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特開2022-152905差異重量算出装置、差異重量算出方法および差異重量算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152905
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】差異重量算出装置、差異重量算出方法および差異重量算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20221004BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055847
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】概算の在庫重量を求めつつも、一方で、正確な在庫重量も求め、両重量の差異を算出することができる差異重量算出装置、差異重量算出方法及び差異重量算出プログラムを提供する。
【解決手段】差異重量算出装置100は、明細データ中の員数に単位重量を乗じて商品についての受払重量を算出する明細毎重量算出部102aと、明細データ毎の受払重量について端数処理を行うことにより、整数の重量を算出する明細毎整数重量算出部102bと、整数の重量を集計して、商品毎の概算の在庫重量を算出する概算在庫重量算出部102cと、明細データ中の員数を商品毎に集計し、商品毎の員数に単位重量を乗じた値を算出し、端数処理を行うことにより、商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出部102dと、商品毎の概算の在庫重量と商品毎の正確な在庫重量との差異の重量を商品毎に算出する差異重量算出部102eと、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える差異重量算出装置であって、
前記記憶部には、
商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、
前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出手段と、
前記明細毎重量算出手段で算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出手段と、
前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出手段と、
前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出手段と、
前記概算在庫重量算出手段で生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出手段と、
を備えること、
を特徴とする差異重量算出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記差異重量算出手段で算出した前記商品毎の差異の重量を有する明細データを前記受払データに追加することにより、前記受払データを更新する受払データ更新手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の差異重量算出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量を、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量で上書きすることにより、前記在庫データを更新する在庫データ更新手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1または2に記載の差異重量算出装置。
【請求項4】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される差異重量算出方法であって、
前記記憶部には、
商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、
前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出ステップと、
前記明細毎重量算出ステップで算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出ステップと、
前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出ステップと、
前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出ステップと、
前記概算在庫重量算出ステップで生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出ステップで算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする差異重量算出方法。
【請求項5】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための差異重量算出プログラムであって、
前記記憶部には、
商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、
前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出ステップと、
前記明細毎重量算出ステップで算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出ステップと、
前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出ステップと、
前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出ステップと、
前記概算在庫重量算出ステップで生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出ステップで算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする差異重量算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差異重量算出装置、差異重量算出方法および差異重量算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受注量の決定段階から、各通過工程において製造可能な製造重量範囲などの製造制約条件を考慮することで、製造工程において余材を発生させることなく、製造工程における生産性を高め、かつ、製造コストの低減を実現できる受注量決定システムが開示されている(特許文献1の0005段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-272431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば鉄鋼業界等においては、在庫の管理単位としては荷姿を表す員数を用い、在庫金額を計算する単位としては重量を用いる。つまり、2つの単位を用いる。ここで、現在の在庫重量を管理するために、日々の取引の員数に単位重量を掛けて算出した重量を端数処理し、当該端数処理した日々の重量を集計することで概算の在庫重量を求めることがある。例えば、ある月の4日に鋼管10本を仕入れて、同月5日に鋼管4本を売り上げて、同月6日に鋼管4本を売り上げて、同月7日に鋼管2本を売り上げたという受払データがあるとして、単位重量が1.1kg/本であるとすると、月末時点での前記概算の在庫重量は、(10本×1.1kg/本=11kg)+(-4本×1.1kg/本=-4.4kgを小数点以下第1位で四捨五入した-4本)+(-4本×1.1kg/本=-4.4kgを小数点以下第1位で四捨五入した-4本)+(-2本×1.1kg/本=-2.2kgを小数点以下第1位で四捨五入した-2本)=1kgとなる。
【0005】
しかしながら、当該1kgは飽くまで概算の在庫重量であり、実際の正確な在庫重量とは異なる。当該正確な在庫重量は、月末の員数に単位重量を掛けて求めた値について端数処理を行うことにより求めることができる。前段落の例でいえば、月末の員数は、(10本)+(-4本)+(-4本)+(-2本)=0本となるため、月末時点での前記正確な在庫重量は、0本×1.1kg/本=0kgとなる(当該算出した0kgは既に整数であるため端数処理は行わない)。
【0006】
ここで、日々の取引で発生した重量を集計すれば、前記概算の在庫重量を簡易に把握できるものの、一方で、在庫金額の算定根拠となる在庫重量は正確である必要があるため、前記正確な在庫重量は月末に手動で算出し直す必要がある。これにより、在庫金額をとらえる月末時点において、前記概算の在庫重量と前記正確な在庫重量の差異の重量を求めて、当該差異の重量分を払出明細等として前記受払データに反映していた。
【0007】
しかしながら、前記差異の重量の算出に至るまでのこれら一連の処理(特に、前記正確な在庫重量の算出)を従来は手動で行っていたため、業務負荷や計算ミス等の問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、概算の在庫重量を求めつつも、一方で、正確な在庫重量も求め、両重量の差異を算出することができる差異重量算出装置、差異重量算出方法および差異重量算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る差異重量算出装置は、制御部および記憶部を備える差異重量算出装置であって、前記記憶部には、商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、が格納されており、前記制御部が、前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出手段と、前記明細毎重量算出手段で算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出手段と、前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出手段と、前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出手段と、前記概算在庫重量算出手段で生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る差異重量算出装置は、前記制御部が、前記差異重量算出手段で算出した前記商品毎の差異の重量を有する明細データを前記受払データに追加することにより、前記受払データを更新する受払データ更新手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る差異重量算出装置は、前記制御部が、前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量を、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量で上書きすることにより、前記在庫データを更新する在庫データ更新手段を更に備えること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る差異重量算出方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される差異重量算出方法であって、前記記憶部には、商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出ステップと、前記明細毎重量算出ステップで算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出ステップと、前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出ステップと、前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出ステップと、前記概算在庫重量算出ステップで生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出ステップで算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る差異重量算出プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための差異重量算出プログラムであって、前記記憶部には、商品の受払日と、前記商品を識別するための商品識別データと、前記商品についての受払した員数と、を有する明細データを含む受払データと、前記商品識別データと、前記商品毎の単位重量と、を含む商品マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出ステップと、前記明細毎重量算出ステップで算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出ステップと、前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出ステップと、前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出ステップと、前記概算在庫重量算出ステップで生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出ステップで算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、概算の在庫重量を求めつつも、一方で、正確な在庫重量も求め、両重量の差異を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、差異重量算出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、処理フローの一例を示す図である。
図3図3は、商品、員数の単位および重量の単位の組合せの一例を示す図である。
図4図4は、受払データ、商品マスタおよび在庫データの一例を示す図である。
図5図5は、概算の在庫重量と正確な在庫重量の差異の重量の算出についての一例を示す図である。
図6図6は、更新された受払データおよび更新された在庫データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る差異重量算出装置、差異重量算出方法および差異重量算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
鉄鋼業界においては、在庫の管理単位としては荷姿を表す員数を用い、在庫金額を計算する単位としては重量を用いる。つまり、2つの単位を用いる。重量については、員数に対してマスタ管理された単位重量を掛けることで計算することが多いが、取引を重ねていくと、端数処理(JIS丸め等)の関係で「員数×単位重量」が重量とならないことがある。つまり、日々計算した重量を端数処理した値を集計した概算の月末在庫重量は、正確な月末在庫重量とは異なることがある。
【0018】
このため、在庫金額の算定根拠となる重量を正確にするために、手動により、月末の員数に単位重量を掛けて求めた値について端数処理を行うことにより、前記正確な月末在庫重量を求めることが必要であった。その上で、前記概算の月末在庫重量を、前記正確な月末在庫重量により在庫調整していたが、このような一連の処理は業務負荷が大きく計算ミス等のリスクもあった。
【0019】
そこで、本実施形態においては、例えば、在庫金額をとらえる月末時点において、自動計算に基づいて前記在庫調整をできるようにした。言い換えると、月末時点において月末残員数×単位重量によって前記正確な在庫重量を自動計算し、前記概算の在庫重量との差を棚卸調整としてデータ登録できるようにした。具体的には、本実施形態においては、例えば、日々の取引の重量を集計した残重量(概算の残重量)と、月末残員数を基に算出した理論重量(正確な残重量)と、の差異を算出し、当該算出した差異を反映した払出明細を作成することで、前記概算の月末在庫重量を前記正確な月末在庫重量により在庫調整できるようにした。
【0020】
これにより、例えば、業務負荷および計算ミスのリスクを低減することができる。なお、前記在庫調整は、鉄鋼業界のみならず、木材および食肉等の不定貫の商品を扱う業界においても同様に求められる業務である。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る差異重量算出装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、差異重量算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
差異重量算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、差異重量算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
差異重量算出装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。差異重量算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、差異重量算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、差異重量算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0027】
記憶部106は、例えば、受払データ106aと、商品マスタ106bと、端数処理設定マスタ106cと、在庫データ106dと、移動データ106eと、を備えている。
【0028】
受払データ106aは、商品についての日々の受払(仕入、売上および移動等)の情報を管理するデータである。受払データ106aは、図4および図6に示すように、例えば、伝票番号と、同一伝票番号内での行番号と、前記商品の受払日と、データ区分と、倉庫を識別するための倉庫識別データ(倉庫コード)と、ロットを識別するためのロット識別データ(ロット番号)と、前記商品を識別するための商品識別データ(商品コード)と、前記商品についての受払した員数と、後述する明細毎整数重量算出部102bが算出する整数の重量(重量)と、等を有する明細データを含む。前記データ区分としては、例えば、仕入区分、売上区分および移動(出庫)区分等が挙げられる。前記商品、前記員数の単位および前記重量の単位の組合せは、特に制限されないが、例えば、図3に示す組合せが挙げられる。
【0029】
商品マスタ106bは、前記商品毎の単位重量を管理するためのマスタである。商品マスタ106bは、図4に示すように、例えば、前記商品識別データ(商品コード)と、前記商品毎の単位重量と、等を含む。例えば、前記商品が鋼管であり、前記員数の単位が本であり、前記重量の単位がkgである場合、前記単位重量とは、前記鋼管1本あたりのキログラム数を意味する。
【0030】
端数処理設定マスタ106cは、算出した重量の端数処理の設定するためのマスタである。端数処理設定マスタ106cは、図示しないが、例えば、小数点以下第何位に対して前記端数処理を行うかという情報と、前記端数処理の方法(例えば、四捨五入)と、等を含む。
【0031】
在庫データ106dは、所定の期間終了時点(例えば、月末時点)での前記商品毎の概算の在庫重量を管理するためのデータである。在庫データ106dは、図4に示すように、例えば、前記商品識別データ(商品コード)と、前記倉庫識別データ(倉庫コード)と、前記ロット識別データ(ロット番号)と、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の員数と、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量(重量)と、等を含む。
【0032】
移動データ106eは、前記概算の在庫重量を前記正確な在庫重量により在庫調整行うためのデータである。移動データ106eは、図5に示すように、例えば、伝票番号と、同一伝票番号内での行番号と、前記商品の移動日と、移動(出庫)のデータ区分と、前記商品識別データ(商品コード)と、員数と、前記概算の在庫重量と前記正確な在庫重量の差異の重量(重量)と、等を含む。
【0033】
制御部102は、差異重量算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0034】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記商品マスタから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する明細毎重量算出手段としての明細毎重量算出部102aと、(2)前記明細毎重量算出手段で算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する明細毎整数重量算出手段としての明細毎整数重量算出部102bと、(3)前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データを生成する概算在庫重量算出手段としての概算在庫重量算出部102cと、(4)前記受払日が前記所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する正確在庫重量算出手段としての正確在庫重量算出部102dと、(5)前記概算在庫重量算出手段で生成した前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量と、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する差異重量算出手段としての差異重量算出部102eと、(6)前記差異重量算出手段で算出した前記商品毎の差異の重量を有する明細データを前記受払データに追加することにより、前記受払データを更新する受払データ更新手段としての受払データ更新部102fと、(7)前記在庫データ中の前記商品毎の概算の在庫重量を、前記正確在庫重量算出手段で算出した前記商品毎の正確な在庫重量で上書きすることにより、前記在庫データを更新する在庫データ更新手段としての在庫データ更新部102gと、を備えている。なお、各部が実行する処理の内容については、以下の[3.処理の具体例]で具体的に説明する。
【0035】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。処理の流れの概要としては、図2に示すように、仕入入力および売上入力により受払データ106aが生成され、当該生成された受払データ106aおよび予め設定された商品マスタ106bに基づいて、月次仮締処理(重量再計算処理)が実行される。そして、図2に示すように、当該処理の結果を反映することで、在庫データ106dおよび移動データ106eの内容が更新される。
【0036】
本項目では、商品コードSH01100の商品および商品コードSH01200の商品のそれぞれについて、月末時点において、概算の在庫重量と正確な在庫重量の差異を求めるという場面を想定して説明をする。
【0037】
本項目における説明の前提として、月中の取引を示す受払データ106aは図4に示す内容で登録されているものとするが、受払データ106a中の重量(kg)は以下の[3-2]の処理により算出されるものであるため、処理開始時点ではブランクであるものとする。また、商品マスタ106bは、図4に示す内容で処理開始に先立って予め登録されているものとする。
【0038】
[3-1.明細毎重量算出処理]
明細毎重量算出部102aは、商品マスタ106bから、前記明細データ中の前記商品識別データと紐づく単位重量を取得し、前記明細データ中の前記員数に当該取得した単位重量を乗じることにより、前記商品についての受払した重量を前記明細データ毎に算出する。
【0039】
具体的には、商品マスタ106bを参照すると、商品コードSH01100と紐づく単位重量は1.1kg/本であり、一方で、商品コードSH01200と紐づく単位重量も1.1kg/本である。このため、明細毎重量算出部102aは、
(1)伝票番号SI0001の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(仕入明細)については、員数10本×単位重量1.1kg/本=重量11kgを算出し、
(2)伝票番号SI0001の行番号2の商品コードSH01200の明細データ(仕入明細)については、員数100本×単位重量1.1kg/本=重量110kgを算出し、
(3)伝票番号UR0001の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、員数-4本×単位重量1.1kg/本=重量-4.4kgを算出し、
(4)伝票番号UR0002の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、員数-4本×単位重量1.1kg/本=重量-4.4kgを算出し、
(5)伝票番号UR0003の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、員数-2本×単位重量1.1kg/本=重量-2.2kgを算出し、
(6)伝票番号UR0003の行番号2の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、員数-4本×単位重量1.1kg/本=重量-4.4kgを算出し、
(7)伝票番号UR0004の行番号1の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、員数-4本×単位重量1.1kg/本=重量-4.4kgを算出し、
(8)伝票番号UR0005の行番号1の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、員数-4本×単位重量1.1kg/本=重量-4.4kgを算出する。
【0040】
[3-2.明細毎整数重量算出処理]
明細毎整数重量算出部102bは、明細毎重量算出部102aで算出した前記明細データ毎の重量について所定の端数処理を行うことにより、整数の重量を前記明細データ毎に算出し、当該算出した整数の重量を前記明細データに追加する。
【0041】
具体的には、端数処理設定マスタ106cにおいて、小数点以下第1位に対して四捨五入を行うという端数処理が設定されているとすると、明細毎整数重量算出部102bは、
(1)伝票番号SI0001の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(仕入明細)については、重量11kgは既に整数であるためこのまま当該明細データに追加し、
(2)伝票番号SI0001の行番号2の商品コードSH01200の明細データ(仕入明細)については、重量110kgは既に整数であるためこのまま当該明細データに追加し、
(3)伝票番号UR0001の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、重量-4.4kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-4kg当該明細データに追加し、
(4)伝票番号UR0002の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、重量-4.4kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-4kg当該明細データに追加し、
(5)伝票番号UR0003の行番号1の商品コードSH01100の明細データ(売上明細)については、重量-2.2kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-2kg当該明細データに追加し、
(6)伝票番号UR0003の行番号2の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、重量-4.4kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-4kg当該明細データに追加し、
(7)伝票番号UR0004の行番号1の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、重量-4.4kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-4kg当該明細データに追加し、
(8)伝票番号UR0005の行番号1の商品コードSH01200の明細データ(売上明細)については、重量-4.4kgの小数点以下第1位を四捨五入した整数の重量-4kg当該明細データに追加する。
【0042】
これにより、図4に示す受払データ106aが完成する。
【0043】
[3-3.概算在庫重量算出処理]
概算在庫重量算出部102cは、前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記整数の重量を前記商品毎に集計することにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を算出し、当該算出した前記商品毎の概算の在庫重量を格納することにより在庫データ106dを生成する。
【0044】
具体的には、前記所定の期間が2021/01/01~2021/01/31の期間であるとすると、[3-2]の(1)~(8)の前記明細データは、すべて、前記受払日が当該期間に属する。このため、概算在庫重量算出部102cは、SH01100の商品については、[3-2]の(1)、(3)、(4)および(5)の前記明細データ中の整数の重量を、11kg+(-4kg)+(-4kg)+(-2kg)=1kgと集計する。また、概算在庫重量算出部102cは、SH01200の商品については、[3-2]の(2)、(6)、(7)および(8)の前記明細データ中の整数の重量を、110kg+(-4kg)+(-4kg)+(-4kg)=98kgと集計する。
【0045】
このようにして、概算在庫重量算出部102cは、2021/01/31終了時点でのSH01100の商品についての概算の在庫重量を1kgと算出し、また、2021/01/31終了時点でのSH01200の商品についての概算の在庫重量を98kgと算出することができる。「概算」と表現したのは、当該算出した値が、[3-2]で前記明細データ毎に四捨五入をして求めた整数の重量を集計したものだからである。
【0046】
そして、概算在庫重量算出部102cが、当該算出した2021/01/31終了時点での前記商品毎の概算の在庫重量を在庫データ106dに格納することで、図4に示す在庫データ106dが完成する。
【0047】
[3-4.正確在庫重量算出処理]
正確在庫重量算出部102dは、前記受払日が所定の期間に属する前記明細データ中の前記員数を前記商品毎に集計し、当該集計した前記商品毎の員数に当該商品についての前記商品識別データと紐づく前記商品マスタ中の前記単位重量を乗じた値を算出し、当該値について前記所定の端数処理を行うことにより、前記所定の期間終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する。
【0048】
具体的には、前記所定の期間が[3-3]で説明したように2021/01/01~2021/01/31の期間であるとすると、[3-2]の(1)~(8)の前記明細データは、すべて、前記受払日が当該期間に属する。このため、正確在庫重量算出部102dは、SH01100の商品については、[3-2]の(1)、(3)、(4)および(5)の前記明細データ中の員数(図4の受払データ106a参照)を、10本+(-4本)+(-4本)+(-2本)=0本と集計する。また、正確在庫重量算出部102dは、SH01200の商品については、[3-2]の(2)、(6)、(7)および(8)の前記明細データ中の員数(図4の受払データ106a参照)を、100本+(-4本)+(-4本)+(-4本)=88本と集計する。
【0049】
ここで、図4の商品マスタ106bにおいてSH01100と紐づく単位重量は1.1kg/本であるため、正確在庫重量算出部102dは、SH01100の商品について、前段落で集計した0本に当該単位重量1.1kgを乗じた値として0kgを算出する。また、図4の商品マスタ106bにおいてSH01200と紐づく単位重量は1.1kg/本であるため、正確在庫重量算出部102dは、SH01200の商品について、前段落で集計した88本に当該単位重量1.1kgを乗じた値として96.8kgを算出する。
【0050】
そして、端数処理設定マスタ106cにおいて、[3-2]で説明したのと同様に、小数点以下第1位に対して四捨五入を行うという端数処理が設定されているとすると、正確在庫重量算出部102dは、以下のようにして2021/01/31終了時点での前記商品毎の正確な在庫重量を算出する。すなわち、正確在庫重量算出部102dは、前段落でSH01100の商品について算出した0kgは整数であるため、このまま0kgを正確な在庫重量として算出する。一方で、正確在庫重量算出部102dは、前段落でSH01200の商品について算出した96.8kgについては、小数点以下第1位を四捨五入した97kgを正確な在庫重量として算出する。
【0051】
[3-5.差異重量算出処理]
差異重量算出部102eは、概算在庫重量算出部102cで生成した在庫データ106d中の前記商品毎の概算の在庫重量と、正確在庫重量算出部102dで算出した前記商品毎の正確な在庫重量と、の差異の重量を前記商品毎に算出する。
【0052】
具体的には、[3-3]で説明したように前記商品毎の概算の在庫重量は図4の在庫データ106dに示すとおりであるが、この一部を抜き出したものを、図5の左の在庫データ106dとして示す。一方で、[3-4]で算出した前記商品毎の正確な在庫重量を、図5の右の在庫データ(単位重量から計算値)として示す。
【0053】
図5の前記左の在庫データに示すように、2021/01/31終了時点でのSH01100の商品についての概算の在庫重量は1kgであり、2021/01/31終了時点でのSH01200の商品についての概算の在庫重量は98kgである。図5の前記右の在庫データに示すように、2021/01/31終了時点でのSH01100の商品についての正確な在庫重量は0kgであり、2021/01/31終了時点でのSH01200の商品についての正確な在庫重量は97kgである。このため、差異重量算出部102eは、月末(1月末)の月次仮締処理時に、SH01100の商品についての差異の重量を-1kgと算出し、SH01200の商品についての差異の重量も-1kgと算出する。
【0054】
そして、図5に示すように、当該算出された差異の重量を有する明細データ(移動明細)が格納された移動データ106eが生成される。
【0055】
[3-6.受払データ更新処理]
受払データ更新部102fは、差異重量算出部102eで算出した前記商品毎の差異の重量を有する明細データを受払データ106aに追加することにより、受払データ106aを更新する。
【0056】
具体的には、受払データ更新部102fは、月末(1月末)の月次仮締処理後に、[3-5]の最終段落で説明した前記明細データ(移動明細)を受払データ106aに追加することにより、受払データ106aを図6に示すように更新する。図6の受払データ106aにおいてハッチングを付した(9)および(10)で示す行が、前記追加された前記明細データ(移動明細)である。
【0057】
[3-7.在庫データ更新処理]
在庫データ更新部102gは、在庫データ106d中の前記商品毎の概算の在庫重量を、正確在庫重量算出部102dで算出した前記商品毎の正確な在庫重量で上書きすることにより、在庫データ106dを更新する。
【0058】
具体的には、在庫データ更新部102gは、月末(1月末)の月次仮締処理後に、図4の在庫データ106d中の前記商品毎の概算の在庫重量を、[3-4]において正確在庫重量算出部102dで算出した前記商品毎の正確な在庫重量で上書きすることにより、在庫データ106dを図6に示すように更新する。図6の在庫データ106dにおいてハッチングを付した数値が、前記上書きされた後の正確な在庫重量である。
【0059】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る差異重量算出装置100によれば、主に[3-1]~[3-5]で説明したように、概算の在庫重量を求めつつも、一方で、正確な在庫重量も求め、両重量の差異を算出することができる。また、本実施形態に係る差異重量算出装置100によれば、主に[3-6]および[3-7]で説明したように、当該算出した差異に基づいて、在庫調整を行うことができる。
【0060】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0063】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0064】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0065】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0066】
また、差異重量算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0067】
例えば、差異重量算出装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて差異重量算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0068】
また、このコンピュータプログラムは、差異重量算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0070】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0071】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0072】
また、差異重量算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、差異重量算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0073】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、不定貫の商品を扱う業界において有用であり、特に、鉄鋼業界、建材業界および食品業界等においては極めて有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 差異重量算出装置
102 制御部
102a 明細毎重量算出部
102b 明細毎整数重量算出部
102c 概算在庫重量算出部
102d 正確在庫重量算出部
102e 差異重量算出部
102f 受払データ更新部
102g 在庫データ更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 受払データ
106b 商品マスタ
106c 端数処理設定マスタ
106d 在庫データ
106e 移動データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6