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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152877
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】眼科複合健診検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/18 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A61B3/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055812
(22)【出願日】2021-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】519132333
【氏名又は名称】株式会社洛香
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】河内 敏
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA19
4C316AA20
4C316AB16
4C316AB19
4C316FA01
4C316FA06
4C316FA12
4C316FC01
4C316FC11
4C316FC14
(57)【要約】
【課題】 眼の総合的な健診検査を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】 視力を調べる視力検査表2と、眼圧を測定する非接触眼圧計3と、外眼部の疾患等を調べる細隙灯顕微鏡4と、眼底を検査する眼底カメラ5のうちの少なくとも二以上を一体に有し、前後誘導用ガイドバー21と左右誘導用ガイドバー22に沿って移動する検査機器搭載移動体23上に、選択した前記検査機器3~5を搭載して検査位置まで移動するようになされている。また、操作は手動や遠隔で行う場合もある。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラのうちの少なくとも二以上の検査機器を備え、各検査機器による複合的な検査が行えるようしたことを特徴とする、眼科複合健診検査装置。
【請求項2】
更に、健診を受ける受診者が顎を載せて眼の健診を受けるための検査台と、該検査台に対して移動手段を介して検査機器を選択的に位置させるオペレーション部を備えている、請求項1記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項3】
検査台の正面に視標表示板が設けられ、該視標表示板の左右側に、他の検査機器が配置されている、請求項1または請求項2記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項4】
移動手段が、検査機器を搭載する昇降自在な検査機器搭載移動体と、該検査機器搭載移動体を懸架する前後誘導用ガイドバーおよび左右誘導用ガイドバーと、前後誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた前後ピニオンと、左右誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた左右ピニオンと、左右ピニオンが噛合する前後方向に伸びる左右ラックと、前記前後ピニオンが噛合する左右方向に伸びる前後ラックと、前記前後誘導用ガイドバーおよび前記左右誘導用ガイドバーを回転させる駆動モータを備え、該駆動モータの作動によって、前記検査機器搭載移動体が各検査機器の位置まで移動して該検査機器を搭載して所定の検査位置まで移動するようになされている、請求項2または請求項3記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項5】
検査機器搭載移動体の上部にセットピンが突設され、検査機器の底部に前記セットピンが嵌入するセット凹部が設けられ、検査機器搭載移動体が検査機器を搭載する際に、昇降手段を介して前記セットピンと前記セット凹部が嵌め合わされるようになされている、請求項4記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項6】
更に、視標表示板による視力および色覚検査、並びに非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラうちの二以上の検査機器による各検査に基づく異常の有無を診断する検査診断部と、該検査診断部による検査結果を表示する検査結果表示部を有する、請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項7】
更に、検査結果表示部に表示された検査結果をプリントアウトする出力部を有する、請求項6記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項8】
請求項2~請求項7記載の眼科複合健診検査装置を用いた遠隔の眼科複合健診検査システムであって、前記オペレーション部や検査記憶部が、眼科医が所在する眼科医ステーションに設けられ、前記各検査機器およびこれらの移動手段が健診を受ける受診者ステーションに設けられ、通信機能部、マイク部およびスピーカー部を介して遠隔で前記各検査機器による健診検査が行われるようになされている、眼科複合健診検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の健診を複合的に行うことができる眼科複合健診検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系とを備えた測定部と、該測定部をX-Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、前記測定部の上方に配置された操作パネルと、前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備えている眼科用検査装置が知られている。
【0003】
また、被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部に向かいスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光投射光学系によって投射された投射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系と、該撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するコンピュータ部とを備えている眼科用検査装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329872号公報
【特許文献2】特開2006-87614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来の眼科用検査装置によれば、被検眼の前眼部の断面形状を定量的な測定データとして検知し、その測定データに基づいて検診レベルで眼科疾患の検査が行われるが、前記検査装置では、眼の総合的な健診を行うことができないという不都合があった。
【0006】
本発明の目的は、眼の総合的な健診を容易に行うことができる眼科複合健診検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラのうちの少なくとも二以上の検査機器を備え、各検査機器による複合的な検査が行えるようしたことを特徴とする眼科複合健診検査装置である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の眼科複合健診検査装置について、更に、健診を受ける受診者が顎を載せて眼の健診を受けるための検査台と、該検査台に対して移動手段を介して検査機器を選択的に位置させるオペレーション部を備えているものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または請求項2記載の眼科複合健診検査装置について、検査台の正面に視標表示板が設けられ、該視標表示板の左右側に、他の検査機器が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項2または請求項3記載の眼科複合健診検査装置について、移動手段が、検査機器を搭載する昇降自在な検査機器搭載移動体と、該検査機器搭載移動体を懸架する前後誘導用ガイドバーおよび左右誘導用ガイドバーと、前後誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた前後ピニオンと、左右誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた左右ピニオンと、左右ピニオンが噛合する前後方向に伸びる左右ラックと、前記前後ピニオンが噛合する左右方向に伸びる前後ラックと、前記前後誘導用ガイドバーおよび前記左右誘導用ガイドバーを回転させる駆動モータを備え、該駆動モータの作動によって、前記検査機器搭載移動体が各検査機器の位置まで移動して該検査機器を搭載して所定の検査位置まで移動するようになされていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項4記載の眼科複合健診検査装置について、検査機器搭載移動体の上部にセットピンが突設され、検査機器の底部に前記セットピンが嵌入するセット凹部が設けられ、検査機器搭載移動体が検査機器を搭載する際に、昇降手段を介して前記セットピンと前記セット凹部が嵌め合わされるようになされていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載の眼科複合健診検査装置について、更に、視標表示板による視力および色覚検査、並びに非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラのうちの二以上の検査機器による各検査に基づく異常の有無を診断する検査診断部と、該検査診断部による検査結果を表示する検査結果表示部を有するものである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、前記請求項6記載の眼科複合健診検査装置について、更に、検査結果表示部に表示された検査結果をプリントアウトする出力部を有するものである。
【0014】
請求項8記載の本発明は、前記請求項2~請求項7記載の眼科複合健診検査装置を用いた遠隔の眼科複合健診検査システムであって、前記オペレーション部並びに検査診断部や検査記憶部等が、医師が所在する眼科医ステーションに設けられ、前記各検査機器やこれらの移動手段の検査実行部が健診を受ける受診者ステーションに設けられ、通信機能部、マイク部およびスピーカー部を介して遠隔で前記各検査機器による健診検査が行われるようになされている、眼科複合健診検査システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る眼科複合健診検査装置は、視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラ等による複合的な健診検査によって、簡単且つ確実に眼の健康診断が行えるという実用的利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る眼科複合健診検査装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における各検査機器と移動手段の構成を示す平面図である。
図3】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における各検査機器と移動手段の構成を示す正面図である。
図4】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における移動手段としてのピニオンとラックの係合を示す部分拡大側面図である。
図5】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置におけるプラットフォーム台部分の平面図である。
図6】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置におけるオペレーション部およびモジュールボックスの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1図4に示すように、本発明の眼科複合健診検査装置1は、視力を調べる視標表示板2と、眼圧を測定する非接触眼圧計3と、外眼部の疾患等を調べる細隙灯顕微鏡4と、眼底を検査する眼底カメラ5のうちの少なくとも二以上を一体に有するものである。
【0019】
本実施形態では、前述した視標表示板2、非接触眼圧計3、細隙灯顕微鏡4および眼底カメラ5を全て具備する眼科複合健診検査装置1について以下に説明する。
【0020】
眼科複合健診検査装置1は、前述した各検査機器2~5の他、これら検査機器2~5の切換および操作を行うオペレーション部6と、各検査機器2~5による検査データや検査結果、更には各検査機器2~5の動作等に関するプログラミング等を記憶しておく検査記憶部7と、前記オペレーション部6を介して各検査機器2~5の操作を行ったり、検査情報の送受信を行うための通信機能部8と、種々の演算処理を行うプロセッサ部9と、検査結果を表示する検査結果表示部11と、必要に応じて、前記検査機器2~5による検査結果に基づいて異常の有無を診断する検査診断部12と、前記検査結果をプリントアウトする検査結果出力部13と、医師と受診者がやり取りするためのマイク部14およびスピーカー部15と、前記各検査機器2~5による検査状況を映すライブカメラ16等を有する。
【0021】
次に、本実施形態に係る眼科複合健診検査装置1における各検査機器3~5の移動手段の具体的な構成について説明すると、本実施形態では、前後方向に伸びる前後誘導用ガイドバー21と、前後誘導用ガイドバー21の上側に配置され、左右方向に伸びる左右誘導用ガイドバー22と、左右誘導用ガイドバー22と前後誘導用ガイドバー21の交差部分に設けられ、これらガイドバー21・22が挿通されて、各ガイドバー21・22に沿って前後左右に移動し得る検査機器搭載移動体23と、前記前後誘導用ガイドバー21の両端に取り付けられた前後ピニオン24と、前記左右誘導用ガイドバー22の両端に取り付けられた左右ピニオン25と、各左右ピニオン25と噛合する左右ラック26と、各前後ピニオン24と噛合する前後ラック27を有する。
【0022】
そして、本実施形態では、前記前後誘導用ガイドバー21の前側に受診者が顎を載せる検査台28と検査対象となる受診者の左右の眼の切換を行う切換シャッター機構部20が設けられ、前記前後誘導用ガイドバー21の後側に前記視標表示板2が設けられ、前記前後誘導用ガイドバー21の後部左側に非接触眼圧計3が配置され、前記前後誘導用ガイドバー21の後部右側に細隙灯顕微鏡4が配置され、前記前後誘導用ガイドバー21の前部右側に眼底カメラ5が配置されている。また、前記前後誘導用ガイドバー21の前部左側には他の眼科検査装置10が配置される場合もある。更に、前記検査台28に隣接して、受診者が検査を行う医師とやり取りするための受信者応答用の前記マイク部14およびスピーカー部15、並びにジョイステック52等が設けられている。
【0023】
前記検査機器搭載移動体23は、全体が略立方体であって、昇降用のシリンダやアクチュエータ等の上下動機Cが内蔵されたベース部23aと、ベース23aの四隅に立設されたポールPに支持されて、前記上下動機Cによって、前記ベース23a上に上下動自在に設けられた昇降台23bと、前記前後誘導用ガイドバー21および左右誘導用ガイドバー22を回転させる減速機付きの駆動モータ29A・29Bと、昇降台23bの上面四隅に立設されたセットピン45等を有する。なお、前記駆動モータ29A・29Bは、本実施形態では、前後誘導用ガイドバー21の後端並びに左右誘導用ガイドバー22の左端に取り付けられ、それぞれレールRに沿って各ガイドバー21・22と共に移動するようになされている。また、前記駆動モータ29A・29B並びに前記上下動機Cは、前記通信機能部8を介して後述するオペレーション部6での医師による操作によって稼働するようになされている。また、この他、前記駆動モータ29A・29Bによる検査機器搭載移動体23の前後左右移動や前記上下動機Cによる昇降は、前記検査記憶部7に予め記憶されているプログラミングによって、自動的に行われる場合もある。
【0024】
図4に示すように、より詳細には、前記検査機器搭載移動体23は、前後・左右のピニオン24・25が前後・左右のラック26・27に噛合しつつ、該ラック26・27上を回動移動することで、前後・左右方向に移動するものである。そして、その制御は、前記駆動モータ29A・29B並びに昇降用のシリンダやアクチュエータ等の上下動機Cの制御によって、前記オペレーション部6での手動操作または前記プログラミングによって実行される。
【0025】
図2図3および図5に示すように、前述した非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4は、それぞれプラットフォーム台31上に載置され、プラットフォーム台31には前記検査機器搭載移動体23の昇降台23bに立設されたセットピン45が進入する前後一対の開口部32が形成されており、非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4の下部には前記検査機器搭載移動体23の昇降台23b上のセットピン45が挿入されるセット凹部46が設けられている。また、以上述べた非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4の搭載構造は、前記眼底カメラ5についても同様である。
【0026】
図6に示すように、前記オペレーション部6は、前述した眼科複合健診検査装置1における移動手段や各検査機器等の稼働に係る機能を果たすものであり、例えば、前記切換シャッター機構部20による受診者の左右の眼の検査切換えを行う左右ボタン30や、前記各検査機器2~5の選択操作ボタン34~37や摘みスイッチ38、ジョイスティック39等の操作部と操作の実行に係るハード(回路)を備え、また、医師が受診者とやり取りするための前記マイク部14およびスピーカー部15並びに前記ライブカメラ16による検査状態が表示されるモニター40等を有する。また、該モニター40は、前記各検査機器2~5による各検査状況も表示するものである。更に、本実施形態では、後述する通り、眼科複合健診検査装置1における各機能を実行するモジュールが組み込まれたボックスBがオペレーション部6に併設されている。そして、前記ボックスBは後述する各機能を果たすモジュール化されたものである。
【0027】
前記検査記憶部7は、通常、HDD等の記録媒体と記録するソフトウエアによって実現される。また、検査記憶部7には、前記各検査機器2~5について、所定のプログラミングが記憶される場合もある。この場合、前記オペレーション部6の選択操作ボタン34~37を押すことで、所定のプログラミングに基づいて各検査機器2~5が、前述した移動手段を介して所定の検査位置にセットされて検査が実行されることとなる。この場合、前記視標表示板2による視力・色覚検査についても表示する指標の順序が受診者の回答に合わせて適宜切り換えられるようにプログラミングされる。
【0028】
通信機能部8は、主として前記オペレーション部6と各検査機器2~5その他との情報の送受信を無線または有線で行うものであり、通常、通信モジュールやモデム・ドライバ等によって実現される。また、該通信機能部8は、前述した駆動モータ29A・29Bおよび上下動機Cとの間での動作信号の送受信をも実行するものである。そして、これらの移動手段側にも前記通信機能部8との通信を行うコントロール部(図示せず)が付設される。
【0029】
プロセッサ部9は、必要に応じて当該眼科複合健診検査装置1における検査に係る演算処理を行う機能を有するものであり、通常、ソフトウエアによって実現される。
【0030】
検査結果表示部11は、当該眼科複合健診検査装置1による検査の状況や結果を表示するものであり、ディスプレイによって実現される。該検査結果表示部11は、例えば図2の検査側において設置されるものである。
【0031】
検査診断部12は、当該眼科複合健診検査装置1による検査の結果に対して所定の正常範囲内にあるか、異常個所がないかといった判定を行うものであり、通常、ソフトウエアで実現される。なお、検査を行う医師が自ら診断を行う場合には、検査診断部12は省略される。
【0032】
前記検査結果出力部13は、前述した通り、当該眼科複合健診検査装置1による検査の結果をプリントアウトするものであり、紙媒体の印刷機によって実現される。該検査結果表示部11は、例えば図2の検査側において設置されるものである。
【0033】
次に、前述した本実施形態に係る眼科複合健診検査装置1の使用要領について説明すると、検査台28に受診者が顔を載せた後、医師が、その左右の眼の検査切換を前記オペレーション部6の左右ボタン30を押して選択することで、切換シャッター機構部20が作動して左右の検眼が切り換えられ、そして先ず、前記オペレーション部6の選択操作ボタン34を押して視標表示板2を点灯させて摘みスイッチ38で視標表示板2に種々の視標を表示して視力検査を行う。その後、選択操作ボタン35~37で使用する検査機器3~5を選択することで、該選択に基づいて、前記駆動モータ29A・29Bおよび上下動機Cが作動して前後誘導用ガイドバー21や左右誘導用ガイドバー22が回動すると共に、これらガイドバー21・22の各両端の前後ピニオン24および左右ピニオン25が前後ラック27や左右ラック26上を回動しながら移動する。そして、このような移動手段の作動によって、前記検査機器搭載移動体23が前記選択された検査機器3~5のプラットフォーム台31まで移動した後、該プラットフォーム台31の開口部32内に、前記検査機器搭載移動体23のセットピン45が進入し、次に前記昇降台23bが上昇して前記セットピン45が検査機器3~5のセット凹部46内に嵌入することで、昇降台23b上に選択された検査機器3~5が搭載され、その後、前記検査機器搭載移動体23は予め設定された前記検査台28の正面位置まで戻って、選択された検査機器3~5による眼の健診検査が行われる。そして、該検査が終了した際には、検査機器搭載移動体23が再び移動してきた経路を戻って、プラットフォーム台31上に検査機器3~5を復帰させる。その後、選択操作ボタン35~37で使用する新たな検査機器3~5が選択された場合には、前述した検査機器搭載移動体23による新たな搭載移動が行われて、次の検査が順次実施される。また、以上述べた眼科複合健診検査は、前記検査記憶部7等におけるプログラミングに基づいて適宜自動化こともできる。
【0034】
なお、前述した検査機器搭載移動体23の移動や調整は、前記摘みスイッチ38やジョイスティック39の操作によって行われるが、前述した通り、予め検査記憶部7におけるプログラミングで自動操作される場合もある。
更に、以上述べた各検査機器2~5による検査結果は、検査を行った医師自身が判断しても良いし、前記検査診断部12における基準データに基づいて自動的に行われる場合もある。そして、その検査結果は、前記検査結果表示部11に表示され、必要に応じて前記検査記憶部7に随時カルテ記録される。また、前記検査結果表示部11で表示された検査結果は必要に応じて、前記検査結果出力部13でプリントアウトされ、受診者に提供され得る。
【0035】
以上述べた眼科複合健診検査装置1による健診検査は、図2図5に示した検査機器搭載移動体23並びに各検査機器2~5およびこれらの移動手段を備えた検査実行部と図6に示したオペレーション部6並びにモジュール化ボックスBとを病院内で近接して設けても良いし、オペレーション部6並びにモジュール化ボックスBを病院内で医師が遠隔で操作して遠く離れた集会所や介護施設内に前記検査実行部を設置して健診検査を行うようにしても良い
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の眼科複合健診検査装置は、前述した通り、非接触眼圧計や細隙灯顕微鏡、更には眼底カメラ等によって、簡単且つ総合的な眼科健診検査が遠隔でも実現され得るため、眼科医療分野において広範な地域で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0037】
1 眼科複合健診検査装置
2 視標表示板
3 非接触眼圧計
4 細隙灯顕微鏡
5 眼底カメラ
6 オペレーション部
23 検査機器搭載移動体23
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラのうちの少なくとも二以上の検査機器を備え、各検査機器による複合的な検査が行えるようにした眼科複合健診検査装置であって、更に、健診を受ける受診者が顎を載せて眼の健診を受けるための検査台と、該検査台に対して移動手段を介して前記検査機器を選択的に位置させるオペレーション部を備えており、前記検査台の正面に前記視標表示板が設けられ、該視標表示板の左右側に、他の検査機器が配置されている、眼科複合健診検査装置。
【請求項2】
移動手段が、検査機器を搭載する昇降自在な検査機器搭載移動体と、該検査機器搭載移動体を懸架する前後誘導用ガイドバーおよび左右誘導用ガイドバーと、前後誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた前後ピニオンと、左右誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた左右ピニオンと、左右ピニオンが噛合する前後方向に伸びる左右ラックと、前記前後ピニオンが噛合する左右方向に伸びる前後ラックと、前記前後誘導用ガイドバーおよび前記左右誘導用ガイドバーを回転させる駆動モータを備え、該駆動モータの作動によって、前記検査機器搭載移動体が各検査機器の位置まで移動して該検査機器を搭載して所定の検査位置まで移動するようになされている、請求項1記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項3】
検査機器搭載移動体の上部にセットピンが突設され、検査機器の底部に前記セットピンが嵌入するセット凹部が設けられ、検査機器搭載移動体が検査機器を搭載する際に、昇降手段を介して前記セットピンと前記セット凹部が嵌め合わされるようになされている、請求項2記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項4】
更に、視標表示板による視力および色覚検査、並びに非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラうちの二以上の検査機器による各検査に基づく異常の有無を診断する検査診断部と、該検査診断部による検査結果を表示する検査結果表示部と、前記検査機器による検査データや前記検査診断部による検査結果並びに前記各検査機器の動作に関するプログラミングを記憶する検査記憶部を有する、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項5】
更に、検査結果表示部に表示された検査結果をプリントアウトする出力部を有する、請求項4記載の眼科複合健診検査装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の眼科複合健診検査装置を用いた遠隔の眼科複合健診検査システムであって、前記オペレーション部や前記検査記憶部が、眼科医が所在する眼科医ステーションに設けられ、前記各検査機器およびこれらの移動手段が健診を受ける受診者ステーションに設けられ、通信機能部、マイク部およびスピーカー部を介して遠隔で前記各検査機器による健診検査が行われるようになされている、眼科複合健診検査システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の健診を複合的に行うことができる眼科複合健診検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系とを備えた測定部と、該測定部をX-Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、前記測定部の上方に配置された操作パネルと、前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備えている眼科用検査装置が知られている。
【0003】
また、被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部に向かいスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光投射光学系によって投射された投射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系と、該撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するコンピュータ部とを備えている眼科用検査装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329872号公報
【特許文献2】特開2006-87614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来の眼科用検査装置によれば、被検眼の前眼部の断面形状を定量的な測定データとして検知し、その測定データに基づいて検診レベルで眼科疾患の検査が行われるが、前記検査装置では、眼の総合的な健診を行うことができないという不都合があった。
【0006】
本発明の目的は、眼の総合的な健診を容易に行うことができる眼科複合健診検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラのうちの少なくとも二以上の検査機器を備え、各検査機器による複合的な検査が行えるようにした眼科複合健診検査装置であって、更に、健診を受ける受診者が顎を載せて眼の健診を受けるための検査台と、該検査台に対して移動手段を介して前記検査機器を選択的に位置させるオペレーション部を備えており、前記検査台の正面に前記視標表示板が設けられ、該視標表示板の左右側に、他の検査機器が配置されている眼科複合健診検査装置である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の眼科複合健診検査装置について、移動手段が、検査機器を搭載する昇降自在な検査機器搭載移動体と、該検査機器搭載移動体を懸架する前後誘導用ガイドバーおよび左右誘導用ガイドバーと、前後誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた前後ピニオンと、左右誘導用ガイドバーの両端に取り付けられた左右ピニオンと、左右ピニオンが噛合する前後方向に伸びる左右ラックと、前記前後ピニオンが噛合する左右方向に伸びる前後ラックと、前記前後誘導用ガイドバーおよび前記左右誘導用ガイドバーを回転させる駆動モータを備え、該駆動モータの作動によって、前記検査機器搭載移動体が各検査機器の位置まで移動して該検査機器を搭載して所定の検査位置まで移動するようになされていることを技術的特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載の眼科複合健診検査装置について、検査機器搭載移動体の上部にセットピンが突設され、検査機器の底部に前記セットピンが嵌入するセット凹部が設けられ、検査機器搭載移動体が検査機器を搭載する際に、昇降手段を介して前記セットピンと前記セット凹部が嵌め合わされるようになされていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の眼科複合健診検査装置について、更に、視標表示板による視力および色覚検査、並びに非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラうちの二以上の検査機器による各検査に基づく異常の有無を診断する検査診断部と、該検査診断部による検査結果を表示する検査結果表示部と、前記検査機器による検査データや前記検査診断部による検査結果並びに前記各検査機器の動作に関するプログラミングを記憶する検査記憶部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項4記載の眼科複合健診検査装置について、更に、検査結果表示部に表示された検査結果をプリントアウトする出力部を有するものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、前記請求項4又は請求項5記載の眼科複合健診検査装置を用いた遠隔の眼科複合健診検査システムであって、前記オペレーション部、並びに前記検査機器による検査データや前記検査診断部による検査結果を記憶する検査記憶部が、眼科医が所在する眼科医ステーションに設けられ、前記各検査機器およびこれらの移動手段が健診を受ける受診者ステーションに設けられ、通信機能部、マイク部およびスピーカー部を介して遠隔で前記各検査機器による健診検査が行われるようになされている眼科複合健診検査システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る眼科複合健診検査装置は、視標表示板、非接触眼圧計、細隙灯顕微鏡および眼底カメラ等による複合的な健診検査によって、簡単且つ確実に眼の健康診断が行えるという実用的利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る眼科複合健診検査装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における各検査機器と移動手段の構成を示す平面図である。
図3】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における各検査機器と移動手段の構成を示す正面図である。
図4】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置における移動手段としてのピニオンとラックの係合を示す部分拡大側面図である。
図5】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置におけるプラットフォーム台部分の平面図である。
図6】同実施形態に係る眼科複合健診検査装置におけるオペレーション部およびモジュールボックスの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1図4に示すように、本発明の眼科複合健診検査装置1は、視力を調べる視標表示板2と、眼圧を測定する非接触眼圧計3と、外眼部の疾患等を調べる細隙灯顕微鏡4と、眼底を検査する眼底カメラ5のうちの少なくとも二以上を一体に有するものである。
【0017】
本実施形態では、前述した視標表示板2、非接触眼圧計3、細隙灯顕微鏡4および眼底カメラ5を全て具備する眼科複合健診検査装置1について以下に説明する。
【0018】
眼科複合健診検査装置1は、前述した各検査機器2~5の他、これら検査機器2~5の切換および操作を行うオペレーション部6と、各検査機器2~5による検査データや検査結果、更には各検査機器2~5の動作等に関するプログラミング等を記憶しておく検査記憶部7と、前記オペレーション部6を介して各検査機器2~5の操作を行ったり、検査情報の送受信を行うための通信機能部8と、種々の演算処理を行うプロセッサ部9と、検査結果を表示する検査結果表示部11と、必要に応じて、前記検査機器2~5による検査結果に基づいて異常の有無を診断する検査診断部12と、前記検査結果をプリントアウトする検査結果出力部13と、医師と受診者がやり取りするためのマイク部14およびスピーカー部15と、前記各検査機器2~5による検査状況を映すライブカメラ16等を有する。
【0019】
次に、本実施形態に係る眼科複合健診検査装置1における各検査機器3~5の移動手段の具体的な構成について説明すると、本実施形態では、前後方向に伸びる前後誘導用ガイドバー21と、前後誘導用ガイドバー21の上側に配置され、左右方向に伸びる左右誘導用ガイドバー22と、左右誘導用ガイドバー22と前後誘導用ガイドバー21の交差部分に設けられ、これらガイドバー21・22が挿通されて、各ガイドバー21・22に沿って前後左右に移動し得る検査機器搭載移動体23と、前記前後誘導用ガイドバー21の両端に取り付けられた前後ピニオン24と、前記左右誘導用ガイドバー22の両端に取り付けられた左右ピニオン25と、各左右ピニオン25と噛合する左右ラック26と、各前後ピニオン24と噛合する前後ラック27を有する。
【0020】
そして、本実施形態では、前記前後誘導用ガイドバー21の前側に受診者が顎を載せる検査台28と検査対象となる受診者の左右の眼の切換を行う切換シャッター機構部20が設けられ、前記前後誘導用ガイドバー21の後側に前記視標表示板2が設けられ、前記前後誘導用ガイドバー21の後部左側に非接触眼圧計3が配置され、前記前後誘導用ガイドバー21の後部右側に細隙灯顕微鏡4が配置され、前記前後誘導用ガイドバー21の前部右側に眼底カメラ5が配置されている。また、前記前後誘導用ガイドバー21の前部左側には他の眼科検査装置10が配置される場合もある。更に、前記検査台28に隣接して、受診者が検査を行う医師とやり取りするための受信者応答用の前記マイク部14およびスピーカー部15、並びにジョイステック52等が設けられている。
【0021】
前記検査機器搭載移動体23は、全体が略立方体であって、昇降用のシリンダやアクチュエータ等の上下動機Cが内蔵されたベース部23aと、ベース23aの四隅に立設されたポールPに支持されて、前記上下動機Cによって、前記ベース23a上に上下動自在に設けられた昇降台23bと、前記前後誘導用ガイドバー21および左右誘導用ガイドバー22を回転させる減速機付きの駆動モータ29A・29Bと、昇降台23bの上面四隅に立設されたセットピン45等を有する。なお、前記駆動モータ29A・29Bは、本実施形態では、前後誘導用ガイドバー21の後端並びに左右誘導用ガイドバー22の左端に取り付けられ、それぞれレールRに沿って各ガイドバー21・22と共に移動するようになされている。また、前記駆動モータ29A・29B並びに前記上下動機Cは、前記通信機能部8を介して後述するオペレーション部6での医師による操作によって稼働するようになされている。また、この他、前記駆動モータ29A・29Bによる検査機器搭載移動体23の前後左右移動や前記上下動機Cによる昇降は、前記検査記憶部7に予め記憶されているプログラミングによって、自動的に行われる場合もある。
【0022】
図4に示すように、より詳細には、前記検査機器搭載移動体23は、前後・左右のピニオン24・25が前後・左右のラック26・27に噛合しつつ、該ラック26・27上を回動移動することで、前後・左右方向に移動するものである。そして、その制御は、前記駆動モータ29A・29B並びに昇降用のシリンダやアクチュエータ等の上下動機Cの制御によって、前記オペレーション部6での手動操作または前記プログラミングによって実行される。
【0023】
図2図3および図5に示すように、前述した非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4は、それぞれプラットフォーム台31上に載置され、プラットフォーム台31には前記検査機器搭載移動体23の昇降台23bに立設されたセットピン45が進入する前後一対の開口部32が形成されており、非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4の下部には前記検査機器搭載移動体23の昇降台23b上のセットピン45が挿入されるセット凹部46が設けられている。また、以上述べた非接触眼圧計3および細隙灯顕微鏡4の搭載構造は、前記眼底カメラ5についても同様である。
【0024】
図6に示すように、前記オペレーション部6は、前述した眼科複合健診検査装置1における移動手段や各検査機器等の稼働に係る機能を果たすものであり、例えば、前記切換シャッター機構部20による受診者の左右の眼の検査切換えを行う左右ボタン30や、前記各検査機器2~5の選択操作ボタン34~37や摘みスイッチ38、ジョイスティック39等の操作部と操作の実行に係るハード(回路)を備え、また、医師が受診者とやり取りするための前記マイク部14およびスピーカー部15並びに前記ライブカメラ16による検査状態が表示されるモニター40等を有する。また、該モニター40は、前記各検査機器2~5による各検査状況も表示するものである。更に、本実施形態では、後述する通り、眼科複合健診検査装置1における各機能を実行するモジュールが組み込まれたボックスBがオペレーション部6に併設されている。そして、前記ボックスBは後述する各機能を果たすモジュール化されたものである。
【0025】
前記検査記憶部7は、通常、HDD等の記録媒体と記録するソフトウエアによって実現される。また、検査記憶部7には、前記各検査機器2~5について、所定のプログラミングが記憶される場合もある。この場合、前記オペレーション部6の選択操作ボタン34~37を押すことで、所定のプログラミングに基づいて各検査機器2~5が、前述した移動手段を介して所定の検査位置にセットされて検査が実行されることとなる。この場合、前記視標表示板2による視力・色覚検査についても表示する指標の順序が受診者の回答に合わせて適宜切り換えられるようにプログラミングされる。
【0026】
通信機能部8は、主として前記オペレーション部6と各検査機器2~5その他との情報の送受信を無線または有線で行うものであり、通常、通信モジュールやモデム・ドライバ等によって実現される。また、該通信機能部8は、前述した駆動モータ29A・29Bおよび上下動機Cとの間での動作信号の送受信をも実行するものである。そして、これらの移動手段側にも前記通信機能部8との通信を行うコントロール部(図示せず)が付設される。
【0027】
プロセッサ部9は、必要に応じて当該眼科複合健診検査装置1における検査に係る演算処理を行う機能を有するものであり、通常、ソフトウエアによって実現される。
【0028】
検査結果表示部11は、当該眼科複合健診検査装置1による検査の状況や結果を表示するものであり、ディスプレイによって実現される。該検査結果表示部11は、例えば図2の検査側において設置されるものである。
【0029】
検査診断部12は、当該眼科複合健診検査装置1による検査の結果に対して所定の正常範囲内にあるか、異常個所がないかといった判定を行うものであり、通常、ソフトウエアで実現される。なお、検査を行う医師が自ら診断を行う場合には、検査診断部12は省略される。
【0030】
前記検査結果出力部13は、前述した通り、当該眼科複合健診検査装置1による検査の結果をプリントアウトするものであり、紙媒体の印刷機によって実現される。該検査結果表示部11は、例えば図2の検査側において設置されるものである。
【0031】
次に、前述した本実施形態に係る眼科複合健診検査装置1の使用要領について説明すると、検査台28に受診者が顔を載せた後、医師が、その左右の眼の検査切換を前記オペレーション部6の左右ボタン30を押して選択することで、切換シャッター機構部20が作動して左右の検眼が切り換えられ、そして先ず、前記オペレーション部6の選択操作ボタン34を押して視標表示板2を点灯させて摘みスイッチ38で視標表示板2に種々の視標を表示して視力検査を行う。その後、選択操作ボタン35~37で使用する検査機器3~5を選択することで、該選択に基づいて、前記駆動モータ29A・29Bおよび上下動機Cが作動して前後誘導用ガイドバー21や左右誘導用ガイドバー22が回動すると共に、これらガイドバー21・22の各両端の前後ピニオン24および左右ピニオン25が前後ラック27や左右ラック26上を回動しながら移動する。そして、このような移動手段の作動によって、前記検査機器搭載移動体23が前記選択された検査機器3~5のプラットフォーム台31まで移動した後、該プラットフォーム台31の開口部32内に、前記検査機器搭載移動体23のセットピン45が進入し、次に前記昇降台23bが上昇して前記セットピン45が検査機器3~5のセット凹部46内に嵌入することで、昇降台23b上に選択された検査機器3~5が搭載され、その後、前記検査機器搭載移動体23は予め設定された前記検査台28の正面位置まで戻って、選択された検査機器3~5による眼の健診検査が行われる。そして、該検査が終了した際には、検査機器搭載移動体23が再び移動してきた経路を戻って、プラットフォーム台31上に検査機器3~5を復帰させる。その後、選択操作ボタン35~37で使用する新たな検査機器3~5が選択された場合には、前述した検査機器搭載移動体23による新たな搭載移動が行われて、次の検査が順次実施される。また、以上述べた眼科複合健診検査は、前記検査記憶部7等におけるプログラミングに基づいて適宜自動化こともできる。
【0032】
なお、前述した検査機器搭載移動体23の移動や調整は、前記摘みスイッチ38やジョイスティック39の操作によって行われるが、前述した通り、予め検査記憶部7におけるプログラミングで自動操作される場合もある。
更に、以上述べた各検査機器2~5による検査結果は、検査を行った医師自身が判断しても良いし、前記検査診断部12における基準データに基づいて自動的に行われる場合もある。そして、その検査結果は、前記検査結果表示部11に表示され、必要に応じて前記検査記憶部7に随時カルテ記録される。また、前記検査結果表示部11で表示された検査結果は必要に応じて、前記検査結果出力部13でプリントアウトされ、受診者に提供され得る。
【0033】
以上述べた眼科複合健診検査装置1による健診検査は、図2図5に示した検査機器搭載移動体23並びに各検査機器2~5およびこれらの移動手段を備えた検査実行部と図6に示したオペレーション部6並びにモジュール化ボックスBとを病院内で近接して設けても良いし、オペレーション部6並びにモジュール化ボックスBを病院内で医師が遠隔で操作して遠く離れた集会所や介護施設内に前記検査実行部を設置して健診検査を行うようにしても良い
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の眼科複合健診検査装置は、前述した通り、非接触眼圧計や細隙灯顕微鏡、更には眼底カメラ等によって、簡単且つ総合的な眼科健診検査が遠隔でも実現され得るため、眼科医療分野において広範な地域で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0035】
1 眼科複合健診検査装置
2 視標表示板
3 非接触眼圧計
4 細隙灯顕微鏡
5 眼底カメラ
6 オペレーション部
23 検査機器搭載移動体23