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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015291
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】車両の加減速制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/04 20060101AFI20220114BHJP
   B60W 10/188 20120101ALI20220114BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20220114BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20220114BHJP
   G05G 9/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B60W10/00 120
B60W10/04
B60W10/188
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118021
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】阿式 俊和
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】横沢 隆志
(72)【発明者】
【氏名】田邉 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 恵助
(72)【発明者】
【氏名】石黒 健一
【テーマコード(参考)】
3D241
3J070
【Fターム(参考)】
3D241AA33
3D241AB01
3D241AC29
3D241AD41
3D241AE45
3J070AA32
3J070BA51
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC02
3J070DA02
3J070EA11
(57)【要約】
【課題】運転者の意図せぬ急制動を抑制できる車両の加減速制御装置を提供する。
【解決手段】車両の加減速制御装置は、ペダルの操作量が加速領域又は減速領域のいずれにあるかによって加速操作であるか減速操作であるかを判定する加減速判定部と、加減速判定部において加速操作であると判定された場合に車両がペダルの操作量に応じて加速するように駆動装置を制御する駆動制御部と、加減速判定部において減速操作であると判定された場合に車両がペダルの操作量に応じて減速するように制動装置を制御する制動制御部と、を備え、加減速判定部は、加速領域と減速領域との間に不感領域を設け、ペダルの操作量が不感領域にある場合に、加速操作でもなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部はペダルの操作量に応じて加速しないように駆動装置を制御するとともに、制動制御部はペダルの操作量に応じて減速しないように制動装置を制御する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルの操作量を取得するペダル操作量取得部と、
前記ペダルが操作可能な領域に、加速領域と該加速領域よりも操作量が大きい減速領域を設け、前記ペダルの操作量が加速領域又は減速領域のいずれにあるかによって加速操作であるか減速操作であるかを判定する加減速判定部と、
前記加減速判定部において加速操作であると判定された場合に車両が前記ペダルの操作量に応じて加速するように駆動装置を制御する駆動制御部と、
前記加減速判定部において減速操作であると判定された場合に前記車両が前記ペダルの操作量に応じて減速するように制動装置を制御する制動制御部と、
を備え、
前記加減速判定部は、前記加速領域と前記減速領域との間に不感領域を設け、前記ペダルの操作量が前記不感領域にある場合に、前記加速操作でもなければ前記減速操作でもないと判定し、
前記加減速判定部において前記加速操作でもなければ前記減速操作でもないと判定した場合に、前記駆動制御部は前記ペダルの操作量に応じて加速しないように前記駆動装置を制御するとともに、前記制動制御部は前記ペダルの操作量に応じて減速しないように前記制動装置を制御する、
車両の加減速制御装置。
【請求項2】
前記加減速判定部は、前記ペダルの操作量が前記加速領域にあり、かつ、前記ペダルの操作量が予め定められた時間を超えて前記加速領域にある場合に前記加速操作であると判定する、
請求項1に記載の車両の加減速制御装置。
【請求項3】
前記制動制御部は、前記不感領域から前記減速領域へと移行する際の前記減速領域の初期領域において、前記ペダルの操作量に対する制動力の増加量が前記初期領域ではない領域よりも小さくなるように前記制動装置を制御する、
請求項1又は2に記載の車両の加減速制御装置。
【請求項4】
前記加減速判定部は、前記ペダルの操作速度が予め定められた閾値以上である場合に、前記ペダルの操作可能な領域全てを減速領域とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両の加減速制御装置。
【請求項5】
前記ペダルの操作可能な領域において、前記加速領域と前記減速領域の割合を予め定められた選択肢の中から任意に選択して前記加減速判定部に設定可能である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の加減速制御装置。
【請求項6】
前記加減速判定部は、前記車両の後進時に前記ペダルの操作可能な領域の全てを前記減速領域に設定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両の加減速制御装置。
【請求項7】
前記加減速判定部の判定結果を運転者に通知するための通知部を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の車両の加減速制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の加減速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一つのペダルでアクセル操作とブレーキ操作が可能な車両運転操作ペダルが記載されている。かかる車両運転操作ペダルでは、ブレーキアームにワイヤー連結解除装置本体を取り付け更にアクセルワイヤーを繋ぎ、一方で、アクセルシャフトによってワイヤー連結解除装置本体下部とペダルとを連結する。また、ワイヤー連結解除装置本体の向かい側の車体にセンサーが固定される。ペダルを前方に下げ倒すと通常のアクセル開閉操作ができ、ペダル全体を前方に踏み込むと、ワイヤー連結解除装置本体とセンサーがずれて電磁ジョイントの通電が切れ完全にブレーキ機能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-104084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された車両操作用ペダルでは、ペダルを前方に下げ倒しつつブレーキ全体を前方に踏み込むといずれかのタイミングで加速操作から減速操作に切り替わるので、運転者の意図せぬ急制動となる虞れがある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、運転者の意図せぬ急制動を抑制できる車両の加減速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一実施形態に係る車両の加減速制御装置は、ペダルの操作量を取得するペダル操作量取得部と、前記ペダルが操作可能な領域に、加速領域と該加速領域よりも操作量が大きい減速領域を設け、前記ペダルの操作量が加速領域又は減速領域のいずれにあるかによって加速操作であるか減速操作であるかを判定する加減速判定部と、前記加減速判定部において加速操作であると判定された場合に車両が前記ペダルの操作量に応じて加速するように駆動装置を制御する駆動制御部と、前記加減速判定部において減速操作であると判定された場合に前記車両が前記ペダルの操作量に応じて減速するように制動装置を制御する制動制御部と、を備え、前記加減速判定部は、前記加速領域と前記減速領域との間に不感領域を設け、前記ペダルの操作量が前記不感領域にある場合に、前記加速操作でもなければ前記減速操作でもないと判定し、前記加減速判定部において前記加速操作でもなければ前記減速操作でもないと判定した場合に、前記駆動制御部は前記ペダルの操作量に応じて加速しないように前記駆動装置を制御するとともに、前記制動制御部は前記ペダルの操作量に応じて減速しないように前記制動装置を制御する。
【0007】
上記の構成によれば、ペダルが加速領域から減速領域に移行する場合に必ず不感領域を通る。そして、ペダルの操作量が不感領域にある場合に加減速判定部は加速操作でもなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部はペダルの操作量に応じて加速しないように駆動装置を制御するとともに、制動制御部はペダルの操作量に応じて減速しないように制動装置を制御する。これにより、ペダルの操作量が加速領域から減速領域に移行する場合に運転者の意図せぬ急制動を抑制できる。また、ペダルが減速領域から加速領域に移行する場合にも必ず不感領域を通る。ペダルの操作量が不感領域にある場合に加減速判定部は加速操作でもなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部はペダルの操作量に応じて加速しないように駆動装置を制御するとともに、制動制御部はペダルの操作量に応じて減速しないように制動装置を制御する。これにより、ペダルの操作量が減速領域から加速領域に移行する場合に意図せぬ急加速を抑制できる。
【0008】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記加減速判定部は、前記ペダルの操作量が前記加速領域にあり、かつ、前記ペダルの操作量が予め定められた時間を超えて前記加速領域にある場合に前記加速操作であると判定する。
【0009】
上記の構成によれば、ペダルの操作量が予め定められた時間内に加速領域を通過すると加減速判定部は加速操作であると判定しないので、車両の不要な加速を防止し、運転者への意図しない衝撃負荷を防止するとともに運転時の安全性をより向上させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記制動制御部は、前記不感領域から前記減速領域へと移行する際の前記減速領域の初期領域において、前記ペダルの操作量に対する制動力の増加量が前記初期領域ではない領域よりも小さくなるように前記制動装置を制御する。
【0011】
上記の構成によれば、ペダルの操作量が減速領域に入った直後はペダルの操作量に対する制動力の増加量が小さくなり、車両は緩やかに減速するので、これによっても運転者の意図せぬ急制動を抑制し、運転者への衝撃負荷を緩和することができる。
【0012】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記加減速判定部は、前記ペダルの操作速度が予め定められた閾値以上である場合に、前記ペダルの操作可能な領域全てを減速領域とする。
【0013】
上記の構成によれば、車両の衝突事故等の反動により誤って勢いよくペダルを踏み込んでも減速操作と判定されるので、運転者の意図しない急加速等により事故が拡大するのを防止できる。
【0014】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記ペダルの操作可能な領域において、前記加速領域と前記減速領域の割合を予め定められた選択肢の中から任意に選択して前記加減速判定部に設定可能である。
【0015】
上記の構成によれば、運転者は走行環境や運転者の好みに応じて加速領域と減速領域の割合を予め定められた選択肢の中から任意に選択して設定できる。
【0016】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記加減速判定部は、前記車両の後進時に前記ペダルの操作可能な領域の全てを前記減速領域に設定する。
【0017】
上記の構成によれば、後進時において車両を加速することなく微速後進させることができるため、より安全に後進することができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、上記の構成において、前記加減速判定部の判定結果を通知するための通知部を備える。
【0019】
上記の構成によれば、通知部が加減速判定部の判定結果を運転者に通知するので、運転者は判定結果をリアルタイムに確実に把握し、当該判定結果に応じた適切な運転操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、運転者の意図せぬ急制動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る加減速制御装置が適用される車両の構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る加減速制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】ペダルの操作可能な領域に設けた加速領域、減速領域及び不感領域を概念的に示す図である。
図4】ペダルの操作可能な領域を全て減速領域とした例を概念的に示す図である。
図5】表示器の表示例「加速中」を示す図である。
図6】表示器の表示例「制動中」を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る加減速制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2が適用される車両1の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2が適用される車両1は、アクセルペダル、ブレーキペダルの区別がなく、一つのペダル17によって加速操作及び減速操作を可能にする車両である。ここでは、一つのペダル17によって加速操作及び減速操作を可能にする車両1を例に説明するが、一つのペダル17のほかにブレーキペダルを装備する車両を除外するものではない。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2が適用される車両1は、四輪自動車であって、エンジンやモータ等の駆動装置11、トランスミッション等の変速装置12、駆動装置11から変速装置12を経由して伝達された動力によって駆動される駆動輪13、駆動輪13に従動する従動輪14、及び、駆動輪13及び従動輪14を制動する制動装置15、ステアリングホイール等の操舵装置(図示せず)を備えており、駆動装置11及び制動装置15は本発明の実施形態に係る加減速制御装置2によって制御される。
【0025】
駆動装置11は、例えば、ガソリン装置又はディーゼル自動車ではエンジン、電気自動車(EV)ではモータ、ハイブリッド自動車(HV,PHV,PHEV)ではエンジン及びモータである。
【0026】
変速装置12は、例えば、オートマチックのトランスミッションであり、シフトレバー121を操作することで、パーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)ドライブレンジ(Dレンジ)、又は、段数固定レンジ(Lレンジ)に変更可能である。
【0027】
制動装置15は、パーキングブレーキ及びサービスブレーキで構成される。パーキングブレーキはブレーキレバーによって操作可能であり、サービスブレーキは本発明の実施形態に係る加減速制御装置2によって制御される。
【0028】
加減速制御装置2は、例えば、制御装置及び演算装置を含むプロセッサ(図示せず)、並びに、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)等のメモリを含み構成される。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2は、ペダル操作量取得部21、加減速判定部22、駆動制御部23及び制動制御部24を備えている。
【0030】
ペダル操作量取得部21は、ペダル17の操作量を取得する部分であり、例えば、加減速制御装置2に接続され、ペダル17の操作量を検出するペダルストロークセンサ18からペダル17の操作量を逐次取得する。
【0031】
加減速判定部22は、ペダル17の操作可能な領域に、加速領域と該加速領域よりも操作量が大きい減速領域を設け、ペダル17の操作量が加速領域又は減速領域のいずれにあるかによって加速操作であるか減速操作であるかを判定する部分であり、ペダル操作量取得部21からペダル17の操作量を逐次取得する。ペダル17が操作可能な領域は、ペダル17の操作可能な全ストロークである。加速領域はペダル17が操作可能な全ストロークのうちストロークが小さな領域に設けられ、減速領域はペダル17が操作可能な全ストロークのうち加速領域よりもストロークが大きな領域に設けられる。加速領域と減速領域とが重なって設けられることはないが、ペダル17が操作可能な全ストロークに渡り加速領域又は減速領域が設けられる必要もなく、例えば、加速領域よりもストロークが小さな領域に空走領域を設けてもよい。
【0032】
駆動制御部23は、加減速判定部22において加速操作であると判定された場合に車両1がペダル17の操作量に応じて加速するように駆動装置11を制御する部分であり、加減速判定部22からペダル17の操作量を逐次取得する。
【0033】
制動制御部24は、加減速判定部22において減速操作であると判定された場合に車両1がペダル17の操作量に応じて減速するように制動装置15を制御する部分であり、加減速判定部22からペダル17の操作量を逐次取得する。
【0034】
図3に示すように、上述した加減速判定部22は、加速領域と減速領域との間に不感領域を設け、ペダル17の操作量が不感領域にある場合に、加速操作でもなければ減速操作でもないと判定する。そして、加減速判定部22において加速操作でもなければ減速操作でもないと判定された場合に、駆動制御部23はペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動装置11を制御するとともに、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速しないように制動装置15を制御する。
【0035】
上述した本発明の実施形態に係る加減速制御装置2によれば、ペダル17が加速領域から減速領域に移行する場合に必ず不感領域を通る。ペダル17の操作量が不感領域にある場合に加減速判定部22は加速操作でものなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部23はペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動装置11を制御するとともに、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速しないように制御する。これにより、ペダル17の操作量が加速領域から減速領域に移行する場合に意図せぬ急制動を抑制できる。また、ペダル17が減速領域から加速領域に移行する場合にも必ず不感領域を通る。ペダル17の操作量が不感領域にある場合に加減速判定部22は加速操作でもなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部23はペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動制御装置を制御するとともに、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速しないように制動装置15を制御する。これにより、ペダル17の操作量が減速領域から加速領域に移行する場合に意図せぬ急加速を抑制できる。
【0036】
また、本発明の一実施形態では、加減速判定部22は、ペダル17の操作量が加速領域にあり、かつ、ペダル17の操作量が予め定められた時間を超えて加速領域にある場合に加速操作であると判定する。予め定められた時間は、例えば、アクセルペダルとブレーキペダルを備える車両においてアクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えてブレーキが作動するまでの時間を参考に決定される。予め定められた時間は、例えば、1秒から2秒の間で設定される。
【0037】
このようにすれば、加減速判定部22は、ペダル17の操作量が加速領域にあり、かつ、ペダル17の操作量が予め定められた時間を超えて加速領域にある場合に加速操作であると判定するので、ペダル操作の開始直後は加速操作と判定されることがない。これにより、ペダル操作の開始直後に駆動制御部23がペダル17の操作量に応じて加速するように駆動装置11を制御することもないので、ペダル操作の開始直後の急加速を防止できる。また、ペダル17の操作量が予め定められた時間内に加速領域を通過すると加減速判定部22は加速操作であると判定しないので、車両1を加速させることなく減速させることができる。これにより、車両1の不要な加速を防止し、運転者への意図しない衝撃負荷を防止するとともに運転時の安全性をより向上させることができる。
【0038】
また、本発明の一実施形態では、制動制御部24は、不感領域から減速領域へと移行する際の減速領域の初期領域において、ペダル17の操作量に対する制動力の増加量が初期領域ではない領域よりも小さくなるように制動装置15を制御する。
【0039】
このようにすれば、ペダル17の操作量が減速領域に入った直後はペダル17の操作量に対する制動力の増加量が小さくなり、車両1は緩やかに減速するので、これによっても運転者の意図せぬ急制動を抑制し、運転者への衝撃負荷を緩和することができる。
【0040】
また、本発明の一実施形態では、加減速判定部22は、ペダル17の操作速度が予め定めた閾値以上である場合に、図4に示すように、ペダル17の操作可能な領域を全て減速領域とする。すなわち、加減速判定部22は、ペダル17の操作速度が予め定められた閾値以上である場合は全て減速操作と判定し、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速するように制動装置15を制御する。
【0041】
このようにすれば、車両1の衝突事故等の反動により誤ってペダル17を勢いよく踏み込んでも減速操作と判定されるので、運転者の意図しない急加速等により事故が拡大するのを防止できる。
【0042】
また、本発明の一実施形態では、ペダル17の操作可能な領域において、加速領域と減速領域の割合を予め定められた選択肢の中から任意に選択して加減速判定部22に設定可能である。予め定められた選択肢には、例えば、駐車場走行用の選択肢、市街地走行用の選択肢、高速道路走行用の選択肢が設けられる。例えば、駐車場走行用の選択肢では、駐車場の減速操作を容易にするように、減速領域の割合が加速領域の割合よりも大きく定められる。また、例えば、市街地走行用の選択肢では、市街地の加速操作と減速操作を容易にするように、加速領域の割合と減速領域の割合がほぼ同じとなるように定められる。また、例えば、高速道路走行用の選択肢では、高速道路の加速操作を容易にするように、加速領域の割合が減速領域の割合よりも大きく定められる。
【0043】
このようにすれば、運転者は走行環境や運転者の好みに応じて加速領域と減速領域の割合を予め定められた選択肢の中から任意に選択して設定できる。
【0044】
また、本発明の一実施形態では、加減速判定部22は、車両1の後進時に、図4に示すように、ペダル17の操作可能な領域の全てを減速領域に設定する。すなわち、加減速判定部22は、車両1の後進時におけるペダル操作を全て減速操作と判定し、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速操作するように制動装置15を制御する。車両1が後進時であるか否かは、例えば、変速装置12がリバースレンジ(Rレンジ)にあるか否かで判定される。これにより、加減速判定部22は、後進時のペダル操作を全て減速操作と判定し、車両1はクリープ現象相当の速度によってのみ後進する。そして、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速するように制動装置15を制御する。
【0045】
このようにすれば、後進時において車両1を加速することなく微速後進させることができるため、より安全に後進することができる。
【0046】
また、本発明の一実施形態では、加減速制御装置2は、通知部25を備える。通知部25は、加減速判定部22の判定結果を運転者に通知するための部分であり、例えば、コンビネーションメータ16に設けられた表示器161に加速操作又は減速操作の別を通知する。これにより、表示器161には加速操作を意味する「加速中」(図5参照)又は減速操作を意味する「制動中」(図6参照)等の操作の別が表示される。
【0047】
このようにすれば、通知部25が加減速判定部22の判定結果を運転者に通知するので、運転者は判定結果をリアルタイムに確実に把握し、判定結果に応じた適切な運転操作を行うことができる。
【0048】
尚、表示器161の表示は、加速操作又は減速操作によって表示色や点滅周期を変更するものとしてもよい。このようにすれば、運転者は加速操作又は減速操作の別を直感的に理解することができる。
【0049】
図5は、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2の制御内容を示すフローチャートである。図5に示すように、本発明の実施形態に係る加減速制御装置2は、加減速制御を開始すると、ペダル操作量取得部21においてペダル17の操作量を取得する(ステップS11)。次に、加減速判定部22においてペダル17の操作量が加速領域にあるか否かを判定する(ステップS12)。ペダル17の操作量が加速領域にある場合には加減速判定部22においてペダル17の操作量が予め定めた時間を超えて加速領域にあるか否かを判定する(ステップS13)。ペダル17の操作量が予め定めた時間を超えて加速領域にある場合には加減速判定部22が加速操作と判定する(ステップS14)。
【0050】
一方、ペダル17の操作量が加速領域にない場合には、加減速判定部22においてペダル17の操作量が不感領域にあるか否かを判定する(ステップS15)。ペダル17の操作量が不感領域にある場合には、加速操作でもなければ減速操作でもないと判定する(ステップS16)。
【0051】
他方、ペダル17の操作量が加速領域にも不感領域にもない場合には、加減速判定部22においてペダル17の操作量が減速領域にあるか否かを判定する(ステップS17)。ペダル17の操作量が減速領域にある場合には減速操作と判定する(ステップS18)。
【0052】
加減速判定部22において加速操作と判定された場合には、車両1がペダル17の操作量に応じて加速するように駆動制御部23が駆動装置11を制御する(ステップS21)。一方、加減速判定部22において加速操作でもなければ減速操作でもないと判定された場合には、車両1がペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動制御部23が駆動装置11を制御するともに、車両1がペダル17の操作量に応じて減速しないように制動制御部24が制動装置15を制御する(ステップS22)。他方、加減速判定部22において減速操作と判定された場合には、車両1がペダル17の操作量に応じて減速するように制動制御部24が制動装置15を制御する(ステップS23)。
【0053】
そして、通知部25は、加減速判定部22の結果を運転者に通知する(ステップS31)。例えば、通知部25は、コンビネーションメータ16に設けられた表示器161に加速操作又は減速操作の別を通知する。これにより、表示器161は加速操作を意味する「加速中」又は減速操作を意味する「制動中」等の操作の別が表示される(図5及び図6参照)。
【0054】
上述した本発明の実施形態に係る加減速制御装置2によれば、ペダル17が加速領域から減速領域に移行する場合に必ず不感領域を通る。ペダル17の操作量が不感領域にある場合に加減速判定部22は加速操作でものなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部23はペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動装置11を制御するとともに、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速しないように制御する。これにより、ペダル17の操作量が加速領域から減速領域に移行する場合に意図せぬ急制動を抑制できる。また、ペダル17が減速領域から加速領域に移行する場合にも必ず不感領域を通る。ペダル17の操作量が不感領域にある場合に加減速判定部22は加速操作でもなければ減速操作でもないと判定し、駆動制御部23はペダル17の操作量に応じて加速しないように駆動制御装置を制御するとともに、制動制御部24はペダル17の操作量に応じて減速しないように制動装置15を制御する。これにより、ペダル17の操作量が減速領域から加速領域に移行する場合に意図せぬ急加速を抑制できる。
【0055】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0056】
1 車両
11 駆動装置
12 変速装置
121 シフトレバー
13 駆動輪
14 従動輪
15 制動装置
16 コンビネーションメータ
161 表示器
17 ペダル
18 ペダルストロークセンサ
2 加減速制御装置
21 ペダル操作量取得部
22 加減速判定部
23 駆動制御部
24 制動制御部
25 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7