにより、アンビルの変形が抑制される。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ハンマを収容するハンマケースを備えてもよい。支持部材は、ハンマケースに固定されてもよい。
【0046】
上記の構成では、支持部材とハンマケースとの相対位置の変化が抑制される。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、アンビルの後部を支持する後側アンビルベアリングを備えてもよい。後側アンビルベアリングは、ハンマケースに支持されてもよい。
【0048】
上記の構成では、アンビルは、ハンマケースに支持された後側アンビルベアリングに回転可能に支持される。
【0049】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、アンビルの後方に配置され、モータの回転力をアンビルに伝達するスピンドルを備えてもよい。アンビルの後端部に後方に突出するアンビル凸部が設けられ、スピンドルに前端部に、アンビル凸部が挿入されるスピンドル凹部が設けられてもよい。
【0050】
上記の構成では、インパクト工具の軸方向の寸法が小型化される。
【0051】
[実施形態]
実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、インパクト工具1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。インパクト工具1は、動力源としてモータ6を有する。
【0052】
実施形態において、モータ6の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0053】
回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0054】
<インパクト工具>
図1は、実施形態に係るインパクト工具1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す側面図である。図3は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す平面図である。図4は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す正面図である。図5は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す断面図である。
【0055】
実施形態において、インパクト工具1は、ねじ締め工具の一種であるインパクトドライバである。インパクト工具1は、ハウジング2と、リヤカバー3と、ハンマケース4と、支持部材5と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、アンビル10と、工具保持機構11と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガスイッチ14と、正逆転切換レバー15と、操作パネル16と、モード切換スイッチ17と、ライト18とを備える。
【0056】
ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0057】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリコネクト部23とを有する。
【0058】
モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、モータ6を収容する。モータ収容部21は、ハンマケース4の少なくとも一部を収容する。
【0059】
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。トリガスイッチ14は、グリップ部22の上部に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
【0060】
バッテリコネクト部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリコネクト部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0061】
リヤカバー3は、合成樹脂製である。リヤカバー3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤカバー3は、ファン12の少なくとも一部を収容する。ファン12は、リヤカバー3の内周側に配置されている。リヤカバー3は、モータ収容部21の後端部の開口を覆うように配置される。
【0062】
モータ収容部21は、吸気口19を有する。リヤカバー3は、排気口20を有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0063】
ハンマケース4は、金属製である。実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。ハンマケース4の後部にベアリングボックス24が固定される。ベアリングボックス24の外周部にねじ山が形成される。ハンマケース4の内周部にねじ溝が形成される。ベアリングボックス24のねじ山とハンマケース4のねじ溝とが結合されることにより、ベアリングボックス24とハンマケース4とが固定される。ハンマケース4は、左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとに挟まれる。ハンマケース4の少なくとも一部は、モータ収容部21に収容される。ベアリングボックス24は、モータ収容部21及びハンマケース4のそれぞれに固定される。
【0064】
ハンマケース4は、減速機構7、スピンドル8、打撃機構9、及びアンビル10の少なくとも一部を収容する。減速機構7の少なくとも一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。減速機構7は、複数のギヤを含む。
【0065】
支持部材5は、ハンマケース4の前部に配置される。支持部材5は、アンビル10の周囲に配置される。支持部材5は、実質的に筒状である。支持部材5は、工具保持機構11の少なくとも一部を収容する。支持部材5は、ハンマケース4の前部に固定される。実施形態において、支持部材5は、4本のねじ5Sによりハンマケース4に固定される。
【0066】
モータ6は、インパクト工具1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に支持される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転する。
【0067】
ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。
【0068】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0069】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0070】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、ヒュージング端子38を介して接続される。
【0071】
ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア32と、ロータシャフト33と、ロータ磁石34と、センサ用磁石35とを有する。
【0072】
ロータコア32及びロータシャフト33のそれぞれは、鋼製である。ロータシャフト33の前部は、ロータコア32の前端面から前方に突出する。ロータシャフト33の後部は、ロータコア32の後端面から後方に突出する。
【0073】
ロータ磁石34は、ロータコア32に固定される。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、ロータコア32の周囲に配置される。
【0074】
センサ用磁石35は、ロータコア32に固定される。センサ用磁石35は、円環状である。センサ用磁石35は、ロータコア32の前端面及びロータ磁石34の前端面に配置される。
【0075】
前インシュレータ29にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、中心に孔が設けられた円板状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子とを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、センサ用磁石35に対向する。回転検出素子は、ロータ27のセンサ用磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0076】
ロータシャフト33は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、ロータシャフト33の前部を回転可能に支持する前側ロータベアリング39Fと、ロータシャフト33の後部を回転可能に支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。
【0077】
前側ロータベアリング39Fは、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の後面から前方に窪む凹部24Aを有する。前側ロータベアリング39Fは、凹部24Aに配置される。後側ロータベアリング39Rは、リヤカバー3に保持される。ロータシャフト33の前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0078】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構7に連結される。
【0079】
減速機構7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構7は、ロータシャフト33とスピンドル8とを連結する。減速機構7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。
【0080】
減速機構7は、複数のギヤを有する。減速機構7のギヤは、ロータ27により駆動される。
【0081】
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に固定される。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に対して常に回転不可能である。
【0082】
モータ6の駆動によりロータシャフト33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0083】
スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方に配置される。スピンドル8は、アンビル10の後方に配置される。スピンドル8は、ロータ27により回転される。スピンドル8は、減速機構7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の回転力をアンビル10に伝達する。
【0084】
スピンドル8は、フランジ部8Aと、フランジ部8Aから前方に突出するスピンドルシャフト部8Bとを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部8Aに回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドル8の後端部に凸部8Cが設けられる。凸部8Cは、フランジ部8Aから後方に突出する。凸部8Cは、スピンドルベアリング44の内側に配置される。スピンドルベアリング44は、凸部8Cを支持する。
【0085】
ベアリングボックス24は、スピンドル8の周囲の少なくとも一部に配置される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の前面から後方に窪む凹部24Bを有する。スピンドルベアリング44は、凹部24Bに配置される。
【0086】
打撃機構9は、モータ6により駆動される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介して打撃機構9に伝達される。打撃機構9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。打撃機構9は、ハンマ47と、ボール48と、コイルスプリング49とを有する。ハンマ47を含む打撃機構9は、ハンマケース4に収容される。
【0087】
ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。ハンマ47は、スピンドル8の周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドル8に保持される。ボール48は、スピンドル8とハンマ47との間に配置される。コイルスプリング49は、スピンドル8及びハンマ47のそれぞれに支持される。
【0088】
ハンマ47は、筒状である。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bの周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bが配置される孔47Aを有する。
【0089】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介してハンマ47にに伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0090】
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝8Dを有する。スピンドル溝8Dは、スピンドルシャフト部8Bの外面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝47Bを有する。ハンマ溝47Bは、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝8Dとハンマ溝47Bとの間に配置される。ボール48は、スピンドル溝8Dの内側及びハンマ溝47Bの内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝8D及びハンマ溝47Bにより規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0091】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部8Aとハンマ47との間に配置される。ハンマ47の後面にリング状の凹部47Cが設けられる。凹部47Cは、ハンマ47の後面から前方に窪む。凹部47Cの内側にワッシャ45が設けられる。コイルスプリング49の後端部は、フランジ部8Aに支持される。コイルスプリング49の前端部は、凹部47Cの内側に配置され、ワッシャ45に支持される。
【0092】
アンビル10の少なくとも一部は、ハンマ47よりも前方に配置される。アンビル10は、先端工具が挿入される工具孔10Aを有する。工具孔10Aは、アンビル10の前端部に設けられる。先端工具は、アンビル10に装着される。
【0093】
アンビル10は、アンビル凸部10Bを有する。アンビル凸部10Bは、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル凸部10Bは、アンビル10の後端部から後方に突出する。アンビル10の後方にスピンドル8が配置される。スピンドルシャフト部8Bの前端部にスピンドル凹部8Eが設けられる。スピンドル凹部8Eにアンビル凸部10Bが挿入される。スピンドル凹部8Eの内側にボール8Fが配置される。アンビル凸部10Bは、ボール8Fの表面に接触する球面状の接触面10Cを有する。
【0094】
アンビル10は、ロッド状のアンビルボディ101と、アンビル突起部102とを有する。工具孔10Aは、アンビルボディ101の前端部に設けられる。先端工具は、アンビルボディ101に装着される。アンビル突起部102は、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル突起部102は、アンビルボディ101の後端部から径方向外側に突出する。
【0095】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、ハンマケース4に保持される。実施形態において、アンビルベアリング46は、アンビル10の前部を支持する前側アンビルベアリング46Fと、アンビル10の後部を支持する後側アンビルベアリング46Rとを含む。前側アンビルベアリング46Fは、アンビルボディ101の前部を回転可能に支持する。後側アンビルベアリング46Rは、アンビルボディ101の後部を回転可能に支持する。前側アンビルベアリング46Fは、アンビル10の前端部に圧入される。前側アンビルベアリング46Fは、アンビルボディ101の前方からアンビルボディ101に圧入される。前側アンビルベアリング46Fは、支持部材5に支持される。後側アンビルベアリング46Rは、ハンマケース4に支持される。
【0096】
ハンマ47の少なくとも一部は、アンビル突起部102に接触可能である。ハンマ47の前部に前方に突出するハンマ突起部が設けられる。ハンマ47のハンマ突起部とアンビル突起部102とが接触可能である。ハンマ47とアンビル突起部102とが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0097】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えば、ねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝8D及びハンマ溝47Bのそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ47とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0098】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ47は、回転しながらアンビル突起部102に接触する。これにより、アンビル突起部102は、ハンマ47により回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0099】
工具保持機構11は、アンビル10の前部の周囲に配置される。工具保持機構11は、工具孔10Aに挿入された先端工具を保持する。工具保持機構11の少なくとも一部は、支持部材5に収容される。
【0100】
ファン12は、モータ6のステータ26よりも後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ブッシュ12Aを介してロータシャフト33の後部に固定される。ファン12は、後側ロータベアリング39Rとステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。ロータシャフト33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト33と一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0101】
バッテリ装着部13は、バッテリコネクト部23の下部に配置される。バッテリ装着部13は、バッテリパック25に接続される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック25は、インパクト工具1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。
【0102】
トリガスイッチ14は、グリップ部22に設けられる。トリガスイッチ14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガスイッチ14が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。
【0103】
正逆転切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆転切換レバー15は、作業者に操作される。正逆転切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
【0104】
操作パネル16は、バッテリコネクト部23に設けられる。操作パネル16は、モータ6の制御モードを切り換えるために作業者に操作される。操作パネル16は、打撃力スイッチ16Aと、専用スイッチ16Bとを有する。打撃力スイッチ16A及び専用スイッチ16Bのそれぞれは、作業者に操作される。打撃力スイッチ16A及び専用スイッチ16Bの少なくとも一方が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
【0105】
モード切換スイッチ17は、トリガスイッチ14の上部に設けられる。モード切換スイッチ17は、作業者に操作される。モード切換スイッチ17が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
【0106】
ライト18は、照明光を射出する。ライト18は、アンビル10及びアンビル10の周辺を照明光で照明する。ライト18は、アンビル10の前方を照明光で照明する。また、ライト18は、アンビル10に装着された先端工具及び先端工具の周辺を照明光で照明する。実施形態において、ライト18は、ハンマケース4の左部及び右部のそれぞれに配置される。
【0107】
<工具保持機構>
図6及び図7のそれぞれは、実施形態に係る工具保持機構11を示す断面図である。図8は、図6の一部を拡大した図である。図9は、図7の一部を拡大した図である。図10は、図6のA-A線断面矢視図である。図11は、実施形態に係る工具保持機構11を示す斜視図である。図12は、実施形態に係る工具保持機構11を示す分解斜視図である。
【0108】
工具保持機構11は、アンビルボディ101の周囲に配置される。工具保持機構11は、工具孔10Aに挿入された先端工具を保持する。工具孔10Aは、アンビルボディ101の前端部から後方に延伸するように形成される。回転軸AXと直交する断面において、工具孔10Aは、6角形状である。
【0109】
アンビルボディ101の外面に凹部10Dが設けられる。凹部10Dは、アンビルボディ101の外面から径方向内側に凹むように形成される。凹部10Dは、軸方向に長い。凹部10Dは、2つ設けられる。凹部10Dの内側にボール孔10Eが設けられる。ボール孔10Eは、工具孔10Aに接続される。
【0110】
工具保持機構11は、ボール50と、ボタン51と、ロック部材52と、ボール付勢部材53と、ロック付勢部材54とを有する。
【0111】
ボール50は、凹部10Dに配置される。ボール50は、金属製である。ボール50は、2つ設けられる。1つの凹部10Dに1つのボール50が配置される。ボール50は、径方向及び軸方向のそれぞれに移動可能である。ボール50は、凹部10Dに移動可能に支持される。ボール50の外径は、ボール孔10Eの内径よりも大きい。ボール50の少なくとも一部は、アンビル10に設けられたボール孔10Eを介して工具孔10Aの内側に進入することができる。ボール50が径方向内側に移動することにより、ボール50の少なくとも一部は、ボール孔10Eを介して工具孔10Aにに配置される。また、ボール50は、工具孔10Aから退去することができる。ボール50が径方向外側に移動することにより、ボール50は、工具孔10Aの外側に配置される。
【0112】
以下の説明において、ボール50の少なくとも一部がボール孔10Eを介して工具孔10Aの内側に配置されるボール50の位置を適宜、進入位置、と称し、ボール50が工具孔10Aの外側に配置されるボール50の位置を適宜、退避位置、と称する。進入位置は、退避位置よりも径方向内側に規定される。ボール50は、進入位置と退避位置とに移動可能である。
【0113】
ボタン51は、ボール50の移動のために径方向に移動される。ボタン51は、2つ配置される。ボタン51は、回転軸AXよりも左側及び右側のそれぞれに配置される。ボタン51は、左右方向に移動可能である。
【0114】
支持部材5は、ボタン51を移動可能に支持する。ボタン51は、支持部材5の内側に配置される円弧部51Aと、円弧部51Aから径方向外側に突出する操作部51Bとを有する。操作部51Bの少なくとも一部は、支持部材5の外側に配置される。支持部材5の一部に開口5Aが設けられる。開口5Aは、支持部材5の内面と外面とを貫くように形成される。開口5Aは、回転軸AXの左側及び右側のそれぞれに設けられる。操作部51Bの一部は、開口5Aに配置される。
【0115】
作業者は、ボタン51を操作することができる。ボタン51が径方向内側に移動することにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動することができる。
【0116】
支持部材5は、金属製である。支持部材5を形成する材料として、アルミニウムが例示される。ボタン51は、合成樹脂製である。ボタン51は、支持部材5に対する摩擦係数が低い材料により形成される。ボタン51を形成する材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)又はポリオキシメチレン(POM:polyoxymethylene)が例示される。支持部材5に対するボタン51の摩擦係数が低いので、作業者は、ボタン51を円滑に移動することができる。
【0117】
ロック部材52は、アンビル10のアンビルボディ101の周囲に配置される。ロック部材52は、金属製である。ロック部材52は、リング状である。ロック部材52は、アンビルボディ101にガイドされながら前後方向に移動可能である。
【0118】
ロック部材52は、ボール50よりも径方向外側に配置される。ロック部材52は、ボール50に接触する。ロック部材52は、ボール50を進入位置に押圧するロック位置と、ボール50の押圧を解除するリリース位置とに移動可能である。
【0119】
ロック部材52は、ボタン51が操作されることにより、軸方向に移動する。2つのボタン51が操作されることにより、ロック部材52は、軸方向に安定して移動することができる。また、ロック部材52は、ボタン51と接触しながら移動する。ボタン51は、ロック部材52に対する摩擦係数が低い材料により形成される。上述のように、ボタン51を形成する材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)又はポリオキシメチレン(POM:polyoxymethylene)が例示される。ロック部材52に対するボタン51の摩擦係数が低いので、ボタン51とロック部材52とは円滑に摺動することができる。
【0120】
ボタン51は、ロック部材52よりも径方向外側に配置される。ボタン51は、ロック部材52に接触する。ボタン51が径方向に移動することにより、ロック部材52がロック位置とリリース位置とに移動する。
【0121】
図6及び図8は、ロック部材52がロック位置に配置されている状態を示す。図7及び図9は、ロック部材52がリリース位置に配置されている状態を示す。ボタン51が径方向内側に移動することにより、ロック部材52がロック位置からリリース位置に移動する。ボタン51が径方向外側に移動することにより、ロック部材52がリリース位置からロック位置に移動する。ロック位置は、リリース位置よりも前方に規定される。ボタン51が径方向内側に移動することにより、ロック部材52が後方に移動して、リリース位置に配置される。
【0122】
図8に示すように、ロック部材52がロック位置に配置されているとき、ロック部材52は、ボール50の径方向外側に配置され、ロック部材52の内面52Bがボール50の表面に接触する。ボール50の径方向外側にロック部材52が配置されているので、ボール50は、進入位置から退避位置に移動することができない。すなわち、ボール50は、径方向外側に移動することができない。
【0123】
図9に示すように、ロック部材52がリリース位置に配置されているとき、軸方向においてロック部材52の位置とボール50の位置とがずれる。その結果、ロック部材52の前方にボール50の少なくとも一部が入り込めるスペースが形成され、ボール50の径方向外側への移動が許容される。ボール50は、進入位置から退避位置に移動することができる。工具孔10Aに挿入された先端工具がボール50に接触すると、ボール50は、先端工具から外力を受ける。ロック部材52がリリース位置に配置されることにより、ボール50は、径方向外側に移動することができる。退避位置に配置されたボール50の径方向外側にボタン51が配置される。ボタン51は、ボール50が径方向外側に過度に移動することを抑制する。
【0124】
ボール付勢部材53は、ボール50が退避位置から進入位置に移動するように、ボール50を付勢する。すなわち、ボール付勢部材53は、ボール50が径方向内側に移動するように、ボール50に付勢力を与える。実施形態において、ボール付勢部材53として、凹部10Dの周囲に配置されるコイルスプリングが例示される。ボール付勢部材53は、ボール50に接触する。
【0125】
工具孔10Aに挿入された先端工具がボール50に接触すると、ボール50は、先端工具から外力を受けて径方向外側に移動する。ボール50が径方向外側に移動した場合、ボール付勢部材53は拡径する。先端工具からボール50が受ける外力が解除されると、ボール50は、ボール付勢部材53の付勢力により径方向内側に移動する。
【0126】
ロック付勢部材54は、ロック部材52がリリース位置からロック位置に移動するように、ロック部材52を付勢する。すなわち、ロック付勢部材54は、ロック部材52が前方に移動するように、ロック部材52に付勢力を与える。実施形態において、ロック付勢部材54として、ロック部材52の後方に配置されるコニカルスプリング又はコイルスプリングが例示される。ロック付勢部材54は、アンビルボディ101の周囲に配置される。ロック付勢部材54の後端部は、例えば後側アンビルベアリング46Rの前部に配置されたフラットワッシャに接触する。ロック付勢部材54の前端部は、ロック部材52の後面に接触する。
【0127】
実施形態において、ボタン51は、作業者による操作により、径方向内側に移動することができる。ボタン51は、ロック付勢部材54の付勢力により、径方向外側に移動することができる。ロック部材52がボタン51に接触した状態で、ロック部材52がロック付勢部材54により前方に付勢されることにより、ボタン51が径方向外側に移動する。
【0128】
図13は、実施形態に係るボール50とボタン51とロック部材52との関係を示す前方からの斜視図である。図14は、実施形態に係るボール50とボタン51とロック部材52との関係を示す後方からの斜視図である。図15は、実施形態に係るボタン51を示す後方からの斜視図である。
【0129】
ロック部材52は、ボール50よりも径方向外側に配置される。ボタン51は、ロック部材52よりも径方向外側に配置される。ボタン51は、ロック部材52の周囲の少なくとも一部に配置される円弧部51Aを有する。ロック部材52は、2つの円弧部51Aに囲まれるように配置される。
【0130】
ボタン51は、径方向外側に向かって傾斜する押圧面51Cを有する。押圧面51Cは、ロック部材52の少なくとも一部に接触する。ロック部材52は、径方向外側に向かって傾斜するスライド面52Aを有する。スライド面52Aは、押圧面51Cの少なくとも一部に接触する。
【0131】
実施形態において、押圧面51Cは、ロック部材52がロック位置に配置された状態でスライド面52Aの一部に接触する第1押圧領域511Cと、ロック部材52がリリース位置に配置された状態でスライド面52Aの別の一部に接触する第2押圧領域512Cとを有する。第1押圧領域511Cは、押圧面51Cの上部及び下部のそれぞれに規定される。第2押圧領域512Cは、上下方向において2つの第1押圧領域511Cの間に規定される。第1押圧領域511C及び第2押圧領域512Cのそれぞれは、円弧状の面である。第1押圧領域511Cの向きと第2押圧領域512Cの向きとは異なる。
【0132】
図13及び図14は、ロック部材52がロック位置に配置されている状態を示す。ロック部材52がロック位置に配置されている場合、第1押圧領域511Cとスライド面52Aの一部とが接触し、第2押圧領域512Cとスライド面52Aとは離れる。ロック部材52がリリース位置に配置されている場合、第2押圧領域512Cとスライド面52Aの一部とが接触し、第1押圧領域511Cとスライド面52Aとは離れる。
【0133】
図8に示すように、ボタン51が径方向外側に配置されている場合、押圧面51Cの第2押圧領域512Cとスライド面52Aとは離れている。図9に示すように、ボタン51が径方向内側に移動すると、押圧面51Cの第2押圧領域512Cがスライド面52Aに接触する。押圧面51Cの第2押圧領域512Cとスライド面52Aとが接触した状態で、ボタン51が更に径方向内側に移動すると、図9に示すように、ロック部材52は、アンビルボディ101にガイドされながら後方に移動することができる。これにより、ロック部材52は、ロック位置からリリース位置に移動することができる。
【0134】
図16は、実施形態に係る支持部材5とボタン51との関係を示す後方からの斜視図である。ボタン51の円弧部51Aは、上面51D及び下面51Eを有する。図16及び図10に示すように、支持部材5は、上面51Dに対向するガイド面5B及び下面51Eに対向するガイド面5Cを有する。ボタン51は、ガイド面5B及びガイド面5Cにガイドされながら左右方向に移動することができる。
【0135】
<工具保持機構の動作>
次に、工具保持機構11の動作について説明する。はじめに、先端工具を工具孔10Aに挿入する動作について説明する。先端工具を工具孔10Aに挿入する場合、ボタン51は操作されない。なお、先端工具には、ボール50が配置されるボール溝が設けられている。
【0136】
先端工具が工具孔10Aに挿入される前において、ボール50は進入位置に配置され、ロック部材52はロック位置に配置されている。
【0137】
先端工具が工具孔10Aに挿入されると、進入位置に配置されているボール50と先端工具とが接触する。ボール50は、先端工具から受ける外力により、ロック部材52に対して後方に移動する。更にボール50に先端工具から外力が作用すると、ボール50は、ボール付勢部材53に接触しながら径方向外側に移動する。すなわち、先端工具が工具孔10Aに挿入されることにより、ボール50が進入位置から退避位置(第1の退避位置)に移動する。ボール50が径方向外側に移動すると、ボール付勢部材53は拡径する。更に先端工具が工具孔10Aに挿入されると、ボール50の位置と先端工具に設けられているボール溝との位置が一致する。ボール50は、ボール付勢部材53の付勢力により径方向内側に移動して、先端工具のボール溝に入り込む。これにより、先端工具が工具孔10Aに固定される。
【0138】
次に、先端工具を工具孔10Aから抜去する動作について説明する。先端工具が工具孔10Aに挿入されているとき、ボール50は進入位置に配置されて先端工具のボール溝に入り込んでおり、ロック部材52はロック位置に配置されている。
【0139】
作業者は、ボタン51が径方向内側に移動するように操作部51Bを押し込む。作業者は、2つの操作部51Bを例えば指で挟み込むことにより、2つのボタン51を同時に径方向内側に移動させる。ボタン51が径方向内側に移動すると、ボタン51の押圧面51Cの第2押圧領域512Cとロック部材52のスライド面52Aとが接触する。押圧面51Cの第2押圧領域512Cとロック部材52のスライド面52Aとが接触した状態でボタン51が更に径方向内側に移動すると、ロック部材52が後方に移動する。すなわち、ロック部材52はロック位置からリリース位置に移動する。ロック部材52がリリース位置に移動すると、ボール50は径方向外側に移動可能な状態になる。ボール50が径方向外側に移動可能な状態で、作業者により先端工具が引っ張られると、ボール50を径方向外側に移動させる外力が先端工具からボール50に作用する。ボール50は、進入位置から退避位置(第2の退避位置)に移動する。これにより、先端工具は、ボール50に邪魔されることなく、工具孔10Aから抜去される。
【0140】
なお、先端工具を工具孔10Aに挿入するときのボール50の退避位置(第1の退避位置)と、先端工具を工具孔10Aから抜去するときのボール50の退避位置(第2の退避位置)とは、異なる。
【0141】
<インパクト工具の動作>
次に、インパクト工具1の動作について説明する。例えば、加工対象にねじ締め作業を実施するとき、ねじ締め作業に使用される先端工具(ドライバビット)が、アンビル10の工具孔10Aに挿入される。工具孔10Aに挿入された先端工具は、工具保持機構11により保持される。先端工具がアンビル10に装着された後、作業者は、グリップ部22を握ってトリガスイッチ14を操作する。トリガスイッチ14が操作されると、バッテリパック25からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動し、同時にライト18が点灯する。モータ6の起動により、ロータ27のロータシャフト33が回転する。ロータシャフト33が回転すると、ロータシャフト33の回転力がピニオンギヤ41を介してプラネタリギヤ42に伝達される。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。プラネタリギヤ42の公転により、スピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0142】
ハンマ47とアンビル突起部102とが接触している状態で、スピンドル8が回転すると、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。アンビル10が回転することにより、ねじ締め作業が進行する。
【0143】
ねじ締め作業の進行により、アンビル10に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマ47は、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ47とアンビル突起部102との接触が解除される。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動することにより、アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。これにより、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは加工対象に高いトルクで締め付けられる。
【0144】
<効果>
以上説明したように、実施形態において、インパクト工具1は、モータ6と、モータ6により回転されるハンマ47と、先端工具が挿入される工具孔10Aを有し、ハンマ47により回転方向に打撃されるアンビル10と、を備える。インパクト工具1は、アンビル10に設けられたボール孔10Eを介して少なくとも一部が工具孔10Aの内側に配置される進入位置と工具孔10Aの外側に配置される退避位置とに移動可能なボール50と、ボール50の移動のために径方向に移動されるボタン51と、を備える。
【0145】
上記の構成では、工具保持機構11は、径方向に移動されることによりボール50を進入位置と退避位置とに移動可能なボタン51を有する。アンビル10の前端部を小径化することができる。また、ボタン51を径方向に移動するだけで先端工具を着脱することができ、先端工具の着脱動作を小さな動作で実施することができる。また、工具保持機構11も小型化される。
【0146】
実施形態において、ボタン51が径方向内側に移動することにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動する。
【0147】
上記の構成では、ボタン51が径方向内側に押し込まれることにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動することができる。
【0148】
実施形態において、ボタン51は、左右方向に移動可能である。
【0149】
上記の構成では、ボタン51の操作性が向上する。
【0150】
実施形態において、ボタン51は、2つ配置される。
【0151】
上記の構成では、2つのボタン51が相互に接近するように操作されることにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動される。
【0152】
実施形態において、先端工具が工具孔10Aに挿入されることにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動される。
【0153】
上記の構成では、先端工具が工具孔10Aに挿入されることにより、ボール50が進入位置から退避位置に移動されるので、先端工具は工具孔10Aに円滑に挿入される。
【0154】
実施形態において、ボール50は、径方向に移動可能であり、進入位置は、退避位置よりも径方向内側に規定される。
【0155】
上記の構成では、ボール50が進入位置に配置されることにより、ボール50により先端工具がアンビル10に保持される。
【0156】
実施形態において、ボール50が退避位置から進入位置に移動するようにボール50を付勢するボール付勢部材53を備える。
【0157】
上記の構成では、ボール付勢部材53の付勢力により、ボール50は先端工具をロックするように移動することができる。
【0158】
実施形態において、インパクト工具1は、ボール50を進入位置に押圧するロック位置と押圧を解除するリリース位置とに移動可能なロック部材52を備える。ボタン51が径方向に移動することにより、ロック部材52が移動する。
【0159】
上記の構成では、ボール50はロック部材52を介して移動される。
【0160】
実施形態において、ボタン51が径方向内側に移動することにより、ロック部材52がロック位置からリリース位置に移動される。
【0161】
上記の構成では、ボタン51が径方向内側に移動することにより、ロック部材52がロック位置からリリース位置に移動するので、ボール50が進入位置から退避位置に移動することができる。
【0162】
実施形態において、ロック部材52は、前後方向に移動可能である。ロック位置は、リリース位置よりも前方に規定される。
【0163】
上記の構成では、ロック部材52が後方に移動することにより、リリース位置に移動することができる。
【0164】
実施形態において、ボタン51は、ロック部材52よりも径方向外側に配置される。ボタン51は、径方向外側に向かって後方に傾斜し、ロック部材52の少なくとも一部に接触する押圧面51Cを有する。ロック部材52は、径方向外側に向かって後方に傾斜し、押圧面51Cに接触するスライド面52Aを有する。押圧面51Cとスライド面52Aとが接触した状態で、ボタン51が移動する。
【0165】
上記の構成では、押圧面51Cとスライド面52Aとが接触した状態でボタン51が径方向内側に移動されることにより、ロック部材52はリリース位置に移動することができる。
【0166】
実施形態において、押圧面51Cは、ロック部材52がロック位置に配置された状態でスライド面52Aの一部に接触する第1押圧領域511Cと、ロック部材52がリリース位置に配置された状態でスライド面52Aの別の一部に接触する第2押圧領域512Cと、を有する。
【0167】
上記の構成では、ボタン51の操作性が向上する。
【0168】
実施形態において、インパクト工具1は、ロック部材52がリリース位置からロック位置に移動するようにロック部材52を付勢するロック付勢部材54を備える。
【0169】
上記の構成では、ボタン51の操作が解除された場合、ロック部材52がリリース位置からロック位置に移動する。
【0170】
実施形態において、ロック部材52がボタン51に接触した状態でロック付勢部材54により付勢されることにより、ボタン51が径方向外側に移動する。
【0171】
上記の構成では、ボタン51の操作が解除された場合、ボタン51が径方向外側に移動することができる。
【0172】
実施形態において、ロック部材52は、アンビル10の周囲に配置される。
【0173】
上記の構成では、工具保持機構11が小型化される。
【0174】
実施形態において、インパクト工具1は、アンビル10の周囲に配置され、ボタン51を移動可能に支持する支持部材5を備える。
【0175】
上記の構成では、工具保持機構11は、支持部材5により支持される。
【0176】
実施形態において、インパクト工具1は、アンビル10の前部を支持する前側アンビルベアリング46Fを備える。前側アンビルベアリング46Fは、支持部材5に支持される。
【0177】
上記の構成では、前側アンビルベアリング46Fを支持する支持部材5により、工具保持機構11が支持される。また、アンビル10の前端部が小径なので、前側アンビルベアリング46Fも小径化される。
【0178】
実施形態において、前側アンビルベアリング46Fは、アンビル10の前端部に圧入される。
【0179】
上記の構成では、前側アンビルベアリング46Fがアンビル10の前端部に圧入されるので、アンビル10の強度が向上する。そのため、例えばねじ締め作業において先端工具からアンビル10に力が加わって、アンビル10が拡径するように変形しようとする場合があるが、前側アンビルベアリング46Fがアンビル10に圧入されることにより、アンビル10の変形が抑制される。
【0180】
実施形態において、ハンマ47を収容するハンマケース4を備える。支持部材5は、ハンマケース4に固定される。
【0181】
上記の構成では、支持部材5とハンマケース4との相対位置の変化が抑制される。
【0182】
実施形態において、インパクト工具1は、アンビル10の後部を支持する後側アンビルベアリング46Rを備える。後側アンビルベアリング46Rは、ハンマケース4に支持される。
【0183】
上記の構成では、アンビル10は、ハンマケース4に支持された後側アンビルベアリング46Rに回転可能に支持される。
【0184】
実施形態において、インパクト工具1は、アンビル10の後方に配置され、モータ6の回転力をアンビル10に伝達するスピンドル8を備える。アンビル10の後端部に後方に突出するアンビル凸部10Bが設けられ、スピンドル8に前端部に、アンビル凸部10Bが挿入されるスピンドル凹部8Eが設けられる。
【0185】
上記の構成では、インパクト工具1の軸方向の寸法が小型化される。
【0186】
上述の実施形態においては、インパクト工具1がインパクトドライバであることとした。インパクト工具1は、インパクトレンチでもよい。
【0187】
<変形例>
上述の実施形態において、インパクト工具1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0188】
1…インパクト工具、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…リヤカバー、4…ハンマケース、5…支持部材、5A…開口、5B…ガイド面、5C…ガイド面、5S…ねじ、6…モータ、7…減速機構、8…スピンドル、8A…フランジ部、8B…スピンドルシャフト部、8C…凸部、8D…スピンドル溝、8E…スピンドル凹部、8F…ボール、9…打撃機構、10…アンビル、10A…工具孔、10B…アンビル凸部、10C…接触面、10D…凹部、10E…ボール孔、11…工具保持機構、12…ファン、12A…ブッシュ、13…バッテリ装着部、14…トリガスイッチ、15…正逆転切換レバー、16…操作パネル、16A…打撃力スイッチ、16B…専用スイッチ、17…モード切換スイッチ、18…ライト、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリコネクト部、24…ベアリングボックス、24A…凹部、24B…凹部、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、29S…ねじ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア、33…ロータシャフト、34…ロータ磁石、35…センサ用磁石、37…センサ基板、38…ヒュージング端子、39…ロータベアリング、39F…前側ロータベアリング、39R…後側ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、45…ワッシャ、46…アンビルベアリング、46F…前側アンビルベアリング、46R…後側アンビルベアリング、47…ハンマ、47A…孔、47B…ハンマ溝、47C…凹部、48…ボール、49…コイルスプリング、50…ボール、51…ボタン、51A…円弧部、51B…操作部、51C…押圧面、511C…第1押圧領域、512C…第2押圧領域、51D…上面、51E…下面、52…ロック部材、52A…スライド面、52B…内面、53…ボール付勢部材、54…ロック付勢部材、101…アンビルボディ、102…アンビル突起部、AX…回転軸。
図1
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