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特開2022-152900地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152900
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 25/06 20060101AFI20221004BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221004BHJP
   G06T 17/05 20110101ALI20221004BHJP
【FI】
G09B25/06
G09B29/00 Z
G06T17/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055839
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】大田 章
【テーマコード(参考)】
2C032
5B050
【Fターム(参考)】
2C032DC02
2C032HB05
2C032HC14
2C032HC23
5B050BA09
5B050BA17
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA13
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA28
5B050FA02
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】立体地図を作成するための地表面の立体折図を簡易に作成できる地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法を提供する。
【解決手段】地表面画像分割部10が地表面画像を分割し、複数の分割地表面画像を生成し、高さ情報取得部12が、上記分割地表面画像の各辺上に高さ基準点を設定し、側面図画像生成部14は、分割地表面画像の各辺と同一の長さの底辺上の高さ基準点に対応する位置毎に高さ基準点の標高を有する高さ基準点頂点を設定して上記各底辺の起終点と上記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を生成する。上面図画像生成部16は、分割地表面画像の各辺の長さを、高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するよう延長し、延長した上記各辺の長さに応じて分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する。立体折図データ生成部18は、側面図画像と上面図画像とを印刷可能な立体折図データとして生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面を表す二次元画像である地表面画像を任意形状に分割し、複数の分割地表面画像を生成する地表面画像分割手段と、
前記分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し、前記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さを取得する高さ情報取得手段と、
前記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を前記辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の前記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の前記地表面の高さに応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定し、前記各底辺の起終点と前記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を前記分割地表面画像の各辺に対して生成する側面図画像生成手段と、
前記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する前記側面図の前記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するように延長し、延長した前記各辺の長さに応じて前記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する上面図画像生成手段と、
前記側面図画像と前記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する立体折図データ生成手段と、
を備える地表面の立体折図作成装置。
【請求項2】
前記地表面画像分割手段は、前記地表面画像を、任意の三角形に分割して複数の前記分割地表面画像を生成する、請求項1に記載の地表面の立体折図作成装置。
【請求項3】
前記立体折図データを印刷出力した印刷物により、前記側面図に対応する側面と、前記上面図に対応する上面とにより三角柱が形成され、当該三角柱の一つまたは複数の組み合わせにより、地表面の立体地図が形成される、請求項2に記載の地表面の立体折図作成装置。
【請求項4】
地表面を表す二次元画像である地表面画像を任意形状に分割し、複数の分割地表面画像を生成する地表面画像分割工程と、
前記分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し、前記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さを取得する高さ情報取得工程と、
前記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を前記辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の前記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の前記地表面の高さに応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定し、前記各底辺の起終点と前記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を前記分割地表面画像の各辺に対して生成する側面図画像生成工程と、
前記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する前記側面図の前記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するように延長し、延長した前記各辺の長さに応じて前記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する上面図画像生成工程と、
前記側面図画像と前記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する立体折図データ生成工程と、
を備える地表面の立体折図作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の向上により、2次元あるいは3次元の地図や標高データ等の地理空間情報をモニター上で見たり操作したりすることが一般的になり、業務目的だけでなく、ゲームなどの趣味目的で一般使用者が利用する機会も増えている。
【0003】
しかし、デジタル製品はPCや周辺機器、ソフトウェアを必要とし、環境整備も含めて製品の作成に費用が掛かること、デジタル技術に関する一定の知識を必要とすること、大きさや質感等を直接触れて体感し難いという問題がある。
【0004】
一方、地形の凹凸を直感的に理解するために、「ジオラマ地図」、「触地図」、「立体地図」、「積層模型」等と呼ばれる、地形を3次元的(立体的)に表現した模型(以後、立体地図と総称する)も使用されている。例えば、下記特許文献1には、シート体に描かれた等高線に沿って切断して得られる複数の等高線片を積層して形成される立体模型が開示されている。また、下記特許文献2には、所定の地形が立体成形された立体部と複数の凹部が設けられた平面部とを備える軟質合成樹脂製の立体地図が開示されている。
【0005】
しかし、これらの立体地図は、その作製のために3Dプリンタ等の専用機材の購入や、専門的な業者への発注が必要であること、広い範囲を対象に作製し、あるいは量産するためには多額の費用が掛かるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-313584号広報
【特許文献2】特開2020-27141号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、立体地図を作成するための地表面の立体折図を簡易に作成できる地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の実施形態を含む。
【0009】
[1]地表面を表す二次元画像である地表面画像を任意形状に分割し、複数の分割地表面画像を生成する地表面画像分割手段と、
前記分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し、前記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さを取得する高さ情報取得手段と、
前記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を前記辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の前記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の前記地表面の高さに応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定し、前記各底辺の起終点と前記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を前記分割地表面画像の各辺に対して生成する側面図画像生成手段と、
前記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する前記側面図の前記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するように延長し、延長した前記各辺の長さに応じて前記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する上面図画像生成手段と、
前記側面図画像と前記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する立体折図データ生成手段と、
を備える地表面の立体折図作成装置。
【0010】
[2]前記地表面画像分割手段は、前記地表面画像を、任意の三角形に分割して複数の前記分割地表面画像を生成する、[1]に記載の地表面の立体折図作成装置。
【0011】
[3]前記立体折図データを印刷出力した印刷物により、前記側面図に対応する側面と、前記上面図に対応する上面とにより三角柱が形成され、当該三角柱の一つまたは複数の組み合わせにより、地表面の立体地図が形成される、[2]に記載の地表面の立体折図作成装置。
【0012】
[4]地表面を表す二次元画像である地表面画像を任意形状に分割し、複数の分割地表面画像を生成する地表面画像分割工程と、
前記分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し、前記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さを取得する高さ情報取得工程と、
前記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の前記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の前記地表面の高さに応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定し、前記各底辺の起終点と前記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を前記分割地表面画像の各辺に対して生成する側面図画像生成工程と、
前記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する前記側面図の前記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するように延長し、延長した前記各辺の長さに応じて前記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する上面図画像生成工程と、
前記側面図画像と前記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する立体折図データ生成工程と、
を備える地表面の立体折図作成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、立体地図を作成するための地表面の立体折図を簡易に作製できる地表面の立体折図作成装置及び地表面の立体折図作成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態にかかる上面図及び側面図並びにこれらを貼り合わせた三角柱の例を示す図である。
図2】実施形態にかかる三角柱の組み合わせにより形成された地表面の立体地図の例を示す図である。
図3】実施形態にかかる地表面の立体折図作成装置の例の機能ブロック図である。
図4】実施形態にかかる地表面画像分割部による分割地表面画像の生成処理の説明図である。
図5】実施形態にかかる高さ情報取得部による高さ基準点の設定処理の説明図である。
図6】実施形態にかかる側面図画像生成部による側面図画像の生成処理の説明図である。
図7】実施形態にかかる上面図画像生成部の処理の説明図である。
図8】実施形態にかかる上面図画像生成部による分割地表面画像を拡大する処理の説明図である。
図9】実施形態にかかる上面図画像生成部が補助線を使用して拡大前の分割地表面画像を変形する処理の説明図である。
図10】実施形態にかかる立体折図データ生成部が生成した立体折図データの印刷結果の例を示す図である。
図11】実施形態にかかる立体折図作成装置の動作例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0016】
実施形態にかかる地表面の立体折図作成装置100は、立体地図を作成するための地表面の上面図及び側面図を含む立体折図をプリンタ等により印刷し、印刷出力した印刷物を使用者が自ら切り抜いて貼り合わせることにより、立体地図を簡易に作成することを可能とする装置である。上記印刷物を切り抜いて貼り合わせ、上記側面図に対応する側面と、上記上面図に対応する上面とにより三角柱等を形成し、当該三角柱等の一つまたは複数の組み合わせにより、地表面の立体地図を形成する。なお、上記上面図は、地表面の標高を表す等高線等が記載され、適宜な着色がなされた地表面画像を適宜分割した図(画像)であり、上記側面図は、上面図の各辺の標高を表す多角形である。
【0017】
図1(a)、(b)、(c)には、上面図及び側面図並びにこれらを貼り合わせた三角柱の例が示される。図1(a)が上面図の例を、図1(b)が側面図の例を、図1(c)が三角柱の例をそれぞれ表している。
【0018】
図1(a)の上面図は、立体地図を作成する対象領域の地表面を表す二次元画像である地表面画像を、後述する地表面画像分割部10が三角形状に分割して得た分割地表面画像に、後述する上面図画像生成部16の処理を実行した結果の画像(上面図画像)である。なお、後述するように、分割地表面画像及びこれから生成した上面図画像は、三角形に限られるものではなく、任意に設定することができる。
【0019】
図1(b)には、上記上面図画像と上面図画像の各辺に対応した側面図とが示されている。各辺と側面図との対応関係は、破線により示されている。上記側面図は、上記分割地表面画像に後述する側面図画像生成部14の処理を実行した結果得られる画像(側面図画像)である。
【0020】
図1(c)の三角柱は、上記上面図画像及び側面図画像を紙に印刷し、これを切り抜いて貼り合わせることにより作製したものである。
【0021】
図2(a)、(b)には、上記三角柱の組み合わせにより形成された地表面の立体地図の例が示される。図2(a)には、ほぼ正方形の領域の地表面画像を4個の三角形領域に分割した分割地表面画像から生成された上面図画像及び4個の分割地表面画像の各辺に対応した側面図画像を印刷出力して作製された4個の三角柱が示されている。これらの三角柱を、上記分割地表面画像の互いに一致する辺(後述する同一の分割線により分割されて生成された辺)に対応する側面同士で密着させて形成した地表面の立体地図が図2(b)に示されている。
【0022】
図3には、実施形態にかかる地表面の立体折図作成装置100の例の機能ブロック図が示される。図3において、地表面の立体折図作成装置100は、地表面画像分割部10、高さ情報取得部12、側面図画像生成部14、上面図画像生成部16、立体折図データ生成部18、表示制御部20、通信部22、記憶部24及びCPU26を含んで構成されている。なお、CPU26以外にGPU等のアクセラレーターを用いてもよい。上記地表面の立体折図作成装置100は、CPU26、ROM、RAM、不揮発性メモリ、I/O、通信インターフェース等を備え、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されており、上記各機能は、例えばCPU26とCPU26の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
【0023】
地表面画像分割部10は、立体地図を作成する対象領域の地表面を表す二次元画像である地表面画像を取得し、取得した地表面画像を、上記地表面画像上に分割線を生成することにより任意形状に分割し、複数の分割地表面画像を生成する。この場合、分割地表面画像の形状、すなわち地表面画像を分割する際の形状は任意であって、特に限定されないが、立体地図を容易に作成できることから、直線の辺で囲まれた形状が好適であり、三角形がさらに好適である。なお、上記地表面画像及びこれを分割した分割地表面画像は、画像内の各点の座標情報を有している。地表面画像分割部10は、地表面画像を分割する際に、地表面画像上に分割線を生成するが、この場合、地表面画像上に頂点を発生させ、各頂点を結ぶ線として上記分割線を生成する。頂点の位置は、地表面画像の中心の他、任意の点で良いが、対象領域内の標高の最高地点または最低地点を含めると、立体地図の作成が容易になり好適である。このため、地表面画像分割部10は、対象領域の標高データを取得する構成とする。この場合、対象領域を等間隔のグリッド形状に分割して、各グリッドの標高データ(数値標高モデル:DEM)として取得するのが好適である。また、使用者が地形図の等高線や標高点を判読し、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル等の適宜な入力手段により入力することにより対象領域の標高を取得する構成としてもよい。なお、対象領域の地形に応じて、上記適宜な入力手段により使用者が分割線を追加、削除できる構成としてもよい。地表面画像分割部10の処理の詳細は後述する。
【0024】
上記地表面画像は、上記対象領域の地形図が典型的に挙げられるが、その他の画像として住宅地図、道路地図、航空写真、衛星写真、地形上に着色等のある各種主題図等とすることもできる。また、上記地表面画像のデータ及び標高データは、通信部22を介して外部のサーバ等から取得することができる。また、USBメモリその他の記憶手段から読み出して、あるいは上記適宜な入力手段により使用者が入力して取得する構成としてもよい。
【0025】
上記地表面画像のデータ、標高データ、分割線のデータ、分割地表面画像のデータ(辺のデータを含む)は、地表面画像分割部10が記憶部24に記憶させる、
【0026】
高さ情報取得部12は、地表面画像分割部10が生成した分割線により地表面画像が分割された上記分割地表面画像及び標高データを記憶部24から読み出し、分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し、上記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さ(標高)を取得する。上記高さ基準点は、分割地表面画像の各辺上に予め定めた一定の間隔毎に設定してもよいし、任意の間隔に設定してもよい。これらの場合、上記適宜な入力手段により使用者が高さ基準点を設定する構成とするのが好適である。また、任意の間隔に高さ基準点を設定する場合には、分割地表面画像が表す地形等に応じて、高さ基準点の間隔を変化させてもよい。上記高さ基準点の高さの情報(標高)は、例えば高さ基準点と上記標高データ(DEMデータ)とを、それぞれが有する座標情報に基づいて重ね合わせることにより標高データから取得することができる。また、使用者が地形図の等高線や標高点を判読し、上記適宜な入力手段により入力することにより高さ基準点の標高を取得する構成としてもよい。高さ情報取得部12の処理の詳細は後述する。
【0027】
以上のようにして設定した高さ基準点の座標情報(位置データ)及び高さの情報(高さデータ)は、高さ情報取得部12が記憶部24に記憶させる。
【0028】
側面図画像生成部14は、図1(b)等に示された側面図画像を以下の処理により生成する。ここで、側面図画像は、図1(b)に示されように、底辺と、分割地表面画像の各辺の所定の点の標高を表す点(後述する高さ基準点頂点)を結んだ折れ線と、底辺の両端と上記折れ線の両端とを結んだ線と、により囲まれた多角形となっている。側面図画像生成部14は、記憶部24から分割地表面画像のデータ、高さ基準点の位置データ及び高さデータを読み出し、上記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の上記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の上記地表面の高さ(標高)に応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定する。上記各辺と同一の長さを持つ底辺を辺毎に設定する処理は、例えば分割地表面画像と同一形状で同一の長さの周長を持つ底面画像を生成し、この底面画像の対応する辺を上記底辺とすることにより実行することができる。また、上述した各底辺上の上記高さ基準点に対応する位置は、各辺の端部から各高さ基準点までの距離を求め、当該各辺に対応する各底辺の端部から同距離の位置として決定する。次に、上記各底辺の起終点と上記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を上記分割地表面画像の各辺に対して生成する。生成した側面図画像のデータは、側面図画像生成部14が記憶部24に記憶させる。側面図画像生成部14の処理の詳細は後述する。
【0029】
上面図画像生成部16は、記憶部24から分割地表面画像のデータ及び側面図画像のデータを読み出し、上記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する上記側面図画像の上記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するように延長し、延長した上記各辺の長さに応じて上記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する。分割地表面画像を拡大した上面図画像のデータは、上面図画像生成部16が記憶部24に記憶させる。上面図画像生成部16の処理の詳細は後述する。
【0030】
立体折図データ生成部18は、記憶部24から上記側面図画像のデータと上面図画像のデータとを読み出し、上記側面図画像と上記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する。生成した立体折図データは、立体折図データ生成部18が記憶部24に記憶させる。
【0031】
表示制御部20は、上記地表面画像のデータ、分割線のデータ、分割地表面画像のデータ、側面図画像のデータ、上面図画像のデータ及び立体折図データ等を記憶部24から読み出し、液晶表示装置その他の適宜な表示装置を制御して表示する。
【0032】
通信部22は、適宜なインターフェースにより構成され、外部のサーバ等から地表面画像のデータ等を取得し、地表面画像分割部10に渡す等の処理を実行する。
【0033】
記憶部24は、ハードディスク装置、ソリッドステートドライブ(SSD)等の不揮発性メモリで構成され、上記各種情報等、及びCPU26の動作プログラム等の、地表面の立体折図作成装置100が行う各処理に必要な情報を記憶する。なお、記憶部24としては、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書き換え可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。また、記憶部24には、主としてCPU26の作業領域として機能するランダムアクセスメモリ(RAM)、及びBIOS等の制御プログラムその他のCPU26が使用するデータが格納される読み出し専用メモリ(ROM)を含めるのが好適である。
【0034】
図4(a)、(b)には、地表面画像分割部10による分割地表面画像の生成処理の説明図が示される。図4(a)が、対象領域の地表面画像の例である。地表面画像は、前述したように、地表面画像分割部10が取得した、対象領域の地表面を表す二次元画像である。
【0035】
図4(b)に示されるように、地表面画像分割部10は、上記地表面画像上に分割線Dを生成することにより地表面画像を任意形状に分割する。図4(b)の例では、正方形の外周線とその対角線及び辺の中点を結ぶ線を、分割線Dとして生成している。この結果、地表面画像が8個の三角形に分割されており、各三角形領域が、図4(b)における分割地表面画像となっている。
【0036】
図5には、高さ情報取得部12による高さ基準点の設定処理の説明図が示される。図5において、高さ情報取得部12は、地表面画像分割部10が地表面画像上に生成した分割線Dの上に高さ基準点Hpを配置する。前述したように、高さ基準点Hpは、予め定めた一定の間隔毎に設定してもよいし、任意の間隔に設定してもよいが、分割線Dが生成された地表面画像を適宜な表示装置に表示させ、これを見ながら上記適宜な入力手段により使用者が高さ基準点Hpを設定する構成とするのが好適である。この場合、分割地表面画像が表す地形等に応じて、高さ基準点Hpの間隔を変化させてもよい。
【0037】
次に、高さ情報取得部12は、高さ基準点Hpと上記標高データ(DEMデータ)とを、それぞれが有する座標情報に基づいて重ね合わせることにより、標高データから高さ基準点Hpの高さの情報を取得する。
【0038】
なお、分割地表面画像の各辺における標高の最高地点と最低地点とを高さ基準点として設定するのが好適である。これにより、作製した立体地図により、地形をより確からしく表現することができるからである。この場合、高さ情報取得部12が記憶部24から読み出した上記標高データ(DEMデータ)が有する座標情報に基づき、分割地表面画像の辺の各点の座標情報から、標高の最高地点と最低地点とを抽出する。また、高さ情報取得部12は、標高の最高地点と最低地点との中間における傾斜が大きく変化する場所に高さ基準点を追加しても良い。ここで、傾斜が大きく変化するか否かは、隣接する2点の高さ基準点を結ぶ線分の高さを表す1次式に基づき、分割地表面画像の辺上の点の標高と上記1次式に基づく高さとの差の絶対値が、所定の閾値を超える場合に傾斜が大きく変化すると判断する。上記閾値は、縮尺、要求する精度により適宜定める。この高さ基準点を追加する処理は、上記適宜な入力手段により使用者が入力した指示に基づいて実行する構成としてもよい。なお、平坦な場所ないしは一定の傾斜地で、途中の傾斜の変化が無い、あるいは上記同様に判断して変化が小さい分割線D上には、中間に高さ基準点を設定しなくても良い。
【0039】
図6(a)、(b)、(c)には、側面図画像生成部14による側面図画像の生成処理の説明図が示される。図6(a)は、図4(b)、図5に示される例において、分割地表面画像として生成された8個三角形の領域を、隣接する2個ずつ結合させて4個の三角形の領域(領域1~領域4)としたことを表している。これら4個の領域1~領域4も、分割地表面画像である。なお、この結合処理は、例えば上記適宜な入力手段により使用者が入力した指示に基づいて地表面画像分割部10または側面図画像生成部14が実行する構成とすることができる。
【0040】
図6(b)、(c)は、図6(a)における領域3についての側面図画像の生成処理の説明図である。図6(b)には、領域3を示す三角形が示されており、その3本の辺がA、B、Cで示されている。これら辺A、B、C上には、高さ情報取得部12が設定した高さ基準点Hpが示されている。なお、後の説明のために、辺Aに設定された高さ基準点に、順番にHp1~Hp6の番号が付されている。
【0041】
側面図画像生成部14は、図6(c)に示されるように、分割地表面画像である領域3の3本の辺A、B、Cと同一の長さを持つ底辺Lbを設定する。この底辺Lbは、3本の辺A、B、Cの各点と一対一に対応しており、辺A、B、C上に設定された20個の高さ基準点Hpに対応した点を有している。図6(c)では、辺A、B、Cに対応する底辺Lbの範囲に、それぞれA、B、Cと記載されている。
【0042】
次に、側面図画像生成部14は、底辺Lb上の上記高さ基準点に対応する位置毎に当該高さ基準点Hpの上記地表面の高さ(標高)に応じた高さを有する高さ基準点頂点Htを設定する。高さ基準点頂点Htは、底辺Lb上の高さ基準点Hpから立てた垂線上に設定される。側面図画像生成部14は、設定した高さ基準点頂点Htを順番に結び、連続した台形形状となる側面図画像Svを作成する。図6(c)では、辺A、B、C上に設定された20個の高さ基準点Hpに対応した20個の台形Tr1~Tr20が作成されている。これら複数の台形Tr1~Tr20で構成された側面図画像Svと分割地表面画像である三角形領域(領域3)の辺A、B、Cとの対応関係は、上述したように、底辺Lbのそれぞれ対応する範囲にA、B、Cと記載して示している。
【0043】
なお、上記例では、各高さ基準点Hpの高さとして地表面の標高を使用したが、重み付けを行い、高さを強調表示してもよい。例えば、実際の標高のn倍(×n、nは実数)等としてもよい。また、各高さ基準点Hpの高さの基準は、必ずしも底辺Lbの標高を0mとして設定する必要は無く、適宜基準標高を定めて、その差分のみの側面図画像としてもよい。また、側面図画像用の情報(地質図、地下資源、地下構造物等)があれば側面図画像に張り付けてもよい。
【0044】
図7には、上面図画像生成部16の処理の説明図が示される。図7に示された例は、図6(b)に示された辺Aに対応している。図6(b)において、辺A上に設定された高さ基準点は、辺Aの右上から左下に順次Hp1~Hp6と番号を振って示され、図7において、底辺Lb上で上記高さ基準点Hp1~Hp6に対応する点は、順次Hp1~Hp6と番号を振って示されている。また、高さ基準点Hp1~Hp6の高さを有する高さ基準点頂点も、Ht1~Ht6と番号を振って示されており、高さ基準点Hp1~Hp6の底辺Lbからの高さ(対応する高さ基準点Hp1~Hp6と高さ基準点頂点Ht1~Ht6との長さ)をH1~H6で表している。
【0045】
ここで、底辺Lb上において、隣接する高さ基準点Hp間の距離(辺Aにおいて、隣接する高さ基準点Hp間の距離と同じ)を順次BL1~BL5とし、隣接する高さ基準点頂点Ht1~Ht6間の距離を順次L1~L5とする。なお、L1~L5は、高さ基準点頂点Ht1~Ht6間を結ぶ斜面の長さである。
【0046】
上記隣接する高さ基準点頂点Ht1~Ht6間の距離L1~L5は、以下のように算出される。
=√((Hn+1-H +BL
【0047】
次に、上面図画像生成部16は、上記高さ基準点頂点Ht1~Ht6間の距離L1~L5の総和(ΣL)を求め、辺Aの長さを上記総和の距離(ΣL)に一致するように延長する。この処理を他の辺B、Cにも実行し、延長後の各辺A、B、Cの端点(延長前に結合していた端点)同士を結合させ、延長した上記辺A、B、Cの長さに応じて上記分割地表面画像としての領域3を表す三角形を拡大し、拡大領域とする。他の領域1、2、4についても同様の処理を実行し、それぞれの拡大領域を求める。
【0048】
図8(a)、(b)には、上面図画像生成部16による分割地表面画像を拡大する処理の説明図が示される。図8(a)には、拡大前の分割地表面画像ID1と拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpが示される。拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpは、図7の処理で求めた拡大領域の輪郭である。
【0049】
次に、上面図画像生成部16は、図8(b)に示されるように、拡大前の分割地表面画像ID1に対してアフィン変換を実行し、画像の大きさ、すなわち画像の輪郭の形状が、上記拡大領域(拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lp)に一致するように変形し、拡大後の分割地表面画像、すなわち上面図画像ID2とする。
【0050】
図9(a)、(b)には、上面図画像生成部16が補助線を使用して拡大前の分割地表面画像を変形する処理の説明図が示される。図9(a)には、図8(a)と同様に、拡大前の分割地表面画像ID1と拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpが示される。拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpは、上記図8(a)、(b)において説明した通り、上面図画像生成部16による分割地表面画像を拡大する処理により求めたものである。
【0051】
ここで、拡大前の分割地表面画像ID1において、高低差等の地形の変化が激しい場合は、いずれかの頂点(図9(a)では、Vで示す)から、対向する辺の高さ基準点(最高地点ないしは最低地点が好適である)に向かって高さ補助線Laを引く。高さ補助線Laを引く処理は、上記適宜な入力手段により使用者が頂点V及び対向する辺の高さ基準点を指定して入力した補助線作成指示情報に基づいて、地表面画像分割部10が実行する。なお、高さ補助線Laは、地形に合わせて複数本設定してもよい。
【0052】
次に、高さ情報取得部12が、上記高さ補助線Laに対して高さ基準点Hpを配置し、高さ基準点Hpの高さの情報を取得する。側面図画像生成部14は、高さ基準点Hpの標高に応じた高さ基準点頂点Htを設定し、上面図画像生成部16が上記高さ基準点頂点Ht間の距離を求めて高さ補助線Laを延長する。
【0053】
上記高さ補助線Laを延長した結果、図9(b)に示されるように、高さ補助線Laが結合した高さ基準点の位置で、拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpが折れ線となる。上面図画像生成部16は、図9(b)に示された、折れ線を含む拡大後の分割地表面画像の輪郭線Lpに基づき、拡大前の分割地表面画像ID1に対してアフィン変換を実行し、画像の大きさ、すなわち画像の輪郭の形状が、上記拡大領域に一致するように変形し、上面図画像ID2とする。
【0054】
図10(a)、(b)には、立体折図データ生成部18が生成した立体折図データの印刷結果の例を示す図が示される。図10(a)には、立体折図データを構成する上面図画像ID2及び側面図画像Svの印刷結果が含まれる。
【0055】
図10(b)に示されるように、立体折図データ生成部18は、上面図画像ID2及び側面図画像Svの周囲に適宜なのりしろOvの領域を設け、上面図画像ID2及び側面図画像Svに連結した状態で印刷出力する。これにより、印刷出力した上面図と側面図とを切り抜いた後、のりしろOvにより貼り合わせることにより、図2(b)に示されるような立体折図(立体地図)を簡易に作製できる。
【0056】
図11には、実施形態にかかる立体折図作成装置100の動作例のフロー図が示される。図11において、地表面画像分割部10が、地表面画像データ及び標高データを取得し(S1)、地表面画像上に分割線を生成して分割し、複数の分割地表面画像を生成する(S2)。
【0057】
高さ情報取得部12は、上記分割地表面画像の各辺上の、当該辺の起終点を含む複数箇所に高さ基準点を設定し(S3)、上記高さ基準点のそれぞれの地表面の高さ(標高)を取得する(S4)。
【0058】
側面図画像生成部14は、上記分割地表面画像の各辺と同一の長さを持つ底辺を辺毎に設定するとともに、当該各底辺上の上記高さ基準点に対応する位置毎に、当該高さ基準点の上記地表面の高さ(標高)に応じた高さを有する高さ基準点頂点を設定する(S5)。次に、側面図画像生成部14は、上記各底辺の起終点と上記高さ基準点頂点とを頂点とする多角形の側面図画像を上記分割地表面画像の各辺に対して生成する(S6)。
【0059】
上面図画像生成部16は、上記分割地表面画像の各辺の長さを、当該辺に対応する上記側面図の上記高さ基準点頂点を結んだ線分の長さの総和と一致するよう延長し(S7)、延長した上記各辺の長さに応じて上記分割地表面画像を拡大して上面図画像を生成する(S8)。
【0060】
立体折図データ生成部18は、上記側面図画像と上記上面図画像とを、印刷可能な出力データである立体折図データとして生成する(S9)。
【0061】
上記立体折図データを印刷出力すれば、立体地図を作成するための上面図と側面図とが印刷された印刷物が得られる。なお、分割地表面画像が三角形である場合、上記側面図に対応する側面と、上記上面図に対応する上面とにより三角柱が形成され、当該三角柱の一つまたは複数の組み合わせにより、地表面の立体地図が形成される。また、上面図画像が三角形以外の多角形である場合には、当該多角形の底面を有する角柱の一つまたは複数の組み合わせにより、地表面の立体地図が形成される。この場合、当該多角形の底面を有する角柱と三角柱とを含んだ組み合わせでもよい。
【0062】
上述した、図11の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 地表面画像分割部、12 高さ情報取得部、14 側面図画像生成部、16 上面図画像生成部、18 立体折図データ生成部、20 表示制御部、22 通信部、24 記憶部、26 CPU、100 立体折図作成装置。
図1
図2
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図11